JPH05177225A - 片クラウン金属帯の圧延における形状制御方法 - Google Patents

片クラウン金属帯の圧延における形状制御方法

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JPH05177225A
JPH05177225A JP3339533A JP33953391A JPH05177225A JP H05177225 A JPH05177225 A JP H05177225A JP 3339533 A JP3339533 A JP 3339533A JP 33953391 A JP33953391 A JP 33953391A JP H05177225 A JPH05177225 A JP H05177225A
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敦 相沢
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 板幅の一方の側端から他端に向かって板厚が
漸減するクラウン金属帯を、圧延開始のときから終了ま
で所定の断面形状に圧延することが出来るように形状制
御する。 【構成】 6重以上の多段圧延機の操作側及び駆動側間
の、ワークロール1のベンディング力差,中間ロール2
のベンディング力差,バックアップロール3の圧下力差
及び上下中間ロールのシフト位置差から成る非対称形状
制御項群のうち任意の2つの制御項の制御量を制御式に
より設定し、操作側及び駆動側の、ワークロール1の平
均ベンディング力,中間ロール2の平均ベンディング力
及び上下中間ロールの平均シフト位置から成る対称形状
制御項群のうち任意の2つの制御項の制御量を制御式に
より設定してセットアップ制御して圧延を開始し、圧延
開始後は巻取り時に板幅方向に生じる張力変動分を考慮
して前記各制御量を常時補正しながら圧延を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、両側非対称形状の片ク
ラウン金属帯を所定の断面形状に圧延する際の形状制御
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属帯の圧延は古くから一般に左右(駆
動側と操作側)対称な条件で行われてきたが、近年次の
ような事情から左右非対称な条件で圧延する必要が起こ
ってきている。その事情とは、一旦中間厚さにまで圧延
した広幅の金属帯(以下、材で示すことがある)を長手
方向にスリットして狭幅材とし、それを更に圧延するケ
ースが最近増えていることである。一般に圧延材の板厚
は幅の中央部分が最も厚くて両側端に向かってほぼ対称
的に漸減しており、そして例えば広幅材の幅の真中で左
右にスリットする場合には、このようにして得られるス
リット材は板幅の側端から他方の側端に向かって板厚が
漸減する片クラウンの板厚分布となっている。このよう
な片クラウン材を左右対称な条件で圧延すると、板厚の
厚い側の伸びが大で、板厚の薄い側の伸びが小となるい
わゆる片伸びを発生し易い。そこでこのような片クラウ
ン材を圧延する場合、片伸びにならないような断面形
状、つまり圧延前と相似の断面形状になるように、左右
非対称な圧延条件が必要となってくるのである。
【0003】このような圧延状況を図面により説明す
る。図20は6重圧延機による圧延状況を示す説明図で
ある。圧延による片伸び形状の発生を防止する左右非対
称な圧延条件として、図20に示すようにワークロール
1の操作側と駆動側とのベンディング力Wb,Wb’,中
間ロール2の操作側と駆動側とのベンディング力Ib,
Ib’,バックアップロール3の操作側と駆動側とにか
かる圧下力P,P’,上側中間ロール2の操作側及び下
側中間ロール2の駆動側それぞれにおけるシフト位置
(本発明においてはこれを単に上下中間ロールのシフト
位置と言う)δ,δ’にそれぞれ差をつけることが採用
されており(このような方法を非対称形状制御手段と言
う)、これによりワークロール1のたわみや傾きを変
え、操作側と駆動側との伸び率が等しくなるように上記
各圧延条件における差を制御して金属帯4を圧延するの
である。
【0004】各ロールの圧延条件について上記のような
操作側と駆動側との差の値を経験的に設定するときは、
制御精度が悪く、片伸びの発生を防ぐことは困難であっ
た。そこで圧延機出側に形状検出器を設置してそれによ
り得られる圧延後の金属帯の形状情報から、圧延機出側
形状の非対称成分を修正するのに最適な操作側と駆動側
とのワークロール1のベンディング力差dWb,バック
アップロール3にかかる圧下力差dPを算出して形状制
御する方法が特開昭56−59525号公報に開示され
ている。この形状検出器を使用する非対称形状制御方法
は、片伸び形状の修正に大きな効果があった。しかしな
がら、片クラウン材の圧延においては、圧延機入側にお
ける(即ち圧延前の)板幅方向の板厚分布を充分に考慮
する必要があるにも拘らず、この圧延機入側の板厚分布
と圧延機出側(即ち圧延後の)形状との関係が明らかに
されていないため、セットアップ(圧延開始に当って行
う条件設定)時には前記した駆動側と操作側とのワーク
ロール1のベンディング力差dWb,中間ロール2のベ
ンディング力差dIb,バックアップロール3にかかる
圧下力差dP及び上下中間ロール2のシフト位置差dδ
(以下において、これらdWb,dIb,dP及びdδを
一括して非対称形状制御項と言うことがある)、及び当
然のことながら圧延対象材に作用させる各ロールの押圧
力を示すものとして、駆動側と操作側とのワークロール
1の平均ベンディング力〈Wb〉,中間ロール2の平均
ベンディング力〈Ib〉及び上下中間ロール2の平均シ
フト位置〈δ〉(以下において、これら〈Wb〉,〈I
b〉及び〈δ〉を一括して対称形状制御項と言うことが
ある)を経験的に設定しているのが現状である。そのた
め、圧延の初期において金属帯4の片伸び,中伸び,耳
伸び等の形状不良が発生するなどの問題があった。また
圧延開始後、圧延材をリールで巻き取るときに、片クラ
ウンという形状に起因してリールの巻取り量が増すに従
って操作側と駆動側とで巻き径に差が生じて、圧延機か
らリール巻取り位置までの距離が異なってくる。このた
め板幅方向に張力変動が生じ、板幅方向の張力分布より
形状を求める形状検出器からの形状情報が実形状と異な
ることになり、有効な制御ができないという問題点があ
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の問題点を解消し、圧延機入側における板幅方向の板厚
分布を充分に考慮したセットアップ制御と共に、圧延後
における有効な形状制御を行って、圧延開始のときから
圧延終了時まで形状不良のない圧延を行うこと可能とさ
せることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、圧延機入
側における板幅方向の板厚分布を考慮したセットアップ
制御及び圧延開始後のリール巻取り時の板幅方向の張力
変動を考慮した片クラウン金属帯の圧延における形状制
御方法を構成すべく種々検討を行った結果、金属帯の板
幅中央より操作側及び駆動側に向かって等距離にある両
側の板側端部及び両側のクォータ部のそれぞれにおける
伸び率及び板厚について、圧延機出側における板側端部
同士間の伸び率差△εe,クォータ部同士間の伸び率差
△εq,板幅中央の伸び率と両側の板側端部の平均伸び
率との差△εe’,板幅中央の伸び率と両側のクォータ
部の平均伸び率との差△εq’のそれぞれと、圧延機入
側における板側端部同士間の板厚差△He及びクォータ
部同士間の板厚差△Hqとの間に線形の関係が成り立
ち、これによってセットアップにおける圧延機入側の板
厚分布を考慮した非対称形状制御項及び対称形状制御項
の制御量を設定出来ること及び圧延開始後においては形
状検出器の板幅方向の張力変動分を補正してそれに基づ
いて上記各制御項の制御量を常時補正しながら設定する
ことによって圧延終了まで有効に形状制御が出来ること
を究明して本発明を完成したのである。
【0007】即ち本発明は、前記伸び率差△εe,△ε
q,△εe’及び△εq’のそれぞれと前記板厚差△He及
び△Hqとが線形関係にあることを利用して、セットア
ップにおいては、△εe,△εq,△εe’及び△εq’が
それぞれ目標値△εe0,△εq0,△εe0’及び△εq0
となるように非対称形状制御項群dWb,dIb,dP及
びdδの中から任意の二つ及び対称形状制御項群〈W
b〉,〈Ib〉及び〈δ〉の中から任意の二つについてそ
の制御量を合理的に導いて設定し、圧延開始後において
は、圧延機入側の板幅方向の板厚分布と圧延機出側の板
形状とリール巻取り前の板幅方向の通板位置分布とを連
続的に測定し、上記任意に選んだ各制御項の制御量を、
巻取り時に片クラウンに起因して生じる板幅方向の張力
変動分についてこれを常時補正しながら連続的に設定し
て板形状を制御する片クラウン金属帯の圧延における形
状制御方法であって、次のように構成されている。
【0008】両側非対称形状の片クラウン金属帯を、6
重圧延機以上の多段圧延機を使用して圧延しながらリー
ルに巻き取るに当り、セットアップ時に金属帯幅方向両
側の板側端部同士間の伸び率差△εe及び金属帯幅方向
両側のクォータ部同士間の伸び率差△εqがそれぞれ目
標値△εe0及び△εq0となるようにワークロールの操作
側と駆動側とのベンディング力差dWb,同じく中間ロ
ールのベンディング力差dIb,同じくバックアップロ
ールの圧下力差dP及び上下中間ロールのシフト位置差
dδから成る非対称形状制御項群の中から任意の二つの
非対称形状制御項群を選んでその制御量dW1及びdW2
を、下記の式
【0009】
【数3】 ここで、 △He:圧延機入側の金属帯の板幅中央より操作側及び
駆動側のそれぞれに等距離にある板側端部同士間の板厚
差 △Hq:圧延機入側の金属帯の板幅中央より操作側及び
駆動側のそれぞれに等距離にあるクォータ部同士間の板
厚差 に従って設定すると共に、板幅中央の伸び率と前記両側
の板側端部の平均伸び率との差△εe’及び板幅中央の
伸び率と前記両側のクォータ部の平均伸び率との差△ε
q’がそれぞれ目標値△εe0’及び△εq0’となるよう
に、ワークロールの操作側と駆動側との平均ベンディン
グ力〈Wb〉,同じく中間ロールの平均ベンディング力
〈Ib〉及び上下中間ロールの平均シフト位置〈δ〉か
ら成る対称形状制御項群の中から任意の二つの対称形状
制御項を選んでその制御量〈W1〉及び〈W2〉を、下記
の式
【0010】
【数4】 に従って設定して圧延を開始した後、圧延機入側の板幅
方向の板厚分布と、圧延機出側の板形状と、リール巻取
り前の板幅方向の通板位置分布とを連続的に測定し、リ
ール巻取り時に片クラウンに起因して生じる板幅方向の
張力変動分を補正した板側端部同士間及びクォータ部同
士間それぞれの伸び率差△εe,△εqと、板幅中央の伸
び率と両側の板側端部の平均伸び率及び両側のクォータ
部の平均伸び率それぞれとの差△εe’及び△εq’と
を、次の8個の式により算出し、
【0011】dεe=−ln(LeW/LeD) dεq=−ln(LqW/LqD) dεe’=−ln(LeW/Lc)/2−ln(LeD/L
c)/2 dεq’=−ln(LqW/Lc)/2−ln(LqD/L
c)/2 △εe=△εe2−dεe △εq=△εq2−dεq △εe’=△εe2’−dεe’ △εq’=△εq2’−dεq’ ここで、 dεe:圧延機出側の板側端部同士間の張力変動量差に
対応する伸び率差 dεq:クォータ部同士間の張力変動量差に対応する伸
び率差 dεe’:板幅中央の張力変動量と両側の板側端部の平
均の張力変動量の差に対応する伸び率差 dεq’:板幅中央の張力変動量と両側のクォータ部の
平均の張力変動量の差に対応する伸び率差 Lc,LeW,LqW,LeD,LqD:それぞれ板幅中
央,操作側の板側端部,操作側のクォータ部,駆動側の
板側端部及び駆動側のクォータ部における圧延機からリ
ール巻取り位置までの距離 △εe2:圧延機出側に設置した形状検出器により直接得
られる圧延機出側の板側端部同士間の伸び率差 △εq2:圧延機出側に設置した形状検出器により直接得
られる圧延機出側のクォータ部同士間の伸び率差 △εe2’:圧延機出側に設置した形状検出器により直接
得られる圧延機出側の板幅中央の伸び率と両側の板側端
部の平均伸び率との差 △εq2’:圧延機出側に設置した形状検出器により直接
得られる圧延機出側の板幅中央の伸び率と両側のクォー
タ部の平均伸び率との差 板側端部同士間及びクォータ部同士間それぞれの伸び率
差の目標値△Ee0及び△Eq0と、板幅中央の伸び率と両
側の板側端部の平均伸び率及び両側のクォータ部の平均
伸び率それぞれとの差の目標値△Ee0’及び△Eq0’と
を、次の4個の式 △Ee0=△εe0+β×(△εe0−△εe) △Eq0=△εq0+β×(△εq0−△εq) △Ee0’=△εe0’+β×(△εe0’−△εe’) △Eq0’=△εq0’+β×(△εq0’−△εq’) ここで β:補正の調整に用いる係数 により得て前記式(A)及び(B)にそれぞれ代入して、非
対称形状制御項の制御量及び対称形状制御項の制御量を
常時補正しながら設定して板形状を制御することを特徴
とする。上記式(A)及び(B)の式における各係数である
a,b,c,d,e,f,g,h,a’,b’,c’,
d’,e’,f’,g’,h’,k’及びm’について
は以下において説明する。
【0012】以下に、本発明に係る片クラウン金属帯の
圧延における形状制御方法を図面によって具体的に説明
する。図1は金属帯の圧延における圧延機の入側と出側
の板厚分布,板厚差及び伸び率差の説明図、図2〜図5
は板厚差△He及び△Hqのそれぞれと伸び率差△εe及
び△εqのそれぞれとの線形関係を示す各説明図、図6
〜図9は非対称形状制御項群dWb,dWI,dP及び
dδのそれぞれと伸び率差△εe及び△εqのそれぞれと
の線形関係を示す各説明図、図10〜図13は板厚差△
He及び△Hqのそれぞれと伸び率差△εe’及び△εq’
のそれぞれとの線形関係を示す各説明図、図14〜図1
6は対称形状制御項群〈Wb〉,〈Ib〉及び〈δ〉のそ
れぞれと伸び率差△εe’及び△εq’のそれぞれとの線
形関係を示す各説明図、図17は本発明の一実施例の実
施状況を説明するための概略説明図、図18は実施例及
び比較例における最大急峻度の推移を示す図、図19は
板幅方向において圧延機からリール巻取り位置までの距
離が異なることを説明するための説明図である。
【0013】以下、6重圧延機を例にして説明する。先
ず、本発明方法においては図1に示すように、圧延機出
側の金属帯の板幅中央の位置(図1中の線L)より操作
側及び駆動側(図面では板厚の厚い方を操作側としてい
るが、これに拘束されない)に向かってそれぞれに等距
離にある両側の板側端部及び両側のクォータ部のそれぞ
れの板厚を次の各記号で表わす。即ち、圧延機入側にお
ける操作側の板側端部の板厚をHeW,クォータ部の板
厚をHqWとすると共に、同じく駆動側の板側端部の板
厚をHeD,クォータ部の板厚をHqD,板幅中央の板厚
をHcとし、圧延機出側における操作側の板側端部の板
厚をheW,クォータ部の板厚をhqWとすると共に、同
じく駆動側の板側端部の板厚をheD,クォータ部の板
厚をhqD,板幅中央の板厚をhcとする。本発明におい
て板側端部とは、圧延された金属帯の板厚が一般に板端
から約20mmの位置より板側端側で急減するので、板側端
から20mmの位置とする。またクォータ部は板幅中央と板
側端との間の中点とする。
【0014】前記の各記号を使用して、圧延機出側の板
側端部同士間の伸び率差△εe,同じくクォータ部同士
間の伸び率差△εq,板幅中央の伸び率と金属帯幅方向
両側の板側端部の平均伸び率との差△εe’及び板幅中
央の伸び率と両側のクォータ部の平均伸び率との差△ε
q’のそれぞれと、圧延機入側の板側端部同士間の板厚
差△He及び同じくクォータ部同士間の板厚差△Hqそれ
ぞれとの関係、また伸び率差△εe及び△εqのそれぞれ
と非対称形状制御項のdWb,dIb,dP及びdδの
それぞれとの関係、更に伸び率差△εe’及び△εq’の
それぞれと対称形状制御項〈Wb〉,〈Ib〉及び
〈δ〉のそれぞれとの関係を考察して制御量を求める前
記式(A)及び(B)を誘導する。先ず、圧延機入側におけ
る板側端部同士間の板厚差△He及びクォータ部同士間
の板厚差△Hqは次の式で表わされる。 △He=HeW−HeD‥‥(1) △Hq=HqW−HqD‥‥(2) また伸び率差△εe,△εq,△εe’及び△εq’は次式
で表わされる。 △εe=−ζ{ln(heW/HeW)−ln(heD/HeD)}‥‥(3) △εq=−ζ{ln(hqW/HqW)−ln(hqD/HqD)}‥‥(4) △εe’=−ζ{ln(heW/HeW)−ln(hc/Hc)}/2 −ζ{ln(heD/HeD)−ln(hc/Hc)}/2‥‥(5) △εq’=−ζ{ln(hqW/HqW)−ln(hc/Hc)}/2 −ζ{ln(hqD/HqD)−ln(hc/Hc)}/2‥‥(6) (ここでζは操作側と駆動側とにおける圧延方向の歪差
と板厚方向の歪差との比である。)
【0015】式(3)〜(6)は次のように誘導される。即
ち、圧延方向の歪をε,板厚方向の歪をε′,板幅方向
の歪をε″とすると、圧延加工は塑性加工の1種である
から素材の体積一定の条件から次のような関係が成り立
つ。 ε+ε′+ε″=0‥‥(7) 操作側と駆動側とにおける圧延方向,板厚方向及び板幅
方向の歪差をそれぞれ△ε,△ε′及び△ε″とする
と、同様に次のような関係が成り立つ。 △ε+△ε′+△ε″=0‥‥(8) ここで、圧延の前後において板幅は殆ど変化しないとし
て板幅方向の歪差ε″を考慮しない場合には△ε=−△
ε′となるが、板幅方向の歪差を考慮して圧延方向と板
厚方向の歪差の比をζとすると △ε=−ζ△ε′‥‥(9) となる。また、板厚方向の歪は真歪(対数歪)で一般式
ln(h/H)と表わされるから、式(9)の関係と合わせ
ると、式(3)〜(6)が得られる。
【0016】多くの圧延条件で検討した結果、非対称形
状制御手段を用いない場合、伸び率差△εe及び△εqそ
れぞれと板厚差△He及び△Hqそれぞれとの間に線形の
関係が成り立つことが判明した。従って伸び率差△εe
及び△εqは次式のように表わされる。 △εe=a△He+b△Hq+k1‥‥(10) △εq=c△He+d△Hq+k2‥‥(11) ここで、k1,k2は常数項
【0017】ここで上記係数a,b,c,dの意味を図
2〜図5により説明する。上記各図及び後に説明する図
6〜図16に示すデータは、後記実施例に使用した6重
圧延機と同じものを使用して得たデータである。式(1
0)において△Hqを一定すると、図2に示すように△ε
eと△Heとは線形関係にあり、aは△Heに対する△εe
の傾きを示す係数である。また、式(10)において△H
eを一定すると、図3に示すように△εeと△Hqとは線
形関係にあり、bは△Hqに対する△εeの傾きを示す係
数である。式(11)においても上記と同様であり、c及
びdは図4及び図5に示すようにそれぞれ△Heに対す
る△εqの傾き及び△Hqに対する△εqの傾きを示す係
数である。
【0018】式(10)及び式(11)において、非対称形
状制御手段を用いない場合に板厚差△He及び△Hqを共
に0とすると、圧延機入側の板厚分布は左右対称となる
から、圧延機出側形状も左右対称(即ち、△εe=0,
△εq=0)となる。従って定数項k1,k2はいずれも
0であり、式(10)及び(11)は △εe=a△He+b△Hq‥‥(12) △εq=c△He+d△Hq‥‥(13) となる。これらをまとめて次のように行列表示する。
【数5】
【0019】次に、上記のように非対称形状制御手段を
用いないで金属帯を圧延する場合に対して、非対称形状
制御手段を用いたときの影響を考察して適切な制御量を
求める。多くの圧延条件についての検討により、伸び率
差△εe及び△εqのそれぞれは非対称形状制御項群dW
b,dIb,dP及びdδのいずれとの間にも線形関係を
有することが判明した。それらの線形関係についての各
例は、dWbとの関係は図6に、dIbとの関係は図7
に、dPとの関係は図8に、そしてdδとの関係は図9
にそれぞれ示す如くである。
【0020】非対称形状制御項群の中から任意に二つの
制御項dW1とdW2とを選び、そのそれぞれと伸び率差
△εe及び△εqのそれぞれとの間に成立する直線関係に
おいて、dW1に対する△εeの傾き(前記aの場合の傾
きと同じ意味)を示す係数をeとし、dW2に対する△
εeの傾きを示す係数をfとし、dW1に対する△εqの
傾きを示す係数をgとし、dW2に対する△εqの傾きを
示す係数をhとする。
【0021】各非対称形状制御手段の影響は加算して考
えることが出来る。即ち、適用する非対称形状制御項の
制御量をそれぞれdW1,dW2(符号の繁雑を避けるた
め、制御量に制御項と同じ符号を使用する。以下におい
て同じ)とすれば、式(12)及び式(13)は次式のよう
になる。 △εe=a△He+b△Hq+edW1+fdW2‥‥(15) △εq=c△He+d△Hq+gdW1+hdW2‥‥(16) これらをまとめて次のように行列表示する。
【数6】
【0022】式(17)において、伸び率差△εe,△εq
をそれぞれ目標値△εe0,△εq0と置いて制御量d
1,dW2について解けば、前記した式(A)である制御
式(18)を得る。
【数7】 従って、係数a,b,c,d,e,f,g,hを圧延荷
重,板幅等圧延条件の関数として予め求めておき、式
(18)に従ってdW1,dW2を設定することが出来る。
【0023】また、いずれの対称形状制御項の制御量
(〈Wb〉,〈Ib〉及び〈δ〉)も固定されている場
合、伸び率差△εe’及び△εq’それぞれと板厚差△H
e及び△Hqそれぞれとの間に線形の関係が成り立つこと
が判明した。従って、伸び率差△εe’及び△εq’は次
式のように表わされる。 △εe’=a’△He+b’△Hq+e’‥‥(19) △εq’=c’△He+d’△Hq+f’‥‥(20) ここで、e’及びf’は常数項であって△Heと△Hqと
を共に零とした場合のそれぞれ△εe’及び△εq’であ
る。
【0024】ここで上記係数a’,b’,c’及びd’
の意味を図10〜図13により説明する。式(19)にお
いて△Hqを一定にすると、図10に示すように△εe’
と△Heとが線形関係にあり、a’は△Heに対する△ε
e’の傾きを示す係数である。また式(19)において△
Heを一定にすると、図11に示すように△εe’と△H
qとが線形関係にあり、b’は△Hqに対する△εe’の
傾きを示す係数である。式(20)においても上記と同様
にして、c’及びd’は図12及び図13に示すように
それぞれ△Heに対する△εq’の傾き及び△Hqに対す
る△εq’の傾きを示す係数である。式(19)及び式(2
0)をまとめて次のように行列表示する。
【数8】
【0025】次に、上記のようにいずれの対称形状制御
項の制御量も固定されている場合に対して、この制御量
を変化させたときの影響を考慮して適切な制御量を求め
る。多くの圧延条件についての検討により、伸び率差△
εe’及び△εq’のそれぞれは対称形状制御項群〈W
b〉,〈Ib〉及び〈δ〉のいずれとの間にも線形関係を
有することが判明した。それらの線形関係についての各
例は、〈Wb〉との関係は図14に、〈Ib〉との関係は
図15に、そして〈δ〉との関係は図16にそれぞれ示
す如くである。
【0026】対称形状制御項群の中から任意に二つの制
御項〈W1〉と〈W2〉とを選び、そのそれぞれと伸び率
差△εe’及び△εq’のそれぞれとの間に成立する直線
関係において、〈W1〉に対する△εe’の傾き(前記
a’の場合の傾きと同じ意味)を示す係数をg’とし、
〈W2〉に対する△εe’の傾きを示す係数をh’とし、
〈W1〉に対する△εq’の傾きを示す係数をk’とする
と共に〈W2〉に対する△εq’の傾きを示す係数をm’
とする。
【0027】各対称形状制御手段の影響もまた加算して
考えることが出来る。即ち、適用する対称形状制御項の
制御量をそれぞれ〈W1〉,〈W2〉とすれば、式(19)
及び式(20)は次式のようになる。 △εe’=a’△He+b’△Hq+e’+g’〈W1〉+h’〈W2〉‥‥(22) △εq’=c’△He+d’△Hq+f’+k’〈W1〉+m’〈W2〉‥‥(23) これらをまとめて次のように行列表示する。
【数9】
【0028】式(24)において、伸び率差△εe’及び
△εq’をそれぞれ目標値△εe0’及び△εq0’と置い
て、制御量〈W1〉,〈W2〉について解けば前記した式
(B)である制御式(25)を得る。
【数10】 従って、係数a’,b’,c’,d’,e’,f’,
g’,h’,k’,m’を圧延荷重,板幅等圧延条件の
関数として予め求めておいて、式(25)に従って
〈W1〉,〈W2〉を設定することが出来る。
【0029】以上の非対称形状制御項の制御量と対称形
状制御項の制御量とをそれぞれ求めて設定することによ
り、圧延の初期における形状不良を発生させることのな
いようにセットアップ制御を行うことが出来るのであ
る。
【0030】このようにして圧延が開始された後も、本
発明方法においては圧延機入側における板幅方向の板厚
分布と圧延機出側の板形状とを連続的に測定することに
よって、非対称形状制御項と対称形状制御項とを連続的
に設定して圧延を続けるのであるが、その際、圧延材が
リールに巻き取られるに従って片クラウンに起因して生
じる板幅方向の張力変動分について、目標値とする伸び
率差△εe0,△εq0,△εe0’及び△εq0’を以下に説
明するように補正して非対称形状制御項の制御量及び対
称形状制御項の制御量の設定値を常時補正することによ
って、より目標形状に近い金属帯の製造が可能となるの
である。圧延機出側の板形状は形状検出器により形状情
報として得られる。この形状情報に基づいて非対称形状
制御項の制御量及び対称形状制御項の制御量の設定値を
補正する方法について具体的に説明する。
【0031】片クラウン金属帯を図19に示すようにリ
ール5で巻き取るときには、圧延機からリール巻取り位
置までの距離が操作側と駆動側とで異なることにより板
幅方向の張力変動を生じる。圧延機出側の板側端部同士
間の張力変動量差に対応する伸び率差dεe及びクォー
タ部同士間の張力変動量差に対応する伸び率差dεq
と、板幅中央の張力変動量と両側の板側端部の平均の張
力変動量との差に対応する伸び率差dεe’と、板幅中
央の張力変動量と両側のクォータ部の平均の張力変動量
との差に対応する伸び率差dεq’とは次式で表わされ
る。
【0032】 dεe=−ln(LeW/LeD)‥‥(26) dεq=−ln(LqW/LqD)‥‥(27) dεe’=−ln(LeW/Lc)/2−ln(LeD/Lc)/2‥‥(28) dεq’=−ln(LqW/Lc)/2−ln(LqD/Lc)/2‥‥(29) (Lc,LeW,LqW,LeD及びLqDはそれぞれ板幅
中央,操作側の板側端部,操作側のクォータ部,駆動側
の板側端部及び駆動側のクォータ部における圧延機から
リール巻取り位置までの距離を示す。)
【0033】従って、圧延機出側の板側端部同士間の伸
び率差△εe,クォータ部同士間の伸び率差△εq,板幅
中央の伸び率と両側の板側端部の平均伸び率との差△ε
e’及び板幅中央の伸び率と両側のクォータ部の平均伸
び率との差△εq’は、圧延機出側に設置した形状検出
器により直接得られる圧延機出側の板側端部同士間の伸
び率差△εe2,クォータ部同士間の伸び率差△εq2,板
幅中央の伸び率と両側の板側端部の平均伸び率との差△
εe2’及び板幅中央の伸び率と両側のクォータ部の平均
伸び率との差△εq2’と、前記張力変動量差に対応する
各伸び率dεe,dεq,dεe’及びdεq’との差とし
て次式で表わされる。 △εe=△εe2−dεe‥‥(30) △εq=△εq2−dεq‥‥(31) △εe’=△εe2’−dεe’‥‥(32) △εq’=△εq2’−dεq’‥‥(33)
【0034】次に、前記目標値△εe0,△εq0,△ε
e0’及び△εq0’のそれぞれと、上記式(30)〜(33)
で示される△εe,△εq,△εe’及び△εq’のそれぞ
れとを比較することによって、式(18),(25)に適用
される目標値△εe0,△εq0,△εe0’及び△εq0
(以下、これを△Ee0,△Eq0,△Ee0’及び△Eq0
と書き改める)は次式のように補正される。 △Ee0=△εe0+β×(△εe0−△εe)‥‥(34) △Eq0=△εq0+β×(△εq0−△εq)‥‥(35) △Ee0’=△εe0’+β×(△εe0’−△εe’)‥‥(36) △Eq0’=△εq0’+β×(△εq0’−△εq’)‥‥(37) この場合、△εe0等は圧延終了品としての目標値であ
り、△Ee0等は制御項の制御量を得るために式(18),
(25)に適用されるものである。
【0035】ここで、βは補正の調整に用いる係数であ
って、0≦β≦1のの範囲の値を取る。この補正係数β
は、目標伸び率差△εe0,△εq0,△εe0’及び△ε
q0’と実測形状△εe,△εq,△εe’及び△εq’がこ
となる場合に、板クラウン計により計測される板厚分布
に基づいた形状制御手段の設定値と、形状検出器及び変
位計により得られる張力変動分を補正した形状情報のど
ちらに重みを置くかを示す係数であり、この補正係数β
が大きい程後者に重みを置くことを示す。この補正係数
βは実験により適正な設定値が得られる。
【0036】また、Lc,LeW,LqW,LeD,LqD
の各長さは、デフレクターロール6とリール5の間に変
位計を設置し、板幅方向の通板位置の分布を測定するこ
とにより、圧延機,デフレクターロール6及びリール5
の位置関係より算出出来る。変位計としては、例えば接
触方式であればリニアエンコーダ,ポテンションメータ
などがあり、非接触方式であれば光マイクロ,渦流セン
サーなどがある。なお、形状検出器としては金属帯の幅
方向に分割されて配置されていてそれぞれの部分で金属
帯に作用している張力をロードセルで検出する検出器が
示される。
【0037】このようにして式(34)及び式(35)を制
御式(18)に、また式(36)及び式(37)を制御式(2
5)にそれぞれ代入して常時上記各式中の目標値を補正
しながら非対称形状制御項の制御量及び対称形状制御項
の制御量を連続的に設定することにより、圧延終了まで
目標形状に近い金属帯に圧延することが可能となるので
ある。
【0038】圧延後において金属帯の片伸び等の形状不
良を発生させないためには、圧延前後の金属帯の断面は
可能な限り相似であるべきである。そのような断面に限
りなく近付くためには、操作側と駆動側との伸び率差が
小さい程好ましい。従って、セットアップ時に制御式
(18)において、目標値△εe0及び△εq0が共に零とな
るように制御量dW1,dW2を設定し、制御式(25)に
おいて目標値△εe0'及び△εq0'が共に零となるように
制御量〈W1〉,〈W2〉を設定することによって圧延開
始当初から圧延終了まで片伸び,中伸び,耳伸び等の形
状不良を発生させずに圧延することが出来る。
【0039】以上、本発明方法を6重圧延機を使用する
場合について説明したが、6重圧延より多段の圧延機に
おいても同様な制御方法を用いることが出来る。このよ
うな多段圧延機において、中間ロールやバックアップロ
ールを複数本備えている場合には、dP,dIb,dδ
についてはそれぞれdP(最上部のバックアップロール
にかかる操作側と駆動側の圧下力差)、dIb(ワーク
ロールと接触する中間ロールの操作側と駆動側のベンデ
ィング力差)、dδ(ワークロールと接触する上下中間
ロールのシフト位置差)とし、dWb,dIb,dP,d
δのうち任意の2手段を用い、制御式(18)に従って制
御量dW1,dW2を設定し、〈Wb〉,〈Ib〉,〈δ〉
についてはそれぞれ〈Wb〉(ワークロールの操作側と
駆動側との平均ベンディング力)、〈Ib〉(ワークロ
ールと接触する中間ロールの操作側と駆動側の平均ベン
ディング力)、〈δ〉(ワークロールと接触する上下中
間ロールの平均シフト位置)とし、〈Wb〉,〈Ib〉,
〈δ〉のうち任意の2手段を用い、制御式(25)に従っ
て制御量〈W1〉,〈W2〉を設定すればよい。
【0040】
【実施例】以下に本発明方法の実施例について説明す
る。使用した圧延機は、ロール諸元をロール径,ロール
胴長,チョック間距離の順で括弧内に示す標準的なワー
クロール(135mm,850mm,1075mm)、中間ロール(300m
m,850mm,1660mm)及びバックアップロール(630mm,8
50mm,1475mm)で構成された図20と同じロール構成の
6重圧延機で、非対称形状制御項群dWb,dIb,d
P,dδ及び対称形状制御項群〈Wb〉,〈Ib〉,
〈δ〉の制御可能なものであった。
【0041】このような6重圧延機を使用して板幅600m
mの普通鋼の片クラウン材を圧延機の入側板厚0.6mm,出
側板厚0.36mm,圧延荷重170トンの圧延条件で圧延す
る場合において、非対称形状制御項群の中から任意に選
んだワークロールのベンディング力差dWb(その制御
量をdW1とする)及び中間ロールのベンディング力差
dIb(その制御量をdW2とする)による非対称形状制
御手段と、対称形状制御項群の中から任意に選んだワー
クロールの平均ベンディング力〈Wb〉(その制御量を
〈W1〉とする)及び中間ロールの平均ベンディング力
〈Ib〉(その制御量を〈W2〉とする)による対称形状
制御手段とで制御を行った。
【0042】以下、本実施例の手順を図17によって具
体的に説明する。圧延機入側に設置された板クラウン計
8により板幅方向の板厚分布を測定し、測定した情報を
計算機11に送り、板幅方向の板厚分布を4次式で近似
することにより△He,△Hqを算出する。また、設定盤
7からの圧延荷重,板幅等の圧延情報により、計算機1
1で係数a〜h及びa’〜m’が算出される。そして、
計算機11で△He,△Hq及び係数a〜hにより制御式
(18)からdW1及びdW2が算出され、△He,△Hq及び
係数a’〜m’により制御式(25)から〈W1〉及び
〈W2〉が算出される。dW1,dW2,〈W1〉及び〈W
2〉から操作側と駆動側のワークロールベンディング力
及び中間ロールベンディング力が算出され、ワークロー
ルベンディング力指令装置12,13及び中間ロールベ
ンディング力指令装置14,15に送られ、操作側と駆
動側のワークロールベンダー16,17及び中間ロール
ベンダー18,19に出力されてセットアップ制御がな
された状態で圧延が開始される。
【0043】圧延開始後も板クラウン計8により板幅方
向の板厚分布が連続して計測される。これと併行して、
デフレクターロール6とリール5との間に設置された変
位計10により板幅方向の通板位置の分布が連続的に測
定され、計算機11で圧延機,デフレクターロール6及
びリール5の位置関係からLc,LeW,LqW,LeD,
LqDが算出され、式(26)〜(29)によりdεe,dε
q,dεe’,dεq’が算出され、圧延機出側に設置さ
れた形状検出器9の連続的な測定により得られる形状情
報に基づいて式(34)〜(37)によって△εe0,△ε
q0,△εe0’及び△εq0’が補正されて△Ee0,△E
q0,△Ee0’及び△Eq0’が得られ、それにより制御式
(18)から算出されるdW1及びdW2と制御式(25)か
ら算出される〈W1〉及び〈W2〉とが常時補正されて、
ワークロールベンディング力指令装置12,13及び中
間ロールベンディング力指令装置14,15に送られ、
操作側と駆動側のワークロールベンダー16,17及び
中間ロールベンダー18,19に出力され、操作側と駆
動側のワークロールベンディング力及び中間ロールベン
ディング力が常時修正されるのである。
【0044】前述したように本発明方法を用いて実際に
形状制御を行った本実施例の場合における最大急俊度
(板幅方向における急俊度の最大値)の推移を図18
(イ)に示す。また比較のため、従来通りワークロールの
ベンディング力差dWb,中間ロールのベンディング力
差dIb,ワークロールの平均ベンディング力〈Wb〉及
び中間ロールの平均ベンディング力〈Ib〉を経験的に
設定し、形状検出器により得られる形状情報を補正せず
に形状制御を行った場合における最大急峻度の推移を図
18(ロ)に示す。本発明方法による(イ)の場合には、圧
延開始時より最大急峻度は0.3%以内に保たれているこ
とが判る。これに対して従来法である(ロ)の場合には、
圧延開始時及びリールで巻き取るときの張力変動が大き
くなる圧延後半において最大急峻度が大きくなり、1%
以上になっている。
【0045】
【発明の効果】以上に詳述した如く本発明に係る片クラ
ウン金属帯の圧延における形状制御方法は、片クラウン
材の圧延において伸び率差△εe,△εq,△εe’及び
△εq’のそれぞれと板厚差△He及び△Hqのそれぞれ
とが線形関係にあることを利用して非対称形状制御項d
Wb,dIb,dP及びdδのうち任意の二つ及び対称形
状制御項〈Wb〉,〈Ib〉及び〈δ〉のうち任意の二つ
について、その制御量を合理的に導いた制御式により得
てセットアップ制御して圧延を開始し、圧延開始後も片
クラウンに起因するリール巻取り時の板幅方向の張力変
動について前記制御量を常時補正しながら圧延するよう
に構成したことにより、圧延の初期から終了まで圧延機
出側の金属帯の断面形状を所定のものにすることが出来
る。従って、圧延機出側の金属帯の断面形状を入側のそ
れと相似にすることにより、圧延の初期から片伸び,中
伸び,耳伸び等の形状不良を発生させることがないか
ら、品質改善と共に歩留向上が図れる。また形状不良に
伴って生じる板破断現象の発生もなくなり、能率向上を
図ることが出来る。このような効果を有する本発明方法
の工業的価値は非常に大きなものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属帯の圧延における圧延機の入側と出側の板
厚分布,板厚差及び伸び率差の説明図である。
【図2〜図5】板厚差△He及び△Hqのそれぞれと伸び
率差△εe及び△εqのそれぞれとの線形関係を示す各説
明図である。
【図6〜図9】非対称形状制御項群dWb,dIb,dP
及びdδのそれぞれと伸び率差△εe及び△εqのそれぞ
れとの線形関係を示す各説明図である。
【図10〜図13】板厚差△He及び△Hqのそれぞれと
伸び率差△εe’及び△εq’のそれぞれとの線形関係を
示す各説明図である。
【図14〜図16】対称形状制御項群〈Wb〉,〈Ib〉
及び〈δ〉のそれぞれと伸び率差△εe’及び△εq’の
それぞれとの線形関係を示す各説明図である。
【図17】本発明の一実施例の実施状況を説明するため
の概略説明図である。
【図18】実施例及び比較例における最大急峻度の推移
を示す図である。
【図19】板幅方向において圧延機からリール巻取り位
置までの距離が異なることを説明するための説明図であ
る。
【図20】6重圧延機による圧延状況を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 ワークロール 2 中間ロール 3 バックアップロール 4 金属帯 5 リール 6 デフレクターロール 7 設定盤 8 板クラウン計 9 形状検出器 10 変位計 11 計算機 12,13 ワークロールベンディング力指令装置 14,15 中間ロールベンディング力指令装置 16,17 ワークロールベンダー 18,19 中間ロールベンダー Wb ワークロールの操作側のベンディング力 Wb’ ワークロールの駆動側のベンディング力 Ib 中間ロールの操作側のベンディング力 Ib’ 中間ロールの駆動側のベンディング力 P バックアップロールの操作側にかかる圧下力 P’ バックアップロールの駆動側にかかる圧下力 δ 上中間ロールのシフト位置 δ’ 下中間ロールのシフト位置 L 圧延機出側の金属帯の板幅中央の位置 HeW 圧延機入側における金属帯の操作側の板側端部
の板厚 HqW 圧延機入側における金属帯の操作側のクォータ
部の板厚 HeD 圧延機入側における金属帯の駆動側の板側端部
の板厚 HqD 圧延機入側における金属帯の駆動側のクォータ
部の板厚 heW 圧延機出側における金属帯の操作側の板側端部
の板厚 hqW 圧延機出側における金属帯の操作側のクォータ
部の板厚 heD 圧延機出側における金属帯の駆動側の板側端部
の板厚 hqD 圧延機出側における金属帯の駆動側のクォータ
部の板厚 Lc 板幅中央における圧延機からリール巻取り位置ま
での距離 LeW 操作側の板側端部における圧延機からリール巻
取り位置までの距離 LqW 操作側のクォータ部における圧延機からリール
巻取り位置までの距離 LeD 駆動側の板側端部における圧延機からリール巻
取り位置までの距離 LqD 駆動側のクォータ部における圧延機からリール
巻取り位置までの距離
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年12月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図17】
【図3】
【図4】
【図5】
【図19】
【図20】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両側非対称形状の片クラウン金属帯を、
    6重圧延機以上の多段圧延機を使用して圧延しながらリ
    ールに巻き取るに当り、セットアップ時に金属帯幅方向
    両側の板側端部同士間の伸び率差△εe及び金属帯幅方
    向両側のクォータ部同士間の伸び率差△εqがそれぞれ
    目標値△εe0及び△εq0となるようにワークロールの操
    作側と駆動側とのベンディング力差dWb,同じく中間
    ロールのベンディング力差dIb,同じくバックアップ
    ロールの圧下力差dP及び上下中間ロールのシフト位置
    差dδから成る非対称形状制御項群の中から任意の二つ
    の非対称形状制御項群を選んでその制御量dW1及びd
    2を、下記の式 【数1】 ここで、 △He:圧延機入側の金属帯の板幅中央より操作側及び
    駆動側のそれぞれに等距離にある板側端部同士間の板厚
    差 △Hq:圧延機入側の金属帯の板幅中央より操作側及び
    駆動側のそれぞれに等距離にあるクォータ部同士間の板
    厚差 a:△Heと△εeとが示す線形関係における△Heに対
    する△εeの傾きを示す係数 b:△Hqと△εeとが示す線形関係における△Hqに対
    する△εeの傾きを示す係数 c:△Heと△εqとが示す線形関係における△Heに対
    する△εqの傾きを示す係数 d:△Hqと△εqとが示す線形関係における△Hqに対
    する△εqの傾きを示す係数 e:dW1と△εeとが示す線形関係におけるdW1に対
    する△εeの傾きを示す係数 f:dW2と△εeとが示す線形関係におけるdW2に対
    する△εeの傾きを示す係数 g:dW1と△εqとが示す線形関係におけるdW1に対
    する△εqの傾きを示す係数 h:dW2と△εqとが示す線形関係におけるdW2に対
    する△εqの傾きを示す係数 に従って設定すると共に、板幅中央の伸び率と前記両側
    の板側端部の平均伸び率との差△εe’及び板幅中央の
    伸び率と前記両側のクォータ部の平均伸び率との差△ε
    q’がそれぞれ目標値△εe0’及び△εq0’となるよう
    に、ワークロールの操作側と駆動側との平均ベンディン
    グ力〈Wb〉,同じく中間ロールの平均ベンディング力
    〈Ib〉及び上下中間ロールの平均シフト位置〈δ〉か
    ら成る対称形状制御項群の中から任意の二つの対称形状
    制御項を選んでその制御量〈W1〉及び〈W2〉を、下記
    の式 【数2】 ここで、 a’:△Heと△εe’とが示す線形関係における△He
    に対する△εe’の傾きを示す係数 b’:△Hqと△εe’とが示す線形関係における△Hq
    に対する△εe’の傾きを示す係数 c’:△Heと△εq’とが示す線形関係における△He
    に対する△εq’の傾きを示す係数 d’:△Hqと△εq’とが示す線形関係における△Hq
    に対する△εq’の傾きを示す係数 e’:△Heと△Hqとを共に零とした場合の△εe’の
    値 f’:△Heと△Hqとを共に零とした場合の△εe’の
    値 g’:〈W1〉と△εe’とが示す線形関係における〈W
    1〉に対する△εe’の傾きを示す係数 h’:〈W2〉と△εe’とが示す線形関係における〈W
    2〉に対する△εe’の傾きを示す係数 k’:〈W1〉と△εq’とが示す線形関係における〈W
    1〉に対する△εq’の傾きを示す係数 m’:〈W2〉と△εq’とが示す線形関係における〈W
    2〉に対する△εq’の傾きを示す係数 に従って設定して圧延を開始した後、圧延機入側の板幅
    方向の板厚分布と、圧延機出側の板形状と、リール巻取
    り前の板幅方向の通板位置分布とを連続的に測定し、リ
    ール巻取り時に片クラウンに起因して生じる板幅方向の
    張力変動分を補正した板側端部同士間及びクォータ部同
    士間それぞれの伸び率差△εe,△εqと、板幅中央の伸
    び率と両側の板側端部の平均伸び率及び両側のクォータ
    部の平均伸び率それぞれとの差△εe’及び△εq’と
    を、次の8個の式により算出し、 dεe=−ln(LeW/LeD) dεq=−ln(LqW/LqD) dεe’=−ln(LeW/Lc)/2−ln(LeD/L
    c)/2 dεq’=−ln(LqW/Lc)/2−ln(LqD/L
    c)/2 △εe=△εe2−dεe △εq=△εq2−dεq △εe’=△εe2’−dεe’ △εq’=△εq2’−dεq’ ここで、 dεe:圧延機出側の板側端部同士間の張力変動量差に
    対応する伸び率差 dεq:クォータ部同士間の張力変動量差に対応する伸
    び率差 dεe’:板幅中央の張力変動量と両側の板側端部の平
    均の張力変動量の差に対応する伸び率差 dεq’:板幅中央の張力変動量と両側のクォータ部の
    平均の張力変動量の差に対応する伸び率差 Lc,LeW,LqW,LeD,LqD:それぞれ板幅中
    央,操作側の板側端部,操作側のクォータ部,駆動側の
    板側端部及び駆動側のクォータ部における圧延機からリ
    ール巻取り位置までの距離 △εe2:圧延機出側に設置した形状検出器により直接得
    られる圧延機出側の板側端部同士間の伸び率差 △εq2:圧延機出側に設置した形状検出器により直接得
    られる圧延機出側のクォータ部同士間の伸び率差 △εe2’:圧延機出側に設置した形状検出器により直接
    得られる圧延機出側の板幅中央の伸び率と両側の板側端
    部の平均伸び率との差 △εq2’:圧延機出側に設置した形状検出器により直接
    得られる圧延機出側の板幅中央の伸び率と両側のクォー
    タ部の平均伸び率との差 板側端部同士間及びクォータ部同士間それぞれの伸び率
    差の目標値△Ee0及び△Eq0と、板幅中央の伸び率と両
    側の板側端部の平均伸び率及び両側のクォータ部の平均
    伸び率それぞれとの差の目標値△Ee0’及び△Eq0’と
    を、次の4個の式 △Ee0=△εe0+β×(△εe0−△εe) △Eq0=△εq0+β×(△εq0−△εq) △Ee0’=△εe0’+β×(△εe0’−△εe’) △Eq0’=△εq0’+β×(△εq0’−△εq’) ここで、 β:補正の調整に用いる係数 により得て前記式(A)及び(B)にそれぞれ代入して、非
    対称形状制御項の制御量及び対称形状制御項の制御量を
    常時補正しながら設定して板形状を制御することを特徴
    とする片クラウン金属帯の圧延における形状制御方法。
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CN107175260A (zh) * 2016-03-11 2017-09-19 宝山钢铁股份有限公司 基于定宽侧压机的楔形坯宽度控制方法

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