JP3820636B2 - 排気再燃型コンバインドサイクルプラントにおける給水温度制御方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気再燃型コンバインドサイクルプラントにおける給水温度制御方法及び装置に関し、詳しくは、ボイラ本体へ供給される給水の温度をガス低圧給水加熱器の給水入口側において、所要の温度に保持し得るようにした排気再燃型コンバインドサイクルプラントにおける給水温度制御方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱効率の向上を図るため、発電機及び圧縮機を駆動した後のタービン排ガスを燃焼用ガスとしてボイラへ送給し、ボイラにおける燃料の燃焼に供するようにした排気再燃型コンバインドサイクルプラントが実用化されつつあり、斯かるプラントの一例は、図6に示されている。
【0003】
図6中、1は火炉1a及び副側壁1b並に後部伝熱部1cを備えたボイラ本体、2はボイラ本体1の火炉1a下部に設置したバーナであり、火炉1aにおいては、バーナ2から噴射された燃料Fの燃焼により燃焼ガスG2が生成されるようになっている。
【0004】
3は燃焼器4から送給された燃焼ガスにより駆動され、発電機5及び圧縮機6を駆動し得るようにしたガスタービンであり、燃焼器4では、噴射された燃料が圧縮機6から送給された圧縮空気と混合して燃焼し得るようになっている。
【0005】
7は中途部に風道蒸発器23を備え且つガスタービン3から排出されたタービン排ガスを燃焼用ガスG1として火炉1a内へ送給するためのダクト、8はボイラ本体1の後部伝熱部1c下部に接続されてボイラ排ガスG3を後工程へ送給するための排ガスダクトである。
【0006】
9は給水管10を経て送られて来た給水Wを加熱し得るよう、後部伝熱部1c内の下部に格納された節炭器、11は節炭器9で加熱された給水Wをボイラ本体1の火炉1a壁面を形成する炉壁管下部へ送給するための給水管、12は炉壁管等で給水が加熱されて生成された蒸気を過熱するよう副側壁1b内に格納された過熱器、13は過熱器12で生成された過熱蒸気Vを蒸気タービン14へ送給するための過熱蒸気管、15は蒸気タービン14に駆動される発電機であり、蒸気タービン14から抽気された蒸気は、図示してない復水器で復水された後前述の給水管10へ給水Wとして戻し得るようになっている。
【0007】
16は排ガスダクト8と給水管10との中途部に、ボイラ排ガスG3の流れ方向上流側に位置するよう接続され、排ガスダクト8を送給されて来たボイラ排ガスG3により、給水管10を送給されて来た給水Wを加熱し得るようにしたガス高圧給水加熱器、17は排ガスダクト8と給水管10との中途部に、ガス高圧給水加熱器16よりもボイラ排ガスG3の流れ方向下流側に位置するよう接続され、ガス高圧給水加熱器16から排ガスダクト8を通り送給されて来たボイラ排ガスG3により、給水管10を送給されて来た給水Wを、前記ガス高圧給水加熱器16よりも給水Wの流れ方向上流側で加熱し得るようにしたガス低圧給水加熱器である。
【0008】
18は排ガスダクト8の中途部に、ガス低圧給水加熱器17よりもボイラ排ガスG3の流れ方向下流側となるよう接続された強圧通風機、19は排ガスダクト8のボイラ排ガスG3流れ方向下流端に接続された煙突である。
【0009】
20は給水管10の中途部に、ガス低圧給水加熱器17よりも給水W流れ方向上流側に位置するよう接続された復水ポンプ、21は給水管10の中途部においてガス低圧給水加熱器17とガス高圧給水加熱器16との間に位置するよう接続された脱気器、22は給水管10の中途部において、脱気器21とガス高圧給水加熱器16との間に位置するよう接続された給水ポンプである。
【0010】
上述の排気再燃型コンバインドサイクルプラントにおいては、蒸気タービン14のみを運転する気力単独運転と蒸気タービン出力が所定の出力まで上昇したら蒸気タービン14とガスタービン3の両方を運転するコンバインドサイクル運転が行われる。
【0011】
気力単独運転時には、ガスタービン3を停止させた状態で運転が行われる。すなわち、バーナ2からは燃料Fがボイラ本体1の火炉1a内へ噴射されると共に図示してないラインから空気が火炉1a内へ供給され、而して燃料Fは空気と混合して燃焼し、燃焼ガスG2が生成される。
【0012】
燃焼ガスG2は、火炉1a内を上昇し、副側壁1b、後部伝熱部1cを通りボイラ排ガスG3として排ガスダクト8へ排出され、排ガスダクト8を通り煙突19から大気中へ排出される。この際燃焼ガスG2は、ボイラ本体1の各炉壁管や過熱器12、節炭器9内の水、蒸気等の流体を加熱し、又ボイラ排ガスG3は排ガスダクト8、ガス高圧給水加熱器16、ガス低圧給水加熱器17を通り、ガス高圧給水加熱器16やガス低圧給水加熱器17において、給水ポンプ22や復水ポンプ20により給水管10を介して送給された給水Wを加熱する。
【0013】
一方、過熱器12で過熱されて生成された過熱蒸気Vは、過熱蒸気管13を通り蒸気タービン14へ導入されて蒸気タービン14が駆動され、蒸気タービン14から抽気された蒸気は復水器で復水されたうえ、復水ポンプ20へ戻る。又蒸気タービン14により発電機15が駆動され、発電が行われる。
【0014】
而して、蒸気タービン出力が所定の出力まで上昇したら、ガスタービン3をも駆動してコンバインドサイクル運転が開始される。すなわち、燃焼器4で燃焼して生成した燃焼ガスは、ガスタービン3へ導入されてガスタービン3を駆動し、ガスタービン3から排出されてダクト7を通り、ダクト7の中途部で風道蒸発器23に熱を与えて蒸気を生成させ、しかる後燃焼用ガスG1としてボイラ本体1の火炉1a内へ送給される。このため、バーナ2から火炉1a内へ噴射される燃料Fはガスタービン3からの燃焼用ガスG1中の酸素により燃焼し、燃焼ガスG2が生成される。この際、別ラインからの火炉1aへの空気の供給は予め停止される。
【0015】
生成した燃焼用ガスG1のボイラ本体1での流れ及びボイラ排ガスG3の排ガスダクト8中の流れは上述した気力単独運転の場合と同じである。
【0016】
又、ガスタービン3の駆動により、圧縮機6及び発電機5が駆動され、圧縮機6で生成した圧縮空気は燃焼器4における燃料の燃焼に供される。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上述の排気再燃型コンバインドサイクルプラントにおいては、燃料Fとして硫黄分を含まないLNGを使用しているが、コスト等の点から燃料Fとして硫黄分の含まれている重油を使用することが検討されている。
【0018】
しかし、上述の排気再燃型コンバインドサイクルプラントにあっては、例えばボイラ起動時には、ガス低圧給水加熱器17の給水入口側における給水Wの温度が低くガス低圧給水加熱器17の給水入口端はSO3結露点である115℃よりも低くなっており、このため、燃料Fとして重油を使用すると、ガス低圧給水加熱器17の入口端にSO3酸が付着し、ガス低圧給水加熱器17の入口側に腐食が発生する虞れがある。
【0019】
又、排気再燃型コンバインドサイクルプラントの通常運転時においても、ガス低圧給水加熱器17の給水入口側における給水温度が何等かの原因により低くなると、ボイラ起動時と同様SO3結露が生じる。
【0020】
本発明は、上述の実情に鑑み、ガス低圧給水加熱器の給水入口側にSO3結露が生じないようにすることを目的としてなしたものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本方法発明は、ガスタービンの排ガスをボイラ本体において燃料の燃焼用ガスとして使用すると共に給水加熱器でボイラ排ガスによりボイラ本体への給水を加熱するようにした排気再燃型コンバインドサイクルプラントにおいて、給水加熱器から送出された給水の温度が所定の温度よりも低い場合は、給水加熱器の給水出口側から給水循環管を介し給水加熱器の給水入口側へ循環する循環水の流量が予め設定した所定の流量となるよう、前記給水循環管を流れる循環水の流量を制御し、給水加熱器から送出された給水の温度が所定の温度まで上昇したら、循環して復水ポンプからの給水と共に給水加熱器へ導入される給水の給水加熱器入口側における温度が予め設定した所定の温度になるよう前記給水循環管を循環する循環水の流量を制御するものである。
【0022】
又本方法発明は、給水加熱器から送出された給水の温度が所定の温度よりも低い場合は、燃料として軽油を使用し、給水加熱器から送出された給水の温度が所定の温度になったら燃料として重油を使用すると良い。
【0023】
本装置発明は、ガスタービンの排ガスを燃料の燃焼用ガスとして使用するボイラ本体と、ボイラ本体から排出されたボイラ排ガスによりボイラ本体へ送給する給水を加熱する給水加熱器と、給水加熱器から送出された給水の一部を給水加熱器の給水入口側へ循環させる給水循環管を備えた排気再燃型コンバインドサイクルプラントにおいて、
前記給水循環管を流れている循環水の流量と前記給水循環管内を流れるよう設定された循環水の流量の差を処理して弁開度調整指令を求める第1の調節器と、前記給水循環管を循環して復水ポンプからの給水と共に前記給水加熱器へ導入される給水の温度と設定された給水の温度の差を処理して弁開度調整指令を求める第2の調節器と、
発電機出力指令から定まるボイラ本体への給水の流量と、発電機出力指令に対応した給水加熱器の給水流れ方向下流側における給水の温度及び給水加熱器の給水流れ方向下流側における検出された給水の温度から定まる給水補正流量とを加算し、給水管の給水加熱器よりも給水流れ方向下流側に設けた第1の流量制御弁へ弁開度調整指令として与える加算器と、
前記給水加熱器の給水流れ方向下流側における給水の温度が所定の温度に達したら切換指令を出力するモニタスイッチと、
該モニタスイッチからの切換指令が与えられない場合には第1の調節器からの弁開度調整指令を出力して給水循環管に設けられている第2の流量制御弁へ与え、前記モニタスイッチからの切換指令が与えられた場合には切換えられて第2の調節器からの弁開度調整指令を出力し、前記第2の流量制御弁へ与える切換器とを設けたものである。
【0024】
本発明においては、給水加熱器の給水出口側における給水温度が所定の温度よりも低い場合には、所定量の給水を循環水として給水加熱器出口側から入口側へ循環させることにより給水の温度を上昇させ、給水加熱器出口下流側における給水温度が所定の温度よりも高くなったら給水加熱器入口上流側の給水の温度が所定の温度となるよう循環水の流量を制御するため、給水加熱器の給水入口側の温度を高く保持でき、従って燃料として重油を使用した場合でもボイラ排ガス中のSO3酸の結露を防止できる。
【0025】
給水加熱器から送出された給水の温度が所定の温度よりも低い場合は、燃料として軽油を使用し、給水加熱器から送出された給水の温度が所定の温度になったら燃料として重油を使用する場合には、プラント起動時においてもSO3の結露を防止できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1〜図5は本発明の実施の形態の一例である。
【0028】
本実施の形態例における排気再燃型コンバインドサイクルプラント自体は、図4に示すごとく、図6に示す従来の排気再燃型コンバインドサイクルプラントと略同一構成であるため、同一のものには同一の符号を付して説明を省略するものとする。
【0029】
而して、本発明の実施の形態における排気再燃型コンバインドサイクルプラントでは、一端が給水管10のガス低圧給水加熱器17と脱気器21との間に接続され且つ他端が給水管10のガス低圧給水加熱器17と復水ポンプ20との間に接続された給水循環管26を備えており、給水循環管26内は、ガス低圧給水加熱器17の給水出口側から給水入口側へ向い、循環水WCが循環し得るようになっている。
【0030】
又、給水循環管26には、循環水WCの流れ方向上流側から下流側へ向けて順次循環水ポンプ27、流量検出器28、流量制御弁29が接続されている。
【0031】
給水管10におけるガス低圧給水加熱器17の給水入口側には、ガス低圧給水加熱器17と給水循環管26の給水管10に対する上流側接続部X1との間に位置するよう、温度検出器30が設けられている。
【0032】
給水管10におけるガス低圧給水加熱器17の給水出口側には、脱気器21と給水循環管26の給水管10に対する下流側接続部X2との間に位置するよう、給水W流れ方向上流側から下流側へ向けて順次温度検出器31と流量制御弁32とが接続されている。
【0033】
脱気器21には、中途部に開閉弁33を備えた補助蒸気供給管34が接続され、補助蒸気供給管34からは脱気器21へ所定圧(例えば3ata)の補助蒸気を供給し得るようになっている。このように脱気器21へ補助蒸気を供給するのは、脱気器21内を圧力に対応した飽和蒸気温度とするためである。
【0034】
図4に示す排気再燃型コンバインドサイクルプラントに適用する給水温度制御装置の詳細は図1に示されている。
【0035】
而して、35はガス低圧給水加熱器17の給水入口側で温度検出器30により検出したガス低圧給水加熱器入口給水検出温度TIと信号発生器36から与えられたガス低圧給水加熱器入口給水設定温度TS(例えば115℃)の差を取り、ガス低圧給水加熱器入口給水温度偏差ΔTI(=TI−TS)を求める減算器、37は減算器35から与えられたガス低圧給水加熱器入口給水温度偏差ΔTIを比例積分調節して弁開度調整指令VS1を求める比例積分調節器である。
【0036】
38は流量検出器28により検出した給水循環管26内を流れる循環水WCの流量(検出循環水流量)QWCと信号発生器39から与えられた設定循環水流量QSの差を取り、循環水流量偏差ΔQ(=QWC−QS)を求める減算器、40は減算器38から与えられた循環水流量偏差ΔQを比例積分調節して弁開度調整指令VS2を求める比例積分調節器である。
【0037】
41は切換器であり、比例積分調節器37から与えられた弁開度調整指令VS1又は比例積分調節器40から与えられた弁開度調整指令VS2の何れかを出力して給水循環管26に設けた流量制御弁29へ与え、流量制御弁29の開度を調整し得るようになっている。
【0038】
42はガス低圧給水加熱器17から流出して給水管10を送られるべき、発電機出力指令MWDに対応した給水Wの流量(ガス低圧給水加熱器出口給水流量)QMを出力する関数発生器、43はガス低圧給水加熱器17から流出して給水管10を送られるべき給水Wの、発電機出力指令MWDに対応した温度(ガス低圧給水加熱器出口給水温度)TMを出力する関数発生器、44は関数発生器43からのガス低圧給水加熱器出口給水温度TMと温度検出器31により検出したガス低圧給水加熱器17出口側の給水管10内のガス低圧給水加熱器出口給水検出温度TOとの差を取ってガス低圧給水加熱器出口給水温度偏差ΔTO(=TM−TO)を求める減算器、45は減算器44からのガス低圧給水加熱器出口給水温度偏差ΔTOを比例積分してガス低圧給水加熱器給水補正流量QCを求める比例積分調節器、46は関数発生器42からのガス低圧給水加熱器出口給水流量QMと比例積分調節器45からのガス低圧給水加熱器給水補正流量QCを加算し、給水管10のガス低圧給水加熱器17よりも給水W流れ方向下流側に設けられた流量制御弁32へ弁開度調整指令VS3(=QM+QC)として与える加算器である。
【0039】
47は温度検出器31により検出したガス低圧給水加熱器17出口側の給水管10内のガス低圧給水加熱器出口給水検出温度TOが予め定めた所定の温度(例えば127℃)以上になったら切換指令Yを出力してセットリセット器48を介し切換器41に与えるハイローモニタスイッチであり、切換指令Yが切換器41に与えられると切換器41はa側からb側へ切換るようになっている。
【0040】
上述の関数発生器42,43には図2、図3に示すごとき関数F1(x)、F2(x)が設定されている。何れの関数も発電機出力指令MWDが30%以下の場合は、発電機出力指令MWDが変化してもガス低圧給水加熱器出口給水流量QM、ガス低圧給水加熱器出口給水温度TMは最低限の一定値をとり、発電機出力指令MWDが30%を越えると、ガス低圧給水加熱器出口給水流量QM、ガス低圧給水加熱器出口給水温度TMは、何れも発電機出力指令MWDの上昇に従って一次関数的に上昇している。
【0041】
次に、本発明の実施の形態の作動について説明する。
【0042】
本発明の実施の形態において排気再燃型コンバインドサイクルプラントを運転する際には、開閉弁33を開いて補助蒸気供給管34から補助蒸気を脱気器21内へ供給し、脱気器21内を所定の圧力(例えば3ata(この場合の飽和蒸気温度133℃))に保持しておく。
【0043】
而して、本実施の形態例における排気再燃型コンバインドサイクルプラントの気力単独運転時及びコンバインドサイクル運転時の運転の手順は従来の場合と同様なので説明は省略する。
【0044】
而して、運転時には、発電機出力指令MWDが関数発生器42,43に与えられ、関数発生器42からは、発電機出力指令MWDに対応したガス低圧給水加熱器出口給水流量QMが出力されて加算器46に与えられる。
【0045】
又、関数発生器43からは、発電機出力指令MWDに対応したガス低圧給水加熱器出口給水温度TMが出力されて減算器44に与えられ、同時にガス低圧給水加熱器17の給水出口側に設けた温度検出器31によりガス低圧給水加熱器出口給水検出温度TOが検出されて減算器44及びハイローモニタスイッチ47に与えられる。
【0046】
而して、減算器44では、ガス低圧給水加熱器出口給水温度TMとガス低圧給水加熱器出口給水検出温度TOの差が取られてガス低圧給水加熱器出口給水温度偏差ΔTOが求められ、該ガス低圧給水加熱器出口給水温度偏差ΔTOは比例積分調節器45で比例積分調整され、ガス低圧給水加熱器給水補正流量QCとして加算器46に与えられる。
【0047】
加算器46では、ガス低圧給水加熱器出口給水流量QMとガス低圧給水加熱器給水補正流量QCとが加算されて弁開度調整指令VS3が求められ、求められた弁開度調整指令VS3は流量制御弁32に与えられ、流量制御弁32の開度は、弁開度調整指令VS3に対応して調整される。このため、ガス低圧給水加熱器17から流出して給水管10からボイラ本体1内の節炭器9へ供給される給水Wの流量が調整される。
【0048】
温度検出器31で検出されたガス低圧給水加熱器出口給水温度TMが所定の温度(例えば127℃)よりも低い場合には、ハイローモニタスイッチ47から切換指令Yは出力されないため、切換器41は、図1のa側に切換っている。
【0049】
このため流量検出器28で検出した、給水循環管26を流れる循環水WCの流量は、検出循環水流量QWCとして減算器38に与えられ、減算器38では、検出循環水流量QWCと信号発生器39により予め与えられた設定循環水流量QSとの差が取られて循環水流量偏差ΔQが求められ、該循環水流量偏差ΔQは比例積分調節器40へ与えられる。
【0050】
比例積分調節器40では、循環水流量偏差ΔQが比例積分されて弁開度調整指令VS2が求められ、求められた弁開度調整指令VS2は切換器41を経て流量制御弁29に与えられ、流量制御弁29の開度が調整される。このため、循環水ポンプ27により加圧された循環水WCは、一定の流量となるよう流量制御弁29により制御され、給水循環管26、給水管10、ガス低圧給水加熱器17、給水管10、給水循環管26を循環する。この場合の循環水WCの循環量は、信号発生器39で設定された設定循環水流量QSとなるよう運転が行われる。
【0051】
このように給水Wの一部が循環している間に、ボイラ排ガスG3は、連続的に排ガスダクト8を通り、ガス高圧給水加熱器16、排ガスダクト8、ガス低圧給水加熱器17、排ガスダクト8を通り、強圧通風機18により煙突19を介して大気中へ排出される。
【0052】
而して、ボイラ排ガスG3はガス低圧給水加熱器17を通過する際、復水ポンプ20からの給水と循環水ポンプ27からの循環水WCが混合した給水Wを加熱するが、該給水Wの温度は、ガス低圧給水加熱器17の給水入口側において時間の経過と共に徐々に上昇し、従って、給水管10を通って給水ポンプ22により節炭器9側へ送られる給水Wの温度も徐々に上昇する。
【0053】
温度検出器31により検出されたガス低圧給水加熱器出口給水検出温度TOが所定の温度以上になると、ハイローモニタスイッチ47からは、切換指令Yが出力され、セットリセット器48を介して切換器41に与えられ、切換器41はb側に切換る。
【0054】
このため、ガス低圧給水加熱器17の入口側における給水Wの温度は、温度検出器30により検出されてガス低圧給水加熱器入口給水検出温度TIとして減算器35に与えられ、減算器35では、ガス低圧給水加熱器入口給水検出温度TIと信号発生器36により予め与えられたガス低圧給水加熱器入口給水設定温度TSの差が取られてガス低圧給水加熱器入口給水温度偏差ΔTIが求められ、求められたガス低圧給水加熱器入口給水温度偏差ΔTIは比例積分調節器37へ与えられ、比例積分調整されて弁開度調整指令VS1となり、切換器41を介して流量制御弁29へ与えられ、ガス低圧給水加熱器17入口側の給水Wの温度が所定の温度(例えば115℃)となるよう流量制御弁29の開度が調整されて給水循環管26内を流れる循環水WCの流量が制御される。
【0055】
上述のようにガス低圧給水加熱器17の給水出口側の給水Wの温度が所定の温度よりも低い場合には、循環水WCの流量が一定の流量となるよう制御して循環水WCの温度を上昇させ、ガス低圧給水加熱器17の給水出口側の給水Wの温度が所定の温度よりも高い場合には、ガス低圧給水加熱器17入口側の給水Wの温度が所定の温度となるよう循環水WCの流量を制御することにより、ガス低圧給水加熱器17の給水入口側における給水Wの温度をSO3結露点である115℃以上に保持することができ、従ってガス低圧給水加熱器17の給水入口側(ガス出口側)にSO3酸の付着による腐食が生じるのを防止することができる。
【0056】
又、ガス低圧給水加熱器出口給水検出温度TOが所定の値よりも低く、切換器41がa側に切換っている場合は、燃料Fとしては軽油を使用し、ガス低圧給水加熱器出口給水検出温度TOが所定の値となり切換器41がb側に切換った場合は、燃料Fとして重油を使用するとSO3結露の防止をより一層良好に行うことができる。
【0057】
更に、斯かる運転が行われる場合の一般的な例としてはボイラ起動時があり、その時の時間の経過とボイラ排ガス温度、給水温度、給水流量、蒸気タービン負荷との関係は図5に示されている。点イよりも左側においては図1の切換器41はa側に切換っており、点イの時点で切換器41はb側に切換る。
【0058】
なお、本発明は上述の実施の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【0059】
【発明の効果】
本発明の排気再燃型コンバインドサイクルプラントにおける給水温度制御方法及び装置においては、何れの請求項においても、給水加熱器の給水入口側における給水温度をSO3結露点以上に保持することができるため、給水加熱器のガス出口側にSO3酸の付着による腐食が生じるのを防止することができ、又、給水加熱器から送出された給水の温度が所定の温度よりも低い場合は、燃料として軽油を使用し、給水加熱器から送出された給水の温度が所定の温度になったら燃料として重油を使用する場合には、プラント起動時においてもSO 3 の結露をより一層効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排気再燃型コンバインドサイクルプラントにおける給水温度制御方法及び装置の制御系のブロック図である。
【図2】図1の関数発生器42に設定される関数F1(x)を示すグラフである。
【図3】図1の関数発生器43に設定される関数F2(x)を示すグラフである。
【図4】本発明が適用される排気再燃型コンバインドサイクルプラントの概要を示すフロー図である。
【図5】ボイラ起動時において本発明を適用した際の時間の経過とボイラ排ガス温度、給水温度、給水流量、蒸気タービン負荷との関係を示すグラフである。
【図6】従来の排気再燃型コンバインドサイクルプラントの概要を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 ボイラ本体
3 ガスタービン
10 給水管
17 ガス低圧給水加熱器(給水加熱器)
20 復水ポンプ
26 給水循環管
29 流量制御弁(第2の流量制御弁)
32 流量制御弁(第1の流量制御弁)
37 比例積分調節器(第2の調節器)
40 比例積分調節器(第1の調節器)
41 切換器
46 加算器
47 ハイローモニタスイッチ(モニタスイッチ)
F 燃料
G1 燃焼用ガス
G3 ボイラ排ガス
W 給水
WC 循環水
TI ガス低圧給水加熱器入口給水検出温度(温度)
TS ガス低圧給水加熱器入口給水設定温度(温度)
ΔTI ガス低圧給水加熱器入口給水温度偏差(差)
VS1,VS2,VS3 弁開度調整指令
MWD 発電機出力指令
TO ガス低圧給水加熱器出口給水検出温度(温度)
TM ガス低圧給水加熱器出口給水温度(温度)
QM ガス低圧給水加熱器出口給水流量(流量)
QC ガス低圧給水加熱器給水補正流量(給水補正流量)
QS 設定循環水流量(流量)
QWC 検出循環水流量(流量)
ΔQ 循環水流量偏差(差)
Y 切換指令
Claims (3)
- ガスタービンの排ガスをボイラ本体において燃料の燃焼用ガスとして使用すると共に給水加熱器でボイラ排ガスによりボイラ本体への給水を加熱するようにした排気再燃型コンバインドサイクルプラントにおいて、給水加熱器から送出された給水の温度が所定の温度よりも低い場合は、給水加熱器の給水出口側から給水循環管を介し給水加熱器の給水入口側へ循環する循環水の流量が予め設定した所定の流量となるよう、前記給水循環管を流れる循環水の流量を制御し、給水加熱器から送出された給水の温度が所定の温度まで上昇したら、循環して復水ポンプからの給水と共に給水加熱器へ導入される給水の給水加熱器入口側における温度が予め設定した所定の温度になるよう前記給水循環管を循環する循環水の流量を制御することを特徴とする排気再燃型コンバインドサイクルプラントにおける給水温度制御方法。
- 給水加熱器から送出された給水の温度が所定の温度よりも低い場合は、燃料として軽油を使用し、給水加熱器から送出された給水の温度が所定の温度になったら燃料として重油を使用する請求項1に記載の排気再燃型コンバインドサイクルプラントにおける給水温度制御方法。
- ガスタービンの排ガスを燃料の燃焼用ガスとして使用するボイラ本体と、ボイラ本体から排出されたボイラ排ガスによりボイラ本体へ送給する給水を加熱する給水加熱器と、給水加熱器から送出された給水の一部を給水加熱器の給水入口側へ循環させる給水循環管を備えた排気再燃型コンバインドサイクルプラントにおいて、
前記給水循環管を流れている循環水の流量と前記給水循環管内を流れるよう設定された循環水の流量の差を処理して弁開度調整指令を求める第1の調節器と、前記給水循環管を循環して復水ポンプからの給水と共に前記給水加熱器へ導入される給水の温度と設定された給水の温度の差を処理して弁開度調整指令を求める第2の調節器と、
発電機出力指令から定まるボイラ本体への給水の流量と、発電機出力指令に対応した給水加熱器の給水流れ方向下流側における給水の温度及び給水加熱器の給水流れ方向下流側における検出された給水の温度から定まる給水補正流量とを加算し、給水管の給水加熱器よりも給水流れ方向下流側に設けた第1の流量制御弁へ弁開度調整指令として与える加算器と、
前記給水加熱器の給水流れ方向下流側における給水の温度が所定の温度に達したら切換指令を出力するモニタスイッチと、
該モニタスイッチからの切換指令が与えられない場合には第1の調節器からの弁開度調整指令を出力して給水循環管に設けられている第2の流量制御弁へ与え、前記モニタスイッチからの切換指令が与えられた場合には切換えられて第2の調節器からの弁開度調整指令を出力し、前記第2の流量制御弁へ与える切換器とを設けた
ことを特徴とする排気再燃型コンバインドサイクルプラントにおける給水温度制御装置。
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