JPH05171572A - 抗菌性皮革 - Google Patents

抗菌性皮革

Info

Publication number
JPH05171572A
JPH05171572A JP35530291A JP35530291A JPH05171572A JP H05171572 A JPH05171572 A JP H05171572A JP 35530291 A JP35530291 A JP 35530291A JP 35530291 A JP35530291 A JP 35530291A JP H05171572 A JPH05171572 A JP H05171572A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
leather
antibacterial
metal ion
phosphate
ion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP35530291A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3052296B2 (ja
Inventor
Yukari Kato
ゆかり 加藤
Koji Sugiura
晃治 杉浦
Hideki Kato
秀樹 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toagosei Co Ltd filed Critical Toagosei Co Ltd
Priority to JP3355302A priority Critical patent/JP3052296B2/ja
Publication of JPH05171572A publication Critical patent/JPH05171572A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3052296B2 publication Critical patent/JP3052296B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)
  • Treatment And Processing Of Natural Fur Or Leather (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】天然皮革又は人造皮革が本来有する透湿性、通
気性、柔軟性等の材料特質を失わず、長期にわたって永
続的に抗菌、防カビ効果を有し、しかも変色を起こさな
い抗菌性皮革を提供する。 【構成】Ag0.005Li0.995Zr2(PO43及びAg
0.1(NH41.9Ti(PO42・4H2O等の抗菌性燐
酸塩を保持することを特徴とする抗菌性皮革。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌性を有する特定の燐
酸塩系化合物を、天然皮革又は人造皮革に保持させ、長
期にわたり安定して抗菌効果を発揮させることができる
抗菌性皮革に関するものである。
【0002】
【従来の技術】皮革には天然皮革と人造皮革がある。天
然皮革は、牛、馬、豚、羊及び山羊等の家畜の皮、鰐、
トカゲ及び蛇等の爬虫類の皮、或いは鮫等の水産動物の
皮を原料とし、用途に応じて柔軟性、強靱性、耐熱性、
吸水性、通気性等に優れたなめし革が製造されている。
天然皮革は、一般にコラーゲン繊維の交絡構造からなる
繊維基材と表面層からなる。人造皮革は、天然皮革の構
造及び外観を模倣して製造されるものであり、各種合成
繊維が絡まった構造を有する繊維基材と表面層からなる
ものであ。人造皮革は、大別してビニルレザー、合成皮
革及び人工皮革の3種がある。ビニルレザーは、繊維基
材として各種の編織布を用い、表面層として非発泡構造
又は発泡構造を有するポリ塩化ビニルを用いるものであ
り、耐磨耗性、耐傷性、着色性等に優れている。合成皮
革は、繊維基材として各種の編織布を用い、表面層とし
てポリウレタンを用いるものであり、外観が天然皮革に
近く、透湿性に優れている。人工皮革は、天然皮革のコ
ラーゲン繊維の交絡構造を3次元構造繊維絡合体で近似
させることにより、外観のみならず基本物性まで再現し
ようとしたものであり、人造皮革の中では天然皮革に最
も近い性能を示すものである。これらの皮革は種々の分
野で使用されており、例えば靴、鞄、袋、衣料等の形構
成材料、椅子、ソファー等の各種家具や書籍表紙等の表
面を覆う被覆材料等として多く用いられている。人造皮
革は、一般に樹脂エマルジョン或いは樹脂溶液を繊維基
材に塗布又は含浸した後、湯洗、乾燥して製造される。
人造皮革は天然皮革に比べて、安価であること、機械的
特性がすぐれていること、透湿性、通気性があること、
柔軟性に富み加工のしやすいことから、天然皮革の代替
材料として多く使われている。しかしながら、皮革を使
用していると、使用中の汗や水によって、細菌、カビ類
が繁殖し、美観や耐久性の低下を招くことが問題となっ
ており、又消費者の清潔指向からも抗菌機能を有した合
成皮革の開発が急務となっている。
【0003】上記問題を解決する方法として、銀イオン
等の抗菌性金属を担持させたゼオライト等の無機系抗菌
剤を合成皮革に使用する技術が知られている(特開昭6
0−181370)。しかし、ゼオライト系抗菌剤は抗
菌性成分として含有される金属の反応性が高く、人造皮
革を構成する樹脂、繊維基材を変色させるという問題が
ある。そのため淡色の製品に使用することができなかっ
た。また、該ゼオライト系抗菌剤は粒径が平均数μmで
あり、これを合成繊維用樹脂中に練り込むと繊維強度が
小さくなるため、繊維基材を作成する際、糸切れや抗菌
剤が脱落することがある等の問題があった。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、天然皮革
又は人造皮革が本来有する透湿性、通気性、柔軟性等の
材料特質を失わず、長期にわたって永続的に抗菌、防カ
ビ効果を有し、しかも変色を起こさない抗菌性皮革を提
供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、銀イオン等の抗菌性
金属を含有する特定の燐酸塩系化合物を保持した皮革が
経時的に変色を起こさず、永続的に抗菌、防カビ効果を
有することを見いだし、本発明を完成するに至った。即
ち、本発明は下記一般式〔1〕で示される抗菌性燐酸塩
を保持することを特徴とする抗菌性皮革である。 M1 ab2 c(PO4d・nH2O 〔1〕 (M1は銀、銅、亜鉛、錫、水銀、鉛、鉄、コバルト、
ニッケル、マンガン、砒素、アンチモン、ビスマス、バ
リウム、カドミウム及びクロムからなる群より選ばれる
少なくとも1種のl価の金属イオンであり、Aはアルカ
リ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウム
イオン及び水素イオンからなる群より選ばれる少なくと
も1種のm価の金属イオンであり、M2は4価金属であ
り、nは0≦n≦6を満たす数であり、a及びbはいず
れも正数であり、la+mb=1又はla+mb=2で
あり、c及びdはla+mb=1の時、c=2、d=3
であり、la+mb=2の時、c=1、d=2であ
る。)
【0006】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明において抗菌剤として用いる化合物は下記一般式
〔1〕で示される燐酸塩系化合物である。 M1 ab2 c(PO4d・nH2O 〔1〕 (M1は銀、銅、亜鉛、錫、水銀、鉛、鉄、コバルト、
ニッケル、マンガン、砒素、アンチモン、ビスマス、バ
リウム、カドミウム及びクロムからなる群より選ばれる
少なくとも1種のl価の金属イオンであり、Aはアルカ
リ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウム
イオン及び水素イオンからなる群より選ばれる少なくと
も1種のm価の金属イオンであり、M2は4価金属であ
り、nは0≦n≦6を満たす数であり、a及びbはいず
れも正数であり、la+mb=1又はla+mb=2で
あり、c及びdはla+mb=1の時、c=2、d=3
であり、la+mb=2の時、c=1、d=2であ
る。)
【0007】上記一般式〔1〕で示される化合物は、l
a+mb=1の時、c=2、d=3の各係数を有する、
アモルファス又は空間群R3cに属する結晶性化合物であ
り、各構成イオンが3次元網目状構造を作る化合物を表
し、la+mb=2の時、c=1、d=2の各係数を有
する、アモルファス又は各構成イオンが層状構造を作る
化合物を表す。本発明における抗菌性燐酸塩としては、
容易に微粒子状として得ることができる点及び日光に暴
露したときの変色が少なく耐候性に優れることから、 l
a+ mb=1及びc=2、d=3の各係数を有する、3
次元網目状構造を有する結晶性化合物が好ましい。
【0008】上記一般式〔1〕におけるM1は、いずれ
も抗菌性及び防カビ性を示す金属として知られたもので
あり、これらの中で銀は、安全性の他、抗菌性を顕著に
高めることができる金属として特に有効である。
【0009】上記一般式〔1〕におけるAは、アルカリ
金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイ
オン又は水素イオンであり、アルカリ金属イオン及びア
ルカリ土類金属イオンの好ましい具体例には、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウ
ム等のイオンがあり、これらの中では、化合物の安定性
及び安価に入手できる点から、リチウム、ナトリウム、
アンモニウムイオンおよび水素イオンが好ましいイオン
である。
【0010】上記一般式〔1〕におけるM2は、4価金
属であり、好ましい具体例には、ジルコニウム、チタン
又は錫があり、化合物の安全性を考慮すると、ジルコニ
ウムは、特に好ましい4価金属である。
【0011】上記一般式〔1〕の抗菌性燐酸塩の具体例
として、以下のものがある。 Ag0.005Li0.995Zr2(PO43 Ag0.01(NH40.99Zr2(PO43 Ag0.05Na0.95Zr2(PO43 Ag0.20.8Ti2(PO43 Ag0.10.9Zr2(PO43 及び化合物1モル当たりの銀イオンの電荷量と同じ電荷
量になるようにしながら、上記各式におけるAgの一部
又は全部をZn、Mn、Ni、Pb、Hg、Sn、また
はCuと置換した化合物、 Ag0.001Li1.999Zr(PO42 Ag0.01Na1.99Zr(PO42 Ag0.011.99Sn(PO42・1.2H2O Ag0.1(NH41.9Ti(PO42・4H2O Ag0.021.98(PO42・1.7H2O 及び化合物1モル当たりの銀イオンの電荷量と同じ電荷
量になるようにしながら、上記各式におけるAgの一部
又は全部をZn、Mn、Ni、Pb、Hg、Sn、また
はCuと置換した化合物。
【0012】本発明における抗菌性燐酸塩を合成する方
法には、焼成法、湿式法及び水熱法等があり、例えば以
下のようにして容易に得ることができる。 ○網目状構造リン酸塩の合成 焼成法により合成する場合、炭酸リチウム(Li2CO3)又
は炭酸ナトリウム(Na2CO3)等のアルカリ金属を含有す
る化合物、酸化ジルコニウム(ZrO2)等のジルコニウム
を含有する化合物及びリン酸二水素アンモニウム(NH4H
2PO4)等のリン酸基を含有する化合物を、モル比で約
1:4:6となるように混合し、これを1100〜1400℃で
焼成することにより、一般式〔2〕で示される化合物を
得る。 Ax Zr2(PO43
〔2〕 (Aは上記と同じ意味であり、xはAが1価であるとき
は1であり、Aが2価であるときは1/2である) 一般式〔2〕で示される化合物を、室温〜100 ℃におい
て、適当な濃度で銀イオンを含有する水溶液中に浸漬す
ることにより、一般式〔1〕で示される化合物を得る。
【0013】また、湿式法により合成する場合、オキシ
硝酸ジルコニウム及び硝酸ナトリウムの水溶液を攪拌し
ながら、この中にシュウ酸を加え、さらにリン酸を加え
る。苛性ソーダ水溶液にて反応液のpHを3.5に調整
し、78時間加熱還流後、沈澱物を濾過、水洗、乾燥、
粉砕し、網目状リン酸ジルコニウム[NaZr2(P
43]を得る。これを適当な濃度で抗菌性金属を含有
する水溶液中に浸漬することにより、一般式〔1〕で示
される化合物を得る。
【0014】さらにまた、水熱法により合成する場合、
例えば以下のように合成すれば良い。硫酸ジルコニウム
の水溶液に、攪拌しながら燐酸二水素アンモニウムを徐
々に加え、沈澱物を生成する。その後、苛性ソーダ水溶
液にて反応液のpH値を2に調整し、130℃に保持し
た密閉容器中、飽和蒸気圧下で32時間沈澱物を加熱し
た後、沈澱物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し、結晶質リン
酸ジルコニウムNH4Zr2(PO43を得る。さらに、
この結晶質リン酸ジルコニウムを適当な濃度の硝酸銀水
溶液中に加え、攪拌することにより、平均粒径が1μm
以下の抗菌性燐酸塩AgX(NH41-XZr2(PO43
を得る(xは0〜1の数である。)。
【0015】○層状構造リン酸塩の合成 濃厚なリン酸水溶液中に、オキシ塩化ジルコニウム、オ
キシ塩化チタン或いはオキシ塩化スズ等のジルコニウ
ム、チタン或いはスズ等の4価金属を構成元素とするオ
キシ塩化物を添加し、24時間加熱還流後、沈澱物を濾
過、水洗、乾燥、粉砕し、リン酸ジルコニウム〔Zr(HPO
4)2・H2O〕等のリン酸塩を得、これをアルカリ金属等の
硝酸塩水溶液に添加し、攪拌、水洗、乾燥及び粉砕する
ことにより、一般式〔3〕で示される化合物を得る。 A2xZr(PO42・nH2O 〔3〕 (A、x及びnは上記と同じ意味である。) 一般式〔3〕で示される化合物を適当な濃度で抗菌性金
属を含有する水溶液中に浸漬することにより、一般式
〔1〕で示される化合物を得る。
【0016】なお、一般式〔1〕におけるaの値は、上
記一般式〔2〕又は〔3〕で表される化合物を浸漬する
水溶液における銀の濃度、その水溶液に一般式〔2〕又
は〔3〕で表される化合物を浸漬する時間又は温度等を
調整することにより、必要とする特性及び使用条件等に
応じて、適宜調整することができる。
【0017】抗菌性を発揮させるには、一般式〔1〕に
おけるaの値は大きい方がよいが、aの値が0.001
以上であれば充分に抗菌性及び防カビ性を発揮させるこ
とができる。しかし、aの値が0.001未満である
と、抗菌性を長時間発揮させることが困難となる恐れが
あるので、aの値を0.01以上の値とすることが好ま
しい。又、経済性を考慮すると、aの値は0.5以下が
適当である。
【0018】本発明に用いる燐酸塩系化合物の平均粒径
は、樹脂および繊維基材に均一に分散させるため、1μ
m以下とすることが好ましい。
【0019】本発明で用いられる燐酸塩系化合物は熱及
び光の暴露に対して安定であり、500℃以上、場合に
依っては800℃での加熱であっても構造及び組成が全
く変化せず、紫外線の照射に依っても何等変色を起こさ
ない。また、液体状態にある水と接触したり、酸性溶液
中でも骨格構造の変化がみられない。このように本発明
で用いる燐酸塩系化合物は化学的及びに物理的に安定で
あり、各種の加工及び保存、さらには使用時において、
耐酸性や遮光条件等の制約を受けることがない。
【0020】抗菌性燐酸塩を保持させることができる皮
革の種類は、特に限定されず、いかなる天然皮革及び人
造皮革であっても良い。人造皮革に燐酸塩系化合物を保
持させる方法に特に限定はないが、例えば繊維基材を構
成する繊維を製造する際に、繊維樹脂中に燐酸塩系化合
物を練り混んだり、表面層を形成するための樹脂エマル
ジョン又は樹脂溶液中に分散させ、この分散液を繊維基
材に塗布又は含浸させたりすることにより、燐酸塩系化
合物を皮革に保持させることができる。天然皮革に燐酸
塩系化合物を保持させるには、燐酸塩系化合物をバイン
ダーを用いて天然皮革の表面に接着させることができ、
好ましいバインダーとして、例えば水溶性接着剤、溶剤
可溶性接着剤、ビスコース液、水性エマルジョン及び合
成樹脂粉末等があり、これらの中では耐水性を有するも
のが特に好ましい。本発明における繊維基材にたいする
樹脂溶液あるいはエマルジョンの含浸、凝固処理および
その後の仕上処理自体は公知の方法によれば良い。本発
明で用いる燐酸塩系化合物は平均粒径1μm以下で、狭
い粒度分布を有する微粒子状として容易に得ることがで
きる。そのため、紡糸による糸切れの問題や繊維を形成
する樹脂に混合する際の分散性に問題を生じさせない
で、燐酸塩系化合物を繊維基材中の繊維に含有させるこ
とができ、繊維強度は無添加品と変わらない。また、樹
脂溶液あるいは樹脂エマルジョンで繊維基材や天然皮革
をコーティング或いは含浸しても、燐酸塩系化合物は皮
革に均一にかつ強固に保持されるので、摩擦等の物理的
要因により燐酸塩系化合物粒子が脱落することは極めて
少なく、実用上殆ど問題がない。
【0021】抗菌性燐酸塩を人造皮革に保持させる好ま
しい量は、繊維形成用樹脂に練り混む場合、樹脂100
重量部(以下単に部と略す。)当たり0.01〜10部
であり、より好ましくは0.05〜1.0部である。抗
菌性燐酸塩の保持量が0.01部より少ないと充分な抗
菌力が発揮されない恐れがある。表面層形成用の樹脂エ
マルジョン或いは樹脂溶液に分散させる場合、分散液の
樹脂固形分100部当たり0.1〜200部であり、よ
り好ましくは1〜100部である。樹脂エマルジョン又
は樹脂溶液の固形分濃度は、抗菌性燐酸塩を均一に保持
させるためには、好ましくは10重量%(以下単に%と
略す。)以下、より好ましくは数%以下の低濃度とする
ことが好ましい。又、この表面層形成用の樹脂エマルジ
ョン或いは樹脂溶液は、天然皮革に抗菌性燐酸塩を保持
させる場合にも使用することができる。なお、本発明に
おける抗菌性燐酸塩を皮革に保持させることにより、皮
革が本来有している各種の物性を劣化させることはな
い。
【0022】本発明において表面層を形成するための樹
脂エマルジョン又は樹脂溶液として使用することができ
る樹脂としては、ポリアクリル酸エステル系樹脂、スチ
レンブタジエン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウ
レタン系樹脂、ニトリルブタジエン系樹脂などが挙げら
れる。これらは単独あるいは混合の形で適用することが
できる。
【0023】本発明において使用する繊維基材として
は、綿などの天然繊維、ポリエステル、ポリアクリロニ
トリルなどの合成繊維、レーヨン、キュプラ、アセテー
トなどの化学繊維の単独またはこれらの混合繊維からな
る短繊維をカード、ランダム、ウェーバー等でウェプと
なしたものまたはこれをニードルロッカールームでニー
ドルパンチした不織布、または前記繊維からなる長繊維
不織布などが挙げられる。
【0024】
【参考例1】抗菌性燐酸塩の製造 硫酸ジルコニウムの水溶性及び燐酸2水素アンモニウム
の水溶性をジルコニウムとリンの比が2:3になるよう
に混合することにより沈澱物を生成させ、水酸化ナトリ
ウムの水溶液を用いてpHを2に調整した後、水熱状態
下で150℃、24時間加熱することにより結晶性燐酸
ジルコニウムを得た。上記で得た燐酸塩系化合物を硝酸
銀の水溶液に添加し、室温で4時間攪拌した後、十分に
水洗し、乾燥、粉砕することにより抗菌剤を得た。得ら
れた抗菌剤は平均粒径0.47μmである白色粉末であ
る。この抗菌剤は変異原性がなく、ウサギの皮膚一次刺
激試験において刺激性は認められなかった。かつ、マウ
スへの経口投与による急性毒性試験は、投与最大値であ
る2000mg/Kg以上であり、高い安全性が認めら
れている。
【0025】
【比較参考例1】抗菌性ゼオライトの調製 A型ゼオライト[組成:0.94Na2O・Al23
1.92SiO2・XH2O]を硝酸銀単独または硝酸銀
と硝酸アンモニウムの水溶液に添加し、室温で10時間
攪拌した後、十分に水洗し、110℃で乾燥することに
より得た。
【0026】
【実施例1】合成皮革の合成 ナイロンとポリスチレンの混合紡糸繊維からなる不織布
に、ポリウレタンエラストマーの15%ジメチルホルム
アミド溶液を含浸し、これを水中で湿式凝固した後、湯
洗、乾燥を行ってシート状物を得た。表1の組成を有す
る溶液を厚さ1mmとなるように塗布し、これを水中で湿
式凝固した後、湯洗、乾燥してNo.1〜3の皮革を得
た。
【0027】
【表1】
【0028】
【実施例2】抗菌力試験 試験菌株 黄色ブドウ球菌 IFO 13276 増菌用培地 Mueller-Hinton Broth(DIFCO) 接種菌液の調製 増菌用培地に継代培養した試験菌株を接種、培養後、菌
数が106/mlになるように同培地で希釈して調整し
た。 試験操作 5cm角に切り出した合成皮革の表面に菌液を一定量接種
し、30℃にて保存した。6及び24時間後の生菌数を
測定した。その結果を下記表2に示した。
【0029】
【表2】
【0030】
【実施例3】カビ抵抗性試験 JIS Z 2911(カビ抵抗性試験)の方法に従
い、カビ抵抗性試験を実施した。試験菌種としては黒麹
カビIFO 4407を使用した。表3に示す試験結果
の表示方法により評価を行い、試験結果を下記表4に示
した。
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【実施例4】耐候性試験 実施例1で作製した各種合成皮革について、東洋精機製
作所株式会社製耐候性試験機UC−1を用いて耐候性を
測定した。UC−1の試験条件は1サイクルが2時間で
あり、60℃で350nm以下の紫外線を照射する1時
間の工程と40℃で湿度95%以上の雰囲気に放置する
1時間の工程からなる。日本電色工業株式会社製色彩色
差計SZ−Σ80を用いて、耐候性試験の5および20
サイクル後の色彩(L,a,b)を測定し、この色彩と
抗菌剤を含有していないブランクの合成皮革を合成した
直後の色彩とを比較することにより色差△Eを求め、そ
の結果を下記表5に示した。
【0034】
【表5】
【0035】
【発明の効果】本発明の皮革は、天然皮革又は人造皮革
が本来有する透湿性、通気性、柔軟性等の材料特質を失
わず、長期にわたって永続的に抗菌、防カビ効果を有
し、しかも変色を起こさないという特長を有するもので
ある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式〔1〕で示される抗菌性燐酸
    塩を保持することを特徴とする抗菌性皮革。 M1 ab2 c(PO4d・nH2O 〔1〕 (M1は銀、銅、亜鉛、錫、水銀、鉛、鉄、コバルト、
    ニッケル、マンガン、砒素、アンチモン、ビスマス、バ
    リウム、カドミウム及びクロムからなる群より選ばれる
    少なくとも1種のl価の金属イオンであり、Aはアルカ
    リ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウム
    イオン及び水素イオンからなる群より選ばれる少なくと
    も1種のm価の金属イオンであり、M2は4価金属であ
    り、nは0≦n≦6を満たす数であり、a及びbはいず
    れも正数であり、la+mb=1又はla+mb=2で
    あり、c及びdはla+mb=1の時、c=2、d=3
    であり、la+mb=2の時、c=1、d=2であ
    る。)
JP3355302A 1991-12-20 1991-12-20 抗菌性皮革 Expired - Lifetime JP3052296B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3355302A JP3052296B2 (ja) 1991-12-20 1991-12-20 抗菌性皮革

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3355302A JP3052296B2 (ja) 1991-12-20 1991-12-20 抗菌性皮革

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05171572A true JPH05171572A (ja) 1993-07-09
JP3052296B2 JP3052296B2 (ja) 2000-06-12

Family

ID=18443129

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3355302A Expired - Lifetime JP3052296B2 (ja) 1991-12-20 1991-12-20 抗菌性皮革

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3052296B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103789465A (zh) * 2012-11-05 2014-05-14 中国石油化工股份有限公司 一种皮革加脂处理剂及其制备方法
JP2018044259A (ja) * 2016-09-14 2018-03-22 株式会社クラレ 皮革様シート及びボール表皮材

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103789465A (zh) * 2012-11-05 2014-05-14 中国石油化工股份有限公司 一种皮革加脂处理剂及其制备方法
CN103789465B (zh) * 2012-11-05 2015-06-17 中国石油化工股份有限公司 一种皮革加脂处理剂及其制备方法
JP2018044259A (ja) * 2016-09-14 2018-03-22 株式会社クラレ 皮革様シート及びボール表皮材

Also Published As

Publication number Publication date
JP3052296B2 (ja) 2000-06-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5296238A (en) Microbicides
EP1878346B1 (en) Silver-based inorganic antibacterial agent and antibacterial product
US8097263B2 (en) Silver-containing inorganic antibacterial
DE4317122B4 (de) Verfahren zur Herstellung von antimikrobischen Verbindungen
US8110205B2 (en) Silver-containing inorganic antibacterial
US8313780B2 (en) Silver-based inorganic antimicrobial agent, method for preparing the same and antimicrobial product
JPS6323960A (ja) 非晶質アルミノ珪酸塩粒子を含有する高分子体及びその製造方法
CA2855884C (en) Active-powder biocidal composition comprising at least one copper salt and at least one zinc salt and the method for the production thereof
JPH05171572A (ja) 抗菌性皮革
JPS60181370A (ja) 殺菌性を有する合成皮革
JP3280135B2 (ja) 抗菌性繊維製品の製造方法
JP2734852B2 (ja) 吸水性樹脂
JP2890871B2 (ja) 抗菌性樹脂組成物
JP3300085B2 (ja) 吸着性組成物およびその製造法
JP2903127B2 (ja) 透湿性材料の製造法
DE602004008036T2 (de) Wegwerfwindel zur bekämpfung von windelausschlag
JPH0598564A (ja) 脱臭性および抗菌性を有する繊維構造物の製造方法
JPH08205985A (ja) 抗菌性敷物の製造方法
JP3456306B2 (ja) 消臭剤及び消臭性繊維
JPH06340514A (ja) 表面処理された抗菌剤
JPH0557002A (ja) 抗菌性不織布
JP2000248463A (ja) 繊維製品の抗菌加工方法
JPH04273803A (ja) 抗菌剤
JP2001149299A (ja) 抗菌性マット
JPH075354B2 (ja) 脱臭および抗菌性を有する複合セラミックスとその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090407

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090407

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090407

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100407

Year of fee payment: 10

R255 Notification of exclusion from application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R2525

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100407

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100407

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110407

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110407

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120407

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120407

Year of fee payment: 12