JPH0517418Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は内燃機関、特にデイーゼルエンジンに
用いられる燃料噴射ノズルに関する。

（従来技術及びその問題点） 近時、エンジンは小型化、高圧化及び高速化の
傾向にあり、小型化の対策の一つとしてエンジン
のシリンダヘツドに挿入される燃料噴射ノズルの
小径化が有効である。特に、エンジンの高圧化、
高速化を図るために、例えば、４バルブのバルブ
型式が採用されたような場合には、シリンダヘツ
ドのスペースが限られてしまうため、上記燃料噴
射ノズルの小径化の要請は非常に顕著となる。

このような要請に応え得るものとして、燃料噴
射ポンプに接続される燃料流入口を有する本体
と、該本体内に燃料圧力に応じてその噴口を開閉
し得るように摺動自在に嵌装されたニードル弁と
を備え、前記燃料流入口と前記噴口とが前記本体
の内周面と前記ニードル弁の外周面との間の間〓
を介して連通されて成る燃料噴射ノズルが、例え
ば実公昭53−33042号公報に開示されている。し
かしながら、該従来の燃料噴射ノズルは、燃料圧
力が開弁圧に達したときに急激に開弁するので、
噴射率が高く噴射時間が短いために、特に直接噴
射式のデイーゼルエンジンに適用された場合に
は、燃焼が短時間となることにより燃焼騒音が大
きく、また、不斉噴射が発生し易いため、燃焼バ
ラツキやハンチングが起こり易いという問題があ
つた。また、噴射終了後の溢流燃料の排出通路を
前記本体の壁部内に設ける場合には、該本体の肉
厚を厚くしなければならず、その分だけ燃料噴射
ノズル全体が太くなつてしまうため、その小径化
を図る上での障害となつていた。

（考案の目的） 本考案は上記従来技術の問題点を解決するため
になされたものであり、燃焼騒音、燃焼バラツキ
の低減及び小型化を図ることができるようにした
燃料噴射ノズルを提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記目的を達成するため、周側面所定
箇所に燃料流入口を有し且つ先端面に噴口を有す
るとともに内部軸心に沿つてニードル弁嵌装孔及
びばね室をそれぞれ連続して設けた小径長軸管状
の本体と、前記燃料流入口に接続されて燃料噴射
ポンプからの燃料を導く連通管と、該本体のニー
ドル弁嵌装孔内に前記噴口を開閉し得るように摺
動可能に且つその外周面と前記ニードル弁嵌装孔
内周面との間に前記燃料流入口と前記噴口との間
を連通する間〓を存して嵌装されたニードル弁
と、前記本体のばね室内に設けた第１固定ばね座
と前記ニードル弁の上端側にこれと一体に摺動し
得るように配設された第１可動ばね座との間に介
装されて前記ニードル弁を閉弁方向に付勢する第
１ノズルばねと、前記本体のばね室内に位置して
下端面が閉弁位置における前記第１可動ばね座の
上端面と初期噴射開弁リフト用間〓を存して対向
して摺動可能に配設されたプツシユロツドと、前
記本体のばね室内に設けた第２固定ばね座と前記
プツシユロツドの上端側にこれと一体に摺動し得
るように配設された第２可動ばね座との間に介装
されて前記プツシユロツドを前記ニードル弁側に
付勢する第２ノズルばねと、前記本体のばね室内
に位置して下端面が閉弁位置における前記プツシ
ユロツドの上端面との間に主噴射開弁リフト用間
〓を存して対向して配設された主噴射リフト量調
整部材と、前記本体の上端側に設けられた燃料溢
流口とを具備し、前記主噴射リフト量調整部材
は、少なくともその下端側を中実構造とするとと
もに上端側に前記ばね室内と前記燃料溢流口との
間を連通する連通路を設けて成るものである。

（作用） 燃料圧力が第１ノズルばねの付勢力より大きく
なるとニードル弁が初期噴射開弁リフト用間〓分
だけ開弁方向に移動することにより、低噴射圧、
小噴射量の初期噴射が行われるとともに、燃料圧
力が第１ノズルばね及び第２ノズルばねの付勢力
の和より大きくなると、ニードル弁が主噴射開弁
リフト用間〓分だけ更に開弁方向に移動すること
により、高噴射圧、大噴射量の主噴射が行われ
る。また、主噴射リフト量調整部材は、その少な
くとも下端側が中実であるので、第２の可動ばね
座が当接しても、その強度が確保されるととも
に、他端側に、ばね室内の溢流燃料を本体の燃料
溢流口へ排出し得るように連通路が設けられるの
で、本体の壁部が薄くて済む。

また、本体に燃料流入口を設け、この燃料流入
口に燃料ポンプから供給される燃料を導く連通管
を接続したので、本体に燃料導入路を穿設したも
のに較べ、本体の肉厚を薄くできる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を、図面を参照しながら
説明する。第１図は本考案の第１実施例を示す燃
料噴射ノズルの縦断面図である。同図中１は燃料
噴射ノズルの本体を示し、該本体１は小径長軸管
状をなしている。該本体１はノズルホルダ２と、
該ノズルホルダ２の上端部に連結された案内スリ
ーブ１１とから成る。該ノズルホルダ２にはその
下端側（先端側）に向かつて順次減径された第１
乃至第３嵌装孔２ａ，２ｂ，２ｃ及び該第３嵌装
孔２ｃより大径の第４嵌装孔２ｄが同心的に連設
されて、ニードル弁嵌装孔２ｆを形成している。
該第４嵌装孔２ｄには先端に複数個の噴口３ａが
形成されたノズルチツプ３が嵌着固定されてい
る。また、前記ノズルホルダ２の周側壁には前記
第２嵌装孔２ｂに開口する燃料流入口２ｅが設け
られ、該燃料流入口２ｅには連通管４の一端部４
ａが接続されている。該連通管４は側面略Ｌ字状
をなし、その屈曲部より他端部４ｂ側は前記ノズ
ルホルダ２と平行となつて上方に延出している。
前記連通管４の他端部４ｂは図示しない燃料噴射
ポンプの吐出口に接続されている。

前記ノズルホルダ２内にはニードル弁５が摺動
自在に嵌装されている。該ニードル弁５は上端側
（図中左側）より順に頭部５ａ、中間部５ｂ及び
脚部５ｃより成る。該ニードル弁５の頭部５ａは
前記ノズルホルダ２の第１嵌装孔２ａの下端部内
周面に嵌着固定されたニードル弁案内ブツシユ６
の内周面に摺動自在に密嵌されている。前記ニー
ドル弁５の中間部５ｂは、前記ノズルホルダ２の
第２嵌装孔２ｂ内に遊嵌されており、該第２嵌装
孔２ｂの壁面との間に燃料溜室７を画成してい
る。前記ニードル弁５の脚部５ｃは、前記頭部５
ａより小径で中間部５ｂより大径とされ、その上
端部は前記ノズルホルダ２の第２嵌装孔２ｂ内に
延出するとともに、下端部は前記ノズルチツプ３
の嵌装孔３ｂ内に嵌装され、先端の弁体５ｄはそ
の閉弁時に前記ノズルチツプ３の弁座３ｃに当接
している。前記ニードル弁５の脚部５ｃの外周面
と前記ノズルホルダ２の第３嵌装孔２ｃの内周面
との間には所定の間〓を存しており、該間〓部分
が前記燃料溜室７と前記ノズルチツプ３の噴口３
ａとを連通する燃料供給通路８となつている。

前記ニードル弁５の頭部５ａの上端部は、前記
ニードル弁案内ブツシユ６より上方に延出してお
り、その上端面は球面状に形成されている。該頭
部５ａの上端面は、第１可動ばね座９の下側面に
当接している。該第１可動ばねは、短軸ピン状の
主体９ｂの下側外周面に鍔９ａを一体に突設して
成り、該主体９ｂ及び鍔９ａの下側面は、前記ニ
ードル弁５の頭部５ａの上端面よりも曲率の若干
大なる球面状に形成されているとともに、該鍔９
ａの外周面と前記ノズルホルダ２の第１嵌装孔２
ａの内周面との間には、所定の間〓を存してい
る。

前記ノズルホルダ２の第１嵌装孔２ａの上端側
内周面には、中間ブツシユ１０が嵌合固定されて
いる。該中間ブツシユ１０は主体１０ａの上端に
鍔１０ｂを突設して成る。該中間ブツシユ１０
は、その主体１０ａの外周面が前記第１嵌装孔２
ａの内周面に、該鍔１０ｂの内側面が前記第１嵌
装孔２ａの上端面にそれぞれ当接した状態で、且
つ案内スリーブ１１の段部１１ａが前記鍔１０ｂ
の外側面に当接した状態で、該案内スリーブ１１
の大径部１１ｂ内周面が前記ノズルホルダ２の上
端側外周面に螺着されることにより、該ノズルホ
ルダ２に固定されている。前記案内スリーブ１１
の下端側内周面と前記ノズルホルダ２の外周面と
の間には、両者間を液密にシールするＯリング２
７が介装されている。前記第１嵌装孔２ａ内の前
記中間ブツシユ１０の下端面は第１固定ばね座と
され、該中間ブツシユ１０の下端面と前記第１可
動ばね座９の鍔９ａとの対向面間には、第１ノズ
ルばね嵌装室（ばね室）１２が形成されている。
該第１ノズルばね嵌装室１２にはコイル状の第１
ノズルばね１３が嵌装されており、該第１ノズル
ばね１３によつて前記第１可動ばね座９は前記ニ
ードル弁５方向（図中右方向）に付勢されてい
る。前記中間ブツシユ１０の下端面と前記第１ノ
ズルばね１３の上端部との間には、該第１ノズル
ばね１３の付勢力を調整する所定の厚さの第１開
弁圧（初期噴射開弁圧）調整用シム１４が介装さ
れている。

前記中間ブツシユ１０の中心孔１０ｄ内には、
プツシユロツド１５が摺動自在に嵌装されてい
る。該プツシユロツド１５の下端側は前記第１ノ
ズルばね嵌装室１２内に延出し、その下端面と前
記第１可動ばね座９の主体９ａの上端面との間
は、前記ニードル弁５の閉弁時に所定長さ、即ち
初期噴射開弁リフト用間〓l′だけ離間している。
前記プツシユロツド１５の上端側は、前記中間ブ
ツシユ１０の上端面より上方に延出して、前記案
内スリーブ１１の小径部１１ｃ内に位置してい
る。前記プツシユロツド１５の上端外周面には、
鍔状の第２可動ばね座１５ａが一体に突設され、
該第２可動ばね座１５ａの下端面が前記中間ブツ
シユ１０の上端面に当接することにより、前記プ
ツシユロツド１５の下限位置が規制される。前記
第２可動ばね座１５ａの下端面と前記中間ブツシ
ユ１０の上端面との間には、プレリフト（初期噴
射開弁リフト）量を調整する所定の厚さのプレリ
フト調整用シム１６が介装されている。

前記案内スリーブ１１の小径部１１ｃの上端側
内周面には、雌ねじ部１１ｄが形成されており、
該雌ねじ部１１ｄに第２開弁圧（主噴射開弁圧）
調整用ねじ部材１７が螺着されている。該第２開
弁圧調整用ねじ部材１７は筒状をなし、外周面及
び内周面に雄ねじ部１７ａ及び雌ねじ部１７ｂが
それぞれ軸線方向全体にわたつて形成されてい
る。前記第２開弁圧調整用ねじ部材１７の下端面
は第２固定ばね座とされ、該第２開弁圧調整用ね
じ部材１７の下端面と前記第２可動ばね座１５ａ
との対向面間には、第２ノズルばね嵌装室（ばね
室）１８が形成されている。該第２ノズルばね嵌
装室１８には第２ノズルばね１９が嵌装されてお
り、該第２ノズルばね１９によつて前記第２可動
ばね座１５ａは閉弁方向（図中右方向）に付勢さ
れている。前記第２ノズルばね嵌装室１８と前記
第１ノズルばね嵌装室１２との間は、前記中間ブ
ツシユ１０の外周面に軸線方向に沿つて形成され
た燃料溢流ポート１０ｃによつて連通されてい
る。前記第２開弁圧調整用ねじ部材１７は、その
雄ねじ部１７ａに螺合されたロツクナツト２０に
よつて前記案内スリーブ１１に固定されている。

前記第２開弁圧調整用ねじ部材１７の内周面に
は、メインリフト（主噴射開弁リフト）調整用ね
じ部材（主噴射リフト量調整部材）２１が螺着さ
れている。該メインリフト調整用ねじ部材２１は
軸線方向略中間部より上端側が大径部２１ｂ、下
端側が小径部２１ｃとされ、該大径部２１ｂの外
周面には雄ねじ部２１ａが形成されている。該小
径部２１ｃは前記第２ノズルばね嵌装室１８内に
延出し、その下端面と前記プツシユロツド１５の
上端面との間は、該第２可動ばね座１５ａが閉弁
方向（下降方向）移動限界位置にあるとき、所定
長さ、即ち主噴射開弁リフト用間〓ｌだけ離間し
ている。前記メインリフト調整用ねじ部材２１
は、その小径部２１ｃの軸線方向略中間部より下
端側が中実とされるとともに、該小径部２１ｃの
軸線方向略中間部から前記大径部２１ｂの上端面
にわたつて、連通孔２１ｄが同心的に穿設されて
いる。該連通孔２１ｄの上端部は排出口２１ｅと
されている。また、前記小径部２１ｃの周側壁に
は、径方向に貫通して前記連通孔２１ｄに開口す
る連通ポート２１ｆが穿設されている。前記連通
孔２１ｄ及び連通ポート２１ｆは、本実施例にお
いて溢流燃料の連通路を構成するものであり、該
連通ポート２１ｆを介して前記連通孔２１ｄと前
記第２ノズルばね嵌装室１８との間が連通されて
いる。

前記案内スリーブ１１の小径部１１ｃの外周に
は、その軸線方向略中間部から上端部にわたつて
固定部材２２が嵌合されている。該固定部材２２
は短軸円筒状をなし、その内孔は下端側に位置す
るテーパ部２２ａを介して上端側が下端側よりも
大径とされており、該大径部２２ｂには雌ねじ部
２２ｃが形成されている。該雌ねじ部２２ｃには
燃料溢流用ニツプル２３の雄ねじ部２３ａが螺合
されている。該燃料溢流用ニツプル２３は、一端
が開口した筒状の主体２３ｂの閉塞端側周側面に
燃料溢流口２３ｃを突設して成り、該主体２３ｂ
の開口端側外周面に前記雄ねじ部２３ａが形成さ
れている。

前記燃料溢流用ニツプル２３は、その主体２３
ｂが前記案内スリーブ１１の上端部、前記第２開
弁圧調整用ねじ部材１７及び前記メインリフト調
整用雄ねじ部材２１の排出口２１ｅを覆うように
且つこれらと間〓を存するように設けられてお
り、該間〓部分が前記主体２３ｂの内孔２３ｄを
形成している。前記案内スリーブ１１の外周面、
前記固定部材２２の内周面及び前記燃料溢流用ニ
ツプル２３の下端面との間には、これらの間を液
密にシールするゴム製のパツキン２６が介装され
ている。

前記燃料溢流ニツプル２３の燃料溢流口２３ｃ
の一端は、前記主体２３の内孔２３ｄを介して、
前記メインリフト調整用ねじ部材２１の排出口２
１ｅに連通するとともに、他端は図示しない燃料
タンクに連通している。

なお、同図中２８は前記燃料噴射ノズルをエン
ジンに取り付けるための固定用プレートである。

次に上記構成による本考案の燃料噴射ノズルの
作用を説明する。

燃料噴射ポンプが運転されていない場合には、
燃料噴射ノズル１は第１図に示す状態となつてい
る。即ち、燃料噴射ポンプが運転されておらず、
燃料が圧送されていない場合には、第１可動ばね
座９は第１ノズルばね１３の付勢力によつて、第
２可動ばね座１５ａは第２ノズルばね１９の付勢
力によつてそれぞれ閉弁方向に付勢されている。
したがつて、第１可動ばね座９の主体９ｂの上端
面とプツシユロツド１５の下端面との間には、初
期噴射開弁リフト用間〓l′が、プツシユロツド１
５の上端面とメインリフト調整用ねじ部材２１の
小径部２１ｃの下端面との間には、主噴射開弁リ
フト用間〓ｌがそれぞれ保たれている。また、ニ
ードル弁５は、第１可動ばね座９を介し第１ノズ
ルばね１３の付勢力によつて閉弁方向に付勢さ
れ、その弁体５ｄがノズルチツプ３の弁座３ｃに
着座した閉弁状態となつている。

この状態から燃料噴射ポンプが運転された場合
には、その圧力の上昇に伴つて燃料が連通管４及
び燃料流入口２ｅを介し燃料溜室７に圧送され
る。燃料圧力が上昇して第１ノズルばね１３の付
勢力を上回るようになると、ニードル弁５は該付
勢力に抗して第１可動ばね座９の主体９ｂの上端
面がプツシユロツド１５の下端面と当接するま
で、即ち初期噴射開弁リフト用間〓l′だけ押し上
げられ、ニードル弁５の弁体５ｄがノズルチツプ
３の弁座３ｃから離間して開弁状態となり、燃料
溜室７から燃料供給通路８と、ノズルチツプ３の
嵌装孔３ｂとを介して供給された燃料が噴口３ａ
から噴射される（初期噴射状態）。この状態から
燃料圧力が更に上昇して第１ノズルばね１３及び
第２ノズルばね１９の付勢力の和を上回るように
なると、ニードル弁５は該付勢力の和に抗してプ
ツシユロツド１５とともに、該プツシユロツド１
５の上端面がメインリフト調整用ねじ部材２１の
小径部２１ｃの下端面と当接するまで、即ち主噴
射開弁リフト用間〓ｌだけ更に押し上げられた状
態で燃料噴射が行われる（主噴射状態）。

以上のように噴射初期には第１ノズルばね１３
のみを作用させて開弁圧を低くし、且つリフト量
を初期噴射開弁リフト用間〓l′に制限することに
より噴射率の低い初期噴射を行うとともに、これ
に続いて第１及び第２ノズルばね１３，１９をと
もに作用させて開弁圧を高くし、且つリフト量
を、初期噴射開弁リフト用間〓と主噴射開弁リフ
ト用間〓との和ｌ＋l′とすることにより噴射率の
高い主噴射を行うので、所望の噴射量が得られる
とともに、燃焼騒音を低減させることができる。
また、初期噴射における開弁圧及びリフト量は、
第１開弁圧調整用シム１４及びプレリフト調整用
シム１６の厚さをそれぞれ調整することによつて
調整され、主噴射における開弁圧及びリフト量
は、第２開弁圧調整用ねじ部材１７及びメインリ
フト調整用ねじ部材２１のねじ込み量をそれぞれ
調整することによつて調整されるので、これらの
調整を容易に且つ互いに独立して行うことができ
る。

燃料溜室７内の燃料の一部はその差圧によつ
て、ニードル弁５の頭部５ａの外周面とニードル
弁案内ブツシユ６の内周面との間〓を介して、溢
流燃料として第１ノズルばね嵌装室１２内に流入
する。該溢流燃料はその大部分が中間ブツシユ１
０の燃料溢流ポート１０ｃを介して、一部がプツ
シユロツド１５の外周面と中間ブツシユ１０の内
周面との間の間〓を介して、第２ノズルばね嵌装
室１８内に流入し、更にメインリフト調整用ねじ
部材２１の連通ポート２１ｆ、連通孔２１ｄ及び
排出口２１ｅ、燃料溢流用ニツプル２３の内孔２
３ｄ及び燃料溢流口２３ｃを順次介して燃料タン
クに還流される。

以上のように、第１ノズルばね嵌装室１８と燃
料溢流口２３ｃとを連通する連通路、即ち連通孔
２１ｄ及び連通ポート２１ｆをメインリフト調整
用ねじ部材２１に設けたので、該連通路を本体１
の周側壁に設ける場合のように、該本体１の肉厚
を厚くする必要がなく、該本体１の燃料溜室７よ
り上端側の部分を小径化することができる。した
がつて、ノズルチツプ３の噴口３ａに連通する燃
料供給通路８を、ニードル弁５の外周面とノズル
ホルダ２の内周面との間の間〓によつて構成する
ことにより、ノズルホルダ２を小径化しているこ
とと相まつて、燃料噴射ノズル全体を小径化する
ことができる。また、本実施例においては、燃料
溢流用ニツプル２３の燃料溢流口２３ｃが、本体
１の軸線と直角方向に突設されているが、該燃料
溢流用ニツプル２３はその主体２３ｂが、変形し
やすい弾性部材であるゴム製のパツキン２６に当
接した状態で固定部材２２に螺着されているの
で、そのねじ込み量を容易に調整することがで
き、したがつて燃料溢流口２３ｃの方向を、本体
１の周方向に対して任意の角度に設定することが
できる。更に、主噴射時にプツシユロツド１５の
上端面が当接するメインリフト調整用ねじ部材２
１の小径部２１ｃの下端側は中実とされているの
で、プツシユロツド１５を受けるための強度が確
保でき、みだりに破損することがない。

次に、燃料噴射ポンプの圧力が低下し、これに
伴つて燃料圧力が低下すると、ニードル弁５及び
第１可動ばね座９は第１ノズルばね１３の付勢力
によつて、第２可動ばね座１５ａは第２ノズルば
ね１９の付勢力によつてそれぞれ図示の初期状態
に復帰し、ニードル弁５が閉弁状態となることに
より燃料噴射が終了する。以降、燃料噴射ポンプ
の圧力に応じて上述した作動が繰り返されて、燃
料噴射が繰り返し行われる。

該燃料噴射が繰り返して行われるのに伴い、ニ
ードル弁５はノズルホルダ２内を往復動するが、
この場合該ニードル弁５の頭部５ａが当接する第
１可動ばね座９は、径方向に作用する力等のため
に径方向にずれることがある。前述したように互
いに当接する該第１可動ばね座９の下側面とニー
ドル弁５の頭部５ａの上端面は、いずれも球面状
に構成されているので、第１可動ばね座９に作用
した径方向の力がニードル弁５に伝達されること
がない。また、該ニードル弁５の頭部５ａの外周
面は、ニードル弁案内ブツシユ６の内周面に密嵌
されている。したがつて、ニードル弁５の軸心
は、第１可動ばね座９が径方向へ動いても、この
動きとは無関係に、自動的にノズルホルダ２の軸
心と一致するように調節されるので、ニードル弁
５は、その外周面がノズルホルダ２の内周面等に
引つかかることなく、円滑に往復動を行うことが
できる。

（第２実施例） 第２図は本考案の第２実施例を示すもので、上
述の第１実施例と同一部分については図面に同一
符号を付している。本実施例はメインリフト調整
用ねじ部材２１の構成のみが第１実施例と異なる
ものである。即ち、本実施例におけるメインリフ
ト調整用ねじ部材２１には、溢流燃料の連通路と
して、第１実施例に設けられていた連通孔２１ｄ
及び連通ポート２１ｆの代わりに、大径部２１ｂ
の外周面にその軸線方向全体にわたり、且つ互い
に平行に面取部２１ｇが設けられている。即ち、
該面取部２１ｇを設けることにより、該面取部２
１ｇと第２開弁圧調整用ねじ部材１７の内周面の
雌ねじ部１７ｂとの間に連通孔２１d′を形成した
ものである。該連通孔２１d′は第２ノズルばね嵌
装室１８と、燃料溢流用ニツプル２３の内孔２３
ｄとに連通されている。

したがつて、第２ノズルばね嵌装室１８に流入
した溢流燃料は、連通孔２１d′、燃料溢流用ニツ
プル２３の内孔２３ｄ及び燃料溢流口２３ｃを順
次介して燃料タンクに還流される。本実施例は溢
流燃料の連通路を設けるためには、メインリフト
調整用ねじ部材２１の外側面を切削加工すればよ
いので、メインリフト調整用ねじ部材２１内にそ
の軸線方向の連通孔２１ｄ及び径方向の連通ポー
ト２１ｆを穿設加工する第１実施例と比較し、そ
の加工が容易である。なお、その他の構成及び作
用は第１実施例と同様である。

（考案の効果） 以上詳述したように本考案によれば噴射初期に
おいては低噴射圧、小噴射量をもつて初期噴射を
行い、これに続いて高噴射圧、大噴射量をもつて
主噴射を行えるので、噴射時間が長くなることに
より、特に少量噴射域における燃焼騒音を大幅に
低減すると同時に燃焼を安定させることができ
る。また、主噴射リフト量調整部材の下端側が中
実であるので、プツシユロツドを受けるための強
度が確保され、みだりに破損しない。更に、主噴
射リフト量調整部材の上端側に、ばね室と燃料溢
流口とを連通する連通路を設けたので、本体の周
側壁に連通路を設ける場合に比し、本体の肉厚が
薄くて済み、燃料供給通路をニードル弁の外周面
と本体の内周面との間に形成していることと相ま
つて燃料噴射ノズル全体の小径化を図ることがで
きる等の効果を奏する。

また、本体に燃料流入口を設け、この燃料流入
口に燃料ポンプから供給される燃料を導く連通管
を接続したので、本体に燃料導入路を穿設したも
のに較べ、本体の肉厚を薄くでき、本体の小径化
を図り得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例を示す燃料噴射ノ
ズルの縦断面図、第２図は本考案の第２実施例を
示す第１図と同様の縦断面図、第３図は第２図の
−線に沿う断面図である。 １……本体、２ｅ……燃料流入口、２ｆ……ニ
ードル弁嵌装孔、３ａ……噴口、５……ニードル
弁、９……第１可動ばね座、１２……第１ばね嵌
装室（ばね室）、１３……第１ノズルばね、１５
……プツシユロツド、１５ａ……第２可動ばね
座、１８……第２ノズルばね嵌装室（ばね室）、
１９……第２ノズルばね、２１……メインリフト
調整用ねじ部材（主噴射リフト量調整部材）、２
１ｄ……連通孔（連通路）、２１d′……連通孔
（連通路）、２１ｆ……連通ポート（連通路）、２
３ｃ……燃料溢流口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 周側面所定箇所に燃料流入口を有し且つ先端面
   に噴口を有するとともに内部軸心に沿つてニード
   ル弁嵌装孔及びばね室をそれぞれ連続して設けた
   小径長軸管状の本体と、前記燃料流入口に接続さ
   れて燃料噴射ポンプからの燃料を導く連通管と、
   該本体のニードル弁嵌装孔内に前記噴口を開閉し
   得るように摺動可能に且つその外周面と前記ニー
   ドル弁嵌装孔内周面との間に前記燃料流入口と前
   記噴口との間を連通する間〓を存して嵌装された
   ニードル弁と、前記本体のばね室内に設けた第１
   固定ばね座と前記ニードル弁の上端側にこれと一
   体に摺動し得るように配設された第１可動ばね座
   との間に介装されて前記ニードル弁を閉弁方向に
   付勢する第１ノズルばねと、前記本体のばね室内
   に位置して下端面が閉弁位置における前記第１可
   動ばね座の上端面と初期噴射開弁リフト用間〓を
   存して対向して摺動可能に配設されたプツシユロ
   ツドと、前記本体のばね室内に設けた第２固定ば
   ね座と前記プツシユロツドの上端側にこれと一体
   に摺動し得るように配設された第２可動ばね座と
   の間に介装されて前記プツシユロツドを前記ニー
   ドル弁側に付勢する第２ノズルばねと、前記本体
   のばね室内に位置して下端面が閉弁位置における
   前記プツシユロツドの上端面との間に主噴射開弁
   リフト用間〓を存して対向して配設された主噴射
   リフト量調整部材と、前記本体の上端側に設けら
   れた燃料溢流口とを具備し、前記主噴射リフト量
   調整部材は、少なくともその下端側を中実構造と
   するとともに上端側に前記ばね室内と前記燃料溢
   流口との間を連通する連通路を設けて成ることを
   特徴とする燃料噴射ノズル。