JPH05142052A - プロセス材料の物性値・表面温度測定装置 - Google Patents

プロセス材料の物性値・表面温度測定装置

Info

Publication number
JPH05142052A
JPH05142052A JP3330093A JP33009391A JPH05142052A JP H05142052 A JPH05142052 A JP H05142052A JP 3330093 A JP3330093 A JP 3330093A JP 33009391 A JP33009391 A JP 33009391A JP H05142052 A JPH05142052 A JP H05142052A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
emissivity
ratio
block
color
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3330093A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomotaka Marui
智敬 丸井
Kazuo Arai
和夫 新井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP3330093A priority Critical patent/JPH05142052A/ja
Priority to US07/976,414 priority patent/US5314249A/en
Priority to CA002083124A priority patent/CA2083124C/en
Priority to DE69226419T priority patent/DE69226419T2/de
Priority to EP92119607A priority patent/EP0543326B1/en
Publication of JPH05142052A publication Critical patent/JPH05142052A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Radiation Pyrometers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プロセス材料の表面物性とその表面温度を同
時に測定する。 【構成】 プロセス材料Pを測定2波長λ1 、λ2 の2
色温度計10で測定し、輝度温度S1 、S2 から演算ブ
ロック12で累乗比ε1 λ1 /ε2 λ2 を求め、演算ブ
ロック14で累乗比をオフライン測定による関数f で第
1放射率比ε1 /ε2 に変換し、ブロック16で第1放
射率比を用いて温度Tを算出し出力する。ブロック18
で酸化膜厚d を仮定し、ブロック20でλ1 、λ2 、d
を用いて放射率ε1 、ε2 を算出し、ブロック22
で第2放射率比ε1 /ε2 を算出する。判定ブロッ
ク24で、第1放射率比と第2放射率比をの差をとり、
H≠0のときはブロック26で補正量を求め、ブロック
28でd を補正し、そのd を用いて演算を繰返し、Hが
ほぼ0になった時のd を出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プロセス材料の物性値
・表面温度測定装置、特に、半導体材料、金属材料等の
製造プロセスにおいてプロセス材料表面に形成される酸
化表面、合金化表面、蒸着表面等に関する種々の物性値
と表面温度を同時に又は物性値をオンラインで計測する
ことができるプロセス材料の物性値・表面温度測定装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体材料、金属材料等のプロセス材料
では、製造プロセスにおいてその表面に酸化、合金化、
蒸着等の種々の反応が人工的あるいは自然発生的に起こ
り、これらの反応に伴ってプロセス材料の表面物性は著
しく変化する。
【0003】従って、製造プロセスをコントロールする
立場からは、上記表面物性の変化をオンラインでモニタ
(センシング)し、その情報に基づいてフィードバック
的にプロセス制御することが重要となる。
【0004】材料の表面物性としては、直接的なものと
して表面粗度、表面反射率(放射率)、表面吸収率、屈
折率等があるが、これら表面物性は間接的に酸化膜、合
金化膜又は蒸着膜の厚み、組成、導電率、境界(膜間)
屈折率等の内部物性に強く影響される。
【0005】即ち、表面物性は、表面近傍における反応
形成物のバルクとしての物性と、その形成物と素材との
界面に関する物性とで決定される。又、プロセス材料の
状態、即ち表面温度、内部温度又はこれらの分布にも強
く影響されることはいうまでもない。
【0006】従って、実際の表面物性は、表面だけの直
接的な物性値だけでは推定できないと言っても過言では
なく、オンラインプロセス進行中の表面物性を正確に捕
えるためには、表面物性はもとより内部物性の変化、状
態の変化もセンシングしなければならない。
【0007】しかしながら、材料内部のセンシングは不
可能であり、又、多くのセンサを設置してデータを取り
込むことは実用上望ましくない。
【0008】そこで、実際には上記物性値、状態値の中
で最も影響の大きなものをパラメータに選定し、それを
オンラインセンシングで求めるか、又は理論計算により
状態変化の予測値として求めて制御に利用している。
【0009】実際に通常用いられる状態パラメータは、
ほとんどの場合が表面温度であり、物性値はセンシング
不可能であるため、理論、計算機シミュレーション、実
験データによる回帰(間接的推定)等の方法でオンライ
ンセンシングすることなく制御されているのが実状であ
る。
【0010】例えば、シリコンウェハの酸化膜形成プロ
セスでは、酸化プロセス炉のヒートパターンと、酸化膜
物性の関係について多くのデータを予めオフラインで測
定しておき、このデータを基にして、プロセス炉の温度
制御を行っているだけである。従って、酸化膜物性の実
態に関してはオンラインセンサがないため、盲目的な制
御を行っているに過ぎない。即ち、この場合は表面温度
さえもオンラインセンシングが困難であるため、炉温で
間接的に制御しているに過ぎない。
【0011】従って、当然、統計的なプロセスミスが発
生することになるが、それにも拘らずセンシングの難し
さから上記のような盲目的制御が半導体プロセス全体で
行われており、半導体歩留りが低い本質的な原因となっ
ている。
【0012】このような状況は半導体のみならず、セラ
ミックス、超伝導材料等のハイテク材料の製造プロセス
でも同様であり、盲目的制御を改善し、プロセス歩留り
を向上させることが切に望まれているにも拘らず、オン
ラインによる材料物性センシングに有効な技術は未開発
の状態にあり、実用技術として挙げられるものは存在し
ない。
【0013】一方、オンラインで材料状態をセンシング
する技術としては、材料表面の温度センシングを熱電
対、サーミスタ等で行う接触式の温度センシング技術が
あるが、測定できる温度に限界がある上に、センシング
点の温度しか測定できず、接触によるコンタミネーショ
ン(不純物混入)が発生する等の多くの問題があるた
め、接触式の温度センシング技術を実用的に用いること
ができるプロセスは極めて限定されている。
【0014】上記問題が生じない温度センシング技術と
しては、非接触で温度計測を行う放射測温技術が有望で
あり、この技術は鉄鋼、アルミニウム等のメタル材料の
プロセスラインで実用化されており、放射温度計が製品
として市販されている。なお、放射測温技術について
は、後に詳細に説明する。
【0015】上記のようにメタル材料のプロセスライン
では、表面温度を非接触で測定する技術が既に開発され
ているが、半導体、新素材を製造するプロセスでは、研
究段階で種々の表面温度測定技術の開発が試みられてい
るものの、未だ有効な技術が開発されていない状況にあ
る。
【0016】例えば、渡辺等は、「放射温度計による半
導体熱処理装置内のウェハ温度測定」計測自動制御学界
論文集,vol .25,no.9,p 925−931(19
89)において、従来は炉温制御を行っていた製造プロ
セスを、光ファイバ、プリズムを用いることにより漸く
放射測温できるようにしたと報告している。研究発表が
この程度の状況にあることから、半導体プロセス分野に
おけるオンライン放射測温については未だ有効な技術が
開発されていないのが実状である。
【0017】次に、プロセス材料の表面物性を制御する
ためにその表面温度を測定する場合に有望な放射測温技
術について説明する。
【0018】初めに、以下の説明で使用する記号の原則
的意味を明らかにしておく。
【0019】 温度測定波長 :λ1 、λ2 、... λi [μm ] 上記各波長の近接波長 :λ1x、λ2x、... λix [μm ] 上記波長の大小関係 λ1 <λ1x<λ2 <λ2x<... <λi <λix 温度測定波長λi における分光放射率 :εi [μm ] 近接波長λixにおける近接分光放射率 :εix [μm ] 熱物体表面 真温度 :T [K] 熱物体表面 波長λi における輝度温度:Si [K] 熱物体表面 波長λixにおける輝度温度:Six [K] 放射(Plank)第2定数 C2 :1.4388×104 [μm ・K]
【0020】放射測温技術を応用して熱物体の表面温度
を測定する放射温度計が広く用いられており、この放射
温度計には測定に使用する波長が1つの単色温度計と2
つの2色温度計がある。単色温度計ではもとより、2波
長を使用する2色温度計でも測定対象の放射率が変化す
る場合には大きな測定誤差が生じる。
【0021】2色温度計では、測定する2波長での分光
放射率がほぼ等しいか又は一定の比例関係が成立する場
合には温度測定精度に問題はないが、熱物体の表面状態
が酸化反応などで急変し、分光放射率が上記関係から外
れるときには測定精度が著しく悪くなる(単色式放射温
度計はこれよりもさらに誤差は大きい)。
【0022】そのため、分光放射率の変化に対応して熱
物体の表面温度を測定することができる2色温度計が望
まれていた。
【0023】この測定精度問題を解決した放射温度計と
して放射率を補正して使用する改良形2色温度計が、特
公平3−4855に開示されている。又、上記改良形2
色温度計と実質的に同一の放射測温技術に、田中、D.P.
Dewittによる「Theory of aNew Radiation Thermometry
Method and an Experimental Study Using Galvanneal
ed Steel Specimens 」(計測自動制御学会論文集 第
25巻第10号1031/1037頁1989年10
月)に開示されているTRACE(ThermometryRe-esta
blished by Automatic Compensation of Emissivity)
法がある。
【0024】上記改良放射温度計とTRACE法は基本
的に同一の計算法を採用しているので前者を中心に説明
する。
【0025】特公平3−4855では、Wien (ウィー
ン)の近似則をもちいて得られる下記(1)、(2)式
で表わされる分光放射率の式からTを消去して下記
(3)式を求めている。この(3)式の左辺である分光
放射率の波長のべき乗の比(Kuramasu 数)を説明の便
宜上放射率累乗比と呼ぶ。
【0026】なお、下記式は簡単のために離隔2波長λ
1 、λ2の場合を表記したものであるが、近接2波長λ
1 、λ1xでも同様に成立つ。
【0027】 ε1 =exp {(C2 /λ1 )(1/T−1/S1 )} …(1) ε2 =exp {(C2 /λ2 )(1/T−1/S2 )} …(2) ε1 λ1 /ε2 λ2 =exp {C2 (1/S2 −1/S1 )} …(3) (左辺:放射率累乗比)
【0028】上記式において、輝度温度S1 、S2 は2
波長検出器の出力として得られるので、上記放射率累乗
比の値は(3)式の右辺を計算することによりもとめる
ことができる。
【0029】又、(1)式、(2)式から熱物体表面の
真温度Tを表わす(4)式が得られ、この(4)式に分
光放射率の比を適用することによりTを求めるることが
できる。
【0030】 T=(λ2 −λ1 )/{(λ1 λ2 /C2 ) ln (ε1 /ε2 ) +λ2 /S1 −λ1 /S2 } …(4)
【0031】一方、(5)式に示すような分光放射率比
と放射率累乗比の相関関数fをあらかじめオフライン測
定によって決定しておく。オフライン測定は熱電対によ
る真温度測定と同時に放射測温すれば分光放射率が求め
られ、これを用いて分光放射率比、放射率累乗比を求め
ることができる。これらから相関関数fを決定すること
ができる。
【0032】実際のオンライン温度測定に際しては前記
(3)式で計算した放射率累乗比から相関関数fによっ
て分光放射率比をもとめ、その分光放射率比を用いて上
記(4)式から真温度Tを計算する。なお、前述の如
く、旧式の2色放射温度計は分光放射率比を1、又は一
定値として計算しており、分光放射率変化に対応してい
ない。
【0033】 ε1 /ε2 =f (ε1 λ1 /ε2 λ2 ) …(5)
【0034】
【発明が解決しようとする課題】以上、詳述した如く、
半導体材料、金属材料等の製造プロセスでは、プロセス
材料の表面物性を測定し、オンライン制御することが切
望されていたにも拘らず、ほとんど制御されていないの
が実状である。又、表面物性は経時的に変化すると共に
その温度に密接に関係しているため、測定点における表
面物性と表面温度とを同時にオンラインで測定すること
が重要となるが、同一位置における表面物性と表面温度
とを同時に測定することは従来不可能であった。
【0035】又、前記(1)〜(5)の式を用いる2色
温度計による測定方法は、表面状態が酸化反応などで変
化する熱物体に適用する場合には、表面変化に対して
「鈍い」測定波長を選択すればよい精度で温度測定が可
能であるが、選択する波長の分光放射率が表面状態の変
化に対して敏感に変化する場合には測定精度が著しく悪
くなるという問題もある。
【0036】以下、この問題点について詳細に説明す
る。
【0037】熱物体の表面状態の変化により選択波長の
分光放射率が敏感に変化する具体例としては、表面が酸
化され、その表面に半透明(測定波長で)の酸化膜が形
成される場合がある。この場合は、表面に形成された半
透明膜で光干渉がおこり分光放射率が激減することが起
こる。
【0038】このような放射率の急変現象は、牧野らに
よって、例えば、“Heat Transfer 1986”、vol.
2、Hemishere、(1986)、PP.577−582
において実験及び光干渉理論のモデル計算から、表面酸
化が発生すると波長の短い領域に分光放射率(反射率)
スペクトルの落ち込み(以下、谷という)が現われ、こ
の谷が酸化の進行とともに波長の長い方向に移動する特
徴的変化として確認されている。
【0039】図11〜図15は、上記分光放射率スペク
トルの特徴的変化の一例を模式的に示した線図である。
【0040】図中、横軸は分光波長λ、縦軸は放射率ε
であり、valleyと示した部分が分光放射率スペクトルの
谷である。
【0041】図11〜図15には、ステンレススチール
等の金属表面に酸化膜が生成するに従ってその表面の分
光放射率スペクトルが変化していく様子が示されてい
る。
【0042】図11は酸化膜が生成する前の低温状態、
図12は中程度の温度に加熱されているが酸化膜が未生
成段階、図13は中程度温度に加熱され酸化膜が生成し
始めた段階、図14は同温度で酸化膜が成長中の段階、
図15は高温度に加熱され厚い酸化膜が形成された段階
の各スペクトルである。
【0043】上記谷が発生する理由は主として、酸化膜
による光干渉に起因すると考えられており、前記牧野ら
は、干渉理論に基づくモデル計算によって分光放射率ス
ペクトルを求め、計算結果と実験値と比較するとよく一
致する、と報告している。
【0044】従って、上記分光放射率スペクトルが変化
する現象は、酸化膜の厚み以下のオーダの分光波長帯の
輻射エネルギーが選択的に酸化膜でトラップされるため
に現われると説明される。即ち、特異的に選択された波
長帯の輻射が酸化膜で干渉乃至は多重反射をおこすため
に、顕著なエネルギー減衰が生じ、酸化膜厚が厚くなる
に従ってその特異的選択波長帯が移動するため谷が短波
長→長波長へと移動すると考えられる。
【0045】このような分光放射率スペクトルに時間変
化が生じる場合には、放射率比が変化するため旧式の2
色放射温度計では測定誤差がでることはいうまでもな
く、前記改良型2色温度計でも使用する式の計算が困難
であるため、同様に測定誤差が生じる。
【0046】その理由は、近接2波長λ1 、λ1xを使用
する改良型2色温度計の計算ではオフラインで2つの分
光放射率ε1 とε1xとの相関関係を実験データから回帰
関数として決定しておかねばならないのに、その回帰が
困難という事態に陥るためである。これを次に簡単に説
明する。
【0047】分光放射率ε1 とε1xの実測データが、前
述の分光放射率スペクトルの如く、短波長→長波長へ谷
の移動が起こっている最中のデータとすると、放射率ε
1 とε1xの相関は「正相関」→「負の相関」→「正相
関」と変わる。
【0048】これは、前記図11〜図15において接近
2波長λ1 、λ1xに対応する放射率ε1 とε1xの値の変
化を追っていけば容易に理解される。即ち、図中「vall
ey」部分の短波長側(スペクトル勾配が負である部分)
が波長λ1 、λ1xの間にきた場合に放射率ε1 とε1x
大小関係が逆転し、相関の正負が逆転する。
【0049】この様子を図16、図17に具体的に示
す。谷の通過前(図16)と通過後(図17)とでは全
く逆の相関関係となることが理解される。
【0050】田中等による「製鉄研究第339号」(1
990)63〜67でも、図17に模式的に示したよう
なε1 −ε2 グラフが一価でなく、ループができている
ものが示されているが、このループも酸化膜輻射干渉に
よるものと推定される。
【0051】以上説明した如く、放射率ε1 とε1xの相
関回帰グラフは単純には決められないため、改良型2色
温度計の場合でも測定誤差が生じることが避けられない
という問題点がある。
【0052】実際に、表面酸化が進行中のステンレス鋼
板(SUS304)について上記改良型2色温度計で温
度測定したところ、600℃程度の合金化温度域で測定
誤差の最大値が15℃程度、標準偏差が5℃程度であっ
た。
【0053】上述の様な表面酸化、表面合金化が進行
し、その表面物性が変化していく途中の温度は、例えば
鉄鋼プロセス制御においては重要なプロセスパラメータ
である。従って、放射測温値に誤差があるのは大問題で
あり、更に精度のよい温度計の出現が望まれており、温
度測定誤差が±5℃(誤差最大値が5℃以内)であるの
が要求測定精度である。
【0054】なお、従来の放射測温技術としては、US
PAT 4417822に、レーザを併用し、被測定
物の表面からのレーザ光の反射率を用いて放射率を補正
するものが開示されているが、この技術には、レーザ応
用のために装置が複雑で且つ高価となる上に、レーザに
よる反射率測定に関してオフラインデータをとる必要が
ある。ところが、このデータには表面の光散乱現象がか
らんだ複雑な現象が反映しているため、このオフライン
データをオンラインで利用できるかどうか疑問である。
又、反射率のオンライン測定値に誤差が生じるため、温
度測定誤差大がきいという問題もある。
【0055】又、US PAT 4561786には、
図19に示す装置を用いる放射測温技術が開示されてい
る。
【0056】この技術は、レンズ213で放射波を集光
し、回転フィルタ215で分光した2色観測波長のディ
テクタ211の出力についてそれぞれの「比率」と
「差」を求める2次的演算を実行し、これら計算値を利
用して温度計算方法を実用化したものである。
【0057】図中、251は、保持回路245、247
の出力W1 、W2 の間で割算を実行する割算計算ブロッ
クであり、その出力が「比率」である。又、259は、
保持回路255、257の出力間で減算を実行する差動
アンプであり、その出力が「差」である。なお、S1 〜
S4 は、回転フィルタ215の回転位置と制御系を同期
させるためのタイミング信号、217は第1波長の分光
フィルタ、219は第2波長の分光フィルタであり、2
41、243は増幅器である。
【0058】上記割算ブロック251及び差動アンプ2
59からの各出力値を、リニアライズ回路253、26
1、及び抵抗値R1、R2、R3、R4を測定対象毎に
調整設定して、メータ275に温度計算値を表示するも
のである。
【0059】この方式には、上記のリニアライザ25
3、261、抵抗R1 〜R4 の調節が被測定材料によっ
て試行錯誤的に決定されており、従って計算方法は試行
錯誤の結果生み出された理論ベースがないものであり、
事実理論面の記載は全くなされてない。
【0060】この方式によれば、表面変化進行中のアル
ミニウムについて温度測定が高精度(±5℃)で可能で
あるとされているが、このような高い測定精度を出すた
めには試行錯誤にかなりの年月を要したものと推定され
る(設定データは開示されていない)。
【0061】従って、上記方式の装置には、理論ベース
がないことから、アルミニウム以外の材料の温度を測定
する場合には長い年月の試行錯誤を要し、それ故に汎用
性がないという問題がある。
【0062】本発明は、前記従来の問題点を解決するべ
くなされたもので、プロセス材料の同一測定位置におけ
る物性値と表面温度とを同時に測定することができ、
又、プロセス材料の表面物性が変化し放射率が著しく変
動する場合でも、その表面温度を高精度で測定できると
同時に、その物性値をも測定することができ、又、物性
値のみをも測定することができるプロセス材料の物性値
・表面温度測定装置を提供することを課題とする。
【0063】
【課題を達成するための手段】本発明は、プロセス材料
の物性値・表面温度測定装置において、プロセス材料の
任意の表面位置を共通の視野とする1以上の2色温度計
と、上記2色温度計からオンラインで得られる2波長λ
1 、λ2の輝度温度S1 、S2 から、次式で放射率累乗
比ε1 λ1 /ε2 λ2 を演算する累乗比演算手段と、 ε1 λ1 /ε2 λ2 =exp {C2 (1/S2 −1/S1 )} (C2 :Plankの第2定数) 上記放射率累乗比ε2 λ1 /ε2 λ2 を、予め予測し記
憶された次式の相関関数f により第1分光放射率比ε1
/ε2 に変換する第1放射率比演算手段と、 ε1 /ε2 =f (ε1 λ1 /ε2 λ2 ) 放射線率変動に大きな影響を与える1以上の物性値を変
数とする理論式又は実験式を用いて、上記2波長λ1 、
λ2 の分光放射率ε1 、ε2 を別個に算出し、第2
分光放射率比ε1 /ε2 を演算する第2放射率比演
算手段と、上記物性値に初期値を与え、該物性値を用い
て算出される第2分光放射率比ε1 /ε2 と、上記
第1分光放射率比ε1 /ε2 とが実質的に一致する物性
値を探索計算する探索計算手段と、第1分光放射率比ε
1 /ε2 、又は探索計算終了後の第2分光放射率比ε1
/ε2 を用いて2色温度計算を行う温度計算手段と
を備えた構成とすることにより、前記課題を達成したも
のである。
【0064】本発明は、又、前記プロセス材料の物性値
・表面温度測定装置において、プロセス材料の任意の表
面位置を共通の視野とする1以上の2色温度計と、上記
2色温度計からオンラインで得られる2波長λ1 、λ2
の輝度温度S1 、S2 から、次式で第1放射率累乗比ε
1 λ1 /ε2 λ2 を演算する第1累乗比演算手段と、 ε1 λ1 /ε2 λ2 =exp {C2 (1/S2 −1/S1 )} (C2 :Plankの第2定数) 放射率変動に大きな影響を与える1以上の物性値を変数
とする理論式又は実験式を用いて、上記2波長λ1 、λ
2 の分光放射率ε1 、ε2 を別個に算出し、その結
果から第2放射率累乗比ε1 *λ1 /ε2 *λ2 を演算
する第2累乗比演算手段と、上記物性値に初期値を与
え、該物性値を用いて算出される第2放射率累乗比ε1
*λ1 /ε2 *λ2 と、上記第1放射率累乗比ε1 λ1
/ε2 λ2 とが実質的に一致する物性値を探索計算する
探索計算手段とを備えた構成とすることにより、前記課
題を達成したものである。
【0065】本発明は、又、前記プロセス材料の物性値
・表面温度測定装置において、2以上の2色温度計を有
し、各2色温度計における分光放射率比又は放射率累乗
比の時間変動に基づいて1又は2以上の2色温度計を選
択する温度計セレクタ手段を有することにより、前記課
題を達成したものである。
【0066】本発明は、更に、物性値の少なくとも1つ
が酸化膜厚d であり、論理式又は実験式が εi =1−{ρa +ρb +2(ρa ρb cos γi )0.5 } ÷{1+ρa ρb +2(ρa ρb cos γi )0.5 } γi =(2π/λi )2nd cosθ ρa : 酸化膜と空気の境界での反射率 ρb : 酸化膜と非酸化部の境界での反射率 θ : 測定装置と測定表面法線との角度 n : 酸化膜の屈折率 であることにより、前記課題を達成したものである。
【0067】
【作用】本発明においては、2色温度計から得られる輝
度温度S1 、S2 から放射率累乗比ε1 λ1 /ε2 λ2
を求め、該累乗比から第1分光放射率比ε1 /ε2 を求
めると共と、物性値から第2分光放射率比ε1 /ε2
を求め、この第2分光放射率比が第1分光放射率比に
実質的に等しくなる物性値を探索計算するようにしたの
で、測定段階のプロセス材料の物性値を求めることが可
能であると同時に、第1放射率比又は確定した第2分光
放射率比を、前記(4)式に対応する2色温度計算式に
適用することにより、該プロセス材料の表面温度をも算
出することができる。従って、プロセス材料の表面温度
と物性値とを同時に測定することが可能となる。その
際、2色温度計の数を増やすことより、その数に応じた
物性値を測定することが可能となる。
【0068】又、本発明においては、物性値から第2放
射率累乗比ε1 *λ1 /ε2 *λ2 を求め、該第2放射
率累乗比が輝度温度S1 、S2 から得られる第1放射率
累乗比に実質的に等しくなる物性値を探索計算するよう
にしたので、プロセス材料の物性値を測定することがで
き、又、その表面温度を測定することもできる。
【0069】又、本発明は、更に、分光放射率比又は放
射率累乗比の時間変動を監視し、その時間変動から放射
率が変化していない測定バンドの放射率比を用いて温度
計算することが可能となるため、表面温度を高精度で測
定することが可能となる。
【0070】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳
細に説明する。
【0071】図1は、本発明に係る第1実施例の構成の
概要を示すブロック図である。
【0072】本実施例の測定装置は、プロセス材料の表
面温度Tの測定と、表面に形成された酸化膜の厚さd の
測定とを実質的に同時に測定することができるもので、
1つの2色温度計を備え、物性値として上記酸化膜厚d
を測定するものである。
【0073】上記測定装置は、プロセス材料Pの表面温
度を測定する2色温度計10、該2色温度計10から入
力される輝度温度S1 、S2 を用い、前記(3)式から
放射率累乗比ε1 λ1 /ε2 λ2 を算出する放射率累乗
比の演算ブロック12、該演算ブロック12から入力さ
れる上記累乗比を用いて、前記(5)式から第1放射率
比ε1 /ε2 を算出する第1放射率比演算ブロック14
と、該演算ブロック14から入力される第1放射率比ε
1 /ε2 を用いて、前記(4)式から表面温度Tを算出
する温度計算ブロック16とを有している。
【0074】又、上記測定装置は、酸化膜厚d を任意の
値に仮定して設定する仮定ブロック18と、該仮定ブロ
ック18からの膜厚d の仮定値と共に、2色温度計の測
定2波長λ1 、λ2 とが入力されると放射率ε1 、ε
2 を算出する放射率演算ブロック20と、該演算ブロ
ック20からの放射率を用いて第2放射率比ε1 /ε
2 を算出する割算ブロック22とを有している。
【0075】上記放射率比演算ブロック20では、次の
(6)式及び(7)式を用いて、上記2つの放射率が算
出されるようになっている。
【0076】ここで、ρa は酸化膜と空気の境界におけ
る反射率、ρb は酸化膜と非酸化部の境界での反射率、
θは測定装置と測定表面法線との成す角度、n は酸化膜
の屈折率、d は酸化膜厚である。
【0077】 εi =1−{ρa +ρb +2(ρa ρb cos γi )0.5 } ÷{1+ρa ρb +2(ρa ρb cos γi )0.5 } …(6) γi =(2π/λi )2nd cosθ …(7) (i =1、2)
【0078】更に、上記測定装置は、上記第1放射率比
演算ブロック14及び割算ブロック22から、それぞれ
入力される第1放射率比ε1 /ε2 と、第2放射率比ε
1 /ε2 を用いて、その時の膜厚d を出力するか否
かの判定を行う判定ブロック24を有しており、該判定
ブロック24では次の最小2乗法での評価関数式(8)
を用いて判定が行われる。
【0079】 H=(ε1 /ε2 −ε1 /ε2 2 …(8)
【0080】即ち、上記判定ブロック24ではHがほぼ
0であれば、そのときの第2分光放射率ε1 /ε2
の算出に用いた膜厚d をプロセス材料Pの膜厚としてd
を出力し、Hが0でないときは、補正量計算ブロック2
6で補正量Δd を算出し、補正ブロック28でd+Δd
の補正を行い、補正後のd を前記仮定ブロック18に出
力し、補正後のd を設定する。
【0081】本実施例では、プロセス材料Pの輻射エネ
ルギを2色温度計10で測定すると、そのときの輝度温
度S1 、S2 が累乗比演算ブロック12に入力され、
(3)式の演算が行われ、その演算結果が第1放射率比
演算ブロック14に入力されて(5)式の演算が実行さ
れ、更にその演算結果が温度計算ブロック16に入力さ
れると(4)式の演算が実行され、上記2色温度計10
で測定したプロセス材料Pの表面温度Tが出力される。
【0082】一方、図中右側の膜厚測定計算部分では、
まず、任意のd を仮定値(初期値)として設定すると、
そのd がλ1 、λ2 と共に放射率演算ブロック20に取
り込まれ、(6)式、(7)式の演算が実行され、その
出力が割算ブロック22に入力されると割算が実行さ
れ、第2放射率比ε1 /ε2 が判定ブロック24に
出力される。
【0083】この判定ブロック24には、上記第2放射
率比と共に、前記第1放射率比演算ブロック14から第
1放射率比が入力され、それぞれ(8)式に代入されて
判定の演算が実行される。
【0084】判定結果がNOであれば、補正量計算ブロ
ック26で補正量Δdが算出され、補正ブロック28で
そのΔd を用いた膜厚d の補正が行われ、補正後の膜厚
d が仮定ブロック18に設定される。
【0085】以上の手順で演算を繰返し、判定ブロック
24でHがほぼ0となるまで、上記手順の演算を実行す
る探索計算が行われる。Hがほぼ0となった時点で、最
終の演算に使用した膜厚d を出力する。
【0086】従って、本実施例によれば、プロセス材料
Pの表面温度Tと、該プロセス材料の表面に形成されて
いる酸化膜厚d を実質的に同時に測定することが可能と
なる。
【0087】図2は、本発明に係る第2実施例の測定装
置を示すブロック図である。
【0088】本実施例の測定装置は、輝度温度S1 、S
2 を入力して第1放射率累乗比ε1 λ1 /ε2 λ2 を算
出する第1累乗比演算ブロック12A(図1の累乗比演
算ブロック12と同一である)を備え、放射率演算ブロ
ック20から入力される放射率ε1 、ε2 及び対応
する2波長λ1 、λ2 を用いて、2つの放射率累乗項を
算出する放射率累乗項演算ブロック30と、該演算ブロ
ック30で算出された放射率累乗項を用いて、第2放射
率累乗比ε1 *λ1 /ε2 *λ2 を算出する割算ブロッ
ク22Aとを備え、上記第1累乗比と第2累乗比とを判
定ブロック24に入力し、該判定ブロック24で判定式
(8A)を用いて判定を行うようにした以外は、前記第
1実施例と実質的に同一である。
【0089】 H=(ε1 λ1 /ε2 λ2 −ε1 *λ1 /ε2 *λ2 2 …(8A)
【0090】なお、本実施例の場合は、第1放射率比演
算ブロック14及び温度計算ブロック16は必ずしも設
けなくてもよい。
【0091】本実施例によれば、第1及び第2放射率累
乗比を用いて膜厚d を判定し、正しい膜厚値として出力
することができるため、前記第1実施例の場合と同様に
プロセス材料Pの表面温度Tと、その酸化膜厚d を実質
的に同時に測定することができる。又、第1放射率比演
算ブロック14及び温度計算ブロック16を設けずに、
酸化膜厚d のみを測定するようにすることもできる。
【0092】図3は、本発明に係る第3実施例の測定装
置の概要を示すブロック図である。
【0093】本実施例は、3つの2色温度計10A、1
0B、10Cを備えて多波長化を図ったものである。従
って、3つの2色温度計を除き、基本的機能は実質的に
同一であるため、以下の説明では第1実施例との相違点
を中心に説明する。
【0094】2色温度計10A、10B、10Cは、そ
れぞれ近接2波長λ1,λ1x、λ2,λ2x及びλ3 ,λ3x
からなる異なる測定バンドで測定を行うものであり、そ
れぞれ対応する輝度温度S1 ,S1x、S2 ,S2x及びS
3 ,S3xが測定されるようになっている。
【0095】累乗比演算ブロック12は、上記3つの近
接2波長について、前記(3)式を用い、それぞれ放射
率累乗比ε1 λ1 /ε1xλ1x、ε2 λ2 /ε2xλ2x及び
ε3 λ3 /ε3xλ3xを算出し、第1放射率比演算ブロッ
ク14では、上記3つの累乗比より放射率比ε1 /ε1
x、ε2 /ε2x及びε3 /ε3xを算出するようにしてい
る。従って、この演算ブロック14は、各測定バンド毎
に前記(4)式の関数fを備えている。
【0096】温度演算ブロック16は、上記演算ブロッ
ク14で算出した上記3つの放射率比から2色温度計1
0A、10B、10Cにより測定される表面温度T1 、
T2及びT3 をそれぞれ算出し、これら表面温度T1〜T
3 は温度セレクタブロック32に出力され、該セレクタ
ブロック32で上記3つの表面温度について平均をとる
か、又は多数決で近接している方の温度を選択し、これ
をプロセス材料Pの表面温度Tとして出力するようにな
っている。
【0097】又、仮定ブロック18では、酸化膜厚d 、
反射率ρa 、ρb の各仮定値(初期値)がそれぞれ設定
され、放射率演算ブロック20ではこれら3つの仮定値
と上記3つの近接2波長λi 、λix(i =1、2、3)
が入力され、前記(6)式、(7)式により、放射率ε
i 、εixが算出され、次いで割算ブロック22では
これら3組の放射率から放射率比εi /εixが算出
され、更にこれら3つの放射率比が判定ブロック24に
入力され、該判定ブロック24では次の(8B)の判定
式を用いて判定が行われる。
【0098】 H=(ε1 /ε1x−ε1 /ε1x2 +(ε2 /ε2x−ε2 /ε2x2 +(ε3 /ε3x−ε3 /ε3x2 …(8B)
【0099】補正量計算ブロック26では、d 、ρa
ρb を微少変化させたときのHの変化値からヤコビアン
の近似値を求め、これを用いた公知のNewton 法、Mar
quardt法等の非線形関数の最小2乗法での補正量計算式
に基づいて d、ρa 、ρb を補正し、補正後のこれらの
値を仮定ブロック18に設定するようにされている。
【0100】本実施例によれば、プロセス材料Pの表面
温度Tと共に、3つの物性値:酸化膜厚d 、反射率
ρa 、ρb を測定することが可能となる。
【0101】図4は、本発明に係る第4実施例の測定装
置の概要を示すブロック図である。
【0102】本実施例の測定装置は、2色温度計10
を、プロセス材料Pの法線に対してそれぞれθ1 、θ2
及びθ3 の各角度に傾斜させて、該プロセス材料の測定
を行うようにしたものである。
【0103】本実施例の装置も、前記第1実施例の装置
と実質的に同一の構成を備えているので、その相違点を
中心に説明する。
【0104】累乗比演算ブロック12は、角度θi (i
=1、2、3)の信号と共に、輝度温度S1 ,S1xが入
力され、放射率累乗比ε1 θi λ1 /ε1xθi λ1xが算
出され、第1放射率比演算ブロック14では、上記各累
乗比から3つの放射率比ε1θi /ε1xθi が算出さ
れ、これら3つの放射率は判定ブロック24へ入力され
ると共に、温度計算ブロック16にも入力される。な
お、上記演算ブロック14は各傾斜角度毎の関数fを備
えている。
【0105】上記温度計算ブロック16では、各傾斜角
度毎に温度計算が実行され、温度計セレクタブロック3
2では、上記3つの傾斜角度毎に求められた温度の平均
値、又は多数決により選択される接近した温度をプロセ
ス材料Pの表面温度として出力する。
【0106】仮定ブロック18では、前記第3実施例と
同様に、酸化膜厚d 、反射率ρa 、ρb を仮定値で設定
し、放射率演算ブロック20では、これら仮定値と近接
2波長λ1 、λ1x及び傾斜角θi をそれぞれ用いて前記
(6)式、(7)式から、放射率ε1 θi 、ε1xθi
を算出し、割算ブロック22で上記放射率から放射率
比ε1 θi /ε1xθi を算出し、各傾斜角度毎の放
射率比を判定ブロック24に出力するようになってい
る。
【0107】この判定ブロック24では、次の(8C)
式で判定が行われ、Hがほぼ0に等しくなった時点で酸
化膜厚d 、反射率ρa 、ρb を出力する。Hが0でない
ときには、第3実施例の場合と同様に、この(8C)式
を補正量計算ブロック26で補正値Δd 、Δρa 、Δρ
b を算出し、補正ブロック28で設定値の補正を行う。
【0108】 H=(ε1 θ1 /ε1xθ1 −ε1 θ1 /ε1xθ1 2 +(ε1 θ2 /ε1xθ2 −ε1 θ2 /ε1xθ2 2 +(ε1 θ3 /ε1xθ3 −ε1 θ3 /ε1xθ3 2 …(8C)
【0109】本実施例によれば、同一種の2色温度計1
0で、前記第3実施例の場合と同様に、プロセス材料P
の表面温度Tと、酸化膜厚d 、反射率ρa 、ρb を同時
に測定することができる。
【0110】なお、本発明は、図5に示すように、2色
温度計10は4つ以上の測定バンドがλi 、λix(i は
1〜4以上の整数)で測定できるようにして、多波長化
することもできる。
【0111】このように、多波長化を行う場合には、図
6の線図に示すように、各バンドの2波長を選択するこ
とができ、このように多波長化を行うことにより、更に
多くの物性値をも同時測定することが可能となる。
【0112】図7は、2色温度計10について多角度化
を行った場合の測定時における2色温度計10の配置を
示したものである。
【0113】図8は、図7のような多角度化を行った場
合の測定2波長λ1 、λ1xと傾斜角度との関係を示した
線図である。
【0114】又、前記実施例に示した温度計セレクタブ
ロック32では、2つ以上の2色温度計を使用する場合
には、各2色温度計についての分光放射率比又は放射率
累乗比の時間変動に基づいて1又は2以上の2色温度計
を選択するようにすることができる。以下、便宜上、温
度計が第1及び第2の2つの測定バンドの場合について
この選択方法を詳細に説明する。
【0115】放射率累乗比ε1 λ1 /ε1x λ1x及びε2
λ2 /ε2x λ2xがそれぞれ波長帯域選定ブロック32に
入力されると、これら放射率累乗比の時間変動に基づい
て特定の波長帯域、即ち測定バンドを選択し、放射率累
乗比の時間変動が小さい方の測定バンドについて算出さ
れた温度Tが出力されるようにする。
【0116】上記波長帯域選定ブロック32は、以下に
説明する図9(A)又は図9(B)に示す構成にするこ
とができる。なお、本実施例ではこれら両方を使用して
も、又、いずれか一方を使用してもよい。
【0117】図9(A)の温度計セレクタブロック32
は、放射率累乗比の時間変化率を用いて選択信号を出力
するもので、ε1 λ1 /ε1x λ1xを微分する演算ブロッ
ク32Aと、ε2 λ2 /ε2x λ2xを微分する演算ブロッ
ク32Bと、これら両ブロック32A、32Bの演算結
果を比較して変化率の小さい方の測定ブロックを選択す
る信号を出力する比較器32Cとで構成されている。
【0118】図9(B)の温度計セレクタブロック32
は、ε1 λ1 /ε1x λ1xの絶対値を算出する演算ブロッ
ク32Dと、ε2 λ2 /ε2x λ2xの絶対値を算出する演
算ブロック32Eと、これら両ブロック32D、32E
の演算結果を比較し、その小さい方の測定バンドを選択
する信号を出力する比較器32Fとで構成されている。
【0119】上述した温度計セレクタブロック32の機
能を、図10を用いて以下に説明する。
【0120】輻射光干渉に起因する放射率低下部分であ
る谷は、波長の大小関係からε1 →ε1x→ε2 →ε2x
順に発生する。この放射率低下は、従来の2色放射温度
計では知ることができない。
【0121】図10から類推されるように酸化膜形成に
よって分光放射率が急変するタイミングゾーンは、上記
2つの放射率比の時間的変化を観測することで十分な確
度で検知可能であり、具体的には、前記図9(A)に示
したように放射率比の時間微分から、又は同図(B)に
示したように放射率比の絶対値の大きさから検知可能で
ある。
【0122】従って、被測定対象の表面状態が図10の
タイミングゾーンZ1又はZ10に対応している場合には
第2測定バンドの放射率ε2 、ε2xを用い、逆にタイミ
ングゾーンZ2 又はZ20に対応している場合には第1測
定バンドの放射率ε1 、ε1xを用いて算出した温度計算
結果を選択し、出力するようにすることができる。
【0123】以上詳述した如く、第1測定バンドの近接
2波長λ1 、λ1x及び第2測定バンドの近接2波長
λ2 、λ2xについてそれぞれ独立に温度計算を行うこと
ができると共に、各2波長の放射率累乗比の時間変動が
小さい測定バンドについて算出した温度を選択的に出力
することができることから、表面に酸化膜が生成し、そ
れが経時的に生長して膜厚が増大していく場合でも適切
な測定バンドを選択して温度計算を実行し、出力するこ
とができるため常に高精度な温度測定が可能となる。
【0124】又、表面物性値と放射率εi との関係を表
わす論理式又は実験式としては前記(6)、(7)式に
限られるものでなく、任意の関係式を利用可能であるこ
とはいうまでもない。
【0125】例えば、Rを表面粗度、他の任意の物性値
をXi とする場合、次式の関数を用いることもできる。
【0126】εi =f ′(R、Xi ) …(9)
【0127】上記(9)式が適用される具体例として
は、合金化亜鉛鍍金鋼板等における合金化度を挙げるこ
とができる。
【0128】合金化亜鉛鍍金鋼板の合金化プロセスにお
いては、合金化が進行するに従って表面粗度Rが変化す
ると共に、放射率も変化するため、X1 を合金化度とす
ると次の(9A)式が成立つ。
【0129】εi =f ′(R、X1 ) …(9A)
【0130】従って、2以上の2色温度計を用いるか、
又は2以上の傾斜角度の2色温度計を用いると共に、上
記(9A)を適用することにより、表面温度Tと同時に
表面粗度R及び合金化度X1 の2つの物性値を測定する
ことも可能となる。
【0131】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、プ
ロセス材料の物性値と表面温度とを同時に測定すること
ができ、又、表面物性が変化し、プロセス材料の表面が
変化し、放射率が著しく変動する場合でも、その表面温
度を高精度で測定できると同時に、該プロセス材料の物
性値をも測定することができる。又、物性値のみを測定
することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る第1実施例の概要を示す
ブロック図である。
【図2】図2は、本発明に係る第2実施例の概要を示す
ブロック図である。
【図3】図3は、本発明に係る第3実施例の概要を示す
ブロック図である。
【図4】図4は、本発明に係る第4実施例の概要を示す
ブロック図である。
【図5】図5は、2色温度計の多波長化の例を示すブロ
ック図である。
【図6】図6は、2色温度計を多波長化する場合の波長
と分光放射率の関係を示す線図である。
【図7】図7は、2色温度計を多角度化する場合の2色
温度計の配置を示すブロック図である。
【図8】図8は、2色温度計を多角度化する場合の測定
2波長と傾斜角度の関係を示す線図である。
【図9】図9は、波長帯域選定ブロックの構成を示すブ
ロック図である。
【図10】図10は、放射率と放射率比の時間変化を示
すタイムチャートである。
【図11】図11は、酸化膜がない低温表面の放射率ス
ペクトルを示す線図である。
【図12】図12は、酸化膜がない中温度の表面の放射
率スペクトルを示す線図である。
【図13】図13は、酸化膜発生直後の表面の放射率ス
ペクトルを示す線図である。
【図14】図14は、酸化膜成長中の表面の放射率スペ
クトルを示す線図である。
【図15】図15は、不働体酸化膜形成後の表面の放射
率スペクトルを示す線図である。
【図16】図16は、酸化膜がない表面の接近2波長の
放射率スペクトルを示す線図である。
【図17】図17は、表面酸化膜発生後の近接2波長の
放射率スペクトルを示す線図である。
【図18】図18は、2波長の分光放射率の相関を示す
線図である。
【図19】図19は、従来の2色放射温度計の構成を示
すブロック図である。
【符号の説明】
P…プロセス材料、 10…2色温度計、 12…累乗比演算ブロック、 12A…第1累乗比演算ブロック、 14…第1放射率比演算ブロック、 16…温度計算ブロック、 18…仮定ブロック、 20…放射率演算ブロック、 22…割算ブロック、 24…判定ブロック、 26…補正量計算ブロック、 30…放射率累乗項演算ブロック、 32…温度計セレクタブロック。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プロセス材料の任意の表面位置を共通の視
    野とする1以上の2色温度計と、 上記2色温度計からオンラインで得られる2波長λ1 、
    λ2 の輝度温度S1 、S2 から、次式で放射率累乗比ε
    1 λ1 /ε2 λ2 を演算する累乗比演算手段と、 ε1 λ1 /ε2 λ2 =exp {C2 (1/S2 −1/S1 )} (C2 :Plankの第2定数) 上記放射率累乗比ε1 λ1 /ε2 λ2 を、予め測定し記
    憶させた次式の相関関数f により第1分光放射率比ε1
    /ε2 に変換する第1放射率比演算手段と、 ε1 /ε2 =f (ε1 λ1 /ε2 λ2 ) 放射率に影響を与える1以上の物性値を変数とする理論
    式又は実験式を用いて、上記2波長λ1 、λ2 の分光放
    射率ε1 、ε2 を別個に算出し、第2分光放射率比
    ε1 /ε2 を演算する第2放射率比演算手段と、 上記物性値に初期値を与え、該物性値を用いて算出され
    る第2分光放射率比ε1 /ε2 と、上記第1分光放
    射率比ε1 /ε2 とが実質的に一致する物性値を探索計
    算する探索計算手段と、 第1分光放射率比ε1 /ε2 、又は探索計算終了後の第
    2分光放射率比ε1 /ε2 を用いて2色温度計算を
    行う温度計算手段と、 を備えていることを特徴とするプロセス材料の物性値・
    表面温度測定装置。
  2. 【請求項2】プロセス材料の任意の表面位置を共通の視
    野とする1以上の2色温度計と、 上記2色温度計からオンラインで得られる2波長λ1 、
    λ2 の輝度温度S1 、S2 から、次式で第1放射率累乗
    比ε1 λ1 /ε2 λ2 を演算する第1累乗比演算手段
    と、 ε1 λ1 /ε2 λ2 =exp {C2 (1/S2 −1/S1 )} (C2 :Plankの第2定数) 放射率に影響を与える1以上の物性値を変数とする理論
    式又は実験式を用いて、上記2波長λ1 、λ2 の分光放
    射率ε1 、ε2 を別個に算出し、その結果から第2
    放射率累乗比ε1 *λ1 /ε2 *λ2 を演算する第2累
    乗比演算手段と、 上記物性値に初期値を与え、該物性値を用いて算出され
    る第2放射率累乗比ε1 *λ1 /ε2 *λ2 と、上記第
    1放射率累乗比ε1 λ1 /ε2 λ2 とが実質的に一致す
    る物性値を探索計算する探索計算手段と、 を備えていることを特徴とするプロセス材料の物性値・
    表面温度測定装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、 2以上の2色温度計を有し、各2色温度計における分光
    放射率比又は放射率累乗比の時間変動に基づいて1又は
    2以上の2色温度計を選択する温度計セレクタ手段を有
    するこを特徴とするプロセス材料の物性値・表面温度測
    定装置。
  4. 【請求項4】請求項1又は2において、 物性値の少なくとも1つが酸化膜厚d であり、論理式又
    は実験式が εi =1−{ρa +ρb +2(ρa ρb cos γi )0.5 } ÷{1+ρa ρb +2(ρa ρb cos γi )0.5 } γi =(2π/λi )2nd cosθ ρa : 酸化膜と空気の境界での反射率 ρb : 酸化膜と非酸化部の境界での反射率 θ : 測定装置と測定表面法線との角度 n : 酸化膜の屈折率 であることを特徴とするプロセス材料の物性値・表面温
    度測定装置。
JP3330093A 1991-11-19 1991-11-19 プロセス材料の物性値・表面温度測定装置 Pending JPH05142052A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3330093A JPH05142052A (ja) 1991-11-19 1991-11-19 プロセス材料の物性値・表面温度測定装置
US07/976,414 US5314249A (en) 1991-11-19 1992-11-13 Surface condition measurement apparatus
CA002083124A CA2083124C (en) 1991-11-19 1992-11-17 Surface condition measurement apparatus
DE69226419T DE69226419T2 (de) 1991-11-19 1992-11-17 Gerät zur Messung der Oberflächenbeschaffung
EP92119607A EP0543326B1 (en) 1991-11-19 1992-11-17 Surface condition measurement apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3330093A JPH05142052A (ja) 1991-11-19 1991-11-19 プロセス材料の物性値・表面温度測定装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05142052A true JPH05142052A (ja) 1993-06-08

Family

ID=18228714

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3330093A Pending JPH05142052A (ja) 1991-11-19 1991-11-19 プロセス材料の物性値・表面温度測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05142052A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002522912A (ja) * 1998-08-14 2002-07-23 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド 基板温度測定システムのチューニング
JP2020008484A (ja) * 2018-07-11 2020-01-16 株式会社神戸製鋼所 酸化膜厚測定装置および該方法
JP2022165402A (ja) * 2021-04-19 2022-10-31 Jfeスチール株式会社 温度測定方法、温度測定装置、温度制御方法、温度制御装置、鋼材の製造方法、及び鋼材の製造設備
WO2024029231A1 (ja) * 2022-08-05 2024-02-08 日本製鉄株式会社 温度測定装置及び温度測定方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002522912A (ja) * 1998-08-14 2002-07-23 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド 基板温度測定システムのチューニング
JP2020008484A (ja) * 2018-07-11 2020-01-16 株式会社神戸製鋼所 酸化膜厚測定装置および該方法
JP2022165402A (ja) * 2021-04-19 2022-10-31 Jfeスチール株式会社 温度測定方法、温度測定装置、温度制御方法、温度制御装置、鋼材の製造方法、及び鋼材の製造設備
WO2024029231A1 (ja) * 2022-08-05 2024-02-08 日本製鉄株式会社 温度測定装置及び温度測定方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0285730A (ja) 表面状態が変化する物体に対する放射測温法及び放射測温装置
EP0543326B1 (en) Surface condition measurement apparatus
KR0137451B1 (ko) 복사에너지 방출재료의 공정제어방법 및 그 장치
JP2007010476A (ja) 鋼板温度計測方法及び装置
JPH05142052A (ja) プロセス材料の物性値・表面温度測定装置
KR0159954B1 (ko) 표면상태측정장치
JPH05164619A (ja) 輻射を用いた連続材料プロセス制御装置
JPH05164618A (ja) プロセス材料の表面物性値・表面温度測定装置
JP2960285B2 (ja) 放射率による合金化度制御方法および装置
JPH04233745A (ja) ウェーハ上に堆積される薄膜の厚さをその場で測定する方法及び装置
Hayk High quality, high accuracy
JPH05273043A (ja) 放射温度測定装置、放射率測定装置及び放射率累乗比−放射率相関決定の方法
JPH05164616A (ja) 多波長式放射温度計
JPH05231945A (ja) 溶融亜鉛メッキ鋼板の表面温度および放射率の測定方法
De Witt Advances and Challenges in Radiation Thermometry
JPS58169038A (ja) 二色形放射温度計
JPH05215610A (ja) 表面状態測定装置
Mayrhofer et al. Optical characterization of thin layers grown on metal components
JPH03287025A (ja) 物体の温度と放射率および周囲温度の測定方法および装置
JPH0440329A (ja) 鋼帯の熱処理炉における酸化膜測定装置
JPH05164617A (ja) 連続プロセス材料の表面物性値・特性値測定システム
Chen et al. Design of Temperature Control System Based on Vacuum Furnace
JPH0755737A (ja) 合金化反応表面の状態検出方法
SU1413443A1 (ru) Способ измерени термодинамической температуры тел
JPH05240711A (ja) 放射温度測定方法