JPH05137739A - 人工関節 - Google Patents

人工関節

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JPH05137739A
JPH05137739A JP33438891A JP33438891A JPH05137739A JP H05137739 A JPH05137739 A JP H05137739A JP 33438891 A JP33438891 A JP 33438891A JP 33438891 A JP33438891 A JP 33438891A JP H05137739 A JPH05137739 A JP H05137739A
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Japan
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artificial joint
coating layer
stem
head
artificial
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JP33438891A
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English (en)
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Takaaki Osawa
孝明 大澤
Yoshihisa Ueda
善久 上田
Noboru Matsunaga
昇 松永
Kazuyoshi Azeyanagi
和好 畔柳
Ichiro Sogaishi
一郎 曽我石
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Terumo Corp
Janome Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Janome Sewing Machine Co Ltd
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Publication date
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    • A61FFILTERS IMPLANTABLE INTO BLOOD VESSELS; PROSTHESES; DEVICES PROVIDING PATENCY TO, OR PREVENTING COLLAPSING OF, TUBULAR STRUCTURES OF THE BODY, e.g. STENTS; ORTHOPAEDIC, NURSING OR CONTRACEPTIVE DEVICES; FOMENTATION; TREATMENT OR PROTECTION OF EYES OR EARS; BANDAGES, DRESSINGS OR ABSORBENT PADS; FIRST-AID KITS
    • A61F2/00Filters implantable into blood vessels; Prostheses, i.e. artificial substitutes or replacements for parts of the body; Appliances for connecting them with the body; Devices providing patency to, or preventing collapsing of, tubular structures of the body, e.g. stents
    • A61F2/02Prostheses implantable into the body
    • A61F2/30Joints
    • A61F2/32Joints for the hip
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    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明の人工関節1は、球状の頭部2と、こ
れに続く金属製のネック部3と、これに続く金属製のス
テム部4とで構成されている。このうちステム部4は、
比較的太いステム基部5と先細り形状のステム先端部6
とで構成されている。ネック部3およびステム部4の芯
材7の外周面71には、例えばポリエーテルエーテルケ
トンのような生体用樹脂材料よりなる被覆層8が形成さ
れている。 【効果】 金属中の有毒物質の溶出を防止し、安全性が
向上する。また、容易に弾性率等の物理的性質の適正化
を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体の骨関節を代替す
る人工関節に関する。
【0002】
【従来の技術】人体内の骨関節の変形や欠損を人工関節
を用いて代替えする治療は、整形外科等で広く行なわれ
ている。例えば、大腿骨骨頭壊死に対し、壊死した骨頭
を除去した後、人工関節を補綴し、関節機能を回復させ
ることが頻繁に行なわれている。
【0003】すなわち、この治療では、骨頭およびステ
ム部を有する人工関節のステム部を大腿骨の骨髄腔に埋
入して固定すると共に、カップ(ソケット)を腰骨に固
定し、該カップの凹部に骨頭を嵌合してこれらを回動自
在に連結する。このような人工関節には、機械的強度、
弾性(靱性)、耐久性、生体内での安定性(体液に対す
る腐食、劣化等がないこと)、生体親和性(造骨促進作
用等の周辺組織との適合性)、安全性(毒性、分解性等
がないこと)、加工性等の特性が要求されている。
【0004】しかしながら、これら全ての特性を満足す
る材料は未だ発見されておらず、現在では、人工関節の
構成材料として、ステンレス鋼、コバルト−クロム合
金、チタン、チタン合金等の金属、またはアルミナ等の
セラミックスが用いられている。
【0005】ところで、金属製の人工関節は、生体骨に
比べ曲げ弾性率著しく大きい。すなわち、ヒト皮質骨の
曲げ弾性率は、約16GPa であり、人工関節に用いられ
ているステンレス鋼(SUS316L)、Co−Cr合
金、Ti−6%Al−4%V合金の曲げ弾性率は、それ
ぞれ、200、213、124GPa であり、骨の8〜1
3倍である。
【0006】また、金属製の人工関節は、重量が重く、
患者の負担(または負担感)が大きいという欠点があ
る。さらに、ニッケルやバナジウムは、生体にとって有
毒であり、発癌性があることも報告されているが、上記
金属製の人工関節では、このような有毒物質の溶出がわ
ずかながら生じることがある。
【0007】人工関節とこれを埋入する生体骨との間に
は、例えば体重や歩行等の運動により荷重、特に繰り返
し荷重が加わるが、金属製の人工関節では、上述のよう
に、曲げ弾性率が高いため、前記荷重により曲げ、ねじ
れ、たわみが生じると、局所的に応力が集中し、この集
中部分において骨が破壊されることがある。また、前記
荷重が人工関節のステム部から生体骨に伝達される部分
では骨の増生(造骨作用)が見られるが、前記応力集中
部以外の荷重が加わらない部分では、骨への刺激がなく
なるため、逆に骨組織の吸収が起こり、骨量が減少して
人工関節の生体骨への固定に緩みが生じることが報告さ
れている。
【0008】このような状況下で、上記有毒物質の溶出
がなく、しかも、人工関節の曲げ弾性率を生体骨のそれ
に適合させうる方法として、エンジニアリングプラスチ
ックスを用いて人工関節のステム部を作製することが提
案されている(米国特許第4902297号)。しかし
ながら、エンジニアリングプラスチックスは、それ自
体、強度、特に引張り応力、圧縮応力に対する強度が不
足するため、単独で用いるには適さない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、有毒
物質の溶出を防止するとともに、容易に弾性率等の物理
的性質の適正化を図ることができる人工関節を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(8)の本発明により達成される。
【0011】(1) 頭部と、これに続く金属製のネッ
ク部と、これに続く金属製のステム部とで構成された人
工関節において、少なくとも前記ネック部および前記ス
テム部の外表面に、生体用樹脂材料よりなる被覆層を設
けたことを特徴とする人工関節。
【0012】(2) 前記被覆層の厚さは、0.05〜
3mmである上記(1)に記載の人工関節。
【0013】(3) 前記生体用樹脂材料は、ポリエー
テルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリル
エーテルケトン、ポリフェニレンサルフィド、ポリサル
フォンよりなる群から選ばれた少なくとも一種である上
記(1)ないし(3)のいずれかに記載の人工関節。
【0014】(4) 前記ネック部および前記ステム部
の外表面に、組成の異なる2層以上の被覆層を有する上
記(1)ないし(3)のいずれかに記載の人工関節。
【0015】(5) 前記被覆層内に繊維が埋設されて
いる上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の人工関
節。
【0016】(6) 前記繊維は、被覆層の厚さ方向の
露出表面側に偏在している上記(5)に記載の人工関
節。
【0017】(7) 前記ネック部および前記ステム部
の外表面に、微小な凹凸が形成されている上記(1)な
いし(6)のいずれかに記載の人工関節。
【0018】(8) 前記ステム部は、ステンレス鋼、
コバルト−クロム合金、チタンまたはチタン合金で構成
されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の
人工関節。
【0019】
【発明の構成】以下、本発明の人工関節を添付図面に示
す好適実施例に基づいて詳細に説明する。図1は、本発
明の人工関節の構成例を示す正面図、図2は、図1中の
A−A線での断面図である。図1に示すように、人工関
節(人工骨頭)1は、頭部2と、これに続く金属製のネ
ック部3と、これに続く金属製のステム部4とで構成さ
れている。
【0020】頭部2は、例えば球状のような湾曲面を有
する部材であり、この頭部2は、図示しないカップ(ソ
ケット)の凹部に嵌合してこれらが回動自在に連結され
る。頭部2の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼
(例えば、SUS316、SUS316L)、コバルト
−クロム合金、チタン、チタン合金(例えばTi−6%
Al−4%V)等の耐食性に優れる金属、合金、また
は、例えばアルミナ、ジルコニア、ヒドロキシアパタイ
ト等のセラミックスを用いることができる。
【0021】また、頭部2は、中空でも中実でもよい。
ネック部3は、前記頭部2と例えば燒結、ネジ止め、テ
ーパ嵌合、接着等により連結されている。また、ネック
部3と頭部2とが一体的に成形されていてもよい。ステ
ム部4は、骨髄腔に埋入されて固定される部分であり、
好ましくは前記ネック部3と一体的に形成されている。
このステム部4は、ネック部3側のステム基部5とステ
ム先端部6とで構成されている。
【0022】主に、ステム基部5の外周と骨髄腔(特
に、リーミングにより拡大されて骨髄腔)とが密着する
ため、ステム基部5はネック部3やステム先端部6より
太くなっており、その形状は、埋入する骨髄腔の形状と
一致するように成形されている。また、ステム先端部6
は、骨髄腔の奥部まで挿入されるため、先細りの形状を
なしている。
【0023】図示のように、ステム先端部6の軸線は、
ネック部3の軸線に対し、例えば15〜35度程度傾斜
している。ネック部3およびステム部4の構成材料とし
ては、例えばステンレス鋼(例えば、SUS316、S
US316L)、コバルト−クロム合金、チタン、チタ
ン合金(例えばTi−6%Al−4%V)等の耐食性に
優れる金属を用いることができるが、そのなかでも特
に、生体内の腐食環境における安定性に優れること、加
工工程における強度劣化が少ないこと等の点で、ステン
レス鋼、チタンまたはチタン合金が好ましい。
【0024】なお、図示の構成では、ネック部3および
ステム部4は中実であるが、これらは中空、すなわち内
部に空隙を有するものであってももよい。図2に示すよ
うに、ネック部3およびステム部4の金属製芯材7の外
周面71は、後述する生体用樹脂材料よりなる被覆層8
で覆われている。このような被覆層8を設けることによ
り、ネック部3およびステム部4を構成する上記金属か
らの有毒な金属成分(ニッケル、バナジウム等)の溶出
を防止することができ、安全性が一段と向上する。
【0025】また、ネック部3およびステム部4を金属
のみで構成する場合には、弾性率が高く、前述したよう
な骨の破壊や吸収が生じ易いが、本発明のように、金属
製芯材7の外表面71に生体用樹脂材料による被覆層8
を設けることにより、人工関節1の弾性率を低くするこ
とができ、特に、被覆層8の材料の選択や厚さの設定に
より、弾性率を容易に調整することができる。
【0026】さらに、生体用樹脂材料は、金属に比べ軟
質であるため、骨髄腔に埋入した際に、被覆層8が骨組
織と金属製芯材7との間の緩衝作用を生じ、骨組織への
ダメージが大幅に減少する。また、生体用樹脂材料は、
金属に比べ加工性に優れるため、人工関節1の輪郭形状
を容易に調整することができ、特に、微妙な凹凸形状の
形成や表面研磨等も容易に行うことができる。
【0027】被覆層8を構成する生体用樹脂材料とは、
生体内において安定であり、すなわち分解、変質、劣化
等を生じず、かつ生体にとって有害な溶出物を生じるこ
とがない樹脂材料であり、例えば、ポリエーテルケト
ン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルエーテル
ケトンのようなケトン系樹脂や、ポリフェニレンサルフ
ィド、ポリサルフォン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
本発明では、これらのうちの1種または2種以上を任意
に組み合せて用いることができる。
【0028】ポリエーテルケトンとしては、例えば、下
記化1に示すようなものが挙げられる。
【0029】
【化1】
【0030】ポリエーテルエーテルケトンとしては、例
えば、下記化2、化3に示すようなものが挙げられる。
【0031】
【化2】
【0032】
【化3】
【0033】ポリフェニレンサルフィドとしては、例え
ば、下記化4に示すようなものが挙げられる。
【0034】
【化4】
【0035】ポリサルフォンとしては、例えば、下記化
5に示すようなものが挙げられる。
【0036】
【化5】
【0037】このような生体用樹脂材料中には、例え
ば、安定剤、強化材のような各種添加剤を添加すること
もできるが、有毒物質の遮断性を向上するためには、こ
のような添加剤を含まないかまたは添加量ができるだけ
少ない方がよい。本発明では、人工関節1の外表面を構
成する被覆層8に、このような生体用樹脂材料が用いら
れているため、人工関節1の生体適合性、生体内安定性
が向上する。
【0038】被覆層8の厚さtは、0.05〜3mm程度
が好ましく、0.1〜1mm程度がより好ましい。この厚
さtが0.05mm未満では、上述したような被覆層8の
機能、特に有毒物質の溶出防止機能が十分に発揮され
ず、また、被覆層8が欠損または剥離し易くなり、ま
た、厚さtが3mmを超えると、樹脂のクリープ変形によ
るステム形状の変形が生じ、ステム部4を骨組織に固定
した際のゆるみや回転を生じる原因となるからである。
【0039】なお、後述する複数の被覆層が積層された
場合には、その合計の厚さが前記値となるようにするの
が好ましい。また、このような被覆層8の形成は、頭部
2の外表面に対しても行うことができる。頭部2がニッ
ケルやバナジウムのような有毒物質を含む金属で構成さ
れている場合には、頭部2を被覆層で覆うことは安全性
向上にとって有効である。
【0040】被覆層8の厚さは、全体にわたって均一で
あってもよいが、目的に応じ厚さが異なっていてもよ
い。例えば、前述したように、ステム基部5は骨髄腔と
密着する部分であるため、骨組織と適合するように弾性
率を調整(低下)する必要性が高く、よってこの部分は
他所より被覆層8の厚さを厚くするのが好ましい。ま
た、被覆層8内には、種々の目的(例えば、補強、被覆
層の密着性向上)で、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、
アラミド繊維、ボロン繊維または金属繊維のような繊維
を埋設することができる。
【0041】本発明では、被覆層8の金属製芯材7の外
表面71への密着性(結合性)を向上するために、外表
面71に微小な凹凸を設けるか、または外表面71付近
を多孔質とするのが好ましい。このような外表面71の
性状を表面粗さで規定するならば、例えば、十点平均粗
さRZ (JIS B 0601)が5〜1000μm 程度が好まし
く、より好ましくは、5〜500μm 程度、さらに好ま
しくは、10〜100μm 程度である。外表面71の表
面性状をこのようにすることにより、アンカー効果が有
効に発揮され、被覆層8の欠損や剥離が防止される。特
に、人工関節1に圧縮、引っ張り、曲げ、ねじれ等が繰
り返し付与された場合でも、被覆層8の剥離等が生じ
ず、優れた耐久性を発揮する。
【0042】なお、このような外表面71の性状の調整
は、例えば、成型金型内面への凹凸の形成、外表面71
への研磨加工、ショットブラスト、酸洗等の薬品処理、
電解処理、ビーズ燒結、多孔質傾斜材料の接合等により
行うことができる。また、金属製芯材7の外表面71
に、溝、特に、芯材7の長手方向に沿って形成された溝
を設けることもでき、この場合でも前記と同様被覆層8
の密着性向上を図ることができ、特に、ステム部4にね
じれ(回転力)が作用したときでも被覆層8の剥離や損
傷を有効に防止することができる。このような溝は、金
属製芯材7の全周にわたってほぼ均一に形成されている
のが好ましく、溝の本数は、例えば10〜100本程度
とされる。
【0043】また、溝の寸法は特に限定されないが、例
えば、溝の深さが0.2〜1mm程度、溝の幅が0.2〜
1mm程度とされる。なお、溝の幅は、溝の底部に比べ外
表面71付近の開口部が大きいのが好ましい。これによ
り、前述したねじれに対する被覆層8の剥離防止等の機
能がより一層有効に発揮される。ただし、外表面71付
近付近の溝の幅が底部付近に比べ極端に狭いと、逆に溝
内の樹脂が被覆層8と分離しやすくなり好ましくない。
従って、溝の内側面の傾斜角度がステム部4の半径方向
に対し15°以内とするのが好ましい。
【0044】図3は、本発明の人工関節の他の構成例を
示す横断面図である。同図に示す人工関節は、組成の異
なる2層以上の被覆層を有するものである。すなわち、
芯材7の外表面71に被覆層9が形成され、さらにその
外表面に被覆層10が形成されており、これらの被覆層
9および10を構成する生体用樹脂材料の組成が異なっ
ている。このように、組成の異なる複数の被覆層を組み
合わせて用いることにより、各被覆層の利点を併有する
ことができる。その一例として、内側の被覆層9は、外
表面71との密着性が特に優れる材料で構成し、外側の
被覆層10は、生体適合性や骨組織との親和性が特に優
れる材料で構成したものが挙げられる。
【0045】なお、組成の異なる生体用樹脂材料とは、
前記で例示した樹脂のうち種類が異なるものを用いる場
合の他、同種の樹脂に対し、配合する添加剤の種類また
は配合量を変えたもの等でもよい。例えば、有毒物質の
遮断性および外表面71への密着性に優れる被覆層9
と、骨組織との親和性が優れる被覆層10とを得る場
合、被覆層9を構成する樹脂には添加剤を添加せず、被
覆層10を構成する樹脂には、例えばリン酸3カルシウ
ム、CaO、P25含有ガラス、ヒドロキシアパタイ
トのような物質を添加する。
【0046】なお、複数の被覆層を組み合わせる目的
は、上記に限らず、例えば、組成の異なる複数の被覆層
の積層によって、芯材7からの有毒物質の遮断性を向上
すること、外側の被覆層10を内側の被覆層9の保護層
として機能させること、人工関節の弾性率や強度をより
適正に調整すること等であってもよい。また、各被覆層
9、10の厚さは、それらの組成、形成目的等に応じ、
適宜決定すればよい。
【0047】このような複数の被覆層を積層する場合、
それらの境界面は、必ずしも明確でなくてもよく、隣接
する被覆層の境界部付近において、組成や添加物の濃度
(密度)に勾配があるような構成であってもよい。一例
として、内側の被覆層9が上述したような生体用樹脂材
料で構成され、外側の被覆層10が同様の生体用樹脂材
料にガラス繊維を埋設したもので構成され、これら両被
覆層9、10が溶融接合され一体化されたものが挙げら
れる。すなわち、このものは、1つの被覆層内に繊維が
埋設され、しかもその繊維は、被覆層の厚さ方向の露出
表面側(外表面71と反対側)に偏在しているものとす
ることもできる。
【0048】また、本発明では、人工関節1の一部分に
複数の被覆層が形成されていてもよい。例えば、ネック
部3およびステム部4の外表面には複数の被覆層が積層
して形成され、頭部3の外表面には1層の被覆層が形成
されている構成、または、ステム部4の外表面には複数
の被覆層が積層して形成され、ネック部3の外表面には
1層の被覆層が形成され、頭部3の外表面には被覆層が
形成されていない構成が挙げられる。
【0049】以下、本発明の人工関節1の製造方法の好
適例について説明する。まず、原料となる金属粉末(例
えば、粒径50〜200μm 程度)と、バインダー(例
えば、アルギン酸アンモニウ溶液)とを混練してコンパ
ウンド(例えば、粘度1200〜2500cP)を作製す
る。
【0050】次に、所定の成形型内に前記コンパウンド
を充填して粉体焼結を行ない、金属燒結体よりなる芯材
7を得る。この芯材7は、頭部2、ネック部3およびス
テム部4の一体成形物であるのが好ましい。この場合、
粉体焼結の条件は、例えば、真空中(10-5torr)で、
700〜1300℃、240〜360分間程度である。
【0051】必要に応じ、芯材7の被覆層8を形成する
部分、例えばネック部3およびステム部4の外表面71
に、例えばやすりや砥石による研磨加工を施して、表面
性状を上述のように調整する。次に、被覆層8を形成す
る。ネック部3およびステム部4の外表面71に被覆層
8を形成する場合、上記のようにして得られた芯材7の
ネック部3およびステム部4を射出成形金型内に固定
し、この金型内に被覆層8を構成する溶融樹脂を注入、
固化して、インサート成形を行なう。これにより、芯材
7のネック部3およびステム部4の外表面71に被覆層
8が形成された人工関節1が得られる。
【0052】図3に示すような複数の被覆層9、10を
形成する場合には、インサート成形を2度行う。なお、
被覆層8、9、10の形成は、コーティングやディッピ
ングにより行なってもよい。なお、上記粉体燒結法によ
りネック部3およびステム部4のみからなる芯材7を製
造し、次いでこの芯材7の外表面71に被覆層を形成
し、これと別途製造された頭部2とを連結して本発明の
人工関節としてもよい。
【0053】以上、本発明の人工関節を図示の構成例に
基いて説明したが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。なお、本発明は、上記人工骨頭に限らず、例え
ば、人工膝関節、人工肩関節、人工指関節、人工肘関節
あるいは人工股関節や寛骨に埋入される臼蓋カップの一
部、人工骨、副木、その他骨接合用品等にも適用するこ
ともできる。
【0054】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0055】(実施例1)以下の方法により、股関節用
人工関節(人工骨頭)を製造した。
【0056】[1]ネック部およびステム部の製造 まず、原料となるステンレス粉末(平均粒径30〜50
μm )と、バインダーとしてアルギン酸アンモニウム1
%水溶液とを混練し、粘度2000cPのコンパウンド
(スラリー状)を作製した。
【0057】次に、金型内に前記コンパウンドを充填し
た。このとき、外表面に微小な凹凸が形成されるよう
に、金型内面にスチレンビーズ(平均粒径20μm )を
配置しておいた。この状態で粉体焼結を行い、ステンレ
ス製のネック部およびステム部の一体成形物(芯材)を
得た。このときの粉体焼結の条件は、真空中(10-5to
rr)で、1250℃、80分であった。
【0058】なお、芯材外表面の表面粗さRZ は、15
μm であった。次に、得られた芯材を射出成形金型内に
固定し、この金型内に上記化3に示すポリエーテルエー
テルケトン(三井東圧社製)を注入、固化して、インサ
ート成形を行い、ネック部およびステム部の外表面に被
覆層8が形成されたネック部およびステム部の一体性形
物を得た。
【0059】[2]頭部の製造 アルミナの球状燒結体に切削、研削加工を施して、ほぼ
球形の頭部(骨頭)を製造した。なお、この頭部には、
テーパ嵌合用の嵌合孔をも形成した。
【0060】[3]組み立て 前記[1]で得られた一体成形物のネック部を頭部の嵌
合孔にテーパ嵌合し、その後、人工関節の表面を研磨し
て、図1および図2に示す本発明の人工関節を得た。こ
の人工関節の寸法等は、次の通りである。
【0061】頭部直径:38mm ステム部全長:120mm ステム基部の長径:40mm ステム基部の短径:25mm ステム先端部の外径:12mm 被覆層の厚さ:平均1mm
【0062】(実施例2)被覆層8を構成する生体用樹
脂材料として上記化5に示すポリサルフォンを用いた以
外は実施例1と同様にして、図1および図2に示す本発
明の人工関節を製造した。なお、この人工関節の寸法
は、実施例1と同様である。
【0063】(実施例3)インサート成形を2度行い、
上記化3に示すポリエーテルエーテルケトンによる内側
の被覆層9と、このポリエーテルエーテルケトンにヒド
ロキシアパタイトを40wt%添加してなる外側の被覆層
10とを形成した以外は実施例1と同様にして、図3に
示す本発明の人工関節を製造した。なお、この人工関節
において、被覆層9の厚さは平均0.5mm、被覆層10
の厚さは平均0.8mmであり、その他の寸法は、実施例
1と同様である。
【0064】(比較例)ネック部およびステム部の外表
面に被覆層を形成しない以外は実施例1と同様にして、
人工関節を製造した。なお、この人工関節の寸法は、実
施例1と同様である。
【0065】[実験1]上記実施例1〜3および比較例
の各人工関節を、1N硫酸−0.9%Nacl溶液(8
0℃)中に10日間浸積し、液中に溶出した鉄イオン濃
度を測定した。その結果、実施例1〜3の人工関節で
は、いずれも鉄イオンは全く検出されなかった(検出限
界以下)が、比較例の人工関節では、200ppb の鉄イ
オンが検出された。
【0066】[実験2]上記実施例1〜3および比較例
の各人工関節を、頭部を上方にして、頭部の中心とステ
ム部の先端とを結ぶ線(ネック部の軸線と約25度傾
斜)が鉛直方向となるように固定し、頭部に対し、鉛直
方向下方に500kgf の荷重を負荷し、荷重負荷による
頭部の変位量を測定した。
【0067】その結果は、比較例の人工関節における変
位量を1としたとき、本発明の実施例1、2および3に
おける変位量は、それぞれ、1.3、1.3および1.
4であった。このことから、実施例1〜3の本発明の人
工関節は、いずれも生体骨の曲げ弾性率に近づき、生体
骨への応力伝達がより広い領域に対し均一に行なわれる
ことが確認された。
【0068】なお、ネック部およびステム部の一体成形
物の芯材材質を、それぞれ、Co−Cr合金、Ti−6
%Al−4%V合金に代えて、上記実施例1〜3および
比較例の人工関節と同様の人工関節を製造し、同様の実
験1および2を行なったところ、やはり同様の結果が得
られた。
【0069】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の人工関節に
よれば、生体用樹脂材料よりなる被覆層を設けたことに
より、金属からの有毒物質の溶出を防止することがで
き、安全性が向上する。さらに、本発明の人工関節は、
生体適合性、生体内安定性にも優れている。
【0070】また、被覆層の条件により、人工関節の弾
性率等の物理的性質を適正に調整することが容易に可能
であり、その結果、荷重の集中による骨の破壊や、荷重
がかからないことによる骨組織の吸収が抑制され、骨髄
腔への埋入、固定をより強固で確実なものとすることが
できる。また、人工関節の軽量化により、患者の負担を
軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の人工関節の構成例を示す正面図であ
る。
【図2】図1中のA−A線での断面図である。
【図3】本発明の人工関節の他の構成例を示す横断面図
である。
【符号の説明】
1 人工関節 2 頭部 3 ネック部 4 ステム部 5 ステム基部 6 ステム先端部 7 金属製芯材 71 外表面 8、9、10 被覆層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松永 昇 東京都八王子市狭間町1463番地 蛇の目ミ シン工業株式会社内 (72)発明者 畔柳 和好 東京都八王子市狭間町1463番地 蛇の目ミ シン工業株式会社内 (72)発明者 曽我石 一郎 東京都八王子市狭間町1463番地 蛇の目ミ シン工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 頭部と、これに続く金属製のネック部
    と、これに続く金属製のステム部とで構成された人工関
    節において、 少なくとも前記ネック部および前記ステム部の外表面
    に、生体用樹脂材料よりなる被覆層を設けたことを特徴
    とする人工関節。
  2. 【請求項2】 前記被覆層の厚さは、0.05〜3mmで
    ある請求項1に記載の人工関節。
  3. 【請求項3】 前記生体用樹脂材料は、ポリエーテルケ
    トン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルエーテ
    ルケトン、ポリフェニレンサルフィド、ポリサルフォン
    よりなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項1
    ないし3のいずれかに記載の人工関節。
  4. 【請求項4】 前記ネック部および前記ステム部の外表
    面に、組成の異なる2層以上の被覆層を有する請求項1
    ないし3のいずれかに記載の人工関節。
  5. 【請求項5】 前記ネック部および前記ステム部の外表
    面に、微小な凹凸が形成されている請求項1ないし4の
    いずれかに記載の人工関節。
  6. 【請求項6】 前記ステム部は、ステンレス鋼、コバル
    ト−クロム合金、チタンまたはチタン合金で構成されて
    いる請求項1ないし5のいずれかに記載の人工関節。
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