JPH05159389A - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

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JPH05159389A
JPH05159389A JP34395691A JP34395691A JPH05159389A JP H05159389 A JPH05159389 A JP H05159389A JP 34395691 A JP34395691 A JP 34395691A JP 34395691 A JP34395691 A JP 34395691A JP H05159389 A JPH05159389 A JP H05159389A
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magnetic
magnetic layer
magneto
functioning
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JP34395691A
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English (en)
Inventor
Yasuo Shibata
恭夫 柴田
Hideaki Takehara
英章 竹原
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Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁性層の構成材料の選択の容易な光磁気記録
媒体を得る。 【構成】 四層型の光磁気記録媒体における第四磁性層
と第三磁性層との間と、第三磁性層と第二磁性層との間
とに、それぞれ個別に設けた水平磁化膜として機能する
強磁性金属原子層、及び前記した第四磁性層と第三磁性
層との間と、前記した第三磁性層と第二磁性層との間
と、前記した第二磁性層と第一磁性層との間とに、それ
ぞれ個別に設けた水平磁化膜として機能する強磁性金属
原子層として用いた例えばコバルト、鉄、ニッケルの少
なくとも一つを含む厚さが1オングストローム乃至5オ
ングストロームの薄層を調整層とし、その調整層の両側
の磁性層中に含まれる重希土類金属元素と遷移金属元素
同士の磁気モーメントを適度に結合させるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光磁気記録媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】磁性材料における熱による磁気特性の変
化を利用して磁気記録媒体の磁性層に記録情報と対応し
た磁化の変化によって情報の記録を行なったり、前記し
た磁気記録媒体の磁性層に記録されていた記録情報と対
応した磁化の変化の状態をファラディ効果やカー効果な
どのような磁気に付随する光学効果を利用して読出すよ
うにした光磁気記録再生方式は、前記の磁性層として垂
直磁化膜を使用することにより高密度記録再生が可能な
ために、各種の光磁記記録媒体を使用した多くの方式が
提案されている。ところで、円盤状の光磁気記録媒体を
用いた光ディスクメモリは、記録再生装置に対する着脱
が可能で、かつ、書換えができる大量容ファイルとして
盛んに研究開発が行われており、商品化がなされている
例も見られるに至っているが、現状においては書換え可
能とはいっても書換え手段が単純ではなく、従来から広
く使用されている磁気記録媒体が着脱不能となされてい
る構成態様の所謂ハードディスク装置(例えば、ウイン
チェスター型磁気ディスク装置)に比べて使い勝手が悪
いという欠点があった。
【0003】それで、光磁気ディスクにおいて直接にオ
ーバーライトを実現できるようにするための各種の提案
が行なわれて来ているが、 (1)回転する光磁気ディスク
を一定の光強度の微小なスポットで照射するとともに、
記録バイアス磁界強度を記録の対象にされている情報信
号によって強度変調して光磁気ディスクにオーバーライ
トを行なう。 (2)例えば特開昭62ー175948号公
報、その他の文献に開示されているように重希土類金属
と遷移金属との非晶質合金により高保磁力と低キュリー
温度を有していて記録再生のための記録層として機能す
る第一磁性層と、重希土類金属と遷移金属との非晶質合
金により低保磁力と高キュリー温度を有していて書込み
の補助を行なう補助層としての機能を有する第二磁性層
とを備えて構成された二層型の光磁気ディスクを用いて
オーバーライトを行なう。 (3)例えば、特開昭63ー2
68103号公報、特開平1ー241051号公報、そ
の他の文献等に開示されているように、前記した二層型
の光磁気ディスクにおける重希土類金属と遷移金属との
非晶質合金による記録層や補助層などの他に、少なくと
も初期化層を備えて構成させた三層型、あるいは四層型
の光磁気ディスクを用いてオーバーライトを行なう。等
が代表的な既提案として知られている。
【0004】そして、前記した (1)の既提案は記録の対
象にされている情報信号によって磁界を発生させること
が必要とされるために、高密度記録に対しては高い周波
数で変化する高周波磁界を発生させなければならない
が、周知のように高周波で充分な強度の磁界を発生させ
ることは困難であるから、この (1)の光磁気オーバーラ
イト方式では情報の転送速度を大にすることは困難であ
り高密度記録再生を実現することが容易でないという点
が問題になる。前記した (1)の光磁気オーバーライト方
式における情報の転送速度を大にすることが困難である
という問題点は、(2),(3)に示した既提案の光磁気ディ
スクを使用すれば解消できる。しかし、前記した(2)の
二層型の光磁気ディスクは、第二磁性層の初期化のため
の外部磁界の印加手段と、記録時に必要とされるバイア
ス磁界の印加手段との2つの外部磁界が不可欠とされて
おり、そのために装置が大型化するという点が問題にな
る他、前記した(2)の二層型の光磁気ディスク及び(3)の
三層型の光磁気ディスクは、記録層として機能する第一
磁性層と書込みの補助を行なう補助層として機能する第
二磁性層、その他の磁性層として、それぞれ必要な磁気
特性を有するものとして構成させることが困難であると
いう点が問題になる。
【0005】図9は前記した(2)の二層型の光磁気ディ
スクの記録再生動作の概略を説明するための図であり、
図9の(a)は記録再生系の一部の斜視図、図9の
(b)は二層型の光磁気ディスクの記録再生動作の説明
図、図9の(c)は情報の記録に当って変化されるレー
ザ光強度を示す図である。図9の(a),(b)におい
てDは二層型の光磁気ディスクであり、二層型の光磁気
ディスクDは図示されていない回転駆動機構によって矢
印a方向に回転されており、結像レンズLによって集光
されたレーザ光によって二層型の光磁気ディスクDの磁
性層の温度が上昇される。図9の(b)において二層型
の光磁気ディスクDにおける1は基板であり、また、2
は重希土類金属と遷移金属との非晶質合金により高保磁
力Hc1と低キュリー温度Tc1を有していて記録再生のた
めの記録層として機能する第一磁性層であり、さらに、
3は重希土類金属と遷移金属との非晶質合金により低保
磁力Hc2と高キュリー温度Tc2を有していて書込みの補
助を行なう補助層としての機能を有する第二磁性層であ
り、さらにまた、Miは初期化のための磁界Hiを発生
する永久磁石、Mwは情報の記録時に用いられるバイア
ス磁界Hwを発生する永久磁石である。
【0006】前記した二層型の光磁気ディスクDの記録
層2の保磁力Hc1と、補助層3の保磁力Hc2と、永久磁
石Miによって発生される初期化のための磁界強度Hi
と、永久磁石Mwによって発生される記録時のバイアス
磁界の磁界強度Hwとの関係は図10の(b)に示され
ているように、Hc1>Hi>Hc2>Hwの関係を有する
ようにされており、また前記した二層型の光磁気ディス
クDの記録層2のキュリー温度Tc1と、補助層3のキュ
リー温度Tc2との関係は図10の(a),(b)に示されて
いるように、Tc2>Tc1の関係を有するものとされてい
る。また、結像レンズLによって集光されたレーザ光で
加熱されるべき二層型の光磁気ディスクDの磁性層の温
度は、記録層に対して情報「1」を記録する際にはレー
ザ光強度P1を有するレーザ光の照射により、記録層2
のキュリー温度Tc1と、補助層3のキュリー温度Tc2と
に対して、Tc2>Tp1>Tc1の関係に在る温度Tp1に加
熱され、また、記録層に対して情報「0」を記録する際
にはレーザ光強度Poを有するレーザ光の照射により、
二層型の光磁気ディスクDの磁性層の温度が、補助層3
のキュリー温度Tc2よりも高い温度Tpoにされる{図9
の(c)及び図10の(a)参照}。
【0007】図9の(a),(b)を参照して二層型の
光磁気ディスクに対するオーバライトの動作について説
明すると次のとおりである。図示されていない回転駆動
機構によって矢印a方向に回転されている二層型の光磁
気ディスクDにおける記録層として機能する第一磁性層
2と、書込みの補助を行なう補助層としての機能を有す
る第二磁性層3とが、永久磁石Miによって発生されて
いる初期化磁界Hi中に入ると、室温における保磁力と
初期化磁界強度との関係が図10の(b)に示されてい
るようにHc1>Hi>Hc2の関係にあるために、記録層
として機能する第一磁性層2の磁化の状態は前記した初
期化磁界によっても変化することはないが、前記した初
期化磁界Hiによって書込みの補助を行なう補助層とし
ての機能を有する第二磁性層3の磁化の方向は初期化磁
界Hiの方向(図9においては図中で上向きの状態)に
整列される。
【0008】レーザ光強度を図10の(a)中に示され
ているP1として、記録層2のキュリー温度Tc1よりは
高く、補助層3のキュリー温度Tc2よりは低いTc2>T
p1>Tc1の関係に在る温度Tp1となるように、前記した
記録層2と補助層3からなる磁性層を加熱すると、記録
層2のキュリー温度Hc1以上に加熱された記録層2は一
たん磁化を失なうが、補助層3はキュリー温度Tc2に達
しない温度までにしか加熱されないために、補助層3の
磁化の状態は初期化磁界Hiの方向(図9においては図
中で上向きの状態)に磁化された状態のままに保持され
ている。前記した補助層3の磁化の状態は、永久磁石M
wによって発生されたHc2>Hwの関係にあるバイアス
磁界Hwの印加によっても変化しない。光磁気ディスク
の回転に伴ってレーザ光が照射していた部分がレーザ光
の照射位置からずれて、記録層2の温度がそれのキュリ
ー温度Tc1以下に低下したときには、記録層2に補助層
3の磁化が転写されて、情報「1」を表わす上向きの磁
化が記録層2に記録されることになる。
【0009】次に、記録層2に情報「0」を記録する場
合には、レーザ光強度を図10の(a)中に示されてい
るPoとして、記録層2のキュリー温度Tc1と、補助層
3のキュリー温度Tc2との何れよりも高いTpo>Tc2>
Tc1の関係に在る温度Tp2となるように、前記した記録
層2と補助層3からなる磁性層を加熱すると、記録層2
と補助層3との双方が、それらのキュリー温度Hc1,H
c2以上に加熱されるために、記録層2と補助層3との双
方が一たん磁化を失なう。光磁気ディスクの回転に伴っ
てレーザ光が照射していた部分がレーザ光の照射位置か
らずれると、まず、補助層3の温度がキュリー温度Tc2
以下に低下し、それにより補助層3がバイアス磁石Mw
によって発生されているバイアス磁界Hw(図9におい
ては図中で下向きの状態)の方向に磁化される。次いで
記録層2の温度がそれのキュリー温度Tc1以下に低下し
たときには、記録層2に補助層3の磁化が転写されて、
情報「0」を表わす上向きの磁化が記録層2に記録され
ることになる。
【0010】前記した二層型の光磁気ディスクは、既述
のように補助層3の初期化のための外部磁界の印加手段
と、記録時に必要とされるバイアス磁界の印加手段との
2つの外部磁界が不可欠とされており、そのために装置
が大型化するという点が問題になったので、前記の点を
解決できる光磁気ディスクとして、補助層3の初期化の
ための永久磁石として機能する初期化層を少なくとも付
加したような構成の三層型、または四層型の光磁気ディ
スクが提案された。図11は記録再生のための記録層と
して機能する第一磁性層と、書込みの補助を行なう補助
層としての機能を有する第二磁性層と、前記した第一磁
性層及び第二磁性層と初期化層として機能する第四磁性
層との間の磁気的交換相互作用を接断制御するスイッチ
層として機能する第三磁性層とからなる四層型の光磁気
記録媒体における前記した各磁性層の保磁力Hc1,Hc
2,Hc3,Hc4と、キュリー温度Tc1,Tc2,Tc3,Tc
4との関係を示す図{図11の(a)}と、記録再生系の
一部の概略構成を示す図{図11の(b)}である。
【0011】前記したように、記録層と補助層とスイッ
チ層と初期化層との四層の磁性層を備えた光磁気ディス
クにおいては、初期化層として他のどの磁性層よりも高
いキュリー温度Tc4を示す磁性層を使用して、記録層ま
たは補助層における磁化の反転直後における冷却過程に
おいて、初期化層からの磁気的交換作用または漏洩磁界
によって、補助層の磁化の方向を初期化層の磁化の方向
と一致させることができるようにしており、また、四層
型の光磁気ディスクでは補助層と初期化層との間に設け
たスイッチ層として、他のどの磁性層よりも低いキュリ
ー温度Tc3を示す磁性層を用いて、記録層と補助層がレ
ーザ光の照射によって磁化が反転する過程に、初期化層
からの磁気的な影響が遮断されるようにして、記録層と
補助層との磁化反転過程と初期化過程との干渉の防止に
より直接重ね書きのC/Nの向上が期待される。初期化
層を備えた光磁気ディスクでは、図11の(b)に例示
されているように、情報の記録時に用いられるバイアス
磁界Hwを発生する永久磁石Mwだけが必要で、初期化
のための磁界Hiを発生する永久磁石Miは不要とされ
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前記のように四層型の
光磁気ディスクでは、二層型の光磁気ディスクにおいて
必要としていたような初期化用の永久磁石が不要とされ
るために、二層型の光磁気ディスクに比べて有利であ
り、またスイッチ層を備えていない三層型の光磁気ディ
スクに比べても、重ね書き動作がより一層確実となる点
において優れていると考えられる。しかしながら、前記
の四層型の光磁気ディスクは、4つの層を構成する各磁
性層が、それぞれ異なる所定の保磁力Hcと所定のキュ
リー温度とを示す磁性層となるように、組成、成分、膜
厚が定められた重希土類金属と遷移金属との非晶質合金
磁性層による4つの磁性層を積層して構成されているも
のであるから、各磁性層が積層された状態において各磁
性層が示す保磁力の保磁力Hcの値は、各層間に働く磁
気的交換相互作用の存在により、前記した各磁性層が単
独に存在している場合にそれぞれの磁性層が示す保磁力
の値とは異なったものになる。
【0013】前記のように、各層間に働く磁気的交換相
互作用の存在によって各磁性層の保磁力の値に生じる変
化は、積層される各磁性層の組成、成分、膜厚や、成膜
過程に依存して変化するものであるために、四層型の光
磁気ディスククの全体として所望の特性を得ること自体
が困難であり、また、再現性に乏しいということが問題
になる。また、四層型の光磁気ディスクにおいては、ス
イッチ層自体の磁気的な影響や初期化層の磁気的な影響
が、補助層には及ぶようにしなければならないが、前記
のスイッチ層や初期化層からの磁気的な影響が、仮に記
録層にまで及んだ場合には重ね書きのC/Nが低下する
という問題が生じる。ところが、前記した4つの層は相
互に磁気的に強く結合して一体化している状態にあるか
ら、四層型の光磁気ディスクにおいて、スイッチ層自体
の磁気的な影響や初期化層の磁気的な影響が補助層には
及ぶが、補助層には及ばないようにする、というように
することは容易ではない。それで、前記のような諸問題
点のない光磁気ディスクの出現が望まれた。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は記録再生のため
の記録層として機能する第一磁性層と、書込みの補助を
行なう補助層としての機能を有する第二磁性層と、前記
した第一磁性層及び第二磁性層と初期化層として機能す
る第四磁性層との間の磁気的交換相互作用を接断制御す
るスイッチ層として機能する第三磁性層と、前記した第
四磁性層とを少なくとも備えている光磁気ディスクにお
いて、前記した第四磁性層と第三磁性層との間と、前記
した第三磁性層と第二磁性層との間とに、それぞれ個別
に水平磁化膜として機能する強磁性金属原子層を備えさ
せてなる光磁気ディスク、及び記録再生のための記録層
として機能する第一磁性層と、書込みの補助を行なう補
助層としての機能を有する第二磁性層と、前記した第一
磁性層及び第二磁性層と初期化層として機能する第四磁
性層との間の磁気的交換相互作用を接断制御するスイッ
チ層として機能する第三磁性層と、前記した第四磁性層
とを少なくとも備えている光磁気ディスクにおいて、前
記した第四磁性層と第三磁性層との間と、前記した第三
磁性層と第二磁性層との間と、前記した第二磁性層と第
一磁性層との間とに、それぞれ個別に水平磁化膜として
機能する強磁性金属原子層を備えさせてなる光磁気ディ
スク、ならびに前記した光磁気ディスクにおいて、水平
磁化膜として機能する強磁性金属原子層を、コバルト、
鉄、ニッケルの少なくとも一つを含む厚さが1オングス
トローム乃至5オングストロームの薄層によって構成し
た光磁気ディスクを提供する。
【0015】
【作用】四層型の光磁気ディスクにおいて、第四磁性層
と第三磁性層との間と、第三磁性層と第二磁性層との間
とに、それぞれ個別に設けた水平磁化膜として機能する
強磁性金属原子層、及び前記した第四磁性層と第三磁性
層との間と、前記した第三磁性層と第二磁性層との間
と、前記した第二磁性層と第一磁性層との間とに、それ
ぞれ個別に設けた水平磁化膜として機能する強磁性金属
原子層として用いた例えばコバルト、鉄、ニッケルの少
なくとも一つを含む厚さが1オングストローム乃至5オ
ングストロームの薄層が、それの両側の磁性層中に含ま
れる重希土類金属元素と遷移金属元素同士の磁気モーメ
ントを適度に結合させる。そのために、前記した水平磁
化膜として機能する強磁性金属原子層の両側の垂直磁化
膜として機能する磁性層は、それらのキュリー温度の相
互関係だけが所定のように定められていれば、各磁性層
の保磁力は任意に設定できるから所定の特性を有する光
磁気ディスクを容易に提供できる。
【0016】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の光磁気記
録媒体の具体的な内容を詳細に説明する。図1と図2及
び図5ならびに図6は本発明の光磁気記録媒体の一部の
断面図、図3は各磁性層の磁気特性例図、図4はレーザ
光の強度変調の状態を示す図、図7及び図8は再生特性
例を示す曲線図である。図1及び図2は本発明の光磁気
記録媒体の一部を示す断面図である。まず、図1に示す
光磁気記録媒体Dは、例えばポリカーボネート樹脂製の
基板1上に、例えばタンタルの酸化物によるエンハンス
層(反射防止膜)6と、記録再生のための記録層として
機能する第一磁性層2と、書込みの補助を行なう補助層
としての機能を有する第二磁性層3と、水平磁化膜とし
て機能する強磁性金属原子層による第二調整層8と、前
記した第一磁性層2及び第二磁性層3と初期化層として
機能する第四磁性層5との間の磁気的交換相互作用を接
断制御するスイッチ層として機能する第三磁性層4と、
水平磁化膜として機能する強磁性金属原子層による第一
調整層7と、初期化層として機能する第四磁性層5とを
順次に積層することにより構成されている。
【0017】また、図2に示す光磁気記録媒体Dは、例
えばポリカーボネート樹脂製の基板1上に、例えばタン
タルの酸化物によるエンハンス層(反射防止膜)6と、
記録再生のための記録層として機能する第一磁性層2
と、水平磁化膜として機能する強磁性金属原子層による
第三調整層9と、書込みの補助を行なう補助層としての
機能を有する第二磁性層3と、水平磁化膜として機能す
る強磁性金属原子層による第二調整層8と、前記した第
一磁性層2及び第二磁性層3と初期化層として機能する
第四磁性層5との間の磁気的交換相互作用を接断制御す
るスイッチ層として機能する第三磁性層4と、水平磁化
膜として機能する強磁性金属原子層による第一調整層7
と、初期化層として機能する第四磁性層5と、保護層1
0とを順次に積層することにより構成されている。そし
て、前記した図1及び図2に示されている本発明の光磁
気記録媒体Dにおいて、記録再生のための記録層として
機能する第一磁性層2と、書込みの補助を行なう補助層
としての機能を有する第二磁性層3と、前記した第一磁
性層2及び第二磁性層3と初期化層として機能する第四
磁性層5との間の磁気的交換相互作用を接断制御するス
イッチ層として機能する第三磁性層4と、初期化層とし
て機能する第四磁性層5などの各磁性層は、それぞれ重
希土類金属と遷移金属との非晶質合金によって構成され
ており、また、水平磁化膜として機能する強磁性金属原
子層による第一調整層7と、水平磁化膜として機能する
強磁性金属原子層による第二調整層8と、水平磁化膜と
して機能する強磁性金属原子層による第三調整層9と
は、コバルト、鉄、ニッケルの少なくとも一つを含む厚
さが1オングストローム乃至5オングストロームの薄層
によって構成される。図3は前記した図1及び図2に示
されている本発明の光磁気記録媒体Dにおける各磁性層
の保磁力とキュリー温度、及び水平磁化膜として機能す
る強磁性金属原子層による各調整層の保磁力とキュリー
温度などの相互の関係を例示している図である。
【0018】本発明の光磁気記録媒体Dにおける特定な
磁性層間に設けられている水平磁化膜として機能する強
磁性金属原子層による各調整層は、既述のようにコバル
ト、鉄、ニッケルの少なくとも一つを含む厚さが1オン
グストローム乃至5オングストロームの薄層によって構
成されるものであるが、この調整層はそれの両側に設け
られている磁性層中に含まれているGd,Tb,Dy等
の重希土類金属元素やFe,Co等の遷移金属元素同士
の磁気モーメントを結合させるものであるが、調整層自
体は膜面内に磁気異方性を有して水平磁化膜として機能
するものであるために、調整層の両面に配置されている
垂直磁化膜として構成されている磁性層間の磁気的な結
合は、前記した水平磁化膜として機能する調整層の膜厚
の増大とともに振動しつつ速やかに減衰するものである
(所謂、RKKY相互作用を想定して、前記した調整層
の両側に配置されている垂直磁化膜として構成されてい
る磁性層間の磁気的な結合力を零にさせる調整層の厚さ
は10オングストローム程度と推定される)。
【0019】本発明の光磁気記録媒体Dにおいては、前
述のように特定な磁性層間に、水平磁化膜として機能す
る強磁性金属原子層(コバルト、鉄、ニッケルの少なく
とも一つを含む厚さが1オングストローム乃至5オング
ストロームの薄層)によって構成される調整層を設けて
いるために、前記した重希土類金属と遷移金属とによっ
て構成されている第一磁性層乃至第四磁性層の室温にお
ける保磁力の値の相互関係は任意であってもよいのであ
り、互に他の磁性層の保磁力とは無関係に独自に定める
ことができる。ただし、本発明の光磁気記録媒体Dにお
いては、第一磁性層乃至第四磁性層における各キュリー
温度が、図3中に示されているように初期化層として機
能する第四磁性層5のキュリー温度Tc4>書込みの補助
を行なう補助層としての機能を有する第二磁性層3のキ
ュリー温度Tc2>記録再生のための記録層として機能す
る第一磁性層2のキュリー温度Tc1>第一磁性層2及び
第二磁性層3と初期化層として機能する第四磁性層5と
の間の磁気的交換相互作用を接断制御するスイッチ層と
して機能する第三磁性層4のキュリー温度Tc3のような
関係であることが必要である。なお、本発明の光磁気記
録媒体Dにおける所定の磁性層間に設けられる各調整
層、すなわち水平磁化膜として機能する強磁性金属原子
層による各調整層の保磁力は、それがどのような値であ
っても構わないのであるが、図3中には水平磁化膜とし
て機能する強磁性金属原子層による各調整層の保磁力が
Hchであるとして例示している。また、前記した水平
磁化膜として機能する強磁性金属原子層による各調整層
のキュリー温度は、図3に示されている温度範囲よりも
遥かに高い温度であるために図3中には示されていな
い。
【0020】前記した本発明の光磁気記録媒体Dは、既
述のように記録再生のための記録層として機能する第一
磁性層2と、書込みの補助を行なう補助層としての機能
を有する第二磁性層3と、前記した第一磁性層2及び第
二磁性層3と初期化層として機能する第四磁性層5との
間の磁気的交換相互作用を接断制御するスイッチ層とし
て機能する第三磁性層4と、初期化層として機能する第
四磁性層5とを備えて構成されている従来の四層型の光
磁気ディスクと同様に、外部の初期化用の永久磁石によ
って補助層3の初期化を行なうという過程が不要である
から、2層型の光磁気ディスクに関する従来技術におい
て説明したように従来の2層型の光磁気ディスクでは記
録層の保磁力Hc1を補助層の保磁力Hc2よりも高くして
おかないと所期の重ね書き動作が行なわれない、という
ような制約は、本発明の光磁気記録媒体Dには存在しな
い。
【0021】本発明の光磁気記録媒体Dにおいても従来
の四層型の光磁気ディスクの場合と同様に、記録再生の
ための記録層として機能する第一磁性層2と、書込みの
補助を行なう補助層としての機能を有する第二磁性層3
と、初期化層として機能する第四磁性層5との間の磁気
的交換相互作用を接断制御するスイッチ層として機能す
る第三磁性層4を備えており、前記のスイッチ層として
機能する第三磁性層4は図3にも示されているように光
磁気記録媒体Dを構成しているすべての磁性層の内で最
も低いキュリー温度Tc3を有するものとされている。前
記のスイッチ層として機能する第三磁性層4は、それの
温度がキュリー温度Tc3以上になって磁性を失なった状
態において、初期化層として機能する第四磁性層5から
記録層2と補助層3への磁気的交換相互作用を切断し、
初期化層として機能する第四磁性層5の磁気的な影響が
記録層2と補助層3とに与えられない状態にして、前記
の記録層2と補助層3との磁化の状態がレーザ光強度だ
けに依存して所定のように変化することが必要とされる
のであるが、従来の四層型の光磁気ディスクでは、磁化
反転終了直後の冷却過程において、初期化層として機能
する第四磁性層5の磁気的な影響が補助層3には有効に
働き、記録層2には初期化層として機能する第四磁性層
5の磁気的な影響が及ばないような状態となるように、
前記したスイッチ層として機能する第三磁性層4の厚さ
を精密に定めることが要求されていたが、本発明の光磁
気記録媒体Dでは前記したスイッチ層として機能する第
三磁性層4と初期化層として機能する第四磁性層5の間
に、水平磁化膜として機能する強磁性金属原子層による
第一調整層7を設けたことにより、従来の光磁気ディス
クにおけるようにスイッチ層として機能する第三磁性層
4の厚さを精密に定める必要はない。
【0022】また、同様にスイッチ層として機能する第
三磁性層4の温度が、それのキュリー温度Tc3以下にお
いては、スイッチ層として機能する第三磁性層4自体の
磁化の状態が、書込みの補助を行なう補助層としての機
能を有する第二磁性層3を超えて、記録再生のための記
録層として機能する第一磁性層2に転写されてはならな
いが、本発明の光磁気記録媒体Dでは前記したスイッチ
層として機能する第三磁性層4と書込みの補助を行なう
補助層としての機能を有する第二磁性層3との間に、水
平磁化膜として機能する強磁性金属原子層による第二調
整層8を設けたことにより、スイッチ層として機能する
第三磁性層4自体の磁化の状態が、記録再生のための記
録層として機能する第一磁性層2に転写されるようなこ
とは起こらない。本発明の光磁気記録媒体Dにおいて、
記録再生のための記録層として機能する第一磁性層2
と、書込みの補助を行なう補助層としての機能を有する
第二磁性層3とは、それぞれ図3に示されているような
相互関係にあるようなキュリー温度Tc1,Tc2を備えて
いるとともに、レーザ光の照射時に微小な磁区が形成で
きるようにするために必要な大きさの保磁力を有してい
るものとして構成される。
【0023】図2に示されている本発明の光磁気記録媒
体Dにおいては、記録再生のための記録層として機能す
る第一磁性層2と、書込みの補助を行なう補助層として
の機能を有する第二磁性層3との間に、水平磁化膜とし
て機能する強磁性金属原子層による第三調整層9を設け
た構成としているが、前記した記録層2と補助層3との
間に設けた第三調整層9は、記録再生のための記録層と
して機能する第一磁性層2を構成している磁性材料と、
書込みの補助を行なう補助層としての機能を有する第二
磁性層3を構成している磁性材料とに応じて、前記した
2つの磁性層間に働く磁気的交換相換相互作用によって
生じる媒体ノイズが増大したり、記録された磁区の不安
定さを生じる等のことがあった場合に、前記した記録層
2と補助層3との間に第三調整層9を設けることにより
前述のような不都合は除去できるのである。初期化層と
して機能する第四磁性層5は、光磁気記録媒体Dの使用
に先立って一度だけ予め定められた一定の方向に着磁さ
れることにより、初期化層として使用されるのである。
図4は本発明の光磁気記録媒体Dに情報信号の記録を行
なう場合に使用されるレーザ光強度PoとP1との光強
度の違いを示している図であり、レーザ光強度Poは情
報「0」を記録する際の光強度であり、また、レーザ光
強度P1は情報「1」を記録する際の光強度である。な
お、前記した情報の記録時には磁化反転を助けるため
に、バイアス磁石によって発生されているバイアス磁界
が記録点に印加されるようにすることが必要である。な
お、本発明の光磁気記録媒体Dにおける重ね書き記録の
際の記録の態様は、従来の四層型の光磁気ディスクにお
ける重ね書き記録の際の記録の態様と同様である。
【0024】図1に示した本発明の光磁気記録媒体の構
成態様に従って実施した本発明の光磁気記録媒体の具体
的な構成例を示す図5において1は直径が130mmの
ポリカーボネート樹脂製の基板であり、基板1には55
0オングストロームの厚さでタンタルの酸化物(TaO
x)のエンハンス層(反射防止層)6が成膜される。前記
のタンタルの酸化物(TaOx)のエンハンス層(反射
防止層)6の成膜は、アルゴンガス35ccと酸素15
ccとの混合ガス雰囲気中で、タンタルのターゲットを
用いて直流スパッタリング法によって行なった。タンタ
ル酸化物の成膜率は、タンタルの成膜率よりも大きいた
めに特異かつ有利であり、所定の厚さのタンタルの酸化
物(TaOx)のエンハンス層(反射防止層)6の成膜を
短い時間で実現できる。前記したタンタルの酸化物(T
aOx)のエンハンス層(反射防止層)6は、高温多湿下
でもクラックを生じ難いことから保護膜として好適であ
り、また、透明で屈折率が高いことからエンハンス膜と
して適している。
【0025】図5において、記録再生のための記録層と
して機能する第一磁性層2と、書込みの補助を行なう補
助層としての機能を有する第二磁性層3とは、ともに、
TbFeCoを用いて構成されているが、前記した記録
層2と補助層3とは、各磁性層についての磁気特性を示
している表1中にも記載されているようにコバルトの含
有率の差によって、それぞれの磁性層におけるキュリー
温度が所定のように異なるように構成されているのであ
る。
【0026】
【表1】
【0027】図5において、第一磁性層2及び第二磁性
層3と初期化層として機能する第四磁性層5との間の磁
気的交換相互作用を接断制御するスイッチ層として機能
する第三磁性層4は、DyTbFeCoによって構成さ
れているが、このような構成により表1に示されている
ように図5に示されている各磁性層の内で最低のキュリ
ー温度にされている。また、初期化層として機能する第
四磁性層5はTbCoによって構成されていて、この層
は表1にも示されているように図5に示されている各磁
性層の内で最高のキュリー温度にされている。
【0028】例えば、4ターゲットを有する成膜装置を
使用して、前記した各磁性層を成膜する場合には、D
y,Co,Tb,TbFeCoの4つのターゲットを用
意して、前記の4つのターゲットの内から必要なターゲ
ットを選択して成膜に使用する。すなわち、図5に示さ
れている光磁気記録媒体における記録層2と補助層3と
の成膜に際してはCoのターゲットと、Tbのターゲッ
トと、TbFeCoのターゲットとの3つのターゲット
を選択使用し、また、スイッチ層4の成膜に際してはD
yのターゲットと、TbFeCoのターゲットとの2つ
のターゲットを選択使用し、さらに初期化層5の成膜に
際してはCoのターゲットと、Tbのターゲットとの2
つのターゲットを選択使用する。
【0029】本発明の光磁気記録媒体においては、前記
した磁性層における特定な磁性層間に、水平磁化膜とし
て機能する強磁性金属原子層(コバルト、鉄、ニッケル
の少なくとも一つを含む厚さが1オングストローム乃至
5オングストロームの薄層)によって構成される調整層
を設けているのであるが、図5中で前記した水平磁化膜
として機能する強磁性金属原子層によって構成される調
整層7,8は、膜厚モニターによって推定される成膜率
を毎秒0.05オングストローム程度として、例えば1
オングストローム、2オングストローム、3オングスト
ローム…というような極端に薄い膜を充分な再現性を以
って成膜することができた。前記のように極端に薄い膜
の場合には、成膜された膜は単原子層、二原子層等のよ
うに、結晶格子を形成しているのではなく、原子が乱雑
に沈着されているような状態になっているものと推定さ
れる。
【0030】図2に示した本発明の光磁気記録媒体の構
成態様に従って実施した本発明の光磁気記録媒体の具体
的な構成例を示す図6において、1は直径が130mm
のポリカーボネート樹脂製の基板であり、また、基板1
には550オングストロームの厚さでタンタルの酸化物
(TaOx)のエンハンス層(反射防止層)6を成膜して
ある。図6において、記録再生のための記録層として機
能する第一磁性層2と、書込みの補助を行なう補助層と
しての機能を有する第二磁性層3とは、図5について既
述した構成例と同様に、ともにTbFeCoを用いて構
成されているが、前記した記録層2と補助層3とは、各
磁性層についての磁気特性を示している表2中にも記載
されているようにコバルトの含有率の差によって、それ
ぞれの磁性層におけるキュリー温度が所定のように異な
るように構成されているのである。
【0031】
【表2】
【0032】図6において、第一磁性層2及び第二磁性
層3と初期化層として機能する第四磁性層5との間の磁
気的交換相互作用を接断制御するスイッチ層として機能
する第三磁性層4は、TbFeCoによって構成されて
いるが、このような構成により表2に示されているよう
に図6に示されている各磁性層の内で最低のキュリー温
度にされており、また、初期化層として機能する第四磁
性層5はTbCoによって構成されていて、この層は表
2に示されているように図6に示されている各磁性層の
内で最高のキュリー温度にされている。
【0033】例えば、3ターゲットを有する成膜装置を
使用して、前記した各磁性層を成膜する場合には、C
o,Tb,TbFeCoの3つのターゲットを用意し
て、前記の3つのターゲットの内から必要なターゲット
を選択して成膜に使用する。すなわち、図6に示されて
いる光磁気記録媒体における記録層2と補助層3との成
膜に際してはCoのターゲットと、Tbのターゲット
と、TbFeCoのターゲットとの3つのターゲットを
選択使用し、またスイッチ層4の成膜に際してはTbF
eCoのターゲットを選択使用し、さらに初期化層5の
成膜に際してはCoのターゲットと、Tbのターゲット
との2つのターゲットを選択使用する。
【0034】本発明の光磁気記録媒体における磁性層に
おける特定な磁性層間に、水平磁化膜として機能する強
磁性金属原子層(コバルト、鉄、ニッケルの少なくとも
一つを含む厚さが1オングストローム乃至5オングスト
ロームの薄層)によって構成される調整層として、図6
中で用いられている調整層7,8,9は、膜厚モニター
によって推定される成膜率を毎秒0.05オングストロ
ーム程度として、例えば1オングストローム、2オング
ストローム、3オングストローム…というような極端に
薄い膜を充分な再現性を以って成膜することができた。
【0035】さて、表2に示されている磁気特性を有す
る各磁性層を備えている図6に示されている構成態様の
光磁気記録媒体において、初期化層として機能する第四
磁性層5と、第一磁性層2及び第二磁性層3と初期化層
として機能する第四磁性層5との間の磁気的交換相互作
用を接断制御するスイッチ層として機能する第三磁性層
4との間に設けた水平磁化膜として機能する強磁性金属
原子層による第一調整層7、及び前記の第三磁性層4
と、書込みの補助を行なう補助層としての機能を有する
第二磁性層3との間に設けた水平磁化膜として機能する
強磁性金属原子層による第二調整層8、ならびに前記し
た書込みの補助を行なう補助層としての機能を有する第
二磁性層3と、記録再生のための記録層として機能する
第一磁性層2との間に設けた水平磁化膜として機能する
強磁性金属原子層による第三調整層9などのすべての調
整層の厚さを1オングストロームとした場合と、前記し
たすべての調整層の厚さを2オングストロームとした場
合と、前記したすべての調整層の厚さを3オングストロ
ームとした場合との3種類の光磁気記録媒体を試料と
し、前記した試料の光磁気記録媒体を再生装置に装着し
て毎分1800回転で回転させた状態にして、光磁気記
録媒体の半径が30mmに位置する部分の1つの記録跡
に対して、周波数値が2MHzでデューティサイクルが
50%の矩形波と周波数値が3MHzでデューティサイ
クルが50%の矩形波とを交互に記録したときに得られ
るC/Nの値によって直接重ね書きの性能を判断しとこ
ろ、表4に示されるような結果が得られた。前記の記録
時におけるレーザ光の強度は、情報「0」の記録時の記
録媒体上では10ミリワット、情報「1」の記録時の記
録媒体上では5ミリワットであった。
【0036】
【表4】
【0037】表4にされている実験の結果をみると、表
2に示されている磁気特性を有する各磁性層を備えてい
る図6に示されている構成態様の光磁気記録媒体におい
ては初期化層として機能する第四磁性層5と、第一磁性
層2及び第二磁性層3と初期化層として機能する第四磁
性層5との間の磁気的交換相互作用を接断制御するスイ
ッチ層として機能する第三磁性層4との間に設けた水平
磁化膜として機能する強磁性金属原子層による第一調整
層7、及び前記の第三磁性層4と、書込みの補助を行な
う補助層としての機能を有する第二磁性層3との間に設
けた水平磁化膜として機能する強磁性金属原子層による
第二調整層8、ならびに前記した書込みの補助を行なう
補助層としての機能を有する第二磁性層3と、記録再生
のための記録層として機能する第一磁性層2との間に設
けた水平磁化膜として機能する強磁性金属原子層による
第三調整層9などのすべてのコバルトによる調整層の膜
厚を2オングストロームとした場合に、最も良好なC/
Nを得ることができたこと、及び、前記した各調整層7
〜8の膜厚が零の場合(各調整層7〜9を設けない場合
と同じ)には重ね書きが不可能であったこと、ならびに
コバルトによる調整層7〜9の膜厚が大となるのにつれ
てバイアス磁界の最適強度が増大していること等が判か
る。前記のようにコバルトによる調整層7〜9の膜厚が
大となるのにつれてバイアス磁界の最適強度が増大して
いるのは、コバルトによる調整層7〜9の膜厚が大とな
るのにつれて、補助層3と記録層2との間の磁気的交換
換相互作用が減少することを補うのに必要なためであろ
うと考えられる。
【0038】また表5は、前記した表4の実験結果を得
るのに用いられた光磁気記録媒体、すなわち、表2に示
されている磁気特性を有する各磁性層を備えている図6
に示されている構成態様の光磁気記録媒体に設けられて
いたそれぞれ膜厚が2ミクロンのコバルトの層によって
構成されている3つの調整層(第一調整層7と第二調整
層8と第三調整層9)について、前記した3つの調整層
の内のどれか1個の調整層を除去した構成態様の3種類
の光磁気記録媒体を作って試料に用い、試料とされた前
記の3種類の光磁気記録媒体について、重ね書きの可能
性の有無を調べた結果を示す表である。表5に示されて
いる結果をみると、それぞれの磁性層が表2に示されて
いる磁気特性を有しているような各磁性層を備えている
図6に示されている構成態様の光磁気記録媒体から、膜
厚が2オングストロームのコバルトの層で構成された第
一調整層7だけが除去された構成態様の光磁気記録媒体
の場合と、それぞれの磁性層が表2に示されている磁気
特性を有しているような各磁性層を備えている図6に示
されている構成態様の光磁気記録媒体から、膜厚が2オ
ングストロームのコバルトの層で構成された第二調整層
8だけが除去された構成態様の光磁気記録媒体の場合と
においては、ともに重ね書きが不可能であり、また、そ
れぞれの磁性層が表2に示されている磁気特性を有して
いるような各磁性層を備えている図6に示されている構
成態様の光磁気記録媒体から、膜厚が2オングストロー
ムのコバルトの層で構成された第三調整層9だけが除去
された構成態様の光磁気記録媒体の場合とにおいては、
重ね書きが可能であることが判かる。
【0039】前記した表5に示されている結果による
と、表4の実験結果を得るのに用いられた光磁気記録媒
体(表2に示されている磁気特性を有する各磁性層を備
えている図6に示されている構成態様の光磁気記録媒
体)に設けられていたそれぞれ膜厚が2ミクロンのコバ
ルトの層によって構成されている3つの調整層(第一調
整層7と第二調整層8と第三調整層9)の内で、第一調
整層7と第二調整層8とは重ね書きのためには不可欠で
あるが、第三調整層9はそれの有無がC/Nには影響し
ないという結果になっている。しかし、前記の第三調整
層9は記録再生のための記録層として機能する第一磁性
層2と、書込みの補助を行なう補助層としての機能を有
する第二磁性層3とにおける記録過程での同時磁化反転
の状態を左右するものであって、既述のように第三調整
層9は、記録再生のための記録層として機能する第一磁
性層2を構成している磁性材料と、書込みの補助を行な
う補助層としての機能を有する第二磁性層3を構成して
いる磁性材料とに応じて、前記した2つの磁性層間に働
く磁気的交換相換相互作用によって生じる媒体ノイズが
増大したり、記録された磁区の不安定さを生じる等のこ
とがあった場合に、前記した記録層2と補助層3との間
に第三調整層9を設けることにより前述のような不都合
を除去するために有効である。
【0040】次に図7と図8とは、表1に示されている
磁気特性を有する各磁性層を備えている図5に示されて
いる構成態様の光磁気記録媒体において、初期化層とし
て機能する第四磁性層5と、第一磁性層2及び第二磁性
層3と初期化層として機能する第四磁性層5との間の磁
気的交換相互作用を接断制御するスイッチ層として機能
する第三磁性層4との間に設けた水平磁化膜として機能
する強磁性金属原子層による第一調整層7、及び前記の
第三磁性層4と、書込みの補助を行なう補助層としての
機能を有する第二磁性層3との間に設けた水平磁化膜と
して機能する強磁性金属原子層による第二調整層8など
の各調整層として、膜厚が2オングストロームのコバル
ト膜を用いて構成した光磁気記録媒体を再生装置に装着
して毎分1800回転で回転させた状態とし、光磁気記
録媒体の半径が30mmに位置する部分の1つの記録跡
に対して記録した周波数値が3MHzでデューティサイ
クルが50%の矩形波を再生したときに得られる再生信
号強度の特性曲線図(図7)と、前記の光磁気記録媒体
に半径が30mmに位置する部分の1つの記録跡に対し
て記録した周波数値が4MHzでデューティサイクルが
50%の矩形波を再生したときに得られる再生信号強度
の特性曲線図(図8)とを示している。前記したコバル
ト層を用いた調整層の厚さを種々に変えて実験したとこ
ろ、膜厚が2オングストロームの場合に最良の結果が得
られた。なお、光磁気記録媒体に対する信号の記録時に
おけるレーザ光の強度は、情報「0」の記録時の記録媒
体上では10ミリワット、情報「1」の記録時の記録媒
体上では5ミリワットであった。
【0041】
【表3】
【0042】本発明の光磁気記録媒体は表3に示されて
いる磁気特性を有する各磁性層を備えてさせても構成で
きる。すなわち、図1に示す構成態様の光磁気記録媒体
において、各磁性層として表3に示されている磁気特性
を有するものとし、初期化層として機能する第四磁性層
5と、第一磁性層2及び第二磁性層3と初期化層として
機能する第四磁性層5との間の磁気的交換相互作用を接
断制御するスイッチ層として機能する第三磁性層4との
間に設けた水平磁化膜として機能する強磁性金属原子層
による第一調整層7、及び前記の第三磁性層4と、書込
みの補助を行なう補助層としての機能を有する第二磁性
層3との間に設けた水平磁化膜として機能する強磁性金
属原子層による第二調整層8などのすべての調整層とし
て、膜厚が2オングストロームのコバルト膜を用いて構
成した光磁気記録媒体のように、記録層等の磁性層とし
て組成の異なる磁性層が用いられた場合においても直接
重ね書きを良好に行なうことができた。すなわち、前記
のような構成の光磁気記録媒体を再生装置に装着して毎
分1800回転で回転させた状態にして、光磁気記録媒
体の半径が30mmに位置する部分の1つの記録跡に対
して記録した周波数値が3MHzでデューティサイクル
が50%の矩形波を再生したときに得られる再生信号強
度は42dBであり、また、前記の記録跡に記録した周
波数値が4MHzでデューティサイクルが50%の矩形
波を再生したときに得られる再生信号強度は40dBで
あった。なお、前記の記録時におけるレーザ光の強度
は、情報「0」の記録時の記録媒体上では10ミリワッ
ト、情報「1」の記録時の記録媒体上では5ミリワット
であった。
【0043】本発明の磁気記録媒体において使用される
水平磁化膜として機能する強磁性金属原子層による調整
層として、コバルトと同じ遷移金属で磁気構造が似てい
る鉄やニッケルを用いることができることは明らかであ
る。なお、水平磁化膜として機能する強磁性金属原子層
による調整層としてTbの層を用いても、Tbを用いて
構成した調整層では、コバルトの層を調整層として用い
たときに調整層に生じた調整作用は生じなかった。その
理由としては、Tbは低温では強磁性を示すが、室温以
上では磁化を有さないために、室温での動作時には磁気
的交換相互作用を及ぼすことができないからであろうと
考えられる。
【0044】
【発明の効果】以上、詳細に説明したところから明らか
なように本発明の光磁気記録媒体は、四層型の光磁気デ
ィスクにおいて、第四磁性層と第三磁性層との間と、第
三磁性層と第二磁性層との間とに、それぞれ個別に設け
た水平磁化膜として機能する強磁性金属原子層、及び前
記した第四磁性層と第三磁性層との間と、前記した第三
磁性層と第二磁性層との間と、前記した第二磁性層と第
一磁性層との間とに、それぞれ個別に設けた水平磁化膜
として機能する強磁性金属原子層として用いた例えばコ
バルト、鉄、ニッケルの少なくとも一つを含む厚さが1
オングストローム乃至5オングストロームの薄層によ
り、それの両側の磁性層中に含まれる重希土類金属元素
と遷移金属元素同士の磁気モーメントを適度に結合させ
るようにしたので、前記した水平磁化膜として機能する
強磁性金属原子層の両側の垂直磁化膜として機能する磁
性層は、それらのキュリー温度の相互関係だけが所定の
ように定められていれば、各磁性層の保磁力は任意に設
定できるから所定の特性を有する光磁気ディスクを容易
に提供できるのであり、また、本発明の光磁気記録媒体
では第三磁性層と第四磁性層とが第二磁性層に及ぼす磁
気的交換相互作用を水平磁化膜として機能する強磁性金
属原子層によって調整できるので、レーザ光による記録
感度を低下させることがなく、さらに四層型の光磁気記
録媒体における4つの磁性層だけを備えても直接重ね書
きができない場合であっても、水平磁化膜として機能す
る強磁性金属原子層による調整層により直接重ね書きを
可能にできるので、本発明によれば直接重ね書きのでき
る光磁気記録媒体の構成に用いられる磁性層の構成材料
の選択の巾が広がるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光磁気記録媒体の一部の断面図であ
る。
【図2】本発明の光磁気記録媒体の一部の断面図であ
る。
【図3】各磁性層の磁気特性例図である。
【図4】レーザ光の強度変調の状態を示す図である。
【図5】本発明の光磁気記録媒体の一部の断面図であ
る。
【図6】本発明の光磁気記録媒体の一部の断面図であ
る。
【図7】再生特性例を示す曲線図である。
【図8】再生特性例を示す曲線図である。
【図9】従来の光磁気記録媒体の説明図である。
【図10】光磁気記録媒体の磁性層の磁気特性例図であ
る。
【図11】従来の光磁気記録媒体の説明図と、光磁気記
録媒体の磁性層の磁気特性例図である。
【符号の説明】
1…基板、2…記録再生のための記録層として機能する
第一磁性層、3…書込みの補助を行なう補助層としての
機能を有する第二磁性層、4…スイッチ層として機能す
る第三磁性層、5…初期化層として機能する第四磁性
層、6…エンハンス層(反射防止層)、7〜9…水平磁化
膜として機能する強磁性金属原子層によって構成される
調整層、
【表5】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録再生のための記録層として機能する
    第一磁性層と、書込みの補助を行なう補助層としての機
    能を有する第二磁性層と、前記した第一磁性層及び第二
    磁性層と初期化層として機能する第四磁性層との間の磁
    気的交換相互作用を接断制御するスイッチ層として機能
    する第三磁性層と、前記した第四磁性層とを少なくとも
    備えている光磁気記録媒体において、前記した第四磁性
    層と第三磁性層との間と、前記した第三磁性層と第二磁
    性層との間とにそれぞれ個別に水平磁化膜として機能す
    る強磁性金属原子層を備えさせてなる光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 記録再生のための記録層として機能する
    第一磁性層と、書込みの補助を行なう補助層としての機
    能を有する第二磁性層と、前記した第一磁性層及び第二
    磁性層と初期化層として機能する第四磁性層との間の磁
    気的交換相互作用を接断制御するスイッチ層として機能
    する第三磁性層と、前記した第四磁性層とを少なくとも
    備えている光磁気記録媒体において、前記した第四磁性
    層と第三磁性層との間と、前記した第三磁性層と第二磁
    性層との間と、前記した第二磁性層と第一磁性層との間
    とに、それぞれ個別に水平磁化膜として機能する強磁性
    金属原子層を備えさせてなる光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 水平磁化膜として機能する強磁性金属原
    子層を、コバルト、鉄、ニッケルの少なくとも一つを含
    む厚さが1オングストローム乃至5オングストロームの
    薄層によって構成した請求項1または請求項2の光磁気
    記録媒体。
JP34395691A 1991-12-02 1991-12-02 光磁気記録媒体 Pending JPH05159389A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5903526A (en) * 1996-09-20 1999-05-11 Victor Company Of Japan, Ltd. Magneto-optical recording medium having multiple magnetic layers
SG96659A1 (en) * 2001-11-08 2003-06-16 Inst Data Storage Laminated antiferromagnetically coupled media for data storage

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