JPH05171568A - 生糸絹繊維のセリシン定着法 - Google Patents
生糸絹繊維のセリシン定着法Info
- Publication number
- JPH05171568A JPH05171568A JP35616091A JP35616091A JPH05171568A JP H05171568 A JPH05171568 A JP H05171568A JP 35616091 A JP35616091 A JP 35616091A JP 35616091 A JP35616091 A JP 35616091A JP H05171568 A JPH05171568 A JP H05171568A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- sericin
- raw silk
- fiber
- fixing
- glutaraldehyde
- Prior art date
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- Pending
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- Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【構成】生糸絹繊維又はその製品を、セリシンを付着さ
せたまま、グリオキザールとグルタルアルデヒドを含有
する水溶液で処理し、セリシンを繊維上に不溶化定着さ
せる。 【効果】従来方法に比べて、繊維の強度及び伸度が向上
し、生糸絹繊維及びその製品例えば琴糸、釣糸への応用
も可能である。
せたまま、グリオキザールとグルタルアルデヒドを含有
する水溶液で処理し、セリシンを繊維上に不溶化定着さ
せる。 【効果】従来方法に比べて、繊維の強度及び伸度が向上
し、生糸絹繊維及びその製品例えば琴糸、釣糸への応用
も可能である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生糸絹繊維又はその製
品にセリシン付着させたまま不溶化とし、セリシン定着
せしめる方法である。これらのアルデヒドを生糸絹繊維
のセリシン定着へ応用することにより所望量のセリシン
を安定に定着した生糸絹繊維又はその製品例えば琴糸、
釣糸等へ利用することができる
品にセリシン付着させたまま不溶化とし、セリシン定着
せしめる方法である。これらのアルデヒドを生糸絹繊維
のセリシン定着へ応用することにより所望量のセリシン
を安定に定着した生糸絹繊維又はその製品例えば琴糸、
釣糸等へ利用することができる
【0002】
【従来の技術】一般に、生糸絹繊維又はその製品中のセ
リシン含有量は25%前後と高く、セリシンを廃棄せずに
適当量のセリシンを定着させうれば資源の有効利用から
鑑みて染色加工上、重要視されうる。しかしながら、従
来の方法では絹糸から生糸絹繊維又はその製品にセリシ
ンを定着させる過程で溶液にセリシンを消失させてしま
い、資源の有効利用の点で問題もあり、又、湖沼ならび
に河川の汚染源ともなりかねなかった。そこで、セリシ
ンの消失を防ぐ方法としてセルロースの改質剤やタンパ
ク質の組織固定剤に広く利用されてきたホルムアルデヒ
ド法、グルタルアルデヒド法が使われた。この方法は、
比較的簡易な方法でセリシンの消失を最小限に抑えるこ
とができた。
リシン含有量は25%前後と高く、セリシンを廃棄せずに
適当量のセリシンを定着させうれば資源の有効利用から
鑑みて染色加工上、重要視されうる。しかしながら、従
来の方法では絹糸から生糸絹繊維又はその製品にセリシ
ンを定着させる過程で溶液にセリシンを消失させてしま
い、資源の有効利用の点で問題もあり、又、湖沼ならび
に河川の汚染源ともなりかねなかった。そこで、セリシ
ンの消失を防ぐ方法としてセルロースの改質剤やタンパ
ク質の組織固定剤に広く利用されてきたホルムアルデヒ
ド法、グルタルアルデヒド法が使われた。この方法は、
比較的簡易な方法でセリシンの消失を最小限に抑えるこ
とができた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法はセリシン
の消失を最小限に抑えることはできたが、機械的物性値
は生糸絹繊維又はその製品として使用する上において、
実用上充分ではなかった。 そこで、従来技術の良い点
を生かしながらより機械的物性値を向上させる方法につ
いて検討した。
の消失を最小限に抑えることはできたが、機械的物性値
は生糸絹繊維又はその製品として使用する上において、
実用上充分ではなかった。 そこで、従来技術の良い点
を生かしながらより機械的物性値を向上させる方法につ
いて検討した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来方法と
同程度以下のセリシンの消失(練減率)で且つ機械的物
性値を実用上問題のない程度に向上させる方法について
鋭意検討した結果、グリオキザールとグルタルアルデヒ
ドを含有する水溶液中へ浸漬処理することにより、セリ
シンを繊維上に不溶化定着させることにより、セリシン
の消失(練減率)を防ぎ、且つ機械的物性値を実用上問
題のない程度にまで向上させることができる事を見出し
本研究を完成させた。
同程度以下のセリシンの消失(練減率)で且つ機械的物
性値を実用上問題のない程度に向上させる方法について
鋭意検討した結果、グリオキザールとグルタルアルデヒ
ドを含有する水溶液中へ浸漬処理することにより、セリ
シンを繊維上に不溶化定着させることにより、セリシン
の消失(練減率)を防ぎ、且つ機械的物性値を実用上問
題のない程度にまで向上させることができる事を見出し
本研究を完成させた。
【0005】
【発明の構成】本発明で使用するグリオキザール(HCOC
HO)とグルタルアルデヒド(HCO(CH2)3CHO)は液状の化
合物である。本発明は、このグリオキザールとグルタル
アルデヒドの混合水溶液で生糸或いは絹製品を適当な時
間浸漬処理することにより、適当量のセリシンを生糸絹
製品又は絹繊維に不溶化定着させるセリシン定着法であ
る。本発明方法により、処理した生糸の練減率は4%であ
る。これは、従来のホルムアルデヒド法、グルタルアル
デヒド法と同程度以上の練減率であり、資源の有効利用
及び環境への影響という点からも有効な方法である。
又、機械的物性値に関しては、強度は4.3g/dであり、伸
度は26.6%となった。これは、未処理生糸の同値が4.0g/
dと24.1%であるのに対し、強度、伸度共に物性値が向上
していることを示している。これに対し、従来のグルタ
ルアルデヒド法で処理した場合は、同様な測定条件にお
いて強度は3.58g/dで、伸度は20.33%となり、機械的物
性値は未処理糸よりも下がっている。以上の事から、本
発明方法によれば、練減率の向上と機械的物性値の向上
という2点を同時に達成することができ、セリシンを安
定に定着した生糸絹繊維及びその製品の供給、及び資源
の有効利用が同時に可能になる。
HO)とグルタルアルデヒド(HCO(CH2)3CHO)は液状の化
合物である。本発明は、このグリオキザールとグルタル
アルデヒドの混合水溶液で生糸或いは絹製品を適当な時
間浸漬処理することにより、適当量のセリシンを生糸絹
製品又は絹繊維に不溶化定着させるセリシン定着法であ
る。本発明方法により、処理した生糸の練減率は4%であ
る。これは、従来のホルムアルデヒド法、グルタルアル
デヒド法と同程度以上の練減率であり、資源の有効利用
及び環境への影響という点からも有効な方法である。
又、機械的物性値に関しては、強度は4.3g/dであり、伸
度は26.6%となった。これは、未処理生糸の同値が4.0g/
dと24.1%であるのに対し、強度、伸度共に物性値が向上
していることを示している。これに対し、従来のグルタ
ルアルデヒド法で処理した場合は、同様な測定条件にお
いて強度は3.58g/dで、伸度は20.33%となり、機械的物
性値は未処理糸よりも下がっている。以上の事から、本
発明方法によれば、練減率の向上と機械的物性値の向上
という2点を同時に達成することができ、セリシンを安
定に定着した生糸絹繊維及びその製品の供給、及び資源
の有効利用が同時に可能になる。
【0006】
【実施例】以下、実施例により本発明の内容を具体的に
示す。 実施例1 エーテルとアルコールで洗浄した27中生糸(昭和56
年春蚕)を使用して、試料生糸に対して浴比(1:50)と
した。この浴比に対して、グリオキザール15%、グルタ
ルアルデヒド7.5%を加え、常温で一昼夜放置し処理し
た。処理した生糸を常温のアセトンで2回洗浄し、蒸留
水で軽く洗浄した後、絞って室温で乾燥し、さらにデシ
ケータ中で再乾燥を行った。通常、未処理生糸のセリシ
ン含有量は25%前後とかなり高い数値を示しているか、
本法のグリオキザールとグルタルアルデヒドの混合水溶
液で処理すると練減率は4%前後となる。強伸度として
は、未処理生糸の強度は4.0g/dで伸度は24.1%であり、
一方のグリオキザールとグルタルアルデヒド混合水溶液
による処理生糸の強度と伸度は4.3g/dと26.6%である。
従って、この処理方法により、20%前後のセリシンを生
糸上に不溶化定着させうる。これらの処理生糸は黄色化
しているが、漂白せずにそのままの処理生糸でも染色時
の黒色染めなどに応用できる。
示す。 実施例1 エーテルとアルコールで洗浄した27中生糸(昭和56
年春蚕)を使用して、試料生糸に対して浴比(1:50)と
した。この浴比に対して、グリオキザール15%、グルタ
ルアルデヒド7.5%を加え、常温で一昼夜放置し処理し
た。処理した生糸を常温のアセトンで2回洗浄し、蒸留
水で軽く洗浄した後、絞って室温で乾燥し、さらにデシ
ケータ中で再乾燥を行った。通常、未処理生糸のセリシ
ン含有量は25%前後とかなり高い数値を示しているか、
本法のグリオキザールとグルタルアルデヒドの混合水溶
液で処理すると練減率は4%前後となる。強伸度として
は、未処理生糸の強度は4.0g/dで伸度は24.1%であり、
一方のグリオキザールとグルタルアルデヒド混合水溶液
による処理生糸の強度と伸度は4.3g/dと26.6%である。
従って、この処理方法により、20%前後のセリシンを生
糸上に不溶化定着させうる。これらの処理生糸は黄色化
しているが、漂白せずにそのままの処理生糸でも染色時
の黒色染めなどに応用できる。
【0007】
【比較例】又、本発明と従来方法との違いを明かにする
為に、従来の方法(グルタルアルデヒド法)で同様の実
験を行った結果を比較例として以下に示す。 比較例1 エーテルとアルコールで洗浄した27中生糸(昭和56
年春蚕)を使用して、試料生糸に対して浴比(1:50)と
した。この浴比に対して、グルタルアルデヒド7.5%を加
え、常温で一昼夜放置し処理した。処理した生糸を常温
のアセトンで2回洗浄し、蒸留水で軽く洗浄した後、絞
って室温で乾燥し、さらにデシケータ中で再乾燥を行っ
た。強伸度としては3.58g/dで20.33%であった。練減率
は5%前後であった。
為に、従来の方法(グルタルアルデヒド法)で同様の実
験を行った結果を比較例として以下に示す。 比較例1 エーテルとアルコールで洗浄した27中生糸(昭和56
年春蚕)を使用して、試料生糸に対して浴比(1:50)と
した。この浴比に対して、グルタルアルデヒド7.5%を加
え、常温で一昼夜放置し処理した。処理した生糸を常温
のアセトンで2回洗浄し、蒸留水で軽く洗浄した後、絞
って室温で乾燥し、さらにデシケータ中で再乾燥を行っ
た。強伸度としては3.58g/dで20.33%であった。練減率
は5%前後であった。
【0008】
【発明の効果】セリシンの定着効果が上昇し、機械的物
性値も従来法と比較して強度伸度共に上昇を示すので、
セリシンが安定に定着し機械的物性値が向上した生糸絹
繊維又はその製品が得られる。
性値も従来法と比較して強度伸度共に上昇を示すので、
セリシンが安定に定着し機械的物性値が向上した生糸絹
繊維又はその製品が得られる。
Claims (1)
- 【請求項1】 生糸絹繊維又はその製品をグリオキザー
ルとグルタルアルデヒドを含有する水溶液で処理するこ
とにより、セリシンを繊維上に不溶化定着させることを
特徴とするセリシン定着法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35616091A JPH05171568A (ja) | 1991-12-24 | 1991-12-24 | 生糸絹繊維のセリシン定着法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35616091A JPH05171568A (ja) | 1991-12-24 | 1991-12-24 | 生糸絹繊維のセリシン定着法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05171568A true JPH05171568A (ja) | 1993-07-09 |
Family
ID=18447634
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35616091A Pending JPH05171568A (ja) | 1991-12-24 | 1991-12-24 | 生糸絹繊維のセリシン定着法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05171568A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2727828A1 (fr) * | 1994-12-13 | 1996-06-14 | Loukkas Serge | Procede de fabrication d'un fil de peche a partir d'une tresse de soie naturelle |
CN102433738A (zh) * | 2011-08-18 | 2012-05-02 | 浙江理工大学 | 一种糟朽丝绸文物半胱氨酸加固法 |
CN102433740A (zh) * | 2011-08-18 | 2012-05-02 | 中国丝绸博物馆 | 一种糟朽丝绸文物的仿生加固法 |
CN102433739A (zh) * | 2011-08-18 | 2012-05-02 | 浙江理工大学 | 一种糟朽丝绸文物的氨基酸复合加固法 |
CN102433737A (zh) * | 2011-08-18 | 2012-05-02 | 浙江理工大学 | 一种糟朽丝织品的组氨酸-赖氨酸组合加固法 |
KR20180062821A (ko) * | 2016-12-01 | 2018-06-11 | 경북대학교 산학협력단 | 기계적 물성이 향상된 실크 생사 및 그의 제조방법 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS50126909A (ja) * | 1974-03-29 | 1975-10-06 | ||
JPS6045675A (ja) * | 1983-08-24 | 1985-03-12 | 三井東圧化学株式会社 | 繊維処理剤用グリオキサ−ル |
-
1991
- 1991-12-24 JP JP35616091A patent/JPH05171568A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS50126909A (ja) * | 1974-03-29 | 1975-10-06 | ||
JPS6045675A (ja) * | 1983-08-24 | 1985-03-12 | 三井東圧化学株式会社 | 繊維処理剤用グリオキサ−ル |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2727828A1 (fr) * | 1994-12-13 | 1996-06-14 | Loukkas Serge | Procede de fabrication d'un fil de peche a partir d'une tresse de soie naturelle |
CN102433738A (zh) * | 2011-08-18 | 2012-05-02 | 浙江理工大学 | 一种糟朽丝绸文物半胱氨酸加固法 |
CN102433740A (zh) * | 2011-08-18 | 2012-05-02 | 中国丝绸博物馆 | 一种糟朽丝绸文物的仿生加固法 |
CN102433739A (zh) * | 2011-08-18 | 2012-05-02 | 浙江理工大学 | 一种糟朽丝绸文物的氨基酸复合加固法 |
CN102433737A (zh) * | 2011-08-18 | 2012-05-02 | 浙江理工大学 | 一种糟朽丝织品的组氨酸-赖氨酸组合加固法 |
KR20180062821A (ko) * | 2016-12-01 | 2018-06-11 | 경북대학교 산학협력단 | 기계적 물성이 향상된 실크 생사 및 그의 제조방법 |
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