JPH05149108A - 複合サイクル発電プラントのドラムレベル制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】給水制御装置３０は、ドラムレベル検出信号と
蒸気流量検出信号と給水流量検出信号とに基づく開度指
令信号を給水調節弁２６に出力する。先行信号発生器３
８は、ダンパ開度信号と排ガス温度検出信号とにより給
水調節弁２６を先行して制御するために先行信号を出力
し、この先行信号により上記開度指令信号が補正され
る。比較器４０，４２は、ドラムレベル検出信号が所定
の範囲を逸脱したとき入口ダンパ動作を停止させる。 【効果】ドラムレベルの変動を抑制し、安定な制御をす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複合サイクル発電プラ
ントに備える排熱回収ボイラ装置のドラムレベルを制御
するに好適なドラムレベル制御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】火力発電所においては、省エネルギーの
ニーズに応えるため、ガスタービン装置と蒸気タービン
装置を組み合わせた複合サイクル発電プラントが多く採
用されるようになってきた。

【０００３】図６は、従来の複合サイクル発電プラント
の概略構成例を示す。

【０００４】この複合サイクル発電プラントは、１台ま
たは複数台のガスタービン装置１と、これに対応する排
熱回収ボイラ装置２と、この排熱回収ボイラ装置２の発
生蒸気によって駆動される少なくとも１台の蒸気タービ
ン装置３とから概略構成されている。ガスタービン装置
１は、コンプレッサー４と、これから吐き出される加圧
空気と燃料配管５から供給される燃料とを混合し燃焼す
る燃焼器６と、この燃焼器６から排出される高温、高圧
の燃焼ガスによって駆動されるガスタービン７と発電機
８とから構成されている。

【０００５】ガスタービン７の排ガスは、排熱回収ボイ
ラ装置２の入口ダンパ９の開度により一部は大気中へ放
出され、残りは排熱回収ボイラ装置２へ導かれる。排熱
回収ボイラ装置２は、給水配管１０から導入される給水
を予熱するエコノマイザ１１と、この予熱給水を受け入
れるドラム１２と、このドラム１２内のドラム水を蒸発
させる蒸発器１３と、ドラム１２内の蒸気を加熱する加
熱器１４とを備えている。加熱器１４によって生成され
た加熱蒸気は、蒸気管１５およびボイラ出口弁１６を通
して蒸気タービン装置３に導かれる。

【０００６】蒸気タービン装置３は、蒸気タービン１７
と蒸気管１５に介挿した蒸気ヘッダ１８および蒸気加減
弁１９と、蒸気タービン１７からの排出蒸気を復水器２
０の間をバイパスするバイパス蒸気管２１とバイパス蒸
気管２１に介挿したバイパス弁２２および減温器２３と
を備えている。なお、２４は蒸気タービン１７により駆
動される発電機を示す。

【０００７】一方、復水器２０から排出される復水は、
給水ポンプ２５および給水調節弁２６を通り、給水配管
１０から排熱回収ボイラ装置２へ還流する。

【０００８】上記のように構成した複合サイクル発電プ
ラントでは、ドラム１２にはその水位を検出するドラム
レベル検出器２７が配置されている。また、蒸気管１５
には、ボイラ出口弁１６の上流側にドラム発生蒸気量を
検出する蒸気流量検出器２８が配置されている。さら
に、給水配管１０に介挿され、排熱回収ボイラ装置２へ
供給される給水流量を検出する給水流量検出器２９が備
えられている。給水制御装置３０は、前記したドラムレ
ベル検出器２７、蒸気流量検出器２８および給水流量検
出器２９からの検出信号を演算して、ドラム１２のレベ
ルが一定になるように給水調節弁２６を開閉して制御す
る。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たドラムレベル制御装置はドラムレベル、蒸気流量およ
び給水流量からなる３要素に基づいてドラムのレベルを
一定に制御するが次の問題がある。

【００１０】まず、排熱回収ボイラ装置２の入口のダン
パ９が開かれて、排熱回収ボイラ装置２に流入する排ガ
ス流量が増加すると、蒸発器１３内で発生蒸気泡が増加
し、このためドラム１２のレベルが上昇する。また、入
口ダンパ９を閉じられて、排熱回収ボイラ装置２に流入
する排ガス流量が減少すると、蒸発器１３内での発生蒸
気泡が減少し、ドラムレベルが低下する。このように、
従来の給水制御装置３０では、発生蒸気泡の増減がドラ
ム１２のレベルに対して外乱として作用する。このた
め、ドラム１２のレベルが異常に上昇した場合には、発
生蒸気中に水滴が混入し、加熱器１４や蒸気タービン１
７等にエロージョンを発生させる原因となるという問題
がある。また、ドラム１２のレベルの急激な変動はドラ
ムレベル系に影響を及ぼし、レベルハンチングの原因と
なるという問題がある。

【００１１】そこで、本発明は、蒸発器内の発生蒸気泡
の体積変化を予測してドラムレベル制御系を安定させる
ドラムレベル制御装置を提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は、排熱回収ボイ
ラ装置への給水流量とドラムのドラムレベルと排熱回収
ボイラ装置からの蒸気流量とに基づく開度指令信号によ
り給水調節弁を開閉動作する給水制御装置によりドラム
レベルを所定値に制御する複合サイクル発電プラントの
ドラムレベル制御装置において、排熱回収ボイラ装置へ
の入口ダンパの開度とガスタービンの運転状態とに応じ
て給水調節弁を先行して制御するため先行信号を発生す
る先行信号発生手段と、この先行信号発生手段による先
行信号により開度指令信号を補正する手段と、ドラムレ
ベルが第一の所定値より高いとき、または、ドラムレベ
ルが第二の所定値より低いときのいずれかで前記入口ダ
ンパの開閉動作を停止させる停止手段とを設けるように
したものである。

【００１３】

【作用】上記構成により、排熱回収ボイラ装置の入口ダ
ンパの開度によりダンパ操作時の蒸発器内部での発生気
泡体積の変化に対応した先行信号が給水調節弁の開度指
令信号を補正する。しかも、ガスタービンの運転状態に
よる先行信号を加味することにより、ガスタービンの運
転状態が異なる場合に対応しても適切な先行信号による
開度指令信号の補正を可能としている。さらに、ダンパ
操作中に発生蒸気泡の体積変化によりドラムレベルが異
常高または異常低となった場合に対応して、ドラムレベ
ルが第一の設定値より高くなったとき、または、第二の
設定値より低くなったときのいずれかでダンパを一定開
度に保持し、発生蒸気泡の体積変化を止めることにより
ドラムレベルを安定させる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。

【００１５】図１は、本発明の一実施例に係るドラムレ
ベル制御装置を備える複合サイクル発電プラントの系統
図である。図６と同一符号は、同一部分または相当部分
を示す。図中、図６と異なる点は、排熱回収ボイラ装置
２の入口ダンパ９にダンパ開度検出器３１と排熱回収ボ
イラ装置２の入口側に排ガス温度検出器３２とを追設
し、これらの各検出器の検出信号を給水制御装置３０に
入力するようにしていることである。

【００１６】図１の給水制御装置３０は図２に示す如く
具体的に構成されている。

【００１７】ここで、減算器３３は蒸気流量検出器２８
の検出信号と給水流量検出器２９の検出信号とを減算し
て、その減算信号が偏差演算器３４に入力される。偏差
演算器３４は、ドラムレベル検出器２７の検出信号とレ
ベル設定器３５の設定信号と減算器３３の減算信号とを
図示符号で加減演算し、偏差演算信号を出力する。比例
積分器３６は、偏差演算信号を比例および積分で演算
し、減算器３７へ演算信号を出力する。

【００１８】先行信号発生器３８は、ダンパ開度検出器
３１の開度信号と排ガス温度検出器３２の検出信号に基
づいて発生蒸気泡の体積変化に対応した先行信号を減算
器３７へ出力する。減算器３７は、比例積分器３６の演
算信号と先行信号発生器３８の先行信号の図示符号で減
算し、上下限制限器３９を介して制御信号を給水調節弁
２６へ出力する。

【００１９】比較器４０は、第一の設定値とドラムレベ
ル検出器２７の検出信号とを比較し、検出信号が第一の
設定より大きい場合に、出力信号をＯＮ状態としてオフ
ディレイタイマ４１へ出力する。比較器４２は、第二の
設定値とドラムレベル検出器２７の検出信号とを比較
し、検出信号が第二の設定値より小さい場合に、出力信
号をＯＮ状態としてオフディレイタイマ４３へ出力す
る。ＯＲ回路４４は、前記ＯＮ状態の出力信号を入力し
たとき、入力ダンパ動作停止指令信号を出力する。

【００２０】次に、本実施例の作用を説明する。

【００２１】まず、給水流量検出器２９の検出信号と蒸
気流量検出器２８との検出信号とが減算器３３で減算さ
れ、この減算信号が偏差演算器３４に入力される。さら
に、偏差演算器３４では、ドラムレベル設定器３５の設
定信号およびドラムレベル検出器２７の検出信号と入力
される。これにより、偏差が演算され、この信号が給水
要求信号として比例積分器３６に入力される。

【００２２】一方、ダンパ開度検出器３１の検出信号
と、排ガス温度検出器３２からの検出信号は、先行信号
発生器３８に入力される。先行信号発生器３８は、図３
に示す如く構成され、変化率演算器４５がダンパ開度検
出器３１の検出信号の変化率を演算し、この変化率演算
信号が上下限制御器４６により制限されて増巾器４７に
入力される。さらに、増巾器４７では、入力信号をゲイ
ンＫ１で増巾して乗算器４８に出力する。また、排ガス
温度検出器３２の検出信号は、増巾器４９にてゲインＫ
２で増巾された後、乗算器４８に入力される。乗算器４
８では、増巾器４７の入力信号と増巾器４９との入力信
号との乗算が行われ、その結果が、先行信号として出力
される。

【００２３】次に、比例積分器３６の出力信号と先行信
号発生器３８の先行信号は、減算器３７に入力され、こ
こで減算された信号が上下限制限器３９を介して制御信
号として給水調節弁２６へ出力される。これにより、入
口ダンパ９の開度の変化率が大きい程、また、排ガス温
度検出器３２の排ガス温度が高い程、即ち、ダンパ操作
時の発生蒸気泡の体積変化が大きい程、先行信号発生器
３８の先行信号が大きな値となり、この先行信号がドラ
ムレベル制御系に対する補正信号として比例積分器３６
の出力信号を増減させる。

【００２４】一方、ドラムレベル検出器２７の検出信号
は、比較器４０、４２へ入力され、比較器４０では、第
一の設定値（異常高設定）とドラムレベル検出器２７の
検出信号とが比較され、ドラムレベル検出器２７の検出
信号が第一の設定値より大きい場合に、比較器４０の出
力信号をＯＮにする。比較器４２では、第二の設定値
（異常低設定）とドラムレベル検出器２７の検出信号と
が比較され、ドラムレベル検出器２７の検出信号が第二
の設定値より小さい場合に、比較器４２の出力信号をＯ
Ｎにする。これらの比較器４０、４２の出力信号は対応
するオフディレイタイマ４１、４３を介してＯＲ回路４
４に入力され、ＯＲ回路４４からダンパ動作停止指令信
号が出力される。これにより、入口ダンパ９を一時的に
一定開度に保持し、排熱回収ボイラ装置２の入熱量を一
定にする。従って、ドラムレベルが異常高または異常低
となると、発生蒸気泡の体積変化が抑制されて、ドラム
レベルが安定化される。

【００２５】図４に、図３の先行信号発生器３８の他の
実施例を示す。

【００２６】この実施例の先行信号発生器３８では、入
口ダンパ９の開度信号の代わりに図示省略した手段によ
って入口ダンパ９の開方向、閉方向および停止状態の動
作信号を検出し、この動作信号を入力する。さらに、設
定値発生器５０，５１，５２が備えられ、これらの設定
値発生器５０，５１，５２には入口ダンパ９の動作信
号、つまり、開、閉、停止に対応してそれぞれ所定値が
設定されている。そして、上記のダンパ動作信号に応じ
て切替器５３が動作する。即ち、ダンパ動作信号が開方
向のとき設定値発生器５０の設定値を選択され、閉方向
のときは設定値発生器５１の設定値を選択され、停止の
ときは設定値発生器５２の設定値がそれぞれ選択され、
選択された設定値が乗算器５４に入力されるように構成
されている。

【００２７】さらに、排ガス温度検出器３２の検出信号
が増巾器５５に入力され、ゲインＫ３が与えられた後に
乗算器５４に入力される。乗算器５４では上記の選択さ
れた設定値との乗算が行われ、その結果が先行信号とし
て出力されるようにしている。なお、排ガス温度検出器
３２の検出信号の代わりにガスタービン７の出力に応じ
た信号を用いても同様な効果が得られる。

【００２８】図５は、給水制御装置３０の他の実施例を
示すものである。

【００２９】図２に示した実施例が、先行信号発生器３
８からの先行信号を減算器３７に入力させたのに対して
この実施例は、先行信号発生器３８からの先行信号を偏
差演算器３４へ入力するようにしている。この偏差演算
器３４で演算された偏差は、比例積分器３６に入力され
る。この比例積分器３６からの出力信号は、上下限制限
器３９を介して給水調節弁２６へ制御信号として出力さ
れる。以上のようにしても、図２の給水制御装置３０と
同様な効果が得られる。

【００３０】このように以上の実施例では、従来のドラ
ムレベル、蒸気流量および給水流量による制御に先行し
て排熱回収ボイラ入口のダンパの開度、排ガス温度を用
いて給水流量を制御する。従って、排ガスの流量や温度
による蒸発器内での発生蒸気泡の体積変化を予測し、ド
ラムレベルの変動を抑制することができる。さらに、排
熱回収ボイラの入口ダンパ動作中、上記のような制御を
行っていてもドラムレベルが第一の設定値（異常高設
定）より高く、または、第二の設定値（異常低設定）よ
り低くなったときダンパ開度を一定に保持するので蒸発
器内での発生蒸気泡の変化が抑制され、ドラムレベルが
安定する。

【００３１】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、排
ガス流量の変化とガスタービンの出力の変化による蒸発
器内での発生蒸気泡の体積変化を予測して制御するか
ら、ドラムレベルの急激な変動を防ぐことができる。ま
た、排熱回収ボイラ入口ダンパ動作中にドラムレベルが
異常に高くまたは低くなったときにダンパを一定開度に
保持させドラムレベルの安定を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に適用される複合サイクル発電
プラントの系統図である。

【図２】本発明の一実施例を示す複合サイクル発電プラ
ントのドラムレベル制御装置のブロック構成図である。

【図３】同装置の先行信号発生器のブロック構成図であ
る。

【図４】図３の先行信号発生器の他の実施例を示すブロ
ック構成図である。

【図５】図２の他の実施例を示す複合サイクル発電プラ
ントのドラムレベル制御装置のブロック構成図である。

【図６】従来例を示す複合サイクル発電プラントの系統
図である。

【符号の説明】

２６ 給水調節弁 ２７ ドラムレベル検出器 ２８ 蒸気流量検出器 ２９ 給水流量検出器 ３０ 給水制御装置 ３１ ダンパ開度検出器 ３２ 排ガス温度検出器 ３３ 減算器 ３４ 偏差演算器 ３５ ドラムレベル設定器 ３６ 比例積分器 ３７ 減算器 ３８ 先行信号発生器 ４０ 比較器 ４２ 比較器 ４４ ＯＲ回路

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 排熱回収ボイラ装置への給水流量とドラ
   ムのドラムレベルと前記排熱回収ボイラ装置からの蒸気
   流量とに基づく開度指令信号により給水調節弁を開閉動
   作する給水制御装置により前記ドラムレベルを所定値に
   制御する複合サイクル発電プラントのドラムレベル制御
   装置において、 前記排熱回収ボイラ装置への入口ダンパの開度とガスタ
   ービンの運転状態とに応じて前記給水調節弁を先行して
   制御するため先行信号を発生する先行信号発生手段と、 この先行信号発生手段による先行信号により前記開度指
   令信号を補正する手段と、 前記ドラムレベルが第一の所定値より高いとき、また
   は、前記ドラムレベルが第二の所定値より低いときのい
   ずれかで前記入口ダンパの開閉動作を停止させる停止手
   段とを前記給水制御装置に備えたことを特徴とする複合
   サイクル発電プラントのドラムレベル制御装置。