JPH05149830A - クラツチフエーシングの試験方法 - Google Patents

クラツチフエーシングの試験方法

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JPH05149830A
JPH05149830A JP3110175A JP11017591A JPH05149830A JP H05149830 A JPH05149830 A JP H05149830A JP 3110175 A JP3110175 A JP 3110175A JP 11017591 A JP11017591 A JP 11017591A JP H05149830 A JPH05149830 A JP H05149830A
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JP
Japan
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clutch
torque
test
facing
connection
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JP3110175A
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English (en)
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Hideto Nakagawa
英人 中川
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Aisin Chemical Co Ltd
Original Assignee
Aisin Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 実際の使用状況に対応した試験を実施して、
クラッチフェーシングに使用時に対応した状態を短期間
に多数回発生させることができること。 【構成】 クラッチ15に相対回転差を発生させる工程
と、前記クラッチ15を接続する工程と、前記クラッチ
15にトルクを周期的に加える工程と、前記クラッチ1
5を遮断する工程とを具備するため、クラッチ15のク
ラッチフェーシング15cには、相対回転差がある状態
で接続されることで、摩擦熱による熱的な負荷が加わる
とともに、接続後に周期的なトルクが加えられること
で、トルクによる力学的な負荷が加わり、実際のクラッ
チ15の作動状況に即した試験が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はクラッチフェーシングの
試験方法に関するもので、例えば、車輌用自動変速機に
内装された湿式多板クラッチのクラッチフェーシングに
生じる剥離等の試験方法に関するものであり、乾式また
は湿式クラッチ、多板クラッチとして使用されるクラッ
チフェーシングの各種試験に使用できるものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種のクラッチフェーシングの
試験装置として、図13に示す車輌用自動変速機のクラ
ッチフェーシングの試験装置を挙げることができる。
【0003】図13はこの従来のクラッチフェーシング
の試験装置の概略的な構成を示す説明図である。なお、
この試験装置は、自動変速機13のクラッチ15の中で
も、特に、動力伝達に用いられるクラッチ15を試験対
象としており、例えば、本実施例のクラッチ15として
は多板クラッチと呼称されており公知のものであるが、
摩擦材15aを芯金15bに貼着けてなる複数枚のクラ
ッチフェーシング15cを有するものである。この種の
クラッチフェーシング15cを有するクラッチ15は、
内燃機関にて回転駆動される入力軸と停止状態の出力軸
とを接続する役割を果たし、接続後には、自動変速機内
に設けられたブレーキの制動ショックや内燃機関のトル
ク変動等に抗して、その接続を維持するようになってい
る。即ち、この種のクラッチ15の使用状況は、相対回
転差が生じている状態で接続され、かつ、接続後にトル
クが加えられるようになっている。また、本実施例で用
いる自動変速機13は、クラッチ15の機能を具備する
構造を有するもので、トルクコンバータ及び/または変
速歯車等を必ずしも必要とするものではない。
【0004】図に示すように、試験装置にはクラッチ断
接油圧回路1が設けられ、その油圧回路1の油タンク2
内には温度調整手段としてのヒータ3と油温センサ4が
設置されている。そして、この油温センサ4の検出値に
基づき図示しない制御回路にてヒータ3がオン・オフ制
御され、油タンク2内の作動油が常に100℃程度、つ
まり、自動変速機13が実際に車輌に搭載されて稼働し
ているときの油温程度に加温されるようになっている。
油タンク2にはモータ5にて回転駆動される油圧ポンプ
6が接続され、この油圧ポンプ6の吐出圧は圧力調整弁
7にて予め手動調整されるようになっている。
【0005】前記油圧ポンプ6には逆止弁8を介して切
換弁9が接続され、その切換弁9の吐出側にはアキュム
レータ10が接続されて、その側をクラッチ断接用接続
口11aとしている。また、逆止弁8と切換弁9との間
は分岐して油温保持用接続口11bが設けられ、この接
続口11b側の吐出圧は圧力調整弁12にて予め手動調
整されるようになっている。
【0006】そして、試験時において、前記クラッチ断
接用接続口11aは車輌用の自動変速機13に内装され
たクラッチ断接用アクチュエータ14に接続され、前記
切換弁9の切換動作に応じてアクチュエータ14が作動
し、自動変速機13内の特定のクラッチ15が断接操作
される。このときのクラッチ15のクラッチフェーシン
グ15cの挾持力、即ち、接続圧は、前記アキュムレー
タ10にて制御されて接続開始から次第に増加し、前記
クラッチ15は遮断状態からスリップ過程を経て完全に
接続される。また、前記油温保持用接続口11bは自動
変速機13の内部に接続され、油圧ポンプ6からの作動
油が自動変速機13内を循環するようになっている。
【0007】一方、前記自動変速機13の入力軸13a
にはカップリング61とフライホイール62を介して駆
動モータ63の出力軸63aが接続され、この駆動モー
タ63にて入力軸13aが回転駆動されるようになって
いる。また、自動変速機13の出力軸13bは回転不能
に固定されている。
【0008】次に、上記のように構成されたクラッチフ
ェーシングの試験装置の動作を説明する。
【0009】試験に際して、自動変速機13内には前記
油温保持用接続口11bを介して油圧ポンプ6からの加
温された作動油が導入され、自動変速機13内の作動油
が実際の使用状況と同様の温度に保たれる。また、自動
変速機13の入力軸13aは前記駆動モータ63にて回
転駆動され、その回転数が所定回転数に達すると駆動モ
ータ63の電力が遮断され、入力軸13aは前記フライ
ホイール62の慣性によって回転を継続する。そして、
この状態で前記切換弁9が切換えられ、前記クラッチ1
5がアキュムレータ10に制御されながらスリップ過程
を経て接続される。したがって、回転中の入力軸13a
は、クラッチ15を介して停止状態の出力軸13bに接
続され、その結果、制動が加えられて停止する。つま
り、クラッチ15は、そのスリップ過程でフライホイー
ル62の慣性力を吸収し、クラッチ15のクラッチフェ
ーシング15cには摩擦熱が発生することになる。
【0010】その後、クラッチ15が遮断されて前記駆
動モータ63によって入力軸13aの回転が再開され、
この一連の操作を15000回繰返すと、クラッチ15
のフェーシング15cには前記摩擦熱による剥離が生じ
る。そして、自動変速機13を分解してクラッチ15を
取り出し、クラッチフェーシング15cの剥離状態に基
づいてそのクラッチフェーシング15cの材質の適性等
を判定している。
【0011】なお、前述した試験装置は、クラッチ15
を自動変速機13内に設置した状態で、実際のクラッチ
15の密着状態を再現しながら断接動作を行なっている
が、例えば、クラッチ15単体を断接可能なように治具
に組み付けて、加温した作動油内に浸漬して断接動作を
行なわせる場合もある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来のクラッチフェー
シングの試験装置は、上記のように単に入力軸13aと
出力軸13bの相対回転差を吸収させながらクラッチ1
5を接続するように構成されているだけであるため、摩
擦熱に起因する剥離を再現することは可能であるが、接
続後に加えられるトルクに起因する剥離を再現すること
はできない。具体的に述べると、実際の使用状態でのク
ラッチ15のクラッチフェーシング15cには、摩擦熱
による熱的な負荷と伝達トルクによる力学的な負荷とが
加わるため、使用条件としては厳しいものとなりクラッ
チフェーシング15cが早期に剥離するが、試験では摩
擦熱による熱的な負荷のみが再現されるにすぎないた
め、条件が緩やかでありクラッチフェーシング15cは
容易に剥離しない。したがって、従来の試験装置は、実
際の使用時の耐久限度以上の試験結果が得られてしま
い、試験結果の信頼性の点で改良が望まれていた。
【0013】そこで、本発明は実際の使用状況に対応し
た試験を実施して、クラッチフェーシングに使用時に対
応した状態を短期間に多数回発生させることができるク
ラッチフェーシングの試験方法の提供を課題とするもの
である。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明にかかる
クラッチフェーシングの試験方法は、クラッチに相対回
転差を発生させる工程と、前記クラッチを接続する工程
と、前記クラッチにトルクを周期的に加える工程と、前
記クラッチを遮断する工程とを設けたものである。
【0015】請求項2の発明にかかるクラッチフェーシ
ングの試験方法は、クラッチの入力側または出力側の一
方を固定し、他方を所定回転数に保つ工程と、前記クラ
ッチを使用状況での接続圧変化に倣って接続する工程
と、前記クラッチに使用状況で加わる方向にトルクを周
期的に加える工程と、前記クラッチを遮断する工程とを
設けたものである。
【0016】請求項3の発明にかかるクラッチフェーシ
ングの試験方法は、クラッチフェーシングを有するクラ
ッチの入力側と出力側との間に所定の相対回転差を発生
させる工程と、前記クラッチを所定の接続圧変化で変化
させながら接続する工程と、前記クラッチの接続状態に
応じて、所定の方向にトルク値を変動させながら加える
工程と、前記クラッチを遮断する工程とを設けたもので
ある。
【0017】請求項4の発明にかかるクラッチフェーシ
ングの試験方法は、前記クラッチに加えるトルクを、印
加するトルクの変量を時間の関数で連続変化させたもの
である。
【0018】
【作用】請求項1の発明においては、クラッチフェーシ
ングには、相対回転差がある状態で接続されることで、
摩擦熱による熱的な負荷が加わるとともに、接続後に繰
返しトルクが加えられることで、トルクによる力学的な
負荷が加わり、実際のクラッチの作動状況に即した試験
が可能となる。
【0019】請求項2の発明においては、クラッチは使
用状況での接続圧変化に倣って接続されるとともに、ト
ルクが加えられることから、より精度の高い試験結果を
得ることが可能となる。
【0020】請求項3の発明においては、クラッチフェ
ーシングを有するクラッチの入力側と出力側との間に所
定の相対回転差を発生させ、クラッチを所定の接続圧変
化で変化させながら接続し、しかも、前記クラッチの接
続状態に応じて、所定の方向にトルク値を変動させなが
ら加えるものであるから、使用状態に応じた各種の試験
が可能となる。
【0021】請求項4の発明においては、前記クラッチ
に加えるトルクの繰返しは、印加するトルクの変量を時
間の関数で連続変化させるものであり、トルクの変量を
所定の実際の車輌走行時のデータにより、制御すること
ができる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例のクラッチフェーシン
グの試験方法を説明する。
【0023】図1は本発明の一実施例であるクラッチフ
ェーシングの試験方法を用いた試験装置の概略的な構成
を示す説明図である。この試験装置は車輌用自動変速機
のクラッチフェーシング15cに生じる剥離を試験する
ための試験装置として実施したものであり、従来技術で
説明した試験装置に新たな構成が付加されている。以
下、従来技術の試験装置のクラッチ断接油圧回路1に対
し、新たに付加された油圧回路をトルク付与油圧回路1
6とする。したがって、本発明の実施例では、特に、従
来例との相違点であるトルク付与油圧回路16の構成を
重点的に説明する。
【0024】図に示すように、トルク付与油圧回路16
の油タンク17にはモータ18にて回転駆動される油圧
ポンプ19が接続され、この油圧ポンプ19の吐出圧は
圧力調整弁20にて所定圧に調整されるようになってい
る。この油圧ポンプ19には逆止弁21と流量制御弁4
5を介して切換弁22が接続され、この切換弁22には
ロータリアクチュエータ23が接続されてる。ロータリ
アクチュエータ23の出力軸23aはワンウェイクラッ
チ25、トルクセンサ24及びフライホイール47を介
して自動変速機13の入力軸13aに接続され、また、
このロータリアクチュエータ23には角度センサ26と
回転数センサ46が設けられている。なお、本実施例で
は、前記ロータリアクチュエータ23とフライホイール
47によってトルク付与手段が構成されている。
【0025】そして、切換弁22の切換動作に応じて油
圧ポンプ19からの作動油はロータリアクチュエータ2
3に供給され、そのロータリアクチュエータ23の出力
軸23aが回転駆動され、その回転速度が前記流量調整
弁45にて調整される。後述するように、このロータリ
アクチュエータ23は、実際の内燃機関の回転と同一方
向に回転駆動されて用いられるようになっている。した
がって、自動変速機のクラッチ15が接続されると、入
力軸13aは出力軸13bと共に回転不能に固定され
て、ロータリアクチュエータ23にて内燃機関と同一方
向にトルクが加えられ、そのトルク値が前記トルクセン
サ24にて検出される。また、加えられたトルクによっ
て入力軸13aには捩れが生じ、その捩れ角は前記角度
センサ26にて検出される。
【0026】また、前記ワンウェイクラッチ25は内燃
機関の回転と同一方向のみに回転を伝達するように設定
されている。したがって、前記クラッチ15が遮断され
ると、入力軸13aが出力軸13bから切り離されて回
転自在となり、ロータリアクチュエータ23の回転数が
自動変速機13の入力軸13aより高いときは、ロータ
リアクチュエータ23にて入力軸13aが増速され、逆
に、ロータリアクチュエータ23の回転数が自動変速機
13の入力軸13aより低いときは、入力軸13aはロ
ータリアクチュエータ23に影響されることなく、前記
フライホイール47の慣性で回転を継続されることにな
る。なお、このときのロータリアクチュエータ23の回
転数は前記回転数センサ46にて検出される。
【0027】一方、前記クラッチ断接油圧回路1のアキ
ュムレータ10には圧力センサ48が接続され、自動変
速機13のクラッチ断接用アクチュエータ14に供給さ
れる作動油の圧力を検出するようになっている。
【0028】図2は本発明の一実施例であるクラッチフ
ェーシングの試験方法を用いた試験装置の制御盤を示す
正面図である。
【0029】図に示すように、制御盤27には液晶表示
板28が設置され、その液晶表示板28の下側には、剥
離試験に先立ってその試験条件の設定を開始するための
設定開始スイッチ29、試験条件の設定時において各条
件を順次指定するためのモード切換スイッチ30、前記
液晶表示板28の表示に基づいて各条件の設定値を入力
するためのテンキー31、剥離試験を開始するための試
験開始スイッチ32、及び剥離試験の終了を表示する終
了ランプ33が設けられている。
【0030】次に、本実施例のクラッチフェーシングの
試験方法を用いた試験装置の電気的構成を説明する。
【0031】図3は本発明の一実施例であるクラッチフ
ェーシングの試験方法を用いた試験装置の電気的構成を
示すブロック図である。
【0032】図に示すように、試験方法を用いた試験装
置の制御手段としての中央処理装置34(以下、単に
『CPU』という)の入力側には、前記クラッチ断接油
圧回路1の油温センサ4、圧力センサ48、前記トルク
付与油圧回路16のトルクセンサ24、角度センサ26
及び回転数センサ46が接続されている。また、CPU
34の入力側には、前記制御盤27の設定開始スイッチ
29、モード切換スイッチ30、テンキー31、及び試
験開始スイッチ32が接続されている。
【0033】また、CPU34の出力側には、前記クラ
ッチ断接油圧回路1のヒータ3、モータ5、切換弁9、
前記トルク付与油圧回路16のモータ18、流量調整弁
45及び切換弁22がそれぞれ駆動回路35〜40を介
して接続されている。また、CPU34の出力側には、
制御盤27の液晶表示板28と終了ランプ33がそれぞ
れ駆動回路41,42を介して接続されている。
【0034】更に、CPU34にはリードオンリメモリ
43(以下、『ROM』という)及びランダムアクセス
メモリ44(以下、『RAM』という)が接続され、R
OM43にはこの試験装置に一連の試験動作を実行させ
るためのプログラムや前記液晶表示板28に表示動作を
行なわせるためのプログラム等の各種プログラムが記憶
され、CPU34はこれらのプログラムに従って動作す
るようになっている。また、RAM44はCPU43が
実行する処理データを一時的に記憶するようになってい
る。
【0035】次に、上記のように構成された本実施例の
クラッチフェーシングの試験方法を用いた試験装置の動
作を説明する。
【0036】図4は本発明の第一実施例のクラッチフェ
ーシングの試験方法を用いた試験装置のメインルーチン
を示すフローチャートである。図5は本発明の第一実施
例のクラッチフェーシングの試験方法を用いた試験装置
における油温制御ルーチンを示すフローチャートであ
る。
【0037】まず、剥離試験の概要を説明すると、この
試験において自動変速機13のクラッチフェーシング1
5cを挾持するクラッチ15は、従来の剥離試験と同様
に、入力軸13aと出力軸13bの相対回転差を吸収し
ながらクラッチ15が反復して接続され、加えて本実施
例では、クラッチ15の接続後に、自動変速機13の入
力軸13aに、周期的にトルクが加えられる。ここで、
剥離試験の諸条件を説明すると、クラッチ断接油圧回路
1の作動油温度を油温Teとし、クラッチ接続開始時の
入力軸13aの回転数を初期回転数Re、その初期回転
数Reを維持する時間を待機時間Tm0 、クラッチ15
を接続する時間をクラッチ接続時間Tm1 、クラッチ1
5を遮断する時間をクラッチ遮断時間Tm2 、試験中に
クラッチ15の接続と遮断を繰返す回数を継続回数Nと
する。また、入力軸13aに加えられるトルクの最大値
をトルク振幅とし、このトルク振幅はトルク値Tqまた
は捩れ角のいずれかで表示するものとする。このトルク
値Tqとは、前記トルクセンサ24にて検出される実際
に入力軸13aに加わるトルク自体の値であり、捩れ角
とは、トルクが加えられたときに前記角度センサ26に
て検出される入力軸13aに生じた捩れの角度である。
また、入力軸13aに加えられるトルクの変動周期をト
ルク変動サイクルCとする。
【0038】図4のメインルーチンは、図示しない電源
スイッチの投入と同時に動作する。今、前記設定開始ス
イッチ29及び試験開始スイッチ32が共に操作されて
いないとき、CPU34はステップS1でこの制御に使
用するメモリ及びフラグをクリアし、また、必要な出力
を設定する初期化を行なう。ステップS2で設定開始ス
イッチ29が操作されていないことからステップS3に
移行し、このステップS3で試験開始スイッチ32が操
作されていないことから前記ステップS2に戻る。した
がって、この場合には、フラグがクリア状態に保持され
るとともに、剥離試験や試験条件の設定は実施されない
ことになる。
【0039】また、前述した状態から試験開始スイッチ
32が操作されると、ステップS3からステップS4に
移行し、このステップS4でフラグがセットされていな
いことから、前記ステップS2に戻る。即ち、この時点
では、未だ試験条件の設定が行なわれていないため、試
験開始スイッチ32が操作されても、剥離試験は実施さ
れないことになる。
【0040】更に、前述した状態から設定開始スイッチ
29が操作されると、ステップS2からステップS5に
移行して試験条件を設定し、ステップS6でフラグをセ
ットして前記ステップS2に戻る。そして、その後に試
験開始スイッチ32が操作されると、ステップS3から
ステップS4に移行し、すでにフラグがセットされてい
る、つまり試験条件が設定されていることから、ステッ
プS7に移行して剥離試験を実行する。そして、試験を
終了した後、ステップS8で前記終了ランプ33を点灯
させて試験終了を作業者に報知し、ステップS9の油温
制御を経て、ステップS2に戻り、繰返しこのルーチン
を処理する。
【0041】一方、図4のメインルーチンにおいて、ス
テップS9で油温制御ルーチンがコールされると、ステ
ップS11で実際の作動油の温度が前記油温Te以上で
あるか否かを判定し、油温Te以上であるときにはステ
ップS12でヒータ3をオフ状態に保ち、油温Te未満
であるときにはステップS13でヒータ3をオン状態に
保つ。したがって、このルーチンのステップS11乃至
ステップS13の処理によりヒータ3がオン・オフ制御
されて、実際の作動油の温度が油温Te程度に保持され
ることになる。
【0042】次に、前述したメインルーチンのステップ
S5で実行される試験条件の設定処理の詳細を説明す
る。
【0043】図6及び図7は本発明の第一実施例である
クラッチフェーシングの試験方法を用いた試験装置にお
けるCPUが実行する設定処理ルーチンの詳細を示すフ
ローチャート、図8及び図9は本発明の第一実施例であ
るクラッチフェーシングの試験方法を用いた試験装置に
おける液晶表示板の表示を示す説明図である。なお、フ
ローチャート中で各種入力完了の判断は省略している。
【0044】試験条件の設定処理ルーチンがコールされ
ると、CPU34はステップS21で、図2に示すよう
に、液晶表示板28に「油温を入力して下さい」とのメ
ッセージを表示する。作業者はそのメッセージに応答し
て、ステップS22でテンキー31で油温Teを入力
し、入力完了後に前記モード切換スイッチ30を押圧操
作する。次いで、ステップS23で、図8に示すよう
に、液晶表示板28に「初期回転数を入力して下さい」
とのメッセージを表示し、ステップS24で作業者がテ
ンキー31にて初期回転数Reを入力して、モード切換
スイッチ30を押圧操作すると、ステップS25に移行
する。今、仮に油温Teとして100℃が、初期回転数
Reとして3000rpm が入力されたものとする。
【0045】更に、ステップS25で前述した表示と同
様に「待機時間を入力して下さい」とのメッセージを表
示し、ステップS26で作業者がテンキー31にて待機
時間Tm0 を入力して、モード切換スイッチ30を押圧
操作すると、ステップS27で液晶表示板28に「クラ
ッチ接続時間を入力して下さい」とのメッセージを表示
し、ステップS28で作業者がテンキー31にてクラッ
チ接続時間Tm1 を入力して、モード切換スイッチ30
を押圧操作するとステップS29に移行する。今、仮に
待機時間Tm0 として1sec が、クラッチ接続時間Tm
1 として2secが入力されたものとする。
【0046】その後、ステップS29で液晶表示板28
に「クラッチ遮断時間を入力して下さい」とのメッセー
ジを表示し、ステップS30で作業者がテンキー31に
てクラッチ遮断時間Tm2 を入力して、モード切換スイ
ッチ30を押圧操作すると、ステップS31で液晶表示
板28に「継続回数を入力して下さい」とのメッセージ
を表示し、ステップS32で作業者がテンキー31にて
継続回数Nを入力して、モード切換スイッチ30を押圧
操作すると、ステップS33に移行する。今、仮にクラ
ッチ遮断時間Tm2 として28sec が、継続回数Nとし
て15000回が入力されたものとする。
【0047】次いで、ステップS33で、図9に示すよ
うに、液晶表示板28に「トルク振幅の単位を選択して
下さい」とのメッセージを表示し、作業者はステップS
34でトルク振幅をトルク値Tqとして入力する場合に
は、テンキー31の1を押圧操作し、また、トルク振幅
を捩れ角として入力する場合には、テンキー31の2を
押圧操作し、入力完了後に前記モード切換スイッチ30
を押圧操作する。
【0048】更に、ステップS35で作業者にてトルク
値Tqと捩れ角のいずれが選択されたかを判定し、トル
ク値Tqが選択された場合には、ステップS36で液晶
表示板28に「トルク値を入力して下さい」とのメッセ
ージを表示し、ステップS37で作業者がテンキー31
にてトルク値Tqを入力して、モード切換スイッチ30
を押圧操作すると、ステップS40に移行する。同様
に、前記ステップS35で捩れ角が選択された場合に
は、ステップS38で液晶表示板28に「捩れ角を入力
して下さい」とのメッセージを表示し、ステップS39
で作業者がテンキー31にて捩れ角を入力して、モード
切換スイッチ30を押圧操作すると、ステップS40に
移行する。今、仮にトルク振幅がトルク値Tqとして3
0kgmが入力されたものとする。
【0049】更に、ステップS40で液晶表示板28に
「トルク変動サイクルを入力して下さい」とのメッセー
ジを表示し、ステップS41で作業者がテンキー31に
てトルク変動サイクルCを入力して、モード切換スイッ
チ30を押圧操作すると、試験条件の設定処理を終了す
る。今、仮にトルク変動サイクルCとして2Hzが入力さ
れたものとする。なお、以上の入力データは、全て前記
RAM44に格納される。
【0050】次に、前述したメインルーチンのステップ
S7で実行される剥離試験の実行処理の詳細を説明す
る。
【0051】図10及び図11は本発明の一実施例であ
るクラッチフェーシングの試験方法を用いた試験装置に
おけるCPUが実行する試験実行処理ルーチンの詳細を
示すフローチャート、図12は本発明の一実施例である
クラッチフェーシングの試験方法を用いた試験装置の試
験時のタイムチャートである。
【0052】剥離試験の実行処理が開始されると、CP
U34はステップS51でカウンタnをクリアし、ステ
ップS52で前記ヒータ3の加温により実際の油温が前
記ステップS22で油温Teとして設定された100℃
に達しているか否かを判定する。油温が100℃に達し
ていると、ステップS53で前記トルク付与油圧回路1
6の流量制御弁45の開度を調整しながら、切換弁22
を切換動作させて、ロータリアクチュエータ23にてフ
ライホイール47と共に自動変速機13の入力軸13a
を回転駆動する。その結果、図12に示すように、入力
軸13aは次第に増速されることになる。そして、ステ
ップS54で入力軸13aの回転数が前記ステップS2
4で初期回転数Reとして設定された3000rpm の速
度に到達すると、ステップS55でトルク付与油圧回路
16の切換弁22を切換動作させて、ロータリアクチュ
エータ23を停止させる。その結果、自動変速機13の
入力軸13aは、フライホイール47の慣性により初期
回転数Reである3000rpm を保った状態で回転を継
続する。
【0053】次いで、ステップS56で前記ステップS
26で待機時間Tm0として設定された1sec が経過す
ると、ステップS57で前記クラッチ断接油圧回路1の
切換弁9を切換動作させて、クラッチ断接用アクチュエ
ータ14に油圧ポンプ6からの作動油を供給する。この
とき、作動油はスプリング10aを圧縮させながらアキ
ュムレータ10内にも導入されるため、クラッチ断接用
アクチュエータ14への油圧の急激な上昇が抑制され、
クラッチ接続圧は、図12に示すように、実際の使用時
の接続圧変化に倣って増加され、クラッチ15が接続さ
れる。
【0054】このクラッチ接続の過程を詳述すると、接
続開始時にはクラッチ接続圧が低いため、クラッチ15
はスリップを生じながら接続され、それに伴って入力軸
13aの回転数は次第に減少し、接続完了時には出力軸
13bと同様に停止保持される。つまり、前記フライホ
イール47の慣性はクラッチ15のスリップ過程で吸収
されて、クラッチ15のフェーシング15cには摩擦熱
が生じることになる。そして、クラッチ15の接続完了
後は、接続圧が急激に高められて最大接続圧Pmax に達
し、その最大接続圧Pmax がクラッチ15を遮断するま
で保たれる。また、このスリップ過程では、フライホイ
ール47の慣性によってトルクが出力軸13bに加わ
り、そのトルクは接続完了時にピークに達する。なお、
最大接続圧Pmax は、クラッチ断接油圧回路1の圧力調
整弁7の設定圧に応じて決定されるものである。
【0055】なお、本実施例のステップS57のクラッ
チ15の接続は、アキュムレータ10によって決定して
いるが、前記アキュムレータ10を省略して、所定のメ
モリ・マップ制御とすることもできる。
【0056】一方、CPU34はステップS58で前記
圧力センサ48にて検出された作動油圧力に基づき、ク
ラッチ15の接続圧が前記最大接続圧Pmaxに達したか
否かを判定する。そして、最大接続圧Pmax に達すると
ステップS59に移行し、最大接続圧Pmax に達してか
らステップS27でクラッチ接続時間Tm1 として設定
された2sec が経過したか否かを判定し、未だ経過して
いないため、ステップ60に移行する。次いで、ステッ
プS60で前記トルク付与油圧回路16の切換弁22を
切換操作し、ロータリアクチュエータ23の出力軸23
aを実際の内燃機関の回転方向に回転させる。ここで、
自動変速機13の入力軸13aはクラッチ15を介して
出力軸13bと接続されて回転を阻止されているため、
ロータリアクチュエータ23のトルクは入力軸13aを
経て自動変速機13内のクラッチ15に、稼働時と同方
向(以下、『順方向』という)に加えられることにな
る。
【0057】そして、ステップS61で前記トルクセン
サ24の検出値に基づいて実際に入力軸13aに加えら
れているトルクが、前記ステップS35でトルク値Tq
として設定された30kgmに達すると、ステップS62
で切換弁22を切換操作して、ロータリアクチュエータ
23をロックする。したがって、自動変速機13の入力
軸13aには30kgmのトルクが付与され続けることに
なる。
【0058】更に、ステップS63で予め設定されたロ
ック時間Sが経過すると、ステップS64で切換弁22
を切換操作して、ロータリアクチュエータ23へのトル
ク付与を中止する。したがって、クラッチ15に加えら
れたトルクは短時間で減少し、ステップS65で前記ト
ルクセンサ24の検出値に基づいてトルク値Tqが0kg
mになったと判定すると、前記ステップS59に戻り、
最大接続圧Pmax を継続させるクラッチ接続時間Tm1
として設定された2sec が経過するまで、繰返し実行す
る。
【0059】なお、前記ロック時間Sは、ステップS6
0のトルク付与開始からステップS65のトルク付与終
了まで所要時間、つまり、図12に示すトルク値の一山
分の時間が、前記トルク変動サイクルCの逆数となるよ
うに、その長さが調整されている。したがって、この場
合にはステップS40でトルク変動サイクルCとして2
Hzが設定されていることから、トルク値の一山分の時間
はロック時間Sによって0.5sec に調整されることに
なる。
【0060】その後、CPU34はステップS59でク
ラッチ接続時間Tm1として設定された2sec が経過し
たか否かを判定し、未だ0.5sec 経過しているにすぎ
ないため、再びステップS60からステップS65まで
の処理を繰り返して、自動変速機13の入力軸13aに
トルクを加える。そして、ステップS59で2sec が経
過するまでに、60からステップS65までの処理を4
回繰り返した後、ステップS66に移行する。
【0061】更に、ステップS66でクラッチ断接油圧
回路1の切換弁9を切換動作させて、自動変速機13の
クラッチ15を遮断し、ステップS67で前記ステップ
S39でクラッチ遮断時間Tm2 として設定された28
sec が経過するまで待機する。その後、ステップS68
でカウンタnをインクリメントし、ステップS69でそ
のカウンタnが前記ステップS32で継続回数Nとして
設定された15000に達したか否かを判定し、未だ達
していないとき、前記ステップS53からのルーチンに
戻って再び自動変速機13のクラッチ15の接続及び遮
断操作と入力軸13aへのトルク付与を行なう。
【0062】このように、クラッチ15は3000rpm
の相対回転差で接続された後に、その接続状態で2sec
、遮断状態で28sec それぞれ保持され、接続時には
最大30kgmのトルクを2Hzの周期で、つまり4回ずつ
加えられる。そして、この一連の処理を15000回反
復して実行し、ステップS69でカウンタnが継続回数
Nに達すると、剥離試験が終了したとして、図4に示す
ステップS8で終了ランプ33を点灯させてステップS
2に戻る。
【0063】したがって、クラッチ15のフェーシング
15cには、相対回転差がある状態で接続され、摩擦熱
による熱的な負荷が加わるとともに、接続後に周期的な
トルクが加えられることで、トルクによる力学的な負荷
が加わることになる。
【0064】また、クラッチ15を自動変速機13内に
設置した状態で、断接及びトルク付与を行なうため、接
続時のクラッチ15は実際の使用時と全く同じ密着状態
となり、試験精度が向上される。
【0065】なお、前述した油温Te、初期回転数R
e、待機時間Tm0 、クラッチ接続時間Tm1 、クラッ
チ遮断時間Tm2 、継続回数N、トルク振幅のトルク値
Tqや捩れ角、及びトルク変動サイクルCの各設定値
は、自動変速機13やクラッチ15の仕様、試験の種類
等に応じて任意に設定可能である。
【0066】また、この試験装置は、前述したようにク
ラッチ15を自動変速機13内に設置した状態で試験を
実施するだけでなく、クラッチ15単体を断接可能なよ
うに治具に組付けて、加温した作動油内に浸漬し、前述
した手順で剥離試験を実施することもできるようになっ
ている。この場合のクラッチ15は、自動変速機13内
のクラッチ断接用アクチュエータ14を利用して断接操
作されず、治具に設けられたクラッチ断接用アクチュエ
ータにて所定接続圧で断接操作されることになる。
【0067】更に、自動変速機13の入力軸13aに加
えるトルクの方向としては、前述したように実際の内燃
機関による回転方向である順方向のみに、0〜30kgm
の間で変動させるばかりでなく、例えば、順方向と逆方
向にかけて、30〜−30kgmの間で変動させてもよ
い。
【0068】このように、上記実施例のクラッチフェー
シングの試験方法を用いた試験装置は、車輌用自動変速
機13内の作動油を所定温度に保持するヒータ3と、前
記自動変速機13に内装された特定のクラッチ断接用ア
クチュエータ14に作動油を供給するクラッチ断接油圧
回路1と、前記自動変速機13の入力軸13aに接続さ
れてトルクを加えるロータリアクチュエータ23及びフ
ライホイール47と、前記ロータリアクチュエータ23
にて前記入力軸13aを回転駆動して、前記フライホイ
ール47にてその回転を保った状態で、前記クラッチ断
接油圧回路1を制御して、前記自動変速機13のクラッ
チ断接用アクチュエータ14にて特定のクラッチ15を
接続し、接続完了後に、前記ロータリアクチュエータ2
3にて前記入力軸13aに周期的にトルクを加えるCP
U34とを具備している。
【0069】また、この試験装置にて実施されるクラッ
チフェーシングの試験方法は、前記クラッチ15の出力
側を回転不能に固定するとともに、クラッチ15の入力
側にトルクを加えて初期回転数Reに保つ工程と、前記
クラッチ15を、実際の使用状況での接続圧変化に倣っ
て接続する工程と、前記クラッチ15の接続状態を最大
接続圧Pmax で維持し、実際の使用状況で加わる方向に
最大30kg/cm2 のトルクを2Hzの周期で加える工程
と、前記クラッチ15を遮断する工程とを具備してい
る。
【0070】したがって、自動変速機13のクラッチ1
5は、相対回転差がある状態で接続されることで、その
フェーシング15cに熱的な負荷による剥離が生じると
ともに、接続後に周期的なトルクが加えられることで、
力学的な負荷による剥離が生じ、実際のクラッチ15の
作動状況に即した試験を実施することができる。故に、
フェーシング15cに使用時と同様の剥離状態を再現す
ることができ、その剥離状態に基づきフェーシング材質
等について的確な改善対策を実施することができる。
【0071】特に、本実施例では、自動変速機13はト
ルクコンバータ及び/または変速歯車等を必ずしも具備
するものではないが、クラッチ15を車輌に搭載する車
輌用自動変速機の要部構成を抽出して使用するから、試
験結果に構造の違いから生ずる誤差がなくなる。
【0072】なお、本実施例のクラッチフェーシングの
試験方法は、クラッチ15に相対回転差を発生させる工
程と、前記クラッチ15を接続する工程と、前記クラッ
チ15にトルクを繰返し、周期的に加える工程と、前記
クラッチ15を遮断する工程とを具備するため、クラッ
チフェーシング15cには、相対回転差がある状態で接
続されることで、摩擦熱による熱的な負荷が加わるとと
もに、接続後に周期的なトルクが加えられることで、ト
ルクによる力学的な負荷が加わり、実際のクラッチ15
の作動状況に即した試験が可能となり、例えば、クラッ
チフェーシング15cに車輌に搭載した使用時と同様の
剥離状態を再現して、その剥離状態に基づきクラッチフ
ェーシング材質等について的確な改善対策を実施するこ
とができる。
【0073】また、本実施例のクラッチフェーシングの
試験方法は、クラッチ15の入力側13aまたは出力側
13bの一方を固定し、他方を所定回転数に保つ工程
と、前記クラッチ15を使用状況での接続圧変化に倣っ
て接続する工程と、前記クラッチ15に使用状況で加わ
る方向にトルクを周期的に加える工程と、前記クラッチ
15を遮断する工程とを具備するため、クラッチ15は
使用状況での接続圧変化に倣って接続されるとともに、
使用状況で加わる方向にトルクが加えられることから、
より実際の使用時に近似するクラッチフェーシング15
cの剥離等の状態を再現することができ、的確な改善対
策を実施することができる。
【0074】そして、本実施例のクラッチフェーシング
の試験方法は、クラッチ15を所定の接続圧変化で変化
させながら接続する工程と、クラッチ15の接続状態に
応じて、所定の方向にトルク値を変動させながら加える
工程とを、両者共通の独立した時限によって制御するこ
とも可能である。即ち、クラッチフェーシング15cを
有するクラッチ15の入力側13aと出力側13bとの
間に所定の相対回転差を発生させる工程と、前記クラッ
チ15を所定の接続圧変化で変化させながら接続する工
程と、前記クラッチ15の接続状態に応じて、所定の方
向にトルク値を変動させながら加える工程と、前記クラ
ッチ15を遮断する工程とを具備することにより、クラ
ッチ15の接続圧を変化させながら、任意の方向にトル
ク値を変動させることができ、結果的に、クラッチ15
の接続状態と加えるトルクとの関係を自由に選択でき、
クラッチフェーシング15cの物理的と化学的性状を分
離して、しかも時限を特定して検討することができる。
【0075】更に、前記クラッチ15に加えるトルクの
変量を時間の関数で連続変化させたものでは、その繰返
し回数によってクラッチ15の踏込み回数に、また、伝
達トルクの変化によって摩擦熱の試験を、時間でアドレ
ス指定するメモリ・マップ等を用いて任意の特性を調べ
ることができる。
【0076】ところで、上記実施例では自動変速機13
に内装された湿式クラッチ15の剥離試験を行なう試験
方法を具体化されているが、本発明を実施する場合に
は、これに限定されるものではなく、クラッチの剥離試
験、寿命試験等の各種試験を行なう試験装置に使用され
る試験方法であればよい。したがって、例えば、手動変
速機の乾式クラッチの剥離試験を行なう試験方法に具体
化したり、或いは、工業用クラッチの剥離試験を行なう
試験方法に具体化してもよい。
【0077】また、上記実施例の温度調整手段は、クラ
ッチ断接油圧回路1の油タンク2内に設けられたヒータ
3として構成されているが、本発明を実施する場合に
は、これに限定されるものではなく、自動変速機13内
の作動油を所定温度に保持できるものであればよい。し
たがって、例えば、自動変速機13を浸漬するための油
タンク内に前記ヒータ3を設け、このヒータ3にて油タ
ンク2内の作動油を所定温度に保ち、その結果、自動変
速機13内の作動油も同程度の温度に保持するようにし
てもよい。
【0078】更に、上記実施例のトルク付与手段は油圧
にて作動するロータリアクチュエータ23、及びその出
力軸23aに設けられたフライホイール47として構成
されているが、本発明を実施する場合には、これに限定
されるものではなく、自動変速機13の入力軸13aや
出力軸13bにトルクを加えることができるものであれ
ばよい。したがって、例えば、このトルク付与手段を電
動モータとして構成して自動変速機13の入力軸13a
に接続し、クラッチ15の接続時には、そのモータにて
入力軸13aの回転数を初期回転数Reに保持した上で
接続するようにしたり、或いは、自動変速機の入力軸1
3aに代えて出力軸13bにトルクを加えるようにした
りしてもよい。
【0079】一方、上記実施例では相対回転差のある状
態でクラッチ15を接続し、接続後に直ちにトルクを周
期的に加えたが、本発明を実施する場合には、これに限
定されるものではなく、クラッチ15に熱的な負荷と力
学的な負荷を加えることができるものであればよい。し
たがって、例えば、クラッチ接続後に、一旦クラッチ1
5を遮断して再度接続した上で、トルクを周期的に加え
るように構成してもよい。
【0080】なお、上記実施例では、クラッチフェーシ
ングの試験方法で説明したが、上記実施例の自動変速機
13をブレーキに置換すれば、ブレーキシュー、ブレー
キパッドの試験に使用できる。
【0081】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明のクラッ
チフェーシングの試験方法は、クラッチフェーシングを
有するクラッチの入力側と出力側との間に所定の相対回
転差を発生させる工程と、前記クラッチを接続する工程
と、前記クラッチの接続状態を維持し、前記入力側また
は出力側に所定のトルクを繰返し加える工程と、前記ク
ラッチを遮断する工程とを具備するから、クラッチフェ
ーシングには相対回転差が存在する状態で接続され、摩
擦熱による熱的な負荷が加わるとともに、接続後に周期
的なトルクが加えられることで、トルクによる力学的な
負荷が加わり、実際のクラッチの作動状況に対応した試
験ができる。また、クラッチフェーシングに使用時に対
応した状態を再現して、クラッチフェーシングの使用状
態に対応した剥離、剪断力、熱的変化、寿命等の物理的
及び/または化学的な各種の試験が可能となり、その試
験結果に基づきフェーシング材質等について的確な改善
対策を実施することができる。
【0082】請求項2の発明のクラッチフェーシングの
試験方法は、クラッチフェーシングを有するクラッチの
入力側または出力側のいずれか一方を回転不能に固定す
るとともに、他方にトルクを加えて所定回転数とする工
程と、前記クラッチを所定の接続圧変化で変化させなが
ら接続する工程と、前記クラッチの接続状態を所定の接
続圧とし、所定の方向にトルク値を変動させながら加え
る工程と、前記クラッチを遮断する工程とを具備するか
ら、クラッチフェーシングには摩擦熱による熱的な負荷
が加わるとともに、接続後にトルクを変動させて加える
ことで、トルクによる力学的な負荷が加わり、クラッチ
フェーシングの使用状態に対応した剥離、剪断力、熱的
変化、寿命等の物理的及び/または化学的な各種の試験
が可能となり、その試験結果に基づきフェーシング材質
等について的確な改善対策を実施することができる。
【0083】請求項3の発明のクラッチフェーシングの
試験方法は、クラッチフェーシングを有するクラッチの
入力側と出力側との間に所定の相対回転差を発生させる
工程と、前記クラッチを所定の接続圧変化で変化させな
がら接続する工程と、前記クラッチの接続状態に応じ
て、所定の方向にトルク値を変動させながら加える工程
と、前記クラッチを遮断する工程とを具備するから、ク
ラッチの接続タイミングに応じた接続圧変化とトルク値
変化を任意に設定できるから、クラッチフェーシングの
試験を特定の摩擦状態或いは接続状態等に条件を限定で
き、クラッチフェーシング物理的、化学的特性を分離抽
出することができる。
【0084】請求項4の発明のクラッチフェーシングの
試験方法は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記
載のクラッチに加えるトルクの繰返しは、印加するトル
クの変量を時間の関数で連続変化させたものであるか
ら、トルクの変量を所定の実際の車輌走行時のデータに
より制御することができ、また、試験条件によって任意
のトルク変化を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第一実施例のクラッチフェーシ
ングの試験方法を用いた試験装置の概略的な構成を示す
説明図である。
【図2】図2は本発明の第一実施例のクラッチフェーシ
ングの試験方法を用いた試験装置の制御盤を示す正面図
である。
【図3】図3は本発明の第一実施例のクラッチフェーシ
ングの試験方法を用いた試験装置の電気的構成を示すブ
ロック図である。
【図4】図4は本発明の第一実施例のクラッチフェーシ
ングの試験方法を用いた試験装置のメインルーチンを示
すフローチャートである。
【図5】図5は本発明の第一実施例のクラッチフェーシ
ングの試験方法を用いた試験装置における油温制御ルー
チンを示すフローチャートである。
【図6】図6は本発明の第一実施例のクラッチフェーシ
ングの試験方法を用いた試験装置における設定処理ルー
チンの一部の詳細を示すフローチャートである。
【図7】図7は本発明の第一実施例のクラッチフェーシ
ングの試験方法を用いた試験装置における設定処理ルー
チンの他の一部の詳細を示すフローチャートである。
【図8】図8は本発明の第一実施例のクラッチフェーシ
ングの試験方法を用いた試験装置における液晶表示板の
表示を示す説明図である。
【図9】図9は本発明の第一実施例のクラッチフェーシ
ングの試験方法を用いた試験装置における液晶表示板の
表示を示す説明図である。
【図10】図10は本発明の第一実施例のクラッチフェ
ーシングの試験方法を用いた試験装置における試験実行
処理ルーチンの一部を示すフローチャートである。
【図11】図11は本発明の第一実施例のクラッチフェ
ーシングの試験方法を用いた試験装置における試験実行
処理ルーチンの他の一部を示すフローチャートである。
【図12】図12は本発明の第一実施例のクラッチフェ
ーシングの試験方法を用いた試験装置の試験時のタイム
チャートである。
【図13】図13は従来のクラッチフェーシングの試験
装置の概略的な構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 クラッチ断接油圧回路 3 ヒータ(温度調整手段) 13 自動変速機 13a 入力軸 13b 出力軸 14 クラッチ断接用アクチュエータ 15 クラッチ 15c クラッチフェーシング 23 ロータリアクチュエータ(トルク付与手
段) 34 CPU(制御手段) 47 フライホイール(トルク付与手段)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クラッチフェーシングを有するクラッチ
    の入力側と出力側との間に所定の相対回転差を発生させ
    る工程と、 前記クラッチを接続する工程と、 前記クラッチの接続状態を維持し、前記入力側または出
    力側に所定のトルクを繰返し加える工程と、 前記クラッチを遮断する工程とを具備することを特徴と
    するクラッチフェーシングの試験方法。
  2. 【請求項2】 クラッチフェーシングを有するクラッチ
    の入力側または出力側のいずれか一方を回転不能に固定
    するとともに、他方にトルクを加えて所定回転数とする
    工程と、 前記クラッチを所定の接続圧変化で変化させながら接続
    する工程と、 前記クラッチの接続状態を所定の接続圧とし、所定の方
    向にトルク値を変動させながら加える工程と、 前記クラッチを遮断する工程とを具備することを特徴と
    するクラッチフェーシングの試験方法。
  3. 【請求項3】 クラッチフェーシングを有するクラッチ
    の入力側と出力側との間に所定の相対回転差を発生させ
    る工程と、 前記クラッチを所定の接続圧変化で変化させながら接続
    する工程と、 前記クラッチの接続状態に応じて、所定の方向にトルク
    値を変動させながら加える工程と、 前記クラッチを遮断する工程とを具備することを特徴と
    するクラッチフェーシングの試験方法。
  4. 【請求項4】 前記クラッチに加えるトルクは、その加
    えるトルクの変量を時間の関数で連続変化させたことを
    特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載
    のクラッチフェーシングの試験方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101244464B1 (ko) * 2011-07-29 2013-03-18 한국기계연구원 클러치의 성능시험 장치
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