JPH05169069A - 貝殻生石灰を用いた水のpH調整方法 - Google Patents
貝殻生石灰を用いた水のpH調整方法Info
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Abstract
れる貝殻生石灰を用いて、生物の生態系を保持しながら
河川、湖沼、養魚場等の水のpHを調整する水のpH調
整方法。
Description
に発生する貝殻を焼成して得られる貝殻生石灰を用い
た、河川、湖沼、養殖漁場等の水のpHを調整する方法
に関するものである。
に存在する酸、人為的要因による酸、あるいは魚が排出
するアンモニアの微生物の作用による硝酸化等の種々酸
が溶け込むことにより、弱酸性からpH2〜3程度の強
酸性を示すものがある。このように酸性を示す水(以
下、酸性水という。)をそのままにしておくと生物の生
態系や環境の破壊に繋がるため、従来より鉱物質の石灰
石(炭酸カルシウム)やこれを焼成して得られる生石灰
(酸化カルシウム)、あるいは生石灰を消化して得られ
る消石灰(水酸化カルシウム)等が中和剤として酸性水
の中和改質に用いられている。
として、例えば炭酸カルシウムを用いる技術は、特定地
域に産出する水質改良に適した成分を有する貝化石を用
いて排水等の中和を行なわしめる方法(特開平2−26
8882公報、特開平2−268884公報)、接触曝
気式の汚水処理装置において微生物等を保持せしめるた
めの接触濾材として籠状中空体内部に貝殻等を入れ中性
化させる方法(特公平2−2635公報)等が知られて
いる。また酸化カルシウムを用いる技術は、貝、骨、石
灰石等を焼成して得られる酸化カルシウム粉末、水及び
油の3者を混合したアルカリ剤を用いて主として酸性の
廃油、廃液を脱酸させる技術(特公平2−32208公
報)等が知られている。
は材料の入手もたやすくまた経済的にも適した材料であ
るため、酸性水の中和材として多用されている。しかし
ながら、例えば石灰石等の炭酸カルシウムを用いる方法
では、塊状で用いうるという利点はあるものの、生石灰
や消石灰に比べてpH調整能力が小さいため、酸性水の
中和に多くの量を必要とする。一方、生石灰や消石灰は
pH調整能力が大きいため使用量は石灰石に比べて少な
い量ですむが水中で粉状化、白濁するという問題があ
る。また、酸性水を中和改質する場合、単に中和のみの
処理であれば中和能力が大きくて、中和速度が早い生石
灰や消石灰を所定量添加して急速に中和する方法等を採
用できるが、河川や湖沼等のように生物の生態系を保持
しながら中和する必要がある場合は前記のような方法は
好ましい方法とはいえない。一方、石灰石等の炭酸カル
シウムを用いれば生石灰や消石灰に比べて中和は概して
穏やかではあるが、逆に中和に要する時間がかかりすぎ
たり、石灰石表面に微生物が付着したり汚泥等が堆積し
たりしてその表面が覆われるため、中和能力が低下する
という問題がある。また、消化速度を調整した生石灰を
用いて酸性水を中和改質する方法も考えられが、生石灰
の消化速度を調整する方法として、水圏生態系成因によ
る炭酸カルシウムを原料として、これを焼成後、ノニオ
ン性、アニオン性及びカチオン性の界面活性剤の存在下
で、生石灰の粉砕と界面活性剤による生石灰表面の被覆
を単一操作で施し、その被覆層の厚みを調整することに
より生石灰の消化速度を調整する方法が知られている
(特開平2−258656公報)。しかしながら、この
ように界面活性剤を生石灰に被覆して消化速度を調節し
た生石灰を用いて酸性水を中和改質する方法では、生石
灰の製造において界面活性剤を被覆させる工程が必要で
あることに加えて、界面活性剤の存在下で、生石灰の粉
砕を行っているため、生石灰粉末が流出して白濁化しや
すく、それを防止するための工夫を必要とする。
和改質に中和剤として酸化カルシウムを用いる方法にお
いて、従来の生石灰を使用した際の問題点を解決し、生
物の生態系を保持しながら中和することのできる水のp
H調整(中和改質)方法を提供することを目的とする。
整方法について鋭意検討を重ねた結果、特定の方法によ
り製造した生石灰を用いることにより上記目的が達成で
きることを見いだし、本発明を完成した。 即ち、本発
明は、貝殻を原料として製造した消化速度の遅い貝殻生
石灰を用いて水のpHを調整することを特徴とする水の
pH調整方法である。貝殻を焼成する装置として、従来
よりロ−タリ−キルンや竪型生石灰焼成炉等が用いられ
ている。これらの装置は一般に焼成物を急冷するタイプ
であるため得られる貝殻生石灰は消化速度の早いものが
多い。本発明の方法では、貝殻を原料として製造した、
後述の測定法方で測定した全消化反応時間が60分以上
の貝殻生石灰を使用することを特徴とする。本発明で用
いることができる貝殻生石灰は、次のような方法により
得ることができる。従来の竪型石灰焼成炉(図3)にお
いて、原料投入管1の炉内挿入部分2をなくし、排鉱機
部5の回転シ−ル部及びシュ−ト部6を外気の侵入を防
止できる構造とするとともに、空気量を調節できる冷却
用配管10を排鉱機部5に設けた構造に改良された竪型
石灰焼成炉を用いて、冷却用空気量を調節して焼成物の
冷却速度を調節することで、本発明で用いることができ
る貝殻生石灰を得ることができる。改良された竪型石灰
焼成炉(以下、単に炉という。)の全体断面概略図を図
4に示す。
の概略の製造工程は次のとおりである。まず、炉へ装入
する貝殻の粒度は2〜60mm程度が良く、ホタテ貝、
カキ殻、アワビ殻等の大きなものは、予め適当な粉砕機
を用いて粒度を前記範囲、好ましくは30〜50mm程
度の大きさに粉砕して粒度を調整する。このように貝殻
の粒度を調整することにより、炉への装入を容易にする
とともに、貝殻の炉内装填嵩密度を大きくし、炉内堆積
部の空気抵抗を大きくして、燃焼空気の制御が容易とな
る。貝殻片の大きさが60mmを超えると炉内装填嵩密
度が小さくなり、空気抵抗が小さくなるため焼成管理が
難しくなり、また2mm未満では飛散しやくなり、排ガ
スとともに炉外へ流出する量が多くなるため好ましくな
い。
う。)は原料投入管1より装入され炉内の棚部3に一時
堆積されるが、原料投入管炉内挿入部2が撤去されてい
るため、棚部3の天井まで貝殻が装入でき、炉内の燃焼
空気が棚部外側にある排ガス通路7へ容易に逃げないよ
うになる。このため棚部3の空気抵抗が大きくなり、燃
焼空気が逃げていきにくくなり安定した焼成雰囲気を保
持できる。
成帯4に順次落とされ焼成される。貝殻の焼成は、通常
焼成帯4の温度を1,100℃〜1,250℃程度に保
持して行なうことができるが、温度と保持時間は所望と
する貝殻生石灰の焼成度合、即ち貝殻生石灰の酸化カル
シウム含有量に応じて適宜設定すればよい。ここで、焼
成の管理は主として燃料と燃焼空気の使用量の制御によ
り行なうが、炉内への外気の侵入があると焼成管理が困
難となり、いわゆる焼けむらといった品質のばらつきを
生じやすく貝殻生石灰の品質管理が困難となる。従来の
竪型石灰焼成炉における外気の主な侵入経路はシュ−ト
部6と排鉱機部5の回転シ−ル部である。特にシュ−ト
部6は、焼成された貝殻生石灰の主な冷却用空気の取り
入れ口となっているが、外気に開放されているため取り
入れる空気の量を調節することが困難であり、過剰の空
気が炉内へ取り入れられるというような構造であった。
まず、外気の侵入を防ぐ手段としは、従来の排鉱機部5
の回転シ−ル部(図5)を二重シ−ル構造(図6)とし
て排鉱機部5の回転シ−ル部からの外気の侵入を防ぎ、
また従来の冷却用空気の主な取り入れ口でもあるシュ−
ト部6に、例えばエアシリンダ−で駆動するようなダン
パ−9を二重に取り付けた構造としてダンパ−を交互に
作動させて貝殻生石灰を排出しシュ−ト部6からの外気
の侵入を防ぐ等の方法があげられる。また、冷却用の空
気を取り入れる手段としては、図7及び図8に示すよう
に、排鉱機部5に冷却用空気を取り入れるための冷却用
配管10を設けて、排鉱機部5内部に所望とする貝殻の
消化速度に応じて冷却用空気を調整しながら送り込み、
貝殻生石灰を冷却する等の方法があげられる。
度を調節することで、貝殻生石灰の消化速度(水和速
度)を調節できる。冷却速度は、所望とする生石灰の消
化速度に応じて調節すればよい。貝殻生石灰の消化速度
を遅くするには、冷却速度を遅く(徐冷)すればよく、
また焼成温度を高めに設定すれば更に効果がある。徐冷
することにより生石灰の消化速度が遅くなるのは、徐冷
により結晶が粗大化し消化速度が遅くなるものと思われ
る。
を用いて焼成して得られた貝殻生石灰から、粉末化して
いる部分を除去したものを容器に入れて、酸性水と接触
させればよい。貝殻生石灰を入れる容器は、貝殻生石灰
と酸性水が容易に接触できるような構造を有し、アルカ
リや水で容易に腐食されないような材質のものであれば
特に限定はなく、また形状も使用目的に応じた任意な形
状としてよい。このような容器として、例えば図1に示
すような網目の小さいネットや布袋等をあげることがで
きる。また貝殻生石灰を入れた容器は、酸性水中に適当
な方法により固定しておけばよく、固定する方法や固定
する容器の数等は、特に限定されるものではない。
の遅い貝殻生石灰を用いることにより、従来の石灰石を
焼成して得られる生石灰が水との接触により発熱しなが
ら直ちに粉状化して白濁化するといった現象に対して、
消化が穏やかに進行するため、発熱も少なく、消化され
て生成した消石灰による白濁化も極めて少なく、また河
川や湖沼等の生物の生態系を保持しながら酸性水を中和
改質できる。
いた水の中和改質方法を詳細に説明する。
の粒度に破砕したものを貝殻生石灰製造用原料とした。
この原料を原料投入管1より、竪型石灰焼成炉に投入
し、焼成帯4の温度1,100℃、1時間で焼成した。
焼成後、貝殻生石灰は冷却空気量及び貝殻生石灰排出速
度等を調節して、8時間程度の時間をかけて100℃以
下程度まで徐冷しながら冷却した。得られた貝殻生石灰
の焼成度合(CaO含有量)は、90%であった。な
お、貝殻生石灰の製造には、従来の竪型石灰焼成炉を次
に示すような例に改良した竪型石灰焼成炉を用いた。即
ち、原料貝殻の投入管1の炉内挿入部分2をなくすとと
もに、排鉱機部5の回転シ−ル部を二重シ−ル構造と
し、またシュ−ト部6にエアシリンダ−で作動するダン
パ−9を二重に取り付け、ダンパ−を交互に作動させて
貝殻生石灰を取り出し外気の炉内への侵入を防ぐ構造と
するとともに、焼成された貝殻生石灰の冷却速度を調節
できる冷却用配管10を排鉱機部5に取り付けた竪型石
灰焼成炉に改良した。
めに、常温まで冷却した前記貝殻生石灰を大きさ30m
m程度の粒度に揃えたもの、約500gを網目状のネッ
ト入れ、これを100lの水に浸漬した状態で20日間
放置した。この後、水中より前記ネットを取り出し個々
の貝殻生石灰の消化状況を調査した結果、水に浸漬する
前の貝殻生石灰の状態と比べて約1/3程度が粉状化し
ていた。また、形を保って残っている約2/3のものの
成分を分析した結果、消石灰が約75%程度であり、残
りの成分は炭酸カルシウムであった。
件で生石灰を調製して、生石灰の消化速度を調査した。
得られた結果を合わせて表1に示す。この結果から、徐
冷して得られる貝殻生石灰は消化速度が遅く、また消化
に伴う発熱も少ないことがわかる。なお、実施例2の貝
殻生石灰は、ホタテ貝貝殻を実施例1の操作に準じて、
改良された竪型石灰焼成炉で焼成して得たものであり、
比較例1及び2の生石灰は、それぞれホタテ貝貝殻及び
石灰石を用いて、電気炉で1,000℃、2時間の条件
で焼成後、大気中に取り出し急冷して調製したものであ
る。また、生石灰の消化速度は、アメリカ材料規格協会
の定めるASTM C110−76aに準じて測定し
た。この方法の概要は次のとおりである。消化反応性試
験装置を用いて、水温40℃の水380mlに、3.3
5mmふるい通過試料生石灰を手早く調製し、室温にな
るまで気密容器の中に入れていた生石灰76gを入れ、
温度計の読みが3回続けて0.5℃以内の変化になるま
で温度を読み取り、この3回の読みの最初の時間を全消
化反応時間とし、このときの温度を最終反応温度とみな
し、この最終反応温度からはじめの温度を差し引いて全
上昇温度を得る方法である。
灰を大きさ10〜50mmの粒度に選別したもの、大き
さ30mmの消石灰及び大きさ2〜5mmの石灰石を中
和剤として用い、それぞれの中和剤ごとにpH値を2.
5程度に調製した水10lに中和剤50gを添加し、1
回/日の頻度で適宜撹拌した後放置し、適当な間隔でp
Hを測定した。時間の経過(横軸)に対するpH値の変
化(縦軸)を測定した結果を図2に示す。図2で、前記
消石灰、貝殻生石灰及び石灰石のpH値の変化をそれぞ
れ、11、12及び13で示している。この結果から、
水和速度が遅い貝殻生石灰であっても、消石灰とほぼ同
等の中和能力があることがわかる。
Claims (1)
- 【請求項1】 貝殻を原料として製造した消化速度の遅
い貝殻生石灰を用いて水のpHを調整することを特徴と
する水のpH調整方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35646291A JP3144499B2 (ja) | 1991-12-25 | 1991-12-25 | 貝殻生石灰を用いた水のpH調整方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35646291A JP3144499B2 (ja) | 1991-12-25 | 1991-12-25 | 貝殻生石灰を用いた水のpH調整方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05169069A true JPH05169069A (ja) | 1993-07-09 |
JP3144499B2 JP3144499B2 (ja) | 2001-03-12 |
Family
ID=18449135
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35646291A Expired - Lifetime JP3144499B2 (ja) | 1991-12-25 | 1991-12-25 | 貝殻生石灰を用いた水のpH調整方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3144499B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09187775A (ja) * | 1996-01-05 | 1997-07-22 | Ube Chem Ind Co Ltd | 水質並びに底質改良用の難崩壊性苦土系pH調整剤 |
KR100385280B1 (ko) * | 2001-03-23 | 2003-05-23 | 린나이코리아 주식회사 | 콘덴싱 가스보일러 응축수 처리용 천연 다공성 중화제 및그 제조방법 |
KR101648075B1 (ko) * | 2016-01-29 | 2016-08-23 | 대구대학교 산학협력단 | 이산화탄소를 이용한 여과막의 스케일 저감 장치 및 그를 이용한 방법 |
KR101681151B1 (ko) * | 2016-03-17 | 2016-12-01 | 한국건설기술연구원 | 입상 알칼리제를 활용한 물의 부식성 개선 시스템 및 방법 |
-
1991
- 1991-12-25 JP JP35646291A patent/JP3144499B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09187775A (ja) * | 1996-01-05 | 1997-07-22 | Ube Chem Ind Co Ltd | 水質並びに底質改良用の難崩壊性苦土系pH調整剤 |
KR100385280B1 (ko) * | 2001-03-23 | 2003-05-23 | 린나이코리아 주식회사 | 콘덴싱 가스보일러 응축수 처리용 천연 다공성 중화제 및그 제조방법 |
KR101648075B1 (ko) * | 2016-01-29 | 2016-08-23 | 대구대학교 산학협력단 | 이산화탄소를 이용한 여과막의 스케일 저감 장치 및 그를 이용한 방법 |
KR101681151B1 (ko) * | 2016-03-17 | 2016-12-01 | 한국건설기술연구원 | 입상 알칼리제를 활용한 물의 부식성 개선 시스템 및 방법 |
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---|---|
JP3144499B2 (ja) | 2001-03-12 |
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