JPH05170802A - 中空エマルション粒子 - Google Patents

中空エマルション粒子

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JPH05170802A
JPH05170802A JP3340774A JP34077491A JPH05170802A JP H05170802 A JPH05170802 A JP H05170802A JP 3340774 A JP3340774 A JP 3340774A JP 34077491 A JP34077491 A JP 34077491A JP H05170802 A JPH05170802 A JP H05170802A
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崎 章 弘 山
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野 誠 中
Kosuke Someya
矢 浩 介 染
Takeshi Yanagihara
原 壯 柳
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Abstract

(57)【要約】 【構成】乾燥時に粒子内部に空隙を有する中空粒子群
と、それよりも小さい粒子群からなる、粒子径分布に大
小二つのピークが存在することを特徴とするエマルショ
ン粒子。 【効果】光沢、不透明性、白色度に優れるばかりでな
く、その乾燥性、重量固形分濃度、さらには紙塗工用塗
料組成物に含有させた場合には、高剪断力下における粘
度が低く、塗工作業性に優れる

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乾燥時に粒子内部に空
隙を有する中空粒子群と、それよりも小さい粒子群から
なる、粒子径分布に大小二つのピークが存在するエマル
ション粒子に関するものであり、さらには詳しくは、一
般の塗工紙、板紙、軽量塗工紙、超軽量塗工紙、アート
紙、キャストコート紙などに用いられる紙塗工用塗料や
木材、外壁、内壁などに用いられる塗料、さらにファク
シミリ用紙や感熱ラベルなどの感熱記録紙に用いられる
コーティング剤の顔料として有用な乾燥時に粒子内部に
空隙を有する中空粒子群と、それよりも小さい粒子群か
らなる、粒子径分布に大小二つのピークが存在するエマ
ルション粒子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】硬質のエマルション粒子がコーティング
剤の添加剤として、塗膜の軽量化、および光沢、白色
度、不透明性などの向上を目的に種々検討されている。
上記用途においては、「プラスチック顔料」として、特
に紙塗工用分野ではカオリン、炭酸カルシウム、タル
ク、サチンなどの無機顔料の代替顔料として工業的にも
その使用量が増加する傾向にある。
【0003】従来、プラスチック顔料として一般的に使
用されているものは、総説(例えば、室井宗一著「高
分子ラテックスの応用 紙塗工」、高分子刊行会(19
86)、p83、手塚節造、コーティング時報、N
o.166、p13(1985)など)にも記載されて
いるように、0.5μ程度の均一な粒子径を有するポリ
スチレンからなるエマルション粒子であった。上記エマ
ルション粒子の粒子径は、B.Alinceらの報告(J. Colloi
d and Interface Sci., 76, 182(1980))によって示され
ているように、最も散乱係数が高くなることに根拠をお
いている。しかしながら、上記エマルション粒子では、
高い光沢、不透明性、白色度、および軽量化、さらには
感熱記録材料における断熱性の要求を満たすことは困難
であった。特開昭59−59741号公報には粒子径分
布が狭く、90%以上が0.20〜0.28μの範囲に
入るプラスチック顔料が開示されている。しかしなが
ら、このようなプラスチック顔料では、光沢が若干向上
するものの、特に白色度、不透明度が低下し、実用的で
はない。そのような問題点を解決する粒子として、乾燥
時にその粒子内部に空隙を有するエマルション粒子、所
謂「中空粒子」が注目されている。
【0004】上記中空粒子の製造方法としては、例え
ば、アルカリ膨潤法(特公平3-9124号公報、特開昭64-1
704 号公報、特開昭64-48805号公報、特開平1-185311号
公報など)、溶剤添加法(特開昭61-86941号公報、特開
昭63-135409 号公報、特開平1-301730号公報など)、体
積収縮法(特開昭62-127336 号公報)、相分離法(特開
昭61-62510号公報)など種々の方法を例示することがで
きる。
【0005】以上のようにして得られる中空粒子は、そ
の製造方法による性能の違いはあるものの、これまでの
空隙の無い、所謂「密実粒子」に比較すれば、光沢、不
透明性、白色度、軽量化、さらには断熱性の向上が認め
られている。しかしながら、上記中空粒子には大きな問
題点が有り、広く実用化されるには到っていない。先ず
第1の問題点は、中空粒子を添加した塗料では、高剪断
力下での粘度が著しく増大するということである。この
為、特に近年、高速塗工化がなされている紙塗工分野に
おいては、上記塗料ではその塗工作業性が悪化し、塗工
出来ないケースが頻発している。
【0006】第2の問題点は、中空粒子は、エマルショ
ン状態では、粒子内部には水あるいは有機溶剤が入って
いるために、その粒子としての体積濃度は従来の密実粒
子と大きな差はないものの、重量固形分濃度は従来の密
実粒子と比べて低くなってしまうということである。例
えば、一般に市販されている密実粒子の重量濃度が、4
8%程度であるのに対して、中空粒子ではその空隙率に
依存しているものの、全てそれ以下である。この為に、
塗料の水分量が増大し、その乾燥性が低下するといった
問題を生じている。さらには、殆どの場合、エマルショ
ン自体ではなく、その乾燥重量換算でコストを算出する
日本国内の商慣習では、上記重量固形分の低下は、コス
トアップにつながり、中空粒子としての利点が生かせな
い状況にもなっている。
【0007】以上の問題点は、中空粒子の内部に存在す
る水あるいは有機溶剤の体積を減少させる、即ち、乾燥
時の粒子内部の空隙率を低下させれば、改善されるが、
このことは中空粒子の顔料としての先の軽量化、光沢、
不透明性、白色度、断熱性を低下させることになってし
まい、密実粒子に対する優位性を損なうことになる。本
発明者らは、上記「中空粒子」とは異なる、粒子内部に
芯粒子を有し、その芯粒子外層部に空隙層を有するとい
った、異屈折率層を形成した有芯多層構造粒子が光沢、
不透明性、白色度のみならず、乾燥性など種々の点にお
いて従来の中空粒子よりもさらに優れていることを見出
し、提案している(特願平3-26678 など)が、上記の問
題については、充分に解決はされていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、一般の塗工
紙、板紙、軽量塗工紙、超軽量塗工紙、アート紙、キャ
ストコート紙などに用いられる紙塗工用塗料や木材、外
壁、内壁などに用いられる塗料、さらにファクシミリ用
紙や感熱ラベルなどの感熱記録紙に用いられるコーティ
ング剤の顔料として、光沢、不透明性、白色度に優れ、
なお且つ、塗工作業性、乾燥性にも優れた実用的なエマ
ルション粒子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく鋭
意検討した結果、本研究者らは、従来のプラスチック顔
料として使用されていたエマルション粒子が粒子径の均
一なものである点に着目した。この事実は、前述のB.Al
inceらの報告にも記載されているように、粒子径の異な
る粒子同士の混合系ではその光散乱能が低下するといっ
た実験事実に基づいているものと思われる。製造方法が
種々報告されている上述の中空粒子においても、その粒
子径を均一化する思想は生きており、記載内容および実
施例からも容易に推察される。本発明者らの先願の有芯
多層構造エマルション粒子においても、同様に粒子径は
均一となるようにその製造方法を調整していた。エマル
ション粒子のような分散系では、粒子径を均一にすると
その粘度が増大し、高濃度のものが得られなくなるのは
公知の事実であり、特に粒子内部に水や有機溶剤を含有
する中空粒子では、粘度の増大が顕著になる。
【0010】以上のような点に鑑み、従来の均一粒子径
といった概念を見直したところ、均一な粒子径を有する
中空粒子エマルションに小さな粒子が混入したエマルシ
ョン系は、意外にも該中空粒子の光沢、不透明性などを
低下させることなく、逆に上記の高剪断力下における粘
度が著しく低下することを見出し、さらに検討を進め、
本発明を完成させるに到った。即ち、本発明は、乾燥時
に粒子内部に空隙を有する中空粒子群と、それよりも小
さい粒子群からなる、粒子径分布に大小二つのピークが
存在することを特徴とするエマルション粒子である。係
る構成をとることにより、光沢、不透明性、白色度、さ
らには軽量化、断熱性といった中空粒子の利点を損なわ
ずに、塗工作業性や乾燥性といった前述べるの問題を改
善することが出来る。
【0011】本発明の特徴とする大小二つのピークを有
するエマルション粒子の製造に関しては、以下のような
方法を例示することが出来る。 即ち、(1)従来の中空粒子の製造方法において、その
重合の途中段階で、2次粒子として、粒子径の小さな粒
子を発生させる。 (2)従来の中空粒子の製造方法において、その重合の
途中段階で、予め調製しておいたエマルション粒子を添
加し、粒子径の小さな粒子を生成させる。 (3)従来の中空粒子の製造方法において、その重合終
了後に予め調製しておいたエマルション粒子を添加し、
粒子径の小さな粒子を導入する。
【0012】以上に例示した方法以外にも、目的とする
粒子径分布が大小二つのピークを有するものが得られる
方法であれば、特に限定はされない。重合途中で2次粒
子として粒子径の小さな粒子を発生させる(1)の方法
を具体的に説明すると以下のようになる。 (1)−1.ビニル単量体の添加速度とその重合速度の
バランスを崩し、添加速度が重合速度より大幅に上回る
ようにして、水相中に滞留しているビニル単量体を重合
させ、2次粒子を生成させる。 (2)−2.系内の粒子数を減少させる、即ち後から添
加、重合させるビニル単量体の重合する場所の数あるい
は面積を減少させることにより、該ビニル単量体からな
る新たな粒子核を発生させ、小さな粒子を生成させる。 (1)−3.重合の途中段階で界面活性剤を単独にある
いはビニル単量体の乳化用としてビニル単量体と同時に
過剰に添加し、新たな粒子核を発生させ、小さな粒子を
生成させる。
【0013】以上のように、乾燥時に粒子内部に空隙を
有する中空粒子群と、それよりも小さい粒子群からな
る、粒子径分布に大小二つのピークが存在するエマルシ
ョン粒子は、公知の中空エマルション粒子の製造方法を
適宜調製して製造される。中空粒子の形状については、
特に限定はされないが、本発明者らの先願(特願平3−
26678等)である粒子内部に芯粒子を有し、その芯
粒子の外層部に空隙層を有する有芯多層構造状のものが
好ましい。
【0014】また、上記中空粒子群と共存する小さな粒
子については、それが中空粒子であっても、密実粒子で
あっても、さらにはその両者が共存しても構わない。こ
こで、各々の粒子径については、通常、中空粒子の直径
Dが0.3〜5.0μ、好ましくは0.3〜3.0μで
あり、より好ましくは0.4〜1.5μであり、一方、
小さな粒子の直径D は、通常、0.05〜0.3μ、
好ましくは0.08〜0.25μであり、常にD <D
であり、好ましくはD <D/2である。
【0015】以上のようにして得られる本発明の乾燥時
に粒子内部に空隙を有する中空粒子群と、それよりも小
さい粒子群からなる、粒子径分布に大小二つのピークが
存在するエマルション粒子は、従来の中空粒子が抱えて
いた前述の問題を解消するものであり、特にプラスチッ
ク顔料として、種々の用途に使用することができる。特
に紙塗工用塗料組成物に用いる場合においては、小さな
粒子がごく微量存在するだけで、その高速塗工適性が非
常に良好なものとなる。さらには、小さな粒子を混合さ
せることにより、高い濃度のエマルションを調製するこ
とが可能となり、従来の光沢、不透明性、白色度などを
損なうことなく、その乾燥性やコストを改善することが
できる。
【0016】次に、本発明の乾燥時に粒子内部に空隙を
有する中空粒子群と、それよりも小さい粒子群からな
る、粒子径分布に大小二つのピークが存在するエマルシ
ョン粒子を含有した紙塗工用塗料組成物について、以下
に説明する。本発明の紙塗工用塗料組成物は、バインダ
ー、無機顔料、プラスチック顔料としての上記エマルシ
ョン粒子からなり、さらに必要に応じて分散剤、消泡
剤、離型剤、粘性調整剤、青味剤などを添加することが
できる。バインダーとしては、スチレン−ブタジエン系
合成樹脂ラテックス、アクリル系合成樹脂エマルショ
ン、アクリル−スチレン系合成樹脂エマルション、酢酸
ビニル系合成樹脂エマルションなどの水分散系バインダ
ー;デンプン、変性デンプン、カゼイン、ポリビニルア
ルコールなどの水溶性系バインダーなどを例示すること
ができる。これらのバインダーを単独にあるいは2種以
上組み合わせて使用するが、特にスチレン−ブタジエン
系合成樹脂ラテックスを単独で使用するか、あるいはこ
れとデンプンやカゼインなどを併用することが好まし
い。ここで、使用するバインダーの量は、無機顔料と上
記エマルション粒子からなるプラスチック顔料を併せた
全顔料に対して4〜40重量%であり、好ましくは6〜
20重量%である。バインダーの使用量が、4重量%未
満では実用的な強度を有する塗工層は得られない。ま
た、40重量%を越えると、目的とする光沢、不透明
性、および白色度が得られない。無機顔料としては、カ
オリン、炭酸カルシウム、タルク、サチンホワイト、二
酸化チタンなどを例示することができる。
【0017】ここで、上記のエマルション粒子の使用量
は、全顔料中に1重量%以上含有されていれば特に限定
はされないが、好ましくは2〜70重量%、より好まし
くは3〜30重量%である。尚、上記エマルション粒子
の使用量が1重量%未満では、その添加効果が認められ
ない。上記のバインダーと無機顔料、および上記エマル
ション粒子を配合する際には、系を安定化するために塩
基性物質によって、pH7以上に調整するが、使用する
塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムなどの無機塩基性物質が塗料の粘性の点から好まし
い。本発明のプラスチック顔料を含有する紙塗工用塗料
組成物は、紙や板紙の上に塗工されるが、塗工はブレー
ドコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、
エアーナイフコーター、バーコーターなど通常の方法に
よって行うことができる。
【0018】以上のようにして得られる本発明の、乾燥
時に粒子内部に空隙を有する中空粒子群と、それよりも
小さい粒子群からなる、粒子径分布に大小二つのピーク
が存在するエマルション粒子を含有してなる紙塗工用塗
料組成物は、光沢、不透明性、白色度に優れ、さらには
高剪断力下における粘度増大による高速塗工適性の低
下、塗料中水分の増大などといった従来の中空粒子が抱
えていた問題をも解消されているという特徴を有する。
該組成物は、一般の塗工紙、板紙、軽量塗工紙、超軽量
塗工紙、アート紙、スーパーアート紙、キャスト紙など
に使用するこができる。
【0019】
【実施例】以下に本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもの
ではない。尚、以下の部、および%は全て重量部、およ
び重量%を示す。ここで、調製されたエマルション粒子
の形状、直径、空隙層あるいは空隙の直径などは、全て
透過型電子顕微鏡により直接に測定した。
【0020】〔I〕エマルション粒子の調製 粒子例1 攪拌機、温度計、還流コンデンサー付のセパラブルフラ
スコに水365部を仕込み、攪拌下に窒素置換しながら
70℃迄昇温する。内温を70℃に保ち、重合開始剤と
して過硫酸カリウム0.4部を添加し、溶解後、予め水
40部、ラウリル硫酸ナトリウム0.05部にスチレン
98部、メタクリル酸2ヒドロキシエチル2部、ジビニ
ルベンゼン5部からなるビニル単量体(a)を攪拌下に
加えて予め調製しておいた乳化物の全量の5%をセパラ
ブルフラスコ内に仕込み、30分間重合した後、残りの
乳化物を約2時間かけて添加、反応させ、添加終了後約
2時間の熟成を行い、粒子径φ:0.18μ、不揮発分
約20%の芯粒子エマルションを調製した。次ぎに、同
様なセパラブルフラスコに上記の芯粒子エマルションを
137.3部、水959部を仕込み、攪拌下に窒素置換
しながら78℃迄昇温する。内温を78℃に保ち、重合
開始剤として過硫酸アンモニウム0.1部を添加し、溶
解後、予め水9.6部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1
部にメタクリル酸メチル12.4部、メタクリル酸4.
1部からなるビニル単量体(b)を攪拌下に加えて予め
調製しておいた乳化物を連続的に30分間かけて添加し
て反応させ、添加終了後2時間の熟成を行った。続いて
過硫酸アンモニウム0.9部を再添加し、溶解後、予め
水72部、ラウリル硫酸ナトリウム0.6部にメタクリ
ル酸メチル140部、スチレン31.5部、メタクリル
酸3.5部からなるビニル単量体(c)を攪拌下に加え
て調製しておいた乳化物を連続的に2時間かけて添加し
て反応させ、添加終了後2時間の熟成を行った。
【0021】重合終了後、内温を90℃に昇温させ、2
8%アンモニア水13.9部を攪拌下に添加してpH1
0.2として、そのまま10分攪拌を続けた。続いて内
温を90℃に保ったまま過硫酸アンモニウム4.4部を
再添加し、溶解後、予め水360部、ラウリル硫酸ナト
リウム3.6部にスチレン870部、アクリルアミド9
部からなるビニル単量体(d)を攪拌下に加えて調製し
ておいた乳化物を連続的に2時間間かけて添加して反応
させ、添加終了後2時間の熟成を行った。得られたエマ
ルション粒子は粒子径D:0.68μ、空隙層直径d:
0.50μ、芯粒子径φ:0.18μの有芯多層構造エ
マルション粒子に、粒子径D’:0.2μ、空隙径0.
1μの中空粒子が混在したものであった。
【0022】粒子例2 粒子例1で、ビニル単量体(b)の添加時間を3時間と
し、ビニル単量体(c)の重合終了後に、粒子径0.0
8μのスチレン密実粒子エマルション(固形分40%)
を10部添加し、その後に28%アンモニア水を添加し
た以外は粒子例1と同じ方法で重合した。得られたエマ
ルション粒子は、粒子直径D:0.67μ、空隙層直径
d:0.50μ、芯粒子径φ:0.18μの有芯多層構
造エマルション粒子に、粒子径D’:0.15μの密実
粒子が混在したものであった。
【0023】粒子例3 粒子例2において、仕込み水を959部から680部に
変更し、ビニル単量体(c)の重合終了後に添加する粒
子径0.08μのスチレン密実粒子エマルションの量を
50部に変更した以外は、粒子例2と同じ方法で重合を
行った。得られたエマルションは46.8%であり、粒
子直径D:0.66μ、空隙層直径d:0.48μ、芯
粒子径φ:0.18μの有芯多層構造エマルション粒子
に、粒子径D’:0.21μの密実粒子が混在したもの
であった。
【0024】粒子例4 粒子例1でビニル単量体(b)の添加時間を3時間とし
て重合を行い、得られた有芯多層構造エマルション粒子
(粒子直径D:0.69μ、空隙層直径d:0.50
μ、芯粒子径φ:0.18μ、固形分42%)100部
に、粒子径0.08μのスチレン密実粒子エマルション
(固形分45%)を1部混合して粒子例4のエマルショ
ン粒子を得た。
【0025】粒子例5 粒子例1と同様なセパラブルフラスコに、水350部、
炭酸水素ナトリウム1.5部を仕込み、攪拌下に窒素置
換しながら70℃迄昇温する。内温を70℃に保ち、重
合開始剤として過硫酸カリウム3.0部を添加し、溶解
後、予め水150部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1部
に酢酸ビニル60部、アクリル酸ブチル80部、メタク
リル酸メチル52部、アクリル酸4部、アクリルアミド
4部を攪拌下に加えて調製しておいた乳化物を連続的に
3時間かけて添加して反応させ、添加終了後1時間の熟
成を行った。続いて、予め水300部、ラウリル硫酸ナ
トリウム5部にスチレン250部、メタクリル酸ブチル
125部、アクリル酸15部、アクリルアミド10部を
攪拌下に加えて調製しておいた乳化物を連続的に4時間
かけて添加して反応させ、添加終了後2時間の熟成を行
った。重合終了後、得られたエマルションに20%水酸
化ナトリウム水溶液41.7を攪拌下に添加し、エマル
ションのpHを10.5に上昇させた後、95℃に昇温
し、4時間そのまま攪拌を続けた。以上によって得られ
た粒子径D:0.91μ、粒子内径:0.62μ、固形
分42%の中空エマルション粒子100部に、別途調製
しておいた粒子径0.2μのスチレンョン密実粒子エマ
ルション(固形分50%)を50部混合し、固形分4
4.7%の粒子例5のエマルション粒子を得た。 比較粒子例1 粒子例1において、ビニル単量体(b)の添加時間を3
時間とした以外は、同一の方法で重合を行うことにより
得られた粒子直径D:0.69μ、空隙層直径d:0.
50μ、芯粒子径φ:0.18μの有芯多層構造エマル
ション粒子を比較粒子例1とした。 比較粒子例2 粒子例5において、スチレンョン密実粒子エマルション
を添加しない場合を比較粒子例2とした。 比較粒子例3 粒子例3において、スチレンョン密実粒子エマルション
を添加しないで同様の重合を行ったが、重合終了前に急
激に増粘し、系全体がゲル化してエマルションを得るこ
とは出来なかった。
【0026】〔II〕エマルション粒子の乾燥性および隠
蔽力の簡易評価 粒子例3と比較粒子例1で得られたエマルションにつ
き、アクリル系合成樹脂エマルション(三井東圧化学
製、アルマテックスE−175)をバインダーとして、
それに得られたエマルション粒子を粒子とバインダーの
重量比が3/7、固形分40%となるように配合し、ア
プリケーターバーで乾燥塗膜が20μとなるようにガラ
ス板上に塗工し、温度20℃、湿度60%の環境下で乾
燥過程を目視判定した。判定は、塗工したガラス板を通
して、1cm後方の新聞4号活字の見える程度を以下の4
段階で評価した。
【0027】◎:最良(活字が見えない) ○:良(活字が若干見える) △:普通(活字が見える) ×:不良(活字が良く見える) 結果を表−1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】〔III〕紙塗工用塗料組成物の調製 得られたエマルション粒子を紙塗工用のプラスチック顔
料として、以下のモデル配合で性能評価を行った。 〔配合〕 乾燥重量 ──────────────────────────────────── カオリンクレー(EMC製;UW−90) 63部 軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業製;TP−222HS) 27部 エマルション粒子 10部 分散剤(東亜合成化学製;アロンT−40) 0.09部 リン酸エステル化デンプン(日本食品工業製;MS−4600) 3部 SBRラテックス(三井東圧化学製;ポリラック755) 13部 ──────────────────────────────────── 塗料固形分 62% 塗料の調製は、水に分散剤である固形分40%のアロン
T−40を加え、カウレスミキサーにてUW−90を十
分に分散し、これに軽質炭酸カルシウムスラリーを添加
して、十分に分散させた後、これにMS−4600、エ
マルション粒子、SBRラテックスを添加して行った。
尚、塗料のpHは水酸化ナトリウムにより、pH9に調
製した。
【0030】得られた塗料をハーキュレスレオメーター
にて8800rpmの時のハイシェア粘度を測定すると
同時に、塗料をアプリケーターにより、乾燥塗工量が1
5g/m2となるように上質紙の上に塗布し、120℃、
20秒で乾燥条件で乾燥した後、キャレンダーロールに
てロール温度60℃、線圧70kg/cm、速度10m/分
の条件にて2回通紙して塗工紙を得た。得られた塗工紙
については以下の評価を行った。 ・ハイシャ粘度 ハーキュレスレオメーターにて測定
(8800rpm)。 ・白紙光沢 JIS P−8142に準じて75°
における反射率を測定。 ・印刷光沢 東洋インキ製ニューブライト藍0.4
ccを用いてRI印刷試験機にて印刷。乾燥後、JIS
P−8142に準じて75°反射率を測定。 ・白色度 JIS P−8123に準じて、ハン
ター白色度計にて測定。 ・不透明度 JIS P−8138に準じて測定。 結果を表−2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】本発明の乾燥時に粒子内部に空隙を有す
る中空粒子群と、それよりも小さい粒子群からなる、粒
子径分布に大小二つのピークが存在することを特徴とす
るエマルション粒子は、光沢、不透明性、白色度に優れ
るばかりでなく、その乾燥性、重量固形分濃度、さらに
は紙塗工用塗料組成物に含有させた場合には、高剪断力
下における粘度が低く、塗工作業性に優れている。この
ような特性は、従来の均一な粒子径を有する中空エマル
ション粒子では得ることの出来なかったものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 染 矢 浩 介 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 柳 原 壯 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乾燥時に粒子内部に空隙を有する中空粒
    子群と、それよりも小さい粒子群からなる、粒子径分布
    に大小二つのピークが存在することを特徴とするエマル
    ション粒子。
  2. 【請求項2】 中空粒子の粒子径Dが0.3〜5.0
    μ、共存する小さな粒子の粒子径D が0.05〜0.
    3μであり、常にD <D/2である請求項1記載の粒
    子径分布に大小二つのピークが存在することを特徴とす
    るエマルション粒子。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のエマルション粒子を含有
    してなる紙塗工用塗料組成物。
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