JPH0515128B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は主として、原子力発電所の格納容器等
気密シールを必要とする隔壁を貫通する電線貫通
部に関するものである。

〔従来技術〕

従来の石油資源枯渇にそなえ、今日火力発電か
ら原子力発電への切換えが序々に行なわれてい
る。ところで、このような原子力発電において、
その中心部である炉は、圧力容器とも呼ばれてい
る格納容器内に収納されているが、この格納容器
の隔壁には、内部の炉の制御したり、監視したり
するために使用する耐熱性、難燃性を有する電線
が貫通する電線貫通部がいくつか設けられてい
る。このような電線貫通部には、該電線貫通部を
通して内部の放射性物質が漏洩しないよう気密構
造であることが厳しく要求される。それ故、気密
を保つべく溶接やロー付等の精度、いわゆる完全
度が一段と高いレベルで要求される。ところで、
このような電線貫通部として従来から第１図のよ
うなものがある。これは格納容器の貫通壁に気密
に取付けられる外筒１の両端に溶接部３ａで気密
に装着される複数の貫通孔２を有する端板３，５
（端板５は図示せず）であつて、前記各貫通孔２
に貫通し挿入される無機絶縁金属シース電線４
（以下MICと称す）との間を気密に溶接する場
合、MIC４の外周の溶接部２ａ全体を均一に溶
接しなければならない。ここでMICとは、導体
を酸化マグネシウム等の無機物で絶縁し、外側に
SuS等の金属シースを施したものをいう。一般に
は電線貫通部は溶接やロー付する長さが短い程ピ
ンホール等の欠陥が発生する確率が減少し、その
結果、気密の信頼性が向上する。それ故、電線貫
通部自身がコンパクトであることも必要である。
そのため前記端板３の貫通孔２を有する面は狭
く、よつて各貫通孔２の間隔も狭い。そこで前記
MIC４をこの間隔の狭い貫通孔２に挿入し、該
貫通孔２との間隙を気密に溶接、またはロー付し
ながら１本、２本と装着していくと、次第に、隣
りのMIC４が邪魔になつて、MIC４の全周に亘
つて、例えば、溶接トーチを同一角度に保つたま
ま溶接できない等溶接作業が不安定、かつ困難に
なつてくる。このことは貫通孔２の数が多ければ
多い程大きな問題となる。また図示されていない
が端板３の外部に出ているMIC４の先には別に
他の電線が接続されるが、この接続部からMIC
４の絶縁体で、かつ吸湿性を有する酸化マグネシ
ウムに湿気が入らぬよう前記接続部をエポキシ樹
脂等で覆つて防湿するが、この処理がかなりめん
どうで、かつ材料が樹脂であることから耐熱性に
劣るという問題もある。

〔発明の目的〕

前記問題に鑑み本発明の目的は電線貫通部を貫
通するMICの気密装着が容易で、かつMIC端末
の接続部の防湿性、耐熱性に優れた電線貫通部を
提供することにある。

〔発明の構成〕

前記目的を達成すべく本発明の電線貫通部は、
外筒の両端に相対する貫通孔を複数有している端
板が各々気密に装着され、前記複数の貫通孔を貫
通してMICが気密に装着され、かつ前記外筒が
貫通壁に気密に取付けられている電線貫通部にお
いて、前記外筒の両端に装着されている端板に
は、該端板の各貫通孔に気密かつ端板の外側に突
出するように、しかも外側の貫通孔に装着された
もの程長さを短くした金属管が各々装着されてお
り、かつ両端板に装着された相対する金属管を跨
つてMICが挿入され、該MICの両端末にはガラ
スまたはセラミツクよりなる絶縁体により気密構
造で絶縁されているリードが前記MICの導体に
接続され、かつ前記絶縁体を気密に内包してなる
金属アイレツトが前記金属管の突出側先端部にて
金属管に気密に接続されていることを特徴とする
ものである。

〔発明の実施例〕

本発明の実施例を図を参照して詳細に説明す
る。第２図は本発明の一実施例である。この図が
示すように、複数の貫通孔２を有する端板３及び
５において、予め前記貫通孔２にらせん金属管ま
たはじやばらの金属管６等の可撓性と伸縮性を有
する可撓金属管６を貫通させ、端板３及び５の内
側で気密に溶接し、溶接部６ａを形成する。第２
図では端板３及び５の内側端と前記可撓金属管６
の端面が面一で溶接されているが可撓金属管６の
端部をつば状に開いて端板３及び５の内側の面に
溶接すれば、溶接部６ａの強度はより向上するの
で好ましい。尚、前記可撓金属管６の外側に突出
している側の先端部Ｃ部、Ｄ部、特に後述する金
属アイレツト２０が前記先端部の開口部に内接ま
たは外接してスライドする、例えば、第２図のＣ
部にあつては、開口部付近は一部直管にしてお
く。次に、このように可撓金属管６を装着してな
る端板３及び５を各々可撓金属管６が外側を向く
ようにして外筒１に溶接部３ａ，５ａを溶接して
気密に取付ける。前記可撓金属管６と端板３及び
５の接続も同様であるが、前記端板３及び５と外
筒１の接続も気密性を保てるものであれば、溶接
に限定されるものではもちろんない。尚、前記端
板３及び５の各貫通孔２にあつては、互いに相対
する貫通孔の中心軸は必らずしも一致している必
要はないが、一致している方がMIC４を通す時
便利である。また、第２図では、このように外筒
１と端板３及び５で形成される内側の空間に、加
圧した窒素ガスを封入して内部の圧力変動を常時
監視し、ガス洩れの有無を検知するためのバルブ
７及び圧力計８が取付けられ、該圧力計８へ連通
する圧力検知孔９を有するリング１Ｂを本体部１
Ａに溶接部１ａで気密に溶接して外筒１を形成し
ているが、溶接部を少なくして気密の信頼性を高
めるためリング１Ｂと本体部１Ａを予め一体物と
して製作して外筒１としてもよい。

さて、外筒１に端板３及び５を気密に装着した
ら、一方の可撓金属管６の開口部から、端末処理
して導体１６を取り出してあるMIC４を通し、
他方の可撓金属管６の開口部付近までその先端を
到達させる。次に、第２図Ｃ部側において、絶縁
体であるガラスまたはセラミツク１７で絶縁され
ているリード１８を前記導体１６に圧着スリーブ
１９にて接続する。ここで前記ガラスまたはセラ
ミツク１７とリード１８との間は気密構造になつ
ている。このようにリード１８と導体１６を接続
したら、前記ガラスまたはセラミツク１７を気密
構造にて接着し内包している金属アイレツト２０
を直管状になつている可撓金属管６の先端開口部
に内接させながら押し込む。もちろん金属アイレ
ツト２０の内径を可撓金属管６の開口部外径より
大きくしておいて外接状態で押し込んでもよい。
尚、この押し込みの際、長さｌ分だけ余分に押し
込むようにする。この余分の押込量ｌは、Ｃ部側
から押し込んだとき、Ｄ部側で導体１６とリード
１８の接続を圧着スリーブにて接続できる長さ、
すなわち、少なくとも導体１６の先端が接続代を
含めて可撓金属管６の開口部端から出てくる長さ
である。このようにＣ部側で金属アイレツト２０
を必要長ｌだけ余分に可撓金属管６に押し込んだ
らＤ部側で可撓金属管６の開口部端面から飛び出
しているMIC４の導体１６とリード１８を圧着
スリーブ１９で接続する接続が完了したらＤ部側
の金属アイレツト２０をｌ分だけ押し返し、前記
Ｄ部側の金属アイレツト２０と可撓金属管６を溶
接箇所２０で気密に溶接またはロー付する。ここ
で第２図では前記溶接を突合せで行なつているが
金属アイレツト２０を可撓金属管６に内接または
外接した状態で溶接してもよい。但し、第２図の
ように突合せの方が前記長さｌが短くなるので好
ましい。尚、当然のことであるがＤ部側にて接続
するリード１８とガラスまたはセラミツク１７及
びガラスまたはセラミツクと金属アイレツト２０
との間は気密構造になつてい。前述のごとくＤ部
側での気密溶接が完了したらＣ部側で金属アイレ
ツト２０と可撓金属管６とを溶接箇所２０ｂで気
密に溶接する。このようにMIC４の端末を気密
構造になるように処理したら、最後に外筒１を格
納容器の貫通壁１１に溶接箇所１１ａを気密に溶
接して取付ける。もちろん気密の信頼性があれ
ば、適当な耐熱、耐火性パツキンと組合せてボル
ト締めにて装着してもよい。

さて、第２図のように構成してなる本発明の電
線貫通部にあつては、該電線貫通部を貫通する
MICを気密に装着する方法として、溶接やロー
付等の気密接続作業のやり易い構造、すなわち、
可撓金属管とMICの接続を金属アイレツトを介
して端板から十分離れた可撓金属管の先端部で行
う構造とすることで接続作業性を向上せしめてい
る。またこの可撓金属管の端板への接続も、端板
内側で可撓金属管の溶接またはロー付することで
周囲に邪魔なものがない状態で作業できるから、
例えば、溶接なら溶接トーチの姿勢を一定に保て
るので作業性の向上、気密の信頼性の向上がはか
れる。さらに、金属管として前述の如く可撓金属
管を使用していれば、前述の如く金属管の先端部
において、該金属管と金属アイレツトを溶接また
はロー付するとき、作業に邪魔になる隣りの金属
管は可撓性があるから容易に曲げて逃がすことも
できるし、これから接続しようとしているものを
作業し易い位置に曲げて逃がすこともできるので
接続作業性は一段と向上する。さらに第３図のよ
うに、林立する複数の金属管６，２５において、
外側のもの程その長さを短くしてあるので隣りの
ものが邪魔にならなくなり、溶接等の接続作業は
いつそう改善される。また、本発明の電線貫通部
においては、各部品が金属やガラスまたはセラミ
ツク製であること、また各部品の接続も溶接やロ
ー付であることから、材料面からみて耐熱性に優
れている。さらに金属管を第２図の如く可撓金属
管にした場合は、高温にさらされて各部に熱応力
が生じても、この可撓金属管の伸縮性がこの熱応
力を吸収してくれる。それ故、この可撓金属管と
金属アイレツトの接続部には熱応力が直接負荷し
ない。これは端板３及び５のいずれか一方の端板
に可撓金属管を装着しておくだけで前記熱応力吸
収の効果が期待できる。尚、この場合、片側は直
管の金属管となるが、このときは第４図のように
金属管２５と金属アイレツト２０は溶接部２０ａ
で突合せ溶接してもよいし、また金属アイレツト
２０を金属管２５に内接または外接して溶接して
もよい。さらに、第５図のように金属管２５内に
完全に押し込んで溶接部２０ａで金属管２５と金
属アイレツト２０の両端面が面一になるように溶
接すれば、第４図のものと異なり、溶接トーチの
向きが金属管２５の軸線方向と平行であるから、
溶接に必要となる作業スペースが狭くて済む。そ
れ故、金属管２５が多数林立する場合は有利であ
る。もちろん、第５図の構造は金属管２５が可撓
金属管であつても応用できる。さらに本発明にあ
つては、MIC４の両端面３０，３０は、第１図
に示す従来例と異なり、外気と遮断された気密空
間内にある。そのため端面３０，３０を気密シー
ルする必要がない。また従来例では、MIC中を
伝つて放射線等が洩れる恐れが大きいため、気密
空間内に位置する前記MICの金属シースに穴を
あけておき、気密空間内に封入した加圧窒素ガス
の圧力変動を第２図の圧力計８でチエツクする必
要があつたが、本発明では、MICの両端末が気
密空間内にあるからMICを通じての洩れの恐れ
はなく、もつて金属シースに穴をあける等の必要
もない。

〔発明の効果〕

以上のごとく本発明によれば、電線貫通部を貫
通するMICの気密装着作業が容易で、かつMIC
端末の接続部の防湿性や電線貫通部全体の耐熱性
にも優れた電線貫通部を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の電線貫通部を示す一部縦断面
図、第２図は本発明の一実施例を示す一部縦断面
図、第３図は金属管の装着方法の他の実施例を示
す概略図、第４図、第５図は本発明の他の実施例
で一方の端板に直管を設けた場合の一部縦断面図
である。 １Ａ，１Ｂ……外筒、３，５……端板、４……
無機絶縁金属シース電線、６……可撓金属管、１
１……貫通壁、１６……導体、１７……ガラスま
たはセラミツク、１８……リード、２０……金属
アイレツト、２５……金属管。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 外筒の両端に相対する貫通孔を複数有してい
   る端板が各々気密に装着され、前記複数の貫通孔
   を貫通して無機絶縁金属シース電線が気密に装着
   され、かつ前記外筒が貫通壁に気密に取付けられ
   ている電線貫通部において、前記外筒の両端に装
   着されている端板には、該端板の各貫通孔に気密
   かつ端板の外側に突出するように、しかも外側の
   貫通孔に装着されたもの程長さを短くした金属管
   が各々装着されており、かつ両端板に装着された
   相対する金属管に跨つて無機絶縁金属シース電線
   が挿入され、該無機絶縁金属シース電線の両端末
   にはガラスまたはセラミツクよりなる絶縁体によ
   り気密構造で絶縁されているリードが前記無機絶
   縁金属シース電線の導体に接続され、かつ前記絶
   縁体を気密に内包してなる金属アイレツトが前記
   金属管の突出側先端部にて金属管に気密に接続さ
   れていることを特徴とする電線貫通部。 ２ 前記金属管の少なくとも一方は可撓性と伸縮
   性とを有していることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項記載の電線貫通部。 ３ 前記金属管のうち一方の端板に装着されてい
   る金属管の突出側開口部においては、前記絶縁体
   を内包してなる金属アイレツトが前記金属管に内
   接または外接状態で移動できるようになつている
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項または第
   ２項記載の電線貫通部。