JPH051341Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、例えばスプレー塗装を行なう際使用
される塗装ブースの改良に関する。

（従来の技術） 従来、例えば自動車の車体にスプレー塗装を行
なうような際、人体に有害な有機溶剤を使用する
ため塗装ブース内に塗装ロボツトを導入し無人化
塗装作業を行なつており、このような塗装装置と
しては第４図に示すような装置が知られている。

すなわち、塗装ブース５１は側壁５２、上壁５
３及び下壁５４に囲まれて外部から遮断され、室
内は上方から給気室５５、塗装室５６、塗料回収
室５７に夫々区画画成し、塗装室５６で吹き付け
塗装を行なつている。このため塗装室５６の中央
には被塗物５８を搬送するため搬送コンベア軌道
５９が設けられ、これを挟んで多数の塗装ロボツ
ト６０が配設されている。また吹き付けの際塗料
はミスト状となつて室内を浮遊するため、前述の
給気室５５から塗装室５６に向けて空気を送り込
み、塗装室５６の床面となつて網目状のすのこ６
１を通して下方の塗料回収室５７に排気ガスを排
出し、受槽６２で塗料を回収している。

一方この塗装ロボツト６０には多数の配線、配
管類が接続しており、すなわち、該ロボツトのモ
ータ等を駆動するためための高電圧電気ケーブル
６３は、室外の側壁上部に側壁５２に添つて取り
付けられた動力制御盤６４に接続され、ロボツト
を操作するための低電圧電気ケーブル６５は室外
の床面上に側壁５２に添つて取り付けられた操作
盤６６と接続すべく側壁５２の高い位置を貫通し
て結線されている。又塗料を供給するための塗料
管６７も側壁５２を貫通して接続されている。

更にこのような塗装装置としては、特開昭62−
71561号のような装置も知られている。この装置
の場合塗装ロボツトは、塗装ブース内を走行し得
るような構成されており、この走行のためのレー
ルを室外に設けたため、塗装ロボツトの支持構造
体がガチョウの首に似た形状となつたものであ
る。

（考案が解決しようとする課題） しかし従来の場合、第４図に示すような装置に
あつては、側壁から室内に引き込まれた配線、配
管類が側壁上部から垂れ下がり、塗装ブース内の
気流の乱れを引き起こしていた。しかも塗装中、
この配線、配管類の表面に塗料が凝着しやすく、
塗装作業を繰り返すうち、乾いた塗料の薄膜が容
易に剥がれ、室内を浮遊して被塗物表面に付着し
不良な塗装となる原因ともなつていた。又室外に
設ける動力制御盤或いは操作盤の数を少なくしよ
うとすると、１台から延びる配線類は必然的に多
くかつ長くなり、室内で各種整備等作業を行なう
際邪魔になるといつた不具合があり、しかも搬送
コンベア軌道を挟んで対向する夫々のロボツト列
側には必ず最低１台の動力制御盤及び操作盤を必
要としていた。

又、特開昭62−71561号の場合にあつては、塗
装ブースを塗装ロボツトにあわせて設計する必要
があることを及び塗装ロボツトを新規に製作する
際も設計上の自由度が制約を受けること等からシ
ステムとして非常に高価な装置となるばかりでな
く、各ロボツトの配線、配管類がレール部と一体
となつて塗装ブース外の突出部に収納されること
となるため、保守整備等の作業がやりにくいとい
つた問題があつた。

（課題を解決するための手段） かかる課題を解決するため、本考案は、骨組材
としての中空状門型フレームを室外の床面に立設
し、これに側壁と上壁を取り付けて塗装ブースの
周壁を構成するとともに、この門型フレームの下
端開口部を床下に形成した側壁沿いの床下通路内
に開口させ、これら門型フレーム及び床下通路を
塗装ブース内に導くための配線、配管類の配設通
路とし、室内には床下通路から引き込むよう構成
した。

（作用） 室内の配線類が低位となり、しかも結線が短く
出来るため、塗装室の上方から下方に向う気流の
乱れが抑制でき、又表面に凝着した塗料の剥れが
被塗物表面に付着しない。又中空状門型フレーム
内に配線類を通すことにより、一方側の側壁の動
力制御盤或は操作盤で搬送コンベア軌道を挟んで
対向する夫々のロボツト列のどちらにも電源等を
供給出来る。

（実施例） 本考案の塗装ブースの実施例について、添付し
た図面に基づき説明する。

第１図は、本考案の塗装ブースの内部を示す正
面図、第２図は塗装ブース内の配置を示す平面配
置図である。

本考案の塗装ブース１は、第１図及び第２図に
示すように、室外に設けた床面２から立ち上がる
門型フレーム３を塗装ブース１の長手方向に列設
して骨組とし、この門型フレーム３の内方に両側
壁４ａ，４ｂ及び上壁５を取り付けている。この
側壁４ａ，４ｂは床面２から更に下方に延出して
下面を画成し、この周壁によつて囲まれるブース
室内には、上方から夫々給気室６、塗装室７及び
塗料回収室８が形成されている。

塗装室７の中央には、被塗物としての車体９を
搬送する搬送コンベア軌道１０がブースの長手方
向に向つて敷設されるとともに、この搬送コンベ
ア軌道１０と両側壁４ａ，４ｂの間には多数の塗
装ロボツト１１ａ，１１ｂが配置され、車体９に
塗料を吹き付け得るように構成されている。

この塗装室７と網目状のすのこ１２で区画され
る塗料回収室８には、ミスト状となつた塗料を回
収するため受槽１３が設けられ、この受槽１３は
前述の塗装ロボツト１１ａ，１１ｂを支承するロ
ボツト架台１４を支えている。

一方、前述の門型フレーム３を支える床面２の
下方には、側壁４ａ，４ｂ沿いに床下通路１５
ａ，１５ｂが形成され又門型フレーム３は、第２
図に示すように２本のフレーム３ａ，３ｂが結合
されて一体となり、その夫々が中空となつて下端
開口部をこの床下通路１５ａ，１５ｂ内に開口し
ている。この床下通路１５ａ，１５ｂと塗装ブー
ス室は夫々の側壁４ａ，４ｂで画成され、塗装ロ
ボツト１１ａ，１１ｂの背部に対応するこの側壁
の所要箇所には配線、配管類を通すための接続孔
が設けられている。このため、中空状の門型フレ
ーム３、床下通路１５ａ，１５ｂ及びブース室内
は連通路が形成さ、この連通路に配線類が収納さ
れることとなる。

すなわち、ロボツトのモーターを駆動するため
の高電圧電気ケーブル１６は、一方の側の側壁４
ａのみに設けられた動力制御盤１７から門型フレ
ーム３内を通つて両側の床下通路１５ａ，１５ｂ
に導かれ、両側の塗装ロボツト１１ａ，１１ｂに
接続し、電力を供給する。ロボツトを操作するた
めの操作盤１８ａ，１８ｂは両側壁４ａ，４ｂ側
に夫々設けられ、これから延びる低電圧電気ケー
ブル１９は夫々の床下通路１５ａ，１５ｂに導か
れて夫々の側の塗装ロボツト１１ａ，１１ｂに接
続する。又塗料管２０及びエア管２１を夫々の床
下通路１５ａ，１５ｂを経由して室内の塗装ロボ
ツト１１ａ，１１ｂに接続する。

この際、ロボツト操作のための操作盤１８ａ，
１８ｂは、その一方を取り除いて例えば第３図の
門型フレームの断面図に示すように、一方のフレ
ーム３ａに高電圧電気ケーブル１６を通し、他方
のフレーム３ｂ内に低電圧電気ケーブル１９を通
すようにすることも可能であり、このように分け
ることによつてケーブル間の電気的ノイズを無く
してロボツトの誤作動の防止も図れ又、操作盤も
１つですむようになる。

又、他の実施例として、床下通路から室内への
接続孔を一ヶ所に纏め、一束とした配線、配管類
を室内に引き込み、これを室内のロボツト架台１
４の中空部或は搬送コンベア軌道１０の中空部を
通すようにしてもよい。

このように塗装室７の上部に障害物をなくした
塗装ブースにおいて、塗装作業中、給気室６から
送り込まれた空気は、ミスト状の塗料と一緒にな
つて円滑に下方の塗料回収室８に流れて浄化作用
及び塗料回収効率が向上し、又配線、配管等の表
面の塗料薄層が剥れても低位であるため車体表面
に付着しない。

（考案の効果） 以上のように本考案は室内に配設される配線、
配管類を低位とし、しかも至短距離で結線したた
め塗装室内の気流の安定化を促進し、効率の良い
浄化、塗料の回収を可能にしたばかりでなく、室
内の整備作業等を容易なものとした。又剥れた塗
料薄層の一部が被塗物表面に付着して塗装不良と
なるといつた不具合も無くすことが出来た。

しかも配線、配管類が一ケ所つまり床下通路に
纏まるため、この面の整備が非常に容易となつ
た。更に配線、配管類が塗装ブースの上をまわし
て簡単に両側壁に配設出来、しかも配線のための
他の何等の装置も要さないため、各種設備の簡略
化が図れ、設備費の低兼化が図れるといつた効果
を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の塗装ブースの内部を示す正
面図、第２図は塗装ブース内の配置を示す平面配
置図、第３図は、他の実施例を示す門型フレーム
の拡大断面図、第４図は従来の塗装ブースの内部
を示す正面図である。 尚、図面中、１は塗装ブース、２は床面、３は
門型フレーム、１０は搬送コンベア軌道、１１
ａ，１１ｂは塗装ロボツト、１５ａ，１５ｂは床
下通路、１７は動力制御盤、１８ａ，１８ｂは操
作盤、５１は塗装ブース、５５は給気室、５６は
塗装室、５７は塗料回収室、５９は搬送コンベア
軌道、６０は塗装ロボツト、６３は高電圧電気ケ
ーブル、６５は低電圧電気ケーブルを示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 室外の床面から立ち上がる門型フレームを骨組
   材とし、これに側壁と上壁を取り付けて周壁を構
   成した塗装ブースにおいて、この床面の下方には
   側壁に沿つて床下通路を設け、前記門型フレーム
   は中空状に形成して、該門型フレームの下端開口
   部をこの床下通路内に開口せしめ、この連通した
   門型フレーム内と床下通路内を、配線、配管類の
   通路とするとともに、塗装ブース内への配線、配
   管類は床下通路から引き込むよう構成したことを
   特徴とする塗装ブース。