JPH05129287A - 窒化シリコン膜 - Google Patents

窒化シリコン膜

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JPH05129287A
JPH05129287A JP31868791A JP31868791A JPH05129287A JP H05129287 A JPH05129287 A JP H05129287A JP 31868791 A JP31868791 A JP 31868791A JP 31868791 A JP31868791 A JP 31868791A JP H05129287 A JPH05129287 A JP H05129287A
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silicon nitride
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Abstract

(57)【要約】 【目的】比較的高い温度でも薄膜素子のしきい値電圧の
シフト量を小さくして、その信頼性を向上させることが
できる、窒化シリコン膜を提供する。 【構成】Si −H結合している水素原子の数HSiと、N
−H結合している水素原子の数HN との比を、HSi/H
N =0.15〜0.35とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラズマCVD法によ
り成膜される窒化シリコン膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】窒化シリコン(Si N)膜は、薄膜トラ
ンジスタや薄膜ダイオード等の薄膜素子の絶縁膜に用い
られており、この窒化シリコン膜は、一般に、プラズマ
CVD法によって成膜されている。
【0003】この窒化シリコン膜のプラズマCVD法に
よる成膜は、従来、プロセスガスであるSi H4 ,NH
3 ,N2 の流量比を、Si H4 /NH3 /N2 =約30
/60/390(CCM) に制御して行なわれており、この
ガス流量比で成膜された窒化シリコン膜の、Si −H結
合している水素原子の数HSiと、N−H結合している水
素原子の数HN との比は、HSi/HN =約0.42とな
っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の窒
化シリコン膜は、温度が50℃程度以上になると、薄膜
素子のしきい値電圧を大きくシフトさせてしまうという
問題をもっており、そのため、従来の窒化シリコン膜を
絶縁膜とする薄膜素子は、この薄膜素子を使用する電子
機器(例えば薄膜素子を能動素子とするアクティブマト
リックス液晶表示装置等)の製造工程における熱処理時
や、前記電子機器の使用中の温度変化によって、動作特
性が大きく変化してしまうという問題をもっていた。
【0005】本発明の目的は、比較的高い温度でも薄膜
素子のしきい値電圧のシフト量を小さくして、その信頼
性を向上させることができる、窒化シリコン膜を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の窒化シリコン膜
は、Si −H結合している水素原子の数HSiと、N−H
結合している水素原子の数HN との比を、HSi/HN
0.15〜0.35としたものである。
【0007】
【作用】このようなHSi/HN 比の窒化シリコン膜を絶
縁膜とする薄膜素子は、窒化シリコンのシリコン原子の
未結合手が少なくなって、温度が上昇したときにこの未
結合手にトラップされる電荷が少なくなるので、比較的
高い温度にさらされても、そのしきい値電圧のシフト量
は小さい。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0009】この実施例の窒化シリコン膜は、例えばa
−Si :H(水素化アモルファスシリコン)半導体を用
いた薄膜トランジスタのゲート絶縁膜に用いられるもの
であり、そのSi −H結合している水素原子の数H
Siと、N−H結合している水素原子の数HN との比は、
Si/HN =0.15〜0.35の範囲である。
【0010】この窒化シリコン膜は、プラズマCVD法
により、Si H4 ,NH3 ,N2 をプロセスガスとして
成膜されるもので、そのHSi/HN 比は、上記プロセス
ガスのSi H4 とNH3 との流量比(NH3 /Si
4 )を制御することによって任意に選択することがで
きる。
【0011】図1は、上記プロセスガスのNH3 /Si
4 流量比と、成膜される窒化シリコン膜のHSi/HN
比との関係を示している。
【0012】上記窒化シリコン膜は、例えば次の成膜条
件で成膜する。
【0013】 成膜温度(窒化シリコン膜を成膜する基板の温度);2
50℃ プロセスガス;Si H4 /NH3 /N2 =30/180
/270(CCM) 圧力;0.5Torr RF周波数;13.56MHz RFパワー密度;84mW/cm2 成膜膜厚;400nm 上記成膜条件は、従来の窒化シリコン膜の成膜条件に対
してプロセスガスの流量比を変えたもので[従来はSi
4 /NH3 /N2 =30/60/390(CCM) ]、こ
の成膜条件で成膜した窒化シリコン膜のHSi/HN 比は
0.24である。
【0014】上記成膜条件で成膜した窒化シリコン膜を
ゲート絶縁膜とする薄膜トランジスタは、従来の窒化シ
リコン膜を用いた薄膜トランジスタに比べて温度に対す
るしきい値電圧のシフト量が小さい。
【0015】これは、上記成膜条件で成膜した窒化シリ
コン膜を用いた被検体と、従来の窒化シリコン膜を用い
た被検体とを製作し、これら被検体をBT処理(Bias
Temperature treatment)してBT処理温度に対する容
量−電圧特性のしきい値電圧Vthのシフト量ΔVthを調
べた結果からも確認された。
【0016】図2および図3は上記被検体を示してい
る。この被検体は、ガラス基板1の上に、下部電極2
と、窒化シリコン膜3と、a−Si :Hからなるi型半
導体層4およびn型半導体層5と、上部電極6とを積層
したもので、下部電極2上の各積層膜3,4,5,6の
一部には、下部電極2に電圧を印加するための開口7を
設けてある。なお、上記実施例の窒化シリコン膜を用い
た被検体も、従来の窒化シリコン膜を用いた被検体も、
その窒化シリコン膜3は、平行平板型プラズマCVD装
置によって400nmの膜厚に成膜した。
【0017】上記被検体のBT処理温度に対するしきい
値電圧Vthのシフト量ΔVthは、次のようにして求め
た。
【0018】まず、被検体を無バイアス状態で200℃
に約10分間加熱して初期化処理し、この被検体の容量
−電圧特性を測定した。次に、初期化処理した被検体を
25〜80℃の範囲の所定のBT処理温度に加熱して下
部電極2と上部電極6との間にバイアス電圧を約10分
間印加するBT処理を行ない、BT処理後の容量−電圧
特性を測定した。このBT処理は、負のバイアス電圧を
印加する−BT処理と、正のバイアス電圧を印加する+
BT処理との両方の処理を行ない、両方のBT処理後の
容量−電圧特性をそれぞれ測定した。なお、上記−BT
処理は、下部電極2に、上部電極6に対して−0.87
5MV/cmの電界を印加して行ない、+BT処理は、
下部電極2に、上部電極6に対して+0.875MV/
cmの電界を印加して行なった。
【0019】次に、上記被検体の初期化処理後の容量−
電圧特性(以下初期特性という)と、−BT処理後およ
び+BT処理後の容量−電圧特性とから、初期特性に対
する−BT処理後のしきい値電圧のシフト量と、上記初
期特性に対する+BT処理後のしきい値電圧のシフト量
とを求め、これらシフト量から、BT処理温度に対する
しきい値電圧Vthのシフト量ΔVthを算出した。
【0020】なお、上記被検体のBT処理温度に対する
しきい値電圧Vthのシフト量ΔVthは、上記−BT処理
を行なったときのシフト量ΔVth(-) と、+BT処理を
行なったときのシフト量ΔVth(+) との和であり、上記
シフト量ΔVthは、ΔVth=ΔVth(-) +ΔVth(+) と
して求められる。
【0021】図4は、BT処理温度を25℃,50℃,
80℃の3段階に選んで、各BT処理温度に対する被検
体のしきい値電圧Vthのシフト量ΔVthを調べた結果を
示しており、図において実線は上記実施例の窒化シリコ
ン膜(HSi/HN =0.24)を用いた被検体の特性、
破線は従来の窒化シリコン膜(HSi/HN =0.42)
を用いた被検体の特性である。
【0022】この図4のように、上記実施例の窒化シリ
コン膜を用いた被検体は、従来の窒化シリコン膜を用い
た被検体に比べて、BT処理温度に対するしきい値電圧
のシフト量ΔVthが小さく、特に50℃以上(図では8
0℃)の比較的高い温度に対するシフト量ΔVthは、従
来のものに比べてかなり小さい。
【0023】これは、窒化シリコン膜のHSi/HN 比を
上記の値(HSi/HN =0.24)にすると、シリコン
原子Si および窒素原子Nのそれぞれの未結合手がなく
なるためである。つまり、Si およびNに未結合手があ
ると、この未結合手に電荷がトラップされるため、上記
被検体のしきい値電圧が温度によって大きくシフトする
が、未結合手がなければ電荷はトラップされないため、
温度によるしきい値電圧のシフト量が小さくなる。
【0024】したがって、上記実施例の窒化シリコン膜
を薄膜トランジスタのゲート絶縁膜に用いれば、比較的
高い温度にさらされても薄膜トランジスタのしきい値電
圧のシフト量は小さいから、その信頼性を向上させるこ
とができる。
【0025】なお、上記窒化シリコン膜は、薄膜トラン
ジスタのゲート絶縁膜に限らず、例えば薄膜ダイオード
等の各種薄膜素子の絶縁膜に広く適用できる。
【0026】また、図4には、HSi/HN =0.24の
窒化シリコン膜を用いた被検体のBT処理温度に対する
しきい値電圧シフト量ΔVthを示したが、上記HSi/H
N 比は、HSi/HN =0.15〜0.35の範囲であれ
ばよく、HSi/HN 比がこの範囲であれば、薄膜素子の
温度によるしきい値電圧のシフト量を、従来の窒化シリ
コン膜を用いる薄膜素子に比べて十分小さくすることが
できる。
【0027】すなわち、図5は、図2および図3に示し
た被検体の窒化シリコン膜のHSi/HN 比を種々の値に
選んで、各被検体を25℃,50℃,80℃の温度でB
T処理したときのBT処理温度に対するしきい値電圧シ
フト量ΔVthを調べた結果を示している。
【0028】この図5のように、HSi/HN 比がHSi
N =0.15〜0.35の範囲の窒化シリコン膜を用
いた被検体は、25℃,50℃,80℃のいずれの温度
でBT処理したときも、しきい値電圧のシフト量ΔVth
は小さい。これに対して、HSi/HN 比が0.35より
大きい窒化シリコン膜や、HSi/HN 比が0.15より
小さい窒化シリコン膜を用いた被検体は、BT処理温度
が50℃より低ければ、しきい値電圧のシフト量ΔVth
は比較的小さいが、50℃以上でBT処理すると、しき
い値電圧がかなり大きくシフトしてしまう。これは、窒
化シリコン膜のHSi/HN 比を0.35より大きくする
と、上述したSi およびNの未結合手が多くなってしま
い、またHSi/HN 比を0.15より小さくすると、窒
化シリコン膜の膜質が変化してしまうためである。
【0029】なお、上記窒化シリコン膜のHSi/HN
は、上述したように、プロセスガス(Si H4 ,N
3 ,N2 )のSi H4 とNH3 との流量比(NH3
Si H4 )を制御することによって任意に選ぶことがで
きる。すなわち、Si H4 の流量を多くしてNH3 /S
i H4 の値を小さくすると、成膜される窒化シリコン膜
のSi −H結合している水素原子数HSiが増加してHSi
/HN 比が小さくなり、逆に、NH3 の流量を多くして
NH3 /Si H4 の値を大きくすると、成膜される窒化
シリコン膜のN−H結合している水素原子数HN が増加
してHSi/HN 比が大きくなる。
【0030】
【発明の効果】本発明の窒化シリコン膜は、Si −H結
合している水素原子の数HSiと、N−H結合している水
素原子の数HN との比を、HSi/HN =0.15〜0.
35としたものであるから、比較的高い温度でも薄膜素
子のしきい値電圧のシフト量を小さくして、その信頼性
を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】窒化シリコン膜を成膜する際のプロセスガスの
NH3 /Si H4 流量比と、成膜される窒化シリコン膜
のHSi/HN 比との関係を示す図。
【図2】BT処理温度に対するしきい値電圧Vthのシフ
ト量ΔVthを調べるのに用いた被検体の平面図。
【図3】図2の III−III 線に沿う断面図。
【図4】BT処理温度と被検体のしきい値電圧シフト量
ΔVthとの関係を示す図。
【図5】窒化シリコン膜のHSi/HN 比とBT処理温度
に対する被検体のしきい値電圧シフト量ΔVthとの関係
を示す図。
【符号の説明】
1…ガラス基板、2…下部電極、3…窒化シリコン膜、
4…i型半導体層、5…n型半導体層、6…上部電極、
7…開口。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマCVD法により成膜される窒化
    シリコン膜において、Si −H結合している水素原子の
    数HSiと、N−H結合している水素原子の数HN との比
    が、HSi/HN =0.15〜0.35であることを特徴
    とする窒化シリコン膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005005280A (ja) * 2002-05-21 2005-01-06 Otb Group Bv 半導体基板を不動態化する方法
JP2012164873A (ja) * 2011-02-08 2012-08-30 Japan Display Central Co Ltd 薄膜トランジスタ回路基板及びその製造方法

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