JPH05156115A - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

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JPH05156115A
JPH05156115A JP32579391A JP32579391A JPH05156115A JP H05156115 A JPH05156115 A JP H05156115A JP 32579391 A JP32579391 A JP 32579391A JP 32579391 A JP32579391 A JP 32579391A JP H05156115 A JPH05156115 A JP H05156115A
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Munenori Harada
宗紀 原田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属との摺動において優れた耐摩耗性を示す
摺動部材に間する。 【構成】 平均粒子径が0.2〜1.5μmのゴム状重
合体を分散含有するゴム変性スチレン系樹脂100重量
部に対して、平均粒子径が0.1〜0.3μmの炭酸カ
ルシウム2〜20重量部を添加して成る組成物からなる
摺動部材。 【効果】 金属との摺動においても優れた耐摩耗性を示
し、しかも相手材を摩耗しないので各種ギヤ、カム、プ
ーリー、軸受け、シャーシなどとして使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属との摺動において優
れた耐摩耗性を示す摺動部材に関する。更に詳細には、
安価であり、かつ軽量である樹脂組成物からなり、耐擦
傷性、寸法安定性、耐蝕性に優れた摺動部材である。
【0002】
【従来の技術】各種ギヤ、カム、プーリー、軸受け、シ
ャーシ等の材料は、靭性、摩擦摩耗特性、耐疲労、耐ク
リープ性、剛性等の機械的強度に優れたポリアミド、ポ
リアセタール、ポリエステル樹脂などのエンジニアリン
グプラスチックが主として使われている。
【0003】一方、当該分野においては、コストダウン
の要請も強く、一体成形などの加工技術のみならず、上
記プラスチック材料からより廉価なプラスチック材料へ
の移行について検討が進められ、ガラス繊維やカーボン
繊維で補強された汎用樹脂、例えばABS樹脂、AS樹
脂等が一部エンジニアリングプラスチックに取って変わ
っている。
【0004】更に、スチレン系樹脂のような汎用樹脂に
シリコーンオイルを含有させることによって自己潤滑性
を保有する樹脂組成物を得る事は既知であり(例えば、
トーレシリコン社「技術資料No.F02」1984年
10月発行)従来、主としてポリアセタールが使用され
ていた摺動部材に代替え使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、既知の
方法によって得られるシリコーンオイル含有ゴム変性ポ
リスチレン樹脂は、プラスチックとの摺動に関しては優
れた摩耗摩擦特性を示すものの、鋼材やアルミニウム等
の金属材料との摺動により著しく摩耗する。即ち、前記
用途に供する場合、摺動相手はプラスチックに限られ、
鋼材やアルミニウム等の金属と摺動する場合には使用で
きない。また、耐摩耗性を付与するためにガラス繊維や
カーボン繊維で補強された汎用樹脂は、樹脂自体の耐摩
耗性は改善されるが、摺動する相手材である鋼材やアル
ミニウムを摩耗させるという欠点を有している。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、係る問題に
鑑み鋭意研究の結果、ゴム変性スチレン系樹脂に特定の
粒子径を有する炭酸カルシウムを含有せしめた樹脂組成
物により金属材料との摺動においても優れた耐摩耗性を
有し,かつ、相手材も摩耗しない摺動部材を得ることを
見出だし、本発明を完成させた。
【0007】即ち、本発明は、芳香族ビニル単量体単独
または芳香族ビニル単量体と共重合可能なビニル系単量
体との混合物75〜95重量%をゴム状重合体25〜5
重量%の存在下に重合して得られる平均粒子径が0.2
〜1.5μmのゴム状重合体を分散含有するゴム変成ス
チレン系樹脂100重量部にたいし、平均粒子径が0.
10〜0.30μmの炭酸カルシウム2〜20重量部添
加してなるゴム変性スチレン系樹脂組成物よりなること
を特徴とする摺動部材を提供することにある。
【0008】本発明に使用する芳香族ビニル単量体とし
ては、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチ
レン、のような側鎖アルキル置換スチレン、ビニルトル
エン、p−メチルスチレンのような核アルキル置換スチ
レン及びモノクロルスチレン、ジクロルスチレン、トリ
ブロムスチレン、テトラブロムスチレン等のハロゲン化
スチレン等が上げられるが、好ましくはスチレン及びα
−メチルスチレンである。 芳香族ビニル単量体と共重
合可能なビニル単量体としては、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル、フマロニトリル等のニトリル系単量
体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニル
マレイミド等のマレイミド系単量体、(メタ)アクリル
酸メチル、等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体等
である。また、ゴム状重合体としては、ポリブタジエ
ン、スチレン−ブタジエン共重合体、ブタジエン−アク
リロニトリル共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン
共重合体、ブタジエン−アクリル酸エステル共重合体等
が上げられる。芳香族ビニル単量体と共重合可能なビニ
ル系単量体は、所望によって加えられるものであって、
必ずしも加える必要はない。
【0009】ゴム変性スチレン系樹脂中のゴム状重合体
は粒子状に分散され、分散相(ミクロゲルと称する)を
形成する。一方、芳香族ビニル系単量体の重合体または
芳香族ビニル系単量体と共重合可能なビニル系単量体と
の共重合体が連続相を形成する。上記ミクロゲルは芳香
族ビニル系単量体の重合体をグラフトもしくは吸蔵した
形態で存在する。ミクロゲルは電子顕微鏡写真により観
察するとき島状に存在する。ゴム変性スチレン系樹脂中
のゴム状成分の含有量は、25〜5重量%であり、ゴム
状成分の含有量が5重量%未満であれば摺動部材として
必要な衝撃強度が得られず、ゴム状成分の含有量が25
重量%を越えると摺動部材として必要な曲げ弾性率が得
られなくなる。また、ゴム状成分の平均粒子径は、0.
2〜1.5μmであり、平均粒子径が、0.2μm未満
であれば十分な衝撃強度が得られず、平均粒子径が、
1.5μmを越えると表面が荒くなり外観が悪くなるだ
けでなく、充分な耐摩耗性が得られない。
【0010】芳香族ビニル系単量体または芳香族ビニル
系単量体と共重合可能なビニル系単量体の重合は塊状重
合法、懸濁重合法、乳化重合法等の方法によって得られ
る。本発明に使用される炭酸カルシウムは、平均粒子径
0.10〜0.30μmのものであり、平均粒子径が
0.10μm未満であると炭酸カルシウムの分散が極め
て困難になるため、充分に分散されない塊状の炭酸カル
シウムがゴム変性スチレン系樹脂中に残り、摺動時には
その残った塊状の炭酸カルシウムの摩耗粉を生じる。ま
た、炭酸カルシウムの平均粒子径が0.30μmを越え
るとゴム変性スチレン系樹脂組成物の表面が荒くなり外
観が悪くなるだけでなく、充分な耐摩耗性が得られなく
なる。また、炭酸カルシウムの平均粒子径が0.30μ
mを越えるとゴム変性スチレン系樹脂組成物の衝撃強度
が低下する。
【0011】炭酸カルシウムの添加量は、ゴム変性スチ
レン系樹脂100重量部に対して2〜20重量部であ
り、添加量が2重量部未満であれば充分な耐摩耗性が得
られず、添加量が20重量部を越えると耐衝撃性が極端
に低下し、摺動部材として使用できなくなる。
【0012】炭酸カルシウムは、表面処理した物が好ま
しく、表面処理剤としては、シランカップリング剤、金
属石鹸、脂肪酸アミド系分散剤、リン酸エステル、アル
キルスルホン酸塩等の既知のものが使用できる。
【0013】更に本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成
物に摩擦係数の低減のためシリコンオイル、テトラフル
オロエチレン、超高分子量ポリエチレン等を添加しても
良い。特に、超高分子ポリエチレンを添加した場合に
は、摩擦係数の低減だけでなく耐摩耗性を更に向上させ
ることができる。
【0014】また、本発明の組成物には酸化防止剤、紫
外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤等の
添加剤を添加しても良い。
【0015】本発明の組成物を製造する方法としては、
ゴム変性スチレン系樹脂と炭酸カルシウムを単軸押出
機、二軸押出機等の混合機で溶融混合すれば良い。この
組成物を射出成形、押出成形等の成形方法で本発明の摺
動部材を得ることができる。
【0016】
【実施例】以下実施例により、本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例中の部、%は特に説明のない限り重量部、
重量%を示す。
【0017】評価方法 (1)動摩擦係数及び比摩耗量 : 鈴木式摩擦摩耗試
験機を用い周速度 :30cm/sec, 荷重 :2
kg, 接触面積 :2cm2 ,の条件でステンレス
(SUS303)との動摩擦係数及び比摩耗量を測定し
た。
【0018】(2)引張り強さ :ASTM−D638
に準拠した。
【0019】(3)曲げ強さ及び曲げ弾性率 :AST
M−D790に準拠した。
【0020】(4)アイゾット衝撃強さ :ASTM−
D256に準拠した。
【0021】(5)表面光沢 :グロスメーター(村上
色彩技術研究所(株)製「GM−3M」)を用い60°
−60°グロスを測定した。
【0022】(実施例1)平均粒子径0.25μmのポ
リブタジエン12重量%及び平均粒子径0.60μmの
スチレン−ブタジエン共重合体1重量%を分散含有し、
スチレン75重量部に対しアクリロニトリル25重量部
が共重合されているABS樹脂100重量部と平均粒子
径が0.15μmの炭酸カルシウム10重量部をVブレ
ンダーで20分間ブレンドし、さらに一軸押出機(30
mm)で溶融混合し、ペレットにしてサンプルに供し
た。
【0023】本サンプルについて前記方法で動摩擦係
数、比摩耗量、機械的物性、表面光沢度を測定した結果
を表−1に示す。
【0024】実施例2,3 比較例1,2 炭酸カルシウムの配合量を変えた以外は実施例1と同様
にしてゴム変性スチレン系樹脂組成物を得た。結果を表
−1に示す。
【0025】実施例4,5 比較例3,4 炭酸カルシウムの平均粒子径を変えた以外は実施例1と
同様にしてゴム変性スチレン系樹脂組成物を得た。結果
を表−1に示す。
【0026】実施例6 平均粒子径0.25μmのポリブタジエン12重量%及
び平均粒子径0.6μmのスチレン−ブタジエン共重合
体1重量%を分散含有し、スチレン75重量部に対して
アクリロニトリルが25重量部共重合されているABS
樹脂100重量部と平均粒子径が0.15μmの炭酸カ
ルシウム5重量部及び超高分子量ポリエチレン(三井石
油化学(株)製ミペロンXM−220)3重量部をVブ
レンダーで20分間ブレンドし、更に一軸押出機(30
mm)で溶融混合し、ペレットにしてサンプルに供し
た。本サンプルについて前記方法で動摩擦係数、比摩耗
量、機械的物性、表面光沢度を測定した結果を表−1に
示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】表−1に示すように本発明のゴム変性ス
チレン系樹脂組成物は、金属との摺動においても優れた
耐摩耗性を示し、しかも、ガラス繊維やカーボン繊維で
補強された樹脂と異なり相手材を摩耗しないので安価、
軽量、機械的物性及び耐摩耗性に優れた各種ギヤ、カ
ム、プーリー、軸受け、シャーシ等を製造する事ができ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ビニル単量体単独または芳香族
    ビニル単量体と共重合可能なビニル系単量体との混合物
    75〜95重量%をゴム状重合体25〜5重量%の存在
    下に重合して得られる平均粒子径が0.2〜1.5μm
    のゴム状重合体を分散含有するゴム変成スチレン系樹脂
    100重量部にたいし、平均粒子径が0.10〜0.3
    0μmの炭酸カルシウム2〜20重量部添加してなるゴ
    ム変性スチレン系樹脂組成物よりなることを特徴とする
    摺動部材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010202800A (ja) * 2009-03-04 2010-09-16 Sakushin Kogyo Kk 摺動性樹脂成形物
JP2013040252A (ja) * 2011-08-12 2013-02-28 Umg Abs Ltd 被印刷体摺動用樹脂材料および被印刷体摺動用成形体
JP2015120936A (ja) * 2015-03-30 2015-07-02 ユーエムジー・エービーエス株式会社 被印刷体摺動用樹脂材料および被印刷体摺動用成形体

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JP2013040252A (ja) * 2011-08-12 2013-02-28 Umg Abs Ltd 被印刷体摺動用樹脂材料および被印刷体摺動用成形体
JP2015120936A (ja) * 2015-03-30 2015-07-02 ユーエムジー・エービーエス株式会社 被印刷体摺動用樹脂材料および被印刷体摺動用成形体

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