JPH05177167A - 海洋生物付着防止用導電層 - Google Patents

海洋生物付着防止用導電層

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JPH05177167A
JPH05177167A JP35796791A JP35796791A JPH05177167A JP H05177167 A JPH05177167 A JP H05177167A JP 35796791 A JP35796791 A JP 35796791A JP 35796791 A JP35796791 A JP 35796791A JP H05177167 A JPH05177167 A JP H05177167A
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正博 宇佐美
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清美 友重
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 海洋生物付着防止用導電層について、海水の
浸透拡散を阻止するバリヤー性及び海水の電解生成物に
対する耐性を付与することにより、耐海水電解性を向上
させ、海洋生物の付着防止を、広い範囲に亙って長期間
維持する。 【構成】 2層構造で、少なくとも下記(A)、(B)
及び(C)よりなる共重合樹脂であって、(A)、
(B)、(C)の全体に対する割合がそれぞれ70〜9
5重量%、1〜10重量%、2〜21重量%であり、か
つ(A)+(B)+(C)が全体の95重量%以上であ
る共重合樹脂を上層のバインダーとする導電層。但し、
(A)塩化ビニル部分、(B)カルボン酸ビニルエステ
ル部分及び(C)ケン化により(B)より生じるビニル
アルコール部分。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば船舶、海上・海
中構造物、海水の導排水設備、海水貯槽、岸壁等の海水
と接する物体の接水部へ通電することによる海洋生物の
付着防止技術に関する。更に詳しくは、海水と接する物
体の少なくとも接水部(以下、単に「接水部」という)
を覆って導電層を設け、この導電層に直流電流を通電
し、該層を陽極として海水を電気分解して、海洋生物が
嫌う塩素、次亜塩素酸等を発生させることで海洋生物の
付着を防止する技術における当該導電層に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、海水と接する物体の接水部を、有
機スズ系化合物等の防汚剤を含む防汚塗料で塗装し、徐
々に溶出する防汚剤で海洋生物の付着を防止することが
行われている。しかし、防汚剤の溶出速度の調節ができ
ず、また塗料に含有させる防汚剤の量に限度があるの
で、塗り替え作業が必要になるが、接水部の塗り替えが
困難である上、防汚剤の溶出による環境汚染のおそれが
ある。
【0003】上記防汚塗料に代わる海洋生物の付着防止
技術として、海水の電気分解による海洋生物の付着防止
技術が開発されている。
【0004】これを更に詳しく説明すると、海洋構造物
の接水部に、絶縁層を介して導電層を設け、この導電層
を陽極とし、海水中に適宜距離を存して陰極を設け、又
は導電層を2区画以上に分割して設け、1部(1区画以
上)を陽極とし、残りを陰極とし、両電極間に1A/m
2 以下程度の直流電流を通電し、海水を電気分解して、
海洋生物が嫌う塩素、次亜塩素酸等を陽極である導電層
付近に発生させることでその付着を防止するものであ
る。
【0005】上記導電層は、導電性塗料の塗膜又は導電
性塗料の塗膜と他の材料との複合層として設けられるも
ので、従来この導電性塗料及びそれを用いた導電層とし
ては次のようなものが知られている。
【0006】(1)グラファイト粉末、カーボンブラッ
ク、マグネタイト、二酸化マンガン、白金族金属のうち
いずれか1種からなる導電性充填材を、エポキシ樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹
脂、ウレタン樹脂のいずれかをマトリックスとする塗料
中に、容量比で50%以上混合したもの(特開昭63−
101464号公報)。
【0007】(2)炭素、マグネタイト、二酸化マンガ
ン、白金族等の金属の導電性充填材と有機バインダーで
構成された電気導電性膜に導電体の導線を埋設したもの
(特開昭63−103789号公報)。
【0008】(3)ニッケル、銅、チタン、ニオブ、マ
グネタイト、二酸化マンガン等の導電性充填材の粉末、
フィラー、フレーク状等の小片を、エポキシ樹脂、ビニ
ル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェ
ノール樹脂、ウレタン樹脂、ビニルエステル系エポキシ
樹脂等の有機バインダーに混合したものを多層に設け、
内側から外側に向かって比抵抗を段階的に大きくしたも
の(特開昭64−87791号公報)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の海洋生物付着防止用導電性塗料を用いて形成した導
電層は、それを構成する塗膜中に海水が浸透拡散しやす
く、また海水の電解により発生する塩素、次亜塩素酸等
の物質が接触することで劣化損傷されやすく、耐海水電
解性に乏しい問題がある。
【0010】具体的には、塗膜の亀裂発生、塗膜の剥
離、導電性充填材の離脱、導電性充填材や導線の溶失が
生じやすく、導電層の導電性が低下してしまうため、海
洋生物の付着防止を、接水部の広い範囲に亙って長期間
維持できない問題がある。
【0011】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたもので、海水の浸透拡散を阻止するバリヤー性及び
海水の電解生成物に対する耐性を付与することにより、
耐海水電解性に優れ、海洋生物の付着防止を、広い範囲
に亙って長期間維持できる海洋生物付着防止用導電層と
することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用】このため、本発
明は、上層と下層の2層よりなる導電層において、上層
が少なくとも下記(A)、(B)及び(C)よりなる共
重合樹脂であって、(A)、(B)、(C)の全体に対
する割合がそれぞれ70〜95重量%、1〜10重量
%、2〜21重量%であり、かつ(A)+(B)+
(C)が全体の95重量%以上である共重合樹脂をバイ
ンダーとし、該バインダーと、導電性充填材で構成され
ることを特徴とする海洋生物付着防止用導電層である。 (A)塩化ビニル部分。 (B)カルボン酸ビニルエステル部分。 (C)ケン化により上記(B)より生じるビニルアルコ
ール部分。
【0013】更に本発明を詳しく説明する。
【0014】まず上層について説明する。
【0015】上層のバインダーとして用いる共重合樹脂
中の(A)塩化ビニル部分の割合は、70〜95重量
%、好ましくは80〜95重量%である。この割合が7
0重量%未満では、塗膜中への海水の浸透拡散を十分阻
止しにくく、また電解生成物への耐性が低下するので、
塗膜の耐海水電解性が低下する。逆に95重量%を越え
ると、溶媒に対する当該共重合樹脂の溶解性が低下しや
すくなる。
【0016】上層のバインダーとして用いる共重合樹脂
中の(B)カルボン酸ビニルエステル部分の割合は、1
〜10重量%、好ましくは1〜8重量%である。この割
合が1重量%未満では、溶媒に対する当該共重合樹脂の
溶解性が低下しやすくなる。逆に10重量%を越える
と、塗膜中への海水の浸透拡散を十分阻止しにくく、ま
た電解生成物への耐性が低下するので、塗膜の耐海水電
解性が低下する。
【0017】尚、共重合反応に際して使用するカルボン
酸ビニルエステルの割合は、その共重合反応によって共
重合樹脂中のカルボン酸ビニルエステル部分の一部の量
がケン化によりビニルアルコール部分に変換されること
を考慮して、選択される。
【0018】(B)を形成するカルボン酸ビニルエステ
ルは1種又は2種以上を組合せて用いることができ、例
えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ス
テアリン酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、バーサチッ
ク酸ビニル等を挙げることができる。
【0019】上層のバインダーとして用いる共重合樹脂
中の(C)ビニルアルコール部分は、その樹脂中の
(B)カルボン酸ビニルエステル部分の一部の量のケン
化により形成され、その割合は2〜21重量%、好まし
くは5〜15重量%である。2重量%未満では、導電性
充填材等を塗料中に均一に分散しにくくなったり、ビニ
ルアルコール部分の水酸基を利用して、この共重合樹脂
を架橋反応させる場合に高い反応性を得にくかったりし
やすい。逆に21重量%を越えると、溶媒に対する当該
共重合樹脂の溶解性が低下しやすくなると共に、導電性
塗料粘度が増大したり、親水基が多くなるので、塗膜中
への海水の浸透拡散を十分阻止しにくくなる。
【0020】上層のバインダーとして用いる共重合樹脂
には、上述の(A)〜(C)の他に、(A)、(B)を
形成する単量体と共重合可能なその他の単量体部分
(D)を5重量%未満、好ましくは3重量%未満で導入
することもできる。
【0021】(D)を形成する単量体について説明する
と、例えば塗膜を形成した時のその表面摩擦抵抗を低減
させるためには、(D)がシリコン原子を有する単量
体、フッ素原子を有する単量体であることが好ましい。
これらの単量体としては、例えばシリコンマクロモノマ
ー(東亜合成化学社製AK−5,AK−30など)、3
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フッ化
ビニリデン、フッ化ビニル等が挙げられる。
【0022】また、塗膜の柔軟性を向上させて、被塗装
物体の伸縮、振動等による塗膜の割れ、剥離等の損傷を
防止するためには、例えば炭素数2以上のアルキルエス
テル側鎖を有するアクリル酸アルキルエステル又はメタ
クリル酸アルキルエステル類、炭素数3以上のアルキル
エーテル側鎖を有するアルキルビニルエーテル類、エチ
レン等が好ましい。
【0023】上層のバインダーとして用いる共重合樹脂
は、重量平均分子量が1万〜11万であることが好まし
く、更に好ましくは2万〜6万である。重量平均分子量
が1万未満では塗膜の強度、耐久性が不十分となりやす
く、11万を越えると溶剤溶解性、塗料の塗装作業性が
低くなりやすい。
【0024】上層のバインダーとして用いる共重合樹脂
は、これまで説明した(A)、(B)又は(A)、
(B)、(D)を形成する単量体を共重合した後にその
共重合樹脂をケン化することで得られる。この共重合さ
せる方法は特に制限はなく、例えば溶液重合、懸濁重
合、乳化重合等で行うことができる。具体的には、塩化
ビニルの重合反応を行う通常の装置、条件、操作、手順
により行うことができる。また、重合は、均一系あるい
は不均一系で開始された重合反応が、重合の進行に伴
い、途中から夫々不均一系あるいは均一系に変わるもの
であってもよい。
【0025】また、ケン化は公知の方法で行なうことが
できる。例えば、得られた共重合体を、アルコールの存
在下で、水酸化ナトリウム、アルカリ金属のアルコラー
ト、あるいは塩酸、硫酸などを用いて均一系あるいは不
均一系で共重合体のカルボン酸ビニルエステル部分の一
部の量をケン化することにより、本発明で用いる共重合
体が得られる。尚、ケン化の際に(D)部分の一部の量
がケン化されても支障はない。
【0026】上層の導電性充填材は、粉末、小片、短繊
維状等の分散させやすい形状で混入されているもので、
導電性を有する固体状物質であれば特に制限はなく、1
種または2種以上の物質又は形状のものを組み合わせて
使用することができる。物質の具体例としては、グラフ
ァイト(天然グラファイト、人造グラファイト)、カー
ボンブラック(アセチレンブラック等のガスブラック、
オイルブラック、ナフタリンブラック等)等のカーボン
類、マグネタイト、白金族金属その他の導電性を有する
金属や合金等を挙げることができる。この中でも塗料の
安定性、コストの面でカーボン類が実用的である。ま
た、導電層の比抵抗を低くするために、平均粒度の異な
る2種以上の導電性充填材を組み合わせて用いることが
好ましい。
【0027】この導電性充填材の配合割合が多過ぎる
と、導電性塗料としたときの塗装作業性、塗膜形成性、
貯蔵安定性等が低下し、また塗膜のバリヤー性、導電性
充填材の保持性、下地への密着性、強度等が低下する。
逆に導電性充填材の配合割合が少な過ぎると、塗膜の導
電性が得にくくなる、もしくは海水電解時に塗膜の一部
にふくれが発生する。導電性充填材の配合割合は、導電
性塗料の塗装作業性等の性質や得られる塗膜のバリヤー
性等の性質と、塗膜の導電性とが調和するよう適宜選択
すれば足るが、導電性充填材とバインダーの合計に対す
る導電性充填材の体積割合(X)が5〜70体積%であ
ることが好ましい。具体的には、Xを低くする場合に
は、ケッチェンブラックのような吸油量の高い導電性充
填材を用いることが好ましく、逆にXを高くする場合に
は、グラファイトのような吸油量の小さい導電性充填材
を用いることが好ましい。ここで、Xとは、以下の
(1)式で表わされる値である。
【0028】
【数1】 次に下層について説明する。下層としては、特に限定さ
れないが、例えばビニル樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ウレ
タン樹脂等の樹脂をバインダーとし、導電性充填材を含
有させた導電層を用いることができる。下層の比抵抗も
特に限定されないが、上層の比抵抗より小さくすると、
下層の電源接続部付近への電流密度の集中が防止されや
すく、広い範囲にわたって均一な海洋生物付着防止効果
が得られるので好ましい。
【0029】特に下層として好ましいのは、少なくとも
下記(F)、(G)及び(H)よりなる共重合樹脂であ
って、(F)、(G)、(H)の全体に対する割合がそ
れぞれ80〜98.5重量%、1〜15重量%、0.5
〜5重量%であり、かつ(F)+(G)+(H)が全体
の90重量%以上である共重合樹脂をバインダーとし、
該バインダーと、導電性充填材で構成された導電層であ
る。 (F)メタクリル酸メチル部分。 (G)アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル
(メタクリル酸メチルを除く)から選ばれる少なくとも
1種の単量体部分。 (H)不飽和ジカルボン酸類、リン酸エステル、スルホ
ン酸エステル、アミノ基含有ビニル単量体及びエポキシ
基含有ビニル単量体から選ばれる少なくとも一種の単量
体部分。
【0030】下層のバインダーとして用いる共重合樹脂
中の(F)メタクリル酸メチル(以下、MMAという)
部分の割合は、80〜98.5重量%、好ましくは85
〜95重量%である。この割合が80重量%未満では、
得られる導電層の比抵抗が高くなりやすい。逆に98.
5重量%を越えると、溶媒に対する当該共重合樹脂の溶
解性が低下しやすくなる。
【0031】下層のバインダーとして用いる共重合樹脂
中の(G)アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステ
ル(MMAを除く)から選ばれる少なくとも1種の単量
体部分の割合は、1〜15重量%、好ましくは2〜5重
量%である。この割合が1重量%未満では、溶媒に対す
る当該共重合樹脂の溶解性が低下しやすくなる。逆に1
5重量%を越えると、海水の浸透拡散に対する耐性が低
下する。
【0032】(G)を形成する単量体としては、例え
ば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタク
リル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、
メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸シクロヘキシ
ル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル
酸イソボルニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸
−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル
酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸シクロ
ヘキシル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリ
ル酸イソボルニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−
2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。これらは1種用
いても2種以上組合せて用いてもよい。
【0033】下層のバインダーとして用いる共重合樹脂
は、(H)不飽和ジカルボン酸、スルホン酸エステル単
量体、リン酸エステル単量体、アミノ基含有ビニル単量
体及びエポキシ基含有ビニル単量体から選ばれる少なく
とも1種の単量体部分を導入しているものであるが、共
重合樹脂中の(H)の割合は、0.5〜5重量%、好ま
しくは1〜3重量%である。この割合が0.5重量%未
満では、比抵抗の小さい金属又は金属酸化物への密着性
及び導電性充填材の分散性が低下する。逆に5重量%を
越えると、塗膜の耐海水電解性が低下すると共に、バリ
ヤー性が低下して海水の浸透拡散を十分阻止しにくくな
る。
【0034】不飽和ジカルボン酸類とは、不飽和ジカル
ボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、不飽和ジカルボン
酸エステル、及び不飽和ジカルボン酸塩をいい、不飽和
ジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、イタコン
酸、フマル酸等、不飽和ジカルボン酸無水物としては、
例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸等、不飽和ジカ
ルボン酸塩としては、例えば1価の金属、アンモニア、
アミン類等の塩を挙げることができる。更に、不飽和ジ
カルボン酸エステルとしては、例えば不飽和ジカルボン
酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルヘ
キシル等のエステルが挙げられ、アルキル基の炭素数は
1〜8程度が好ましい。このエステルとしては、モノエ
ステル、ジエステルあるいはこれらの混合されたものの
いずれでもよい。
【0035】スルホン酸エステル単量体としては、例え
ばビニルスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレー
ト、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、アリルアルキルスルホコハク酸Na等が挙げられ
る。
【0036】リン酸エステル単量体としては、例えば2
−アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、2アシ
ッドホスホオキシプロピルメタクリレート、ジフェニル
2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、3クロ
ロ2アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、ア
シッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ
メタクリレート等が挙げられる。
【0037】アミノ基含有ビニル単量体としては、例え
ば、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、
N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N
−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、t−ブチル
アミノエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0038】エポキシ基含有ビニル単量体としては、例
えばグリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエー
テル、グリシジルアクリレート、グリシジル−P−ビニ
ルベンゾエート等を挙げられる。
【0039】これらは1種を用いても2種以上組合せて
用いてもよい。
【0040】下層のバインダーとして用いる共重合樹脂
には、上述の(F)〜(H)の他に、(F)〜(H)を
形成する単量体と共重合可能なその他の単量体部分
(I)を10重量%未満、好ましくは5重量%未満で導
入することもできる。
【0041】(I)を形成する単量体について説明する
と、例えば塗膜を形成した時のその表面摩擦抵抗を低減
させるためには、(I)がシリコン原子を有する単量
体、フッ素原子を有する単量体であることが好ましい。
これらの単量体としては、例えばシリコンマクロモノマ
ー(東亜合成化学社製AK−5、AK−30など)、3
−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、フッ化ビニ
リデン、フッ化ビニル等が挙げられる。
【0042】また、塗膜の柔軟性を向上させて、被塗装
物体の伸縮、振動等による塗膜の割れ、剥離等の損傷を
防止するためには、炭素数3以上のアルキルエーテル側
鎖を有するアルキルビニルエーテル類、エチレン等が好
ましい。
【0043】下層のバインダーとして用いる共重合樹脂
は、重量平均分子量が2万〜12万であることが好まし
く、更に好ましくは3万〜10万である。重量平均分子
量が2万未満では塗膜の強度、耐久性が不十分となりや
すく、12万を越えると溶剤溶解性、塗料の塗装作業性
が低くなりやすい。
【0044】下層のバインダーとして用いる共重合樹脂
は、これまで説明した(F)〜(H)又は(F)〜
(I)を形成する単量体を共重合することで得られる。
この共重合させる方法は特に制限はなく、例えば溶液重
合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合等で行うことができ
る。具体的には、MMAの重合反応を行う通常の装置、
条件、操作、手順により行うことができる。また、重合
は、均一系あるいは不均一系で開始された重合反応が、
重合の進行に伴い、途中から夫々不均一系あるいは均一
系に変わるものであってもよい。
【0045】下層の導電性充填材は、粉末、小片、短繊
維状等の分散させやすい形状で混入されているもので、
導電性を有する固体状物質であれば特に制限はなく、1
種または2種以上の物質又は形状のものを組み合わせて
使用することができる。物質の具体例としては、グラフ
ァイト(天然グラファイト、人造グラファイト)、カー
ボンブラック(アセチレンブラック等のガスブラック、
オイルブラック、ナフタリンブラック等)等のカーボン
類、マグネタイト、白金族金属その他の導電性を有する
金属や合金等を挙げることができる。この中でも塗料の
安定性、コストの面でカーボン類が実用的である。ま
た、導電層の比抵抗を低くするために、平均粒度の異な
る2種以上の導電性充填材を組み合わせて用いることが
好ましい。
【0046】この導電性充填材の配合割合が多過ぎる
と、導電性塗料の塗装作業性、塗膜形成性、貯蔵安定性
等が低下し、また得られる塗膜のバリヤー性、導電性充
填材の保持性、下地への密着性、強度等が低下する。逆
に導電性充填材の配合割合が少な過ぎると、塗膜とした
時の導電性が得にくくなる、もしくは海水電解時に塗膜
の一部にふくれが発生する。導電性充填材の配合割合
は、導電性塗料の塗装作業性等の性質や得られる塗膜の
バリヤー性等の性質と、塗膜の導電性とが調和するよう
適宜選択すれば足るが、導電性充填材とバインダーの合
計に対する導電性充填材の体積割合(X)が5〜70体
積%であることが好ましい。具体的には、このXを低く
する場合には、ケッチェンブラックのような吸油量の高
い導電性充填材を用いることが好ましく、逆にXを高く
する場合には、グラファイトのような吸油量の小さい導
電性充填材を用いることが好ましい。ここで、Xとは、
前述の(1)式で表わされる値である。
【0047】
【実施例】
実施例1〜14、比較例1〜2 表1に示す各種組成の共重合樹脂を、トルエンとメチル
イソブチルケトンの当重量混合溶剤に溶解し、それに平
均粒径2μmのグラファイトを乾燥塗膜中の体積濃度が
約35体積%となる様に加えて上層用の導電塗料とし
た。
【0048】一方、下層用の導電塗料としては、高導電
性の得られるアクリル樹脂を前述の溶剤に溶解し、平均
粒径5μmのグラファイトを乾燥塗膜中の体積濃度が6
0体積%となる様に調整した。
【0049】これらの導電塗料を用いて下記手順で導電
層を製作して、海水浸漬用試験片とし、それに相対して
約30cm離して1インチ1m長の鉄パイプを釣り下
げ、それを陰極として通電し、長崎港内で防汚耐久性試
験を行い防汚性能を評価した。通電量は40mAであ
る。 幅35cm、長さ100cm、厚さ1cmのアクリ
ル板の片面の片隅端部に平行に、幅1cm、長さ33c
m、厚さ100μmの銅箔を貼りつけた。 銅箔の中央部付近に単芯のビニル被覆銅線を半田づ
けし、通電線とした。 銅箔も覆って、乾燥後の導電塗膜の膜厚が350μ
mとなる様に下層用導電塗料をエアレス塗装した。 更にその上に上層用導電塗料を乾燥後の導電塗膜の
膜厚が350μmとなる様にエアレス塗装した。 室温で約1週間乾燥後、防汚耐久性試験に供した。
【0050】試験結果を表1に示すが、本発明により導
電層の耐久性が大幅に向上し、導電層による電解防汚シ
ステムの経済性向上に有効であることは明らかである。
【0051】
【表1】 実施例15〜28、比較例3〜4 表2に示す各種組成の共重合樹脂溶液を、トルエンとメ
チルイソブチルケトンの当重量混合溶剤に溶解し、それ
に平均粒径2μmのグラファイトを乾燥塗膜中の体積濃
度が約35体積%となる様に加えて上層用の導電塗料と
した。
【0052】一方、下層用の導電塗料としては、高導電
性の得られる下記アクリル樹脂のうち表3に示すものを
前述の溶剤で希釈し、平均粒径5μmのグラファイトを
乾燥塗膜中の体積濃度が60体積%となる様に調整し
た。
【0053】少なくとも下記(F)、(G)及び(H)
よりなる共重合樹脂であって、(F)、(G)、(H)
の全体に対する割合がそれぞれ80〜98.5重量%、
1〜15重量%、0.5〜5重量%であり、かつ(F)
+(G)+(H)が全体の90重量%以上である共重合
樹脂。 (F)メタクリル酸メチル部分。 (G)アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル
(メタクリル酸メチルを除く)から選ばれる少なくとも
1種の単量体部分。 (H)不飽和ジカルボン酸類、リン酸エステル、スルホ
ン酸エステル、アミノ基含有ビニル単量体及びエポキシ
基含有ビニル単量体から選ばれる少なくとも一種の単量
体部分。
【0054】これらの導電塗料を用いて下記手順で導電
層を製作して、海水浸漬用試験片とし、それに相対して
約30cm離して1インチ1m長の鉄パイプを釣り下
げ、それを陰極として通電し、長崎港内で防汚耐久性試
験を行い防汚性能を評価した。通電量は40mAであ
る。 幅35cm、長さ100cm、厚さ1cmのアクリ
ル板の片面に、幅1cm、長さ33cm、厚さ100μ
mの銅箔を貼りつけた。 銅箔の中央部付近に単芯のビニル被覆銅線を半田づ
けし、通電線とした。 銅箔も覆って、乾燥後の導電塗膜の膜厚が350μ
mとなる様に下層用導電塗料をエアレス塗装した。 更にその上に上層用導電塗料を乾燥後の導電塗膜の
膜厚が350μmとなる様にエアレス塗装した。 室温で約1週間乾燥後、防汚耐久性試験に供した。
【0055】試験結果を表2に示すが、本発明により導
電層の耐久性が大幅に向上し、導電層による電解防汚シ
ステムの経済性向上に有効であることは明らかである。
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】 実施例29〜33、比較例5 各々実施例15〜19、比較例3に用いた上層用導電性
塗料、下層用導電性塗料を40トン級の客船に適用し、
小型船実験を行った。客船の寸法は、長さ20m、幅
2.5m、深さ1.5mで、その外板から船底部にかけ
て船底部中央と外板で6区画に絶縁膜を介して塗りわけ
て、相対する左舷と右舷の区画を1組とし、3組をペア
ーとして一定時間(例えば2時間)ごとに陽極と陰極を
切り替える極性切替方式とした。どの区画も平均電流密
度は一定とし、通電量はトータルで約5Aである。評価
は2年間の防汚耐久性試験で行った。表4に示す様に、
本発明の有効性を確認できた。
【0058】客船への導電塗膜の施工手順は下記のとお
りである。
【0059】船体の外板をブラスト打ち後、エポキシ
系の絶縁塗料を平均膜厚(dry)で400μm塗装し
た。
【0060】幅3cm、厚100μmの銅箔を各区画
外板上端部に甲板に平行にはりつけ、その中心付近にビ
ニル被覆銅線を半田づけし、通電線とした。
【0061】銅箔も覆って、乾燥後の膜厚が350μ
mとなるよう下層用導電塗料をエアレス塗装した。
【0062】更にその上に上層用導電塗料を乾燥膜厚
が350μmとなるようエアレス塗装した。
【0063】塗装後7日間乾燥させた後に直流電源装
置から通電し、長崎港内で実船試験を開始した。
【0064】
【表4】 実施例34〜38、比較例6 通電方式を連続通電とするため、船底部中央部に、1イ
ンチ10mのパイプを船体と絶縁を維持できるように取
りつけて陰極とした以外は実施例29〜33、比較例5
と同様にして、2年間の防汚耐久性試験を行なった。
【0065】尚、通電量は同じであるので電流密度は1
/2となる。結果は前述の切替方式とほぼ同様であり、
有効性を確認できた。
【0066】
【発明の効果】本発明は、以上説明した通りのものであ
り、本発明の導電層は耐海水電解性に優れるので、海水
の電気分解による海洋生物の付着防止を、広い範囲に亙
って長期間行うことを可能にするものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 127/06 PFH 9166−4J // B63B 59/04 A 9035−3D

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上層と下層の2層よりなる導電層におい
    て、上層が少なくとも下記(A)、(B)及び(C)よ
    りなる共重合樹脂であって、(A)、(B)、(C)の
    全体に対する割合がそれぞれ70〜95重量%、1〜1
    0重量%、2〜21重量%であり、かつ(A)+(B)
    +(C)が全体の95重量%以上である共重合樹脂をバ
    インダーとし、該バインダーと、導電性充填材で構成さ
    れることを特徴とする海洋生物付着防止用導電層。 (A)塩化ビニル部分。 (B)カルボン酸ビニルエステル部分。 (C)ケン化により上記(B)より生じるビニルアルコ
    ール部分。
  2. 【請求項2】 上層における導電性充填材とバインダー
    の合計に対する導電性充填材の体積割合(X)が5〜7
    0体積%である請求項1記載の導電層。
  3. 【請求項3】 上層における導電性充填材がグラファイ
    ト粉及びカーボンブラックより選ばれた少なくとも一種
    である請求項1記載の導電層。
  4. 【請求項4】 下層が少なくとも下記(F)、(G)及
    び(H)よりなる共重合樹脂であって、(F)、
    (G)、(H)の全体に対する割合がそれぞれ80〜9
    8.5重量%、1〜15重量%、0.5〜5重量%であ
    り、かつ(F)+(G)+(H)が全体の90重量%以
    上である共重合樹脂をバインダーとし、該バインダー
    と、導電性充填材で構成されることを特徴とする請求項
    1、2又は3記載の海洋生物付着防止用導電層。 (F)メタクリル酸メチル部分。 (G)アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル
    (メタクリル酸メチルを除く)から選ばれる少なくとも
    1種の単量体部分。 (H)不飽和ジカルボン酸類、リン酸エステル、スルホ
    ン酸エステル、アミノ基含有ビニル単量体及びエポキシ
    基含有ビニル単量体から選ばれる少なくとも一種の単量
    体部分。
  5. 【請求項5】 下層における導電性充填材とバインダー
    の合計に対する導電性充填材の体積割合(X)が5〜7
    0体積%である請求項4記載の導電層。
  6. 【請求項6】 下層における導電性充填材がグラファイ
    ト粉及びカーボンブラックより選ばれる少なくとも一種
    である請求項4記載の導電層。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102130684B1 (ko) * 2019-02-19 2020-07-06 부산대학교 산학협력단 비금속계 자가마모형 중합체 및 이를 포함하는 방오도료용 조성물

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