JPH05172069A - スクロール流体機械 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 吐出ガスに潤滑油が巻き込まれないようにし
ながらモータを冷却でき、又、長時間停止後でも円滑な
起動が可能なスクロール流体機械を得る。 【構成】 第１および第２のシールリング１９、２１に
よって、第１のスクロール１の駆動軸１１が第１の軸受
ハウジング５を貫通する部分および第２のスクロール２
の支持軸１２が第２の軸受ハウジング６を貫通する部分
の気密を保持するとともに、潤滑油２７の油面を両軸受
ハウジング５、６より下方に位置させ吐出ガスを吹き出
す開口２５ａをモータ１０より下方に位置させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、組み合わされる一対
のスクロールの両方を回転させて駆動する両回転式のス
クロール流体機械に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】まず、両回転式のスクロール流体機械の
原理について図２に基づき説明する。図において、１、
２は組み合わされる第１および第２のスクロール、３は
これら両スクロール１、２間に形成される圧縮室、４は
第１のスクロール１のほぼ中央部に形成される吐出口で
ある。なお、第１のスクロール１および第２のスクロー
ル２は同一形状の渦巻で構成されており、その形体は従
来から知られているように、インボリュートあるいは円
弧等を組み合わせたものである。

【０００３】今、図２に示すスクロール流体機械を圧縮
機として用いた場合を考えると、図において第１のスク
ロール１と第２のスクロール２は、渦巻壁側面が接触す
るように図の如く所定の距離だけ中心を離して組み合わ
されて、それぞれの中心周りに同期回転運動を行い、図
に示す０゜、９０゜、１８０゜、２７０゜のように運動
する。この運動に伴って、第１のスクロール１および第
２のスクロール２の間に形成される三日月状の圧縮室３
内に取り込まれたガスは圧縮されて吐出口４から吐出さ
れる。

【０００４】図３は例えば特開平３−１１７６９２号公
報に示された従来の両回転式スクロール流体機械の構成
を示す断面図である。図において、第１のスクロール
１、第２のスクロール２、圧縮室３および吐出口４は図
２に示すものと同様である。５、６は吸入管７からの吸
入ガスで充たされた低圧空間としての器室８を形成する
第１および第２の軸受ハウジング、９は密閉容器、１０
は密閉容器９の上方に配設されるモータで、モータ・ス
テータ１０ａおよびモータ・ロータ１０ｂで構成されて
いる。１１は第１の軸受ハウジング５で支承され一端が
第１のスクロール１に、他端がモータ・ロータ１０ｂに
それぞれ結合された駆動軸、１２は第２のスクロール２
の下方に突設される支持軸で第２の軸受ハウジング６に
より支承されている。１３は密閉容器９の下部に貯溜さ
れる潤滑油、１４は駆動軸１１内を貫通し吐出口４と密
閉容器９内とを連通する吐出通路、１５は密閉容器９の
天井部に配設される吐出管である。

【０００５】上記のように構成された従来のスクロール
流体機械において、まず、モータ１０が駆動されると、
モータ・ロータ１０ｂの回転に伴って第１および第２の
スクロール１、２が回転を開始し、吸入管７から器室８
内に吸入されたガスを順次圧縮室３内に取り込み、圧縮
して高圧ガスとした後、吐出口４から吐出して吐出通路
１４を通って密閉容器９内に送出し、最後に吐出管１５
から機外に取り出している。

【０００６】このように、密閉容器９内は圧縮後の吐出
ガスで充満されて高圧空間となるため、両スクロール
１、２が収納される低圧空間としての器室８との間のシ
ールが必要となる。このため、高低圧間のシールは図３
に示すように潤滑油の油面を第１の軸受ハウジング５の
上部近傍まで上昇させ、軸受すきまやスクロール台板背
面に配した平面シール（図示せず）等で行うのが一般的
である。しかしながら、潤滑油の油面を両スクロール
１、２より上方に保持する場合、高圧ガスの吹出口をモ
ータ１０より下方に設けると、吐出ガスに潤滑油が巻き
込まれやすくなり、吐出管１５からの油上がり量が増え
る。これを避けるため、吐出通路１４の開口をモータ１
０よりも上に形成し、モータ１０よりも上の空間に圧縮
ガスを吹き出すように構成されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】従来のスクロール流体
機械は以上のように構成されているので、吐出ガスをモ
ータ１０よりも下方に吹き出しており、モータ１０の冷
却効果が十分に得られないという問題点があり、又、両
スクロール１、２が収納されている器室８および吸入管
７より上部まで潤滑油１３溜めてあるので、長時間停止
していると、器室８内に漏れてきた油が吸入管７へ逆流
したり、圧縮室３内に溜まって再起動時に圧縮されて効
果が落ちる等の問題点があった。

【０００８】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、吐出ガスに潤滑油が巻き込まれ
ないようにしながらモータを冷却でき、又、長時間停止
後でも円滑な起動が可能なスクロール流体機械を得るこ
とを目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この発明に係る請求項１
のスクロール流体機械は、密閉室内に室外と連通する器
室を形成するハウジングと、器室内に設けられるととも
に上方に突設される駆動軸がハウジングを貫通する部分
で軸受により支承される駆動スクロールと、器室内に駆
動スクロールと組み合わせて設けられるとともに下方に
突設される支持軸がハウジングを貫通する部分で軸受に
より支承され且つ駆動スクロールと協働して圧縮室を形
成する従動スクロールと、駆動スクロールの駆動軸およ
び従動スクロールの支持軸をそれぞれ支承する各軸受の
器室側にそれぞれ配設され密閉室と器室との間の気密を
図るシールリング部材と、密閉室の上部に配設され駆動
スクロールの駆動軸と結合されるモータと、密閉室の底
部に貯溜される潤滑油と、この潤滑油を支持軸部を介し
て両スクロールの摺動部に供給する潤滑油供給手段と、
駆動軸内長手方向に穿設され一端が両スクロール間に形
成される圧縮室に吐出弁を介して連通するとともに他端
がモータの下方で密閉室内と連通する吐出通路とを備え
たものであり、又、請求項２のスクロール流体機械は、
請求項１における潤滑油供給手段を、従動スクロールの
支持軸先端に装着され且つ潤滑油中に浸漬される油ポン
プと、この油ポンプと両スクロールの摺動部とを連通す
る通油路とで構成したものである。

【００１０】

【作用】この発明におけるスクロール流体機械のシール
リング部材は、器室の気密性を向上させることにより、
潤滑油の油面を下げることを可能にするとともに、吐出
通路の開口をモータの下方に設けても、吐出ガスに潤滑
油が巻き込まれることなく冷却効果を上げることを可能
にする。

【００１１】

【実施例】

実施例１．以下、この発明の実施例を図について説明す
る。図１はこの発明の実施例１におけるスクロール流体
機械の構成を示す断面図である。図において、図３に示
す従来のものと同様な部分は同一符号を付して説明を省
略する。２７は密閉容器９の底部に貯溜される潤滑油、
１６、１７は第１の軸受ハウジング５に装着され駆動軸
１１を支承する軸受、１８は第２の軸受ハウジング６に
装着され支持軸２を支承する軸受、１９は軸受１７の第
１のスクロール１側に押え板２０を介して配設される第
１のシールリング、２１は軸受１８の第２のスクロール
２側に押え板２２を介して配設される第２のシールリン
グ、２３は支持軸１２の先端に装着された油ポンプで、
潤滑油２７中に浸漬され通油路２４を介して両スクロー
ル１、２の摺動部に潤滑油２７を供給している。２５は
駆動軸１１内に穿設される吐出通路で、一端は開口２５
ａを介して密閉容器９内のモータ１０下方と連通し、他
端は吐出弁２６を介して吐出口４と連通している。

【００１２】上記のように構成された実施例１における
スクロール流体機械においては、まず、モータ１０が駆
動されると、モータ・ロータ１０ｂの回転に伴って第１
および第２のスクロール１、２が回転を開始し、吸入管
７を介して器室８内に吸入されたガスは、順次圧縮室３
内に取り込まれ圧縮されて高圧ガスとなった後、吐出口
４から吐出弁２６を介して吐出通路２５内に吐出され、
吐出通路２５を通って開口２５ａから密閉容器９内に送
り出されて密閉容器９内に充満され、密閉容器９内を高
圧空間とした後吐出管１５を介して機外に取り出され
る。一方、密閉容器９の底部に貯溜された潤滑油は、油
ポンプ２３により通油路２４を介して両スクロール１、
２の摺動部に供給され潤滑を行う。

【００１３】このように、上記実施例１によれば、第１
および第２のシールリング１９、２１によって、第１の
スクロール１の駆動軸１１が第１の軸受ハウジング５を
貫通する部分および第２のスクロール２の支持軸１２が
第２の軸受ハウジング１６を貫通する部分の気密を保っ
ているので、わざわざ潤滑油２７の油面を従来のものの
ように上げる必要もなくなる。したがって、吐出ガスを
気密容器９内に吹き出す位置、すなわち、開口２５ａの
位置をモータ１０の下方まで下げることができるので、
吐出ガスによってモータ１０を冷却することも可能とな
り、又、開口２５ａの位置を下げても潤滑油が吐出ガス
に巻き込まれることも防止され、モータ１０部を流れる
間に冷却とともに油分離を行え、又、停止時に圧縮室３
および給入管７に潤滑油が侵入するのも防止できる。

【００１４】

【発明の効果】以上のように、この発明によれば密閉室
内に室外と連通する器室を形成するハウジングと、器室
内に設けられるとともに上方に突設される駆動軸がハウ
ジングを貫通する部分で軸受により支承される駆動スク
ロールと、器室内に駆動スクロールと組み合わせて設け
られるとともに下方に突設される支持軸がハウジングを
貫通する部分で軸受により支承され且つ駆動スクロール
と協働して圧縮室を形成する従動スクロールと、駆動ス
クロールの駆動軸および従動スクロールの支持軸をそれ
ぞれ支承する各軸受の器室側にそれぞれ配設され密閉室
と器室との間の気密を図るシールリング部材と、密閉室
の上部に配設され駆動スクロールの駆動軸と結合される
モータと、密閉室の底部に貯溜される潤滑油と、この潤
滑油を支持軸部を介して両スクロールの摺動部に供給す
る潤滑油供給手段と、駆動軸内長手方向に穿設され一端
が両スクロール間に形成される圧縮室に吐出弁を介して
連通するとともに他端がモータの下方で密閉室内と連通
する吐出通路とを備えたので、吐出ガスに潤滑油が巻き
込まれないようにしながらモータを冷却でき、長時間停
止後でも円滑な起動が可能なスクロール流体機械を提供
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例１におけるスクロール流体機
械の構成を示す断面図である。

【図２】両回転式のスクロール流体機械の作動原理を説
明するための図である。

【図３】従来のスクロール流体機械の構成を示す図であ
る。

【符号の説明】

１ 第１のスクロール ２ 第２のスクロール ３ 圧縮室 ５、６ 第１および第２のハウジング ８ 器室 ９ 密閉容器 １０ モータ １１ 駆動軸 １２ 支持軸 １６、１７、１８ 軸受 １９、２１ シールリング ２３ 油ポンプ（潤滑油供給手段） ２４ 通油路 ２５ 吐出通路

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉原 正浩 静岡市小鹿三丁目18番１号 三菱電機株式 会社静岡製作所内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 密閉室内に室外と連通する器室を形成す
   るハウジングと、上記器室内に設けられるとともに上方
   に突設される駆動軸が上記ハウジングを貫通する部分で
   軸受により支承される駆動スクロールと、上記器室内に
   上記駆動スクロールと組み合わせて設けられるとともに
   下方に突設される支持軸が上記ハウジングを貫通する部
   分で軸受により支承され且つ上記駆動スクロールと協働
   して圧縮室を形成する従動スクロールと、上記駆動スク
   ロールの駆動軸および上記従動スクロールの支持軸をそ
   れぞれ支承する各軸受の上記器室側にそれぞれ配設され
   上記密閉室と上記器室との間の気密を図るシールリング
   部材と、上記密閉室の上部に配設され上記駆動スクロー
   ルの駆動軸と結合されるモータと、上記密閉室の底部に
   貯溜される潤滑油と、この潤滑油を上記支持軸部を介し
   て上記両スクロールの摺動部に供給する潤滑油供給手段
   と、上記駆動軸内長手方向に穿設され一端が上記両スク
   ロール間に形成される圧縮室に吐出弁を介して連通する
   とともに他端が上記モータの下方で上記密閉室内と連通
   する吐出通路とを備えたことを特徴とするスクロール流
   体機械。
2. 【請求項２】 潤滑油供給手段は、従動スクロールの支
   持軸先端に装着され且つ潤滑油中に浸漬される油ポンプ
   と、この油ポンプと両スクロールの摺動部とを連通する
   通油路とで構成されていることを特徴とする請求項１記
   載のスクロール流体機械。