JPH05173546A - 鍵盤楽器の演奏誘導装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鍵盤楽器の演奏誘導装置において、演奏者に
円滑な演奏を行わせる。 【構成】 複数の２色ＬＥＤ３０１を備えた運指表示装
置３０を、鍵盤２０１の上部に配設する。運指表示装置
３０１には、制御装置１０を接続する。制御装置１０
は、所定の楽曲データに基づき、打鍵すべき時刻以前に
所定の鍵に対応するＬＥＤ３０１を緑色に点灯させる。
演奏者は、複数のＬＥＤ３０１の中から緑色に点灯した
ＬＥＤ３０１を見つけ出し、該ＬＥＤ３０１に対応する
鍵を次に打鍵すべき鍵として認識する。次に、該鍵を打
鍵すべき時刻になると、ＬＥＤ３０１は赤色に点灯す
る。略同時に、演奏者は、該鍵を打鍵する。演奏者は、
次に打鍵すべき鍵を予め認識することができるので、打
鍵するタイミングが遅れることがない。したがって、演
奏者は円滑に演奏することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は鍵盤楽器の演奏誘導装
置、詳しくは打鍵する順序を演奏者に指示することによ
り、演奏の誘導を行う鍵盤楽器の演奏誘導装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来の鍵盤楽器の演奏誘導装置は、例え
ば実開平２−１１７５６８号公報に記載されているよう
に、ピアノ等の鍵盤楽器のそれぞれの鍵の近傍にＬＥＤ
（指示手段）を配設し、該複数のＬＥＤには制御装置が
接続された構成となっている。制御装置には、所定の楽
曲データが記憶されている。制御装置は、この楽曲デー
タに基づき、打鍵すべき鍵に対応したＬＥＤを順次点灯
させるものである。この点灯したＬＥＤに対応した鍵を
順次打鍵することにより、演奏者は演奏を行う構成とな
っている。

【０００３】このような鍵盤楽器の演奏誘導装置は、以
下の動作を行うものである。コンピュータシステムは、
楽曲データに基づき、所定の鍵を打鍵すべき時刻に、該
鍵に対応したＬＥＤを点灯させる。演奏者は点灯したＬ
ＥＤを見つけ出すやいなや、該ＬＥＤに対応する鍵を打
鍵する。そして、演奏者が該鍵を打鍵すると、コンピュ
ータシステムは上記ＬＥＤを消灯させる。続いて、次の
鍵を打鍵すべき時刻になると、コンピュータシステムは
該鍵に対応するＬＥＤを点灯させる。以下、同様に演奏
者は点灯したＬＥＤを見つけ、該ＬＥＤに対応した鍵を
打鍵する。このようにして、読譜能力がない者であって
も、楽曲の演奏を行うことができるものである。以上述
べたように、従来の鍵盤楽器の演奏誘導装置は、打鍵す
べき鍵の表示はその打鍵すべきタイミングで対応するＬ
ＥＤを点灯して行っていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の鍵盤楽器の演奏
誘導装置においては、打鍵すべき鍵の表示はその打鍵す
べきタイミングで対応するＬＥＤを点灯して行っていた
ため、演奏者は、次に打鍵すべき鍵の発見および打鍵の
動作を略同時に行わなければならない。しかしながら、
ＬＥＤの個数は鍵の個数と同じく多いので、ＬＥＤが点
灯した後、点灯したＬＥＤを発見するまでに、長時間を
要する場合がある。特に、ピアノの演奏に不慣れな初心
者は、点灯したＬＥＤを発見するまでに長時間を要す
る。このような場合には、ＬＥＤが点灯した後に演奏者
が該ＬＥＤを見つけ出すのが遅れるので、実際に打鍵す
べきタイミングよりも演奏者の打鍵が遅れてしまう。こ
の結果、演奏された曲のリズムが乱れ、演奏者に円滑な
演奏を行わせるのが困難になるという問題があった。

【０００５】

【発明の目的】そこで、本発明は、演奏者に円滑な演奏
を行なわせることの可能な鍵盤楽器の演奏誘導装置を提
供することをその目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明に
係る鍵盤楽器の演奏誘導装置は、鍵盤楽器の演奏者が視
認可能な位置に配設され、該鍵盤楽器のそれぞれの鍵に
対応する表示部材を備えた運指表示装置と、楽曲データ
に基づき、所定の鍵を打鍵すべき時刻になると該鍵に対
応した表示部材に打鍵の表示を行わせる制御装置と、を
備えた鍵盤楽器の演奏誘導装置において、上記それぞれ
の表示部材は、上記打鍵の表示と識別可能な打鍵予告の
表示を表示可能であり、上記制御装置は、上記楽曲デー
タに基づき、上記鍵を打鍵すべき時刻以前に上記鍵に対
応した表示部材に打鍵予告の表示をも行わせることを特
徴とする。

【０００７】

【作用】請求項１記載の発明に係る鍵盤楽器の演奏誘導
装置において、制御装置は、所定の楽曲データに基づ
き、打鍵すべき時刻以前に、該鍵に対応した表示部材に
打鍵予告の表示を行わせる。この結果、演奏者は、打鍵
予告の表示がなされた表示部材を見つけ出し、該鍵に対
応する鍵を次に打鍵すべき鍵として認識する。つぎに、
制御装置は、この鍵を打鍵すべき時刻にこの鍵に対応し
た表示部材に打鍵の表示を行わせる。演奏者は、該表示
部材に打鍵の表示が表示されたのを確認すると、予め認
識した鍵を打鍵する。このようにして、制御装置は、次
に打鍵すべき鍵を打鍵予告の表示により演奏者に知ら
せ、次に打鍵する時刻を打鍵の表示により演奏者に知ら
せる。

【０００８】該鍵盤楽器の演奏誘導装置においては、打
鍵すべき時刻以前に、打鍵予告の表示がなされるので、
演奏者は打鍵すべき時刻以前に次に打鍵すべき鍵を認識
することができる。演奏者は次に打鍵すべき鍵を認識し
ているので、打鍵すべき時刻になり、打鍵の表示がなさ
れるとすぐに、該鍵を打鍵することができる。したがっ
て、演奏者は、打鍵するタイミングが遅れることなく円
滑に演奏を行うことが可能である。

【０００９】

【実施例】以下に、本発明の実施例を図面を参照しなが
ら説明する。

【００１０】図１は、本発明の一実施例に係る鍵盤楽器
の演奏誘導装置の外観図である。この鍵盤楽器の演奏誘
導装置は、ピアノ２０と、このピアノ２０に取り付けら
れた運指表示装置３０と、運指表示装置３０に接続され
た制御装置１０とを有して構成されている。運指表示装
置３０は、演奏者に打鍵すべき鍵および打鍵すべきタイ
ミングを指示するためのものである。この運指表示装置
３０は、図２に示されるように、それぞれの鍵２０１ご
とに設けられたＬＥＤ（表示部材）３０１を備えた構成
となっている。それぞれのＬＥＤ３０１は、点灯時に
は、赤色または緑色のいずれかの色に点灯するものであ
る。ＬＥＤ３０１が緑色（打鍵予告の表示）に点灯した
場合には、該ＬＥＤ３０１に対応した鍵が次に打鍵すべ
き鍵であることを示している。また、緑色に点灯してい
るＬＥＤ３０１が赤色（打鍵の表示）に点灯した場合に
は、該ＬＥＤ３０１に対応した鍵を打鍵すべき時刻にな
ったことを示している。これらのＬＥＤ３０１の点灯お
よび消灯は、制御装置１０により制御される構成となっ
ている。

【００１１】図３は、制御装置１０を示すブロック図で
ある。この制御装置１０は、ＭＩＤＩ（Ｍｕｓｉｃａｌ
Ｉｎｓｕｔｒｕｍｅｎｔ Ｄｅｇｉｔａｌ Ｉｎｔｅ
ｒｆａｃｅ）により表された楽曲データに基づき、上記
運指表示装置３０を駆動するものである。ディスクドラ
イブ１０１は、例えばフロッピーディスクに書き込まれ
た楽曲データを読み込むためのものである。読み込まれ
た楽曲データはＩ／Ｏユニット１０２に入力される構成
となっている。Ｉ／Ｏユニット１０２は、パラレルデー
タインターフェースまたはシリアルデータインターフェ
ースにより構成されている。

【００１２】Ｉ／Ｏユニット１０２を介して入力された
楽曲データは、ＣＰＵ１０３に入力される構成である。
ＣＰＵ１０３は、入力された楽曲データに基づき、点灯
すべきＬＥＤ３０１および点灯すべきタイミングを決定
する他、制御装置１０全体の動作を制御するものであ
る。ＬＥＤ駆動回路１１２は、ＣＰＵ１０３からＩ／Ｏ
ユニット１０２を介して、所定のデータが入力される。
このＬＥＤ駆動回路１１２は、例えばオープンコレクタ
の複数のトランジスタ回路を備えており、それぞれのコ
レクタにはＬＥＤ３０１が接続されている。トランジス
タがオン状態となると、ＬＥＤ３０１に電流が流れ、該
ＬＥＤ３０１が点灯する構成となっている。

【００１３】タイマ１０４、１０５は、ＣＰＵ１０３に
割り込み信号を与えるものである。ＣＰＵ１０３は、こ
の割り込み信号に従い、運指表示装置３０の動作タイミ
ングをを制御するものである。タイマ１０４はＬＥＤ３
０１を緑色に点灯させる時間をカウントするためのもの
であり、タイマ１０５は、ＬＥＤ３０１を赤色に点灯さ
せる時間をカウントするためのものである。

【００１４】ＲＯＭ１０６には、ＣＰＵ１０３の動作手
順を表すプログラムデータ等が書き込まれたものであ
る。ＲＡＭ１０７は、ＣＰＵ１０３のワークエリアなど
に使用されるものである。また、バックアップＲＡＭ１
０８は、スタティック型メモリ等により構成され、電源
１０９によりそのデータ内容が保持されるものである。
このバックアップＲＡＭ１０８には、例えば該制御装置
１０の動作設定等を表すデータが書き込まれるものであ
る。制御装置１０全体の電源を遮断したとしても、これ
らのデータが消滅することはない。したがって、電源投
入後においても電源遮断前の動作設定に従い、該制御装
置１０が動作する構成となっている。

【００１５】ディスプレイ１１１は、液晶またはＣＲＴ
等により構成されており、楽曲データの内容等を表示す
るものである。操作部１１０は、キーボードまたはマウ
スなどからなり、該操作部１１０を通じて制御装置１０
の動作を操作するものである。

【００１６】以上の構成を有する鍵盤楽器の誘導装置の
動作を、図４，図５のフローチャートを用いて説明す
る。

【００１７】まず、演奏者は、制御装置１０の電源スイ
ッチを投入する。すると、ＣＰＵ１０３は、ＲＯＭ１０
６に書き込まれた初期化プログラムに従い、タイマ１０
４、１０５、Ｉ／Ｏユニット１０５等の初期化を行う
（ステップＳ４０１）。初期化が終了すると、演奏者は
所定の楽曲データが書き込まれたフロッピーディスクを
ディスクドライブ１０１に装着する。すると、ディスク
ドライブ１０１は、この楽曲データの一部を読み込む
（ステップＳ４０２）。楽曲データの最初のキーナンバ
（音程を表すデータ）に基づき、打鍵すべき鍵に対応す
るＬＥＤ３０１を、打鍵すべき時刻以前に緑色に点灯さ
せる（ステップＳ４０３）。同時に、タイマ１０４をリ
セットした後、カウント動作を開始させる（ステップＳ
４０４）。

【００１８】タイマ１０４の値が、所定の値に達し、打
鍵すべき時刻になったかどうかを判断する（ステップＳ
４０５）。タイマ１０４の値が所定の値に達し、打鍵す
べき時刻になるまで、ステップＳ４０５の判断を実行し
続ける。この間、該ＬＥＤ３０１は緑色に点灯したまま
でる。ＬＥＤ３０１が緑色に点灯している間に、演奏者
は緑色に点灯した該ＬＥＤ３０１を見つけ出せばよいの
である。

【００１９】打鍵すべき時刻になると（ステップＳ４０
５でＹＥＳ）、緑色に点灯していたＬＥＤ３０１を赤色
に点灯させる（ステップＳ４０６）。すなわち、打鍵す
べき時刻になったことを演奏者に知らせる。演奏者は、
打鍵すべき鍵を既に認識しているので、ＬＥＤ３０１が
赤色に点灯すると略同時に、該鍵を打鍵することができ
る。

【００２０】緑色に点灯したＬＥＤ３０１を赤色に点灯
させると同時に、タイマ１０５をリセットし、タイマ１
０５を動作させる（ステップＳ４０７）。タイマ１０５
が所定の値に達し、所定の時間が経過すると（ステップ
Ｓ４０８でＹＥＳ）、赤色に点灯したＬＥＤ３０１を消
灯する（ステップＳ４０９）。続いて、演奏を続行する
場合（ステップＳ４１０でＮＯ）には、ステップＳ４０
２に戻り、残りの楽曲データの一部を入力する。以下、
同様にステップＳ４０２〜ステップＳ４１０の動作を繰
り返す。楽曲データに基づき、すべての演奏が終了する
と（ステップＳ４１０でＹＥＳ）、すべての処理が終了
する。

【００２１】以上、述べたように、本実施例に係る鍵盤
楽器の演奏誘導装置においては、打鍵すべき時刻以前
に、ＬＥＤ３０１が緑色に点灯する。ＬＥＤ３０１が緑
色に点灯している間に該ＬＥＤ３０１を演奏者が見つけ
出すことにより、打鍵時刻以前に、演奏者は次に打鍵す
べき鍵を認識することが可能となる。

【００２２】鍵を打鍵すべき時刻になり、ＬＥＤ３０１
が緑色から赤色の点灯に変化したとする。演奏者は次に
打鍵すべき鍵を認識しているので、ＬＥＤ３０１が赤色
に点灯すると略同時に、演奏者は該鍵を打鍵することが
できる。したがって、本鍵盤楽器の演奏誘導装置におい
ては、打鍵するタイミングがずれることなく、演奏者に
円滑な演奏を行わせることが可能となる。

【００２３】また、ＬＥＤ３０１が緑色に点灯している
間、演奏者は時間的な余裕をもって次に打鍵すべき鍵を
探すことができる。演奏者は次に打鍵すべき鍵を認識し
ている場合には、ＬＥＤ３０１が赤色に点灯するのを待
っていればよいので、他のＬＥＤ３０１を常に監視する
必要がない。したがって、演奏者の動作および精神的負
担が軽減されるという利点もある。

【００２４】なお、本実施例においては、赤色のＬＥＤ
３０１は所定時間経過後に消灯するものであるが、赤色
に点灯した後、演奏者が該ＬＥＤ３０１に対応する鍵を
打鍵することにより、該ＬＥＤ３０１を消灯する構成で
あっても差し支えない。また、ＬＥＤ３０１を緑色に点
灯させる時間を、楽曲の曲調あるいは演奏者の習熟度に
合わせて変更してもよい。

【００２５】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に係る
鍵盤楽器の演奏誘導装置によれば、演奏者は打鍵すべき
時刻以前に時間的な余裕をもって次に打鍵すべき鍵を探
し出すことができるので、演奏者は円滑な演奏を行なう
ことが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例に係る鍵盤楽器の演奏誘導
装置の外観図である。

【図２】 鍵盤および運指表示装置を示す図である。

【図３】 制御装置１０を示すブロック図である。

【図４】 本発明の一実施例に係る鍵盤楽器の演奏誘導
装置の動作を表すフローチャートである。

【図５】 本発明の一実施例に係る鍵盤楽器の演奏誘導
装置の動作を表すフローチャートである。

【符号の説明】

１０ 制御装置、２０ 鍵盤、３０ 運指表示装置、２
０１ 鍵、３０１ ＬＥＤ（表示部材）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鍵盤楽器の演奏者が視認可能な位置に配
   設され、該鍵盤楽器のそれぞれの鍵に対応する表示部材
   を備えた運指表示装置と、 楽曲データに基づき、所定の鍵を打鍵すべき時刻になる
   と該鍵に対応した表示部材に打鍵の表示を行わせる制御
   装置と、を備えた鍵盤楽器の演奏誘導装置において、 上記それぞれの表示部材は、上記打鍵の表示と識別可能
   な打鍵予告の表示を表示可能であり、 上記制御装置は、上記楽曲データに基づき、上記鍵を打
   鍵すべき時刻以前に上記鍵に対応した表示部材に打鍵予
   告の表示をも行わせることを特徴とする鍵盤楽器の演奏
   誘導装置。