JPH05170897A - 高分子量結晶性ポリアミド樹脂 - Google Patents

高分子量結晶性ポリアミド樹脂

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JPH05170897A
JPH05170897A JP33905391A JP33905391A JPH05170897A JP H05170897 A JPH05170897 A JP H05170897A JP 33905391 A JP33905391 A JP 33905391A JP 33905391 A JP33905391 A JP 33905391A JP H05170897 A JPH05170897 A JP H05170897A
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molecular weight
temperature
polyamide resin
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pxd
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JP33905391A
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Kunio Matsuki
邦夫 松木
Yoshio Miyajima
芳生 宮島
Satoshi Ariyoshi
敏 有吉
Akiyoshi Abe
秋義 安部
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高耐熱生、高強度、低吸水性で、特に溶融成
形、リサイクル性に優れた高融点ポリアミドを提供す
る。 【構成】 パラ−キシリレンジアミン単位とヘキサメチ
レンジアミン単位のモル比が50:50ないし90:1
0の範囲にある、アジピン酸との共重合で得られる高分
子量結晶性ポリアミド樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高耐熱性、良好な機械
的特性、低吸水性および易成形加工性を有し、特に湿潤
時の機械的特性が優れたエンジニアリングプラスチック
ス等に有用でリサイクル可能な高分子量結晶性ポリアミ
ド樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミドは、1930年代にDu P
ont社のW.H.Carothersが発見して以
来、繊維を中心に発展してきた。一方、繊維以外のポリ
アミド樹脂用途としては、工業部品分野などがあった
が、その発展は繊維分野に較べると比較的遅かった。し
かし、近年の電子・電気産業、自動車産業、航空・宇宙
産業等の成長に支えられ、工業部品としての需要を急速
に拡大しつつある。特に、ポリアミド樹脂の優れた耐熱
性・機械的特性・成形加工性等が、エンジニアリングプ
ラスチックスへの用途展開を可能にしている。
【0003】ポリアミド樹脂として現在までに工業化さ
れたきたものとしては、例えば、Nylon6、Nyl
on6. 6、Nylon11、Nylon12、Nyl
on6. 10、NylonMXD−6等が挙げられる。
【0004】一方、各種製品の高機能化・高集積化に伴
い、より高耐熱性、高強度、低吸水性、易成形加工性の
特性を持ち、かつ湿潤時の機械的特性が優れたポリアミ
ド樹脂が望まれている。特に、ポリアミド樹脂は優れた
耐熱性、機械的特性、成形加工性を有する反面、吸水性
が高く、乾燥時と吸水時の成形品の寸法変化が大きい、
吸水時の機械的強度低下が著しいという成形材料上重大
な問題点を有する。また、最近では地球環境問題が大き
な問題として取り上げられ熱可塑性樹脂のリサイクル性
が重要視されてきている。
【0005】尚、本明細書中で述べる高耐熱性とは、ポ
リマーの結晶融点が少なくとも280℃以上、320℃
以下を意味する。320℃より高い結晶融点を有するポ
リアミド樹脂も知られているが、ポリマーの分解温度に
近いため、合成または成形中に分解・発泡あるいは着色
を伴うという問題がある。また、成形温度が高いため、
通常の成形機では成形が難しい等の問題があり、熱可塑
性ポリアミド樹脂としては好ましくない。低吸水性と
は、一般に市販されているNylon6. 6の無充填で
射出成形用標準グレ−ド(例えば、昭和電工品テクニ−
ルA216)を比較材料として、常温〜100℃・常圧
下で通常試験されている同一条件(例えば、ASTM法
・JIS法など)で測定した値が、少なくともNylo
n6. の値より小さいことを意味する。また、低吸湿性
という用語も存在するが、試験方法が異なるだけで低吸
水性と本質的に同等と見なす。易成形加工とは340℃
以下の通常の溶融成形(例えば、射出成形、押出成形な
ど)が可能なことを意味する。更に、湿潤時の機械的特
性とは、成形直後もしくは乾燥時の成形品が、常温〜1
00℃での水中また任意の湿度を有する雰囲気下または
その温度の水と接触する可能性がある環境下に少なくと
も10時間以上置かれた場合の機械的特性を意味する。
また、本明細書中で述べるリサイクル性とは、成形品
(スプルー、ランナー、バリ等を含む)を回収・粉砕
し、未成形の元ポリマーに混合し再利用を図る場合、元
のポリマーに何ら悪影響を及ぼさないことを意味する。
すなわち、溶融成形後の成形品が十分な分子量と良好な
性能を有することが必須条件となる。
【0006】高耐熱性を目指したポリアミド樹脂として
最近、Nylon46が工業化されたが、高吸水性で寸
法変化が大きい上、吸水時の強度低下が著しいという欠
点がある。また、低吸水性、高強度ポリアミド樹脂とし
てNylonMXD−6が知られているが、耐熱性が不
十分であるという欠点がある。高耐熱性、低吸水性樹脂
として開発が進められているMCX−A(商品名)は結
晶融点が320℃と高いため成形温度と分解温度が近く
着色・成形性に難点があり、リサイクル性にも問題があ
るという欠点を有する。このように、高耐熱性、高強
度、低吸水性、易成形加工性の特性を持ち、かつ湿潤時
の機械的特性が優れリサイクル性が良好なポリアミド樹
脂は、未だ開発されていないのが現状である。
【0007】パラ−キシリレンジアミン(以後、PXD
と称す。)系ポリアミドは、今までに繊維を中心として
種々検討されてきた。例えば、PXD−アジピン酸から
のポリマーは従来より知られているが、結晶融点が33
0℃以上と高く、分解温度に近いため通常の溶融成形・
紡糸は難しい。そこで共重合により結晶融点を下げる検
討が種々の系で行なわれてきた。例えば、PXDとメタ
−キシリレンジアミン(以後、MXDと称す。)および
脂肪族ジカルボン酸からのポリアミド(特公昭32−6
148号公報)、PXDとパラ−ビス(2−アミノエチ
ル)ベンゼンと脂肪族ジカルボン酸からのポリアミド
(特公昭43−13069号公報、同 44−1926
9号公報)、PXDとピペラジンおよび脂肪族ジカルボ
ン酸からのポリアミド(特公昭43−25997号公
報)、PXDとN−置換PXDと脂肪族ジカルボン酸か
らのポリアミド(特公昭44−19873号公報)、P
XDとヘキサメチレンジアミンとアジピン酸およびテレ
フタル酸からのポリアミド(特公昭47−33277号
公報)等が挙げられる。しかし、いずれの系のポリアミ
ドにおいても、結晶融点が著しく低くかったり、分子量
が不十分であったり、結晶性が大幅に低下する等の問題
点を有している。そのため、PXD系ポリアミドが工業
化に至った例はまだない。
【0008】また、PXDとヘキサメチレンジアミン
(HMDA)及びアジピン酸(AA)の組合せからなる
ポリアミドについても古くから知られている。例えば、
オーサー・ジェイ・ユー(Arther J.Yu)
ら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエ
ティー(J.American.Chemical.S
ociety)81,5361(1959)は、280
℃までの結晶融点を有するコポリマーに関し、その構造
組成の結晶融点に及ぼす影響を明かにし、isomor
phismの検討を行なっている。また、ジェームス・
エス・リッジウェイ(James S.Ridgwa
y)、ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス(J.
Polymer.Science)Part−1、8、
3089(1970)は、PXD−AAの構造単位が3
0mol%以下であるコポリマー系について、結晶融点
及びガラス転移温度と環構造について詳細な検討を行な
っている。また、清造ら、繊維学会誌32、37(T−
187)(1976)は、PXD−AAの構造単位が5
0mol%以下であるコポリマー系について結晶融点、
ガラス転移温度、動的粘弾性からisomorphis
mについて検討を行なっている。しかし、これらのコポ
リマー系はいずれもPXD−AAの構造単位が50mo
l%以下のものであり、高耐熱性ポリアミド樹脂として
は好ましくない。更に、これらのコポリマーの溶液粘度
で表される分子量では射出成形品等の実用物性上不十分
であり、リサイクル性にも問題があることが分かった。
【0009】また、特開昭60−195126号公報に
は、PXD−AA65部とHMDA−AA35部からな
るコポリマ−が結晶融点295℃、還元粘度0.92d
l/gを有しフイルム成形可能である旨を述べている。
しかし、本発明者らの追試結果では溶融成形は可能なも
のの成形品としては分子量が不十分なため、十分な実用
物性を有していなかった。更に溶融成形後の分子量は低
くリサイクル性にも難点があった。従って、従来知られ
ているPXD−HMDA−AAからなるポリアミドは、
耐熱性が低かったり、優れた機械的特性、低吸水性、化
学的安定性、リサイクル性を発現させるには十分な分子
量を有していないという問題点があった。更に、本発明
者らの検討結果によれば、PXD−HMDA−AAから
なるポリアミドを窒素下と空気存在下で溶融成形した場
合では、成形に伴う分子量低下が極端に異なる。つま
り、窒素下の溶融成形ではほとんど分子量低下が認めら
れないが、空気存在下における溶融成形では激しい分子
量低下を引き起こす。この原因については必ずしも明確
ではないが、酸化劣化に伴う分子量低下と推測される。
またこの分子量低下は、溶融成形温度が高い程顕著であ
ることが判明した。
【0010】実際の成形を考慮した場合、完全な窒素下
で行なうことは難しい上に、経済的に著しく不利であ
る。従って、ある程度の分子量低下は止むを得ないと考
えるのが妥当である。この際、従来知られているPXD
−HMDA−AAからなるポリアミドの分子量に関する
知見からは容易に類推できないが、出発のポリアミドの
分子量が十分高くない場合、成形後十分な性能を発現出
来ない程度の分子量となるという大きな問題が生ずる。
また、成形品のリサイクル性も極端に悪化するという難
点も有している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の欠点を解決し、優れた耐熱性、機械的特性、低吸水
性、化学的安定性を有し、同時に良好なリサイクル性を
兼ね備えた高分子量のPXD−HMDA−AAからなる
ポリアミドを提供することを目的としてなされたもので
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成するため鋭意研究を重ねた結果、PXD−HMDA
−AAからなるポリアミドにおいて、特定の組成範囲で
かつ、十分な線状の高分子量体であるものが、優れた耐
熱性、機械的特性、低吸水性、化学的安定性を有し、同
時に良好なリサイクル性を兼ね備えた樹脂であることを
見い出し、本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち本発明は、構造式(I)
【0014】
【化3】 で表わされる構成単位(A)と構造式(II)
【0015】
【化4】 で表わされる構成単位(B)とからなるポリアミドであ
って、 i)構成単位(A)と構成単位(B)のモル比が50:
50ないし90:10の範囲にありかつ、 ii)98%硫酸中、濃度0.5g/dl、温度30℃で
測定した還元粘度(η)が、0.95以上でありかつ、 iii)DSC(示差走査型熱量計)で測定した結晶融解
熱量(△Hm)が、6cal/g以上であることを特徴
とする高分子量熱可塑性ポリアミド樹脂に関する。
【0016】本発明で得られる高分子量熱可塑性ポリア
ミド樹脂の構成単位(A)は、PXDとアジピン酸とか
ら得られるポリアミド骨格を、構成単位(B)は、ヘキ
サメチレンジアミンとアジピン酸とから得られるポリア
ミド骨格を表す。本発明で得られる新規な熱可塑性ポリ
アミド樹脂の構成単位(A)と構成単位(B)のモル比
は、50:50ないし90:10の範囲である。
【0017】構成単位(A)と構成単位(B)のモル比
が50:50以下になると得られるポリアミドの結晶融
点が280℃より低くくなり、目的とする高耐熱性及び
優れた湿潤時の機械的強度、寸法安定性等が得られな
い。また、構成単位(A)と構成単位(B)のモル比が
90:10を越えると、結晶融点が320℃を越え成形
性が著しく低下する。
【0018】本発明で得られる高分子量結晶性ポリアミ
ド樹脂は、98%濃硫酸中に溶解し、実質的にゲル分を
含まないものである。また、本発明の熱可塑性ポリアミ
ド樹脂の還元粘度(η)は0.95以上3.0以下であ
る。好ましくは1.5以上3.0以下であり、更に好ま
しくは1.6以上3.0以下である。本発明の熱可塑性
ポリアミド樹脂の還元粘度が0.95未満では、成形品
あるいはフィルムにした場合の強度が低く、実用物性を
有さない。更に、リサイクル性にも著しく劣るものであ
る。また、3.0を越える還元粘度を有するものは分子
量が高すぎるため成形性が著しく低下する。
【0019】本発明で得られる高分子量結晶性ポリアミ
ド樹脂は、DSC(示差走査型熱量計)で測定した結晶
融解熱量(△Hm)が、6cal/g以上である。好ま
しくは8cal/g以上であり、更に好ましくは10c
al/g以上である。本発明の結晶性ポリアミド樹脂の
△Hmが6cal/g未満では、結晶性が著しく低下
し、優れた機械的性能を発現させることは出来ない。
【0020】本発明で得られる高分子量結晶性ポリアミ
ド樹脂の製造は、通常のポリアミド合成に使用される方
法が適用される。例えば、上記組成のポリアミド樹脂に
なるように仕込まれたPXDとアジピン酸の塩とヘキサ
メチレンジアミンとアジピン酸の塩および一定量の精製
水から加圧下、350℃以下で合成する方法、PXD水
溶液、HMDA水溶液、AAおよび一定量の精製水から
加圧下、350℃以下で合成する方法、溶媒としてフェ
ノール系溶媒を用いて常圧下で合成する方法などが挙げ
られる。
【0021】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定され
るものではない。なお、本発明によって得られた新規な
熱可塑性ポリアミド樹脂は、一般の有機溶媒には極めて
溶解しにくいので平均分子量を求めることは困難であ
る。従って、濃硫酸中で測定した対数粘度をもって分子
量の尺度とした。得られたポリマーの還元粘度(η)
は、98%濃硫酸中、0.5g/dlの濃度で30℃で
測定し以下の算出式で求めた。
【0022】
【数1】 但し、t0 ;粘度計中の溶媒の流出時間 t ;粘度計中のポリマー溶液の流出時間 c ;ポリマー溶液濃度、0.5g/dl
【0023】また、ポリマ−の物性は次のようにして測
定した。
【0024】1)熱的性質は、PERKIN−ELME
R社製7型シリーズを 用いDSC測定を行なった。精
秤した約10mgのサンプルをDSC装置に装填し、不
活性ガス中20℃/分の昇温速度で340℃まで加熱
し、その後 20℃/分の降温速度で冷却する。この操
作を2 回繰り返した後、2回目のDSC曲線より結晶
融点(Tm)、融解熱量(△Hm)、結晶化温度(T
c)を測定した。Tmは融解ピ−ク温度、△Hmは融解
ピ−クより求めた単位重量当りの融解熱量、Tcは結晶
化ピ−ク温度を示す。
【0025】2)吸水性は、成形後のサンプルを50℃
精製水中に24時間浸漬し、その重量変化率を以下の算
出式で求めた。
【0026】
【数2】 但し、W1 :浸漬前の重量 W2 :50℃水中に24時間浸漬後の重量
【0027】3)乾燥時の機械的特性は、ポリマーを2
80℃〜340℃の温度で住友重機社製射出成形機(M
ODEL SYCAP)を用いてASTM試験片を溶融
成形し、80℃で24時間真空乾燥した後、東洋ボール
ドウイン社製、TENSILON /UTM−1−25
00を用い、機械的強度試験測定を行なった。
【0028】4)湿潤時の機械的特性は、ポリマーを2
80℃〜340℃の温度で住友重機社製射出成形機(M
ODEL SYCAP)を用いてASTM試験片を溶融
成形した後、50℃の精製水に24時間浸漬後、東洋ボ
ールドウイン社製、TENSILON/UTM−1−2
500を用い機械的強度試験測定を行なった。また、寸
法変化率は成形後のサンプルを50℃精製水中に24時
間浸漬し、その寸法変化率を、成形時の樹脂の流れ方向
(MD)とそれに直角方向(TD)の各々について以下
の算出式で求めた。
【0029】
【数3】 但し、L1 :浸漬前の長さ L2 :50℃水中に24時間浸漬後の長さ
【0030】5)構造確認は、赤外吸光スペクトル、N
MRスペクトルにより行なった。赤外吸光スペクトル分
析(IR)は、日立製作所社製270−50形赤外分光
光度計を用いて行なった。NMRスペクトル分析(13
−NMRおよび 1H−NMR)は、日本電子社製、GS
X400核磁気共鳴スペクトロメ−タ−を使用し、測定
はテトラメチルシラン(TMS)を内標とし、重硫酸溶
媒または重クロロホルム/トリフルオロ酢酸混合溶媒を
用いて行なった。得られたポリマ−の構造単位(A)と
構造単位(B)の組成比は、ジアミン骨格に由来する所
の窒素原子に隣接したメチレンの水素原子の 1H−NM
Rスペクトル分析より行なった。即ち、構造単位(A)
と構造単位(B)の組成比は、それぞれPXD−AAの
窒素原子に隣接するメチレンの水素原子(4.62〜
4.63ppm)とHMDA−AAの窒素原子に隣接す
るメチレンの水素原子(3.52〜3.53ppm)の
プロトン比より求めた。
【0031】実施例1 撹拌機、温度計、窒素導入口を付した10Lオートクレ
ーブに、パラ−キシリレンジアミン(PXD)とアジピ
ン酸(AA)の塩1694g(6モル)、ヘキサメチレ
ンジアミンとAAの塩1574g(6モル)、および精
製水3.27Lを仕込み、窒素下で加圧−脱気を数回繰
り返し、窒素置換を十分に行った。密閉系にした後、撹
拌しながらゆっくり昇温を開始した。205℃、15K
g/ cm2 で保持しながら水を溜去し、3.5時間反応
させた。その後常圧に戻し、更に300℃まで昇温し
た。この温度で5分間反応させた後、系内を3mmHg
以下の減圧に保ち、更に10分間反応を行った。反応終
了後、白色のポリマー2.76Kg(収率97.4%)
が得られた。得られたポリマーの還元粘度は、1.72
dl/gであった。IRおよびNMR分析(図1,2)
より、得られたポリマーの構造は、表1に示される構造
であることが判明した。またDSC分析の結果、シャー
プな結晶ピークを示し、結晶融点(Tm)283℃、融
解熱8cal/g、結晶化温度(Tc)220℃の結晶
性ポリアミドであった。得られたポリマーを粉砕した
後、295〜300℃で射出成形を行ない、性能評価を
行った。その結果以下の性能を有していた。また、得ら
れた成形品の還元粘度は1.23dl/gであり、リサ
イクル可能なものであった。 吸水率 1.6% TD方向の寸法変化率 0.2% MD方向の寸法変化率 0.2% 乾燥時の引張強度 1000Kg/cm2 乾燥時の破断伸度 15% 乾燥時の曲げ弾性率 33000Kg/cm2 乾燥時の曲げ強度 1500Kg/cm2 湿潤時の引張強度 800Kg/cm2 湿潤時の破断伸度 17% 湿潤時の曲げ弾性率 29000Kg/cm2 湿潤時の曲げ強度 1300Kg/cm2 結果より、高耐熱性、高強度、低吸水性、易成形加工
性、かつ湿潤時の機械的特性が優れ良好なリサイクル性
を有する高分子量結晶性ポリアミド樹脂が得られること
がわかった。
【0032】実施例2 撹拌機、温度計、窒素導入口を付した10Lオートクレ
ーブに、75wt%PXD水溶液1308g(7.2モ
ル)と、75wt%HMDA水溶液744g(4.8モ
ル)とAA1754g(12モル)、および精製水2.
8Lを仕込み、窒素下で加圧−脱気を数回繰り返し、窒
素置換を十分に行った。密閉系にした後、撹拌しながら
ゆっくり昇温を開始した。205℃、15Kg/cm2
で保持しながら水を溜去し、3.5時間反応させた。そ
の後常圧に戻し、更に310℃まで昇温した。この温度
で5分間反応させた後、系内を3mmHg以下の減圧に
保ち、更に10分間反応を行った。反応終了後、白色の
ポリマー2.81Kg(収率98%)が得られた。得ら
れたポリマーの還元粘度は、1.65dl/gであっ
た。IRおよびNMR分析(図1,2)より、得られた
ポリマーの構造は、表1に示される構造であることが判
明した。またDSC分析の結果、シャープな結晶ピーク
を示し、結晶融点(Tm)299℃、融解熱10cal
/g、結晶化温度(Tc)240℃の結晶性ポリアミド
であった。得られたポリマーを粉砕した後、305〜3
15℃で射出成形を行ない、性能評価を行った。その結
果を表2に示した。また、得られた成形品の還元粘度は
1.17dl/gであり、リサイクル可能なものであっ
た。結果より、高耐熱性、高強度、低吸水性、易成形加
工性、かつ湿潤時の機械的特性が優れ良好なリサイクル
性を有する高分子量結晶性ポリアミド樹脂が得られるこ
とがわかった。
【0033】実施例3 撹拌機、温度計、窒素導入口を付した10Lオートクレ
ーブに、PXDとAAの塩2372g(8.4モル)、
HMDAとAAの塩944g(3.6モル)、およびメ
タークレゾール4.7Lを仕込み、窒素下で加圧−脱気
を数回繰り返し、窒素置換を十分に行った。撹拌しなが
ら窒素気流下、昇温を開始した。200℃で1.5時間
反応させた後、240℃まで昇温しこの温度で更に2時
間反応させた。この間、生成水とメタークレゾールの大
部分を溜去した。更に320℃まで昇温し窒素を流すの
を停止し、5mmHg以下の減圧下で20分間反応を継続し
た。反応終了後、室温まで冷却し系内を常圧に戻した。
無臭で白色のポリマー2.87Kg(収率99.5%)
が得られた。還元粘度は、1.80であった。IRおよ
びNMR分析より、得られたポリマーの構造は、表1に
示される構造であることが判明した。またDSC分析の
結果、シャープな結晶ピークを示し、結晶融点(Tm)
310℃、融解熱12cal/g、結晶化温度(Tc)
260℃の結晶性ポリアミドであった。得られたポリマ
ーを粉砕した後、320〜330℃で射出成形を行な
い、性能評価を行った。その結果を表2に示した。ま
た、得られた成形品の還元粘度は1.30dl/gであ
り、リサイクル可能なものであった。結果より、高耐熱
性、高強度、低吸水性、易成形加工性、かつ湿潤時の機
械的特性が優れ良好なリサイクル性を有する高分子量結
晶性ポリアミド樹脂が得られることがわかった。
【0034】比較例1 撹拌機、温度計、窒素導入口を付した10Lオートクレ
ーブに、パラ−キシリレンジアミン(PXD)とアジピ
ン酸(AA)の塩1355g(4.8モル)、ヘキサメ
チレンジアミンとAAの塩1889g(7.2モル)、
および精製水3.27Lを仕込み、窒素下で加圧−脱気
を数回繰り返し、窒素置換を十分に行った。密閉系にし
た後、撹拌しながらゆっくり昇温を開始した。205
℃、15Kg/cm2 で保持しながら水を溜去し、3.
5時間反応させた。その後常圧に戻し、更に285℃ま
で昇温した。この温度で5分間反応させた後、系内を3
mmHg以下の減圧に保ち、更に10分間反応を行っ
た。反応終了後、白色のポリマー2.78Kg(収率9
8.1%)が得られた。得られたポリマーの還元粘度
は、1.61dl/gであった。IRおよびNMR分析
(図1,2)より、得られたポリマーの構造は、表1に
示される構造であることが判明した。またDSC分析の
結果、ややブロードな結晶ピークを示し、結晶融点(T
m)272℃、融解熱5.5cal/g、結晶化温度
(Tc)198℃の耐熱性、結晶性に劣るポリアミドで
あった。得られたポリマーを粉砕した後、285〜29
5℃で射出成形を行ない、性能評価を行った。その結果
以下の性能を有していた。また、得られた成形品の還元
粘度は1.1dl/gであった。 吸水率 2.1% TD方向の寸法変化率 0.4% MD方向の寸法変化率 0.3% 乾燥時の引張強度 900Kg/cm2 乾燥時の破断伸度 25% 乾燥時の曲げ弾性率 30000Kg/cm2 乾燥時の曲げ強度 1300Kg/cm2 湿潤時の引張強度 600Kg/cm2 湿潤時の破断伸度 50% 湿潤時の曲げ弾性率 20000Kg/cm2 湿潤時の曲げ強度 900Kg/cm2 結果より、耐熱性、湿潤時の機械的性能等が劣るポリア
ミド樹脂であった。
【0035】比較例2 撹拌機、温度計、窒素導入口を付した10Lオートクレ
ーブに、パラ−キシリレンジアミン(PXD)とアジピ
ン酸(AA)の塩3218g(11.4モル)、ヘキサ
メチレンジアミンとAAの塩157g(0.6モル)、
および精製水2.8Lを仕込み、窒素下で加圧−脱気を
数回繰り返し、窒素置換を十分に行った。密閉系にした
後、撹拌しながらゆっくり昇温を開始した。205℃、
15Kg/cm2 で保持しながら水を溜去し、3.5時
間反応させた。その後常圧に戻し、更に340℃まで昇
温した。この温度で5分間反応させた後、系内を3mm
Hg以下の減圧に保ち、更に10分間反応を行った。反
応終了後、やや褐色のポリマー2.71Kg(収率9
5.6%)が得られた。得られたポリマーの還元粘度
は、1.21dl/gであった。IRおよびNMR分析
(図1,2)より、得られたポリマーの構造は、表1に
示される構造であることが判明した。またDSC分析の
結果、シャープな結晶ピークを示し、結晶融点(Tm)
335℃、融解熱18.5cal/g、結晶化温度(T
c)290℃の結晶性ポリアミドであった。得られたポ
リマーを粉砕した後、340〜345℃で射出成形を行
なったが、成形中に発泡が時々起こり、得られた成形品
は褐色を呈していた還元粘度は0.89dl/gであっ
た。性能評価の結果を表2に示した。結果より、成形性
が著しくが劣り、機械的強度が不十分なポリアミド樹脂
であった。
【0036】比較例3 撹拌機、温度計、窒素導入口を付した10Lオートクレ
ーブに、75wt%PXD水溶液1308g(7.2モ
ル)と、75wt%HMDA水溶液744g(4.8モ
ル)とAA1754g(12モル)、および精製水2.
8Lを仕込み、窒素下で加圧−脱気を数回繰り返し、窒
素置換を十分に行った。密閉系にした後、撹拌しながら
ゆっくり昇温を開始した。185℃、15Kg/cm2
で保持しながら水を溜去し、2.0時間反応させた。そ
の後常圧に戻し、更に290℃まで昇温した。この温度
で5 分間反応させた後、系内を3mmHg以下の減圧に
保ち、更に5分間反応を行った。反応終了後、白色のポ
リマー2.77Kg(収率96.6%)が得られた。得
られたポリマーの還元粘度は、0.92dl/gであっ
た。IRおよびNMR分析より、得られたポリマーの構
造は、表1に示される構造であることが判明した。また
DSC分析の結果、シャープな結晶ピークを示し、結晶
融点(Tm)298℃、融解熱10.3cal/g、結
晶化温度(Tc)239℃の結晶性ポリアミドであっ
た。得られたポリマーを粉砕した後、305〜315℃
で射出成形を行ない、性能評価を行った。その結果表2
に示した。機械的性能が不十分なポリマーであった。ま
た、得られた成形品の還元粘度は0.77dl/gであ
り、リサイクル性にも劣るものであった。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】以上の結果から明らかな様に、本発明の
高分子量結晶性ポリアミド樹脂は、高耐熱性、良好な機
械的強度、低吸水性および易成形加工性を有し、特に湿
潤時の機械的特性が優れ、リサイクル性が良好な樹脂で
あり、エンジニアリングプラスチック等として産業上大
いに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例、比較例で得られたポリマーの赤外吸光
スペクトル(IR)分析のチャート図である。
【図2】実施例、比較例で得られたポリマーのNMRス
ペクトル分析のチャート図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安部 秋義 大分県大分市大字中の洲2番地 昭和電工 株式会社大分研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1)構造式(I) 【化1】 で表わされる構成単位(A)と構造式(II) 【化2】 で表わされる構成単位(B)とからなるポリアミド樹脂
    であって、 i)構成単位(A)と構成単位(B)のモル比が50:
    50ないし90:10の範囲にありかつ、 ii)98%硫酸中、濃度0.5g/dl、温度30℃で
    測定した還元粘度(η)が、0.95以上3.0以下で
    ありかつ、 iii)DSC(示差走査型熱量計)で測定した結晶融解
    熱量(△Hm)が、6cal/g以上であることを特徴
    とする高分子量結晶性ポリアミド樹脂。
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