JPH0517242Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、平版を使用してオフセツト印刷ある
いは直刷りが可能で、特にそのインキ供給系統に
メツシユローラを使用する平版輪転印刷機におけ
るインキ供給装置に関するものである。

従来の技術 メツシユローラ（別称アミローラ、スクリーン
ドローラ、アニロツクスローラ）のセルを利用し
て版面に対し常時一定量のインキを供給するイン
キ供給装置は、従来では、フレキソ印刷分野等に
て一般に行なわれており、インキパンとメツシユ
ローラの間にフアウンテンローラを介在させ、こ
のフアウンテンローラによりメツシユローラにイ
ンキを供給する方法や、メツシユローラを直接イ
ンキに浸漬して回転する方法等が知られている
が、平版輪転印刷機において使用されていなかつ
た。

考案が解決しようとする問題点 従来周知の平版輪転印刷機では10指にあまる多
数のインキングローラ群が備えられているため、
版胴からインキツケローラへ転移した湿し水が、
そのインキ供給系統を伝わつてインキの供給源、
例えばインキパンまで逆流するおそれは殆どなか
つた。

ところが、多数のインキングローラ群を省略し
得るメツシユローラを平版輪転印刷機に導入した
場合、湿し水供給装置より版胴に供給された湿し
水の余剰分がインキツケローラを伝わつてメツシ
ユローラの周面に逆流し、これがメツシユローラ
のセル内に滞留し、メツシユローラのインキ受領
能力を著しく低下させてしまうという問題があつ
た。

問題点を解決するための手段 本考案は上記のことにかんがみなされたもの
で、回転するメツシユローラ周面に向けてその近
傍に開口したインキ供給口と、メツシユローラの
周面に加圧転接するインキ押込みローラと、メツ
シユローラの周面へのインキ供給ムラを補正する
インキ補填装置と、メツシユローラの周面に接触
してこのメツシユローラの周面の余剰なインキを
掻き落とすドクタブレードと、ドクタブレードに
て掻き落としたインキを受集するインキパンと、
インキ供給口へインキを補給するポンプとからな
り、メツシユローラの周面で、このメツシユロー
ラの回転方向上流側に設けたインキ供給部と下流
側に設けたドクタブレード接触部との間にインキ
押込みローラとインキ補填装置が配列されてい
る。

作 用 インキ供給口よりメツシユローラ周面に、例え
ば薄膜類似状にその幅方向に均一に供給されたイ
ンキはインキ押込みローラで加圧されてメツシユ
ローラのセル内に押込まれると共に、インキ補填
装置にて供給ムラが補正され、またこのときの余
剰インキはドクタブレードにてインキパンに掻き
落とされる。上記メツシユローラのセル内に滞留
した湿し水は、インキの圧入によつて大部分はセ
ル外へ押し出され、残部はインキと同体化してメ
ツシユローラによる適正なインキ供給が行なわれ
る。また上記湿し水は、インキパンの中に落ちる
と、インキと分離して混在するが、インキ供給口
へのインキ補給時にポンプを通過することにより
十分な攪拌が与えられてエマルジヨン化される。

実施例 本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

図示のものは料紙１の表、裏両面に印刷するた
め、料紙１の走行路の両側に印刷装置を配設した
例を示すもので、この両印刷装置は対称同一構成
であるためその一方について説明する。

図中２は料紙１に転接するブランケツト胴、３
はこのブランケツト胴２に転接する版胴である。
４はメツシユローラで、このメツシユローラ４と
版胴３の間にインキツケローラ５，５が転接介装
してある。６はメツシユローラ４に加圧転接する
インキ押込みローラであり、この両ローラ４，６
の周接部付近で、かつ両ローラ４，６の転接方向
上流側にインキ供給口７が対設してある。このイ
ンキ供給口７はインキを、例えば薄膜類似状でメ
ツシユローラ４の周面幅方向に略均一に供給する
もので、１個あるいは２個以上必要に応じた数だ
け設けられる。８はフアウンテンローラ９とイン
キパン１０からなるインキ補填装置であり、この
フアウンテンローラ９は上記メツシユローラ４に
転接し、かつその円周面の一部はオーバフロー式
のインキパン１０内に臨ませてある。１１はメツ
シユローラ４の余剰インキをインキパン１０に掻
き落とすドクタブレード、１２はインキパン１０
からオーバフローしたインキを受けるインキ貯留
パン、１３はこのインキ貯留パン１２からインキ
をインキ供給口７へ補給するポンプ、１４は湿し
水装置である。

上記構成において、ポンプ１３より補給された
インキはインキ供給口７よりメツシユローラ４の
周面に、例えば薄膜類似状にその幅方向に均一に
供給される。そしてこのインキは直ちにインキ押
込みローラ６で加圧されてメツシユローラ４のセ
ル内に押込まれ、続いてインキ補填装置８のフア
ウンテンローラ９によりインキ供給ムラが補正さ
れる。その後ドクタブレード１１により余剰イン
キが掻き落とされ、この余剰インキはインキパン
１０に受集される。上記メツシユローラ４のセル
内に滞留した湿し水は、インキの圧入によつてそ
の大部分はセル外へ押し出され、セル内に極めて
僅か残存する水分もインキ押込みローラ６の加圧
を受けてインキ内に混入してインキと同体化する
ので、メツシユローラ４による適正なインキ供給
が行なわれる。メツシユローラ４から押し出さ
れ、あるいはメツシユローラ４を伝い落ちた湿し
水はインキ貯留パン１２内にインキと分離して混
在するが、インキ供給口７へのインキ補給時、ポ
ンプ通過により十分な攪拌が与えられてインキ内
に微小球状となつて分散してエマルジヨン化する
ため、インキ供給口７より供給されるインキの性
状が著しく劣化されることがない。

上記実施例では、インキ補填装置８に、円周面
の一部をオーバフロー式のインキパン１０に臨ま
せたフアウンテンローラ９を用いた例を示した
が、このインキ補填装置８の構成の選択は全く自
由であり、例えばインキレール様態のインキ補填
装置でもよく、この場合インキパンはインキ貯留
ができないもので十分である。

またこの実施例ではインキ補填装置８をインキ
押込みローラ６の後位に設けた例を示したが、イ
ンキ供給口７によるインキ供給がメツシユローラ
４の周面幅方向に略均一であり、インキ供給ムラ
が極めて細かい範囲であるので、このインキ補填
装置８をインキ押込みローラ６の前位に設けても
その効果に差はない。

インキ貯留パン１２の下側には必要に応じて、
あるいは任意にインキ貯留パン１２と連結してイ
ンキタンク１５を設けてもよい。インキ供給口７
へのインキ補給は、インキ貯留パン１２よりポン
プ１３にて行なうが、インキタンク１５が設けら
れた場合はこのインキタンク１５よりポンプ１３
にて行なう。インキ貯留パン１２またはインキタ
ンク１５へは印刷により消費された分量のインキ
を適宜、図示しないインキ供給管より供給する。

また上記したように、インキ貯留パン１２また
はインキタンク１５内に受集されたインキにはイ
ンキと相反発する湿し水が混在するが、インキ供
給口７へインキ補給をするポンプ１３を通過する
際に十分混合してインキ中の水は微小球状に分散
されてエマルジヨン化される。また別にインキ貯
留パン１２またはインキタンク１５内にインキを
攪拌する攪拌装置１６を設けてもよい。

なお、インキ供給口７は１個以上であればいく
つでもよい。またポンプ１３も同様であるが、イ
ンキ供給口７とポンプ１３の数が同じである必要
はない。またインキ押込みローラ６はメツシユロ
ーラ４との接触圧による連れ回りで十分その効果
が得られるが、駆動系を付与してもさしつかえな
い。

考案の効果 本考案によれば、メツシユローラ４の周面で、
このメツシユローラ４の回転方向上流側に設けた
インキ供給部と下流側に設けたドクタブレード接
触部との間にインキ押込みローラ６とインキ補填
装置８を設けたことにより、メツシユローラ４に
インキ供給部のインキ供給口７より供給された新
しいインキは、インキ押込みローラ接触部でのイ
ンキ押込みローラ６によりメツシユローラ６のセ
ル内に押込まれると共に、このセル内に滞留して
いた余剰分の湿し水は余剰のインキと共にセル内
から押出されてこれがドクタブレード接触部での
ドクタブレード１１にて掻き落とされ、その結
果、メツシユローラ４のインキ受領能力が著しく
高くなり、インキと相反発する湿し水のメツシユ
ローラ４のセル内への滞留の有無にかかわらず、
インキ供給口７よりの新しいインキをメツシユロ
ーラ４のセル内に適正に供給することができる。

また、インキが供給されたメツシユローラ４
に、インキ押込みローラ６のほかにインキ補填装
置８を対設したことにより、メツシユローラ４に
供給されたインキの供給ムラを補正することがで
きると共に、インキ供給口７からのインキの供給
がなんらかの原因で停止したとしてもインキ補填
装置８からのインキ補填により十分印刷を続行す
ることができる。

従つて本考案によれば、メツシユローラ４によ
るインキの供給が平版印刷にも実施可能となり、
この平版印刷において、印刷時の煩雑なインキ調
整作業を無くし得、省人化に絶大な効果を奏する
ことができると共に、良好な平版印刷を行なうこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示す構成説明図であ
る。 ４はメツシユローラ、６はインキ押込みロー
ラ、７はインキ供給口、８はインキ補填装置、１
０はインキパン、１１はドクタブレード、１３は
ポンプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. メツシユローラ４と、メツシユローラ４の周面
   に向けて開口したインキ供給口７と、メツシユロ
   ーラ４の周面に加圧転接するインキ押込みローラ
   ６と、メツシユローラ４の周面へのインキ供給ム
   ラを補正するインキ補填装置８と、メツシユロー
   ラ４の周面に接触してこのメツシユローラ４の周
   面の余剰なインキを掻き落とすドクタブレード１
   １と、ドクタブレード１１にて掻き落としたイン
   キ及びその他の余剰なインキを受集するインキパ
   ン１０と、インキ供給口７へインキを補給するポ
   ンプ１３とからなり、メツシユローラ４の周面
   で、このメツシユローラ４の回転方向上流側に設
   けたインキ供給部と下流側に設けたドクタブレー
   ド接触部との間にインキ押込みローラ６とインキ
   補填装置８を配列したことを特徴とする平版輪転
   印刷機におけるインキ供給装置。