JPH05163023A - 酸素欠陥マグネタイト中空粒子、その製造方法およびその用途 - Google Patents

酸素欠陥マグネタイト中空粒子、その製造方法およびその用途

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JPH05163023A
JPH05163023A JP3327483A JP32748391A JPH05163023A JP H05163023 A JPH05163023 A JP H05163023A JP 3327483 A JP3327483 A JP 3327483A JP 32748391 A JP32748391 A JP 32748391A JP H05163023 A JPH05163023 A JP H05163023A
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浩司 志保
Nobuo Kawahashi
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 酸素欠陥マグネタイトを含み、粒子径が0.
04〜110μm、粒子径に対する内部空孔径の比が
0.3〜0.95である酸素欠陥マグネタイト中空粒
子、並びにその製造方法、およびその用途。 【効果】 比表面積が大であり、二酸化炭素の固定また
は吸着、および分解能を有する酸素欠陥マグネタイト中
空粒子を安価かつ簡便に製造し、使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二酸化炭素固定化触媒
として好適な酸素欠陥構造を有するマグネタイト中空粒
子、並びにその製造方法およびその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】地球が温暖化されつつあり、その主要因
は、自然の回復力を上回るほどに二酸化炭素が大気中に
放出されるようになったことにあるといわれている。こ
の二酸化炭素を削減する方法として、省エネルギー化の
推進が考えられるが、これは発展途上国の工業化や東欧
諸国の急激な経済成長によって化石燃料が大量消費され
る場合を考えると抜本的な解決策とは必ずしも言うこと
ができない。そのため化石燃料を使用し、なおかつ地球
温暖化を引き起こさないために二酸化炭素の分解除去、
または固定化技術の開発が望まれている。
【0003】二酸化炭素の固定化技術としては、化学吸
収法、物理吸収法、吸着法、膜分離法等が研究されてお
り、また、分解除去技術としては、半導体光触媒、金属
コロイド触媒、金属錯体、酸素等による光化学的還元
法、電気化学的還元法、化学的固定変換反応法(塩基と
の反応、転移反応、脱水反応、付加反応等)およびバイ
オ技術による方法等が検討されている。
【0004】しかし、上記いずれの方法も、反応効率、
コスト、エネルギー、二次公害発生等の問題点を有し実
用化が困難である。また、上記方法を実施した場合、生
成物の資源としての再利用が不可能であることから、エ
ネルギー、資源等が無駄に消費されることとなる。
【0005】近年、特殊な鉄酸化物である酸素欠陥マグ
ネタイトの存在下で二酸化炭素を加熱することにより殆
んど100%炭素に分解しうることが、報告された
(Y.Tamuraら、Nature 346巻、25
5〜256頁、1990年)。この酸素欠陥マグネタイ
トによる二酸化炭素の分解方法においては、300〜4
00℃の排ガス温度付近で反応が進行するため、系外か
らエネルギーを注入する必要がなく、また炭素として回
収できることから炭素を出発物質とする種々の有機物を
得ることができる等の利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記酸
素欠陥マグネタイトは、いまだ比表面積の小さいものし
か得られていないため触媒効率が低いものである。そこ
で、比表面積の大きい、従って触媒効率の大きな酸素欠
陥マグネタイトの開発が望まれている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
情に鑑み鋭意検討した結果、シェルに酸素欠陥マグネタ
イトを含む、特定サイズのマグネタイト中空粒子が良好
な二酸化炭素除去作用を示すことを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0008】本発明は、酸素欠陥構造を有するマグネタ
イトを含み、粒子径が0.01〜150μm、粒子径に
対する内部空孔径の比が0.3〜0.95であることを
特徴とする酸素欠陥マグネタイト中空粒子を提供するも
のである。本発明は、また、マグネタイト中空粒子を水
素、不活性ガス、またはそれらの混合ガス雰囲気下で加
熱処理によって部分的に還元することを特徴とする上記
酸素欠陥マグネタイト中空粒子の製造方法を提供するも
のである。
【0009】本発明は、さらに、上記酸素欠陥マグネタ
イト中空粒子よりなることを特徴とする二酸化炭素固定
化触媒を提供するものである。
【0010】本発明方法においては、まず酸素欠陥マグ
ネタイト粒子の前駆体であるマグネタイト中空粒子を製
造する。すなわち、加水分解性鉄塩の水溶液中にコアと
なる、粒子径が0.01〜140μm の球状重合体を分
散せしめ、加水分解反応により該球状重合体粒子上に酸
化鉄層をもうけ、球状重合体−酸化鉄複合粒子を得る。
次いで、上記球状重合体−酸化鉄複合粒子を水素雰囲気
下、例えば150℃以上、好ましくは250℃以上、ま
たは空気中、例えば150℃以上、好ましくは300℃
以上で処理しさらに必要に応じ還元し、部分的に還元す
ることにより、球状マグネタイト中空粒子を得る。
【0011】あるいはまた、コアとなる粒子径が0.0
1〜140μm の球状重合体粒子とシェルとなる粒子径
がその1/5以下である酸化鉄粒子を気流中で高速攪拌
することにより球状重合体−酸化鉄複合粒子を得、次い
で上記と同様の熱処理操作によりマグネタイト中空粒子
を得る。上記で得られたマグネタイト中空粒子の粒子径
は0.01〜150μm であり、粒子径に対する内部空
孔径の比は0.3〜0.95である。
【0012】本発明の酸素欠陥マグネタイト中空粒子
は、上記で得られたマグネタイト中空粒子を水素、不活
性ガス、またはそれらの混合ガス雰囲気下、例えば25
0℃以上、好ましくは270℃以上、特に好ましくは2
90℃以上で加熱処理することによって部分的に還元す
ることにより得られる。
【0013】上記において、加水分解性鉄塩を用いる複
合粒子の製造において、コアとなる重合体粒子の製造に
使用する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン、ハロゲン化スチレン、ジビニルベンゼン等の不飽和
芳香族類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル
エステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタ
クリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシル
アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラ
ウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、エチレ
ングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメ
タクリレート等の不飽和カルボン酸アルキルエステル;
その他に、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸、メタ
クリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、グリシ
ジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N−メ
チロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルア
ミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルア
クリレート、アリルメタクリレート等を例示することが
できる。またこれらの単量体は、単独でも2種以上混合
しても使用することができる。なお、重合体粒子は、上
記単量体の乳化重合、懸濁重合等によって得ることがで
き、あるいは重合体バルクの粉砕によっても得ることが
できる。
【0014】また、加水分解性鉄塩としては、例えばF
e(NO33 、FeCl3 、Fe(SO43 等を挙げ
ることができる。これらの加水分解性鉄塩の使用量は、
0.01ミリモル/反応混合液1l以上が好ましく、さ
らに好ましくは0.1ミリモル/反応混合液1l、特に
好ましくは1ミリモル/反応混合液1lであるが、上限
は一般的に100ミリモル/反応混合液1l以下であ
る。これらは加熱により容易に加水分解する。それによ
り酸化鉄となり、これらがコアとなる重合体粒子表面に
均一に被覆される。この被覆効率を向上させるには、核
発生時の酸化鉄粒子と重合体粒子とのチャージ差を大き
くすればよい。
【0015】また、上記において、高速攪拌により複合
粒子を得る場合、重合体粒子としては上記と同様のもの
を挙げることができる。この方法において、重合体粒子
の表面に酸化鉄粒子によってシェルを形成するには、ま
ず重合体粒子と酸化鉄粒子とを混合し、次いで、これら
重合体粒子と酸化鉄粒子とを攪拌翼付きの容器内で、気
流中で高速攪拌する。この高速攪拌によって粒子同士ま
たは粒子と攪拌翼若しくは容器壁面とが衝突して、粒子
表面に局所的な衝突エネルギーが発生し、このエネルギ
ーによって重合体粒子表面が溶融または酸化鉄粒子が展
伸されて被覆層が重合体粒子表面に形成され、複合粒子
が形成される。この方法においては、重合体粒子同士の
融合を防止し、使用した重合体粒子の個々の表面に均一
な被覆層を形成することができる。なお、ボールミル、
自動乳鉢等の低速攪拌機では、このような被覆層を形成
することができない。
【0016】この方法における攪拌翼の周速度は好まし
くは15m/秒以上、さらに好ましくは30m/秒以
上、特に好ましくは40〜150m/秒である。攪拌翼
の周速度が15m/秒より低いと、被覆層を形成するに
十分なエネルギーを得ることが困難となる。ここで、高
速攪拌を行う高速攪拌機としては、例えばハイブリダイ
ザー(奈良機械製作所(株)製)、オングミル(ホソカ
ワミクロン(株)製)等を挙げることができる。この方
法において、上記重合体粒子と無機質粒子とを高速攪拌
機内に多量に導入して高速攪拌すると粒子同士あるいは
粒子と攪拌翼または容器壁面との衝突が必要以上に起こ
って所望の被覆層を形成しにくくなり、または高速攪拌
が困難になるので重合体コア粒子、無機質粒子等の合計
量が高速攪拌機内容積の1l当たり好ましくは10〜1
00g、さらに好ましくは20〜70gとなるようにす
る。
【0017】重合体粒子と無機質粒子との使用割合につ
いては、重合体コア粒子100重量部当たり無機質粒子
を好ましくは1〜100重量部の割合で使用する。
【0018】上述の方法によって得られた複合粒子を、
好ましくは酸素存在下で150℃以上、好ましくは35
0℃以上、特に好ましくは500℃以上で無機質粒子の
分解温度以下に加熱することにより、コアの重合体を分
解し、ガス化させて粒子内部から飛散させ、粒子内部に
空孔を持たせた無機質中空粒子を得ることができる。上
記分解において、重合体コア粒子を完全に分解し、ガス
化させやすくするためには、その重合体として熱可塑性
であることが好ましい。
【0019】かくして得られる本発明の中空粒子は、シ
ェルを形成するマグネタイトの一部、あるいはほとんど
全部に酸素欠陥が生じ、多孔体を形成しているものであ
る。また、酸素欠陥が生じてもスピネル型構造を保持す
るが、格子定数が化学量論的なマグネタイトの格子定数
よりは大きくなる。すなわち、化学量論的なマグネタイ
トの格子定数が0.83967nmに対し、本発明の中空
粒子の格子定数は0.8397〜0.8450nmであ
る。
【0020】かくして得られる本発明の中空粒子は、シ
ェルを形成するマグネタイトの一部、好ましくは殆んど
全部に酸素欠陥が生じ、多孔体を形成しているものであ
る。
【0021】本発明の酸素欠陥マグネタイト中空粒子の
粒子径は、0.01〜150μm、好ましくは0.04
〜110μm、特に好ましくは0.4〜10μm であ
る。粒子径に対する内部空孔径の比は0.3〜0.9
5、好ましくは0.5〜0.9、さらに好ましくは0.
6〜0.9である。
【0022】本発明の酸素欠陥マグネタイト中空粒子の
比表面積は、好ましくは5m2/g以上であり、さらに好
ましくは50m2/g以上であり、特に好ましくは100
m2/g以上である。1m2/g以下のものは触媒効率が悪
い。
【0023】また、上記中空粒子は単分散で均一なシェ
ルを有するものであり、粒子径および空孔径を上記範囲
で自由に調節できる。
【0024】〔酸素欠陥マグネタイト中空粒子の用途〕
本発明の酸素欠陥マグネタイト中空粒子は、例えば一体
構造を有するハニカム担体にウォッシュコートし、乾燥
し、必要に応じ焼成し、二酸化炭素固定化触媒として使
用することができる。
【0025】一体構造を有するハニカム担体は、通常セ
ラミックハニカム担体と称されるものであればよく、と
くにコージェライト、ムライト、α−アルミナ、ジルコ
ニア、チタンマ、リン酸チタン、アルミニウムチタネー
ト、ペタライト、スポジュメン、アルミノ・シリケー
ト、珪酸マグネシウム等を材料とするハニカム担体が好
ましく、中でもコージェライト質のものがとくに内燃機
関用として好ましい。その他、ステンレス、Fe−Cr
−Al合金等の酸化抵抗性耐熱金属を用いて一体構造と
したものも使用できる。これらモノリス担体は、押出成
型法や、シート状素子を巻き固める方法等により製造で
きる。そのガス通過口の形状(セル形状)は、6角形、
4角形、3角形、またはコルゲーション形のいずれであ
ってもよい。セル密度(セル数/単位断面積)は150
〜600セル/(インチ)2であれば十分に使用可能
で、好結果を与える。
【0026】かくして得られる二酸化炭素固定化触媒
を、例えば自動車のエンジンとマフラーとの間の部位
に、火力発電装置の燃焼室と排気ダクトとの間の部位
に、また、鉄鋼所の加熱炉と排気ダクトとの間の部位に
それぞれ設置し、二酸化炭素排出量の低減に寄与せしめ
ることができる。
【0027】なお、上記触媒の設置は、二酸化炭素分解
効率の点から、150℃以上、さらに250℃以上、特
に300℃以上となる部位が好ましい。
【0028】上記二酸化炭素固定化触媒は炭素をともな
って回収されることから、この炭素を出発物質として種
々の炭素化合物を合成することができる。例えば炭素析
出マグネタイト中空粒子を250℃以上で水素と反応さ
せればメタンが発生し、同時に本発明の酸素欠陥マグネ
タイト中空粒子が再生される。また、250℃以上で空
気と反応させれば一酸化炭素が発生する。一酸化炭素は
水素と反応させることにより、メタノールを生成する。
ここで必要な水素ガスは、炭素析出マグネタイト中空粒
子を350℃以上で水蒸気と反応させることにより得ら
れる。
【0029】
【実施例】以下に実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】〔コアとなる球状重合体粒子の製造〕 例−1−1 1000mlフラスコに蒸留水574g、過硫酸カリウム
1.0g、およびドデシル硫酸ナトリウム0.30gを
入れて10分間撹拌し、それらを完全溶解させた。次い
で、スチレン単量体を100g添加し、N2ガスをパー
ジしながら5分間撹拌した。その後、フラスコをウォー
ターバスに入れ80℃で4時間反応させ、次いで室温ま
で冷却させた。冷却後、濾紙を使用し、凝集物を除去し
た。得られた球状重合体粒子分散液の全固形分は14.
7重量%であった。この球状重合体粒子の平均粒子径
は、透過型電子顕微鏡で確認したところ、0.42μm
であった。また、この球状重合体粒子のガラス転移点
(Tg)は100℃、重量平均分子量は1万であった。
この球状重合体分散液の濃度を1g/lとなるように蒸
留水を加え調整した。
【0031】例−1−2 球状重合体粒子として日本合成ゴム(株)社製STAD
EX SC−310−S(ポリスチレン粒子)を使用し
た。平均粒子径は3.1μmであった。この球状重合体
粒子分散液の濃度を1g/lとなるように蒸留水を加え
て調整した。また、この球状重合体は、ガラス転移点が
105℃、重量平均分子量が70万であった。
【0032】例−1−3 球状重合体粒子としてDuke Scientific
Coporation社製、No.120粒子(ポリ
スチレン/ジビニルベンゼン共重合体)を使用した。平
均粒子径は20μm、ガラス転移点は150℃以上で、
重量平均分子量は100万以上であった。この球状重合
体粒子分散液の濃度を1g/lとなるように蒸留水を加
えて調整した。
【0033】例−1−4 特公昭57−24369号公報記載の方法にシード重合
法の操作を数回組み合せ、球状重合体粒子としてスチレ
ン重合体粒子を製造した。この球状重合体は、ガラス転
移点が98℃、重量平均分子量は63万であった。ま
た、この粒子は平均粒子径が59μmで、分球により4
9μm〜70μmの範囲の粒子径を有する粒子が全体の
98重量%を占めるような粒子径分布を有する、比較的
粒子径のそろったものであった。
【0034】〔球状重合体−酸化鉄複合粒子の製造〕 例−2−1 球状重合体の製造例−1−1で得られた球状重合体粒子
分散液(濃度1g/l)1ml、ポリビニルピロリドンの
3重量%水溶液3ml、4.4モル/lに調整された尿素
水溶液1ml、0.1モル/lの塩酸3ml、蒸留水1mlお
よび塩化鉄(III)5×10-2モル/l溶液1mlを11m
l容栓付耐圧試験管に入れた。超音波ウォーターバスで
1分間良く撹拌した後、予め100℃にセットされた恒
温槽に2日間入れ加水分解させた。その後室温まで冷却
し、遠心分離により複合粒子を沈降させ、上澄溶液を分
離後、蒸留水を加え、超音波ウォーターバスに完全に粒
子が分散するまで入れるという洗浄工程を5回繰り返し
た。その後、この粒子を常温で乾燥した。この複合粒子
を電子顕微鏡にて観察したところ、平均粒子径は0.5
8μm、粒子外径に対する内径(球状重合体径)の比が
0.72の完全に粒子表面が均一な酸化鉄層で被覆され
た球状重合体−酸化鉄複合粒子が得られた。複合粒子の
外径に対する内径の比はマイクロトームによる粒子の切
断面写真から算出した。この粒子を赤外吸収スペクト
ル、X線回折、熱重量分析、元素分析、ガスクロマトグ
ラフィーおよび電気泳動装置で確認したところ、コアが
スチレン共重合体、シェルがα−Fe23からなる複合
粒子であることが確認された。
【0035】例−2−2 以下の成分を用いて、例−2−1と同様の方法により球
状重合体−酸化鉄複合粒子を製造した。 例−1−2のスチレン重合体 0.1g/l 塩化鉄(III) 5×10-3ml/l ポリビニルピロリドン 0.9重量部 (対スチレン重合体100重量部) 尿素 0.44ml/l 塩酸 0.03ml/l この複合粒子は、電子顕微鏡にて観察したところ、平均
粒子径は4.5μm、粒子外径に対する内径(スチレン
重合体径)の比が0.69の完全に粒子表面が均一な層
で被覆された球状重合体−酸化鉄複合粒子であった。
【0036】例−2−3 以下の成分を用いて、例−2−1と同様の方法により、
球状重合体−酸化鉄複合粒子を製造した。 例−1−3のスチレン/ジビニルベンゼン共重合体 0.1g/l 塩化鉄(III) 5×10-3ml/l ポリビニルピロリドン 0.9重量部 (対スチレン重合体100重量部) 尿素 0.44モル/l 塩酸 0.03モル/l 得られた複合粒子は、電子顕微鏡にて観察したところ、
平均粒子径は25μm、粒子外径に対する内径(球状重
合体径)の比が0.80の完全に粒子表面が均一な層で
被覆された球状重合体−酸化鉄複合粒子であった。
【0037】例−2−4 ガラス製1l反応容器に、5×10-3ml/lのFeCl
3、3×10-2ml/lの塩酸、0.9重量%のポリビニ
ルピロリドン0.5mol/lの尿素を入れ、水で合計量
が800ccになるようにチャージした。これを恒温槽に
入れ100℃で48時間反応させてα−Fe23(ヘマ
タイト)粒子を得た。この粒子は、平均粒子径0.25
μm、0.21〜0.35μmの範囲の粒子径を有する
粒子が全体の95重量%を占めるような粒子径分布を持
っていた。この粒子を水洗、乾燥し、以下の方法で球状
重合体−酸化鉄複合粒子を製造した。次いで、例−1−
4で作製したスチレン重合体粒子80gをコア粒子と
し、これに上記ヘマタイト粒子10gと数平均粒子径が
0.15μmのポリメチルメタクリレート(P−MM
A)粉体(MP−1451、綜研化学(株)製)10g
を被覆層形成用助剤として混合し、この混合物を内容積
4lのハイブリダイザーNHS−1型(奈良機械製作所
(株)製)を使用して室温にて羽根の周速度84m/秒
で3分間処理し、球状重合体−ヘマタイト複合粒子を得
た。得られた複合粒子の数平均粒子径は63μm、粒子
外径に対する内径(球状重合体径)の比は0.94であ
った。
【0038】〔マグネタイト中空粒子の製造〕 例−3−1 例−2−1で得られた複合粒子0.3gを空気雰囲気下
で室温から800℃まで10℃/分の条件で昇温し、8
00℃で3時間ホールドした。その後20℃/分の割合
で室温まで冷却した。得られた球状中空粒子の平均粒子
径は0.54μm、粒子外径に対する内径の比が0.7
8であった。この中空粒子を例−2−1と同様な方法で
分析したところ、コアが空孔、シェルがヘマタイトであ
った。上で得られた中空ヘマタイト粒子0.3gを水素
ガス雰囲気下室温から350℃まで10℃/分で昇温
し、350℃で1時間ホールドした。その後、20℃/
分の割合で室温まで冷却した。得られた中空酸化鉄粒子
の平均粒子径は0.50μm、粒子径に対する内部空孔
径の比が0.84であった。この中空粒子を例−2−1
と同様の方法で分析したところ、シェルはマグネタイト
であった。
【0039】例−3−2〜4 使用する球状重合体−酸化鉄複合粒子を変えた例−3−
2〜4を例−3−1とともに表1に示した。製造条件
は、表1に示す項目を変化させた以外は、例−3−1に
従った。
【0040】
【表1】
【0041】〔酸素欠陥マグネタイト中空粒子の製造〕 実施例1 例−3−1で得られたマグネタイト中空粒子0.3gを
水素ガス雰囲気下280℃まで10℃/分で昇温し、2
90℃で2時間ホールドした。その後20℃/分で室温
まで冷却した。得られた酸素欠陥マグネタイト中空粒子
の平均粒子径は0.52μm、粒子径に対する内径の比
が0.81であった。また、この粒子の比表面積は、こ
の粒子をIR、X線回析、ガスクロマトグラフィーで確
認したところ、シェルが酸素欠陥マグネタイトからなる
中空粒子であることが確認された。 実施例2〜8 使用するマグネタイト中空粒子、ガス雰囲気、加熱温度
昇温率、および加熱時間をそれぞれ変えた実施例2〜8
を実施例1とともに表2及び表3に示した。製造条件は
表2及び表3に示す項目を変化させた以外は、実施例1
に従った。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】〔酸素欠陥マグネタイト中空粒子によるC
2分解反応〕実施例1〜8で得られた、球状酸素欠陥
マグネタイト中空粒子の二酸化炭素分解効率を測定し
た。
【0045】管状電気炉中に球状酸素欠陥マグネタイト
中空粒子1gを入れ二酸化炭素を流通させ、石英管の入
口と出口のバルブを閉じ、300℃に加熱し二酸化炭素
分解反応を行なわせた。反応セル内の二酸化炭素の量を
ガスクロマトグラフィーにより測定した。表4にその結
果を示した。なお比較として前駆体であるマグネタイト
中空粒子の二酸化炭素分解効率も測定した。
【0046】
【表4】
【0047】
【発明の効果】本発明により、酸素欠陥マグネタイトを
含むシェルからなる中空粒子を安価、簡便かつ高効率で
得ることができる。該中空粒子は多孔質のものとするこ
とができ、大きな比表面積を有するものであり、二酸化
炭素の固定または吸着に著効を示すとともに、二酸化炭
素をほぼ100%炭素にまで分解しうるものである。従
って、本発明の酸素欠陥マグネタイト中空粒子は、二酸
化炭素の大気中への放出によりもたらされる地球温暖化
現象に対する有効な防止剤であり、二酸化炭素の固定に
使用できる。また、使用の結果得られる炭素析出マグネ
タイト中空粒子は、そのまま燃料としても、また炭素化
合物の合成原料としても利用できるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 37/16 8516−4G

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素欠陥構造を有するマグネタイトを含
    み、粒子径が0.01〜150μm、粒子径に対する内
    部空孔径の比が0.3〜0.95であることを特徴とす
    る酸素欠陥マグネタイト中空粒子。
  2. 【請求項2】 マグネタイト中空粒子を水素、不活性ガ
    ス、またはそれらの混合ガス雰囲気下で加熱処理によっ
    て部分的に還元することを特徴とする請求項1記載の酸
    素欠陥マグネタイト中空粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の酸素欠陥マグネタイト中
    空粒子よりなることを特徴とする二酸化炭素固定化触
    媒。
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