JPH05137595A - 選択的細菌培養検査片 - Google Patents

選択的細菌培養検査片

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JPH05137595A
JPH05137595A JP30084691A JP30084691A JPH05137595A JP H05137595 A JPH05137595 A JP H05137595A JP 30084691 A JP30084691 A JP 30084691A JP 30084691 A JP30084691 A JP 30084691A JP H05137595 A JPH05137595 A JP H05137595A
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bacterial
selective
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bacterium
culture
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Kazuyuki Sugawara
和行 菅原
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 この発明の選択的細菌培養検査片は、対象菌
種もしくは菌群に対する発育促進剤、菌が産生する酵素
に対する基質、菌が産生する酵素に対する阻害剤、菌の
代謝産物と反応し対象菌種もしくは菌群の特徴的な集落
を発現する物質、培養培地中に添加または存在する発育
阻害剤もしくは発育抑制剤を分解、吸着、不活化する物
質、細菌、酵母、カビ、動植物細胞などの培養液、のう
ち少なくとも一種以上を保持させ、乾燥させたものとし
ている。 【効果】 この発明の選択的細菌培養検査片は、対象菌
種もしくは菌群の特徴的な集落を発現させるための薬剤
を、不安定なものから安定なものまで、制約なく使用可
能にすることができる。また、選択剤の力価を落とすこ
となく長期保存に耐え、かつ必要時に必要数のみを即使
用できるため、使用が容易で経済的浪費がないものとな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、人および動植物由来
材料の細菌検査、食料品細菌検査、環境細菌検査(建築
物およびそれに付帯する備品もしくは器具類、大気な
ど)、土壌細菌検査など多種類の細菌が混在している検
体の中から、多くの対象細菌種もしくは細菌群を、直接
選択的に培養検査できる検査片に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、選択的細菌培養検査法は、対象と
する菌種および菌群以外の発育を抑制する抗菌剤を用い
た選択剤を、寒天などのゲル化培地もしくは液体培地中
に添加し、シャレーなどの容器に充填し選択培地を作成
している。この際、選択剤は、使用時に秤量調整する
か、もしくは既成の乾燥品を溶解し、調整している。
【0003】前記選択培地の実例としては、以下のよう
なものを例示することができる。 淋菌性尿道炎における淋菌の検出には、改良サイヤー
マーチンチョコレート寒天培地が用いられ、これは、選
択剤としてチョコレート寒天培地 1000 ml中に抗菌剤
のバンコマイシン3.0 mg、コリスチン7.5 mg、ナイ
スタチン 12,000 単位を添加溶解し選択培地を作成して
いる。
【0004】臨床材料からグラム陽性菌群を選択的に
検出培養する目的に用いられるコロンビアCNA5%血
液寒天培地は、コロンビア5%羊血液寒天培地1000 m
l中に選択剤として抗菌剤のコリスチン10mg、ナリジ
ク酸10mgを添加溶解し選択培地を作成している 。 グラム陰性の嫌気性菌の選択培地としての(KV加)
嫌気性菌用血液寒天培地は、嫌気性菌用血液寒天培地 1
000 ml 中にカナマイシン100 mg、バンコマイシン7.
5 mgを加えたものとしている。
【0005】これらの選択培地上に、被験材料を塗布
し、通気もしくは非通気状態など対象菌群の嗜好する環
境下で至適温度条件を設定し培養する。そして、培地上
に形成した集落を肉眼的に観察し、経験的知識をもっ
て、集落の特性を判別し、対象菌種もしくは菌群株を検
出する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記選
択剤は、すべて寒天培地中に添加後、数週間もしくは
2、3カ月間以上は一定の抗菌力を保持し安定でなくて
は使用に耐えない。従って、選択性および増殖性に優れ
た試薬であっても、培地に添加後、活性が不安定なもの
は寒天培地基材としての添加は不可能である。
【0007】一般的に、対象菌のみを選択的に発育させ
る選択剤を溶解添加した培地は、作成後経日的に選択剤
の力価が低下し、選択性の機能が低下するため有効期限
が短い。従って、使用者側からは使用頻度にむらがある
ため、使用前に有効期限が切れ破棄することが多いなど
経済的損失も大きかった。さらに、生産上からは、選択
培地は生産量は少ないが種類が多いうえに選択性が強い
ため、生産ラインの選択剤による汚染を考慮し、ライン
の一元化ができず、多種の生産ラインを使わなくてはな
らない。
【0008】また、臨床材料、食料品中、病院内もしく
は居住環境調査など検出菌が未知な材料においては、多
種多様の菌種が混在して発育するため、培養後に形成さ
れた集落の鑑別は困難である。また、培養法では予測で
きない菌種が検出される可能性があるため、多くの選択
培地を使用しなければ対象とする菌群、菌種を培養検出
することはできない。
【0009】さらに、形成した集落の異種性を識別なく
しては検出できない。選択剤を用いた選択的培養を施し
ても特異的ではなく、集落の判別は必要である。しか
し、この技術は経験的知識に基づく外観上からの肉眼的
な判別法であるため、外観上類似した異なる菌種の集落
は鑑別できず検出されない事も多々ある。また、培地の
中にこれら集落の特徴を発現される様に対象菌種もし
くは菌群に対する発育促進剤、菌が産生する酵素に対
する基質、菌が産生する酵素に対する阻害剤、菌の
代謝産物と反応し対象菌群もしくは菌種の集落を特徴的
に発現する物質を添加したくても、これらの薬剤の安定
性上からの問題で、使用可能なものはわずかな種類に限
定され制約があった。
【0010】従来、抗菌剤のみで構成された選択剤をバ
イアル内に凍結乾燥したものは存在するが、このものは
計量なしに即使用できると言う操作上のメリット以外は
前述の欠点を補うものではない。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
記従来の課題を解決するためになされたものであり、請
求項1記載の発明の選択的細菌培養検査片は、対象菌種
もしくは菌群に対する発育促進剤、菌が産生する酵素に
対する基質、菌が産生する酵素に対する阻害剤、菌の代
謝産物と反応し対象菌種もしくは菌群の特徴的な集落を
発現する物質、培養培地中に添加または存在する発育阻
害剤もしくは発育抑制剤を分解、吸着、不活化する物
質、細菌、酵母、カビ、動植物細胞などの培養液、のう
ち少なくとも一種以上を含浸させ、乾燥させたものとし
ている。
【0012】請求項2記載の発明の選択的細菌培養検査
片は、非対象菌種もしくは菌群に対し発育抑制作用を示
す抗菌剤、または対象菌種もしくは菌群に対し発育抑制
作用を示す抗菌剤を少なくとも一種以上用いた選択剤を
ベースに、対象菌種もしくは菌群に対する発育促進剤、
菌が産生する酵素に対する基質、菌が産生する酵素に対
する阻害剤、菌の代謝産物と反応し対象菌種もしくは菌
群の特徴的な集落を発現する物質、培養培地中に添加も
しくは存在する発育阻害剤および発育抑制剤を分解、吸
着、不活化する物質、細菌、酵母、カビ、動植物細胞な
どの培養液、のうち少なくとも一種以上を含浸させ、乾
燥させたものとしている。
【0013】請求項3記載の発明の選択的細菌培養検査
片は、前記請求項1または2記載の発明において、pH
緩衝剤を混合含浸させ、乾燥させたものとしている。請
求項4記載の発明の選択的細菌培養検査片は、前記請求
項1、2、または3記載の発明において、選択的細菌培
養検査片を直径が約3〜10mmの円形状、一辺が約3
〜10mmの正方形状、または短辺が約3〜10mm、
長辺が約5〜50mmの長方形状としたものとしてい
る。
【0014】なお、選択的細菌培養検査片の材料として
は、ペーパーディスク、ポリサッカライドシート、セラ
ミックス片、掟剤など、長期間安定に高濃度の薬剤を含
浸保持でき、培地面に接触させると速やかに薬剤を放散
する担体およびこれらの類似物であれば、特に限定され
ることなくどのようなものであってもよい。
【0015】
【作用】この発明の選択的細菌培養検査片は、上記手段
を施したため、次のような作用を有する。先ず、細菌培
養検査を目的とする検体を任意の寒天培地上に塗布す
る。検体を塗布した寒天培地面に、この発明の選択的細
菌培養検査片を接触させ培養すると、その周辺に選択剤
の効果により選択ゾーンが形成される。また、選択的に
発育した細菌群は、細菌が産生する酵素により、含浸さ
れた基質が分解され酵素産生菌種と非産生菌種とに、外
観上の色調もしくは蛍光発光の有無により大別される。
さらに、含浸された菌代謝産質との反応性物質により直
接、もしくは培養終了後に補助検出試薬を添加すると、
菌代謝物産生菌種と非産生菌種とに外観上の色調もしく
は蛍光発光の有無により大別される。このように、細菌
の発育集落を識別することなしに外観上からのみ細菌種
が保有する特徴的な生化学的性状を加え鑑別できる。
【0016】また、例えば、直径が約3〜10mmの円
形状のこの発明の選択的細菌培養検査片では、培養後の
選択ゾーンが直径約10〜40mmとなるから、通常使
用されている細菌培養用の直径9cm前後のシャーレで
は、4〜6枚のディスクを設置できるため、4〜6菌種
以上の分析ができるというように、一度に多菌種の分析
が一枚の培地で同時にできる。一例として、呼吸器感染
症における主要な起炎菌で、検出率が高くかつ検出が困
難な、ヘモフィルスインフルエンザ、肺炎双球菌、A群
溶連菌、ブランハメラカタラリス、ムコイド型縁膿菌な
どの確実な検出が一枚の培地上でできる。
【0017】
【実施例】以下、この発明の選択的細菌培養検査片を実
施例に基づいて、詳細に説明する。先ず、この発明の選
択的細菌培養検査片を作成するために、次の(1)〜
(7)の欄に記載した試薬を調製した。 (1)選択剤液として、次に示すa〜zを調製した。 a:改良サイヤーマーチン液 バンコマイシン(テイコプラニンなどのポリペプタイド
系抗菌剤)0.4 μg、コリスチン 0.75 mg、ナイスタ
チン 1,250単位、トリメトプリム 0.65 mgを20mMA
CES緩衝液pH7.0 、1.0 mlに溶解し濾過滅菌す
る。濾過滅菌後、ディスク当たり 20 μl 相当量を含浸
させる。 b:スキローの選択剤 バンコマイシン 1.5mg、ポリミキシンB 3,650単位、
トリメトプリム 0.75 mgを20mMACES緩衝液pH
7.0 、1.0 mlに溶解し濾過滅菌する。濾過滅菌後、デ
ィスク当たり 20 μl 相当量を含浸させる。 c:ナリジクス酸、コリスチン液 d:カナマイシン、バンコマイシン(テイコプラニンな
どのポリペプタイド系抗菌剤)液 e:ゲンタマイシン、アズスレオナム(モノバクタム系
抗菌剤)液 f:バンコマイシン(テイコプラニンなどのポリペプタ
イド系抗菌剤)液 g:バンコマイシン(テイコプラニンなどのポリペプタ
イド系抗菌剤)、バシトラシン液 h:カナマイシン液 i:メトロニタゾール液 j:エチルハイドロカプリン−ハイドロコロライド(オ
プトヒン)液 k:サルファフラゾール液 l:メトロニタゾール、ゲンタマイシン液 m:アクリフラビンハイドロクロライド、ポリミキシン
B、ナリジクス酸液 n:シクロヘキシミド、コリスチンサルフェイト、アク
リフラビン、セフォテタン、フォスフォマイシン液 o:ゲンタマイシン、ナリジクス酸、アンホテリシンB
液 p:カナマイシン、ポリミキシンB液 q:セフスロジン、イルガサン、ノボビオシン液 r:シクロヘキシド、クロラムフェニコール液 s:ナリジクス酸、アクリフラビンハイドロクロライド
液 t:ペニシリン液 u:クロラムフェニコール液 v:ネオマイシン液 w:ナリジクス酸、コリスチンサルフェイト液 x:コリスチンサルフェイト、オキソリック酸液 y:ポリミキシンB、バシトラシン、シクロヘキシミ
ド、ナリジクス酸、ナイスタチン、バンコマイシン液 z:セトリマイド、フシジン、セファロリジン液 (2)発育促進剤液として、次に示すa〜gを調製し
た。 a:β−ニコチンアミド−アデニン−ジヌクレオチド
(β−NAD)液 b:N−アセチルシスチンなどの還元剤液 c:硫酸マグネシウムなどの無機イオン液 d:グルタミン酸ナトリウムなどのアミノ酸液 e:ビタミンK1 などの各種ビタミン液 f:ヘミン液 g:カタラーゼなどの酵素液 (3)酵素基質液として、次に示すa〜jを調製した。 a:4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルクロノ
サイド液 b:4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピ
ラノサイド液 c:4−メチルウンベリフェリル−N−アセチル−α−
D−ニュウラミニドアンモニウム塩液 d:4−メチルウンベリフェリル−フォスフェイトなど
の4−メチルウンベリフェロン誘導体液 e:5−ブロモ−3−インドリル−β−D−ガラクトシ
ド液 f:5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D
−ガラクトピラノサイド液 g:5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−チミジ
ン−3′りん酸二ナトリウムなど3−インドール誘導体
液 h:ニトロフェニル誘導体、アミノアニリン誘導体、パ
ラニトロアニリン誘導体、ナフトール誘導体、ナフチル
アミド誘導体の各液 i:エクスリン、ぶどう糖、シュクロスの各液 j:硝酸塩液 (4)酵素阻害剤として、次に示すa、bを調製した。 a:硫酸銅などの重金属イオン b:マンノースなどの競合的阻害剤 (5)代謝産物との反応物質として、次に示すa〜cを
調製した。 a:フェノールレッド、ブロムチモールブルーなどのp
H指示薬類 b:クエン酸鉄アンモニウム c:2,3,5−トリフェニルテトラゾリウム塩酸塩 (6)発育阻害剤の分解、吸着、不活性剤として、次に
示すa、bを調製した。 a:セファロスポリナーゼ、ペニシリナーゼ b:活性炭などの物理化学的に吸着するもの (7)動植物細胞などの培養液として、次に示すa、b
を調製した。 a:肺細胞の培養液 b:黄色ブドウ球菌、酵母の培養液 上記(1)〜(7)に例示した物質を組み合わせ、ペー
パーディスクまたはペーパーストリップに含浸させ、乾
燥させることにより、この発明の選択的細菌培養片を作
成する。含浸量は、対象菌群および組み合わせる系統に
より異なる。一例を示すと、大腸菌を対象とする場合
は、80μgのバイコマイシンと、1000μgの5−
ブロモ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドと、2
000μgの硝酸塩と、25mM、pH7.2の20μ
gのACES緩衝液とをペーパーディスクに含浸させ、
乾燥させる。
【0018】次に、上記(1)〜(7)に例示した物質
を組み合わせ、ペーパーディスクまたはペーパーストリ
ップに含浸させ、乾燥させることにより作成した、この
発明の選択的細菌培養片を用いた細菌培養検査法につい
て説明する。先ず、小児下痢症の原因菌であるキャンピ
ロバクターの便培養に使用する場合は、通常頻用してい
る非選択性の血液寒天培地もしくはチョコレート寒天培
地に便を塗布し、スキローの選択剤を含むこの発明の選
択的細菌培養片を、前記塗布面上に単に接触するように
載せ、そのまま常法により微好気培養するだけでよい。
また、この場合の応用例として、スキローの選択剤に加
えナリジクス酸30μgを含ませたものと含ませないも
のを同時に併用すると、菌分離と共に感染菌種の推定が
可能となる。
【0019】また、性病の原因菌の一種である淋菌の培
養検出も同様に、血液寒天培地もしくはチョコレート寒
天培地に尿道分泌物、尿などの被検体を塗布し、塗布面
に接触するように改良サイヤーマーチン選択剤を含むこ
の発明の選択的細菌培養片を載せ、そのまま常法通りに
培養すると、淋菌はその周辺を含めた全体で発育する
が、他の菌種は周辺には発育しない。
【0020】通常、呼吸器系感染症の重要な起炎菌であ
るヘモフィルス属が発育しない羊血液寒天培地に検体を
塗布した後、塗布面と接するようにニコチン酸アミド、
NAD、グルタミン酸ナトリウムなどの発育促進剤を含
むこの発明の選択的細菌培養片を載せ、通常の培養を行
うと周辺のみに発育帯が見られる。さらに、呼吸器系材
料およびその他の材料において、バンコマイシンを含む
この発明の選択的細菌培養片でグラム陽性菌群を抑制
し、バンコマイシンとバシトラシンを含むこの発明の選
択的細菌培養片でグラム陽性菌群とナイセリア属を抑制
し、ナリジクス酸を含むこの発明の選択的細菌培養片で
グラム陰性菌を抑制することにより、被検材料に混在す
る菌種を確実に検出可能とする。また、ゲンタマイシン
とアズスレオナムなどのモノバクタム系抗菌剤を含むこ
の発明の選択的細菌培養片で好気性グラム陰性菌群の発
育を抑制し、嫌気性菌群の検出を高めることができる。
【0021】
【発明の効果】この発明の選択的細菌培養検査片は、以
上に述べたように構成されているので、対象菌種もしく
は菌群の特徴的な集落を発現させるための薬剤を、不安
定なものから安定なものまで、制約なく使用可能にする
ことができる。また、選択剤の力価を落とすことなく長
期保存に耐え、かつ必要時に必要数のみを即使用できる
ため、使用が容易で経済的浪費がないものとなる。
【0022】さらに、この発明の選択的細菌培養検査片
を使用した細菌培養検査は、一枚の培地面上に数種類の
選択剤を設置し培養できるため、一枚の培地上で複数の
選択域、菌種に特徴的な集落性状を形成し、複数の選択
培地を併用した場合と同じ効果を発揮できる。また、一
枚の培地上に複数の選択域もしくは菌種に特徴的な集落
性状域を発現するため、同一視野内で比較可能となり、
鑑別が極めて容易であり、かつ効率的である。
【0023】しかも、選択域の中に発育した集落は、こ
の発明の選択的細菌培養検査片の中に、選択剤のみなら
ず発育促進剤、酵素基質、酵素阻害剤、菌代謝産質との
反応性物質、pH緩衝剤が含まれているため、菌種に特
徴的な酵素などの生化学的性状が集落性状として発現す
るため、鑑別が容易であり分離培養後直ちに菌種推定が
可能である。
【0024】また、この発明の選択的細菌培養検査片の
使用により、培地容器の削減ができるため、プラスチッ
ク公害への対処も可能である。さらに、生産者側の立場
から見ても、個々の選択培地製造の必要性がなく、ディ
スクを設置する寒天培地のみ製造すればよいため、培地
生産ラインの一元化が可能である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年6月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 選択的細菌培養検査片
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、人および動植物由来
材料の細菌検査、食料品細菌検査、環境細菌検査(建築
物およびそれに付帯する備品もしくは器具類、大気な
ど)、土壌細菌検査など多種類の細菌が混在している検
体の中から、多くの対象細菌種もしくは細菌群を、直接
選択的に培養検査できる検査片に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、選択的細菌培養検査法は、対象と
する菌種および菌群以外の発育を抑制する抗菌剤を用い
た選択剤を、寒天などのゲル化培地もしくは液体培地中
に添加し、シャレーなどの容器に充填し選択培地を作成
している。この際、選択剤は、使用時に秤量調整する
か、もしくは既成の乾燥品を溶解し、調整している。
【0003】前記選択培地の実例としては、以下のよう
なものを例示することができる。 淋菌性尿道炎における淋菌の検出には、改良サイヤー
マーチンチョコレート寒天培地が用いられ、これは、選
択剤としてチョコレート寒天培地 1000 ml中に抗菌剤
のバンコマイシン3.0 mg、コリスチン7.5 mg、ナイ
スタチン 12,000 単位を添加溶解し選択培地を作成して
いる。
【0004】臨床材料からグラム陽性菌群を選択的に
検出培養する目的に用いられるコロンビアCNA5%血
液寒天培地は、コロンビア5%羊血液寒天培地1000 m
l中に選択剤として抗菌剤のコリスチン10mg、ナリジ
ク酸10mgを添加溶解し選択培地を作成している 。 グラム陰性の嫌気性菌の選択培地としての(KV加)
嫌気性菌用血液寒天培地は、嫌気性菌用血液寒天培地 1
000 ml 中にカナマイシン100 mg、バンコマイシン7.
5 mgを加えたものとしている。
【0005】これらの選択培地上に、被験材料を塗布
し、通気もしくは非通気状態など対象菌群の嗜好する環
境下で至適温度条件を設定し培養する。そして、培地上
に形成した集落を肉眼的に観察し、経験的知識をもっ
て、集落の特性を判別し、対象菌種もしくは菌群株を検
出する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記選
択剤は、すべて寒天培地中に添加後、数週間もしくは
2、3カ月間以上は一定の抗菌力を保持し安定でなくて
は使用に耐えない。従って、選択性および増殖性に優れ
た試薬であっても、培地に添加後、活性が不安定なもの
は寒天培地基材としての添加は不可能である。
【0007】一般的に、対象菌のみを選択的に発育させ
る選択剤を溶解添加した培地は、作成後経日的に選択剤
の力価が低下し、選択性の機能が低下するため有効期限
が短い。従って、使用者側からは使用頻度にむらがある
ため、使用前に有効期限が切れ破棄することが多いなど
経済的損失も大きかった。さらに、生産上からは、選択
培地は生産量は少ないが種類が多いうえに選択性が強い
ため、生産ラインの選択剤による汚染を考慮し、ライン
の一元化ができず、多種の生産ラインを使わなくてはな
らない。
【0008】また、臨床材料、食料品中、病院内もしく
は居住環境調査など検出菌が未知な材料においては、多
種多様の菌種が混在して発育するため、培養後に形成さ
れた集落の鑑別は困難である。また、培養法では予測で
きない菌種が検出される可能性があるため、多くの選択
培地を使用しなければ対象とする菌群、菌種を培養検出
することはできない。
【0009】さらに、形成した集落の異種性を識別なく
しては検出できない。選択剤を用いた選択的培養を施し
ても特異的ではなく、集落の判別は必要である。しか
し、この技術は経験的知識に基づく外観上からの肉眼的
な判別法であるため、外観上類似した異なる菌種の集落
は鑑別できず検出されない事も多々ある。また、培地の
中にこれら集落の特徴を発現される様に対象菌種もし
くは菌群に対する発育促進剤、菌が産生する酵素に対
する基質、菌が産生する酵素に対する阻害剤、菌の
代謝産物と反応し対象菌群もしくは菌種の集落を特徴的
に発現する物質を添加したくても、これらの薬剤の安定
性上からの問題で、使用可能なものはわずかな種類に限
定され制約があった。
【0010】従来、抗菌剤のみで構成された選択剤をバ
イアル内に凍結乾燥したものは存在するが、このものは
計量なしに即使用できると言う操作上のメリット以外は
前述の欠点を補うものではない。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
記従来の課題を解決するためになされたものであり、請
求項1記載の発明の選択的細菌培養検査片は、対象菌種
もしくは菌群に対する発育促進剤、菌が産生する酵素に
対する基質、菌が産生する酵素に対する阻害剤、菌の代
謝産物と反応し対象菌種もしくは菌群の特徴的な集落を
発現する物質、培養培地中に添加または存在する発育阻
害剤もしくは発育抑制剤を分解、吸着、不活化する物
質、細菌、酵母、カビ、動植物細胞などの培養液、のう
ち少なくとも一種以上を保持させ、乾燥させたものとし
ている。
【0012】請求項2記載の発明の選択的細菌培養検査
片は、非対象菌種もしくは菌群に対し発育抑制作用を示
す抗菌剤、または対象菌種もしくは菌群に対し発育抑制
作用を示す抗菌剤を少なくとも一種以上用いた選択剤を
ベースに、対象菌種もしくは菌群に対する発育促進剤、
菌が産生する酵素に対する基質、菌が産生する酵素に対
する阻害剤、菌の代謝産物と反応し対象菌種もしくは菌
群の特徴的な集落を発現する物質、培養培地中に添加も
しくは存在する発育阻害剤および発育抑制剤を分解、吸
着、不活化する物質、細菌、酵母、カビ、動植物細胞な
どの培養液、のうち少なくとも一種以上を保持させ、乾
燥させたものとしている。
【0013】請求項3記載の発明の選択的細菌培養検査
片は、前記請求項1または2記載の発明において、pH
緩衝剤を混合含浸させ、乾燥させたものとしている。請
求項4記載の発明の選択的細菌培養検査片は、前記請求
項1、2、または3記載の発明において、選択的細菌培
養検査片を直径が約3〜10mmの円形状、一辺が約3
〜10mmの正方形状、または短辺が約3〜10mm、
長辺が約5〜50mmの長方形状としたものとしてい
る。
【0014】なお、選択的細菌培養検査片の材料として
は、ペーパーディスク、ポリサッカライドシート、セラ
ミックス片、掟剤など、長期間安定に高濃度の薬剤を含
浸保持でき、培地面に接触させると速やかに薬剤を放散
する担体およびこれらの類似物であれば、特に限定され
ることなくどのようなものであってもよい。
【0015】
【作用】この発明の選択的細菌培養検査片は、上記手段
を施したため、次のような作用を有する。先ず、細菌培
養検査を目的とする検体を任意の寒天培地上に塗布す
る。検体を塗布した寒天培地面に、この発明の選択的細
菌培養検査片を接触させ培養すると、その周辺に選択剤
の効果により選択ゾーンが形成される。また、選択的に
発育した細菌群は、細菌が産生する酵素により、保持
れた基質が分解され酵素産生菌種と非産生菌種とに、外
観上の色調もしくは蛍光発光の有無により大別される。
さらに、保持された菌代謝産質との反応性物質により直
接、もしくは培養終了後に補助検出試薬を添加すると、
菌代謝物産生菌種と非産生菌種とに外観上の色調もしく
は蛍光発光の有無により大別される。このように、細菌
の発育集落を識別することなしに外観上からのみ細菌種
が保有する特徴的な生化学的性状を加え鑑別できる。
【0016】また、例えば、直径が約3〜10mmの円
形状のこの発明の選択的細菌培養検査片では、培養後の
選択ゾーンが直径約10〜40mmとなるから、通常使
用されている細菌培養用の直径9cm前後のシャーレで
は、4〜6枚のディスクを設置できるため、4〜6菌種
以上の分析ができるというように、一度に多菌種の分析
が一枚の培地で同時にできる。一例として、呼吸器感染
症における主要な起炎菌で、検出率が高くかつ検出が困
難な、ヘモフィルスインフルエンザ、肺炎双球菌、A群
溶連菌、ブランハメラカタラリス、ムコイド型縁膿菌な
どの確実な検出が一枚の培地上でできる。
【0017】
【実施例】以下、この発明の選択的細菌培養検査片を実
施例に基づいて、詳細に説明する。先ず、この発明の選
択的細菌培養検査片を作成するために、次の(1)〜
(7)の欄に記載した試薬を調製した。 (1)選択剤液として、次に示すa〜zを調製した。
【0018】a:改良サイヤーマーチン液 バンコマイシン(テイコプラニンなどのポリペプタイド
系抗菌剤)0.4 μg、コリスチン 0.75 mg、ナイスタ
チン 1,250単位、トリメトプリム 0.65 mgを20mMA
CES緩衝液pH7.0 、1.0 mlに溶解し濾過滅菌す
る。濾過滅菌後、ディスク当たり 20 μl 相当量を含浸
保持させる。
【0019】b:スキローの選択剤 バンコマイシン 1.5mg、ポリミキシンB 3,650単位、
トリメトプリム 0.75 mgを20mMACES緩衝液pH
7.0 、1.0 mlに溶解し濾過滅菌する。濾過滅菌後、デ
ィスク当たり 20 μl 相当量を含浸保持させる。 c:ナリジクス酸、コリスチン液 d:カナマイシン、バンコマイシン(テイコプラニンな
どのポリペプタイド系抗菌剤)液 e:ゲンタマイシン、アズスレオナム(モノバクタム系
抗菌剤)液 f:バンコマイシン(テイコプラニンなどのポリペプタ
イド系抗菌剤)液 g:バンコマイシン(テイコプラニンなどのポリペプタ
イド系抗菌剤)、バシトラシン液 h:カナマイシン液 i:メトロニタゾール液 j:エチルハイドロカプリン−ハイドロコロライド(オ
プトヒン)液 k:サルファフラゾール液 l:メトロニタゾール、ゲンタマイシン液 m:アクリフラビンハイドロクロライド、ポリミキシン
B、ナリジクス酸液 n:シクロヘキシミド、コリスチンサルフェイト、アク
リフラビン、セフォテタン、フォスフォマイシン液 o:ゲンタマイシン、ナリジクス酸、アンホテリシンB
液 p:カナマイシン、ポリミキシンB液 q:セフスロジン、イルガサン、ノボビオシン液 r:シクロヘキシド、クロラムフェニコール液 s:ナリジクス酸、アクリフラビンハイドロクロライド
液 t:ペニシリン液 u:クロラムフェニコール液 v:ネオマイシン液 w:ナリジクス酸、コリスチンサルフェイト液 x:コリスチンサルフェイト、オキソリック酸液 y:ポリミキシンB、バシトラシン、シクロヘキシミ
ド、ナリジクス酸、ナイスタチン、バンコマイシン液 z:セトリマイド、フシジン、セファロリジン液 (2)発育促進剤液として、次に示すa〜gを調製し
た。
【0020】a:β−ニコチンアミド−アデニン−ジヌ
クレオチド(β−NAD)液 b:N−アセチルシスチンなどの還元剤液 c:硫酸マグネシウムなどの無機イオン液 d:グルタミン酸ナトリウムなどのアミノ酸液 e:ビタミンK1 などの各種ビタミン液 f:ヘミン液 g:カタラーゼなどの酵素液 (3)酵素基質液として、次に示すa〜jを調製した。
【0021】a:4−メチルウンベリフェリル−β−D
−グルクロノサイド液 b:4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピ
ラノサイド液 c:4−メチルウンベリフェリル−N−アセチル−α−
D−ニュウラミニドアンモニウム塩液 d:4−メチルウンベリフェリル−フォスフェイトなど
の4−メチルウンベリフェロン誘導体液 e:5−ブロモ−3−インドリル−β−D−ガラクトシ
ド液 f:5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D
−ガラクトピラノサイド液 g:5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−チミジ
ン−3′りん酸二ナトリウムなど3−インドール誘導体
液 h:ニトロフェニル誘導体、アミノアニリン誘導体、パ
ラニトロアニリン誘導体、ナフトール誘導体、ナフチル
アミド誘導体の各液 i:エクスリン、ぶどう糖、シュクロスの各液 j:硝酸塩液 (4)酵素阻害剤として、次に示すa、bを調製した。
【0022】a:硫酸銅などの重金属イオン b:マンノースなどの競合的阻害剤 (5)代謝産物との反応物質として、次に示すa〜cを
調製した。 a:フェノールレッド、ブロムチモールブルーなどのp
H指示薬類 b:クエン酸鉄アンモニウム c:2,3,5−トリフェニルテトラゾリウム塩酸塩 (6)発育阻害剤の分解、吸着、不活性剤として、次に
示すa、bを調製した。
【0023】a:セファロスポリナーゼ、ペニシリナー
ゼ b:活性炭などの物理化学的に吸着するもの (7)動植物細胞などの培養液として、次に示すa、b
を調製した。 a:肺細胞の培養液 b:黄色ブドウ球菌、酵母の培養液 上記(1)〜(7)に例示した物質を組み合わせ、ペー
パーディスクまたはペーパーストリップに含浸保持
せ、乾燥させることにより、この発明の選択的細菌培養
片を作成する。含浸保持量は、対象菌群および組み合わ
せる系統により異なる。一例を示すと、大腸菌を対象と
する場合は、80μgのバイコマイシンと、1000μ
gの5−ブロモ−3−インドリル−β−D−ガラクトシ
ドと、2000μgの硝酸塩と、25mM、pH7.2
の20μgのACES緩衝液とをペーパーディスクに含
保持させ、乾燥させる。
【0024】次に、上記(1)〜(7)に例示した物質
を組み合わせ、ペーパーディスクまたはペーパーストリ
ップに含浸保持させ、乾燥させることにより作成した、
この発明の選択的細菌培養片を用いた細菌培養検査法に
ついて説明する。先ず、小児下痢症の原因菌であるキャ
ンピロバクターの便培養に使用する場合は、通常頻用し
ている非選択性の血液寒天培地もしくはチョコレート寒
天培地に便を塗布し、スキローの選択剤を含むこの発明
の選択的細菌培養片を、前記塗布面上に単に接触するよ
うに載せ、そのまま常法により微好気培養するだけでよ
い。また、この場合の応用例として、スキローの選択剤
に加えナリジクス酸30μgを含ませたものと含ませな
いものを同時に併用すると、菌分離と共に感染菌種の推
定が可能となる。
【0025】また、性病の原因菌の一種である淋菌の培
養検出も同様に、血液寒天培地もしくはチョコレート寒
天培地に尿道分泌物、尿などの被検体を塗布し、塗布面
に接触するように改良サイヤーマーチン選択剤を含むこ
の発明の選択的細菌培養片を載せ、そのまま常法通りに
培養すると、淋菌はその周辺を含めた全体で発育する
が、他の菌種は周辺には発育しない。
【0026】通常、呼吸器系感染症の重要な起炎菌であ
るヘモフィルス属が発育しない羊血液寒天培地に検体を
塗布した後、塗布面と接するようにニコチン酸アミド、
NAD、グルタミン酸ナトリウムなどの発育促進剤を含
むこの発明の選択的細菌培養片を載せ、通常の培養を行
うと周辺のみに発育帯が見られる。さらに、呼吸器系材
料およびその他の材料において、バンコマイシンを含む
この発明の選択的細菌培養片でグラム陽性菌群を抑制
し、バンコマイシンとバシトラシンを含むこの発明の選
択的細菌培養片でグラム陽性菌群とナイセリア属を抑制
し、ナリジクス酸を含むこの発明の選択的細菌培養片で
グラム陰性菌を抑制することにより、被検材料に混在す
る菌種を確実に検出可能とする。また、ゲンタマイシン
とアズスレオナムなどのモノバクタム系抗菌剤を含むこ
の発明の選択的細菌培養片で好気性グラム陰性菌群の発
育を抑制し、嫌気性菌群の検出を高めることができる。
【0027】
【発明の効果】この発明の選択的細菌培養検査片は、以
上に述べたように構成されているので、対象菌種もしく
は菌群の特徴的な集落を発現させるための薬剤を、不安
定なものから安定なものまで、制約なく使用可能にする
ことができる。また、選択剤の力価を落とすことなく長
期保存に耐え、かつ必要時に必要数のみを即使用できる
ため、使用が容易で経済的浪費がないものとなる。
【0028】さらに、この発明の選択的細菌培養検査片
を使用した細菌培養検査は、一枚の培地面上に数種類の
選択剤を設置し培養できるため、一枚の培地上で複数の
選択域、菌種に特徴的な集落性状を形成し、複数の選択
培地を併用した場合と同じ効果を発揮できる。また、一
枚の培地上に複数の選択域もしくは菌種に特徴的な集落
性状域を発現するため、同一視野内で比較可能となり、
鑑別が極めて容易であり、かつ効率的である。
【0029】しかも、選択域の中に発育した集落は、こ
の発明の選択的細菌培養検査片の中に、選択剤のみなら
ず発育促進剤、酵素基質、酵素阻害剤、菌代謝産質との
反応性物質、pH緩衝剤が含まれているため、菌種に特
徴的な酵素などの生化学的性状が集落性状として発現す
るため、鑑別が容易であり分離培養後直ちに菌種推定が
可能である。
【0030】また、この発明の選択的細菌培養検査片の
使用により、培地容器の削減ができるため、プラスチッ
ク公害への対処も可能である。さらに、生産者側の立場
から見ても、個々の選択培地製造の必要性がなく、ディ
スクを設置する寒天培地のみ製造すればよいため、培地
生産ラインの一元化が可能である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対象菌種もしくは菌群に対する発育促進
    剤、菌が産生する酵素に対する基質、菌が産生する酵素
    に対する阻害剤、菌の代謝産物と反応し対象菌種もしく
    は菌群の特徴的な集落を発現する物質、培養培地中に添
    加または存在する発育阻害剤もしくは発育抑制剤を分
    解、吸着、不活化する物質、細菌、酵母、カビ、動植物
    細胞などの培養液、のうち少なくとも一種以上を含浸さ
    せ、乾燥させたことを特徴とする選択的細菌培養検査
    片。
  2. 【請求項2】 非対象菌種もしくは菌群に対し発育抑制
    作用を示す抗菌剤、または対象菌種もしくは菌群に対し
    発育抑制作用を示す抗菌剤を少なくとも一種以上用いた
    選択剤をベースに、対象菌種もしくは菌群に対する発育
    促進剤、菌が産生する酵素に対する基質、菌が産生する
    酵素に対する阻害剤、菌の代謝産物と反応し対象菌種も
    しくは菌群の特徴的な集落を発現する物質、培養培地中
    に添加もしくは存在する発育阻害剤および発育抑制剤を
    分解、吸着、不活化する物質、細菌、酵母、カビ、動植
    物細胞などの培養液、のうち少なくとも一種以上を含浸
    させ、乾燥させたことを特徴とする選択的細菌培養検査
    片。
  3. 【請求項3】 pH緩衝剤を混合含浸させ、乾燥させた
    ことを特徴とする請求項1または2記載の選択的細菌培
    養検査片。
  4. 【請求項4】 直径が約3〜10mmの円形状、一辺が
    約3〜10mmの正方形状、または短辺が約3〜10m
    m、長辺が約5〜50mmの長方形状としたことを特徴
    とする請求項1、2、または3記載の選択的細菌培養検
    査片。
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