JPH05163048A - α型半水石膏の製造方法 - Google Patents

α型半水石膏の製造方法

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JPH05163048A
JPH05163048A JP33522091A JP33522091A JPH05163048A JP H05163048 A JPH05163048 A JP H05163048A JP 33522091 A JP33522091 A JP 33522091A JP 33522091 A JP33522091 A JP 33522091A JP H05163048 A JPH05163048 A JP H05163048A
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彰 山崎
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    • C01F11/00Compounds of calcium, strontium, or barium
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 回分法の加圧水溶液法でα型半水石膏(α石
膏)を製造するに当り、2水石膏スラリー濃度を40〜60
重量%とし、一定温度で反応させ、反応終了時点を図2
の如くスチーム流量の低下で検出する。 【効果】 反応条件に変動があっても反応を過不足なく
終了させ得、高品質のα石膏が得られる。また、反応終
点を的確に知り得るので装置の稼働効率を向上させ得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加圧水溶液法により二
水石膏からα型半水石膏(以下、α石膏と略記する。)
を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】α石膏は、β型半水石膏に比べて混水量
が少なくてすみ高強度の二水石膏成型体から得られるの
で建築材料等に有用であり、これを大量かつ安価に製造
することが望まれている。
【0003】α石膏は、二水石膏から媒晶液の存在下加
熱して製造され、これには連続式と回分式とがあるが、
回分式では、反応器と分離機の処理時間が異なることか
ら装置の効率的な利用が困難であり、また操作上から大
量製造には適さないと考えられていた。従って、α石膏
の製造法の改良の方向は連続式に向けられており、連続
式についての提案が多くなされている(例えば、特公昭
59-3406 号公報、特公昭63-53142号公報、特開昭64-613
15号公報、特開平2-129050号公報)。
【0004】しかしながら、製品であるα石膏の品質面
からみると、連続式反応では反応時間に分布を生じるた
め未反応二水石膏の残留が避けられず、また反応が進み
過ぎ無水石膏の副生と云う問題を生じ易い。α石膏のス
ラリーまたは湿ケークに残留した二水石膏は、α石膏の
再水和の触媒となり、製造装置内で固結を起こすおそれ
があり、また無水石膏は、微細な結晶となるため固液分
離する際の障害となる。
【0005】一方、回分式反応では、適当な反応温度が
選択される限り、無水石膏が生成してくるおそれは殆ど
ないが、反応の終点を迅速に検出する方法がなく、予備
的に反応終了時間を求め、二水石膏を残存させないよう
に充分な時間をかけた後に反応を終了させている。
【0006】α石膏化反応に要する時間は温度のほか原
料二水石膏の性状、スラリー濃度、媒晶液の種類や濃
度、撹拌強度などによってかなり変化する。従来、α石
膏化反応の終点検出方法として、連続反応においては液
中のカルシウムイオン濃度の変化によってこれを知る方
法も提案されているが(特開昭64-5910 号公報)、回分
式反応においては途中サンプリングによる方法しかな
く、実際の運転操作においては必要以上の時間加熱反応
が行なわれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、α石膏の
連続式製造法は、装置・操作性などからは優れている
が、品質面の問題があり幾多の提案に拘らず問題を残し
ている。一方、回分式反応槽と回分式分離機を用いる回
分式では、反応終点の明確な指標が知られておらず反応
槽が効率的に使用され難い。更に、通常反応に要する時
間が分離に要する時間より長いため、分離機に遊休時間
が生じる等装置の利用効率の悪さがある。
【0008】本発明は、このような現状に鑑み、高品質
のα石膏が得易い回分式の操作性を改良することによ
り、装置を効率的に利用するα石膏の工業的な製造方法
を提案することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、高品質の
石膏を得易い回分式製造法が大規模工業装置に採用され
るためには、簡易で確実な反応終点検出方法が必須であ
るとの観点から本発明に至ったものである。
【0010】本発明は、二水石膏と媒晶液からなるスラ
リーをスチームにより加圧水熱する加圧水溶液法による
α石膏の製造において、二水石膏スラリー濃度を40〜65
重量%とし、110 〜150 ℃の範囲内で一定温度にコント
ロールして反応させ、反応終了時点を加熱スチーム流量
の低下により検出することを特徴とする高品質α石膏の
回分式製造方法であり、第2の発明は、二水石膏と媒晶
液からなるスラリーをスチームにより加圧水熱する加圧
水溶液法によるα石膏の製造において、複数基の回分式
反応槽と一基のバスケット型回分式遠心分離機とよりな
る装置を用い、各反応槽の反応時間帯をずらしながら、
二水石膏スラリー濃度を40〜65重量%とし、反応温度を
110〜150 ℃の範囲内で一定温度にコントロールして反
応させ、かつ、反応終了時点を加熱スチームの流量低下
によって検出することにより、各反応槽からの取り下し
時期と分離機への給液時期、及び各反応槽内の洗浄・排
液時期と分離機内のケーク洗浄時期をそれぞれ一致させ
ることを特徴とする高品質α石膏の製造方法である。
【0011】α石膏化反応に要する時間は主として温度
によって決まり、低温ほど長く、高温ほど短くなるが、
温度のほか原料二水石膏の性状、スラリー濃度、媒晶剤
の種類、媒晶液の組成、pH,種晶の濃度、撹拌強度など
によってかなり変化する。
【0012】本発明は、自動制御された加熱スチームの
流量の変化に着目することにより、反応条件が設定より
若干ずれても反応の終了時点を迅速に検出し得ることを
見出したことに基づく。
【0013】以下、本発明を詳しく説明する。
【0014】二水石膏よりα石膏を製造する反応は吸熱
反応であり、反応終了にともない吸熱量は減少してくる
が、従来は二水石膏濃度が10〜30重量%と比較的低濃度
のスラリーからα石膏の製造がされていた為、この吸熱
量の変化を加熱手段例えば加熱スチームの供給量の変化
で検出する方法は知られていなかった。しかし、本発明
者等の研究によれば、比較的媒晶効果の大きい媒晶液中
で反応させるときには、二水石膏濃度を40重量%以上、
65重量%までの高濃度のスラリーであってもα石膏化反
応は均一に行われ、且つ、反応終了に伴う吸熱量の変動
が大きいことがわかった。即ち、反応中および反応終了
後も反応液を一定温度に保持せんとするときは、加熱ス
チームの供給量が反応終了に伴い大きく低下し、その後
はヒートロスを補うのみの量となり、反応の終了を的確
に検知することができる。また、このことは、反応条件
の変動により反応に多少の遅速が生じた場合でも、過不
足なく反応を終了させ得ることを意味する。
【0015】二水石膏のα石膏化反応は、媒晶剤を含む
液中で二水石膏濃度40〜65重量%、好ましくは50〜60重
量%のスラリーを、温度110 〜150 ℃の範囲内で略一定
にコントロールして行う。二水石膏濃度が40重量%より
低いときは反応終了の正確な検出が困難であり、65重量
%より高くなると流体としての取扱いが困難になり好ま
しくない。反応温度が110 ℃より低いと反応が進まず、
150 ℃より高くなると無水石膏が生成してくる恐れがあ
る。二水石膏と媒晶液からなる二水石膏濃度40〜65重量
%のスラリーを110 〜150 ℃の範囲内で一定温度に維持
するように加熱スチームを供給して反応させ、スチーム
供給量が減少したのを確認した後、フラッシュ蒸発によ
り落圧冷却して反応操作を終了する。このようにして得
られるα石膏は未反応二水石膏含有量が0.5 重量%以下
で無水石膏を実質的に含まない高品質のものである。
【0016】スチーム加熱はスチームを直接反応液に吹
込んでもよいし間接的に加熱してもよい。従って反応器
としてはスチーム吹込み管またはスチームジャケットを
有する加圧反応器を用いる。また、媒晶剤としては低濃
度で強力な媒晶効果を有するもの、例えばスルホコハク
酸マグネシウム等のスルホコハク酸塩が好ましくもちい
られる。
【0017】スルホコハク酸塩を媒晶剤として用いると
きは、濃度5〜20mmol/kgの媒晶液として反応に供する
のが好ましい(特公平2-62493 号公報)。
【0018】上述のようにして、反応中および反応終了
後も反応液温度を一定になるようにスチーム加熱を行
い、二水石膏よりα石膏を製造するときは、反応条件に
多少の変動があっても正確な反応終点の検出と反応操作
の迅速な終了が可能で、高品質のα石膏即ち二水石膏含
量が0.5 重量%以下で無水石膏を実質的に含まないα石
膏を安定して製造できる。更に、反応終了時点の検出と
それに基づく反応操作の迅速な終了は反応槽の効率的な
利用を可能にする。
【0019】第2の発明は、上述の知見に基づき分離機
を含む装置を効率的に利用するα石膏の製造法に関す
る。
【0020】α石膏の製造を回分式で工業的に行う場合
の問題の一つは、反応時間が分離機での処理時間より長
くかかり、装置特に分離機を効率的に利用することが難
しく、装置全体としての利用効率が低いことにあった。
即ち、通常用いられる回分式遠心分離機の操作順序は起
動、給液、脱液、ケーク洗浄、脱水、制動、掻き取り、
濾布洗浄であり、1サイクルの所要時間は機種により若
干の差はあるが、20〜40分でその構造上から1サイクル
の所要時間は略一定である。一方、反応槽の操作順序は
原料スラリーの仕込み、昇温、スチーム加熱による定温
反応、反応終点検出、フラッシュ冷却、取り下ろし、槽
内洗浄・排液であり、定温反応はおよそ30〜120 分で前
後の所要時間を含め50〜140 分で1サイクルとなる。こ
のように分離機のサイクルタイムと反応槽のサイクルタ
イムは一致せず、反応槽のサイクルタイムが長い。
【0021】工業的製造方法にとっては、機器の能力を
充分に利用することが重要であり、反応槽では充分高濃
度で反応せさ、かつ、反応槽と分離機のサイクルタイム
の差に基づく機器の使用効率の低下を防ぐ必要がある。
従来、二水石膏からの加圧水溶液法によるα石膏の製造
は二水石膏濃度10〜30重量%のスラリーを用い、予め実
験的に求めた反応所要時間から充分な時間をもって反応
の終点として運転されている。これでは反応槽の効率的
な利用とはならない。
【0022】しかし、前述のように反応槽に二水石膏を
40〜65重量%のスラリーとして仕込み反応させるとき
は、反応の終点を供給するスチームの流量低下により検
出することができ、反応終了後安全のため余分の時間を
かける必要がなく反応槽を有効に利用できる。
【0023】また、加圧水溶液法によるα石膏の製造に
おいては一般的に反応時間を長く取ることが好ましいと
されているが、反応条件が変動しても反応の終了時点を
正確に検出し得ることにより、反応槽および固液分離機
の効率的利用を考慮した許容される範囲内で、反応条件
を随時微調整しながら反応時間を最大限にとることが可
能となる。
【0024】上述のようにα石膏化反応の終点を検出す
る方法を見出したこと、またα石膏化反応はできるだけ
低温で長時間かけて行うのが製品の品質上から好ましい
ことから、複数基の反応槽と1基の分離機を組み合わせ
た装置を用いるとき、装置を有効に利用しながら高品質
のα石膏を製造することができる。
【0025】本発明方法を工業的に実施するに際して
は、装置として図1に示すように原料スラリー調製槽
1、2基以上の反応槽2、1基の固液分離機3、濾液タ
ンク4を備えた装置を用いる。反応槽2はスチーム吹き
込み管またはスチームジャケットを有する加圧反応槽で
あり、複数基の反応槽2は固液分離機3にそれぞれ連結
される。固液分離機3としては、運転性、経済性等に優
れているバスケット型回分式遠心分離機を用いる。また
その大きさは、α石膏スラリーの貯槽を必要としないよ
う反応槽2からの反応終了スラリーを1度に処理し得る
容量のものを用いる。α石膏スラリーを貯留するときは
α石膏の再水和という問題が生じ好ましくない。
【0026】このように、反応槽2からのα石膏を含む
スラリーを1度の処理で固液分離することから、反応槽
2と固液分離機3の処理時間に差が生じるが、処理時間
の短い固液分離機3に遊休時間ができないように、反応
槽を2基以上設け、この複数の反応槽をそれぞれ反応開
始時間をずらし運転する。すなわち、各反応槽の反応が
終了し、その取り下し時期と分離機への給液時期および
各反応槽内の洗浄・排液時期と分離機内のケーク洗浄時
期とがそれぞれ一致するように調整する。この調整は、
分離機の処理時間は殆ど変化させることができないた
め、主として反応時間を調整することにより行う。
【0027】α石膏の混水量は反応時間が長いほど低く
なり好ましいことから、分離機に遊休時間が生じない限
度において反応に長時間かけるように行う。このために
も反応終了時点の的確な検出が重要な意味を持つ。
【0028】本発明では、反応槽の数と反応条件から反
応槽および分離機に遊休時間が生じないよう、反応条件
を予め設定する。α石膏化反応に要する時間は前述のよ
うに種々の条件により変動するが、バッチ毎に正確な所
要反応時間を検出し次バッチの反応時間をコントロール
することにより、分離機の遊休時間を無くす限度内で反
応に長時間かけることが可能になる。
【0029】次に図1により本発明の実施の態様を述べ
る。
【0030】まず、原料スラリー調製槽1で二水石膏お
よび媒晶剤例えばスルホコハク酸塩を5〜20mmol/kg を
含む水溶液で二水石膏濃度40〜65重量%のスラリーを調
製する。スラリー形成に用いる液は、後述する分離機3
の濾布洗浄排出液5を用いる。この液5には媒晶剤が含
まれており、媒晶剤はロス分だけを追加する。また濾布
洗浄排出液5は若干量のα石膏を含むので種晶として利
用する。このように調製したスラリーはスチーム吹き込
み等の手段により約90℃以上に保ち種晶のα石膏が再水
和するのを防止する。次ぎにこのスラリーをスラリー移
送ポンプ6で反応槽2に移送する。反応槽2への仕込み
量は生成するα石膏の見掛容積が分離機のバスケット容
積と等しくなるように決める。
【0031】反応槽2としては、撹拌機付き耐圧反応槽
を用い、スチーム7を反応槽2に直接吹き込むか、スチ
ームジャッケットによる加熱で 110〜150 ℃の範囲内で
一定にコントロールする。スチームは槽内の温度が所定
の温度に維持されるように調節されるが、必要なスチー
ム量が低下したときにはα石膏化反応は終了している。
この、加熱スチームの流量低下をコントロールバルブ8
の開度の減少または流量計から検出し、生成したα石膏
スラリーをフラッシュ蒸発により冷却し、液温を略 100
℃とする。
【0032】ついで、予め起動しておいた分離機3に反
応槽2よりα石膏スラリーを取り下ろす。これは分離機
3からみれば給液であり、タイムサイクル上反応槽から
の取り下ろし時期が一致するよう反応時間、即ち反応温
度が設定される。分離機内はスチームジャケットまたは
スチーム吹き込みにより90℃以上を保持してα石膏の再
水和を防止する。バスケット内のα石膏ケークを脱液、
水洗し付着している媒晶剤を除去する。水洗は熱水タン
ク9よりの90〜95℃の温水で行い、反応槽2の洗浄も兼
ねて、温水を反応槽に供給し反応槽を洗浄し、この洗浄
液でα石膏ケーを洗浄するのが好ましい。なお、石膏分
離濾液は一旦濾液タンク4に貯め、濾布の洗浄に用い
る。
【0033】分離機3で脱水されたα石膏ケークは分離
機バスケットの停止の後、バスケットより掻き取り湿ケ
ークとして取り出され、乾燥して製品となる。
【0034】α石膏ケークを取りだした後、分離機3の
バスケット内の濾布上に付着しているα石膏ケークの水
和硬化を防ぐため、濾布を洗浄して付着しているケーク
を洗い出す。この洗浄には前記のα石膏分離濾液および
ケーク洗浄排出液を使用する。濾布洗浄排出液5は原料
スラリー調製槽に流下させて媒晶剤の回収とα石膏種晶
の供給を兼ねる。
【0035】プロセス全体をこのようにして運転し続け
ると水バランス上濾液タンクの液は増加し続けるので余
剰分は排出する。
【0036】以下、実施例により本発明を具体的に説明
する。
【0037】実施例1 実験装置としてスチーム直接吹き込み加熱方式の撹拌機
付き耐圧反応槽(内容積 100リットル)を用いた。尚、
反応温度の制御はスチームラインのコントロールバルブ
によって行う方式とした。
【0038】まず反応槽に石灰石石膏法による排煙脱硫
石膏(10重量%含液品)73.8kg、95℃の温水31.8kg、ス
ルホコハク酸マグネシウム 136gおよび種晶としてα石
膏 5.0kgを投入撹拌した。このときの二水石膏スラリー
濃度は60重量%、媒晶剤としてのスルホコハク酸マグネ
シウムの濃度は15mmol/kg である。
【0039】この反応槽にスチームを吹き込み昇温し、
135±1℃で反応させた。このときの液温とコントロー
ルバルブ開度の経時変化を図2に示した。図中A点は昇
温が終了し設定温度に到達した点(反応開始点)、B点
はコントロールバルブ開度が急に低下し始める点、C点
はコントロールバルブ開度が小さくなり一定となった
点、D点はC点より10分経過後の点を示す。本実施例の
場合は、加熱開始後5分でA点に、A点より34分後にB
点に、37分後にC点に達した。
【0040】B,C,Dの各点でスラリーをサンプリン
グして石膏の結晶水を測定したところ、各々6.90、6.2
3、6.19重量%であった。また、C点およびD点のサン
プルはX線回析および示差熱分析により無水石膏は検出
されなかった。即ち、コントロールバルブの開度が小さ
くなり始めた時点では未だ二水石膏が少量残存している
が、その開度が一定になったときには反応は完結しα石
膏のみとなっていることを確認した。
【0041】実施例2 図1に示すような反応槽を(A)、(B)2基備えた装
置を用いた場合について具体的に説明する。
【0042】反応槽は実施例1で用いたものと同じであ
り、反応以外の操作時間は原料仕込み2分、昇温 5
分、フラッシュ冷却4分、取り下ろし(分離機給液に相
当)3分、槽内洗浄3分、排液(分離機ケーク洗浄に相
当)2分の計19分を要する。
【0043】一方、分離機としては、バスケット型遠心
分離機(バスケット容量37リットル、G値 873、田辺鉄
工所社製 T−24型)を用い、予備実験から運転時間
は起動 1.5分、給液 3分、脱液 3分、ケーク洗浄
2分、脱水 12分、制動2分、掻き取り 3.5分、濾
布洗浄 3分の計30分が適当であることが分った。
【0044】従って、反応槽および分離機を有効に稼働
させるためには、反応時間が41分になるように設定し
た。
【0045】α石膏の製造は、石灰石石膏法による排煙
脱硫石膏(10重量%含液品)73.8kgおよび先の製造にお
ける分離機濾布洗浄排液とを原料スラリー調製槽(内容
量:100リットル、スチームジャケット付き)に仕込
み、二水石膏濃度60重量%スラリーとした。なお、スル
ホコハク酸マグネシウムを追加し、その媒晶液中濃度を
15mmol/kgに調製し、液温は90℃とした。
【0046】このスラリーを反応槽(A)に移送し、ス
チームを吹き込み 135℃に昇温し、この温度に維持して
反応させた。反応開始34分後になスチーム流量の低下が
始まり、一定流量になるのを確認し同38分後にスチーム
を止めた。反応時間は38分であった。スチーム停止後、
反応槽上部のパージバルブを開け常圧に戻し、液温を約
100℃とした。
【0047】次いで、この時期にあわせて予め起動して
おいた分離機に反応槽のスラリーを取り下ろした。反応
槽には95℃の温水40リットルを張り込み反応槽を洗浄
し、この液も分離機に送り、α石膏の洗浄に用いた。α
石膏ケークはこの後脱水して分離機より掻き出し乾燥し
てα石膏56kgを得た。なお、濾布に付着しているケーク
5.0kgを濾液31.8kgにより洗いだしこの液は原料スラリ
ー調製槽に送った。
【0048】なお、上記の反応より30分遅らせ別の反応
槽(B)で同様に反応させたところ、反応時間は37分で
あった。
【0049】以上の結果より、反応槽(A)、(B)の
反応温度の設定を 134℃とし、実験を続けたところ、α
石膏化反応は39分〜41分の反応時間で終了し、分離機の
空き時間は殆ど生じなかった。
【0050】このようにして得られたα石膏の結晶水量
は平均6.23重量%であり、無水石膏は検出されなかっ
た。また、これをボールミルで粉砕したものの標準混水
量は31%であり、乾燥圧縮強度は410kg/cm2を得た。
【0051】
【発明の効果】高濃度スラリーで反応させ、反応終点を
自動制御された加熱スチームの流量低下で検出する本発
明方法によれば、反応条件に変動があっても反応を過不
足なく終了させることができ、高品質のα石膏を得るこ
とができる。また、反応終点を的確に検出できることか
ら、装置の稼働効率を高め得る。
【0052】本発明方法により得られるα石膏は、混在
する二水石膏 0.5重量%以下で、無水石膏は検出されな
い高品質のものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の一つの実施態様を示すフローシー
トである。
【図2】反応液温とスチームのコントロールバルブの開
度の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 原料スラリー調製槽 2 反応槽 3 固液分離機 4 濾液タンク 5 濾布洗浄排出液 6 スラリー移送ポンプ 7 スチーム 8 コントロールバルブ 9 熱水タンク

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二水石膏と媒晶液からなるスリラーをス
    チームにより加圧水熱する加圧水溶液法によるα型半水
    石膏の製造において、二水石膏スラリー濃度を40〜65重
    量%とし、110 〜150 ℃の範囲内で一定温度にコントロ
    ールして反応させ、反応終了時点を加熱スチームの流量
    の低下により検出することを特徴とする回分式高品質α
    型半水石膏の製造方法。
  2. 【請求項2】 二水石膏と媒晶液からなるスラリーをス
    チームにより加圧水熱する加圧水溶液法によるα型半水
    石膏の製造において、複数基の回分式反応槽と一基のバ
    スケット型回分式遠心分離機とよりなる装置を用い、各
    反応槽の反応時間帯をずらしながら、二水石膏スラリー
    濃度を40〜65重量%とし、反応温度を110 〜150 ℃の範
    囲内で一定にコントロールして反応させ、かつ、反応終
    了時点を加熱スチームの流量低下によって検出すること
    により、各反応槽からの取り下ろし時期と分離機への給
    液時期、及び各反応槽内の洗浄・排液時期と分離機内の
    ケーク洗浄時期をそれぞれ一致させることを特徴とする
    回分式高品質α型半水石膏の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005528310A (ja) * 2002-03-08 2005-09-22 ラファルジュ プラトル 石膏の乾燥とか焼またはそのいずれかを行うための装置
JP2006273599A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Tokuyama Corp 廃石膏の処理方法
JP2010527876A (ja) * 2007-05-24 2010-08-19 ゲレンツェバッハ−ベーエスハー ゲーエムベーハー 硫酸カルシウム二水和物からα‐硫酸カルシウム半水和物を製造する方法

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