JPH05151985A - 固体電解質型燃料電池に対する供給ガスの分配構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃料電池に連通させてある複数の分岐管に対
するガスの供給量を均一化する。 【構成】 供給ガスを一端部から他端部に向けて一方向
に流す供給本管２１のその軸線方向に沿う一定間隔の位
置に、複数の分岐管２２の一端部が、これら供給本管２
１の軸線と分岐管２２の軸線とが９０度より小さい角度
で交差するよう接続され、かつそれらの各分岐管２２が
固体電解質型燃料電池２０の内部に連通されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、複数本の固体電解質
型燃料電池に対して空気などのガスを分配して供給する
ための構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】周知のように固体電解質型燃料電池は、
イットリア安定化ジルコニア（ＹＳＺ）などの固体電解
質を挟んで空気電極と燃料電極とを設け、固体電解質を
挟んだ空気と燃料ガスとの電気化学的な酸化・還元反応
に基づく起電力を前記各電極から取出すよう構成されて
いる。したがってこの種の燃料電池では、固体電解質を
挟んだ空気流路と燃料ガス流路とを気密状態に隔絶して
形成する必要があり、また反応面積を可及的に広くする
ことが好ましいので、燃料電池の構造としては固体電解
質を円形断面に形成した円筒形のものが有効である。ま
た一方、一つの燃料電池で得られる起電力はそのままで
は実用にならない程度の微弱なものであるから、通常は
複数の燃料電池を直並列に接続して所期の電力を得るよ
う構成している。

【０００３】複数本の燃料電池を組込んだ燃料電池モジ
ュールに対して空気や燃料ガスを供給するには、従来、
図２もしくは図３に示す分配器を使用している。すなわ
ち図２に示す例は、角形容器状の分配器１であって、そ
の上面中央部に供給管２が接続され、また下面には、図
示しない燃料電池の内周部に連通された複数本の分岐管
３が一定間隔で接続されている。また図３に示す例は、
ヘッダ管１１の中央部に供給管１２を接続するととも
に、そのヘッダ管１１の前記供給管１２との接続部に対
して半径方向で反対側に複数の分岐管１３を一定間隔で
接続したものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかるに上述した図２
に示す分配構造では、供給管２の開口端の近傍で、供給
ガスの慣性力などによって圧力が高くなるため、この近
辺に開口している分岐管３に対しては比較的多量のガス
が送り込まれ、ここから離れた分岐管３に対するガスの
供給量が相対的に少なくなる。

【０００５】また図３に示す分配構造においても、ヘッ
ダ管１１のうち供給管１２が開口している中央部分での
圧力が高くなるから、ヘッダ管１１の中央部に接続され
ている分岐管１３と端部に接続されている分岐管１３と
でガスの供給量が大きく異なってしまう。

【０００６】このように従来の分配構造では、燃料電池
にガスを導く分岐管に対するガスの分配率に偏りが生じ
るため、各燃料電池での発電効率が不均一となり、燃料
電池モジュール全体としての発電能力が低くなる問題が
あった。

【０００７】この発明は上記の事情に鑑みてなされたも
ので、ガスの分配率に偏りの生じにくい供給ガスの分配
構造を提供することをと目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的
を達成するために、円形断面の固体電解質の内周側と外
周側との酸素濃度差によって起電力を生じる複数本の固
体電解質型燃料電池の内周側への供給ガスの分配構造に
おいて、前記供給ガスを一端部から他端部に向けて一方
向に流す供給本管のその軸線方向に沿う一定間隔の位置
に、複数の分岐管の一端部が、これら供給本管の軸線と
分岐管の軸線とが９０度より小さい角度で交差するよう
接続され、かつそれらの各分岐管が前記固体電解質型燃
料電池の内部に連通されていることを特徴とするもので
ある。

【０００９】

【作用】この発明の分配構造においては、供給ガスは、
供給本管の内部をその一端部から他端部に向けて流れ、
これに対して各分岐管はその軸線が供給本管の軸線に９
０度より小さい角度で交差するよう供給本管に接続され
ているから、供給ガスは分岐管の交差角度とほぼ等しい
角度で分岐管に吹き込むように流れる。その場合、１本
の分岐管に対する供給量に対して充分な量のガスを供給
本管に流しておくことにより、供給本管の上流側と下流
側との位置の違いに拘らず、各分岐管でほぼ均一な吹き
込み状態となり、したがって各分岐管に対するガスの供
給量が均一化される。

【００１０】

【実施例】つぎにこの発明の実施例を図面を参照して説
明する。図１はこの発明の一実施例を示す模式図であっ
て、ここに示す例は、所定の円周上に配列した複数の燃
料電池２０の内部に空気等のガスを供給するよう構成し
た例である。すなわちこれらの燃料電池２０は、筒状に
形成した固体電解質の内周面に空気電極を形成し、かつ
外周面に燃料電極を形成した円筒状をなすものであっ
て、これらの配置位置の上方には、螺旋状の供給本管２
１が配置されている。その螺旋の半径は、燃料電池２０
の配列半径と等しく、また水平面に対する傾斜角度は一
例として４５度に設定されている。さらにその素材とし
てはステンレス鋼や銅、インコネルなどの高温下での耐
酸化性に優れたものが使用されている。この供給本管２
１には、その下方の燃料電池２０から鉛直上方に延びた
分岐管２２の上端部が接続されている。すなわち各分岐
管２２は、供給本管２１のその軸線方向に沿った一定間
隔の位置に、両者の軸線が４５度の角度をなすよう接続
されている。なお、図１において符号２３は、分岐管２
２を保持するフランジである。

【００１１】したがって上記の供給本管２１に空気等の
所定のガスをその上側の端部から供給すれば、そのガス
は供給本管２１の内部をその軸線方向に沿って流れ、各
分岐管２２の開口端の部分では、分岐管２２に４５度の
角度で吹き込むように流れる。この吹き込み状態は各分
岐管２２について同一であるから、供給本管２１に必要
充分な量のガスを供給することにより、各分岐管２２に
対するガスの流入量がほぼ等しくなる。すなわち複数本
配置されている燃料電池２０の内部に供給されるガスの
量が均一化されるので、各燃料電池２０のそれぞれが共
に高効率の発電を行い、全体としての発電効率（発電能
力）が良好になる。

【００１２】なお、上記の実施例では、燃料電池２０を
円周上に配列したことに伴って供給本管２１を螺旋状に
形成したが、この発明は上記の実施例に限定されるもの
ではなく、燃料電池を直線上に配列した場合には、供給
本管は一定角度で傾斜する直管であってもよい。また供
給本管の軸線と分岐管の軸線とがなす角度は、９０度よ
り小さい角度であれば良いのであって、上記の実施例で
示した４５度に限定されない。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したようにこの発明の分配構造
によれば、ガス供給本管に対して軸線が９０度より小さ
い角度で交差するよう一定間隔で複数の分岐管を接続し
たので、各分岐管を介してこれを接続してある燃料電池
に均等にガスが供給され、その結果、各燃料電池の発電
効率が良好な状態に維持され、全体としての発電効率が
向上し、高出力の燃料電池モジュールを得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例の模式図である。

【図２】従来の分配構造の一例を示す略解図である。

【図３】従来の分配構造の他の例を示す略解図である。

【符号の説明】

２０…燃料電池、 ２１…供給本管、 ２２…分岐管。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永田 雅克 東京都江東区木場一丁目５番１号 藤倉電 線株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円形断面の固体電解質の内周側と外周側
   との酸素濃度差によって起電力を生じる複数本の固体電
   解質型燃料電池の内周側への供給ガスの分配構造におい
   て、 前記供給ガスを一端部から他端部に向けて一方向に流す
   供給本管のその軸線方向に沿う一定間隔の位置に、複数
   の分岐管の一端部が、これら供給本管の軸線と分岐管の
   軸線とが９０度より小さい角度で交差するよう接続さ
   れ、かつそれらの各分岐管が前記固体電解質型燃料電池
   の内部に連通されていることを特徴とする固体電解質型
   燃料電池に対する供給ガスの分配構造。