JPH05176983A - 二層性蛋白質シート及びその製造方法 - Google Patents
二層性蛋白質シート及びその製造方法Info
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- JPH05176983A JPH05176983A JP3358808A JP35880891A JPH05176983A JP H05176983 A JPH05176983 A JP H05176983A JP 3358808 A JP3358808 A JP 3358808A JP 35880891 A JP35880891 A JP 35880891A JP H05176983 A JPH05176983 A JP H05176983A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【構成】 蛋白質よりなる二層性シートであって、一方
の面が緻密な薄膜1により形成され、他方の面が開放孔
4を有する壁面3により形成されており、且つ、緻密な
薄膜に繊維構造体が一体化してなることを特徴とする。 【効果】 細胞親和性及び生体適合性に優れており、細
胞培養に当たって細胞の侵入や培養液の浸透に優れてい
る。また、薄膜上、多孔層いずれにおいても細胞培養が
可能である。更に、2種の細胞を両面に分けて培養し、
細胞間の相互作用を研究する目的にも使用できる。ま
た、薄膜に繊維構造体が一体化されているので、薄膜を
極限まで薄くしても取り扱い可能であるという利点を有
する。更に、細胞培養においても培養液による膜の膨潤
伸展に起因する問題が発生しにくい。
の面が緻密な薄膜1により形成され、他方の面が開放孔
4を有する壁面3により形成されており、且つ、緻密な
薄膜に繊維構造体が一体化してなることを特徴とする。 【効果】 細胞親和性及び生体適合性に優れており、細
胞培養に当たって細胞の侵入や培養液の浸透に優れてい
る。また、薄膜上、多孔層いずれにおいても細胞培養が
可能である。更に、2種の細胞を両面に分けて培養し、
細胞間の相互作用を研究する目的にも使用できる。ま
た、薄膜に繊維構造体が一体化されているので、薄膜を
極限まで薄くしても取り扱い可能であるという利点を有
する。更に、細胞培養においても培養液による膜の膨潤
伸展に起因する問題が発生しにくい。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二層性蛋白質シート及
びその製造方法に係り、特に、動物細胞に親和性を有
し、培養基材やバイオマテリアルとして好適な二層性蛋
白質シート及びその製造方法に関する。
びその製造方法に係り、特に、動物細胞に親和性を有
し、培養基材やバイオマテリアルとして好適な二層性蛋
白質シート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】動物細胞の培養は、発生生物研究,生理
活性物質と細胞の応答研究といった基礎から、インター
フェロン,TPA等生理活性物質の工業的生産、ハイブ
リッド型人工臓器の開発といった応用まで、近年活発に
研究が行なわれている。動物細胞は、多くが接着依存性
であるため、培養にあたっては細胞に親和性が高く、か
つ培養細胞が増殖分化機能を維持できる基材が必要であ
る。
活性物質と細胞の応答研究といった基礎から、インター
フェロン,TPA等生理活性物質の工業的生産、ハイブ
リッド型人工臓器の開発といった応用まで、近年活発に
研究が行なわれている。動物細胞は、多くが接着依存性
であるため、培養にあたっては細胞に親和性が高く、か
つ培養細胞が増殖分化機能を維持できる基材が必要であ
る。
【0003】従来、動物細胞を培養する膜状の基材とし
て、セルロース系ないしポリカーボネート系等の多孔性
メンブランフィルターやこれら多孔性メンブランフィル
ターにコラーゲンをコーティングしたもの又はコラーゲ
ンフィルムが用いられてきた。しかし、メンブランフィ
ルターを用いたものは不透明であるため細胞の顕微鏡観
察が不可能であったり、ハイブリッド型人工臓器への応
用において、例えば、基材上で皮膚細胞を培養し人工皮
膚として生体に移植しようとする場合、生体適合性や生
体内分解性が不足のため使用できないという欠点を有し
ている。
て、セルロース系ないしポリカーボネート系等の多孔性
メンブランフィルターやこれら多孔性メンブランフィル
ターにコラーゲンをコーティングしたもの又はコラーゲ
ンフィルムが用いられてきた。しかし、メンブランフィ
ルターを用いたものは不透明であるため細胞の顕微鏡観
察が不可能であったり、ハイブリッド型人工臓器への応
用において、例えば、基材上で皮膚細胞を培養し人工皮
膚として生体に移植しようとする場合、生体適合性や生
体内分解性が不足のため使用できないという欠点を有し
ている。
【0004】これに対し、生体由来の蛋白質であるコラ
ーゲン膜においては、前記の欠点をある程度解消するも
のを製造することが可能であり、例えば、特開昭62−
266064号公報において、その製造方法が提案され
ている。しかしながら、まだ満足すべき性能とはいい難
い。
ーゲン膜においては、前記の欠点をある程度解消するも
のを製造することが可能であり、例えば、特開昭62−
266064号公報において、その製造方法が提案され
ている。しかしながら、まだ満足すべき性能とはいい難
い。
【0005】コラーゲン系では、近年、ハイブリッド型
人工皮膚用基材としてコラーゲンとコンドロイチン−6
−硫酸よりなる薄膜と多孔層を有する材料(Steve
nT.Boyce,Deborah J.Christ
ianson,and John F.Hansbro
ugh,J.Biomed.Mater.Res.,V
ol.22,939−957(1988))やコラーゲ
ンよりなる同様の構造を有する材料(黒柳能光他、第1
8回医用高分子シンポジウム要旨集P.31,特開平2
−71749号公報)が研究ないしは提案されており、
細胞培養基材やバイオマテリアルとして優れた性能を有
すると報告されている。しかしながら、コラーゲンを材
料とする膜にあっては、細胞培養用カップとして使用し
た場合、培養液により膨潤伸展するという問題がある。
人工皮膚用基材としてコラーゲンとコンドロイチン−6
−硫酸よりなる薄膜と多孔層を有する材料(Steve
nT.Boyce,Deborah J.Christ
ianson,and John F.Hansbro
ugh,J.Biomed.Mater.Res.,V
ol.22,939−957(1988))やコラーゲ
ンよりなる同様の構造を有する材料(黒柳能光他、第1
8回医用高分子シンポジウム要旨集P.31,特開平2
−71749号公報)が研究ないしは提案されており、
細胞培養基材やバイオマテリアルとして優れた性能を有
すると報告されている。しかしながら、コラーゲンを材
料とする膜にあっては、細胞培養用カップとして使用し
た場合、培養液により膨潤伸展するという問題がある。
【0006】また、これら薄膜と多孔層を有する材料の
製法は、次の様なものである。Boyceらの材料にお
いては、コラーゲンとコンドロイチン−6−硫酸の共沈
物のジメチルスルホキシドを含む懸濁液を平滑で粘着性
のない面上に吹き付け、この上に同じ材料を用いて作製
した脱水後のスポンジ体を重ねた後、凍結乾燥する。こ
の方法は、吹き付け量を変化させることによって薄膜の
厚さを変化させることができる。しかしながら、吹き付
けによるものであるので、膜厚の均一性を得るのは難し
い。特に、膜厚が小さい場合や大面積のものを作る場合
に、均一性を得ることは難しい。
製法は、次の様なものである。Boyceらの材料にお
いては、コラーゲンとコンドロイチン−6−硫酸の共沈
物のジメチルスルホキシドを含む懸濁液を平滑で粘着性
のない面上に吹き付け、この上に同じ材料を用いて作製
した脱水後のスポンジ体を重ねた後、凍結乾燥する。こ
の方法は、吹き付け量を変化させることによって薄膜の
厚さを変化させることができる。しかしながら、吹き付
けによるものであるので、膜厚の均一性を得るのは難し
い。特に、膜厚が小さい場合や大面積のものを作る場合
に、均一性を得ることは難しい。
【0007】黒柳らの材料においては、アテロコラーゲ
ンをホモジナイザーで処理してクリーム状とし、アンモ
ニア雰囲気下で中和ゲル化させ、水洗した後、−80℃
に急冷して真空凍結乾燥する。この後、グルタールアル
デヒド水溶液で架橋し、水洗、凍結乾燥する。この方法
は、薄膜の厚みの調整については記載されていないが、
この方法での調整は、難しいものと思われる。
ンをホモジナイザーで処理してクリーム状とし、アンモ
ニア雰囲気下で中和ゲル化させ、水洗した後、−80℃
に急冷して真空凍結乾燥する。この後、グルタールアル
デヒド水溶液で架橋し、水洗、凍結乾燥する。この方法
は、薄膜の厚みの調整については記載されていないが、
この方法での調整は、難しいものと思われる。
【0008】特開平2−71749号公報記載の方法
は、先にコラーゲンフィルムを作成し、この上に線維化
コラーゲン・変性コラーゲンの混合溶液を流し込み、−
30℃で凍結させ、凍結乾燥する。この方法は、薄膜の
厚み調整は可能であるが、薄膜を別に調製するため、薄
膜の厚みが薄くなると取り扱いが困難になるという欠点
を有する。
は、先にコラーゲンフィルムを作成し、この上に線維化
コラーゲン・変性コラーゲンの混合溶液を流し込み、−
30℃で凍結させ、凍結乾燥する。この方法は、薄膜の
厚み調整は可能であるが、薄膜を別に調製するため、薄
膜の厚みが薄くなると取り扱いが困難になるという欠点
を有する。
【0009】上述した如く、コラーゲン系の薄膜と多孔
層とを有する材料の製法においては、種々の問題点が存
在し、工業的かつ安価に、高性能のこの種の材料を製造
するのは困難であった。
層とを有する材料の製法においては、種々の問題点が存
在し、工業的かつ安価に、高性能のこの種の材料を製造
するのは困難であった。
【0010】一方、コラーゲンの熱変成物であり工業的
に安価に入手可能なゼラチンも生体適合性や細胞親和性
を有することが知られており、薄膜と多孔層を有する膜
状に加工することが可能である(吉川悦雄、村上梅司、
吉里勝利、高分子学会予稿集、39、2568〜257
0(1990))。しかし、ゼラチンの場合も、培養液
による膨潤伸展の問題があり、細胞培養用カップとして
使用した場合、膜が伸展して凹凸を生じたり、凹形が甚
だしい場合には膜が培養皿の底面に接触するという問題
を生じる。この問題は、膜面積が大きくなると一層顕著
になる。
に安価に入手可能なゼラチンも生体適合性や細胞親和性
を有することが知られており、薄膜と多孔層を有する膜
状に加工することが可能である(吉川悦雄、村上梅司、
吉里勝利、高分子学会予稿集、39、2568〜257
0(1990))。しかし、ゼラチンの場合も、培養液
による膨潤伸展の問題があり、細胞培養用カップとして
使用した場合、膜が伸展して凹凸を生じたり、凹形が甚
だしい場合には膜が培養皿の底面に接触するという問題
を生じる。この問題は、膜面積が大きくなると一層顕著
になる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情に鑑みなされたものであって、その目的とするところ
は、細胞親和性及び生体適合性に優れ、特に、動物細胞
の培養基材やバイオマテリアルとして好適で、且つ、膨
潤伸展せず取扱性に非常に優れた薄膜と多孔層とを有す
る二層性蛋白質シートを提供するにある。また、他の目
的は、上述のような二層性蛋白質シートを工業的かつ安
価に製造する方法を提供することにある。
情に鑑みなされたものであって、その目的とするところ
は、細胞親和性及び生体適合性に優れ、特に、動物細胞
の培養基材やバイオマテリアルとして好適で、且つ、膨
潤伸展せず取扱性に非常に優れた薄膜と多孔層とを有す
る二層性蛋白質シートを提供するにある。また、他の目
的は、上述のような二層性蛋白質シートを工業的かつ安
価に製造する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の目的は、蛋白質よ
りなる二層性シートであって、一方の面が緻密な薄膜に
より形成され、他方の面が開放孔を有する壁面により形
成されており、且つ、緻密な薄膜に繊維構造体が一体化
してなることを特徴とする二層性蛋白質シート、並び
に、繊維構造体を含有する蛋白質のシート状ゲル化物の
片面に、少なくとも一方の面が開放孔を有する壁面によ
り形成された蛋白質の多孔体シートを、開放孔を有する
面が残存するように重ね、該ゲル化物を乾燥し、薄膜を
形成させるとともに、重ね合わせた該多孔体シートと接
合一体化させることを特徴とする二層性蛋白質シートの
製造方法により達成される。
りなる二層性シートであって、一方の面が緻密な薄膜に
より形成され、他方の面が開放孔を有する壁面により形
成されており、且つ、緻密な薄膜に繊維構造体が一体化
してなることを特徴とする二層性蛋白質シート、並び
に、繊維構造体を含有する蛋白質のシート状ゲル化物の
片面に、少なくとも一方の面が開放孔を有する壁面によ
り形成された蛋白質の多孔体シートを、開放孔を有する
面が残存するように重ね、該ゲル化物を乾燥し、薄膜を
形成させるとともに、重ね合わせた該多孔体シートと接
合一体化させることを特徴とする二層性蛋白質シートの
製造方法により達成される。
【0013】本発明の二層性蛋白質シートを図面に基づ
いて説明する。図1は、本発明の二層性蛋白質シートを
緻密な薄膜側から見た平面の様子を示す説明図、図2
は、本発明の二層性蛋白質シートを開放孔を有する面か
ら見た平面の様子を示す説明図である。また、図3は、
本発明の二層性蛋白質シートを図1のABで切断した断
面構造を示す説明図である。同図において、(1)は緻
密な薄膜、(2)は開放孔面、(3)は壁面、(4)は
開放孔、(5)は繊維構造体を表す。
いて説明する。図1は、本発明の二層性蛋白質シートを
緻密な薄膜側から見た平面の様子を示す説明図、図2
は、本発明の二層性蛋白質シートを開放孔を有する面か
ら見た平面の様子を示す説明図である。また、図3は、
本発明の二層性蛋白質シートを図1のABで切断した断
面構造を示す説明図である。同図において、(1)は緻
密な薄膜、(2)は開放孔面、(3)は壁面、(4)は
開放孔、(5)は繊維構造体を表す。
【0014】本発明の二層性蛋白質シートは、図1〜図
3に示すように、一方の面が繊維構造体(5)と一体化
した緻密な薄膜(1)、他方の面が開放孔(4)を有す
る開放孔面(2)により構成されている。
3に示すように、一方の面が繊維構造体(5)と一体化
した緻密な薄膜(1)、他方の面が開放孔(4)を有す
る開放孔面(2)により構成されている。
【0015】上記緻密な薄膜(1)は、実質的に気孔を
含まないか気孔の数又は大きさが多孔部分に比べて圧倒
的に小さい膜状体である。本発明の二層性蛋白質シート
の両面に別々の細胞を培養するような場合を考えると、
緻密な薄膜(1)は、無孔性であるか、1μm以下の気
孔であることが好ましい。また、緻密な薄膜(1)の厚
みは、強度の点からは厚い方が好ましいが、物質の透過
性の点からは薄い方が好ましい。通常、200μm以下
であることが好ましく、より好ましくは0.1〜50μ
mである。
含まないか気孔の数又は大きさが多孔部分に比べて圧倒
的に小さい膜状体である。本発明の二層性蛋白質シート
の両面に別々の細胞を培養するような場合を考えると、
緻密な薄膜(1)は、無孔性であるか、1μm以下の気
孔であることが好ましい。また、緻密な薄膜(1)の厚
みは、強度の点からは厚い方が好ましいが、物質の透過
性の点からは薄い方が好ましい。通常、200μm以下
であることが好ましく、より好ましくは0.1〜50μ
mである。
【0016】本発明の二層性蛋白質シートは、緻密な薄
膜に繊維構造体が一体化している。ここでいう一体化と
は、単に繊維構造体が緻密な薄膜に埋め込まれている場
合のみでなく、繊維構造体が薄膜と物理的又は化学的に
結合している場合全てを意味するが、本発明の目的から
自明であるように、本発明の二層性蛋白質シートを細胞
培養液や体液に接触させた場合、目的を達するまで繊維
構造体と薄膜が分離しないことが必要である。また、本
発明において繊維構造体は、緻密な薄膜に一体化してい
るが、その一部が開放孔を有する壁面に接触ないしは一
体化していてもよい。
膜に繊維構造体が一体化している。ここでいう一体化と
は、単に繊維構造体が緻密な薄膜に埋め込まれている場
合のみでなく、繊維構造体が薄膜と物理的又は化学的に
結合している場合全てを意味するが、本発明の目的から
自明であるように、本発明の二層性蛋白質シートを細胞
培養液や体液に接触させた場合、目的を達するまで繊維
構造体と薄膜が分離しないことが必要である。また、本
発明において繊維構造体は、緻密な薄膜に一体化してい
るが、その一部が開放孔を有する壁面に接触ないしは一
体化していてもよい。
【0017】本発明において使用する繊維構造体は、天
然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維及び天然の蛋
白質よりなる繊維を織り編みすることによって製造した
網目構造を有する布帛又はこれらを加工することによっ
て製造した網目構造を有する布帛である。特に、細胞培
養液や体液に接触させた場合の寸法変化が小さいものが
好ましい。この条件を満足するものであれば全て使用可
能であるが、中でも、ポリエステル又はナイロン長繊維
製の繊維構造体は、前記条件を満足する他、バイオマテ
リアルとして実績があり、工業的に多様な製品が入手可
能であるので好ましい。
然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維及び天然の蛋
白質よりなる繊維を織り編みすることによって製造した
網目構造を有する布帛又はこれらを加工することによっ
て製造した網目構造を有する布帛である。特に、細胞培
養液や体液に接触させた場合の寸法変化が小さいものが
好ましい。この条件を満足するものであれば全て使用可
能であるが、中でも、ポリエステル又はナイロン長繊維
製の繊維構造体は、前記条件を満足する他、バイオマテ
リアルとして実績があり、工業的に多様な製品が入手可
能であるので好ましい。
【0018】また、この繊維構造体の目開き度は、細胞
培養における物質の透過性に関係し、目開き度が小さい
と物質の透過が阻害されるので、大きい方が好ましい。
目開き度を繊維構造体の面積に対する網目の合計面積の
比、いわゆるオープニングエリアで表した場合、50%
以上であることが好ましい。
培養における物質の透過性に関係し、目開き度が小さい
と物質の透過が阻害されるので、大きい方が好ましい。
目開き度を繊維構造体の面積に対する網目の合計面積の
比、いわゆるオープニングエリアで表した場合、50%
以上であることが好ましい。
【0019】本発明の二層性蛋白質シートの繊維構造体
(5)を含有する緻密な薄膜(1)に一体化し、他方の
面を構成する壁面(3)は開放孔(4)を形成する。開
放孔(4)とは、二層性蛋白質シートを形成する壁面の
端面が開口したものである。この開放孔(4)は、細胞
培養のためには大きいほうが好ましく、平均50μm以
上であることが好ましい。ここで、開放孔の大きさは、
開放孔を有する面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて写
真撮影し、得られた写真から次のようにして求めた。即
ち、写真の縦方向と横方向について一定の長さの直線上
にある開放孔の数を求め、この値で直線の長さを除した
ものを平均口径とした。本発明においては、どちらの方
向についても50μm以上であることが好ましい。
(5)を含有する緻密な薄膜(1)に一体化し、他方の
面を構成する壁面(3)は開放孔(4)を形成する。開
放孔(4)とは、二層性蛋白質シートを形成する壁面の
端面が開口したものである。この開放孔(4)は、細胞
培養のためには大きいほうが好ましく、平均50μm以
上であることが好ましい。ここで、開放孔の大きさは、
開放孔を有する面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて写
真撮影し、得られた写真から次のようにして求めた。即
ち、写真の縦方向と横方向について一定の長さの直線上
にある開放孔の数を求め、この値で直線の長さを除した
ものを平均口径とした。本発明においては、どちらの方
向についても50μm以上であることが好ましい。
【0020】なお、本発明の二層性蛋白質シートは、上
述の開気孔の他、閉気孔を含んでいてもよい。この閉気
孔の数は、細胞侵入や培養液の透過を考慮すると少ない
ほうが好ましい。また、気孔形状は、壁面(3)が垂直
方向に立っているものが好ましく、理想的には薄膜
(1)まで1つの気孔が連続している、即ち、閉気孔を
含まないことが好ましい。
述の開気孔の他、閉気孔を含んでいてもよい。この閉気
孔の数は、細胞侵入や培養液の透過を考慮すると少ない
ほうが好ましい。また、気孔形状は、壁面(3)が垂直
方向に立っているものが好ましく、理想的には薄膜
(1)まで1つの気孔が連続している、即ち、閉気孔を
含まないことが好ましい。
【0021】本発明において二層性シートを構成する蛋
白質は、細胞親和性及び生体適合性に優れるものであれ
ばよいが、後述する製造法との関連上、ゲル化が容易で
あるものが好ましい。このようなものの例としては、ゼ
ラチン、コラーゲン、フィブロイン等が上げられるが、
中でもゼラチン、コラーゲンが特に好ましい。
白質は、細胞親和性及び生体適合性に優れるものであれ
ばよいが、後述する製造法との関連上、ゲル化が容易で
あるものが好ましい。このようなものの例としては、ゼ
ラチン、コラーゲン、フィブロイン等が上げられるが、
中でもゼラチン、コラーゲンが特に好ましい。
【0022】ゼラチンは、主として牛骨,牛皮または豚
皮よりアルカリ法又は酸性法によって工業的に得られる
もので良いが、これらのゼラチンを更に精製し、例え
ば、日本薬局方のゼラチンまたは精製ゼラチンの規格を
満たすようにしたものが好ましい。また、市販のコラー
ゲンを熱変成させてゼラチンとしたものも使用可能であ
る。
皮よりアルカリ法又は酸性法によって工業的に得られる
もので良いが、これらのゼラチンを更に精製し、例え
ば、日本薬局方のゼラチンまたは精製ゼラチンの規格を
満たすようにしたものが好ましい。また、市販のコラー
ゲンを熱変成させてゼラチンとしたものも使用可能であ
る。
【0023】コラーゲンには種々のタイプのものが市販
されており、これらは、適当な方法でゲルを形成させれ
ば、本発明の製造方法に用いることができる。中でも、
生体適合性という点では、牛皮又は豚皮由来のコラーゲ
ンを酸又はアルカリ処理した後、プロテアーゼ又はペプ
シンで処理し、分子末端のテロペプチドを消化除去し
た、いわゆるアテロコラーゲンを用いることが好まし
い。
されており、これらは、適当な方法でゲルを形成させれ
ば、本発明の製造方法に用いることができる。中でも、
生体適合性という点では、牛皮又は豚皮由来のコラーゲ
ンを酸又はアルカリ処理した後、プロテアーゼ又はペプ
シンで処理し、分子末端のテロペプチドを消化除去し
た、いわゆるアテロコラーゲンを用いることが好まし
い。
【0024】本発明の二層性蛋白質シートは、耐水性を
有し、細胞培養用培養液に対する安定性や生体内での安
定性を増すため、適当な架橋剤によって架橋されている
ことが好ましい。架橋剤としては、水溶性架橋剤、例え
ば、水溶性のエポキシ化合物やアルデヒド類が好適であ
る。架橋剤の添加量は適宜選定すればよく、通常、蛋白
質に対して1〜20重量%が好ましい。
有し、細胞培養用培養液に対する安定性や生体内での安
定性を増すため、適当な架橋剤によって架橋されている
ことが好ましい。架橋剤としては、水溶性架橋剤、例え
ば、水溶性のエポキシ化合物やアルデヒド類が好適であ
る。架橋剤の添加量は適宜選定すればよく、通常、蛋白
質に対して1〜20重量%が好ましい。
【0025】次に、本発明の製造方法は、例えば、次の
ようにして行う。すなわち、まず、繊維構造体を含有す
る蛋白質のシート状ゲル化物を製造する。次いで、この
シート状ゲル化物の片面に、少なくとも一方の面が開放
孔を有する壁面により形成された蛋白質の多孔体シート
を開放孔を有する面が残存するように重ね合わせ、ゾル
状または溶液状にすることなく乾燥し、薄膜を形成させ
るとともに、重ね合わせた多孔体シートと接合一体化さ
せる。
ようにして行う。すなわち、まず、繊維構造体を含有す
る蛋白質のシート状ゲル化物を製造する。次いで、この
シート状ゲル化物の片面に、少なくとも一方の面が開放
孔を有する壁面により形成された蛋白質の多孔体シート
を開放孔を有する面が残存するように重ね合わせ、ゾル
状または溶液状にすることなく乾燥し、薄膜を形成させ
るとともに、重ね合わせた多孔体シートと接合一体化さ
せる。
【0026】蛋白質のシート状ゲル化物とは、先述の蛋
白質液を適当な基材、例えば、板状の型枠に流延し、シ
ート状にゲル化させたものをいう。これらの蛋白質は、
型枠に流延するに際し、それぞれに適した方法で溶液ま
たは分散液とする。蛋白質の濃度は、ゼラチンの場合
は、好ましくは10重量%以下であり、コラーゲンの場
合は、好ましくは5%重量以下、より好ましくは1%以
下である。
白質液を適当な基材、例えば、板状の型枠に流延し、シ
ート状にゲル化させたものをいう。これらの蛋白質は、
型枠に流延するに際し、それぞれに適した方法で溶液ま
たは分散液とする。蛋白質の濃度は、ゼラチンの場合
は、好ましくは10重量%以下であり、コラーゲンの場
合は、好ましくは5%重量以下、より好ましくは1%以
下である。
【0027】調製法は、例えば、ゼラチンの場合は、そ
のまま水に溶解して水溶液としても、また緩衝液に溶解
しても良い。コラーゲンの場合、特に、アテロコラーゲ
ンは、酸溶液として用いるのが一般的であるが、流延直
前に、例えば、燐酸緩衝液のような平衡塩溶液と混合し
て用いても良い。ただし、平衡塩溶液と混合し、PHを
中性付近とした場合、温度が高くなるとゲル化するの
で、溶液を低温(4℃付近)に保つ必要がある。
のまま水に溶解して水溶液としても、また緩衝液に溶解
しても良い。コラーゲンの場合、特に、アテロコラーゲ
ンは、酸溶液として用いるのが一般的であるが、流延直
前に、例えば、燐酸緩衝液のような平衡塩溶液と混合し
て用いても良い。ただし、平衡塩溶液と混合し、PHを
中性付近とした場合、温度が高くなるとゲル化するの
で、溶液を低温(4℃付近)に保つ必要がある。
【0028】蛋白質液には、この時点で上述の架橋剤を
添加すると良い。架橋剤は水溶性であるので、そのまま
若しくは水溶液とする等適当な手段で容易に蛋白質液と
混合することができる。混合量は上述したように、通
常、蛋白質に対して1〜20重量%が好ましい。
添加すると良い。架橋剤は水溶性であるので、そのまま
若しくは水溶液とする等適当な手段で容易に蛋白質液と
混合することができる。混合量は上述したように、通
常、蛋白質に対して1〜20重量%が好ましい。
【0029】蛋白質液を流延する型枠は、適当な板状体
であって、蛋白質を保持できるようにくぼみを有する
か、粘着テープ等で縁どりをしたものを使用する。板状
体の材質は、乾燥後に、蛋白質が接着しないものである
ことが必要である。このような板状体の例としては、接
液面が、ポリ−4−フッ化エチレンを始めとするフッ素
樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、
ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等である板状体が挙げら
れる。しかし、これらに限定されるものではなく、前記
条件を満たすものであれば、これ以外の材料でも使用で
きる。
であって、蛋白質を保持できるようにくぼみを有する
か、粘着テープ等で縁どりをしたものを使用する。板状
体の材質は、乾燥後に、蛋白質が接着しないものである
ことが必要である。このような板状体の例としては、接
液面が、ポリ−4−フッ化エチレンを始めとするフッ素
樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、
ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等である板状体が挙げら
れる。しかし、これらに限定されるものではなく、前記
条件を満たすものであれば、これ以外の材料でも使用で
きる。
【0030】薄膜が均一な厚さの二層性蛋白質シートを
得るためには、シート状ゲル化物の厚さが均一であるこ
とが必要である。このためには、型枠が水平に保たれて
いなければならない。型枠を水平に保つ方法としては、
例えば、高さを調節できる足のついた定盤に型枠を乗せ
水平を保つ方法が挙げられるが、これ以外の方法も使用
可能である。上記のようにして、水平を保った型枠に流
延する蛋白質液の量は、乾燥後形成される薄膜の厚さが
後述する好ましい範囲になるように適宜調節する。
得るためには、シート状ゲル化物の厚さが均一であるこ
とが必要である。このためには、型枠が水平に保たれて
いなければならない。型枠を水平に保つ方法としては、
例えば、高さを調節できる足のついた定盤に型枠を乗せ
水平を保つ方法が挙げられるが、これ以外の方法も使用
可能である。上記のようにして、水平を保った型枠に流
延する蛋白質液の量は、乾燥後形成される薄膜の厚さが
後述する好ましい範囲になるように適宜調節する。
【0031】次に、流延した蛋白質液をゲル化させるの
であるが、本発明の方法においてはゲル化以前に蛋白質
液に繊維構造体を含有させる。これには、例えば、型枠
の上に繊維構造体を置き、その上から蛋白質液を流延す
る方法、流延後の蛋白質液に繊維構造体を浸漬する方法
等があり、いずれの方法を採用してもよい。また、繊維
構造体の網目に空気が貯留しないようにすることが好ま
しい。
であるが、本発明の方法においてはゲル化以前に蛋白質
液に繊維構造体を含有させる。これには、例えば、型枠
の上に繊維構造体を置き、その上から蛋白質液を流延す
る方法、流延後の蛋白質液に繊維構造体を浸漬する方法
等があり、いずれの方法を採用してもよい。また、繊維
構造体の網目に空気が貯留しないようにすることが好ま
しい。
【0032】ゲル化の方法は、それぞれの蛋白質に適し
た方法を用いる。ゼラチンの場合は、例えば、冷却する
ことによりゲル化することができる。冷却温度は、使用
するゼラチンのゲル化温度以下でゼラチン液が凍結する
温度以上であれば良い。コラーゲンの場合は、例えば、
酸性溶液を流延後、25〜37℃の範囲でアンモニアガ
スと接触させることによりゲル形成できる。また、流延
前に平衡塩溶液等と混合し、PHを中性付近とした低温
のコラーゲン液は、流延後、25℃〜37℃に保持する
ことによりゲル化させることができる。
た方法を用いる。ゼラチンの場合は、例えば、冷却する
ことによりゲル化することができる。冷却温度は、使用
するゼラチンのゲル化温度以下でゼラチン液が凍結する
温度以上であれば良い。コラーゲンの場合は、例えば、
酸性溶液を流延後、25〜37℃の範囲でアンモニアガ
スと接触させることによりゲル形成できる。また、流延
前に平衡塩溶液等と混合し、PHを中性付近とした低温
のコラーゲン液は、流延後、25℃〜37℃に保持する
ことによりゲル化させることができる。
【0033】次に、上記繊維構造体を含有する蛋白質の
シート状ゲル化物の片面に重ね合わせる、少なくとも一
方の面が開放孔を有する壁面により形成された蛋白質の
多孔体シートは、前記シート状ゲル化物を調製するのに
使用した蛋白質と同じ蛋白質を使用しても、異なった蛋
白質を使用してもよい。
シート状ゲル化物の片面に重ね合わせる、少なくとも一
方の面が開放孔を有する壁面により形成された蛋白質の
多孔体シートは、前記シート状ゲル化物を調製するのに
使用した蛋白質と同じ蛋白質を使用しても、異なった蛋
白質を使用してもよい。
【0034】本発明に使用するのに適した多孔体シート
は、例えば、次の様にして製造することができる。すな
わち、先ず、架橋剤を含む蛋白質液を調製する。蛋白質
液及び架橋剤は前記シート状ゲル化物を調製するのに使
用するものと同じものが好適に使用できる。次に、蛋白
質と架橋剤との混合液を、例えば、板状の型枠に流延す
る。この際使用する型枠も前述したものが好適である。
そして、蛋白質架橋剤混合液を流延した型枠を蛋白質液
の凍結温度以下に保持した台上に乗せ冷却する。
は、例えば、次の様にして製造することができる。すな
わち、先ず、架橋剤を含む蛋白質液を調製する。蛋白質
液及び架橋剤は前記シート状ゲル化物を調製するのに使
用するものと同じものが好適に使用できる。次に、蛋白
質と架橋剤との混合液を、例えば、板状の型枠に流延す
る。この際使用する型枠も前述したものが好適である。
そして、蛋白質架橋剤混合液を流延した型枠を蛋白質液
の凍結温度以下に保持した台上に乗せ冷却する。
【0035】この様な台としては、例えば、内部に冷媒
を循環させたプレートやドライアイス又は他の寒剤を利
用した冷却プレート等が挙げられる。多孔体シートが均
一な厚みを持つ様に、台は、水平に保たれていることが
好ましい。冷凍庫のような周囲より冷却される環境中に
置いて凍結させると空気面に形成する開気孔の形成量が
低下する。
を循環させたプレートやドライアイス又は他の寒剤を利
用した冷却プレート等が挙げられる。多孔体シートが均
一な厚みを持つ様に、台は、水平に保たれていることが
好ましい。冷凍庫のような周囲より冷却される環境中に
置いて凍結させると空気面に形成する開気孔の形成量が
低下する。
【0036】冷却温度は、蛋白質液が凍結する温度であ
ることが必要である。この冷却温度と冷却速度が気孔の
寸法を支配する重要な因子である。冷却温度が低い程ま
た冷却速度が速い程小さな気孔が生成する。逆に言え
ば、冷却温度と速度を適宜選択することにより気孔の寸
法を調節できる。この多孔体シートの製造において、型
枠に流延した蛋白質液を冷却凍結に先立って、ゲル化さ
せても良い。このゲル化の方法は、先述のシート状ゲル
化物の調製に用いた方法が利用できる。
ることが必要である。この冷却温度と冷却速度が気孔の
寸法を支配する重要な因子である。冷却温度が低い程ま
た冷却速度が速い程小さな気孔が生成する。逆に言え
ば、冷却温度と速度を適宜選択することにより気孔の寸
法を調節できる。この多孔体シートの製造において、型
枠に流延した蛋白質液を冷却凍結に先立って、ゲル化さ
せても良い。このゲル化の方法は、先述のシート状ゲル
化物の調製に用いた方法が利用できる。
【0037】次に、凍結物は真空凍結乾燥により乾燥す
る。真空凍結乾燥は一般的方法及び条件が適用できる
が、本発明の方法においては乾燥中の架橋剤の損失を防
ぐためできるだけ低温に保つ必要がある。乾燥期間中3
0℃以下であることが好ましい。凍結乾燥後、熱処理に
より架橋反応を促進するため、熱処理するとよい。熱処
理温度は、高い方が反応は促進されるが、余り高温にな
ると空気中で熱処理した場合シートが着色する。空気中
処理の場合は150℃以下が好ましい。熱処理時間は、
処理温度との関係で決まり、温度が高い程短時間で架橋
が進み水に不溶となるが、低温の場合は長時間を要す
る。
る。真空凍結乾燥は一般的方法及び条件が適用できる
が、本発明の方法においては乾燥中の架橋剤の損失を防
ぐためできるだけ低温に保つ必要がある。乾燥期間中3
0℃以下であることが好ましい。凍結乾燥後、熱処理に
より架橋反応を促進するため、熱処理するとよい。熱処
理温度は、高い方が反応は促進されるが、余り高温にな
ると空気中で熱処理した場合シートが着色する。空気中
処理の場合は150℃以下が好ましい。熱処理時間は、
処理温度との関係で決まり、温度が高い程短時間で架橋
が進み水に不溶となるが、低温の場合は長時間を要す
る。
【0038】多孔体の製造は、架橋剤を含まない蛋白質
液を用いても同様の方法に依ることが可能である。しか
し、この場合は最後に適当な方法で架橋し耐水性を与え
ることが好ましい。この様にして製造した多孔体シート
は、空気側に開放孔を有し、気孔壁が垂直方向に立った
ものとなる。一方、型枠側は、無孔性ないしは多孔性の
厚さ2μm以下の薄膜となる。
液を用いても同様の方法に依ることが可能である。しか
し、この場合は最後に適当な方法で架橋し耐水性を与え
ることが好ましい。この様にして製造した多孔体シート
は、空気側に開放孔を有し、気孔壁が垂直方向に立った
ものとなる。一方、型枠側は、無孔性ないしは多孔性の
厚さ2μm以下の薄膜となる。
【0039】上記蛋白質のシート状ゲル化物と少なくと
も一方の面が開放孔を有する壁面により形成された蛋白
質の多孔体シートとを用いて、蛋白質のシート状ゲル化
物の片面に、少なくとも一方の面が開放孔を有する壁面
により形成された蛋白質の多孔体シートを重ね合せ、乾
燥し、薄膜を形成させるとともに、重ね合わせた多孔体
シートと接合一体化させるに際しては、シート状ゲル化
物をゾル状または溶液状にすることなく乾燥することが
重要である。ゾル状または溶液状とした場合は、このゾ
ルまたは溶液が、多孔体シートに吸収され、目的とする
薄膜と多孔層とを有する二層性蛋白質シートを安定して
得ることができない。
も一方の面が開放孔を有する壁面により形成された蛋白
質の多孔体シートとを用いて、蛋白質のシート状ゲル化
物の片面に、少なくとも一方の面が開放孔を有する壁面
により形成された蛋白質の多孔体シートを重ね合せ、乾
燥し、薄膜を形成させるとともに、重ね合わせた多孔体
シートと接合一体化させるに際しては、シート状ゲル化
物をゾル状または溶液状にすることなく乾燥することが
重要である。ゾル状または溶液状とした場合は、このゾ
ルまたは溶液が、多孔体シートに吸収され、目的とする
薄膜と多孔層とを有する二層性蛋白質シートを安定して
得ることができない。
【0040】シート状ゲル化物をゾル状または溶液状に
することなく乾燥するためには、ゼラチンの場合は、ゲ
ル化物を融点以下の温度に保って乾燥する。融点は、ゼ
ラチンの種類及び濃度に依存して変化する。本発明の場
合は、25℃以下の凍結しない温度に保って乾燥するこ
とが好ましく、20℃以下であることがより好ましい。
コラーゲンの場合は、変質を防ぐためには37℃以下の
凍結しない温度で乾燥させるとよい。
することなく乾燥するためには、ゼラチンの場合は、ゲ
ル化物を融点以下の温度に保って乾燥する。融点は、ゼ
ラチンの種類及び濃度に依存して変化する。本発明の場
合は、25℃以下の凍結しない温度に保って乾燥するこ
とが好ましく、20℃以下であることがより好ましい。
コラーゲンの場合は、変質を防ぐためには37℃以下の
凍結しない温度で乾燥させるとよい。
【0041】これにより、蛋白質のシート状ゲル化物は
薄膜として、重ね合わせた蛋白質多孔体に接合一体化
し、二層性蛋白質シートを形成する。本発明の方法にお
いて、蛋白質のシート状ゲル化物が架橋剤を含有する場
合、乾燥後熱処理により架橋反応を促進するとよい。熱
処理の条件は、多孔体の調製と同じ条件で行えばよい。
また、本発明の方法において、シート状ゲル化物が架橋
剤を含有しない場合、二層性蛋白質シートを形成後、適
当な方法を用いて架橋を施すのが良い。以上の様にして
製造した二層性蛋白質シートは、必要に応じて、水、ア
ルコール、水/アルコール混合物、その他適当な溶剤を
用いて洗浄するとよい。
薄膜として、重ね合わせた蛋白質多孔体に接合一体化
し、二層性蛋白質シートを形成する。本発明の方法にお
いて、蛋白質のシート状ゲル化物が架橋剤を含有する場
合、乾燥後熱処理により架橋反応を促進するとよい。熱
処理の条件は、多孔体の調製と同じ条件で行えばよい。
また、本発明の方法において、シート状ゲル化物が架橋
剤を含有しない場合、二層性蛋白質シートを形成後、適
当な方法を用いて架橋を施すのが良い。以上の様にして
製造した二層性蛋白質シートは、必要に応じて、水、ア
ルコール、水/アルコール混合物、その他適当な溶剤を
用いて洗浄するとよい。
【0042】
【発明の効果】以上のように、本発明の二層性蛋白質シ
ートは、細胞親和性及び生体適合性に優れており、細胞
培養に当たって細胞の侵入や培養液の浸透に優れてい
る。また、薄膜上、多孔層いずれにおいても細胞培養が
可能である。更に、2種の細胞を両面に分けて培養し、
細胞間の相互作用を研究する目的にも使用できる。ま
た、薄膜と多孔層が一体化された形である上に薄膜に繊
維構造体が一体化されているので、薄膜を極限まで薄く
しても取り扱い可能であるという利点を有する。
ートは、細胞親和性及び生体適合性に優れており、細胞
培養に当たって細胞の侵入や培養液の浸透に優れてい
る。また、薄膜上、多孔層いずれにおいても細胞培養が
可能である。更に、2種の細胞を両面に分けて培養し、
細胞間の相互作用を研究する目的にも使用できる。ま
た、薄膜と多孔層が一体化された形である上に薄膜に繊
維構造体が一体化されているので、薄膜を極限まで薄く
しても取り扱い可能であるという利点を有する。
【0043】更に、薄膜に繊維構造体が一体化されてい
るので細胞培養においても培養液による膜の膨潤伸展に
起因する問題が発生しにくい。また、シート状ゲル化物
の厚さ又はこれを構成する蛋白質の濃度を変化させるこ
とによって、容易に薄膜の厚さを変えることができる。
るので細胞培養においても培養液による膜の膨潤伸展に
起因する問題が発生しにくい。また、シート状ゲル化物
の厚さ又はこれを構成する蛋白質の濃度を変化させるこ
とによって、容易に薄膜の厚さを変えることができる。
【0044】本発明の二層性蛋白質シートの製造方法に
よれば、繊維構造体を含有する蛋白質のシート状ゲル化
物をゾル状または溶液状にすることなく乾燥し、薄膜を
形成させるので、繊維構造体が薄膜に一体化された二層
性蛋白質シートが容易に得られる。また、シート状ゲル
化物は適当な基材に蛋白質液を流延後ゲル化させて作成
すること、また、このとき、繊維構造体を含有させるた
め容易に大面積化することができる。
よれば、繊維構造体を含有する蛋白質のシート状ゲル化
物をゾル状または溶液状にすることなく乾燥し、薄膜を
形成させるので、繊維構造体が薄膜に一体化された二層
性蛋白質シートが容易に得られる。また、シート状ゲル
化物は適当な基材に蛋白質液を流延後ゲル化させて作成
すること、また、このとき、繊維構造体を含有させるた
め容易に大面積化することができる。
【0045】また、本発明の製造方法によれば、多孔層
のほとんどが開放孔であり、かつ孔を構成する壁面が薄
膜に垂直方向に立っている二層性蛋白質シートが製造で
きる。更に、薄膜と多孔層で異なった蛋白質を用いるこ
とが可能で、薄膜と多孔層の特性が違う膜を製造するこ
とができる。
のほとんどが開放孔であり、かつ孔を構成する壁面が薄
膜に垂直方向に立っている二層性蛋白質シートが製造で
きる。更に、薄膜と多孔層で異なった蛋白質を用いるこ
とが可能で、薄膜と多孔層の特性が違う膜を製造するこ
とができる。
【0046】次に、実施例により本発明を具体的に説明
する。
する。
【実施例1,2】 〔多孔体シートの調製〕市販のゼラチン〔粘度28m
p、ゼリー強度96g(6.66%)、(株)ニッピ
製〕の5%の水溶液に架橋剤としてグリセロールポリグ
リシジルエーテル(ナガセ化成工業(株)製)をゼラチ
ンの5重量%添加し溶解させた。この混合液を粘着テー
プで縁どりをした厚さ2mmのポリメチルメタクリレー
ト板に2g/64cm2 の量でキャストした後、5〜1
0℃に保った水平台上で20分間冷却ゲル化させた。こ
の後、ドライアイスを用いて−70℃に保持した板上に
乗せ下面より冷却して凍結させた後、25℃以下で凍結
乾燥した。乾燥終了後110℃で3時間熱処理した。
p、ゼリー強度96g(6.66%)、(株)ニッピ
製〕の5%の水溶液に架橋剤としてグリセロールポリグ
リシジルエーテル(ナガセ化成工業(株)製)をゼラチ
ンの5重量%添加し溶解させた。この混合液を粘着テー
プで縁どりをした厚さ2mmのポリメチルメタクリレー
ト板に2g/64cm2 の量でキャストした後、5〜1
0℃に保った水平台上で20分間冷却ゲル化させた。こ
の後、ドライアイスを用いて−70℃に保持した板上に
乗せ下面より冷却して凍結させた後、25℃以下で凍結
乾燥した。乾燥終了後110℃で3時間熱処理した。
【0047】〔二層性シートの製造〕多孔体シートの製
造に用いたゼラチンと架橋剤の混合液を多孔体シートの
製造に用いたのと同じポリメチルメタクリレート板に
1.5g/64cm2 又は3g/64cm2 の量で流延
し、これに70メッシュ/インチでオープニングエリア
65%のポリエステルモノフィラメント製メッシュ(N
BC工業(株)製、品番T−No. 70S)を浸漬した。
そして、5〜10℃に保った水平台上で20分間冷却ゲ
ル化させた。
造に用いたゼラチンと架橋剤の混合液を多孔体シートの
製造に用いたのと同じポリメチルメタクリレート板に
1.5g/64cm2 又は3g/64cm2 の量で流延
し、これに70メッシュ/インチでオープニングエリア
65%のポリエステルモノフィラメント製メッシュ(N
BC工業(株)製、品番T−No. 70S)を浸漬した。
そして、5〜10℃に保った水平台上で20分間冷却ゲ
ル化させた。
【0048】次に、このゲル化物の上に上記方法にて調
製した多孔体シートをポリメチルメタクリレート板に接
していた面がゲル化物に接触するように乗せ、10分間
放置した。そして、10℃×65%RHにて1夜風乾
後、110℃で3時間熱処理した。更に、50℃の水に
5時間浸漬洗浄した後、再び凍結乾燥した。
製した多孔体シートをポリメチルメタクリレート板に接
していた面がゲル化物に接触するように乗せ、10分間
放置した。そして、10℃×65%RHにて1夜風乾
後、110℃で3時間熱処理した。更に、50℃の水に
5時間浸漬洗浄した後、再び凍結乾燥した。
【0049】このシートをSEM観察したところ、全体
として多孔体のシートであって、片面に無孔性の薄膜、
他面は多数の開放孔を有する二層性構造であって、ポリ
エステル製のメッシュは無孔性の薄膜に一体化されてい
た。SEM写真より測定した開放孔の平均孔径は98μ
m×95μmであった。一方、薄膜の厚さは1.5g/
64cm2 で造膜したものは5.2μmであり、3g/
64cm2 で造膜したものは10.5μmであった。
として多孔体のシートであって、片面に無孔性の薄膜、
他面は多数の開放孔を有する二層性構造であって、ポリ
エステル製のメッシュは無孔性の薄膜に一体化されてい
た。SEM写真より測定した開放孔の平均孔径は98μ
m×95μmであった。一方、薄膜の厚さは1.5g/
64cm2 で造膜したものは5.2μmであり、3g/
64cm2 で造膜したものは10.5μmであった。
【0050】(細胞培養実験)このシートを直径30m
mの円形に切り抜き、高さ5mmの足のついた円筒型カ
ップの下面に接着し培養カップとした。培養カップは、
多孔体シートの薄膜面が上になるものと開放孔面が上に
なるものの二種を作成した。このカップを用いてヒト線
維芽細胞の培養を行った。カップを直径35mmのディ
ッシュに入れ、4×105 個のヒト線維芽細胞を1ml
の培養液に懸濁したものをカップに注入した。さらに2
mlの培養液を足し、37℃で1,4,8日間培養し
た。所定期間後、メタノール固定し、ギムザ染色を施
し、風乾後、光学顕微鏡にて細胞の形態を観察した。培
養液はダルベッコズモディファイドイーグルズメディウ
ムを用いた。
mの円形に切り抜き、高さ5mmの足のついた円筒型カ
ップの下面に接着し培養カップとした。培養カップは、
多孔体シートの薄膜面が上になるものと開放孔面が上に
なるものの二種を作成した。このカップを用いてヒト線
維芽細胞の培養を行った。カップを直径35mmのディ
ッシュに入れ、4×105 個のヒト線維芽細胞を1ml
の培養液に懸濁したものをカップに注入した。さらに2
mlの培養液を足し、37℃で1,4,8日間培養し
た。所定期間後、メタノール固定し、ギムザ染色を施
し、風乾後、光学顕微鏡にて細胞の形態を観察した。培
養液はダルベッコズモディファイドイーグルズメディウ
ムを用いた。
【0051】いずれの膜においても、良好な結果が得ら
れた。即ち、薄膜面でも開放孔面でも多数の細胞が接着
・進展し最長8日間に渡って良好な状態を維持した。開
放孔面で培養したものは壁面にも細胞が接着し三次元的
に培養された。培養実験期間中膜の伸展による凹凸や凹
形の変形は生じなかった。また、膜は全体として強度が
向上しているので非常に取り扱いやすいものであった。
れた。即ち、薄膜面でも開放孔面でも多数の細胞が接着
・進展し最長8日間に渡って良好な状態を維持した。開
放孔面で培養したものは壁面にも細胞が接着し三次元的
に培養された。培養実験期間中膜の伸展による凹凸や凹
形の変形は生じなかった。また、膜は全体として強度が
向上しているので非常に取り扱いやすいものであった。
【0052】
【比較例1】二層性シート製造時のゼラチンの流延量を
1g/64cm2 とした点及びポリエステルモノフィラメ
ント製メッシュを使用しない点以外は、実施例1と同様
にして二層性シートを製造した。このシートをSEM観
察したところ、全体として多孔体のシートであって、片
面に無孔性の薄膜、他面は多数の開放孔を有する二層性
構造であった。SEM写真より測定した開放孔の平均孔
径は98μm×93μmであった。一方、薄膜の厚さは
5.8μmであった。
1g/64cm2 とした点及びポリエステルモノフィラメ
ント製メッシュを使用しない点以外は、実施例1と同様
にして二層性シートを製造した。このシートをSEM観
察したところ、全体として多孔体のシートであって、片
面に無孔性の薄膜、他面は多数の開放孔を有する二層性
構造であった。SEM写真より測定した開放孔の平均孔
径は98μm×93μmであった。一方、薄膜の厚さは
5.8μmであった。
【0053】(細胞培養実験)これらのシートを用い
て、実施例1と同様に細胞培養実験を実施した。細胞培
養の状態は実施例1と同様良好であったが、膜は膨潤伸
展して凹形に変形し、ディッシュ底面に接触するものも
あった。また、膜の強度が低く取扱いには注意を要し
た。
て、実施例1と同様に細胞培養実験を実施した。細胞培
養の状態は実施例1と同様良好であったが、膜は膨潤伸
展して凹形に変形し、ディッシュ底面に接触するものも
あった。また、膜の強度が低く取扱いには注意を要し
た。
【0054】
【実施例3,4】 〔多孔体シートの調製〕架橋剤のグリセロールポリグリ
シジルエーテルをゼラチンの10重量%添加した以外
は、実施例1、2と同様にして多孔体シートを調製し
た。 〔二層性シートの製造〕上記多孔体シートを用いて、実
施例1、2と同様にして二層性シートを製造した。
シジルエーテルをゼラチンの10重量%添加した以外
は、実施例1、2と同様にして多孔体シートを調製し
た。 〔二層性シートの製造〕上記多孔体シートを用いて、実
施例1、2と同様にして二層性シートを製造した。
【0055】このシートをSEM観察したところ、全体
として多孔体のシートであって、片面に無孔性の薄膜、
他面は多数の開放孔を有する二層性構造であって、ポリ
エステル製のメッシュは無孔性の薄膜に一体化されてい
た。SEM写真より測定した開放孔の平均孔径は96μ
m×92μmであった。一方、薄膜の厚さは1.5g/
64cm2 で造膜したものは7.6μm,3g/64c
m2 で造膜したものは15.8μmであった。
として多孔体のシートであって、片面に無孔性の薄膜、
他面は多数の開放孔を有する二層性構造であって、ポリ
エステル製のメッシュは無孔性の薄膜に一体化されてい
た。SEM写真より測定した開放孔の平均孔径は96μ
m×92μmであった。一方、薄膜の厚さは1.5g/
64cm2 で造膜したものは7.6μm,3g/64c
m2 で造膜したものは15.8μmであった。
【0056】(細胞培養実験)これらのシートを用いて
実施例1、2と同様に細胞培養実験を行った。いずれの
膜も実施例1と同様の好結果を得た。
実施例1、2と同様に細胞培養実験を行った。いずれの
膜も実施例1と同様の好結果を得た。
【0057】
【比較例2】二層性シート製造時のゼラチンの流延量を
1g/64cm2 とした点及びポリエステルモノフィラメ
ント製メッシュを使用しない点以外は、実施例3と同様
にして二層性シートを製造した。このシートをSEM観
察したところ、全体として多孔体のシートであって、片
面に無孔性の薄膜、他面は多数の開放孔を有する二層性
構造であった。SEM写真より測定した開放孔の平均孔
径は96μm×91μmであった。一方、薄膜の厚さは
5.8μmであった。
1g/64cm2 とした点及びポリエステルモノフィラメ
ント製メッシュを使用しない点以外は、実施例3と同様
にして二層性シートを製造した。このシートをSEM観
察したところ、全体として多孔体のシートであって、片
面に無孔性の薄膜、他面は多数の開放孔を有する二層性
構造であった。SEM写真より測定した開放孔の平均孔
径は96μm×91μmであった。一方、薄膜の厚さは
5.8μmであった。
【0058】(細胞培養実験)これらのシートを用いて
実施例1と同様に細胞培養実験を行った。細胞培養の状
態は実施例1と同様良好であったが、膜は膨潤伸展して
凹形に変形し、ディッシュ底面に接触するものもあっ
た。また、膜の強度が低く取扱いには注意を要した。
実施例1と同様に細胞培養実験を行った。細胞培養の状
態は実施例1と同様良好であったが、膜は膨潤伸展して
凹形に変形し、ディッシュ底面に接触するものもあっ
た。また、膜の強度が低く取扱いには注意を要した。
【0059】
【実施例5,6】 〔多孔体シートの調製〕実施例1、2と同様にして多孔
体シートを調製した。
体シートを調製した。
【0060】〔二層性シートの調製〕市販のゼラチン
〔粘度52mp、ゼリー強度220g(6.66%)、
(株)ニッピ製〕の1.5%の水溶液に架橋剤としてグ
リセロールポリグリシジルエーテル(ナガセ化成工業
(株)製)をゼラチンの5重量%添加し溶解させた。こ
の混合液を多孔体シートの製造に用いたのと同じポリメ
チルメタクリレート板に2g/64cm2 又は2.5g
/64cm2 の量で流延し、これに、前者の場合は28
メッシュ/インチ、オープニングエリア63%、後者の
場合は18メッシュ/インチ、オープニングエリア61
%のポリエステルモノフィラメント製メッシュ(いずれ
もNBC工業(株)製、品番T−No. 70S)を浸漬し
た。そして、5〜10℃に保った水平台上で20分間冷
却ゲル化させた。この後、実施例1、2と同様にして二
層性シートを製造した。
〔粘度52mp、ゼリー強度220g(6.66%)、
(株)ニッピ製〕の1.5%の水溶液に架橋剤としてグ
リセロールポリグリシジルエーテル(ナガセ化成工業
(株)製)をゼラチンの5重量%添加し溶解させた。こ
の混合液を多孔体シートの製造に用いたのと同じポリメ
チルメタクリレート板に2g/64cm2 又は2.5g
/64cm2 の量で流延し、これに、前者の場合は28
メッシュ/インチ、オープニングエリア63%、後者の
場合は18メッシュ/インチ、オープニングエリア61
%のポリエステルモノフィラメント製メッシュ(いずれ
もNBC工業(株)製、品番T−No. 70S)を浸漬し
た。そして、5〜10℃に保った水平台上で20分間冷
却ゲル化させた。この後、実施例1、2と同様にして二
層性シートを製造した。
【0061】このシートをSEM観察したところ、全体
として多孔体のシートであって、片面に無孔性の薄膜、
他面は多数の開放孔を有する二層性構造であって、ポリ
エステル製のメッシュは無孔性の薄膜に一体化されてい
た。SEM写真より測定した開放孔の平均孔径は98μ
m×95μmであった。一方、薄膜の厚さは2g/64
cm2 で造膜し、28メッシュ/インチのメッシュを用
いたものは1.3μmであり、2.5g/64cm2 で
造膜し、18メッシュ/インチのメッシュを用いたもの
は2.3μmであった。これらのシートを用いた実施例
1、2と同様に細胞培養実験を行った。いずれの膜も好
結果を得た。
として多孔体のシートであって、片面に無孔性の薄膜、
他面は多数の開放孔を有する二層性構造であって、ポリ
エステル製のメッシュは無孔性の薄膜に一体化されてい
た。SEM写真より測定した開放孔の平均孔径は98μ
m×95μmであった。一方、薄膜の厚さは2g/64
cm2 で造膜し、28メッシュ/インチのメッシュを用
いたものは1.3μmであり、2.5g/64cm2 で
造膜し、18メッシュ/インチのメッシュを用いたもの
は2.3μmであった。これらのシートを用いた実施例
1、2と同様に細胞培養実験を行った。いずれの膜も好
結果を得た。
【図1】本発明の二層性蛋白質シートを緻密な薄膜側か
ら見た平面の様子を示す説明図。
ら見た平面の様子を示す説明図。
【図2】本発明の二層性蛋白質シートを開放孔を有する
面から見た平面の様子を示す説明図。
面から見た平面の様子を示す説明図。
【図3】本発明の二層性蛋白質シートを第1図のABで
切断した断面構造を示す説明図。
切断した断面構造を示す説明図。
1 緻密な薄膜 2 開放孔面 3 壁面 4 開放孔 5 メッシュ
Claims (2)
- 【請求項1】 蛋白質よりなる二層性シートであって、
一方の面が緻密な薄膜により形成され、他方の面が開放
孔を有する壁面により形成されており、且つ、緻密な薄
膜に繊維構造体が一体化してなることを特徴とする二層
性蛋白質シート。 - 【請求項2】 繊維構造体を含有する蛋白質のシート状
ゲル化物の片面に、少なくとも一方の面が開放孔を有す
る壁面により形成された蛋白質の多孔体シートを、開放
孔を有する面が残存するように重ね、該ゲル化物を乾燥
し、薄膜を形成させるとともに、重ね合わせた該多孔体
シートと接合一体化させることを特徴とする二層性蛋白
質シートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3358808A JPH05176983A (ja) | 1991-12-26 | 1991-12-26 | 二層性蛋白質シート及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3358808A JPH05176983A (ja) | 1991-12-26 | 1991-12-26 | 二層性蛋白質シート及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05176983A true JPH05176983A (ja) | 1993-07-20 |
Family
ID=18461222
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3358808A Pending JPH05176983A (ja) | 1991-12-26 | 1991-12-26 | 二層性蛋白質シート及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05176983A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002526207A (ja) * | 1998-09-18 | 2002-08-20 | イムデ ビオマテリオー | 二重複合コラーゲン性材料、その取得方法及び療法的適用 |
JP2011036320A (ja) * | 2009-08-07 | 2011-02-24 | Rie Tsuchiya | 軟骨用移植材 |
WO2014115732A1 (ja) * | 2013-01-25 | 2014-07-31 | 富士フイルム株式会社 | 移植用人工真皮およびその製造方法 |
JP2015164526A (ja) * | 2014-02-14 | 2015-09-17 | 瀚醫生技股▲分▼有限公司 | 二層複合材料を形成する方法、その方法で形成された二層複合材料、二層複合材料を含む生物医学機器 |
WO2024053602A1 (ja) * | 2022-09-06 | 2024-03-14 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | 多孔質シート、組織接着膜、これらの止血剤もしくは癒着防止材としての使用、およびこれらの製造方法 |
-
1991
- 1991-12-26 JP JP3358808A patent/JPH05176983A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002526207A (ja) * | 1998-09-18 | 2002-08-20 | イムデ ビオマテリオー | 二重複合コラーゲン性材料、その取得方法及び療法的適用 |
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WO2014115732A1 (ja) * | 2013-01-25 | 2014-07-31 | 富士フイルム株式会社 | 移植用人工真皮およびその製造方法 |
CN104902934A (zh) * | 2013-01-25 | 2015-09-09 | 富士胶片株式会社 | 移植用人工真皮及其制造方法 |
JPWO2014115732A1 (ja) * | 2013-01-25 | 2017-01-26 | 富士フイルム株式会社 | 移植用人工真皮およびその製造方法 |
JP2015164526A (ja) * | 2014-02-14 | 2015-09-17 | 瀚醫生技股▲分▼有限公司 | 二層複合材料を形成する方法、その方法で形成された二層複合材料、二層複合材料を含む生物医学機器 |
WO2024053602A1 (ja) * | 2022-09-06 | 2024-03-14 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | 多孔質シート、組織接着膜、これらの止血剤もしくは癒着防止材としての使用、およびこれらの製造方法 |
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