JPH0517662U - 定着装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】定着装置の構造を単純化することにより、定着
装置の低廉化及び小型化をはかり、ひいては該定着装置
を組み込んだ複写機やファクシミリ、レーザプリンタ等
の低廉化及び小型化をはからんとするものである。 【構成】回転するヒートローラと該ヒートローラ表面に
接触させた板状弾性部材とから構成され、ヒートローラ
と板状弾性部材との間にトナー像が転写された記録紙を
挟圧状態で通過させる定着装置を構成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、複写機、ファクシミリ、レーザプリンタ等の電子写真方式の装置に おいて、記録紙上に転写したトナー像を定着させる為に設けられた定着装置に関 する。

【０００２】

【従来の技術】

複写機、ファクシミリ、レーザプリンタ等の電子写真方式の装置においては、 現像装置の感光ドラムから記録紙上に転写されたトナー像を、記録紙に熱定着若 しくは圧定着させる必要がある。従来の定着装置は、例えば図10及び図11に示す 如く、熱源を有するヒートローラーＡと、押え部材である表面に耐熱性樹脂を被 覆した押さえローラＢを対設して構成され、ヒートローラーＡと押さえローラー Ｂ間にトナー像を転写した記録紙Ｃを通過させることによってトナーの定着を行 う。

【０００３】 ヒートローラーＡとしては、図例の如く赤外線ランプやハロゲンランプ等の熱 源ａを表面に耐熱性樹脂層ｂを被覆した熱伝導良好な金属製スリーブｂの軸心位 置に内装した間接加熱タイプのものと、図示しないが円筒状の絶縁体表面に導電 性材料よりなる発熱層を形成し、該発熱層に通電する直接加熱タイプのものとが ある。一方、押さえローラーＢは金属製軸芯ｅの外表面に耐熱性樹脂より形成さ れた厚肉の樹脂層ｆを形成した構成であり、樹脂層ｆとしては全体がシリコン樹 脂で形成されたものや、全体がシリコン発泡体から形成されたもの、さらにはシ リコン発泡体の外面にシリコン樹脂を被覆したもの等が採用されている。そして このようにして構成された押さえローラーＢは、軸芯両端を回転可能に軸支され 、ヒートローラＡの回転に追従して回転することによって、ヒートローラＡと押 さえローラーＢ間にトナーが転写された記録紙Ｃを引き込み、両ローラで加圧す ることによってトナーを熱定着或いは圧定着させている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら押さえローラーは、金属製の軸芯表面に軸方向及び円周方向にわ たって均一厚さの樹脂層を形成する必要があって加工費が高価であるうえに、軸 芯を回転可能に支持する機構も必要であることから、装置が複雑で組み立て費用 も嵩む問題があり、又、押さえローラー並びに該押さえローラーを回転可能に支 持する機構は一定の大きさを有することから、定着装置の小型化にも限界があっ た。又、ヒートローラと押さえローラーとより構成される定着装置においては、 紙を両ローラ間に引き込む為のペーパーガイドＧが別途必要となり、この存在が 定着装置を含む周辺装置の小型化を阻む要因となっていた。本考案はかかる現況 に鑑みてなされたものであり、定着装置の低廉化及び小型化をはかることが可能 であるとともに、ペーパーガイドＧも除去し得る定着装置を提供せんとするもの である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

かかる課題を解決した本考案の定着装置は、ヒートローラ表面に押圧状態で接 触する板状弾性部材を設け、該板状弾性部材を回転式押さえローラーの代わりと して用いたことを特徴としている。

【０００６】 板状弾性部材としては、それ自体が弾性復原力を有するもの、あるいは別途設 けたバネ等の弾性伸縮部材によって弾性復原力を付与されるもののいずれを使用 することも可能で、例えば、それ自体が弾性復元力を有するものとしては、給紙 方向前方に位置する片端が固定支持され、他端が遊端とされた板状弾性部材など が採用される。

【０００７】 又、板状弾性部材における少なくともヒートローラと接触する部分には耐熱性 並びに滑性に優れた樹脂層を設けることが好ましい。更に、板状弾性部材におけ る給紙方向前方側に形成した延設部をペーパーガイドとして利用してもよい。

【０００８】

【作用】 このような構成の定着装置は、回転しているヒートローラと該ヒートローラに 圧接する板状部材との間に記録紙が供給されると、両部材間に記録紙が引き込ま れてトナーの熱定着が行われる。板状弾性部材は弾性変形可能な状態でヒートロ ーラに当接しているから記録紙は幅方向にわたって均一な加圧と加熱を受け、ト ナーの定着が確実に行われる。

【０００９】 又、板状弾性部材における少なくともヒートローラと接触する部分に滑性に優 れた耐熱性樹脂層を設けたときには、記録紙の送りをより円滑にできるとともに 耐久性も向上できる。更に、板状弾性部材における給紙方向前方に向かってなだ らかに湾曲する延設部を形成すれば、ローラと板状弾性部材間への給紙は該延設 部上面に沿わせて行うことができるので、板状弾性部材にペーパーガイドの機能 を兼用させることができる。

【００１０】

【実施例】

次に本考案の詳細を図示した実施例に基づき説明する。図１は本考案の定着装 置の１実施例を示す説明用斜視図である。本考案の定着装置はヒートローラＡに 板状弾性部材１を押圧状態で当接させて構成される。ヒートローラＡは、管状熱 源を金属製スリーブに内装した間接加熱タイプのもの及び円筒体表面に形成した 発熱層に直接通電する直接加熱タイプのもののいずれを用いることも任意である 。本考案は従来の回転式押さえローラーに代えて、ヒートローラ表面に押圧状態 で接触する板状弾性部材を用いたことを特徴としている。板状弾性部材１として は例えば、図１（イ),（ロ）に示す如く、給紙方向前方に位置する片端がビス等 の固定手段２により固定支持され、他端が遊端とされた波板状の部材が使用可能 である。固定手段としては他のものを用いることも勿論可能である。図２（イ), （ロ）は、本考案のより好ましい実施例であり、板状弾性部材１における給紙方 向前方側になだらかな湾曲面を有する延設部３を形成し、該延設部３を記録紙を 引き込む為のペーパーガイドとして利用した場合である。

【００１１】 板状弾性部材１は、例えば図３に示す如くそれ自体で弾性復原力を有するもの が使用され、遊端側表面がヒートローラＡ表面に適度な押圧力を有して接触しう るように構成されている。板状弾性部材１の遊端側表面は幅方向にわたって均一 に加工され、ヒートローラＡと板状弾性部材１間を通過する記録紙を幅方向全幅 にわたって均等に加圧できるように構成されている。板状弾性部材１の材質とし ては、例えば、鋼系、ステンレス系、リン青銅系等が採用される。又、板状弾性 部材１はヒートローラＡと接触することから耐熱性に優れたものであることが好 ましく、特に高温環境化に長時間晒されても弾性力が劣化しないものが好ましい 。又、記録紙は回転するヒートローラＡと静止している板状弾性部材１間を通過 し、板状弾性部材表面を滑りながら移動することから、板状弾性部材１の表面は 滑性に優れている必要があり、この為、板状弾性部材１の表面の摩擦係数は少な くする必要がある。

【００１２】 図４（イ）は、板状弾性部材表面の耐熱性及び滑性を高める為に板状弾性部材 １の表面に滑性に優れた耐熱性樹脂４を被覆した場合である。樹脂としてはシリ コン樹脂やテフロン樹脂（四弗化エチレン）等が使用可能であり、被覆の方法と しては、表面コーティングや樹脂フィルムの巻き付け等が採用される。又、板状 弾性部材１の全表面を被覆するのではなく、図４（ロ）に示す如く、板状弾性部 材１表面における記録紙の通過箇所のみに被覆することや、ヒートローラと直接 接触する部分のみを被覆するようにしてもよい。

【００１３】 図５は本考案の他の実施例であり、板状弾性部材１の遊端側に押しバネ５を介 在させて板状弾性部材１をヒートローラＡ表面に押圧した場合である。この場合 、板状弾性部材１の弾性復原作用は押しバネによって補助されるので板状弾性部 材１の金属疲労は軽減され、又、板状弾性部材１の押圧力の調整も押しバネ５の バネ圧設定により行うことができる。

【００１４】 図６（イ),（ロ),（ハ）は、板状弾性部材１の長手方向両端のそれぞれとヒー トローラＡのシャフト両端のそれぞれとの間に引きバネ６，６を張設し、板状弾 性部材１をヒートローラＡ側に引っ張ることによって板状弾性部材１をヒートロ ーラＡ表面に当接させた場合である。図示しないが、本板状弾性部材１において も給紙方向前方に向かってなだらかに湾曲した延設部を形成してペーパーガイド の機能を兼用させることも可能である。図７は、前記実施例における板状弾性部 材１の長手方向一端を固定支持して、板状弾性部材１の長手方向の片端のみを引 きバネによって牽引した場合である。

【００１５】 このような構成の定着装置の使用状態は、例えば図２として示した代表的実施 例の場合は図８として示される。即ち、回転しているヒートローラＡと板状弾性 部材１間にトナーが転写された記録紙Ｃが供給されると、該記録紙Ｃは延設部３ に沿って案内されながらヒートローラＡと板状弾性部材１間に引き込まれる。板 状弾性部材１表面は滑性に優れているとともに板状弾性部材１は適度な押圧力で ヒートローラＡ表面に圧接しているから、記録紙Ｃは板状弾性部材１の表面を滑 りながらヒートローラＡとの間を挟圧状態で通過し、トナーはこの通過過程で記 録紙上に定着される。又、図９として示すものは、延設部を設けていない板状弾 性部材１を用いた場合の使用状態であり、この場合は、記録紙Ｃを案内する為に 定着装置の前方にペーパーガイドＧや引き込み用のローラー（図示せず）を別途 設けることが好ましい。

【００１６】 このように、本考案の定着装置は回転式押さえローラーの代わりに、ヒートロ ーラＡ表面に適度な押圧力を有して圧接する板状弾性部材を用いたので、装置構 成が著しく単純化して、定着装置の小型化及び低価格化が可能となり、ひいては 定着装置を組み込む複写機やファクシミリ等の小型化並びに低価格化に寄与する ことができる。又、板状弾性部材１は給紙方向前方に延設部を設けることによっ てペーパーガイドを兼ねることもできるから、この場合はペーパーガイドを別途 設ける必要がなくなり、全体装置の小型化及び低価格化をより一層はかることが できる。

【００１７】

【考案の効果】

本考案の定着装置は従来の回転式押さえローラーの代わりに、ヒートローラ表 面に適度な押圧力で圧接する板状弾性部材を用い、ヒートローラと板状弾性部材 間にトナー像が転写された記録紙を挟圧状態で通過させることによって、定着さ せることとしたから、装置構造が簡単となり定着装置の小型化及び低価格化がは かれ、ひいては該定着装置を組み込んだ複写機やファクシミリ等の小型化及び低 価格化が可能となる。

【００１８】 又、板状弾性部材における給紙方向前方になだらかに湾曲した延設部を形成し たときには、該延設部を記録紙案内用のペーパーガイドとして用いることができ るので、ペーパーガイドを別途設ける必要がなくなり、全体装置の小型化、低価 格化がより一層はかれる。

【００１９】 又、板状弾性部材における少なくともヒートローラと接触する部分に滑性に優 れた耐熱性樹脂を被覆した場合は、記録紙の通過が円滑に行われるとともに、板 状弾性部材の熱劣化が抑止され定着装置の長寿命化が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（イ）は本考案の定着装置の１実施例を示す説
明用斜視図、（ロ）は同実施例の簡略断面説明図

【図２】（イ）は本考案の定着装置の代表的実施例を示
す説明用斜視図、（ロ）は同実施例の簡略断面説明図

【図３】板状弾性部材の動きを示す断面説明図

【図４】（イ),（ロ）は板状弾性部材の他の実施例を示
す断面説明図

【図５】定着装置の他の実施例を示す簡略断面説明図

【図６】（イ）は定着装置の他の実施例を示す説明用斜
視図、（ロ）は同実施例の部分端面正面図、（ハ）は同
実施例の簡略断面説明図

【図７】定着装置の他の実施例を示す部分端面正面図

【図８】定着装置の使用状態を示す説明図

【図９】定着装置の使用状態を示す説明図

【図10】従来の定着装置の概要を示す説明用斜視図

【図11】従来の定着装置の概要を示す簡略断面説明図

【符号の説明】

Ａ ヒートローラー Ｂ 押えローラー Ｃ 記録紙 Ｇ ペーパーガイド １ 板状弾性部材 ２ 固定手段 ３ 延設部 ４ 耐熱性樹脂 ５ 押しバネ ６ 引きバネ

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】回転するヒートローラと該ヒートローラ表
   面に接触させた板状弾性部材とから構成され、ヒートロ
   ーラと板状弾性部材との間にトナー像が転写された記録
   紙を挟圧状態で通過させてなる定着装置。
2. 【請求項２】給紙方向前方に位置する片端が固定支持さ
   れ、他端が遊端とされた板状弾性部材の遊端側表面を当
   該板材自体の弾性復原力でヒートローラ表面に圧接して
   なる請求項１記載の定着装置。
3. 【請求項３】バネ等の弾性伸縮部材によって板状弾性部
   材をヒートローラ表面に押圧してなる請求項１記載の定
   着装置。
4. 【請求項４】板状弾性部材表面における少なくともヒー
   トローラと接触する部分に滑性に優れた耐熱性樹脂層を
   形成してなる請求項１，２又は３記載の定着装置。
5. 【請求項５】板状弾性部材における給紙方向前方側にな
   だらかに湾曲した延設部を形成し、該延設部をペーパー
   ガイドとして利用してなる請求項１，２，３又は４記載
   の定着装置。