JPH0513887U - 無限軌道帯用弾性履板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】鉄製履板の沓面に弾性保護沓板を備えた履帯に
おいて、リンクに鉄製履板をボルト止めした後、弾性保
護沓板のボルト締め付け穴を閉塞することにより、土砂
類の侵入によって履板から弾性保護沓板が剥離するのを
防止して耐久性を向上させる。 【構成】ラグを突出させた鉄製履板と、該履板の沓面に
重合されるところの、履板の取り付けボルト穴に対応す
る位置にボルト締め付け穴を開設した弾性保護沓板と、
履板をボルトによりリンクに取り付けた後にボルト締め
付け穴内に圧入されるところの、上記ボルト締め付け穴
径より若干大きめの径を有する弾性体の穴栓とからな
る。 これにより無限軌道車両に装着して走行させた場
合に、ボルト締め付け穴内に土砂類が侵入することがな
く、したがって弾性保護沓板が鉄製の履板から剥離する
ことなく、著しく耐久性を向上させることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はブルドーザーやパワーショベル等の建設用車輌に用いる無限軌道帯用 履板の改良に関し、さらに詳しくは長さ方向に連続させ、しかも相互に一定の間 隔を介して突出させた複数のラグを有する鉄製履板の沓面に弾性保護沓板を重合 一体化させた履板において、弾性保護沓板の耐久性の向上をはかることを目的と する。

【０００２】

【従来の技術】

無限軌道帯用の履帯は通常その沓面に、その長さ方向に沿って突出させた単数 または複数のラグを有する履板を多数のリンクにより、ブッシュおよびピンを介 して相互に無端状に連結した鉄製のものが用いられている。 ところが舗装路 面上の走行に際しては路面を著しく損傷するために、最近では各履板の沓面に弾 性の保護沓板をボルト締めして重合一体化させて走行することがおこなわれてい る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら上記の弾性保護沓板をリンクの沓面にボルト締めにより重合一体 化させた履板にあっては、無限軌道車両の走行に際して、路面の土石類が弾性保 護沓板の取り付けボルト穴から侵入し、該穴を起点としてその周辺に履板からの 剥離を生じて、これが加速度的に進行する結果著しく耐久性を劣化させる。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記した従来技術における課題を解決し、弾性保護沓板を備えた履帯 の耐久性を向上させるようにしたものであって、具体的には長さ方向に連続させ 、しかも相互に一定の間隔を介して突出させた単数または複数のラグを有する鉄 性履板と、該履板の沓面に重合されるところの、履板の取り付けボルト穴に対応 する位置にボルト締め付け穴を開設した弾性保護沓板と、履板をボルトによりリ ンクに取り付けた後にボルト締め付け穴内に圧入されるところの、上記ボルト締 め付け穴径より若干大きめの径を有する弾性体の穴栓とからなる無限軌道帯用弾 性履板に関する。

【０００５】 また本考案は、長さ方向に連続させ、しかも相互に一定の間隔を介して突出さ せた単数または複数のラグを有する鉄性履板と、該履板の沓面に重合されるとこ ろの、履板の取り付けボルト穴に対応する位置にボルト締め付け穴を開設した弾 性保護沓板と、履板をボルトによりリンクに取り付けた後にボルト締め付け穴内 に圧入されるところの、上記ボルト締め付け穴径より若干大きめの径を有する弾 性体の穴栓とからなり、該穴栓は、その圧入先端面を、前記取り付けボルトのト ップ面に合わせて凹面に形成したことを特徴とする無限軌道帯用弾性履板にも関 する。

【０００６】 さらに本考案は、長さ方向に連続させ、しかも相互に一定の間隔を介して突出 させた単数または複数のラグを有する鉄性履板と、該履板の沓面に重合されると ころの、履板の取り付けボルト穴に対応する位置にボルト締め付け穴を開設した 弾性保護沓板と、履板をボルトによりリンクに取り付けた後にボルト締め付け穴 内に圧入されるところの、上記ボルト締め付け穴径より若干大きめの径を有する 弾性体の穴栓とからなり、該穴栓には、その圧入先端面から接地面に通ずるエア 抜き孔を形成してなることを特徴とする無限軌道帯用弾性履板にも関する。

【０００７】

【作用】

鉄製履板の沓面に、該履板のボルト取り付け穴に対応させてボルト締め付け穴 を開設した弾性保護沓板を重合接着し、上記履板の取り付けボルト穴にボルトを 挿通して履板をリンクに締め付け固定した後、前記した弾性保護沓板のボルト締 め付け穴内に、該ボルト締め付け穴径より若干大きめの径を有する弾性体の穴栓 を圧入固定させる。 これを無限軌道車両に装着して走行させた場合に、ボルト 締め付け穴が完全に塞がれているために土砂等がボルト締め付け穴内に侵入する ことがなく、したがって弾性保護沓板が鉄製の履板から剥離することがない。

【０００８】

【実施例】

以下において本考案の具体的な内容を図の実施例をもとに説明すると、１は鉄 性の履板、４は該履板１の接地側沓面に重合一体化される弾性保護沓板、６は穴 栓を示す。

【０００９】 履板１はその沓面側に、しかも長さ方向に連続させ、相互に一定の間隔を介し て３本のラグ２が突設され、かつ各ラグ２，２間の平板部に４カ所の取り付け用 ボルト穴３が開設されている。 また弾性保護沓板４は、ゴム、あるいはウレタ ンその他の弾性材からなり、上記履板１の接地側沓面の凹凸形状に対応させ、密 着重合可能であると共に、上記した弾性保護沓板４のボルト穴３に対応する位置 にボルト締め付け穴５が開設されている。

【００１０】 さらに穴栓６は上記したボルト締め付け穴５内に圧入可能であるように、前記 した弾性保護沓板４と略同材質からなり、図５（Ａ）〜（Ｄ）にも示したように 、ボルト締め付け穴５の径Ｅ（図６）より若干大きめの径Ｇを有するように設計 されている。 図５の（Ａ）は圧入先端面部の外径Ｆが背面（接地面）側の外径 Ｇよりも小さくなるようにテーパー状にしてあり、Ｅ＜Ｆ＜Ｇとなるように設計 され、これにより圧入作業を容易にできるようにしてある。

【００１１】 図５の（Ｂ）はこのようなテーパーの工夫を施さないものであって、圧入時に 若干の余分な労力を必要とするが、その分だけ圧入効果が増大する。 また図５ の（Ｃ）は上記した（Ａ）のものと基本的には同一形状であって、しかもその圧 入先端面には取り付けボルト８のトップ面に合わせて凹面部７が形成されている 。 さらに図５の（Ｄ）は上記した（Ｃ）のものと基本的には同一形状であって 、これに（Ｃ）の凹面部７の構成を付加したものである。

【００１２】 この凹面部７を有する場合には、ボルト締め付け穴５内に圧入した場合、該凹 面部７がボルト８のトップ面に圧着し、安定するために耐久性が一層向上し、わ れわれの行った試験結果でも（Ａ）および（Ｂ）のものに比べて約２５パーセン トの耐久性の向上がみられた。 上記した構成において、鉄製履板１の沓面に 、該履板１のボルト取り付け穴３に対応させてボルト締め付け穴５を開設した弾 性保護沓板４を重合接着し、上記履板１の取り付けボルト穴３にボルト８を挿通 して履板１をリンクに締め付け固定した後、前記した弾性保護沓板４のボルト締 め付け穴５内に、該ボルト締め付け穴径より若干大きめの径を有する弾性体の穴 栓６を圧入固定させる。

【００１３】 なおこの場合において、図６および図７に示したように、穴栓６の中央部に圧 入先端面から背面に通ずるエア抜き孔９を設けておくと、圧入時の作業が容易に なる。

【００１４】

【考案の効果】

本考案は上記した通り、長さ方向に連続させ、しかも相互に一定の間隔を介し て突出させた単数または複数のラグを有する鉄性履板と、該履板の沓面に重合さ れるところの、該履板の取り付けボルト穴に対応する位置にボルト締め付け穴を 開設した弾性保護沓板と、履板をボルトによりリンクに取り付けた後にボルト締 め付け穴内に圧入されるところの、上記締め付け穴径より若干大きめの径を有す る弾性体の穴栓とからなるものであるために、履板の沓面に弾性保護沓板を重合 接着し、上記履板の取り付けボルト穴にボルトを挿通して履板をリンクに締め付 け固定した後、前記した弾性保護沓板のボルト締め付け穴内に、弾性体の穴栓を 圧入固定させて完成し、これを無限軌道車両に装着して使用した場合、ボルト締 め付け穴内に土砂類が侵入することがなく、したがって弾性保護沓板が履板から 剥離することがなく、著しく耐久性を向上させることができる。

【００１５】 また穴栓の圧入先端面に、取り付けボルトのトップ面に合わせた凹面部を形成 した場合には、圧入された穴栓の安定が良好となり、その結果耐久性を一層向上 させることができる。 また穴栓の中央部に、圧入先端面から接地面に通ずるエ ア抜き孔を形成した場合には、ボルト締め付け穴内への圧入時の作業が一層容易 になる

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例をあらわした弾性履板の底面
図、

【図２】図１におけるＡ−Ａ線矢視方向の断面図、

【図３】図１におけるＢ−Ｂ線矢視方向の断面図、

【図４】図１におけるＣ−Ｃ線矢視方向の断面図、

【図５】弾性保護沓板のボルト締め付け穴内に圧入され
る穴栓の拡大側面図、

【図６】弾性保護沓板のボルト締め付け穴内に穴栓を圧
入させた状態の要部拡大断面図

【図７】本考案に用いられる別の実施例の穴栓を、弾性
保護沓板のボルト締め付け穴内に圧入させた状態の要部
拡大断面図。

【符号の説明】

１ 履板 ２ ラグ ３ ボルト穴 ４ 弾性保護沓板 ５ ボルト締め付け穴 ６ 穴栓 ７ 凹面部 ８ ボルト ９ エア抜き孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 関口 和正 東京都千代田区四番町５番地９ トピー工 業株式会社内

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 長さ方向に連続させ、しかも相互に一定
   の間隔を介して突出させた、単数または複数のラグを有
   する鉄性履板と、該履板の沓面に重合されるところの、
   履板の取り付けボルト穴に対応する位置にボルト締め付
   け穴を開設した弾性保護沓板と、履板をボルトによりリ
   ンクに取り付けた後にボルト締め付け穴内に圧入される
   ところの、上記ボルト締め付け穴径より若干大きめの径
   を有する弾性体の穴栓とからなる無限軌道帯用弾性履
   板。
2. 【請求項２】 長さ方向に連続させ、しかも相互に一定
   の間隔を介して突出させた、単数または複数のラグを有
   する鉄性履板と、該履板の沓面に重合されるところの、
   履板の取り付けボルト穴に対応する位置にボルト締め付
   け穴を開設した弾性保護沓板と、履板をボルトによりリ
   ンクに取り付けた後にボルト締め付け穴内に圧入される
   ところの、上記ボルト締め付け穴径より若干大きめの径
   を有する弾性体の穴栓とからなり、該穴栓は、その圧入
   先端面を、前記取り付けボルトのトップ面に合わせて凹
   面に形成したことを特徴とする無限軌道帯用弾性履板。
3. 【請求項３】 長さ方向に連続させ、しかも相互に一定
   の間隔を介して突出させた単数または複数のラグを有す
   る鉄性履板と、該履板の沓面に重合されるところの、履
   板の取り付けボルト穴に対応する位置にボルト締め付け
   穴を開設した弾性保護沓板と、履板をボルトによりリン
   クに取り付けた後にボルト締め付け穴内に圧入されると
   ころの、上記ボルト締め付け穴径より若干大きめの径を
   有する弾性体の穴栓とからなり、該穴栓には、その圧入
   先端面から接地面に通ずるエア抜き孔を形成してなるこ
   とを特徴とする無限軌道帯用弾性履板。