JPH05157975A - 顕微鏡ステージおよびその製造方法 - Google Patents

顕微鏡ステージおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH05157975A
JPH05157975A JP32200391A JP32200391A JPH05157975A JP H05157975 A JPH05157975 A JP H05157975A JP 32200391 A JP32200391 A JP 32200391A JP 32200391 A JP32200391 A JP 32200391A JP H05157975 A JPH05157975 A JP H05157975A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stage
coating
base material
sprayed
ceramic particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP32200391A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomohiro Kitahara
友博 北原
Yoshimasa Kiyomatsu
芳正 清松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Optical Co Ltd filed Critical Olympus Optical Co Ltd
Priority to JP32200391A priority Critical patent/JPH05157975A/ja
Publication of JPH05157975A publication Critical patent/JPH05157975A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Microscoopes, Condenser (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的とするところは、スライドガラス
の着脱に対する耐磨耗性を十分に高めた顕微鏡ステージ
を得ることにある。 【構成】ステージ母材と、このステージ母材の表面に形
成されると共に、表面が未仕上げ状態のセラミックス粒
子溶射被膜と、このセラミックス粒子溶射被膜の未仕上
げ状態の表面に形成される樹脂層とより構成した顕微鏡
ステージとする。また、ステージ母材の表面を粗面に処
理する工程と、この工程により粗面に処理された母材の
表面にプラズマ溶射法によりセラミックス粒子を溶射し
て溶射被膜を形成する工程と、この工程により形成され
た表面未仕上げ状態の溶射被膜の表面に、樹脂材をコー
ティングして樹脂層を形成することにより、平滑面を得
る工程とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は顕微鏡にかかわり、特に
ステージの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】標本を載置するための台である顕微鏡の
ステージは、板ガラス等で作られた標本(プレパラー
ト)を、観察用のレンズ系における対物レンズの光軸に
対してXおよびY軸方向に移動させることができ、標本
を保持しつつ、その標本の観察したい領域を対物レンズ
の光軸に対して移動させることができるものである。
【0003】一般的に従来のステージは、図5に示すよ
うに、方形板状のステージ本体100の中央に照明光を
透過させるための長孔100aが穿設されており、顕微
鏡の図示しないベース(鏡体)に立てられた支柱に、ス
テージの面を水平にして取り付けられ、図示矢印Y方向
に移動可能に保持されている。
【0004】ステージ本体100における一端側(前記
支柱側)にはその側縁に平行に移動するガイド100b
が設けられ、このガイド100bには標本ホルダ200
がその一端側近傍をねじ200aにより、着脱自在に取
り付けられる。
【0005】標本ホルダ200は板体で作られており、
方形の基部200bの一端縁は図のように舌片を伸延さ
せて固定アーム部200cとしてあるとともに、基部2
00bにはこの固定アーム部200cと対向するように
鉤形のプレパラート押さえ爪200dを設けてある。プ
レパラート押さえ爪200dは鉤形に折り曲る部分に軸
200eを設けて、この軸200eを図のようにガイド
100bに取り付ける共に、バネを設けて軸200eを
中心にプレパラート押さえ爪200dが矢印C方向に偏
倚されるようにしてある。
【0006】また、プレパラート押さえ爪200dは固
定アーム部200cと対向する辺が弓型に湾曲してお
り、操作レバー部200fを矢印A方向に手で操作する
ことで、固定アーム部200cに対向するプレパラート
押さえ爪200dの片は矢印B方向に開くことができる
ようにしてある。そして、操作レバー部200fを放す
と、プレパラート押さえ爪200dはC方向に戻るよう
になっている。
【0007】このような構成において、ステージに標本
であるスライドガラス300をセットするには、標本ホ
ルダ200におけるプレパラート押さえ爪200dをバ
ネ力に抗して矢印B方向に開き、ステージ本体100の
板面を滑らせて、スライドガラス300を標本ホルダ2
00部分に押し込む。すなわち、固定アーム部200c
と基部200bおよびプレパラート押さえ爪200dで
囲まれる領域にスライドガラス300を押し込み、スラ
イドガラス300の端縁が固定アーム部200cおよび
基部200bの内側に接するようにする。
【0008】この状態で、プレパラート押さえ爪200
dを放すと、プレパラート押さえ爪200dはバネ力に
より矢印C方向に回動し、スライドガラス300を標本
ホルダ200の内側縁部分に押し付ける。プレパラート
押さえ爪200dは弓型に反っており、スライドガラス
300の側を凹部としてあるので、スライドガラス30
0はプレパラート押さえ爪200dの凹部で抱え込まれ
るように標本ホルダ200の内側縁部分に押し付けられ
る結果、固定アーム部200cおよび基部200bに接
するかたちで定位置に保持されることになる。そして、
観察が済むと、再びプレパラート押さえ爪200dを手
で開き、スライドガラス300を手前に引き出して取り
出す。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、スライド
ガラスを顕微鏡のステージにセットするには標本ホルダ
のプレパラート押さえ爪を開き、ステージ上を滑らせな
がらスライドガラスを標本ホルダの定位置にセットし、
プレパラート押さえ爪を閉じる。
【0010】これは本来の操作法であるが、多数の検体
を次々に捌いてゆかなければならないような現場で使用
される場合等では、いちいちプレパラート押さえ爪を開
いてスライドガラスをセットすると云ったことはせず、
作業能率の点からスライドガラスの端部でこじ開けるよ
うにしてプレパラート押さえ爪を開き、スライドガラス
を標本ホルダの定位置にセットすると云った使い方をす
る。
【0011】その際、ステージ上に強く押し付けるよう
なかたちでスライドガラスを滑らせることになり、その
結果、ステージ上面をスライドガラスで削り取るような
状態になる。
【0012】一般的に顕微鏡は軽量化と型成形の容易さ
の観点から、構造物はアルミニウムを素材として構成し
ており、ステージもアルミニウムで形成してある。素材
としてのアルミニウムは極めて柔らかいものであり、表
面にはフッ素系固体潤滑材を塗布したり、あるいはメッ
キを施したりしているものの、硬いスライドガラスを滑
らせていると、表面の塗膜を削り、やがて母材であるア
ルミニウム層までもを削り出すことになる。
【0013】顕微鏡は通常、長年に亙って使用する機材
であり、このようなステージの磨耗は見苦しいものであ
るばかりか、削られて発生した粉末が検体に付着したり
して支障を来す。
【0014】そこで、この発明の目的とするところは、
硬いスライドガラスの着脱にも十分耐えることができ、
いつまでも美観を保つことができると共に製造が容易で
耐久性の高い、しかも、表面の滑らかな顕微鏡ステージ
を低コストで提供できるようにすることにある。また、
本発明の他の目的は、上記表面保護膜を少ない工数で容
易かつ安定に形成することのできる顕微鏡ステージの製
造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は次のような手段を講じた。すなわち、第1
の目的を達成するために、ステージ母材と、このステー
ジ母材の表面に形成されると共に、表面が未仕上げ状態
のセラミックス粒子溶射被膜と、このセラミックス粒子
溶射被膜の未仕上げ状態の表面に形成される樹脂層とよ
り構成した顕微鏡ステージとする。
【0016】また、第2の目的を達成するために、ステ
ージ母材の表面を粗面に処理する工程と、この工程によ
り粗面に処理された母材の表面にプラズマ溶射法により
セラミックス粒子を溶射して溶射被膜を形成する工程
と、この工程により形成された表面未仕上げ状態の溶射
被膜の表面に、樹脂材をコーティングして樹脂層を形成
することにより、平滑面を得る工程とを備える。
【0017】
【作用】上記手段を講じたことにより、次のような作用
が生じる。すなわち、ステージの母材表面に硬いセラミ
ックス粒子の溶射被膜を形成し、その上に樹脂をコーテ
ィングして表面保護膜とするようにしたことから、溶射
被膜の表面が粗くとも、コーティングされた樹脂により
凹凸が埋められて滑らかな表面が得られる。従って、硬
い溶射被膜の研磨は必要とせず、手間のかかる研磨工程
は一切不要となる。
【0018】また、樹脂層はスライドガラスを着脱によ
り最初のうちは削られることになるが、硬い溶射被膜の
凸部が露出する段階で、この溶射被膜の凸部がスライド
ガラスに触れるようになるので、それ以上の樹脂層の磨
耗は抑制され、溶射被膜の凹部に埋まった樹脂と共同し
て非常に滑らかな表面保護膜を形成することになる。そ
して、硬い溶射被膜とその凹部を埋める樹脂層がステー
ジの母材を保護する。
【0019】従って、顕微鏡ステージの耐磨耗性が飛躍
的に向上し、また、耐磨耗性があることから、その後の
発塵も抑止できる。また、プラズマ溶射法によりセラミ
ックス粒子の溶射被膜を形成することから、セラミック
ス被膜を容易かつ安定に形成でき、また、被膜は研磨工
程を一切必要としないことから製造工程が簡素化され
る。
【0020】
【実施例】以下、本発明の一実施例について、図面を参
照して説明する。 (第1実施例)
【0021】第1実施例は本発明の基本となる発明であ
って、図1はこの基本発明の実施例を示す工程図であ
り、また、図2および図3はプラズマ溶射方法を説明す
るための図である。本発明ではプラズマ溶射法によるセ
ラミックスの被膜をステージの表面に形成するもので、
はじめにその原理を説明しておく。
【0022】図2はプラズマ溶射法に使用するプラズマ
溶射ガン20を示すもので、内径が細く絞られたプラズ
マガス放出路21aを有するノズル21の内側にはプラ
ズマガス放出路21aの開口部近傍に電極(陰極)が配
置され、ノズル21は陽極としてあって、これら陽極‐
陰極間に高圧電圧を印加し、ノズル21内にプラズマガ
スを供給することで、これら電極間にプラズマ放電させ
る。このとき、プラズマガスはプラズマ放電により高温
になり、プラズマ炎22となって勢い良くプラズマガス
放出路21aからノズル21外に噴出される。
【0023】ノズル21の外側にはプラズマガス放出路
21aに近接させてセラミックス粉末の供給パイプ23
が配設されており、ノズル21から放出されるプラズマ
炎22のジェット流によってセラミックス粉末はプラズ
マ炎22の中に吸い込まれ、プラズマ炎22の熱で溶か
されてジェット流とともに飛ばされる。
【0024】ノズル21の外部には所定間隔離してステ
ージの母材24が配置され、プラズマ炎22のジェット
流はこの母材24の表面に吹き付けられる。その結果、
ジェット流内の溶融したセラミックス粒子は母材24の
表面に勢い良くぶつかり、母材24の表面に溶着して溶
射被膜25を形成する。
【0025】図3はこの溶射被膜25の形成の様子を模
式的に描いたもので、ジェット流に乗って勢い良く放出
された高温のセラミックス溶射粒子26は、母材24の
表面に次々に溶着し、溶射被膜25を形成する。セラミ
ックス溶射粒子26は一つ一つは小さな粒であり、母材
24の表面に到達すると冷やされるため、粒子間には隙
間(気孔)27が生じている。しかし、極めて容易に母
材24の表面に硬いセラミックスの膜を形成することが
できる。
【0026】次に本発明による顕微鏡ステージの表面保
護膜形成方法を説明する。図1(a)に示すように、顕
微鏡のステージを構成する母材1に、ブラストをかけ
て、表面を粗面1aに仕上げる。このときのブラストの
吹き付け強さの条件は1〜3kg/cm2 程度である。
【0027】次に25μm〜45μm程度の粒度のセラ
ミックス粉末をプラズマ溶射ガンにより、ステージの母
材1の表面に溶射してセラミックスの溶射粒子による厚
み0.4〜0.5mm程度の溶射被膜2を形成する(図1
(b))。尚、ブラスト後、溶射までの放置時間は4時
間以内とした。また、溶射時の表面温度を摂氏100〜
200度とした。
【0028】このようにして形成した溶射被膜2の表面
は粒子を溶射したものであるから、細かい凹凸が無数に
あり、その山と谷の高低差は50〜100μm程度あ
る。従って、このままでは粗すぎるのでもう少し滑らか
にする必要がある。
【0029】そこで、溶射被膜2を研磨装置3により研
磨し(図1(c))、0.15〜0.3mm厚程度の表面
保護膜2aに仕上げる(図1(d))。この研磨は表面
の粗さが6μm程度となるように仕上げられる。この研
磨が完了すると、ステージとして完成する。
【0030】セラミックスの溶射粒子による表面保護膜
2aの表面硬度はHv(ビッカース硬度)700〜10
00程度ある。これはガラスに対する硬度として十分な
ものであり、また、本基本例の場合、母材1にはセラミ
ックスの溶射粒子による表面保護膜2aが1層形成され
るだけの極めてシンプルな構成となることから、従来の
多層構造のステージに比べて、製造時の工数が大幅に簡
素化される。
【0031】因みに、従来のステージはアルミニウム母
材の上に、酸化被膜(アルマイト膜;厚み4〜6μm程
度)を形成し、その上にモリブデン系の固体潤滑材(厚
み2〜15μm程度)層を形成し、さらにその上にフッ
素系の固体潤滑材(厚み5〜7μm程度)層を形成する
と云った構造としたり、母材上にPNiメッキ(リン・
ニッケルの無電解メッキ;厚み3μm程度)層を形成
し、さらにその上にNiとセラミックス複合メッキ(無
電解メッキ;厚み2〜15μm程度)を施し、さらにそ
の上に厚み1μm程度のCrメッキを施すと云った構造
としている。
【0032】しかし、本発明では母材1にセラミックス
の溶射粒子による表面保護膜2aを1層形成するだけで
あるため、従来の多層構造のステージに比べて、製造時
の工数が大幅に簡素化される。
【0033】母材に対するセラミックスの溶射粒子の密
着強度は、使用するセラミックス粒子の粒度が10〜4
4μmである場合、400〜800kg/cm2 程度と
なる。これは十分な密着力であり、剥離の心配はないと
云える。
【0034】また、セラミックスの溶射粒子による表面
保護膜は耐磨耗性が極めて高い。因みに本発明方法で製
作したステージの耐磨耗試験を次のような条件で行った
結果、半永久的な耐性が確認された。
【0035】耐磨耗試験はガラス片を150gから20
0gの荷重を与えてステージに接触させ、ステージを毎
分15回転させながら擦ると云う方法で50万回相当分
に亙り、継続的に行った。
【0036】その結果、磨耗は全く認められず、この条
件では半永久的な耐磨耗性が得られることがわかった。
参考までに、同一条件で試験すると、フッ素系固体潤滑
材の場合、8万回ないし10万回程度で磨滅し、また、
スズメッキでは3万回程度の耐磨耗性であった。また、
Niとセラミックス複合メッキでは無電解メッキである
ため、セラミックスの密着力が十分でないため、剥離が
起き易く、十分な耐磨耗性は期待できない。
【0037】また、本発明の手法によれば、耐磨耗性を
確保しつつ、材料の選択と配合比により溶射被膜の色を
変えることができる。例えば、使用するセラミックス粉
末としてアルミナ(Al2 3 )99.6%以上(残り
は酸化鉄、シリカなど)とすると溶射被膜の色はホワイ
トとなり、この場合、Hv800〜1000の硬度が確
保できる。また、アルミナ96%,チタニア(Ti
2 )2.3%以上とするとグレーとなり、この場合、
Hv700〜900の硬度が確保できる。
【0038】また、アルミナ80〜87%,チタニア2
0〜13%とするか、あるいはチタニア96%以上とす
ると溶射被膜の色は濃いグレーとなり、この場合、Hv
800〜900の硬度が確保でき、また、アルミナ50
〜60%,チタニア50〜40%とするとブラックとな
って、この場合、Hv700〜900の硬度が確保でき
る。
【0039】以上の基本構成ではステージを構成する母
材1の上面にセラミックス粒子の溶射被膜2を形成し、
これを研磨して仕上げた構成であった。このようなセラ
ミックス粒子の溶射被膜による表面保護膜2aは溶射被
膜であるが故に気孔率が高い。すなわち、孔だらけであ
り、そのために研磨しても十分な滑らかさが得られな
い。研磨は平面研削盤による研磨加工により6μm程度
の粗さにはなるが、これで十分と云う訳ではない。そし
て、研磨するには研磨工程が必要であり、これは非常に
硬い溶射被膜2を対象とするだけに手間がかかる。
【0040】また、気孔率が高いと溶射被膜の表面を研
削した場合、十分に滑らかな表面が得られない。また、
腐食性ガスや腐食性液体を使用する環境の場合、腐食性
ガスや腐食性液体が気孔を透過して母材を腐食させ、被
膜を浮き上がらせる懸念がある。さらにまた、セラミッ
クス粒子の溶射被膜は非常に硬いので、研磨工程そのも
のも作業が非常に大変である。
【0041】そこで、表面保護膜を形成するにあたり、
溶射被膜に対する研磨工程はもとより、一切の研磨工程
を省いて、しかも、十分な表面の滑らかさを確保でき、
耐食性も確保できるようにするための実施例を次に説明
する。
【0042】(第2実施例)本実施例では表面保護膜
を、溶射被膜層と、フッ素系樹脂のコーティングによる
仕上げ膜層の2層構成で形成する。すなわち、図4に示
すように、粗面1aに仕上げた母材1の表面に、セラミ
ックス粒子をプラズマ溶射して溶射被膜2を形成する
((a),(b))。
【0043】次にこの溶射したままの状態(何等の仕上
げ処理を施していない状態)で、セラミックス粒子の溶
射被膜2の表面にフッ素系樹脂のコーティング材(例え
ば、デュポン社の商品名テフロンなど)を塗布して摂氏
150〜200度で焼き付けし、150〜200μm厚
程度の仕上げ膜4を形成する(c)。
【0044】仕上げ膜4は溶射したままの状態で粗面と
なっている溶射被膜2の表面を覆うと共に、多気孔の溶
射被膜2の気孔を埋めるので、気孔はこれによってシー
ルされることから、母材1の防食効果が得られる。従っ
て、耐薬品性が飛躍的に向上し、耐磨耗性と相俟って堅
牢で耐久性の高い顕微鏡のステージが得られるようにな
る。
【0045】仕上げ膜4は溶射被膜2の表面にフッ素系
樹脂のコーティング材を塗布したものであり、製作時は
コーティング材4を塗布した状態のままで、それ以上の
仕上げ処理は一切行わない。それ故、凹凸のある溶射被
膜2の表面を覆うコーティング材による仕上げ膜4は幾
分の凹凸が残されているが、フッ素系樹脂の特性により
スライドガラスを滑らす場合での滑りは良くなる。
【0046】この状態で顕微鏡のステージとして使用し
ていると、スライドガラスの着脱により、図4(d)に
示すように、仕上げ膜4は次第に削られてゆき、やがて
溶射被膜2の表面の一部が露出しはじめる。
【0047】溶射被膜2は溶射したままの状態であるか
ら、無数の細かい凹凸があり、その凸部が露出する段階
で、この露出した非常に硬い溶射被膜2の凸部が仕上げ
膜4を、それ以上削り取られるのを防止する。すなわ
ち、溶射被膜2の谷を埋めている仕上げ膜4は、溶射被
膜2によりガードされ、それ以上削り取られることがな
い。
【0048】従って、この状態になると仕上げ膜4は表
面の凹凸が極めて滑らかとなり、しかも、溶射被膜2の
凸部の作用と相俟って、堅牢な表面保護膜を形成するこ
とになる。
【0049】このように本発明の顕微鏡ステージにおけ
る表面保護膜は、ステージ母材の表面にセラミックス粒
子の溶射被膜を形成すると共に、この溶射被膜の未仕上
げ状態の表面にフッ素系樹脂をコーティングした構成と
したことにより、溶射被膜の仕上げ工程(研磨工程)が
不要になり、また、フッ素系樹脂のコーティング層は塗
布したままでこれもまた表面研磨を省略したことから、
手間のかかる研磨工程が全く不要となって、製作効率が
向上し、大幅なコストダウンを図ることができる。
【0050】また、現場でのスライドガラスの着脱によ
り、コーティング層は次第に削られてゆくが、溶射被膜
面の凸部の露出によって、それ以上の磨耗は無くなり、
削り粉の発生も無くなる他、コーティング層が溶射被膜
面の谷間を埋めていることで表面は極めて滑らかとな
る。すなわち、現場での使用に伴い、ステージ表面は磨
きがかけられることになる。また、コーティング層が溶
射被膜面の谷間を埋めていることで、腐食性のガスや薬
品の浸透を防ぎ、耐食性を得ることができるものであ
る。尚、本発明は上記し、かつ、図面に示す実施例に限
定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変
形して実施し得るものである。
【0051】
【発明の効果】以上のように本発明は、顕微鏡ステージ
の母材にセラミックスの粉末をプラズマ溶射ガンによ
り、ステージ母材の表面に溶射してセラミックスの溶射
粒子による溶射被膜を形成し、次にこの溶射被膜の表面
にフッ素系樹脂をコーティングし、表面研磨を行わない
ようにしたものである。そのため、手間のかかる仕上げ
工程(表面研磨工程)が全く不要になることから、大幅
なコストダウンが可能になる他、現場での使用と共に、
コーティング層が削られて溶射被膜面が露出する段階で
堅牢で滑らかな表面保護膜が得られて、十分な耐磨耗性
が得られるようになる等、製作が容易でコストダウンが
図れ、また、腐食性のガスや薬品の浸透を防ぎ、耐食性
を有して、しかも、堅牢な顕微鏡ステージおよびその製
造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本となる実施例を示す工程図。
【図2】プラズマ溶射法を説明するための図。
【図3】プラズマ溶射法による溶射被膜の形成の様子を
説明するための図。
【図4】本発明の実施例を示す工程図。
【図5】顕微鏡ステージの構成を説明するための上面
図。
【符号の説明】
1,24…母材、2,25…溶射被膜、2a…表面保護
膜、3…研磨装置、4…仕上げ膜(コーティング層)、
21…ノズル、22…プラズマ炎、23…供給パイプ、
26…溶射粒子、27…隙間(気孔)。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステージ母材と、 このステージ母材の表面に形成されると共に、表面が未
    仕上げ状態のセラミックス粒子溶射被膜と、 このセラミックス粒子溶射被膜の未仕上げ状態の表面に
    形成される樹脂層とよりなることを特徴とする顕微鏡ス
    テージ。
  2. 【請求項2】 セラミックス粒子はアルミナを主成分と
    するものであることを特徴とする請求項1記載の顕微鏡
    ステージ。
  3. 【請求項3】 セラミックス粒子はアルミナとチタニア
    との混合物であることを特徴とする請求項1記載の顕微
    鏡ステージ。
  4. 【請求項4】 樹脂層はフッ素系樹脂で形成されたもの
    であることを特徴とする請求項1記載の顕微鏡ステー
    ジ。
  5. 【請求項5】 ステージ母材の表面を粗面に処理する工
    程と、 この工程により粗面に処理された母材の表面にプラズマ
    溶射法によりセラミックス粒子を溶射して溶射被膜を形
    成する工程と、 この工程により形成された表面未仕上げ状態の溶射被膜
    の表面に、樹脂材をコーティングして樹脂層を形成する
    ことにより、平滑面を得る工程とよりなることを特徴と
    する顕微鏡ステージの製造方法。
JP32200391A 1991-12-05 1991-12-05 顕微鏡ステージおよびその製造方法 Pending JPH05157975A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32200391A JPH05157975A (ja) 1991-12-05 1991-12-05 顕微鏡ステージおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32200391A JPH05157975A (ja) 1991-12-05 1991-12-05 顕微鏡ステージおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05157975A true JPH05157975A (ja) 1993-06-25

Family

ID=18138840

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32200391A Pending JPH05157975A (ja) 1991-12-05 1991-12-05 顕微鏡ステージおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05157975A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6312278B2 (ja) 半導体チャンバ構成要素のための放射率を調節したコーティング
US3942230A (en) Composite metallic roll with release surface and method of making same
US5894053A (en) Process for applying a metallic adhesion layer for ceramic thermal barrier coatings to metallic components
KR100383750B1 (ko) 수지 성형용 금형 및 수지 성형용 금형에의 경질 피막형성 방법
KR101133902B1 (ko) 코팅
KR101084553B1 (ko) 진공장치용 부품과 그 제조방법 및 그것을 이용한 장치
TW201621065A (zh) 電漿處理裝置用的零件及該零件的製造方法
CZ227593A3 (en) Process of forming shaving edge and shaving unit with such shaving edges
JP2008261329A (ja) ピストンリング溝をコーティングするための溶射方法、溶射ワイヤーの使用、および溶射層を有するピストン
JPS6137955A (ja) 溶融金属溶用ロール及びその製造方法
US6203417B1 (en) Chemical mechanical polishing tool components with improved corrosion resistance
JPH05157975A (ja) 顕微鏡ステージおよびその製造方法
JP2993790B2 (ja) 顕微鏡ステージおよびその製造方法
CN110791723B (zh) 一种耐磨高温疏水Cr3C2-NiCr涂层及其制备方法、工件
KR100722249B1 (ko) 플라즈마 용사법에 의해 제조된 내마모성이 우수한알루미나-티타니아계 코팅층
JPH05150168A (ja) 顕微鏡ステージおよびその製造方法
KR20130010557A (ko) 반도체 제조장비용 핫플레이트
CN1985027B (zh) 涂层
Ding et al. Bristle blasting surface preparation in thermal spraying
JP3217540B2 (ja) 顕微鏡ステージおよびその製造方法
CN109972073A (zh) 一种钼涂层的喷涂方法、航空发动机用部件及喷涂装置
JPH06308392A (ja) 顕微鏡ステージおよびその製造方法
KR100537555B1 (ko) 반도체 제조장비용 핫플레이트의 부식 방지방법
CN109161835A (zh) 一种热作模具钢表面制备AlCrTiN/WC-12Co复合涂层的方法
KR20190111263A (ko) 탄소 소재의 표면조도 제어를 위한 표면처리방법

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20000118