JPH0516530A - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

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JPH0516530A
JPH0516530A JP3314530A JP31453091A JPH0516530A JP H0516530 A JPH0516530 A JP H0516530A JP 3314530 A JP3314530 A JP 3314530A JP 31453091 A JP31453091 A JP 31453091A JP H0516530 A JPH0516530 A JP H0516530A
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Kazumasa Takeuchi
一雅 竹内
Yasuo Miyadera
康夫 宮寺
Takashi Yamadera
隆 山寺
Ritsuko Obata
立子 小畑
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  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 紫外線の照射による発色し加熱による消色す
るクロミック樹脂を利用して新規な機構により情報の記
録を行う。 【構成】 2個の窒素原子が1個の芳香環にその芳香環
の最も離れた位置に直接結合しており、その窒素原子の
少なくとも一部にアルキレン基が結合し、上記2個の窒
素原子が三級化されている構造単位を含むクロミック用
樹脂を含有してなる記録層を含む光記録媒体である。上
記樹脂は、例えばエポキシ樹脂とパラフェニレンジアミ
ン、2,6−ナフタレンジアミンを反応させて製造する
ことができ、ハロゲン、カチオンラジカル安定剤の存在
によって、発色及び消色が可能になる。この発色と消色
を利用して情報の記録を行う。 【効果】上記クロミック用樹脂を用いると発色時と消色
時のコントラストが大きく、上記光記録媒体は感度が優
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光記録媒体に関する。
【0002】
【従来技術】光記録媒体は高密度記録が可能な記録媒体
として開発が盛んである。コンパクトディスク等の再生
専用のものから1回だけの書き込みが可能な追記型、さ
らに消去、再書き込みが可能なものへ開発対象が移行し
ている。消去、再書き込みが可能なものとしては、フォ
トクロミック化合物を利用するものがある。
【0003】このようなフォトクロミック化合物として
は、例えば、スピロピラン等の光開閉環反応化合物、ア
ゾベンゼン化合物、チオインジゴ化合物等のシス−トラ
ンス異性化反応化合物、スチルベン化合物等の互変異性
化合物等がある。これらの低分子化合物を光記録媒体に
利用しようとするときポリマーへの分散、ポリマー結合
による固定化必要であり、また、特開平2−20048
6号公報に示されるようにLB(ラングミュア−ブロジ
ェット)膜の利用が提案されている。
【0004】これに対して樹脂の骨格自体にフォトクロ
ミック性を有する樹脂がみいだされ光記録媒体への利用
が提案されている。例えば、臭素化エポキシ樹脂とジア
ミノジフェニルメタン誘導体の重合物は紫外線の照射に
より発色し、熱により消色することが見出され、この重
合物を記録層とする光記録媒体が提案されている(特開
平1−100749号公報参照)。
【0005】しかし、上記公報に記載の発色及び消色が
可能なポリマーは光照射による発色濃度が低く、未照射
部と照射部のコントラストが小さく、従って、光記録媒
体への応用化のためにはさらに改善を要するものであっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、第1に紫外
線の照射による発色及び加熱による消色が可能な材料で
あって、前記公報に記載のものと発色−消色の機構が異
なる新規なクロミック樹脂を記録層材料とする光記録媒
体を提供するものであり、第2に光の未照射部と照射部
のコントラストが大きな記録層を有する光記録媒体を提
供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明における光記録媒
体は、記録層を有するものであって、2個の窒素原子が
1個の芳香環にその芳香環の最も離れた位置に直接結合
しており、その窒素原子の少なくとも一部にアルキレン
基が結合し、上記2個の窒素原子が三級化されている構
造単位を含むクロミック用樹脂を含有してなるものであ
る。
【0008】上記クロミック用樹脂の特徴的な構造は下
記化1〔一般式(I)〕で表わされる。
【化1】 (ただし、一般式(I)中、Arは、縮合環であってもよ
い芳香環を示し、2個の窒素原子はこの芳香環の最も離
れた位置に結合しており、符号1〜4は炭素原子を識別
するために付されており、1〜4の炭素原子には、水素
若しくはアルキル基等の置換基又はクロミック樹脂を構
成する残基が結合しており、その残基が1〜4の炭素原
子に少なくとも一つ結合しており、その残基のうち少な
くとも一つが1〜4の炭素原子のいずれかにアルキレン
基を介して結合している)。
【0009】一般式(I)中のArとしては、例えば、下
記化2〔一般式(II)〕、下記化3〔一般式(III)〕又は
下記化4〔一般式(IV)〕で表わされる基がある。
【化2】 (一般式(II)中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ同一
でも異なっていてもよく、水素、フッ素、塩素等のハロ
ゲン、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、スルホ
ン基、カルボキシ基、水酸基,ニトロ基、シアノ基等の
置換基を示す)。
【化3】 (一般式(III)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6
それぞれ同一でも異なっていてもよく水素原子又はフッ
素、塩素等のハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ア
リール基、スルホン基、カルボキシ基、水酸基,ニトロ
基、シアノ基等の置換基を示す)。
【化4】 (一般式(IV)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7
及びR8はそれぞれ同一でも異なっていてもよく水素原
子又はフッ素、塩素等のハロゲン、アルキル基、アルコ
キシ基、アリール基、スルホン基、カルボキシ基、水酸
基,ニトロ基、シアノ基等の置換基を示す)。
【0010】前記クロミック用樹脂は、その分子構造中
に、結合したハロゲン原子を含んでいてもよい。この場
合、その樹脂は、後記する発色及び消色が可能なクロミ
ック樹脂である。ハロゲン原子の量は、前記一般式(I)
で表される構造における窒素原子1個に対して0.01
個以上あるのが好ましい。ハロゲン原子の量が少なすぎ
るとクロミック樹脂としての機能が不十分である。
【0011】前記クロミック用樹脂には、カチオンラジ
カル安定化剤がその中に分散されている組成物の形態で
あってもよい。この場合、その組成物は、後記する発色
及び消色が可能なクロミック樹脂組成物である。カチオ
ンラジカル安定化剤は、前記一般式(I)で表される構造
を有する樹脂が、その構造に基づきカチオンラジカル化
するときに、放出される電子を捕捉してアニオンラジカ
ル化することにより系全体を安定化させる能力があり、
アニオンラジカル化した後の加熱時には電子を放出する
物質である。
【0012】前記クロミック用樹脂は、下記化5〔一般
式(V)〕で表わされるジアミン化合物とエポキシ樹脂を
反応させることを特徴とする方法により製造することが
できる。この場合、エポキシ樹脂としてハロゲン化エポ
キシ樹脂を用いると、後記する発色及び消色が可能なク
ロミック樹脂を得ることができる。
【化5】 〔ただし、一般式(V)中、Q1、Q2、Q3及びQ4は水素
又は置換基を有していてもよいアルキル基であり、これ
らは同一でも異なっていてもよく、また、これらのうち
少なくとも2個は水素であり、Arは一般式(I)に同じ
であり、2個の窒素原子はArの最も離れた位置に結合
している〕。
【0013】上記一般式(V)において、Arとしては前
記一般式(II)、前記一般式(III)又は前記一般式(IV)で
表わされる基があり、Q1、Q2、Q3又はQ4がアルキル
基のときは、アルキル基としてはメチル基、エチル基、
n-プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、ラウリル基、
ステアリル基、ベンジル基等がある。Arには、溶媒へ
の溶解性の向上、エポキシ樹脂との相溶性の向上、発色
波長の制御、発色の安定性の向上等のために適宜置換基
が導入される。
【0014】上記ジアミン化合物のうち2個のアミノ基
を有するものとして、パラフェニレンジアミン、2,5
−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2−メチル
−1,4−フェニレンジアミン、2,6−ジクロロ−1,
4−フェニレンジアミン、5−クロロ−2−メチル−
1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノ安息香
酸、2,5−ジアミノテレフタル酸、2−ニトロ−1,4
−フェニレンジアミン、2−シアノ−1,4−フェニレ
ンジアミン、2−メトキシ−1,4−フェニレンジアミ
ン、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、2,5−ジア
ミノフェノ−ル、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−
フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラクロロ−1,
4−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノナフタレ
ン、1−メチル−2,6−ジアミノナフタレン、3−ク
ロロ−2,6−ジアミノナフタレン、3−フルオロ−2,
6−ジアミノナフタレン、1,4−ジメチル−2,6−ジ
アミノナフタレン、1,5−ジメチル−2,6−ジアミノ
ナフタレン、1,4−ジクロロ−2,6−ジアミノナフタ
レン、1,5−ジクロロ−2,6−ジアミノナフタレン、
1,4−ジフルオロ−2,6−ジアミノナフタレン、1,
5−ジフルオロ2,6−ジアミノナフタレン、3,5−ジ
メチル−2,6−ジアミノナフタレン、1,5−ジニトロ
−2,6−ジアミノナフタレン、4,8−ジヒドキシ−
2,6−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノ−1,3,
4,5,7,8−ヘキサメチルナフタレン、2,6−ジアミ
ノ−1,3,4,5,7,8−ヘキサクロロナフタレン、2,
6−ジアミノ−1,3,4,5,7,8−ヘキサフルオロナ
フタレン、2,6−ジアミノ−1,3,4,5,7,8−ヘキ
サシアノナフタレン、2,6−ジアミノアントラセン、
1−メチル−2,6−ジアミノアントラセン、3−クロ
ロ−2,6−ジアミノアントラセン、3−フルオロ−2,
6−ジアミノアントラセン、1,4−ジメチル−2,6−
ジアミノアントラセン、1,5−ジメチル−2,6−ジア
ミノアントラセン、1,4−ジクロロ−2,6−ジアミノ
アントラセン、1,5−ジクロロ−2,6−ジアミノアン
トラセン、1,4−ジフルオロ−2,6−ジアミノアント
ラセン、1,5−ジフルオロ2,6−ジアミノアントラセ
ン、3,5−ジメチル−2,6−ジアミノアントラセン、
1,5−ジニトロ−2,6−ジアミノアントラセン、4,
8−ジヒドキシ−2,6−ジアミノアントラセン、2,6
−ジアミノ−1,3,4,5,7,8−ヘキサメチルアント
ラセン、2,6−ジアミノ−1,3,4,5,7,8−ヘキサ
クロロアントラセン、2,6−ジアミノ−1,3,4,5,
7,8−ヘキサフルオロアントラセン、2,6−ジアミノ
−1,3,4,5,7,8−ヘキサシアノアントラセン、9,
10−ジアミノアントラセン等があげられる。
【0015】上記ジアミン化合物のうちモノアルキルア
ミノ基又はジアルキルアミノ基を有するものとして、
N,N−ジメチルパラフェニレンジアミン、N,N−ジ
エチルパラフェニレンジアミン、N,N−ジ−n−プロ
ピルパラフェニレンジアミン、N,N−ジ−i−プロピ
ルパラフェニレンジアミン、N,N−ジブチルパラフェ
ニレンジアミン、N,N−ジラウリルパラフェニレンジ
アミン、N,N−ジステアリルパラフェニレンジアミ
ン、N,N−ジベンジルパラフェニレンジアミン、N,
N−ジメチル−2,6−ナフタレンジアミン、N,N−
ジエチル−2,6−ナフタレンジアミン、N,N−ジ−
n−プロピル−2,6−ナフタレンジアミン、N,N−
ジ−i−プロピル−2,6−ナフタレンジアミン、N,
N−ジブチル−2,6−ナフタレンジアミン、N,N−
ジラウリル−2,6−ナフタレンジアミン、N,N−ジ
ステアリル−2,6−ナフタレンジアミン、N,N−ジ
ベンジル−2,6−ナフタレンジアミン、N,N−ジメ
チル−2,6−アントラセンジアミン、N,N−ジエチ
ル−2,6−アントラセンジアミン、N,N−ジ−n−
プロピル−2,6−アントラセンジアミン、N,N−ジ
−i−プロピル−2,6−アントラセンジアミン、N,
N−ジブチル−2,6−アントラセンジアミン、N,N
−ジラウリル−2,6−アントラセンジアミン、N,N
−ジステアリル−2,6−アントラセンジアミン、N,
N−ジベンジル−2,6−アントラセンジアミン、N,
N′−ジメチルパラフェニレンジアミン、N,N′−ジ
エチルパラフェニレンジアミン、N,N′−ジ−n−プ
ロピルパラフェニレンジアミン、N,N′−ジ−i−プ
ロピルパラフェニレンジアミン、N,N′−ジブチルパ
ラフェニレンジアミン、N,N′−ジラウリルパラフェ
ニレンジアミン、N,N′−ジステアリルパラフェニレ
ンジアミン、N,N′−ジベンジルパラフェニレンジア
ミン、N,N′−ジメチル−2,6−ナフタレンジアミ
ン、N,N′−ジエチル−2,6−ナフタレンジアミ
ン、N,N′−ジ−n−プロピル−2,6−ナフタレン
ジアミン、N,N′−ジ−i−プロピル−2,6−ナフ
タレンジアミン、N,N′−ジブチル−2,6−ナフタ
レンジアミン、N,N′−ジラウリル−2,6−ナフタ
レンジアミン、N,N′−ジステアリル−2,6−ナフ
タレンジアミン、N,N′−ジベンジル−2,6−ナフ
タレンジアミン、N,N′−ジメチル−2,6−アント
ラセンジアミン、N,N′−ジエチル−2,6−アント
ラセンジアミン、N,N′−ジ−n−プロピル−2,6
−アントラセンジアミン、N,N′−ジ−i−プロピル
−2,6−アントラセンジアミン、N,N′−ジブチル
−2,6−アントラセンジアミン、N,N′−ジラウリ
ル−2,6−アントラセンジアミン、N,N′−ジステ
アリル−2,6−アントラセンジアミン、N,N′−ジ
ベンジル−2,6−アントラセンジアミン等があげられ
る。
【0016】前記エポキシ樹脂としては分子内にエポキ
シ基を2個以上有する化合物が使用される。例えば、ビ
スフェノールA等の多価フェノール又は1,4−ブタン
ジオール等の多価アルコールとエピクロルヒドリンを反
応させて得られるポリグリシジルエーテル、フタル酸、
ヘキサヒドロフタル酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリ
ンを反応させて得られるポリグリシジルエステル、アミ
ン、アミド又は複素環式窒素塩基を有する化合物のN−
グリシジル誘導体、(3′,4′−エポキシシクロヘキ
シルメチル)−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボ
キシレート等の脂環式エポキシ樹脂、フェノールノボラ
ック型エポキシ樹脂、オルトクレゾール型エポキシ樹脂
等がある。このようなエポキシ樹脂で商業的に入手可能
なものとしては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とし
てエピコート1001(エポキシ当量450〜50
0)、エピコート1004(エポキシ当量900〜10
00)、エピコート1007(エポキシ当量1750〜
2100)、エピコート1009(エポキシ当量240
0〜3300)〔いづれもシェルケミカル社商品名〕
等、があげられる。また、これらのエポキシ樹脂は単独
で用いても数種を混合して用いてもかまわない。
【0017】前記エポキシ樹脂としては、その一部に、
分子内にエポキシ基を1個だけ有する化合物を希釈剤と
して使用してもよい。希釈剤としては、n−ブチルグリ
シジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテ
ル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル等があり、こ
れらは、硬さ等の生成物特性を著しく阻害しない程度に
使用される。
【0018】前記のエポキシ樹脂及び希釈剤はハロゲン
化されていてもかまわない。このようなものとしては、
下記化6〔一般式(VI)〕、化7〔一般式(VII)〕、化8
〔一般式(VIII)〕等で表わされるものがある。
【化6】
【化7】
【化8】 ただし、一般式(VI)、一般式(VII)及び一般式(VIII)に
おいて、Xは塩素、臭素等のハロゲン、Rは−CH
2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)
−、−CH(Ph)−、−C(CH3)(Ph)−等のアルキ
レン基(ここで、Phはフェニル基を示す)、nは0又
は1以上の整数、mは1〜3の整数を示す。
【0019】前記のエポキシ樹脂でハロゲン化されてい
るものであって、商業的に入手可能なものとしては、ハ
ロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂としてスミエ
ポキシELB240(エポキシ当量240〜250)
〔住友化学工業株式会社フェノールノボラック型エポキ
シ樹脂としてエピコート152(エポキシ当量17
5)、エピコート154(エポキシ当量176〜18
1)〔いづれもシェルケミカル商品名〕、DEN431
(エポキシ当量172〜179)、DEN438(エポ
キシ当量175〜182)〔いづれもダウケミカル商品
名〕等、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹
脂としてBREN−S(日本化薬株式会社商品名)等が
あり、前記希釈剤でハロゲン化されているものであっ
て、商業的に入手可能なものとしては、BR−250
(日本化薬株式会社商品名)等がある。
【0020】前記したジアミンとエポキシ樹脂の反応に
際してカチオンラジカル安定化剤を存在させることがで
きる。この場合、得られた硬化物ポリマ中にカチオンラ
ジカル安定化剤が分散している。
【0021】前記カチオンラジカル安定化剤としては、
アルキルハライド、酸、塩、酸エステル等がある。アル
キルハライドとしては、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、
ヨウ化プロピル、ヨウ化ベンジル、臭化ベンジル、トシ
ルクロライド等がある。酸としては塩酸、硫酸、硝酸、
リン酸、亜リン酸等の無機酸、酢酸、ベンゼンスルホン
酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタ
ンスルホン酸等有機酸がある。塩としてはテトラブイル
アンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブ
ロマイド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テト
ラブチルアンモニウムパークロレート等の四級アンモニ
ウム塩、リチウムクロライド、リチウムブロマイド等の
ハロゲン化金属等がある。酸エステルとしてはパラトル
エンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチ
ル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸エ
チル等のスルホン酸エステル、硫酸ジメチル等の硫酸エ
ステル、リン酸トリメチル、リン酸トリフェニル等のリ
ン酸エステル等があげられる。
【0022】前記したジアミンとエポキシ樹脂の反応は
室温で行うこともできるが100℃から400℃の範囲
内の温度で熱硬化することが好ましい。窒素原子に結合
する活性水素を2個だけ有するジアミン化合物とエポキ
シ基を2個だけ有するエポキシ樹脂を反応させた場合、
得られるポリマは鎖状であり、このような鎖状ポリマ
は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、塩化メチレン、クロロホルム、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶剤に溶解させ
ることができる。このような組合せ以外では、上記の反
応により硬化物ポリマが得られる。
【0023】前記したジアミンとエポキシ樹脂は、エポ
キシ樹脂のエポキシ基1当量に対してジアミンの窒素原
子に結合している活性水素が0.01〜10当量になる
ように使用するのが好ましく、0.1〜1当量になるよ
うに使用するのが特に好ましい。カチオンラジカル安定
化剤は、ジアミンのアミノ基1当量に対して0.01〜
100当量の範囲内で使用するのが好ましく、特に0.
1〜1当量の範囲内で使用するのが好ましい。
【0024】前記ジアミンとエポキシ樹脂の反応に際し
て、反応(硬化)促進剤を存在させることができる。反
応促進剤としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾ
ール、2−エチルイミダゾール、1,2−メチルイミダ
ゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウ
ンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等の
イミダゾール類、N−アミノエチルピペラジン等のアミ
ン類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィ
ン、メチルジフェニルホスフィン、ブチルフェニルホス
フィン、ジメチルホスフィン、フェニルホスフィン、オ
クチルホスフィン等の有機ホスフィン類、チアゾール等
がある。
【0025】前記したジアミン及びエポキシ樹脂並びに
必要に応じて反応(硬化)促進剤、カチオンラジカル安
定剤を含むクロミック用樹脂組成物は、液状又は固形状
である。また、これらの組成物は適当な溶媒に溶解して
もよい。以上の組成物は、硬化反応させる前に、注形成
形、溶融成形、塗布等により適当な形状に成形すること
ができ、このような成形の後、又は成形と同時に硬化反
応させることができる。また、上記組成物を適当な吸液
性の材料、例えば、紙、布、ガラスクロス等に含浸して
硬化させることもできる。
【0026】上記組成物を溶解させるための溶媒として
は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタ
ン、テトラクロロエタン、メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール等がある。
【0027】上記において塗布により成形する場合は、
ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリイミド等の樹
脂、ガラス、セラミック、金属などの材質からなる適当
な基材上に、上記組成物を回転塗布法、バーコート法、
ナイフコート法、はけ塗り法、流延法等により製膜する
ことにより行うことができる。
【0028】前記したジアミンとエポキシ樹脂の硬化物
をカチオンラジカル安定剤で処理することにより、その
硬化物中にカチオンラジカル安定剤が分散しているクロ
ミック樹脂組成物とすることができる。処理法として
は、液状のカチオンラジカル安定剤又はカチオンラジカ
ル安定剤を適当な溶剤に溶解してなる溶液に、硬化物を
浸漬する方法、液状のカチオンラジカル安定剤又はこれ
を適当な溶剤に溶解してなる溶液をその硬化物に塗布す
る方法等がある。その溶液としては、カチオンラジカル
安定剤を0.01重量%乃至飽和濃度となるようにジメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルア
セトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタン、テト
ラクロロエタン、メタノール、エタノール、イソプロパ
ノール等の有機溶媒に溶解してなるものがある。
【0029】前記クロミック用樹脂は、芳香環に2個の
ジグリシジルアミノ基が芳香環の最も離れた対角位置に
直接結合しているエポキシ樹脂と硬化剤を反応させるこ
とを特徴とする方法によっても製造することができる。
【0030】上記エポキシ樹脂としては、化9〔一般式
(IX)〕
【化9】 〔ただし、一般式(IX)中、Arは一般式(I)に同じであ
る〕で表わされるものがある。具体的には、N,N,
N′,N′−テトラグリシジルパラフェニレンジアミ
ン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−2,6−
ナフタレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラグリ
シジル−2,6−アントラセンジアミン等がある。
【0031】上記一般式(IX)で表わされるエポキシ樹脂
に、前記に列挙したエポキシ樹脂を本発明の目的を損な
わない程度に併用することができる。
【0032】また、上記一般式(IX)で表わされるエポキ
シ樹脂に、分子内にエポキシ基を1個だけ有する化合物
を希釈剤として併用してもよい。希釈剤としては、前記
したものがある。これらは、硬化物の硬さ等の硬化特性
を著しく阻害しない程度に使用される。
【0033】前記硬化剤としてはジカルボン酸無水物、
ジアミン化合物、フェノール樹脂、ポリスルフィド樹
脂、多価フェノール等がある。
【0034】上記ジカルボン酸無水物としては、無水フ
タル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒド
ロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘ
キサヒドロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ドデシ
ル無水コハク酸等がある。等がある。これらの酸無水物
と上記エポキシ樹脂の硬化反応は、100〜400℃の
範囲内の温度で熱硬化するのが好ましい。
【0035】上記硬化剤としてのジアミン化合物として
は、前記したジアミンを使用することができるほか、ジ
エチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチ
ルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジ
ン、メタキシレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノ
プロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
(5,5)ウンデカン等がある。これらのジアミンと上
記エポキシ樹脂の硬化反応は、室温で行うこともできる
が100℃から400℃の範囲内の温度で熱硬化するこ
とが好ましい。
【0036】上記フェノール樹脂としては、フェノー
ル、クレゾール、t−ブチルフェノール等のフェノール
を用いて得られるノボラック型又はレゾール型フェノー
ル樹脂が使用できる。
【0037】前記一般式(IX)で表わされるエポキシ樹脂
と硬化剤の反応に際して、前記カチオンラジカル安定化
剤を存在させることができる。この場合、得られた硬化
物ポリマ中にカチオンラジカル安定化剤が分散してい
る。
【0038】前記一般式(IX)で表わされるエポキシ樹脂
と硬化剤は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して
硬化剤の反応基が0.01〜10当量になるように使用
するのが好ましく、0.1〜1当量になるように使用す
るのが特に好ましい。カチオンラジカル安定剤は、前記
エポキシ樹脂のジグリシジルアミノ基1当量に対して
0.01〜100当量の範囲内で使用するのが好まし
く、特に0.1〜1当量の範囲内で使用するのが好まし
い。
【0039】前記一般式(IX)で表わされるエポキシ樹脂
と硬化剤の反応に際して、前記した硬化促進剤を存在さ
せることができる。硬化促進剤としては、前記に例示し
たものがある。
【0040】前記一般式(IX)で表わされるエポキシ樹脂
と硬化剤の硬化物をカチオンラジカル安定剤で処理する
ことにより、その硬化物中にカチオンラジカル安定剤が
分散しているクロミック樹脂組成物とすることができ
る。処理法は前記したジアミンとエポキシ樹脂の硬化物
の処理法と同様である。
【0041】前記エポキシ樹脂及び硬化剤並びに必要に
応じて反応促進剤、カチオンラジカル安定剤を含むクロ
ミック用樹脂組成物は、液状又は固形状である。前記し
たジアミンとエポキシ樹脂を含む組成物と同様に溶液と
し、成形し、含浸し、又は塗布することができる。
【0042】一般式(I)で表される構造を有する樹脂
は、下記化10〔一般式(X)〕で表されるエチレンイミ
ンと下記化11〔一般式(XI)〕で表されるジチオールを
反応させた後、ハロゲン化アルキルと反応させることに
よっても製造することができる。反応生成物は下記化1
2〔一般式(XII)〕で表される繰返し単位をゆうしてい
る。この反応に際して、エチレンイミン1モルに対して
ジチオール0.01〜10モル%使用するのが好まし
く、ハロゲン化アルキルは使用したエチレンイミン1モ
ルに対して2モル程度使用するのが好ましい。また、こ
の反応に際して、前記カチオンラジカル安定剤を前記し
たのと同様に存在させてもよく、また、反応生成物を前
記したのと同様にカチオンラジカル安定剤で処理しても
よい。
【化10】 ただし、一般式(X)中、Arは一般式(I)に同じであ
る。
【化11】 HS−R−SH (XI) ただし、一般式(XI)中、Rはメチレン基、エチレン基、
プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基、シクロヘ
キシレン基等のシクロアルキレン基又はフェニレン基等
の二価の芳香族基である。
【化12】 ただし、一般式(XII)中、Arは一般式(X)に、Rは一
般式(XI)に同じであり、R′はメチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ラウリル基、ステアリル基等のア
ルキル基があり、複数のR′は同一でも異なっていても
よい。
【0043】前記クロミック樹脂又はクロミック樹脂組
成物は、前記一般式(I)で表わされる構造を有している
ことを特徴とするが、このクロミック樹脂又はクロミッ
ク樹脂組成物に紫外線を照射すると、発色し又は近赤外
域の吸収が増大する(発色する)。例えば、十分な紫外線
量で照射した場合、一般式(I)中のArが一般式(II)で
表される基であるとき緑色乃至濃青紫色に着色し、一般
式(I)中のArが一般式(III)又は一般式(VI)で表され
る基であるとき黄色乃至緑色であって近赤外域の吸収が
増大する。
【0044】このとき、前記一般式(I)で表わされる構
造は、下記化13〔一般式(XIII)〕で表わされる構造の
ようにその構造中の窒素原子がカチオンラジカルになっ
ている。
【化13】 〔ただし、一般式(XIII)中、Ar、C1、C2、C3及び
4は、一般式(I)に同じである〕。
【0045】上記カチオンラジカルの相手となるアニオ
ンラジカルは、上記クロミック樹脂中のハロゲン原子、
上記クロミック樹脂中に分散しているカチオンラジカル
安定剤である。この着色状態において加熱すると元の状
態に戻り、消色する。着色時の発色団は、一般式(XIII)
中の下記化14〔一般式(XIV)〕の共鳴構造であり、一
般式(I)中のN−Ar−Nはその発色団の前駆構造であ
る。
【化14】 〔ただし、一般式(XIV)中、Arは、一般式(I)に同じ
である〕。
【0046】前記クロミック樹脂は通常無色乃至淡色で
あるが、これに紫外線を照射すると、一般式(I)中の三
級窒素から電子を1個放出することによって一般式(XI)
に示すようにカチオンラジカルとなり可視領域又は赤外
領域において吸収を示すようになる。この状態は不安定
であるためこの変化は通常観察されない。しかし、この
系に発色団前駆体から放出された電子を補足して系全体
を安定化する物質(クロミック樹脂に結合しているハロ
ゲン原子、臭素化合物又はラジカル安定化剤)を存在さ
せることにより発色団中のラジカルを安定に存在させる
ことができる。また加熱により上記の安定化する物質か
ら電子が三級窒素へ戻るとラジカルは消滅し、上記発色
団は無色乃至淡色の発色団前駆体となる。
【0047】例えば、前記クロミック樹脂にカチオンラ
ジカル安定剤としてパラトルエンスルホン酸エチルが分
散している場合、紫外線照射前には下記化15〔一般式
(XV)〕のように、クロミッ樹脂中にパラトルエンスルホ
ン酸エチルが分散しており、これに紫外線を照射すると
下記化16〔一般式(XVI)〕のように、クロミック樹脂
の窒素原子とパラトルエンスルホン酸エチルがイオンラ
ジカル化して着色し、この後加熱すると下記化15〔一
般式(XV)〕の構造に戻り消色する。
【化15】 〔ただし、一般式(XV)中、Ar、C1、C2、C3及びC4
は、一般式(I)に同じである〕。
【化16】 〔ただし、一般式(XVI)中、Ar、C1、C2、C3及びC
4は、一般式(I)に同じである〕。
【0048】このように、前記クロミック樹脂又はクロ
ミック樹脂組成物は系内での電子の移動によるラジカル
の生成、消滅によって発色、消色を行うため樹脂中の構
造が破壊されることがなく、従って高い安定性を示す。
また、発色が光照射によるフォトンモード、消色が加熱
によるヒートモードという異なる経路をとるため発色、
消色各状態の安定性が高い。カチオンラジカル安定剤を
使用するときは、沸点又は昇華点が消色温度よりも高い
ものを用いるとき、クロミック樹脂にハロゲンが結合し
ているとき、発色と消色が安定に繰返される。沸点又は
昇華点が消色温度以下のカチオンラジカル安定剤を使用
するときは、1回の着色と消色はできる。しかし、この
場合も樹脂をカチオンラジカル安定剤で処理することに
より発色と消色が可能になる。
【0049】本発明における光記録媒体は、前記クロミ
ック用樹脂、前記クロミック樹脂又は前記クロミック樹
脂組成物の成形物、前記クロミック用樹脂、前記クロミ
ック樹脂又は前記クロミック樹脂組成物をポリカーボネ
ート、アクリル樹脂、ポリイミド等の樹脂、ガラス、セ
ラミック、金属などの材質からなる基材上に積層してな
るもの、前記クロミック用樹脂、前記クロミック樹脂又
は前記クロミック樹脂組成物が紙、布、ガラスクロス等
の吸液性の材料に含浸されて一体化しているものなどで
ある。これらの製造法としては、前記したクロミック用
樹脂組成物自体をフィルム状、円板等の形状に前記した
ように注形成形、溶融成形する方法、このような方法に
より得られたフィルム、円板等を基材に接着剤で貼り付
ける方法、前記したクロミック用樹脂組成物を基材上に
注形成形、溶融成形、塗布して硬化反応させる方法、前
記したクロミック用樹脂組成物を吸液性の材料に塗布、
ハンドレイ・アップ、注形成形、溶融成形等の方法によ
り含浸して硬化させる方法がある。前記クロミック用樹
脂、前記クロミック樹脂又は前記クロミック樹脂組成物
が、注形成形、溶融成形又は塗布が可能なものである場
合は、これらを使用して上記と同様の方法で光記録媒体
を製造することができる。また、上記光記録媒体で記録
層がクロミック性を有しないクロミック用樹脂からなる
ものである場合は、使用の前に、前記したようにカチオ
ンラジカル安定剤で処理される。
【0050】本発明における光記録媒体には記録層に隣
接して反射層を設けてもよい。反射層は金、銀、銅、マ
グネシウム、クロム、コバルト、アルミニウム、鉄等の
薄膜がよい。真空蒸着やスパッタ法等により簡単に薄膜
化できる金、アルミニウム等が特に好ましい。また、上
記記録層を適当な保護膜で覆ってもよい。
【0051】前記のクロミック樹脂又はクロミック樹脂
組成物を含有する記録層に紫外線を照射すると照射部分
が高濃度に発色する。記録層の吸光度及び反射率が変化
する。この色は、該樹脂を加熱することにより消すこと
ができる。この記録層の発色と消色に伴って記録層の吸
光度及び反射率が変化する。本願発明における光記録媒
体は、記録層のこの性質を利用するものである。記録方
法としては発色状態、消色状態のいずれを記録状態とす
るかによって異なる。発色状態を記録状態とする場合、
記録は紫外光を用いて行い、読み出しは記録層の発色波
長の範囲の光で吸光度(若しくは透過率)又は反射率の
変化を検出して行う。このとき読み出し光のパワーは記
録層が極度に発熱しない程度にする。記録状態の消去は
発色状態の記録層が消色する程度まで加熱を行うことに
より達成される。加熱は記録層が吸収可能な波長範囲の
光を記録層が発熱する高パワーで照射することにより行
うことができこの場合ピット単位の消去が可能となる。
またヒーター等の適当な加熱機構を用いて全体の消去を
行うことが可能である。消色状態を記録状態とする場
合、紫外線を記録媒体の全面に照射し発色した状態を初
期状態とする。記録は記録層が吸収可能な波長の範囲の
光を用い、記録層の消色が起こる高パワーで照射を行
う。読み出しは記録と同波長の光を未記録部の記録層の
消色が起こらない程度に弱めた光で吸光度(若しくは透
過率)又は反射率の変化を検出して行う。消去は紫外線
をピット径程度に絞った光を照射し記録部を再発色させ
ることにより行う。この場合、ピット単位での消去が可
能である。また、紫外線を記録媒体の全面に照射して消
去してもよい。なお、本発明において、発色又は着色と
は、可視的な意味だけでなく、近赤外線のように吸収ス
ペクトルを測定することによりある波長での吸収が増大
することも意味する。
【0052】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を説明する。
【0053】実施例1 ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔エピコート1001
(油化シェルエポキシ社商品名)、エポキシ当量45
0〕1.1g、パラフェニレンジアミン0.066g
(0.61ミリモル)及びパラトルエンスルホン酸エチ
ル0.122g(0.061ミリモル)をメチルイソブ
チルケトンに溶解し、クロミック樹脂用組成物を得た。
溶液中の樹脂分は35重量%であった。この溶液を縦2
6mm、横26mm、厚さ2mmのガラス板上に100
0rpmで10秒、続いて2000rpmで30秒の条
件で回転塗布機により塗布した。この後150℃で1時
間熱硬化を行い、クロミック樹脂組成物からなる膜(記
録層)を有する光記録媒体を得た。
【0054】上記で得られたクロミック樹脂組成物から
なる膜は微黄色であった。日立自記分光光度計U340
0により可視吸収スペクトルを測定した結果、500乃
至700nmに顕著な吸収はなかった。この可視吸収ス
ペクトルを図1にグラフ1として示す。また、この膜に
ついて電子スピン共鳴(ESR)スペクトルを測定した
ところ、吸収はなく、ラジカルは検出されなかった。こ
の膜に高圧水銀灯により紫外線を1000mJ/cm2
照射したところ膜は濃青紫色に変色した。可視吸収スペ
クトルを測定した結果、500乃至700nmに顕著な
吸収が見られた。この可視吸収スペクトルを図1にグラ
フ2として示す。また、この膜の電子スピン共鳴(ES
R)スペクトルを図2に示す。次に200℃に加熱した
ホットプレート上でガラス板を下にして膜を加熱すると
膜は8秒で微黄色となった(すなわち消色した)。この
膜の可視吸収スペクトルは紫外線照射前のスペクトル
(図1のグラフ1)に類似していた。再度この膜に10
00mJ/cm2 の紫外線を照射した結果、膜は再び濃
青紫色に変色した。この膜の可視吸収スペクトルは最初
の濃青紫色の膜のスペクトル(図1のグラフ2)と同様
の形状であった。さらに、上記と同様に加熱すると微黄
色となり500乃至700nmの吸収は消失した。この
ような発色と消色を10回繰り返したが、発色と消色は
上記のように行われ、表面がべとつく等の特別な異常は
観察されなかった。この膜を濃青紫色の状態で数週間放
置しておいたが色相に変化は認められなかった。
【0055】参考例1 N,N,N′,N′−テトラメチルパラフェニレンジア
ミン1モルに対して過塩素酸リチウム1モルをアセトン
中に溶解し、室温で1日間放置した。アセトンは徐々に
蒸発し、これにつれて溶液は青味を帯び、最終的に紫色
の結晶を得た。得られた結晶を再びアセトンに溶解した
ところ、溶液の色は、青紫であった。この溶液のESR
スペクトルを測定した。この結果を図3示す。上記の結
晶は、ウルスタ塩として知られており、その構造は、下
記化17〔式(XVII)〕で示されるものであることが知ら
れている。
【化17】 ただし、式(XVII)中、Phはパラフェニレン基を示す。
【0056】前記実施例1における図2のESRスペク
トルと前記参考例1における図3のESRスペクトルを
それぞれ比較すると、これらは同様の形状を示し、吸収
位置も同様であることが明らかである。これらの結果か
ら、実施例1のクロミック樹脂組成物で紫外線を照射し
たもの及び参考例1のウルスタ塩には、ラジカルを有す
る同様の構造が存在するものと推定される。さらに、前
記のとおり前記クロミック樹脂組成物の消色時にはラジ
カルが存在しないこと、前記ウルスタ塩の構造及び前記
クロミック樹脂組成物中の樹脂の構造(前記ジアミンの
アミノ基と前記エポキシ樹脂のエポキシ基が反応して形
成されたもの)を考えあわせると、前記クロミック樹脂
組成物の着色は、発色団としての化18〔式(XVIII)〕
で示される共鳴構造系に基づき、前記クロミック樹脂の
消色時には、化19〔式(XIX)〕の構造が、発色団前駆
体として存在する。
【化18】 ただし、式(XVIII)中、Phはパラフェニレン基を示
す。
【化19】 ただし、式(XIX)中、Phはパラフェニレン基を示す。
【0057】実施例2 ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔エピコート1001
(油化シェルエポキシ社商品名)、エポキシ当量45
0〕1.0g及びパラフェニレンジアミン0.06g
(0.56ミリモル)をメチルイソブチルケトンに溶解
し、クロミック樹脂用組成物を得た。溶液中の樹脂分は
35重量%であった。この溶液を縦26mm、横26m
m、厚さ2mmのガラス板上に1000rpmで10
秒、続いて2000rpmで30秒の条件で回転塗布機
により塗布した。この後150℃で1時間熱硬化を行っ
た。ついで、パラトルエンスルホン酸エチルの10重量
%メチルイソブチルケトン溶液に2時間浸漬した後、膜
表面をメチルイソブチルケトンで洗浄し乾燥してクロミ
ック樹脂組成物からなる膜(記録層)を有する光記録媒
体を得た。
【0058】上記で得られたクロミック樹脂組成物から
なる膜は微黄色であった。日立自記分光光度計U340
0により可視吸収スペクトルを測定した結果、500乃
至700nmに顕著な吸収はなかった。この可視吸収ス
ペクトルを図4にグラフ3として示す。この膜に高圧水
銀灯により紫外線を1000mJ/cm2 照射したとこ
ろ膜は濃青紫色に変色した。可視吸収スペクトルを測定
した結果、500乃至700nmに顕著な吸収が見られ
た。この可視吸収スペクトルを図4にグラフ4として示
す。次に200℃に加熱したホットプレート上でガラス
板を下にして膜を加熱すると膜は10秒で微黄色となっ
た(すなわち消色した)。この膜の可視吸収スペクトル
は紫外線照射前のスペクトル(図4のグラフ3)に類似
していた。再度この膜に1000mJ/cm2 の紫外線
を照射した結果、膜は再び濃青紫色に変色した。この膜
の可視吸収スペクトルは最初の濃青紫色の膜のスペクト
ル(図4のグラフ4)と同様の形状であった。さらに、
上記と同様に加熱すると微黄色となり500乃至700
nmの吸収は消失した。このような発色と消色を10回
繰り返したが、発色と消色は上記のように行われ、表面
がべとつく等の特別な異常は観察されなかった。この膜
を濃青紫色の状態で数週間放置しておいたが色相に変化
は認められなかった。
【0059】実施例3 臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂〔BREN
−S(日本化薬株式会社商品名)、エポキシ当量28
4、臭素含有率35重量%〕1.08g及びパラフェニ
レンジアミン0.18g(1.64ミリモル)をメチル
イソブチルケトンに溶解し、クロミック樹脂用組成物を
得た。溶液中の樹脂分は50重量%であった。この溶液
を縦26mm、横26mm、厚さ2mmのガラス板上に
1000rpmで10秒、続いて2000rpmで30
秒の条件で回転塗布機により塗布した。この後150℃
で1時間熱硬化を行い、クロミック樹脂からなる膜(記
録層)を有する光記録媒体を得た。
【0060】上記で得られたクロミック樹脂からなる膜
は微黄色であった。日立自記分光光度計U3400によ
り可視吸収スペクトルを測定した結果、500乃至70
0nmに顕著な吸収はなかった。この可視吸収スペクト
ルを図5にグラフ5として示す。この膜に高圧水銀灯に
より紫外線を1000mJ/cm2 照射したところ膜は
濃青紫色に変色した。可視吸収スペクトルを測定した結
果、500乃至700nmに顕著な吸収が見られた。こ
の可視吸収スペクトルを図5にグラフ6として示す。次
に200℃に加熱したホットプレート上でガラス板を下
にして膜を加熱すると膜は11秒で微黄色となった(す
なわち消色した)。この膜の可視吸収スペクトルは紫外
線照射前のスペクトル(図5のグラフ5)に類似してい
た。再度この膜に1000mJ/cm2 の紫外線を照射
した結果、膜は再び濃青紫色に変色した。この膜の可視
吸収スペクトルは最初の濃青紫色の膜のスペクトル(図
5のグラフ6)と同様の形状であった。さらに、上記と
同様に加熱すると微黄色となり500乃至700nmの
吸収は消失した。このような発色と消色を10回繰り返
したが、発色と消色は上記のように行われ、表面がべと
つく等の特別な異常は観察されなかった。この膜を濃青
紫色の状態で数週間放置しておいたが色相に変化は認め
られなかった。
【0061】実施例4 ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔エピコート1001
(油化シェルエポキシ社商品名)、エポキシ当量45
0〕0.43g、2,6ーナフタレンジアミン37.3
mg(0.236ミリモル)及びパラトルエンスルホン
酸エチル50.0mg(0.25ミリモル)をメチルエ
チルケトンに溶解し、クロミック樹脂用組成物を得た。
溶液中の樹脂分は40重量%であった。この溶液を縦2
6mm、横26mm、厚さ2mmのガラス板上に100
0rpmで10秒、続いて2000rpmで40秒の条
件で回転塗布機により塗布した。この後150℃で1時
間熱硬化を行い、クロミック樹脂組成物からなる膜(記
録層)を有する光記録媒体を得た。
【0062】上記で得られたクロミック樹脂組成物から
なる膜は微黄色であった。日立自記分光光度計U340
0により可視近赤外吸収スペクトルを測定した結果、6
00乃至1000nmに顕著な吸収はなかった。この可
視近赤外吸収スペクトルを図6にグラフ7として示す。
この膜に高圧水銀灯により紫外線を500mJ/cm2
照射したところ膜はわずかに緑がかった色に変色した。
可視近赤外吸収スペクトルを測定した結果、650乃至
950nmに顕著な吸収が見られた。この可視近赤外吸
収スペクトルを図6にグラフ8として示す。次に170
℃に加熱したホットプレート上でガラス板を下にして膜
を加熱すると膜は約15秒で微黄色となった。この膜の
可視近赤外吸収スペクトルは紫外線照射前のスペクトル
(図6のグラフ7)に類似していた。再度この膜に50
0mJ/cm2 の紫外線を照射した結果、膜は再びわず
かに緑がかった色に変色した。この膜の可視近赤外吸収
スペクトルは最初のわずかに緑がかった色の膜のスペク
トル(第4図のグラフ5)と同様の形状であった。さら
に、上記と同様に加熱すると微黄色となり近赤外域(す
なわち650乃至950nm)の吸収は消失した。この
ような近赤外域の吸収変化(微黄色と微緑色の変化を伴
う)を10回繰り返したが、膜の近赤外域の吸収変化は
上記のとうりであり、表面がべとつく等の特別な以上は
観察されなかった。この膜を近赤外域に吸収を示す状態
で数週間放置しておいたが近赤外域の吸収に変化は認め
られなかった。
【0063】実施例5 ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂〔BR
EN−S(日本化薬株式会社商品名)、エポキシ当量2
84、臭素含有率35重量%〕0.35g及び2,6ー
ナフタレンジアミン48.0mg(0.303ミリモ
ル)をメチルエチルケトンに溶解した。溶液中の樹脂分
は38重量%であった。この溶液を縦26mm、横26
mm、厚さ2mmのガラス板上に1000rpmで10
秒、続いて2000rpmで40秒の条件で回転塗布機
により塗布した。この後150℃で1時間熱硬化を行
い、クロミック樹脂からなる膜(記録層)を有する光記
録媒体を得た。
【0064】上記で得られたクロミック樹脂からなる膜
は微黄色であった。この膜の可視近赤外吸収スペクトル
を図7にグラフ9として示す。700乃至1000nm
に顕著な吸収はなかった。この膜に高圧水銀灯により紫
外線を500mJ/cm2 照射したところ膜はわずかに
緑がかった色に変色した。可視近赤外吸収スペクトルを
測定した結果、650乃至950nmに顕著な吸収が見
られた。この可視近赤外吸収スペクトルを図7にグラフ
10として示す。次に170℃に加熱したホットプレー
ト上でガラス板を下にして膜を加熱すると膜は約15秒
で微黄色となった。この膜の可視近赤外吸収スペクトル
は紫外線照射前のスペクトル(図7のグラフ9)に類似
していた。再度この膜に500mJ/cm2 の紫外線を
照射した結果、膜は再びわずかに緑がかった色に変色し
た。この膜の可視近赤外吸収スペクトルは最初のわずか
に緑がかった色の膜のスペクトル(図7のグラフ10)
と同様の形状であった。さらに、上記と同様に加熱する
と微黄色となり近赤外域(すなわち650乃至950n
m)の吸収は消失した。このような近赤外域の吸収変化
(微黄色と微緑色の変化を伴う)を10回繰り返した
が、膜の近赤外域の吸収変化は上記のとうりであり、表
面がべとつく等の特別な以上は観察されなかった。この
膜を近赤外域に吸収を示す状態で数週間放置しておいた
が近赤外域の吸収に変化は認められなかった。
【0065】実施例6 テトラグリシジルパラフェニレンジアミン(分子量33
2、エポキシ当量83)0.58g、メチルテトラヒド
ロ無水フタル酸(日立化成工業株式会社製HN220
0)0.162g(0.98ミリモル)及びパラトルエ
ンスルホン酸エチル0.57g(0.29ミリモル)を
メチルエチルケトンに溶解した。溶液中の樹脂分は43
重量%であった。この溶液を縦26mm、横26mm、
厚さ2mmのガラス板上に1000rpmで10秒、続
いて2000rpmで40秒の条件で回転塗布機により
塗布した。この後150℃で1時間熱硬化を行い、クロ
ミック樹脂組成物からなる膜(記録層)を有する光記録
媒体を得た。
【0066】上記で得られたフォトクロミック樹脂組成
物からなる膜は微黄色であった。この膜の可視吸収スペ
クトルを図8にグラフ11として示す。この膜に高圧水
銀灯により紫外線を500mJ/cm2 照射したところ
膜は青色に変色した。可視吸収スペクトルを測定した結
果、500乃至700nmに新たな吸収が見られた。こ
の可視吸収スペクトルを図8にグラフ12として示す。
次に170℃に加熱したホットプレート上でガラス板を
下にして膜を加熱すると膜は約15秒で微黄色となっ
た。この膜の可視吸収スペクトルは紫外線照射前のスペ
クトル(図8のグラフ11)に類似していた。再度この
膜に500mJ/cm2 の紫外線を照射した結果、膜は
再び青色に変色した。この膜の可視吸収スペクトルは最
初の青色の膜のスペクトル(図8のグラフ12)と同様
の形状であった。さらに、上記と同様に加熱すると微黄
色となり近赤外域(すなわち500乃至700nm)の
吸収は消失した。このような着色と消色を10回繰り返
したが、膜の可視域の吸収変化は上記のとうりであり、
表面がべとつく等の特別な以上は観察されなかった。こ
の膜を着色状態で数週間放置しておいたが色相に変化は
認められなかった。
【0067】実施例7 ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔エピコート1001
(油化シェルエポキシ社商品名)、エポキシ当量45
0〕0.43g及び2,6ーナフタレンジアミン37.
3mg(0.236ミリモル)をメチルエチルケトンに
溶解し、クロミック樹脂用組成物を得た。溶液中の樹脂
分は40重量%であった。この溶液を縦26mm、横2
6mm、厚さ2mmのガラス板上に1000rpmで1
0秒、続いて2000rpmで40秒の条件で回転塗布
機により塗布した。この後150℃で1時間熱硬化を行
った。得られた膜に臭化エチル0.1mlを塗布し室温
で5分放置して、クロミック樹脂組成物からなる膜(記
録層)を有する光記録媒体を得た。
【0068】上記で得られたクロミック樹脂組成物から
なる膜は微黄色であった。日立自記分光光度計U340
0により可視近赤外吸収スペクトルを測定した結果、6
00乃至1000nmに顕著な吸収はなかった。この可
視近赤外吸収スペクトルを図9にグラフ13として示
す。この膜に高圧水銀灯により紫外線を500mJ/c
2 照射したところ膜はわずかに緑がかった色に変色し
た。可視近赤外吸収スペクトルを測定した結果、650
乃至950nmに顕著な吸収が見られた。この可視近赤
外吸収スペクトルを第9図にグラフ14として示す。次
に170℃に加熱したホットプレート上でガラス板を下
にして膜を加熱すると膜は約15秒で微黄色となった。
この膜の可視近赤外吸収スペクトルは紫外線照射前のス
ペクトル(第9図のグラフ13)に類似していた。再度
この膜に500mJ/cm2 の紫外線を照射したが再発
色は起こらなかった。前記の加熱により、臭化エチルが
揮散したものと考えられる。
【0069】実施例8 ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔エピコート1001
(シェルケミカル社商品名)、エポキシ当量450〕
4.116g(9.15ミリ当量)、パラフェニレンジ
アミン0.494g(4.57ミリ当量)及びパラトル
エンスルホン酸エチル0.920g(4.62ミリ当
量)をメチルエチルケトンに溶解し、クロミック用樹脂
組成物を得た。さらに、メチルエチルケトンを追加し溶
液中の樹脂分が40重量%になるように調製した。この
溶液を縦26mm、横26mm、厚さ2mmのガラス板
(基材)上に800rpmで10秒、続いて2500r
pmで40秒の条件で回転塗布機により塗布した。この
後、室温で15分間放置後150℃で1時間熱硬化を行
ひ、クロミック用樹脂組成物からなる記録層を基材上に
形成し、光記録媒体を得た。形成された記録層の厚さは
精密膜厚計で測定したところ、8.4μmであった。
【0070】日立自記分光光度計(U3400)により
記録層の可視吸収スペクトルを測定した結果、500n
m乃至700nmに顕著な吸収はなかった。この可視吸
収スペクトルを図12にグラフ19として示す。上記記
録層に高圧水銀灯により紫外線を1000mJ照射した
ところ記録層は濃青紫色に変色した。可視吸収スペクト
ルを測定した結果、500nm乃至700nmに顕著な
吸収が見られ、極大吸収波長は589nmあった。この
可視吸収スペクトルを図12にグラフ20として示す。
発色した記録層を有する光記録媒体を150℃に加熱し
て記録層を消色した。このときの記録層の可視吸収スペ
クトルを図12にグラフ21として示す。上記と同様に
して発色させた記録層を有する光記録媒体を室温で1か
月放置しておいたが、着色濃度に変化はなかった。次
に、上記と同様にして得た光記録媒体に種々の照射光量
で紫外線を照射した後、波長589nmでの吸光度を測
定した。この結果を図13に示す。図13から明らかな
ように、150mJの照射光量で飽和着色濃度の約50
%に着色することがわかった。
【0071】実施例9 実施例8と同様にしてガラス板の上に記録層を形成し
た。一方、縦26mm、横26mm、厚さ2mmのガラ
ス板にアルミニウムを1000Åの厚さに蒸着し、反射
膜基板を作製した。上記の記録層を有するガラス板と反
射膜基板を記録層と反射膜が接するように合わせ、光記
録媒体とした。この光記録媒体の断面図を図14に示
す。図14中、ガラス基板22上に記録層23が積層さ
れており、これにアルミニウム反射膜24が接触してお
り、これはガラス基板25に積層されている。この光記
録媒体に図14に示す入射角度での反射スペクトルを自
記分光光度計で測定した。測定した反射スペクトルを図
15にグラフ26として示す。次いで、上記光記録媒体
の記録層に紫外線を500mJ照射し、濃青紫色に着色
させた。この光記録媒体の反射スペクトルを上記と同様
にして測定した結果を図15にグラフ27として示す。
また、この光記録媒体を150℃に加熱して記録層消色
した。この後、測定した反射スペクトルを図15にグラ
フ28として示す。また、上記と同様にして作製した光
記録媒体に第1に紫外線を30mW照射して記録層を着
色する操作と次いで光記録媒体を189℃で30秒間加
熱する操作を交互に繰返し、その都度反射率を測定し
た。この結果を図16に示す。
【0072】実施例10 ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂〔BR
EN−S(日本化薬社製)、エポキシ当量284、臭素
含有量35.2%〕1.81g(6.37m当量)、パ
ラフェニレンジアミン(分子量108.14)0.27
g(2.50m当量)をメチルエチルケトン4.4gに
完全に溶解した。その後メチルエチルケトンで樹脂分が
30重量%となるように希釈し塗布液とした。上記の塗
布液を26mm×26mm×2mmのガラス板に回転塗
布機により第1段目800rpm、10秒、第2段目2
500rpm、40秒の条件で塗布した。その後、室温
で15分間放置後、150℃で1時間、熱硬化させて記
録層を形成した。精密膜厚計DEKTAK3030〔日
本真空(株)製〕で硬化後のエポキシ樹脂膜(記録層)
の膜厚を測定した結果、1.7μmであった。
【0073】この膜の可視吸収スペクトルを自記分光光
度計で測定した結果を図17にグラフ29として示す。
また、この膜に紫外線を500mJ照射したとき(膜は
濃青紫色に着色した)の可視吸収スペクトルを自記分光
光度計で測定した結果を図17にグラフ30として示
す。さらに、この着色した膜を150℃で5分間加熱し
て消色したときの可視吸収スペクトルを自記分光光度計
で測定した結果を図17にグラフ31として示す。また
グラフ2における極大吸収波長である600nmでの照
射光量に対する吸光度変化を測定し感度曲線を得た。こ
の結果を図18に示す。図18より、上記記録層は30
0mJの照射光量で飽和着色濃度の約50%に達するこ
とがわかった。同試料を室温で1ケ月放置しておいたが
着色濃度に変化はみられなかった。
【0074】実施例11 実施例10と同じ条件で26mm×26mm×2mmの
ガラス板に上記の塗布液により記録層であるエポキシ樹
脂硬化膜を作製した。別途26mm×26mm×2mm
のガラス板にアルミニウムを1000Åの厚さに蒸着し
反射膜基板を作製した。この反射膜基板の金属面と記録
層(エポキシ樹脂膜)が接するように合わせて光記録媒
体を作製した。この光記録媒体の反射スペクトルを実施
例9に準じて測定した。この結果を図19にグラフ32
として示す。また、この光記録媒体に紫外線を30mJ
照射し記録層を濃青紫色に着色させたときの反射スペク
トルを上記と同様にして測定した結果を図19にグラフ
33として示す。さらに、この光記録媒体を200℃で
25秒間加熱して記録層を消色したときの反射スペクト
ルを上記と同様にして測定した結果を図19にグラフ3
4として示す。また、上記と同様にして作成したセルに
第1に紫外線を30mJ照射して記録層を着色する操作
と次いで上記セルを189℃で30秒間加熱して着色し
た記録層を消色する操作を交互に繰返し、その都度60
0nmでの反射率を測定した。この結果を図20に示
す。図20から明らかなように、安定な繰返し特性が得
られた。
【0075】実施例12 ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔エピコート100
1、エポキシ当量450〕1.36g(3.02ミリ当
量)、2,6−ジアミノナフタレン0.114g(0.
72ミリモル、2.89ミリ当量)及びパラトルエンス
ルホン酸エチル0.32g(1.60ミリ当量)をメチ
ルエチルケトンに樹脂分が39重量%になるように溶解
し、クロミック用樹脂組成物を得た。この溶液を縦26
mm、横26mm、厚さ2mmのガラス板(基材)上に
1000rpmで10秒、続いて2000rpmで40
秒の条件で回転塗布機により塗布した。この後、室温で
15分間放置後150℃で1時間熱硬化を行ひ、クロミ
ック用樹脂組成物からなる記録層を基材上に形成し、光
記録媒体を得た。形成された記録層の厚さは精密膜厚計
で測定したところ、5μmであった。
【0076】日立自記分光光度計(U3400)により
記録層の可視吸収スペクトルを測定した。この可視近赤
外吸収スペクトルを図21にグラフ35として示す。上
記記録層に高圧水銀灯により紫外線を500mJ/cm
2 照射した後、可視近赤外吸収スペクトルを測定した結
果を図21にグラフ36として示す。ついで、光記録媒
体を150℃に加熱し、この後記録層の可視近赤外吸収
スペクトルをを測定した。この結果を図21にグラフ3
7として示す。上記と同様にして発色させた記録層を有
する光記録媒体を室温で1か月放置しておいたが、近赤
外吸収スペクトルに変化はなかった。次に、上記と同様
にして得た光記録媒体に種々の照射光量で紫外線を照射
した後、波長840nmでの吸光度を測定した。この結
果を図22に示す。図22から明らかなように、700
mJ/cm2 の照射光量で飽和着色濃度の約50%に着
色することがわかった。
【0077】実施例13 実施例12と同じ条件で26mm×26mm×2mmの
ガラス板に上記の塗布液により記録層であるエポキシ樹
脂硬化膜を作製した。別途26mm×26mm×2mm
のガラス板にアルミニウムを1000Åの厚さに蒸着し
反射膜基板を作製した。この反射膜基板の金属面と記録
層(エポキシ樹脂膜)が接するように合わせて光記録媒
体を作製した。得られた光記録媒体の反射スペクトルを
実施例9に準じて測定した。この結果を図23にグラフ
38として示す。この光記録媒体に紫外線を100mJ
/cm2 照射した後、反射スペクトルを実施例9に準じ
て測定した。この結果を図23にグラフ39として示
す。また、この光記録媒体を170℃で20秒間加熱し
た後、反射スペクトルを上記と同様にして測定した。こ
の結果を図23にグラフ40として示す。また、上記と
同様にして作成した光記録媒体に第1に紫外線を50m
J照射する操作と次いで上記セルを170℃で20秒間
加熱する操作を交互に繰返し、その都度830nmでの
反射率を測定した。この結果を図24に示す。図24か
ら明らかなように、安定な繰返し特性が得られた。
【0078】実施例14 ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂〔BR
EN−S(日本化薬社製)、エポキシ当量284、臭素
含有量35.2%〕88.6mg(0.31ミリ当
量)、2,6−ジアミノナフタレン12.34mg
(0.31ミリ当量)をメチルエチルケトンに樹脂分が
37重量%となるように溶解し、クロミック用樹脂組成
物を得た。この組成物を用いて実施例12に準じて光記
録媒体を作製した。この光記録媒体の反射スペクトル
は、実施例12で得られた光記録媒体と同様のものであ
った。また、上記クロミック用樹脂組成物を用いて、実
施例13に準じて、光記録媒体を作成し、この光記録媒
体に第1に紫外線を80mJ照射する操作と次いで上記
セルを170℃で20秒間加熱する操作を交互に繰返
し、その都度830nmでの反射率を測定した。この結
果、実施例13と同様に安定な繰返し特性が得られた。
【0079】比較例1 ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔エピコート1001
(油化シェルエポキシ社商品名)、エポキシ当量45
0〕1.0g、4,4′−ジアミノジフェニルメタン
0.1g(0.51ミリモル)及びパラトルエンスルホ
ン酸エチル0.1g(0.50ミリモル)をメチルイソ
ブチルケトンに溶解し、クロミック樹脂用組成物を得
た。溶液中の樹脂分は40重量%であった。この溶液を
実施例1と同様にしてガラス板に回転塗布し、150℃
で1時間熱硬化を行い、クロミック樹脂組成物からなる
膜を得た。
【0080】得られたクロミック樹脂組成物からなる膜
は黄褐色であった。日立自記分光光度計U3400によ
り可視吸収スペクトルを測定した結果を図10にグラフ
15として示す。この膜に高圧水銀灯により紫外線を1
000mJ/cm2 照射したところ膜は微緑色に変色し
た。紫外線照射後の可視吸収スペクトルを図10にグラ
フ16として示す。グラフ16から明らかなように、微
緑色は400nm乃至500nmの吸収に基づく黄褐色
と600nmの吸収に基づく青色の混合吸収ににより呈
するものである。次に200℃に加熱したホットプレー
ト上でガラス板を下にして膜を加熱すると膜は20秒で
黄褐色となった。このような発色と消色を10回繰り返
したところ、消色時に褐色が濃くなり、紫外線照射後の
色相が初期に比べ変化した。
【0081】比較例2 ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂〔BR
EN−S(日本化薬株式会社商品名)、エポキシ当量2
84、臭素含有率35重量%〕1.5g及び4,4′−
ジアミノジフェニルメタン0.5g(2.53ミリモ
ル)をメチルエチルケトンに溶解し、クロミック樹脂用
組成物を得た。溶液中の樹脂分は50重量%であった。
この溶液を実施例1と同様にしてガラス板に回転塗布
し、150℃で1時間熱硬化を行い、クロミック樹脂か
らなる膜を得た。
【0082】上記で得られたクロミック樹脂からなる膜
は無色であった。日立自記分光光度計U3400により
可視吸収スペクトルを測定した結果を図11にグラフ1
7として示す。次に200℃に加熱したホットプレート
上でガラス板を下にして膜を加熱すると膜は1分40秒
で消色した。このような発色と消色を10回繰り返した
ところ、膜の色は消色時に褐色に、紫外線照射後に緑色
になり、また、膜の表面がべとつき、分子量の低下がみ
られた。
【0083】実施例15 ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔エピコート1001
(油化シェルエポキシ社商品名)、エポキシ当量45
0〕0.55g及びN,N−ジメチルパラフェニレンジ
アミン82.3mg(0.61ミリモル)をメチルエチ
ルケトン1.0mlに溶解し、徐々に加熱してメチルエ
チルケトンを留去し、最終的に150℃で1時間反応さ
せた。生成物をメチルエチルケトン2.0mlに溶解
し、ヘキサン200ml中に再沈して、ポリマを得た。
このポリマ0.1gをメチルエチルケトン0.5mlに
溶解して溶液を得た。この溶液を縦26mm、横26m
m、厚さ2mmのガラス板上に1000rpmで10
秒、続いて2000rpmで40秒の条件で回転塗布機
により塗布した。この後、室温に放置して乾燥し、微黄
色の膜を製膜して記録層とし、光記録媒体を得た。日立
自記分光光度計U3400により紫外可視吸収スペクト
ルを測定した結果、500乃至700nmに顕著な吸収
はなかった。上記光記録媒体を用い次の試験を行った。
【0084】 (1) パラトルエンスルホン酸エチルを用いる試験 (a) パラトルエンスルホン酸エチル処理及び紫外線照射
処理 上記光記録媒体をパラトルエンスルホン酸エチル0.5
gを溶解したメタノール溶液10mlに浸漬後、室温に
放置して乾燥した。記録層に高圧水銀灯により紫外線を
500mJ/cm2 照射したところ膜は青色に変色し
た。紫外可視吸収スペクトルを測定した結果、500乃
至700nmに顕著な吸収が見られた。この紫外可視吸
収スペクトルを図25に示す。 (b) 加熱処理 次に150℃に加熱したホットプレート上でガラス板を
下にして記録層を加熱すると記録層は約20秒で微黄色
となった(すなわち消色した)。この膜の紫外可視吸収
スペクトルは紫外線照射前のスペクトルに類似してい
た。 (c) 繰返し性試験及び安定性試験 再度この膜に500mJ/cm2 の紫外線を照射した結
果、記録層は再び青色に変色した。この膜の紫外可視吸
収スペクトルは青色の膜のスペクトル(図25)と同様
の形状であった。さらに、上記と同様に加熱すると微黄
色となり500乃至700nmの吸収は消失した。この
ような発色と消色を10回繰り返したが、発色と消色は
上記のように行われ、表面がべとつく等の特別な異常は
観察されなかった。この膜を青色の状態で数週間放置し
ておいたが色相に変化は認められなかった。
【0085】 (2) クロロホルム又は塩化メチレンを用いる試験 (a) 前記で得られた光記録媒体をクロロホルム又は塩化
メチレンに浸漬後、室温で10分間乾燥した。この後、
上記パラトルエンスルホン酸エチルを用いる試験と同様
に、紫外線照射処理及び加熱処理を行った。クロロホル
ム及び塩化メチレンを用いたいずれの場合も紫外線照射
処理により記録層が青色に発色し、加熱処理により消色
して微黄色になった。最初に青色になった記録層を室温
で放置したところ、約1日で青色は消失した。消色した
記録層を紫外線照射処理しても発色しなかった。消色し
た記録層を上記と同様にクロロホルム又は塩化メチレン
で処理をし、紫外線照射処理及び加熱処理を行ったとこ
ろ上記と同様に発色及び消色が起こった。 (b) 前記で得られたビスフェノールA型エポキシ樹脂と
N,N−ジメチルパラフェニレンジアミンの反応生成物
(ポリマ)をメチルエチルケトン/クロロホルムの1/1
(容積比)の溶液に溶解した。この溶液に紫外線を50
0mJ/cm2照射したところ、溶液は青色に着色し
た。この溶液を縦26mm、横26mm、厚さ2mmの
ガラス板上に1000rpmで10秒、続いて2000
rpmで40秒の条件で回転塗布機により塗布した。こ
の後、室温に放置して乾燥して青色の膜を得た。この膜
の紫外可視吸収スペクトルは前記図25と同様であっ
た。この膜を、上記パラトルエンスルホン酸エチルを用
いる試験と同様に加熱処理したところ、消色し、微黄色
の膜になった。青色に着色した膜室温で放置したとこ
ろ、約1日で青色は消失した。消色した膜を紫外線照射
処理しても発色しなかった。上記の青色に着色した溶液
をヘキサン中に注ぐと、青色のポリマが沈殿した。青色
のポリマを濾過により採取し、栓をしたガラスビンの中
で保存したところ、1週間たっても色相に変化はなかっ
た。
【0086】(3) ヨウ素溶液を用いる試験 比較のため、前記で得られた光記録媒体を、ヨウ素20
mgを溶解したメタノール20mlに浸漬したところ、
記録層は青色に着色した。
【0087】実施例16 ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔エピコート1001
(油化シェルエポキシ社商品名)、エポキシ当量45
0〕0.31g及びN,N′−ジメチルパラフェニレン
ジアミン46.6mg(0.34ミリモル)をメチルエ
チルケトン1.0mlに溶解し、徐々に加熱してメチル
エチルケトンを留去し、最終的に150℃で1時間反応
させた。生成物をメチルエチルケトン2.0mlに溶解
し、ヘキサン200ml中に再沈して、ポリマ0.28
gを得た。このポリマを用い、実施例15に準じてガラ
ス板上に塗布し、乾燥して微黄色の記録層を製膜し、光
記録媒体を得た。この後、上記生成物(ポリマ)及び光
記録媒体を用いて実施例15に準じてパラトルエンスル
ホン酸エチルを用いる試験、クロロホルム又は塩化メチ
レンを用いる試験及びヨウ素溶液を用いる試験を行った
ところ、実施例15と同様の結果であった。
【0088】実施例17 ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔エピコート828
(油化シェルエポキシ社商品名)、エポキシ当量17
0〕0.42g及びN,N−ジメチルパラフェニレンジ
アミン73.5mg(0.54ミリモル)をメチルエチ
ルケトン1.0mlに溶解し、徐々に加熱してメチルエ
チルケトンを留去し、最終的に150℃で1時間反応さ
せた。生成物をメチルエチルケトン2.0mlに溶解
し、ヘキサン200ml中に再沈して、ポリマ0.39
gを得た。このポリマを用い、実施例8に準じてガラス
板上に塗布し、乾燥して微黄色の記録層を製膜し、光記
録媒体を得た。この後、上記ポリマ及び光記録媒体を用
いて実施例15に準じてパラトルエンスルホン酸エチル
を用いる試験、クロロホルム又は塩化メチレンを用いる
試験及びヨウ素溶液を用いる試験を行ったところ、実施
例15と同様の結果であった。
【0089】実施例18 ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔エピコート828
(油化シェルエポキシ社商品名)、エポキシ当量17
0〕0.12g及びN,N−ジメチルパラフェニレンジ
アミン47.7mg(0.35ミリモル)をメチルエチ
ルケトン1.0mlに溶解し、徐々に加熱してメチルエ
チルケトンを留去し、最終的に150℃で1時間反応さ
せた。生成物をメチルエチルケトン2.0mlに溶解
し、ヘキサン200ml中に再沈して、ポリマ0.1g
を得た。このポリマを用い、実施例8に準じてガラス板
上に塗布し、乾燥して微黄色の記録層を製膜し、光記録
媒体を得た。この後、上記ポリマ及び膜を用いて実施例
15に準じてパラトルエンスルホン酸エチルを用いる試
験、クロロホルム又は塩化メチレンを用いる試験及びヨ
ウ素溶液を用いる試験を行ったところ、実施例15と同
様の結果であった。
【0090】実施例19 ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔エピコート1001
(油化シェルエポキシ社商品名)、エポキシ当量17
0〕2.53g及びパラフェニレンジアミン152.0
mg(1.41ミリモル)をメチルエチルケトン5.0
mlに溶解して溶液を得た。この溶液を縦26mm、横
26mm、厚さ2mmのガラス板上に1000rpmで
10秒、続いて2000rpmで40秒の条件で回転塗
布機により塗布した。この後、室温で20分間放置して
乾燥し、次いで、150℃で1時間反応させて微黄色の
記録層を製膜し、光記録媒体を得た。この後、上記ポリ
マ及び光記録媒体を用いて実施例15に準じてパラトル
エンスルホン酸エチルを用いる試験、クロロホルム又は
塩化メチレンを用いる試験(ただし、(b) のメチルエチ
ルケトン/クロロホルム溶液を用いる試験を除く)及び
ヨウ素溶液を用いる試験を行ったところ、実施例15と
同様の結果であった。
【0091】
【発明の効果】請求項1における光記録媒体で、その記
録層に含まれるクロミック用樹脂にクロミック性を付与
したもの並びに請求項2、請求項3又は請求項4におけ
る光記録媒体は、その記録層が、発色時と消色時のコン
トラストが大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたクロミック樹脂の可視吸収
スペクトルを示す。
【図2】実施例1で得られたクロミック樹脂の着色時の
電子共鳴スペクトルを示す。
【図3】参考例1で得られたウルスター塩のESRスペ
クトルを示す。
【図4】実施例2で得られたクロミック樹脂の可視吸収
スペクトルを示す。
【図5】実施例3で得られたクロミック樹脂の可視吸収
スペクトルを示す。
【図6】実施例4で得られたクロミック樹脂の可視近赤
外吸収スペクトルを示す。
【図7】実施例5で得られたクロミック樹脂の可視近赤
外吸収スペクトルを示す。
【図8】実施例6で得られたクロミック樹脂の可視吸収
スペクトルを示す。
【図9】実施例7で得られたクロミック樹脂の可視近赤
外吸収スペクトルを示す。
【図10】比較例1で得られたクロミック樹脂の可視吸
収スペクトルを示す。
【図11】比較例2で得られたクロミック樹脂の可視吸
収スペクトルを示す。
【図12】実施例8の光記録媒体の記録層の可視吸収ス
ペクトルを示す。
【図13】実施例8で得られた感度曲線を示す。
【図14】実施例9で作製した光記録媒体の断面図を示
す。
【図15】実施例9における光記録媒体の反射スペクト
ルを示す。
【図16】実施例9の光記録媒体の繰返し特性をしめす
グラフ及びプロットである。
【図17】実施例10の光記録媒体の記録層の可視近赤
外吸収スペクトルを示す。
【図18】実施例10で得られた感度曲線を示す。
【図19】実施例11における光記録媒体の反射スペク
トルを示す。
【図20】実施例11の光記録媒体の繰返し特性をしめ
すグラフ及びプロットである。
【図21】実施例12の光記録媒体の記録層の可視近赤
外吸収スペクトルを示す。
【図22】実施例12で得られた感度曲線を示す。
【図23】実施例13における光記録媒体の反射スペク
トルを示す。
【図24】実施例13の光記録媒体の繰返し特性をしめ
すグラフ及びプロットである。
【図25】実施例15の光記録媒体の記録層の着色状態
での紫外可視吸収スペクトルである。
【符号の説明】
1、3、5、7、9、11、13、15、17…製造直
後の吸収スペクトル 2、4、6、8、10、12、14、16、18…紫外
線照射後のスペクトル 19…製造直後の吸収スペクトル 20…紫外線照射後の吸収スペクトル 21…加熱後の吸収スペクトル 22…ガラス基板 23…試料膜 24…アルミニウム反射膜 25…ガラス基板 26、29、32、35、38…製造直後の反射スペク
トル 27、30、33、36、39…紫外線照射後の反射ス
ペクトル 28、31、34、37、40…加熱後の反射スペクト
ル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小畑 立子 茨城県つくば市和台48番 日立化成工業株 式会社筑波開発研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録層を有する光記録媒体において、そ
    の記録層が、2個の窒素原子が1個の芳香環にその芳香
    環の最も離れた位置に直接結合しており、その窒素原子
    の少なくとも一部にアルキレン基が結合し、上記2個の
    窒素原子が三級化されている構造単位を含むクロミック
    用樹脂を含有してなる光記録媒体。
  2. 【請求項2】 記録層を有する光記録媒体において、そ
    の記録層が、2個の窒素原子が1個の芳香環にその芳香
    環の最も離れた位置に直接結合しており、その窒素原子
    の少なくとも一部にアルキレン基が結合し、上記2個の
    窒素原子が三級化されている構造単位を含み、分子構造
    中に結合しているハロゲン原子を有するクロミック樹脂
    を含有してなる光記録媒体。
  3. 【請求項3】 記録層を有する光記録媒体において、そ
    の記録層が、請求項1に記載のクロミック用樹脂中にカ
    チオンラジカル安定化剤を分散させてなるクロミック樹
    脂組成物を含有してなる光記録媒体。
  4. 【請求項4】 記録層を有する光記録媒体において、そ
    の記録層が、2個の窒素原子が1個の芳香環にその芳香
    環の最も離れた位置に直接結合しており、その窒素原子
    の少なくとも一部にアルキレン基が結合し、上記2個の
    窒素原子が三級化されており、しかも、その一方の窒素
    原子がカチオンラジカルである構造単位を含むクロミッ
    ク樹脂を含有してなる光記録媒体。
JP3314530A 1990-11-28 1991-11-28 光記録媒体 Expired - Lifetime JP2674393B2 (ja)

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JP32241890 1990-11-28
JP2-322419 1990-11-28
JP32241990 1990-11-28
JP10305391 1991-05-09
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JP3-103053 1991-12-13

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7587938B2 (en) 2006-03-14 2009-09-15 Hitachi, Ltd. Thermal type flow meter including a secondary heating device to suppress heat transfer

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