JPH05177659A - インサート成形方法およびその成形品 - Google Patents

インサート成形方法およびその成形品

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JPH05177659A
JPH05177659A JP35835891A JP35835891A JPH05177659A JP H05177659 A JPH05177659 A JP H05177659A JP 35835891 A JP35835891 A JP 35835891A JP 35835891 A JP35835891 A JP 35835891A JP H05177659 A JPH05177659 A JP H05177659A
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JP
Japan
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liquid crystal
crystal polymer
heater
insert
surface roughness
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JP35835891A
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Hiroko Chino
裕子 千野
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 劣化が生じず、また反りが少なく、しかもセ
ラミックス等のインサート部材とサーモトロピック液晶
ポリマーとの固着をより強固にしたインサート成形方法
およびその射出成形品を提供する。 【構成】 (1)サーモトロピック液晶ポリマーを用い
て射出成形するに際し、該サーモトロピック液晶ポリマ
ーと接触する面の少なくとも一部がJIS−B0031
に規定される三角記号一つ(▽)で表面粗さの表示50
−Sより粗い表面粗さを有する剛直なインサート部材を
該サーモトロピック液晶ポリマーに嵌入して成形するこ
とを特徴とするインサート成形方法。 (2)サーモトロピック液晶ポリマーと接触する面の少
なくとも一部がJIS−B0031に規定される三角記
号一つ(▽)で表面粗さの表示50−Sより粗い表面粗
さである剛直なインサート部材が該サーモトロピック液
晶ポリマーに嵌入されてなる射出成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として複写機、ファ
クシミリ等のOA機器の部品であるヒーターホルダー等
の剛直な材料とサーモトロピック液晶ポリマーよりなる
射出成形品およびそのインサート成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】サーモトロピック液晶ポリマーは、耐熱
性等の優れた諸物性を有することから各種加熱保温用成
形品に用いられている。しかし、サーモトロピック液晶
ポリマーは液晶ポリマーの本質として配向し、その配向
に起因する成形品の反りが発生し易い。その補正として
は金型補正、成形後の熱処理による修正等が一般に用い
られるが、成形金型の設計や工程の複雑化により不利で
ある等の別な問題が生ずる。
【0003】しかも、加熱保温用成形品の場合にはヒー
トサイクルでもって測定される熱衝撃が加えられ、これ
により成形時に発生する反りとは別の反りが製品に発生
する可能性もある。
【0004】従来、例えば複写機、ファクシミリ等のO
A機器の部品である加熱保温用成形品等の部品であるヒ
ーターホルダーを射出成形する場合、耐熱性等の優れた
諸物性を有するところからサーモトロピック液晶ポリマ
ーによりヒーターホルダーを通常の射出成形方法により
成形した後、セラミックヒーターをエポキシ樹脂で別途
接着し、加熱保温用成形品とする方法が採用されてい
た。
【0005】しかし、エポキシ樹脂は耐熱性が200℃
未満であり高速の複写機のように高温が生じる場所で長
期間に亘り熱衝撃を受けながら使用される場合には、劣
化による応力低下と新たに発生する反りによる応力が相
乗し、ホルダー部からセラミックヒーター部が剥離する
恐れがある等の問題があった。
【0006】また、温度制御のために温度センサーをヒ
ーター成形品に固定する場合で、エポキシ樹脂層を介す
るときはその熱伝導度の違い等により温度制御の正確さ
に劣る恐れもある。
【0007】一方、インサート成形は、射出成形するプ
ラスチック内にインサート部材を包み込んだ形をつくる
射出成形方法であって、部品が集約され製造工程が短縮
されて、複雑で精密な部品が完成されるという長所があ
るものの、インサート部材とプラスチックとの一体化を
確保するにはプラスチックの収縮捕捉力のみでは無理で
あり、またインサート部材の存在により金型内の樹脂流
れが複雑となりそれだけ収縮率の局部変化となって製品
に反りが生じ易い等の欠点もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の課題
を解決すべくなされたもので、劣化が生じず、また反り
が少なく、しかもセラミックス等のインサート部材とサ
ーモトロピック液晶ポリマーとの固着をより強固にした
インサート成形方法およびその射出成形品を提供するこ
とを目的とし、特に高温においても劣化の生じないヒー
ター成形品に適用される。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のインサート成形
方法は、サーモトロピック液晶ポリマーを用いて射出成
形するに際し、該サーモトロピック液晶ポリマーと接触
する面の少なくとも一部がJIS−B0031に規定さ
れる三角記号一つ(▽)で表面粗さの表示50−Sより
粗い表面粗さを有する剛直なインサート部材を該サーモ
トロピック液晶ポリマーに嵌入して成形することを特徴
とする。
【0010】以下、本発明をさらに説明する。本発明で
用いられるサーモトロピック液晶ポリマーとは、溶融時
に光学的異方性を示す熱可塑性である溶融可能なポリマ
ーである。このような溶融時に光学的異方性を示すポリ
マーは、溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行配列
をとる性質を有している。光学的異方性溶融相の性質
は、直交偏光子を利用した通常の偏光検査法により確認
できる。
【0011】上記液晶ポリマーとしては、例えば、液晶
性ポリエステル、液晶性ポリカーボネート、液晶性ポリ
エステルイミド等であり、具体的には、(全)芳香族ポ
リエステル、ポリエステルアミド、ポリアミドイミド、
ポリエステルカーボネート、ポリアゾメチン等が挙げら
れる。
【0012】サーモトロピック液晶ポリマーは、一般に
細長く、偏平な分子構造からなり、分子の長鎖に沿って
剛性が高く、同軸または平行のいずれかの関係にある複
数の連鎖伸長結合を有している。
【0013】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
マーには、一つの高分子鎖の一部が異方性溶融相を形成
するポリマーのセグメントで構成され、残りの部分が異
方性溶融相を形成しないポリマーのセグメントから構成
されるポリマーも含まれる。また、複数のサーモトロピ
ック液晶ポリマーを複合したものも含まれる。
【0014】サーモトロピック液晶ポリマーを構成する
モノマーの代表例としては、(A) 芳香族ジカルボン
酸の少なくとも1種、(B) 芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸系化合物の少なくとも1種、(C) 芳香族ジオー
ル系化合物の少なくとも1種、(D) (D1)芳香族
ジチオール、(D2)芳香族チオフェノール、(D3)
芳香族チオールカルボン酸化合物の少なくとも1種、
(E) 芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン系化
合物の少なくとも1種、等が挙げられる。
【0015】これらは単独で構成される場合もあるが、
多くは(A)と(C)、(A)と(D)、(A),
(B)と(C)、(A),(B)と(E)、あるいは
(A),(B),(C)と(E)等のように組合せて構
成される。
【0016】上記(A)芳香族ジカルボン酸系化合物と
しては、テレフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボ
ン酸、4,4′−トリフェニルジカルボン酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボ
ン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエ
ーテル−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン
−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,
4′−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4′−ジ
カルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルエ−テル−3,
3′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3′−
ジカルボン酸、ジフェニルエタン−3,3′−ジカルボ
ン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族
ジカルボン酸またはクロロテレフタル酸、ジクロロテレ
フタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸、
ジメチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、メトキシ
テレフタル酸、エトキシテレフタル酸等、上記芳香族ジ
カルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換
体が挙げられる。
【0017】(B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合
物としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒド
ロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン
酸または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5
−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメチ
ル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒド
ロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフトエ
酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、
2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−4
−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロ
キシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息
香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3
−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドキシ−5
−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7−クロ
ロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−ジクロ
ロ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸の
アルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げられ
る。
【0018】(C)芳香族ジオールとしては、4,4′
−ジヒドロキシジフェニル、3,3′−ジヒドロキシジ
フェニル、4,4′−ジヒドロキシトリフェニル、ハイ
ドロキノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオー
ル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス
(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、3,3′−ジヒ
ドロキシジフェニルエ−テル、1,6−ナフタレンジオ
ール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等の芳香族
ジオールまたはクロロハイドロキノン、メチルハイドロ
キノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロ
キノン、メトキシハイドロキノン、フェノキシハイドロ
キノン、4−クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン
等の芳香族ジオールのアルキル、アルコキシまたはハロ
ゲン置換体が挙げられる。
【0019】(D1 )芳香族ジチオールとしては、ベ
ンゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチ
オール、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナ
フタレン−ジチオール等が挙げられる。
【0020】(D2 )芳香族チオフェノールとして
は、4−メルカプトフエノール、3−メルカプトフェノ
ール、6−メルカプトフェノール等が挙げられる。
【0021】(D3 )芳香族チオールカルボン酸とし
ては、4−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香
酸、6−メルカプト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト
−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0022】(E)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジ
アミン系化合物としては、4−アミノフェノール、N−
メチル−4−アミノフェノール、1,4−フェニレンジ
アミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、
N,N′−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、3
−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノー
ル、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−アミノ−
1−ナフトール、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェ
ニル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルエ−テ
ル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルメタン、
4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルスルフィド、
4、4′−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリ
ン)、4,4′ジアミノジフェニルスルホン、2,5−
ジアミノトルエン、4,4′−エチレンジアニリン、
4,4′−ジアミノジフェノキシエタン、4,4′−ジ
アミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,
4′−ジアミノジフェニルエ−テル(オキシジアニリ
ン)等が挙げられる。
【0023】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
マーは、上記モノマーから溶融アシドリシス法やスラリ
ー重合法等の多様なエステル形成法等により製造するこ
とができる。これら全芳香族ポリエステルの中で好まし
くは、少なくとも下記一般式
【0024】
【化1】
【0025】で表わされるモノマー単位を含む(共)重
合体であって、具体的には、
【0026】
【化2】
【0027】
【化3】
【0028】等がある。すなわち、本発明の特に好まし
い全芳香族ポリエステルは、p−ヒドロキシ安息香酸、
フタル酸およびビフェノールの3種の化合物からそれぞ
れ誘導される繰返し単位を有するポリエステルまたはp
−ヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフトエ酸の2
種の化合物からそれぞれ誘導される繰返し単位を有する
ポリエステルである。
【0029】本発明において、インサート部材には剛直
な部材を使用する。剛直な部材を使用するところから成
形時に発生する製品の反りはもちろん成形後に、例えば
熱衝撃により発生する可能性のある製品の反りも、いず
れも機械的に拘束し反りの発生が防止できる。機械的に
拘束して製品の反りを防止できる材料ならば、いずれの
材質も採用でき、例えば金属、セラミック等から選択で
きる。また、このインサート部材の曲げ弾性率は200
00kg/cm2以上であることが望ましい。
【0030】本発明では、この剛直なインサート部材の
サーモトロピック液晶ポリマーと接触する面の少なくと
も一部がJIS−B0031に規定される三角記号一つ
(▽)で表面粗さの表示50−Sより粗い表面粗さであ
ることが必要である。ここにおけるJIS−B0031
に規定される三角記号一つ(▽)で表面粗さの表示50
−Sより粗い表面粗さとは、JISの加工標準における
表面粗さ規格の仕上げ記号の表面粗さ区分の中の三角記
号一つ(▽)に該当する区分に属し、かつ粗さの範囲と
して50μm以下の50−Sと表示される粗さより粗い
表面粗さのことである。かかる表面粗さを有することに
より、インサート部材とサーモトロピック液晶ポリマー
との一体化が確保できる。JIS−B0031に規定さ
れる三角記号一つ(▽)で表面粗さの表示50−Sに相
当する表面粗さよりも平滑な表面粗さでは、機械的な拘
束力が不足し、インサート部材とサーモトロピック液晶
ポリマーとの固着を確保できないので好ましくない。
【0031】このインサート部材の表面をJIS−B0
031に規定される三角記号一つ(▽)で表面粗さの表
示50−Sより粗い表面粗さに加工する方法としては、
公知の手段を用いることができる。例えば、セラミック
スの表面を線状に傷をつけ、ここから単に破断させる場
合等は、破断面は通常上記範囲の表面粗さを有する。あ
るいは、所定のやすり等を用いて部材表面を仕上げ加工
することにより上記範囲の表面粗さを得ることもでき
る。
【0032】本発明におけるインサート部材を、適宜の
方法により金型内に仮止めした後、常法に従い射出成形
をする。インサート部材を金型内に仮止めする方法は、
特に限定されず、例えば金型に穿孔されたインサート部
材裏面の孔から真空に引いてインサート部材を金型に吸
着させる方法、磁石を利用する金型に吸着させる方法あ
るいはテープ等で仮止めする等の方法が例に挙げられ
る。
【0033】ゲートの種類は特に制限はなく公知のもの
が用いられるが、特にピンゲートを用いることが好まし
い。
【0034】本発明の方法により成形される成形品の形
状は、特に限定されないが、インサート部材とサーモト
ロピック液晶ポリマーとの一体化が確保され機械的な拘
束力が十分に働くところから長尺、板状の成形品が好ま
しく、またインサート部材も同様に長尺、板状のものが
好ましい。
【0035】ここで、射出成形におけるゲートの位置は
サーモトロピック液晶ポリマーの成形品の配向を直接的
に決め、成形品の成形収縮による反りの発生する位置を
決めることになるり、長尺物であれば端部に近い位置に
ゲートを設けることが通常行なわれる。
【0036】本発明に用いられるサーモトロピック液晶
ポリマーによる射出成形品には、金型内における溶融ポ
リマーの流れ方向(以下、MD方向という)には、収縮
は殆ど認められない。これに反し、MD方向に直角方向
(以下、TD方向という)の収縮は大きいという他の樹
脂にはみられない特異な異方性を有する。それ故、成形
品のTD方向という一方向にのみ専ら収縮応力が働くこ
とになる。
【0037】このようにTD方向にのみ収縮応力が働く
ような場合、該応力を利用してインサート部材とサーモ
トロピック液晶ポリマーとの一体化を確保するのは容易
ではない。金型内の樹脂流れを予測し、それぞれのMD
方向からの応力を最大限生かす方向にする必要があるか
らである。
【0038】ここで、成形品の形状が長尺、板状であ
り、またインサート部材も同様に長尺、板状形状の場合
には、ゲート位置が端部、またはその近傍にあるときは
もちろん、例えば中央部位等にあるときも、通常成形品
の長尺な方向がMD方向となる。そして前述のようにこ
れと直角なTD方向という一方向にのみ専ら収縮応力が
働くことになるのであるが、長尺形状であるためこの応
力の応力が働く面が大となり、十分な収縮確保力を形成
することになる。
【0039】それ故、本発明においては成形品の形状と
しては長尺、板状の成形品が好ましく、またインサート
部材も同様に長尺、板状のものが好ましい。
【0040】かかる成形品の好ましい一例としては、複
写機、ファクシミリ等に用いられる加熱のための部品
(加熱保温用成形品)であり、紙に付着したトナーを紙
の上に焼き付けるためのヒーター成形品が例示される。
このヒーター成形品には各種の構造があるが、例えばヒ
ーター部を備えたインサート部および長尺、板状のホル
ダー部からなり、インサート部をホルダー部で支える構
造のものが挙げられる。
【0041】複写機、ファクシミリ等に用いられるヒー
ター成形品のインサート部は特に限定されないが、セラ
ミックヒーターが好ましく用いられる。セラミックヒー
ターの例としては、タンタル、珪素、ルテニウム等の酸
化物、窒化物、酸化物等の抵抗体としての導電性セラミ
ック(ヒーター部)および例えばアルミナ、シリカ、チ
タニア、マグネシア、ジルコニア等の絶縁体としてのセ
ラミックからなる長尺、板状形状のものが好ましい。
【0042】ヒーター部を形成する導電性セラミック
は、絶縁体としての長尺、板状形状のセラミック成形体
上に塗布、焼結されるか、あるいはセラミック成形時に
埋設されて焼結される等の方法により絶縁体としてのセ
ラミックと一体化される。このようなものは、表面平滑
であり、接触する紙との抵抗も少ないので好ましい。従
来、セラミックヒーターとして汎用されるW、Mo等の
高融点金属製コイル形状抵抗体を磁器に埋設してなる構
造のものと比較し、導電性セラミックと絶縁体としての
セラミックスは熱膨張係数が近似しそのため剥離等の恐
れが少ないので好ましい。
【0043】もちろん、セラミックヒーターは絶縁体と
してのセラミックが剛直な材料であるので、インサート
部材として好適である。
【0044】以下、本発明の射出成形品として好ましい
ヒーター成形品を例に取り図面を用いてさらに本発明を
詳述する。
【0045】図1は、本発明により成形される射出成形
品(ヒーター成形品)の斜視図である。
【0046】ホルダー部1のサーモトロピック液晶ポリ
マーの収縮力の働き等により、サーモトロピック液晶ポ
リマーが、導電性セラミックからなるヒーター部3が塗
布されたインサート部(セラミックヒーター)2をTD
方向の成形収縮により周りから押え込むようにインサー
ト成形されている。インサート部2のヒーター部3は、
紙上のトナーを焼き付けるために使用されるところか
ら、伝熱効率の点からホルダー部1上に露出している。
【0047】図2は、図1のA−A′面による断面図で
ある。ホルダー部1にはサーモトロピック液晶ポリマー
特有の配向による成形収縮力の結果、矢印のTD方向に
圧力がかかっており、この圧力によりホルダー部1とイ
ンサート部2が固着されている。固着のためにはインサ
ート部2の接触断面は粗い方が好ましい。この例ではイ
ンサート部2は機械的に切断されたそのままの表面状態
であって、長手方向(MD方向)に沿った側面下部に鋸
目状の断面を有するものを用いている。この粗さのた
め、ホルダー部1とインサート部2はより強固に密着さ
れる。
【0048】図3は、接着剤4を用いた場合の従来の方
法を示すヒーター成形品の断面図である。ヒーター成形
品は、ホルダー部1とセラミックヒータ2を接着剤によ
り固着する方法により得られる。この場合は、接着剤層
4があるため熱伝導性に劣ると共に、使用時におけるヒ
ーター部3からの熱の影響により、接着剤の劣化が生ず
る恐れがある。また一般に射出成形にはシリコン等の離
型剤を用いられる場合があるが、このような場合にはホ
ルダー部1の表面に非常に微量であるが離型剤が残留し
ているため、接着剤により固着する場合は離型剤を予め
除去する必要がある。離型剤の除去については、公知の
手段、例えば溶剤で拭き取る等すればよいが、製造工程
が増える等いろいろな面で不利である。
【0049】図4〜5は、液晶ポリマーで射出成形して
得られたホルダー部1の反りの例を模式的に表わしたも
ので、それぞれ断面図、斜視図である。一般的に樹脂で
成形したこのような長尺部品には少なからず図4〜5の
ように反りが生ずることがあるが、これを用い従来の方
法で剛直な部材に接着してもその反りが解消されない場
合があり、解消されてもこの反りを無理に修正をしたこ
とによる応力が残留し使用時に熱衝撃を受けたりする結
果、インサート部材がはずれる等のトラブルが発生す
る。
【0050】本発明において、ホルダー部1の成形収縮
が生ずる力の方向は図4〜5に示す通りである。すなわ
ち、このような長尺成形品においては長手方向の側面に
ついて成形収縮が内側に反るように働き、セラミックヒ
ーター部に向かったTD方向に圧力が働く。これらと逆
の方向の成形収縮が生ずる傾向の場合には、本発明の方
法には適さない。逆の方向の反りが生ずる場合は、ホル
ダー部とインサート部の間に圧力が充分に働かず固着す
ることができないためである。通常、本発明のヒーター
成形品には図4〜5のような反りが発生し易いが、この
ような反りは例え発生してもインサート部材の確保のた
めには好ましい。
【0051】本発明においてはインサート成形すれば剛
直な部材との間に隙間が殆ど生じないため、またTD方
向には図4のような反りを生じ剛直な部材に対し圧力が
生じるので成形後も両者がはずれにくくこのまま使用す
ることも可能であるが、これをより確実にするには図6
のような対策が取られる。
【0052】図6は、本発明によるヒーター成形品の一
部分である。ホルダー部1の断面に肉盛り部5を有す
る。この肉盛り部5を有することによりインサート部2
が包み込まれ、押圧力に加わり、さらに強固に固着が可
能となる。
【0053】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明
する。
【0054】実施例1 図1のような形状をもつヒーター成形品をインサート成
形方法で作成した。インサート部材として導電性セラミ
ック(ヒーター部材)が絶縁性のセラミック上に塗布、
焼結されたセラミックヒーターを用い、ホルダー部を形
成するサーモトロピック液晶ポリマーとして、テレフタ
ル酸、ビフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸の3元コ
ポリエステルを用いてホットプレートを作成した。セラ
ミックスは、円周に沿った側面はやすりにより表面粗さ
がJIS−B0031に規定される三角記号一つ(▽)
で表面粗さの表示50−Sより粗い表面粗さに予め加工
したものを使用した。
【0055】成形されたヒーター成形品(ホットプレー
ト)の反りを目視で調べたが殆ど認められなかった。
【0056】また、このA−A′面およびこれに平行な
面に沿って40mm長さでヒーター成形品を切断し測定
用試料を得、図7(a)に示されるような方法で密着強
度を測定した。すなわち、得られた測定用試料6の裏側
のサーモトロピック液晶ポリマーを試料の中心に径6m
mだけ取り除き、この試料6を試料受け台7の上に置
き、図7(b)に示されるような径5mmの圧縮治具8
を用いて圧縮試験機により密着強度を測定した。圧縮速
度を10mm/分で行なったときのサンプル数3の平均
値を示す。その結果、8.5kgfを示し、強固に固着
していることが認められた。
【0057】なお、インサート部とホルダー部の境界は
密着されているので洗浄をしても、界面に洗浄水の浸入
は認められなかった。
【0058】また、ヒートサイクルテスト(条件;室温
から加熱し、230℃×30分間保持後、室温に下げる
までの工程を1サイクルとする)を30回繰り返した。
【0059】その結果、固着の強度はヒートサイクルテ
スト前と同じで変化が認められなかった。また、ヒータ
ー成形品の反りを目視で調べたが殆ど認められなかっ
た。
【0060】比較例1 インサート部材としてのセラミックスに、円周に沿った
側面をやすりにより表面粗さがJIS−B0031に規
定される三角記号二つ(▽▽)で表面粗さの表示25−
Sよりも平滑な表面粗さに予め加工したものを使用した
以外は実施例1と同様にしてホットプレートを作成し
た。
【0061】また、実施例1と同様に測定用試料を切り
出し、密着強度による固着状態を調べた。その結果、密
着強度3.2kgfを示し実施例1に比較してかなり小
さい値を示し、固着の程度はかなり低かった。なお、洗
浄をするとインサート部とホルダー部との界面に洗浄水
の浸入が認められた。
【0062】比較例2 上部のヒーターが装着されている面を除いた他の表面が
JIS−B0031に規定される三角記号一つ(▽)で
表面粗さの表示50−Sよりも平滑な表面粗さを有する
セラミックヒーター、およびホルダー部を形成するサー
モトロピック液晶ポリマーとしてテレフタル酸、ビフェ
ノールおよびp−ヒドロキシ安息香酸からなる3元コポ
リエステルを用いて、図4に示すように、射出成形で作
成したホルダー部の凹部にエポキシ系接着剤を塗布し、
その上にセラミックヒーターを乗せて固着し、ホットフ
レートを作成した。
【0063】また、実施例1と同様に測定用試料を切り
出し、密着強度により固着状態を調べた。その結果、実
施例1と同様に強固に固着していることが認められた。
【0064】しかし、実施例1と同様の条件でヒートサ
イクルテストを同じく30回繰り返した結果、目視で調
べたところ反りが認められた。
【0065】
【発明の効果】以上のような本発明により以下のような
効果を奏する。
【0066】(1)反りのない成形品が得られる。 (2)接着剤を用いていないので熱による劣化がなく、
劣化に伴う剥離等の恐れがない。 (3)接着剤を用いないので、接着剤の層を介すること
がなく伝導率がよい。 (4)インサート部とホルダー部の境界は密着されてい
るので洗浄の際に洗浄水等が入らない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるヒーター成形品の一例を示す斜
視図。
【図2】 図1のA−A′面によるヒーター成形品の断
面図。
【図3】 接着剤を用いた従来の方法を示したヒーター
成形品の断面図。
【図4】 ヒーター成形品のホルダー部における反りを
模式的に表わす幅方向の断面図。
【図5】 ヒーター成形品のホルダー部における反りを
模式的に表わす長手方向の斜視図。
【図6】 本発明によるヒーター成形品の他の例を示す
断面図。
【図7】 密着強度の測定状態を示す斜視図およびそこ
に用いられる圧縮治具の詳細図。
【符号の説明】
1:ホルダー部、 2:インサート部、 3:ヒーター
部、 4:接着剤層、5:肉盛り部、 6:測定用試
料、 7:試料受け台、 8:圧縮治具。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サーモトロピック液晶ポリマーを用いて
    射出成形するに際し、該サーモトロピック液晶ポリマー
    と接触する面の少なくとも一部がJIS−B0031に
    規定される三角記号一つ(▽)で表面粗さの表示50−
    Sより粗い表面粗さを有する剛直なインサート部材を該
    サーモトロピック液晶ポリマーに嵌入して成形すること
    を特徴とするインサート成形方法。
  2. 【請求項2】 前記インサート部材がセラミックヒータ
    ーとして用いられる請求項1に記載のインサート成形方
    法。
  3. 【請求項3】 サーモトロピック液晶ポリマーと接触す
    る面の少なくとも一部がJIS−B0031に規定され
    る三角記号一つ(▽)で表面粗さの表示50−Sより粗
    い表面粗さである剛直なインサート部材が該サーモトロ
    ピック液晶ポリマーに嵌入されてなる射出成形品。
  4. 【請求項4】 ヒーター成形品である請求項3に記載の
    射出成形品。
JP35835891A 1991-12-27 1991-12-27 インサート成形方法およびその成形品 Pending JPH05177659A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1577073A1 (en) * 2004-02-18 2005-09-21 Lankhorst Recycling Products B.V. Method and apparatus for manufacturing an elongate reinforced plastic construction part, and reinforced plastic construction part manufactured with such an apparatus
WO2024016311A1 (en) * 2022-07-22 2024-01-25 Ticona Llc Temperature sensor for battery module

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