JPH0514142U - 竪型溶融還元炉の風量分配装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 堅型溶融還元炉において、メタルおよびスラ
グ成分の変動を抑制することにより溶融還元炉の操業を
安定化させることを目的とする。 【構成】 堅型溶融還元炉の炉内の炭素系固体還元剤充
填層に高温酸化性ガスを吹込むよう上下２段に設けられ
た複数個の羽口のそれぞれに高温酸化性ガス導入量測定
手段および高温酸化性ガス導入量調整手段とを設け、導
入量測定結果に基づいて、高温酸化性ガス導入量が各羽
口でバランスされるよう、各羽口における導入量調整手
段を制御する制御手段を具えることを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、金属酸化物を含有する粉状鉱石を溶融還元して溶融金属を製造する 溶融還元炉の風量分配装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、粉状鉱石を溶融還元して溶融金属を得る方法として、特公昭59−18452 号公報に開示されたものが既知である。この方法は、堅型溶融還元炉の炉下部に 設置された上、下２段の羽口を介し、高温空気を所要に応じ酸素ガスとともに堅 型溶融還元炉内に導入し、少なくとも上段の羽口から粉状鉱石を高温空気ととも に堅型溶融還元炉内に吹き込み、上、下段の羽口間で充填層を形成している炭材 を炉内で燃焼させ、この炭材の燃焼によって発生する高温によって上段の羽口よ り吹き込まれる粉状鉱石を加熱して溶融し、炭材の充填層を経て滴下する溶融金 属を固体炭材により直接還元し、かようにして生成した還元溶融金属（以下、こ れを「メタル」と称す）とスラグとを堅型溶融還元炉の下端部に開口する出湯口 から排出させることを原理としている。

【０００３】 上述したような堅型溶融還元炉から排出されるメタル、スラグの成分が変動す るのを抑制することは、溶融還元炉の操業安定上、極めて重要なことである。し かして、このメタルとスラグの成分変動は、上段羽口の粉状鉱石の吹込み量や高 温空気量や酸素富化量などの高温酸化性ガス量の熱的条件に左右される。

【０００４】 従来、上、下２段に設けられた複数の羽口を有する堅型溶融還元炉では、上段 の羽口から供給される粉状鉱石を速やかに溶融させるために、下段の羽口からも 高温空気や富化酸素を炉内に導入し、溶融還元を促進させていた。しかしながら 、上段の羽口に吹き込む鉱石吹込み量や炉内の状況によっては、必然的に複数の 上、下段の羽口や円周方向の羽口間で高温空気量の変動やアンバランスが発生し ていた。そのため、従来の溶融還元炉では、炉内から排出されるメタルおよびス ラグ成分の変動が起こり、操業安定上、大きな問題となっていた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、堅型溶融還元炉において、メタルおよびスラグ成分の変動を抑制す ることにより、溶融還元炉の操業の安定性を達成することを課題とし、下段の羽 口毎に導入する高温酸化性ガス量を測定する手段と、上、下２段の羽口毎に導入 する高温酸化性ガス量を調整する手段とを設けて複数の上、下段羽口や円周方向 の羽口間での高温酸化性ガス量や熱的なアンバランスを防止し得る溶融還元炉の 熱風量分配装置を提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

このような課題を克服すべく開発した本考案の堅型溶融還元炉の風量分配装置 は、炉内の炭素系固体還元剤充填層中に、上, 下２段に設けられた複数個の羽口 を通じ高温酸化性ガスを吹込むようにしてなるものにおいて、それらの羽口にそ れぞれ高温酸化性ガス導入量測定手段および高温酸化性ガス導入量調整手段を設 け、その導入量測定結果に基づいて、各羽口間で前記高温酸化性ガスの導入量が バランスするように各羽口における導入量調整手段を制御する制御手段を設けて なることを特徴とするものである。

【０００７】

【作用】

堅型溶融還元炉では、上、下２段に設けられた複数の羽口の中の上段の羽口か ら高温空気、富化酸素ガス等の酸化性ガスとともに粉状鉱石を炉内に吹込み、羽 口先で粉状鉱石を速やかに溶融させ、充填層を滴下する間に固体炭材と接触して 直接還元するのを補助するために下段の羽口からも高温空気や富化酸素を導入し て溶融還元を促進させている。

【０００８】 一方、溶融還元炉から排出されるメタルやスラグ成分の変動抑制は溶融還元炉 の操業安定上、極めて重要となる。そして、メタルやスラグ成分は上段羽口への 粉鉱石の吹込み量や高温空気量、富化酸素量などの高温酸化性ガス量の熱的条件 に左右される。

【０００９】 このような、溶融還元炉においては上段羽口ごとの粉鉱石吹込み量や羽口先で の溶融状態によって上、下段の羽口や円周方向の羽口毎に高温空気量の変動や熱 的なアンバランスが必然的に発生して溶融還元炉から排出されるメタル、スラグ 成分が変動し溶融還元炉の操業に大きく影響することが明らかになった。

【００１０】 そのため、上段羽口の高温空気量が下段羽口よりも多すぎる場合には、羽口先 のレースウェイ内で熱過剰となりメタル中〔Si〕％が上昇し、逆に、下段羽口の 高温空気量が極端に少ない場合には、炉下部で熱不足となり未還元のFeO ％が増 加したり、スラグ塩基度 (CaO)％／(SiO₂)％が変動してスラグの排滓性が悪化し て、溶融還元炉の操業が不安定となるから、下段羽口に導入する高温空気量の送 風分配を適正範囲に制御する必要があった。

【００１１】 以上のことから、上、下２段に設けられた複数の羽口を有する堅型溶融還元炉 において上、下段羽口に導入する高温空気量を測定する手段と、上、下２段の羽 口毎に高温空気量を調整する手段とを設け、上記の上、下２段の高温空気量に基 づき、上、下段の羽口に導入する高温空気量を適正な範囲で制御することにより メタルやスラグ成分の変動を抑制して溶融還元炉の操業の安定化を図ることがで きる。尚、上、下段の羽口に導入する高温空気量の適正な範囲は予め実験により 求めておくことができる。また、レースウェイの火炎の輝度の状態により直接に ガス導入量調整装置を操作し、導入高温酸化性ガス量を制御することもできる。

【００１２】

【実施例】

図１は本考案による堅型溶融還元炉の風量分配装置の実施例を示す模式図であ る。炭材燃焼用の800 〜1000℃に加熱された高温空気は送風管１を経由して溶融 還元炉に設置されている上段羽口２と下段羽口３のそれぞれに送風され、溶融還 元炉内の炭材充填層４を燃焼させながらレースウェイ５を形成する。さらに、上 段羽口２から吹き込まれる粉状鉱石は上段羽口２の先で加熱、溶融して、炭材充 填層４を滴下する間に固体炭材と接触して直接還元され、溶融状態のメタルおよ びスラグを生成して炉下部に溜まる。

【００１３】 なお、送風管１と上、下段羽口２，３の内面には耐火物６が積まれている。一 方、上、下段羽口２，３を通過する高温空気量を測定する手段としては、上段羽 口２、下段羽口３それぞれにオリフィスプレート7a, 7bと導圧管8a, 8bを取り付 けて、上段羽口２、下段羽口３を通過する高温空気量に応じたオリフィスプレー ト7aと7b前、後の差圧を上段羽口の差圧発信器９および下段羽口の差圧発信器10 でそれぞれ検知して、信号は演算制御装置11に送られる。さらに、上段羽口２と 下段羽口３の高温空気量を調整する手段として上段羽口２、下段羽口３のそれぞ れに風量調整板12, 13が設けられ、これらの風量調整板は風量調整板駆動装置14 a, 14bにより回転される風量調整板作動シャフト15a, 15bにガスシール機構16a, 16bを介して連結される。駆動装置14a, 14bは風量調整板駆動装置座台17a, 17b 上に取付けられている。風量調整板12, 13の風量調整板駆動装置14a, 14bは演算 制御装置11の上、下段羽口２，３の高温空気量に基づいて、その制御出力信号に より作動され、これにより下段羽口６，７の高温空気流量を適正な範囲で制御す る。

【００１４】 次に、下記の仕様からなる溶融還元炉を用いて、操業試験を行った。 記 堅型溶融還元炉 炉 径 ： 1.2 m 炉容積 ： 7.7 m³ 上・下段羽口：各３本 この操業試験の結果を、試験条件に合わせて表１に示す。

【００１５】 表 １

【００１６】 表１に示す通り、上、下段羽口に導入する高温空気流量を風量分配装置を用い て適正範囲で制御した適合例ではメタル〔Si〕 (％) やスラグ塩基度の変動が小 さくなり、溶融還元炉の操業も安定したが、上、下段羽口の高温空気流量を風量 分配装置を使用しない比較例−１と比較例−２では〔Si〕 (％) やスラグ塩基度 の変動は大きくなり溶融還元炉の操業は安定しなかった。

【００１７】

【考案の効果】

本考案によれば、溶融還元炉の上、下段の羽口から導入される高温酸化性ガス の流量を風量分配装置を用いて適正範囲で制御できるため、メタルやスラグ成分 の変動を抑制することにより溶融還元炉操業の安定化および生産性の向上を達成 できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の堅型溶融還元炉の風量分配装置の実施
例を示す模式図である。

【符合の説明】

１ 送風管 ２ 上段羽口 ３ 下段羽口 ４ 炭材充填層 ５ レースウェイ ６ 耐火物 7a, 7b オリフィスプレート 8a, 8b 導圧管 ９ 上段羽口の差圧発信器 10 下段羽口の差圧発信器 11 演算制御装置 12 上段羽口の風量調整板 13 下段羽口の風量調整板 14a 上段羽口の風量調整板駆動装置 14b 下段羽口の風量調整板駆動装置 15a, 15b 風量調整板作動シャフト 16a, 16b ガスシール機構 17a, 17b 風量調整板駆動装置座台

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 堅型溶融還元炉の炉内の炭素系固体還元
   剤充填層中に、上,下２段に設けられた複数個の羽口を
   通じ高温酸化性ガスを吹込むようにしてなるものにおい
   て、それらの羽口にそれぞれ高温酸化性ガス導入量測定
   手段および高温酸化性ガス導入量調整手段を設け、その
   導入量測定結果に基づいて、各羽口間で前記高温酸化性
   ガスの導入量がバランスするように各羽口における導入
   量調整手段を制御する制御手段を設けてなることを特徴
   とする堅型溶融還元炉の風量分配装置。