JPH05142528A - 液晶セルの組立方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 新たな組立方法で液晶素子基板の節約ができ
る。 【構成】 液晶パネルの上側基板部分（対向基板、偏光
板、反射防止ガラスなど）を先に接着し、検査する。そ
の良品だけを洗浄し、素子基板と組立する。この組立方
法は液晶素子基板の節約ができ、製造コストが下げられ
る。また、この方法によると、表面反射が少なく、透過
率が高く、信頼性（耐湿性、耐熱性、耐衝撃性）が良い
液晶パネルが作られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は液晶セルの組立方法に関
する。

【０００２】

【従来の技術】電気光学装置としての液晶電気光学素子
は図１に示すように少なくとも下偏光板１、下基板（素
子基板）２、液晶層３、上基板（対向基板）４、上偏光
板５で構成されている。ここで素子基板とは、ＴＦＴや
ＭＩＭのようなアクティブ素子を備えた基板を指し、対
向基板とは共通電極あるいはコモン電極を備えた基板を
指す。

【０００３】従来の液晶セルの組立方法は、素子基板表
面に有機高分子を塗布し、配向処理をする。この素子基
板にスクリーン印刷でシール材を印刷し、ギャップ材を
散布した対向基板と組み立てる。この空液晶セルに液晶
を注入し、封止した時点で液晶セル単体が完成する。そ
の後上下に偏光板を加え、場合によって補償板を付ける
こともある。

【０００４】また、従来の液晶セルは光反射防止のため
に、上偏光板をアンチグレア構造にしたり、反射防止ガ
ラス（アンチリフレクションガラス、以下ＡＲガラスと
呼ぶ）を偏光板の上に設けたりしていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の液
晶電気光学素子では湿度や温度による劣化や表示スクリ
ンの破損などを防ぐため、無反射コーテイングをしたＡ
Ｒガラスを偏光板の上に設けることが行なわれていた。
ところが従来のように液晶セル単体の完成後に、偏光板
を貼り付け、その上さらに１枚のＡＲガラスを貼ると、
硬い両表面の間に気泡が発生しやすく、高温高圧の脱泡
工程に入れても気泡が消えない。液晶セル組立と同様に
シール材印刷、ギャップ材散布、両基板の組合せ、低粘
度接着剤の真空注入といった工程を用いれば、うまく貼
り合わせことが出来るが、工程が複雑になって量産性が
ない。積水化学社製のＰＶＢエスレックフィルムによる
接着方法は気泡や解け残りが歩留まりに影響する上、フ
ィルムに若干の吸水性があって、湿度に対する信頼性が
欠けている。接着剤による直接接合はパネル回りの端子
が汚れる恐れがあり、実装に悪い影響をする。

【０００６】本発明はこのような課題を解決するもので
あり、その目的とするところは、ガラスの表面反射を少
なくして高透過率を確保した上で、信頼性（耐湿性、耐
熱性）を向上させ、量産性（工数、歩留まり）を改善で
きるＡＲガラス貼り合わせ方法及び液晶パネル組立方法
を提供するところにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の液晶パネルの組
立方法は ａ）対向基板の上に１枚の上偏光板とその上にさらに１
枚の反射防止保護ガラスを接着してサンドイッチ接合体
を組み立てる工程、 ｂ）前記サンドイッチ接合体と素子基板から液晶セルを
組み立てる工程、少なくとも以上の２つの工程を含むこ
とを特徴とする。

【０００８】

【作用】本発明の液晶パネルは、通常の液晶パネルの上
偏光板の上に、１枚ＡＲ保護ガラスを付けてあるため、
信頼性が高く、表面の光反射が少なく、即ち上偏光板は
対向基板とＡＲガラスの２枚のガラスに挟まれてる。こ
の構造になると、素子基板−対向基板−偏光板−ＡＲガ
ラスの順で組み立てる必要がなくなる。対向基板ー偏光
板−ＡＲガラスの接合状態で、偏光板の気泡やＡＲガラ
ス貼り合わせによる気泡等は素子基板と液晶セルを組む
前に検査が出来、素子基板の節約が出来る。従来の構造
と異なり、偏光板の両面にはガラスがあり、組立前に洗
浄することが出来る。更に、対向基板ー偏光板−ＡＲガ
ラスを先に接合することは、パネル端子回りが偏光板あ
るいはＡＲガラスの接着によって汚れることも防げ、パ
ネル実装の信頼性向上にも役立つ。

【０００９】

【実施例】

（実施例１）本発明の液晶表示素子は、図２に示すよう
に、ＡＲガラス１１、上貼り合わせ接着材料１２、上偏
光板（高偏光度及び高透過率を持つ透過型）１３、対向
基板１４、液晶１５、ＴＦＴ基板１６、下偏光板（高耐
久性を持つ透過型或は半透過型）１７で構成されてい
る。

【００１０】ＡＲガラス、上偏光板、対向基板の接着工
程は先ず上偏光板と対向基板の接着から始める。上偏光
板はＮＰＦ−Ｇ１２２９ＤＵ（日東電工社製）であり、
偏光板サイズ８０ｍｍ×８８ｍｍは有効画素（実際の表
示部分）範囲の７８ｍｍ×８６ｍｍより大きく、対向基
板及び反射防止ＡＲ保護ガラスの外枠（８４ｍｍ×９２
ｍｍ）より小さく、図１に示すように設定する。偏光板
は対向基板と貼りつけて、６０℃、５ｋｇ／ｃｍ²のオ
ートークレーブの中で脱泡する。偏光板と対向基板の接
合体は０．４ｃｃ前後の高粘度（７０００ｃｐ）ＵＶ硬
化接着剤を塗ったＡＲガラスと貼り合わせをし、３ｋｇ
の圧力で圧着しながらＵＶ光仮硬化を行なった。はみ出
した接着剤は端子保護用テープと一緒に取り除き、４０
００ｍｊ／ｃｍ² のＵＶ光量で接着剤を硬化した。出来
上がったＡＲガラス、偏光板、対向基板のサンドイッチ
接合体は従来の対向基板と同様に検査、洗浄、組立を行
なう。図３は本発明による組立工程の流動図である。
（ａ）は偏光板と対向基板の接着工程。（ｂ）は（ａ）
の上に接着材料を塗布し、ＡＲガラスとの接着する工
程。（ｃ）は対向基板−偏光板−ＡＲガラスのサンドイ
ッチ接合体（ｂ）と素子基板の組立工程。（ｄ）は液晶
の注入、下偏光板の貼り付け等液晶セルを完成させる工
程。

【００１１】本発明の液晶素子組立方法は、対向基板や
偏光板やＡＲガラスなどが、ＴＦＴ基板と組み立てる前
に、偏光板あるいはＡＲガラスの接着工程による接着不
良及び組ズレを検査することが出来る。従来のようにＴ
ＦＴ基板の上に各部品を積み重ね、そのたびに検査する
方法では、各段階の不良パネルにコストの一番高いＴＦ
Ｔ素子基板が含まれていたことから、本発明の組立方法
はＴＦＴ基板の節約ができ、パネル組立の合理化及びコ
スト削減に対して最も有効な方法である。

【００１２】本発明の液晶素子組立方法は上側サンドイ
ッチの接着から着手し、従来の液晶が入っているパネル
の上に接着工程をする場合とは違うため、ＵＶ硬化接着
剤を使っても液晶に対して紫外線による悪い影響がな
く、短時間で硬化できる。

【００１３】本発明の液晶素子上側サンドイッチ接合体
は、ＡＲガラスあるいはフィルム、偏光板に限らず、視
角補償板、色補償板、パネル等が含まれている場合もあ
る。素子基板はＴＦＴ基板以外に、ＭＩＭ基板、単純マ
トリクス電極基板にも応用できる。

【００１４】（実施例２）実施例２における液晶表示素
子の構成は実施例１と同様であり、図２に示すように、
ＡＲガラス１１、上貼り合わせ接着材料１２、上偏光板
（高偏光度及び高透過率を持つ透過型）１３、対向基板
１４、液晶１５、ＴＦＴ基板１６、下偏光板（高耐久性
を持つ透過型或は半透過型）１７で構成され、ＡＲガラ
ス、上偏光板、対向基板の寸法も実施例１と同様であ
る。

【００１５】実施例２においては、対向基板ー偏光板−
ＡＲガラスの接着工程の中に、偏光板、対向基板の接合
体とＡＲガラスの接着は高透明性両面粘着接着テープに
よる接着を行なう点が特徴である。即ち、図２の中の上
貼り合わせ接着材料１２を実施例１のＵＶ硬化接着剤か
ら透明粘着テープへ取り替える。接着層の信頼性を高め
るため、対向基板ー偏光板−ＡＲガラスの接着工程が完
成した時点で、ＵＶ硬化接着剤をディスペンサで対向基
板とＡＲガラスの中間、偏光板回り一周をカバーする。
その後、ＡＲ保護ガラス、偏光板、対向基板のサンドイ
ッチは従来の対向基板と同様に検査、洗浄、組立する。
高透明性両面粘着テープは日東電工社製ＭＣ−２０３０
（ポリエステルフィルム基材、アクリル接着剤）であ
り、サイズは実施例１の上偏光板と同様、図２に示すよ
うにＡＲガラスや対向基板より小さい。補強充填モルド
材は実施例１で使った短時間ＵＶ硬化接着剤で硬化させ
る。実施例２による接着方法は最も簡単で量産性が良い
方法であるが、実施例２のパネルの可視光透過率は実施
例１の構成とプロセスによるパネル可視光透過率の９２
％であり、透明性は少し落ちる。

【００１６】（実施例３）実施例３における液晶表示素
子の構成は実施例１、実施例２と同様であり、各構成の
寸法も上の実施例と同様である。接着工程の偏光板、対
向基板の接合体とＡＲガラスの接着手段は実施例２の高
透明性両面粘着接着テープの代わりに積水化学クリアＳ
Ｔタイプエスレックフィルムによる接着を行なう点が特
徴である。この場合、図２中の上貼り合わせ接着材料１
２は建築あるいは車用の強化窓ガラス貼り合わせ材料
０．３８ｍｍ厚のＰＶＢ樹脂になる。図２に示すように
フィルムのサイズはガラス基板より小さく、周辺はＵＶ
硬化接着剤でモールドする。エスレックフィルムによる
接着は接着前のフィルム洗浄と接着後の高温高圧プロセ
スが必要になり、量産面では多少不利だが、透明性は実
施例１と殆ど変わらず優れている。

【００１７】（実施例４）実施例４における液晶表示素
子の構成は上の実施例と同様であり、各構成の寸法も上
の実施例と同様である。上の実施例の片側粘着層が付い
ている上偏光板を三立電機社製の両面に粘着層が付いて
いる上偏光板にすることと、普通の１．１ｍｍ厚反射防
止ソーダガラスを折り曲げが出来る無反射処理した高橋
技研社製の０．３ｍｍ厚薄型強化ガラスにすることと、
偏光板サイズは図２の示すようにガラス基板より小さ
く、偏光板の回りを短時間ＵＶ硬化接着剤で封止するこ
とが実施例４の特徴である。パネルの透明性は実施例１
と同等である。この方法による工程は作業性が最も優れ
ていて、両面粘着偏光板と薄型強化ガラスのコストが下
がれば実用性が高い。以上述べた各実施例の組立方法は
航空機、車載用パネルを初め、パソコン、テレビからプ
ロジェクタのライトバルブ、ビデオカメラのビューファ
インダまで、幅広い商品の組立製造工程に応用すること
が出来る。上の実施例はＴＦＴ素子を例として挙げられ
ているが、実際にはＭＩＭ素子も、単純マトリックス素
子も、全ての液晶パネルが本発明による組立方式で製造
することが出来る。 （実施例５）実施例１のＵＶ硬化型接着剤の代わりにシ
リコン接着剤を用いることもできる。信越化学ＲＴＶシ
リコン接着剤ＫＥ１０６によるパネルの透過率は実施例
１によるパネル透過率の９８％である。シリコン接着剤
の信頼性は良いが、光硬化接着剤より硬化時間が長くな
る。

【００１８】

【発明の効果】本発明の液晶パネルの組立方法は、従来
の下から上まで積み重ねていくことではなく、偏光板、
補償板（視角あるいは色）、反射防止層、対向基板等の
上部分を先に組立し、検査する。その良品だけを洗浄
し、下の素子基板部分と組む。以上述べたように本発明
によれば、コストの最も高い素子基板を節約することが
でき、製造工程の歩留まりを向上させることができる。
更に、本発明の構造のように接着工程を行なえば、液晶
パネルの信頼性も高くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 従来の液晶表示素子の断面図である。

【図２】 本発明における液晶表示素子の断面図であ
る。

【図３】 本発明における液晶表示素子の組立工程流動
図である。

【符号の説明】 １ 下偏光板 ２ 下基板（素子基板） ３ 液晶層 ４ 上基板（対向基板） ５ 上偏光板 １１ ＡＲガラス １２ 上貼り合わせ接着材料 １３ 上偏光板（高偏光度及び高透過率を持つ透過型） １４ 対向基板 １５ 液晶層 １６ ＴＦＴ基板 １７ 下偏光板（高耐久性を持つ透過型或は半透過型）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ａ）対向基板の上に１枚の上偏光板とそ
   の上にさらに１枚の反射防止保護ガラスを接着してサン
   ドイッチ接合体を組み立てる工程、 ｂ）前記サンドイッチ接合体と素子基板から液晶セルを
   組み立てる工程、少なくとも以上２つの工程を含むこと
   を特徴とする液晶セルの組立方法。