JPH05125497A - 耐摩耗軸受材およびその製造方法 - Google Patents
耐摩耗軸受材およびその製造方法Info
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- JPH05125497A JPH05125497A JP28655391A JP28655391A JPH05125497A JP H05125497 A JPH05125497 A JP H05125497A JP 28655391 A JP28655391 A JP 28655391A JP 28655391 A JP28655391 A JP 28655391A JP H05125497 A JPH05125497 A JP H05125497A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】本発明の目的は、高強度でスカッフィングを低
減することが可能な耐摩耗軸受材およびその製造方法を
提供することにある。 【構成】本発明に係る耐摩耗軸受材は、重量％でＣｒを
３〜５％、Ｍｏを４〜６％、Ｗを５〜７％、Ｖを１〜３
％、Ｃを０．８〜２％、Ｎｉを２〜１２％、残部実質的
にＦｅから成る鉄系焼結体であり、焼結体の密度が６．
２〜７．４ｇ／cm3 である鉄系焼結体から形成されたこ
とを特徴とする。
減することが可能な耐摩耗軸受材およびその製造方法を
提供することにある。 【構成】本発明に係る耐摩耗軸受材は、重量％でＣｒを
３〜５％、Ｍｏを４〜６％、Ｗを５〜７％、Ｖを１〜３
％、Ｃを０．８〜２％、Ｎｉを２〜１２％、残部実質的
にＦｅから成る鉄系焼結体であり、焼結体の密度が６．
２〜７．４ｇ／cm3 である鉄系焼結体から形成されたこ
とを特徴とする。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗軸受材およびそ
の製造方法に係り、特に高強度で摺動特性を大幅に改善
できる耐摩耗軸受材およびその製造方法に関する。
の製造方法に係り、特に高強度で摺動特性を大幅に改善
できる耐摩耗軸受材およびその製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来から青銅粉末または銅（Ｃｕ）粉、
すず（Ｓｎ）粉、鉛（Ｐｂ）粉などの比較的に軟質な金
属粉末に、黒鉛（Ｃ）粉を配合して圧縮成形後、焼結し
て得た多孔質体に潤滑油を含浸させた銅系焼結含油軸受
が自動車部品や家電機器用部品として使用されている。
すず（Ｓｎ）粉、鉛（Ｐｂ）粉などの比較的に軟質な金
属粉末に、黒鉛（Ｃ）粉を配合して圧縮成形後、焼結し
て得た多孔質体に潤滑油を含浸させた銅系焼結含油軸受
が自動車部品や家電機器用部品として使用されている。
【０００３】一方、軸受の支持荷重が大きく、摺動速度
が高くＰＶ値が高くなる高速軸受を構成する材料として
は、例えば重量％でＣを０．７〜０．８５％、Ｗを１１
〜２２％、Ｃｒを３．８〜４．５、Ｖを０．８〜４．
５、Ｃｏを４．２〜１７％、残部鉄から成る高速度鋼の
微粉末を成形焼結した硬質の鉄系焼結体や上記高速度鋼
の溶製材が広く、使用されている。
が高くＰＶ値が高くなる高速軸受を構成する材料として
は、例えば重量％でＣを０．７〜０．８５％、Ｗを１１
〜２２％、Ｃｒを３．８〜４．５、Ｖを０．８〜４．
５、Ｃｏを４．２〜１７％、残部鉄から成る高速度鋼の
微粉末を成形焼結した硬質の鉄系焼結体や上記高速度鋼
の溶製材が広く、使用されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
銅系焼結体から成る軸受材は、基地硬さがマイクロビッ
カース硬度（mHv ）基準で２００前後と小さな値である
ため、相手材である汎用の軸材に焼き付き摩耗を生じ易
い欠点がある。
銅系焼結体から成る軸受材は、基地硬さがマイクロビッ
カース硬度（mHv ）基準で２００前後と小さな値である
ため、相手材である汎用の軸材に焼き付き摩耗を生じ易
い欠点がある。
【０００５】一方、高速度鋼を原材料として形成した軸
受材料では、高温安定性があり、また基地硬さが８００
〜８５０mHv と極めて大きいため、軸受材自体の耐摩耗
性は著しく改善されるが、加工性が極めて低い上に、相
手材である回転軸を摩耗させる、いわゆるスカッフィン
グ特性が顕著になる欠点がある。
受材料では、高温安定性があり、また基地硬さが８００
〜８５０mHv と極めて大きいため、軸受材自体の耐摩耗
性は著しく改善されるが、加工性が極めて低い上に、相
手材である回転軸を摩耗させる、いわゆるスカッフィン
グ特性が顕著になる欠点がある。
【０００６】また上記対策として軸受材を構成する焼結
体の焼結孔を拡大し、潤滑油の容積割合を高めようとす
ると、必然的に焼結密度が低下して、強度低下を招く。
そのため機械的な衝撃力を受け易い軸受材と強度が不足
し、割れなどが発生し易く、圧環強度も低下して、軸受
の耐久性が低下してしまう問題点があった。
体の焼結孔を拡大し、潤滑油の容積割合を高めようとす
ると、必然的に焼結密度が低下して、強度低下を招く。
そのため機械的な衝撃力を受け易い軸受材と強度が不足
し、割れなどが発生し易く、圧環強度も低下して、軸受
の耐久性が低下してしまう問題点があった。
【０００７】本発明は上記の問題点を解決するためにな
されたものであり、特に高強度でスカッフィングを低減
することが可能な耐摩耗軸受材およびその製造方法を提
供することを目的とする。
されたものであり、特に高強度でスカッフィングを低減
することが可能な耐摩耗軸受材およびその製造方法を提
供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために、種々の材料組成から成る焼結体を種々
の方法によって製作し、その耐摩耗性、摺動特性および
強度特性を比較検討した。その結果、特定組成の高速度
鋼粉末とＮｉ粉末とを所定量配合した混合体を成形焼結
して得た軸受材に潤滑油を含浸させて軸受を構成したと
きに、高強度を有し、耐摩耗性および摺動特性に優れた
軸受が得られた。本発明はこの知見に基づいて完成され
たものである。
達成するために、種々の材料組成から成る焼結体を種々
の方法によって製作し、その耐摩耗性、摺動特性および
強度特性を比較検討した。その結果、特定組成の高速度
鋼粉末とＮｉ粉末とを所定量配合した混合体を成形焼結
して得た軸受材に潤滑油を含浸させて軸受を構成したと
きに、高強度を有し、耐摩耗性および摺動特性に優れた
軸受が得られた。本発明はこの知見に基づいて完成され
たものである。
【０００９】すなわち本発明に係る耐摩耗軸受材は、重
量％でＣｒを３〜５％、Ｍｏを４〜６％、Ｗを５〜７
％、Ｖを１〜３％、Ｃを０．８〜２％、Ｎｉを２〜１２
％、残部実質的にＦｅから成る鉄系焼結体であり、焼結
体の密度が６．２〜７．４ｇ／cm3 である鉄系焼結体か
ら形成されたことを特徴とする。また、焼結体の基地硬
さを、マイクロビッカース硬度基準で３５０〜７００mH
v に設定するとよい。
量％でＣｒを３〜５％、Ｍｏを４〜６％、Ｗを５〜７
％、Ｖを１〜３％、Ｃを０．８〜２％、Ｎｉを２〜１２
％、残部実質的にＦｅから成る鉄系焼結体であり、焼結
体の密度が６．２〜７．４ｇ／cm3 である鉄系焼結体か
ら形成されたことを特徴とする。また、焼結体の基地硬
さを、マイクロビッカース硬度基準で３５０〜７００mH
v に設定するとよい。
【００１０】また本発明に係る耐摩耗軸受材およびその
製造方法は、重量％でＣｒを３〜５％、Ｍｏを４〜６
％、Ｗを５〜７％、Ｖを１〜３％、Ｃを０．８〜２％含
有する高速度鋼粉末に２〜１２％のＮｉ粉末を添加し、
さらに固体潤滑材を添加して均一な粉末混合体を形成
し、得られた粉末混合体を圧縮成形して形成した成形体
を脱脂焼結し、しかる後に得られた焼結体を焼なまし処
理することを特徴とする。ここで高速度鋼粉末の平均粒
径を４０μｍ以上に設定するとともに、Ｎｉ粉末の平均
粒径を１０μｍ以下に設定するとよい。
製造方法は、重量％でＣｒを３〜５％、Ｍｏを４〜６
％、Ｗを５〜７％、Ｖを１〜３％、Ｃを０．８〜２％含
有する高速度鋼粉末に２〜１２％のＮｉ粉末を添加し、
さらに固体潤滑材を添加して均一な粉末混合体を形成
し、得られた粉末混合体を圧縮成形して形成した成形体
を脱脂焼結し、しかる後に得られた焼結体を焼なまし処
理することを特徴とする。ここで高速度鋼粉末の平均粒
径を４０μｍ以上に設定するとともに、Ｎｉ粉末の平均
粒径を１０μｍ以下に設定するとよい。
【００１１】以下本発明に係る軸受材の組成等の限定理
由を述べる。
由を述べる。
【００１２】Ｃｒは、軸受材の耐摩耗性および耐食耐熱
性を向上させる元素であり、３〜５ｗｔ％添加される。
Ｃｒの添加量が３ｗｔ％未満の場合には、添加の効果が
少ない一方、添加量が５ｗｔ％を超える場合には、成形
性が阻害されてしまう。
性を向上させる元素であり、３〜５ｗｔ％添加される。
Ｃｒの添加量が３ｗｔ％未満の場合には、添加の効果が
少ない一方、添加量が５ｗｔ％を超える場合には、成形
性が阻害されてしまう。
【００１３】Ｍｏは、軸受材の耐摩耗性および摺動特性
を改善するために４〜６ｗｔ％の範囲で添加される。Ｍ
ｏ添加量が４ｗｔ％未満の場合には、添加の効果が少な
くなる一方、添加量が６ｗｔ％を超えると、Ｃｒと同様
に成形性を阻害する。
を改善するために４〜６ｗｔ％の範囲で添加される。Ｍ
ｏ添加量が４ｗｔ％未満の場合には、添加の効果が少な
くなる一方、添加量が６ｗｔ％を超えると、Ｃｒと同様
に成形性を阻害する。
【００１４】Ｗは、Ｃｒ、Ｖとともに、高い高温硬さを
有する炭化物を基地組織中に超微細に析出させて軸受に
耐摩耗性を付与するために５〜７ｗｔ％添加される。Ｗ
の添加量が５ｗｔ％未満の場合には、添加の効果が少な
くなる一方、７ｗｔ％を超えるように添加しても、耐摩
耗性の改善効果の増加は望めない。
有する炭化物を基地組織中に超微細に析出させて軸受に
耐摩耗性を付与するために５〜７ｗｔ％添加される。Ｗ
の添加量が５ｗｔ％未満の場合には、添加の効果が少な
くなる一方、７ｗｔ％を超えるように添加しても、耐摩
耗性の改善効果の増加は望めない。
【００１５】Ｖは、Ｗ、Ｃｒとともに高硬度の炭化物を
形成して軸受材に耐摩耗性を付与するとともに、結晶粒
を微細化して、軸受材の構造強度を高めるために１〜３
ｗｔ添加される。Ｖの添加量が１ｗｔ％未満の場合に
は、耐摩耗性および耐久性を改善する効果が少ない一
方、３ｗｔ％を超えるように添加しても改善効果の増加
は少ない。
形成して軸受材に耐摩耗性を付与するとともに、結晶粒
を微細化して、軸受材の構造強度を高めるために１〜３
ｗｔ添加される。Ｖの添加量が１ｗｔ％未満の場合に
は、耐摩耗性および耐久性を改善する効果が少ない一
方、３ｗｔ％を超えるように添加しても改善効果の増加
は少ない。
【００１６】Ｎｉは軸受材の構造強度（圧環強度）、お
よび耐衝撃強度を高めるとともに黒鉛化を促進して軸受
材の焼付きを抑制する元素であり、２〜１２重量％（ｗ
ｔ％）添加される。Ｎｉ添加量が２ｗｔ％未満の場合に
は構造強度を高め耐焼付き性を付与する効果が少ない一
方、添加量が２ｗｔ％を超える場合には、後述する焼結
合金中に残留するオーステナイト組織の割合が高まり、
材料の安定性や硬度が低下してしまう。
よび耐衝撃強度を高めるとともに黒鉛化を促進して軸受
材の焼付きを抑制する元素であり、２〜１２重量％（ｗ
ｔ％）添加される。Ｎｉ添加量が２ｗｔ％未満の場合に
は構造強度を高め耐焼付き性を付与する効果が少ない一
方、添加量が２ｗｔ％を超える場合には、後述する焼結
合金中に残留するオーステナイト組織の割合が高まり、
材料の安定性や硬度が低下してしまう。
【００１７】Ｃは、前記Ｃｒ、Ｗ、Ｖと反応して高硬度
の炭化物を形成するとともに、焼結合金基地を構成する
Ｆｅと反応して耐摩耗性を有するパーライトを生成する
元素であり、かつ基地中に遊離黒鉛として分散し、摺動
面の潤滑性を高めて軸受材のかじりを防止し、初期摺動
特性を改善するために０．８〜２重量％（ｗｔ％）添加
される。Ｃ添加量が０．８％未満の場合には、炭化物の
生成量が少なくなり、また遊離黒鉛の生成量が少なく摺
動特性の改善効果が少ない一方、添加量が２％を超える
場合には、脆化し成形性が低下し、高密度かつ高強度の
焼結体が得られにくい。また基地中に分散させる遊離黒
鉛量はＣの総添加量の３０％以上が望ましく、０．３〜
１．５ｗｔ％の範囲に設定するとよい。遊離黒鉛量が
０．３ｗｔ％未満の場合には、潤滑効果が充分ではな
く、一方１．５ｗｔ％を超える場合には、焼結体の構造
強度が低下してしまうため、遊離黒鉛量は上記範囲に設
定される。
の炭化物を形成するとともに、焼結合金基地を構成する
Ｆｅと反応して耐摩耗性を有するパーライトを生成する
元素であり、かつ基地中に遊離黒鉛として分散し、摺動
面の潤滑性を高めて軸受材のかじりを防止し、初期摺動
特性を改善するために０．８〜２重量％（ｗｔ％）添加
される。Ｃ添加量が０．８％未満の場合には、炭化物の
生成量が少なくなり、また遊離黒鉛の生成量が少なく摺
動特性の改善効果が少ない一方、添加量が２％を超える
場合には、脆化し成形性が低下し、高密度かつ高強度の
焼結体が得られにくい。また基地中に分散させる遊離黒
鉛量はＣの総添加量の３０％以上が望ましく、０．３〜
１．５ｗｔ％の範囲に設定するとよい。遊離黒鉛量が
０．３ｗｔ％未満の場合には、潤滑効果が充分ではな
く、一方１．５ｗｔ％を超える場合には、焼結体の構造
強度が低下してしまうため、遊離黒鉛量は上記範囲に設
定される。
【００１８】ここで焼結体の焼結密度は、本発明の軸受
材で軸受を形成した場合における耐摩耗性、潤滑性およ
び構造強度に大きな影響を及ぼす物性であり、本発明で
は６．２〜７．４ｇ／cm3 に設定される。焼結体の焼結
密度が６．２ｇ／cm3 未満の場合には、焼結孔（連通
孔）の生成割合が大きく、潤滑油の保油性は優れるが、
軸受としての構造強度が低く、実用的ではない。一方、
焼結密度が７．４ｇ／cm3 を超える場合には、連通した
焼結孔がほとんど形成されず、保油性が低下し軸受とし
ての円滑な潤滑作用を発揮することが困難となる。
材で軸受を形成した場合における耐摩耗性、潤滑性およ
び構造強度に大きな影響を及ぼす物性であり、本発明で
は６．２〜７．４ｇ／cm3 に設定される。焼結体の焼結
密度が６．２ｇ／cm3 未満の場合には、焼結孔（連通
孔）の生成割合が大きく、潤滑油の保油性は優れるが、
軸受としての構造強度が低く、実用的ではない。一方、
焼結密度が７．４ｇ／cm3 を超える場合には、連通した
焼結孔がほとんど形成されず、保油性が低下し軸受とし
ての円滑な潤滑作用を発揮することが困難となる。
【００１９】また焼結体の基地硬さは、耐摩耗特性の良
否に大きく影響する要素であり、３５０〜７００mHv に
設定される。基地硬さが３５０mHv未満の場合には、軸
受材は焼き付き摩耗を起こし易くなる一方、基地硬さが
７００mHv を超える場合には、軸受材自体の耐摩耗性は
良好であるが、摺動に伴って相手材である回転軸を急激
に摩耗させるスカッフィング特性が顕著になり、軸受材
としては不適になる。
否に大きく影響する要素であり、３５０〜７００mHv に
設定される。基地硬さが３５０mHv未満の場合には、軸
受材は焼き付き摩耗を起こし易くなる一方、基地硬さが
７００mHv を超える場合には、軸受材自体の耐摩耗性は
良好であるが、摺動に伴って相手材である回転軸を急激
に摩耗させるスカッフィング特性が顕著になり、軸受材
としては不適になる。
【００２０】上記諸特性を発揮する本発明の耐摩耗軸受
材は、下記の工程によって製造される。すなわち重量％
でＣｒを３〜５％、Ｍｏを４〜６％、Ｗを５〜７％、Ｖ
を１〜３％、Ｃを０．８〜２％含有する高速度鋼粉末に
２〜１２％のＮｉ粉末を添加し、さらに固体潤滑材を添
加して均一な粉末混合体を形成し、得られた粉末混合体
を圧力４〜７ton ／cm2 で圧縮成形して得た成形体を温
度５００〜８００℃の水素または非酸化性ガス雰囲気に
おいて１〜２時間脱脂して固体潤滑材を揮散せしめ、し
かる後に非酸化性雰囲気中で温度１１５０〜１２２０℃
で１〜３時間焼結した後に冷却し、さらに温度７００〜
９５０℃で１〜３時間焼きなまし処理して製造される。
材は、下記の工程によって製造される。すなわち重量％
でＣｒを３〜５％、Ｍｏを４〜６％、Ｗを５〜７％、Ｖ
を１〜３％、Ｃを０．８〜２％含有する高速度鋼粉末に
２〜１２％のＮｉ粉末を添加し、さらに固体潤滑材を添
加して均一な粉末混合体を形成し、得られた粉末混合体
を圧力４〜７ton ／cm2 で圧縮成形して得た成形体を温
度５００〜８００℃の水素または非酸化性ガス雰囲気に
おいて１〜２時間脱脂して固体潤滑材を揮散せしめ、し
かる後に非酸化性雰囲気中で温度１１５０〜１２２０℃
で１〜３時間焼結した後に冷却し、さらに温度７００〜
９５０℃で１〜３時間焼きなまし処理して製造される。
【００２１】そして最終工程として、得られた耐摩耗軸
受材に減圧下において潤滑油を含浸させることにより、
焼結含油軸受が製造される。
受材に減圧下において潤滑油を含浸させることにより、
焼結含油軸受が製造される。
【００２２】また上記製造方法において、使用する高速
度鋼粉末の平均粒径を４０μｍ以上に設定するととも
に、Ｎｉ粉末の平均粒径を１０μｍ以下に設定すること
により、成形性がより改善され、酸素の混入の影響が少
ない高強度の焼結体を形成することができる。
度鋼粉末の平均粒径を４０μｍ以上に設定するととも
に、Ｎｉ粉末の平均粒径を１０μｍ以下に設定すること
により、成形性がより改善され、酸素の混入の影響が少
ない高強度の焼結体を形成することができる。
【００２３】すなわち、本来、高密度の焼結体を形成す
るためには、可及的に粒径が小さい原料粉末を使用する
ことが望ましい。しかしながら、高速度鋼粉末およびＮ
ｉ粉末ともに微小粒径のものを使用した場合には、粉末
同志の付着割合が少ないため、バインダの添加等が必須
要件となる一方、原料粉末の流動性が低下するため、成
形型への均一な充填が困難になり、成形性が悪化してし
まう。また粒径が小さくなると、アトマイズ法等によっ
て調製される粉末粒子表面に付着する酸素量が増大し、
焼結体の靭性値や衝撃値を低下させるおそれがある。
るためには、可及的に粒径が小さい原料粉末を使用する
ことが望ましい。しかしながら、高速度鋼粉末およびＮ
ｉ粉末ともに微小粒径のものを使用した場合には、粉末
同志の付着割合が少ないため、バインダの添加等が必須
要件となる一方、原料粉末の流動性が低下するため、成
形型への均一な充填が困難になり、成形性が悪化してし
まう。また粒径が小さくなると、アトマイズ法等によっ
て調製される粉末粒子表面に付着する酸素量が増大し、
焼結体の靭性値や衝撃値を低下させるおそれがある。
【００２４】そこで高速度鋼粉末の平均粒径は４０μｍ
に設定して、付着酸素量を低減すると同時に、Ｎｉ粉末
の平均粒径を１０μｍ以下として、両原料粉末の付着割
合を高めることが有効な対策となる。
に設定して、付着酸素量を低減すると同時に、Ｎｉ粉末
の平均粒径を１０μｍ以下として、両原料粉末の付着割
合を高めることが有効な対策となる。
【００２５】本発明に係る耐摩耗軸受材およびその製造
方法によれば、高速度鋼にＮｉを添加して焼結体の構造
強度を高めている一方、得られた焼結体を焼きなましす
ることにより摺動特性を改善しているため、高い強度と
耐摩耗性とを有し、摺動特性が優れた軸受を形成するこ
とができる。
方法によれば、高速度鋼にＮｉを添加して焼結体の構造
強度を高めている一方、得られた焼結体を焼きなましす
ることにより摺動特性を改善しているため、高い強度と
耐摩耗性とを有し、摺動特性が優れた軸受を形成するこ
とができる。
【００２６】
【実施例】次に本発明に係る耐摩耗軸受材の一実施例に
ついて、従来の軸受材と比較して説明する。
ついて、従来の軸受材と比較して説明する。
【００２７】実施例として、平均粒径が６０〜１００μ
ｍであり、重量％でＣを１．５％、Ｃｒを４％、Ｍｏを
５％、Ｗを６％、Ｖを２％、残部鉄から成るアトマイズ
高速度鋼合金粉末を８９重量部に対して、平均粒径８μ
ｍの純Ｎｉ粉末を１１重量部添加し、表１左欄に示す組
成を有する混合体を調製し、混合体１００重量部に対し
て固体潤滑材を１重量部ずつ添加して均一な粉末混合体
を調製した。
ｍであり、重量％でＣを１．５％、Ｃｒを４％、Ｍｏを
５％、Ｗを６％、Ｖを２％、残部鉄から成るアトマイズ
高速度鋼合金粉末を８９重量部に対して、平均粒径８μ
ｍの純Ｎｉ粉末を１１重量部添加し、表１左欄に示す組
成を有する混合体を調製し、混合体１００重量部に対し
て固体潤滑材を１重量部ずつ添加して均一な粉末混合体
を調製した。
【００２８】一方比較例として、純Ｎｉ粉末を添加せず
に、表１左欄に示す組成を有する混合体を調製し、同様
に固体潤滑材を１重量部添加して従来汎用の粉末混合体
を調製した。
に、表１左欄に示す組成を有する混合体を調製し、同様
に固体潤滑材を１重量部添加して従来汎用の粉末混合体
を調製した。
【００２９】こうして調製した実施例および比較例の各
粉末混合体を成形圧４〜６ton ／cm2 で加圧して、外径
３０mm、内径２６mm、高さ１０mmの寸法を有し、成形密
度が６．３〜６．５ｇ／cm3 の成形体を得た。そして各
成形体を水素ガス雰囲気において温度５００〜８００℃
で３０分間〜２時間加熱することにより脱脂した。
粉末混合体を成形圧４〜６ton ／cm2 で加圧して、外径
３０mm、内径２６mm、高さ１０mmの寸法を有し、成形密
度が６．３〜６．５ｇ／cm3 の成形体を得た。そして各
成形体を水素ガス雰囲気において温度５００〜８００℃
で３０分間〜２時間加熱することにより脱脂した。
【００３０】次に脱脂した各成形体を減圧した水素ガス
雰囲気において温度１１５０〜１２２０℃で６０分間〜
２時間焼結し徐冷した。そして得られた各焼結体につい
て温度９００℃で２時間焼きなまし処理を施した後に、
サイジング工程において、内外径の寸法精度を所定値に
調整した結果、密度が６．２〜７．４ｇ／cm3 の焼結体
を得た。そして各焼結体について、基地硬さをマイクロ
ビッカース硬度計にて測定するとともに圧環強度を測定
し、表１に結果を得た。
雰囲気において温度１１５０〜１２２０℃で６０分間〜
２時間焼結し徐冷した。そして得られた各焼結体につい
て温度９００℃で２時間焼きなまし処理を施した後に、
サイジング工程において、内外径の寸法精度を所定値に
調整した結果、密度が６．２〜７．４ｇ／cm3 の焼結体
を得た。そして各焼結体について、基地硬さをマイクロ
ビッカース硬度計にて測定するとともに圧環強度を測定
し、表１に結果を得た。
【００３１】次に各実施例および比較例に係る軸受材の
耐摩耗特性、摺動特性、耐久性を評価するために、各焼
結体に減圧条件下で潤滑油を含浸せしめ、焼結含油軸受
材を形成した。各軸受材の含油率は、それぞれ１８vol
％であった。この各軸受材にＦＣＤ製の回転軸を挿通
し、回転軸に２０kgの荷重を付加した状態で、摺動部の
速度を１５ｍ／min に設定して延１００時間に亘って耐
摩耗試験を実施し、下記表１に示す結果を得た。
耐摩耗特性、摺動特性、耐久性を評価するために、各焼
結体に減圧条件下で潤滑油を含浸せしめ、焼結含油軸受
材を形成した。各軸受材の含油率は、それぞれ１８vol
％であった。この各軸受材にＦＣＤ製の回転軸を挿通
し、回転軸に２０kgの荷重を付加した状態で、摺動部の
速度を１５ｍ／min に設定して延１００時間に亘って耐
摩耗試験を実施し、下記表１に示す結果を得た。
【００３２】
【表１】
【００３３】表１に示す結果から明らかなように、本実
施例に係る耐摩耗軸受材によれば、比較例と比較して基
地硬さを低くしたにもかかわらず圧環強度が大きく、優
れた耐久性を示すことがわかる。特に、摩耗量が少な
く、相手材である回転軸に対する攻撃性（スカッフィン
グ）も少なく優れた耐摩耗性および摺動特性を発揮する
ことが確認された。
施例に係る耐摩耗軸受材によれば、比較例と比較して基
地硬さを低くしたにもかかわらず圧環強度が大きく、優
れた耐久性を示すことがわかる。特に、摩耗量が少な
く、相手材である回転軸に対する攻撃性（スカッフィン
グ）も少なく優れた耐摩耗性および摺動特性を発揮する
ことが確認された。
【００３４】一方、従来材で形成した比較例の軸受材で
は、摩耗が著しく、特に摺動面に凝着摩耗が観察され、
相手材に対する攻撃性も大であり、耐久性が低いことが
わかる。
は、摩耗が著しく、特に摺動面に凝着摩耗が観察され、
相手材に対する攻撃性も大であり、耐久性が低いことが
わかる。
【００３５】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係る耐摩耗軸
受材およびその製造方法によれば、高速度鋼にＮｉを添
加して焼結体の構造強度を高めている一方、得られた焼
結体を焼きなましすることにより、摺動特性を改善して
いるため、高い強度と耐摩耗性とを有し、摺動特性が優
れた軸受を形成することができる。
受材およびその製造方法によれば、高速度鋼にＮｉを添
加して焼結体の構造強度を高めている一方、得られた焼
結体を焼きなましすることにより、摺動特性を改善して
いるため、高い強度と耐摩耗性とを有し、摺動特性が優
れた軸受を形成することができる。
Claims (4)
- 【請求項１】 重量％でＣｒを３〜５％、Ｍｏを４〜６
％、Ｗを５〜７％、Ｖを１〜３％、Ｃを０．８〜２％、
Ｎｉを２〜１２％、残部実質的にＦｅから成る鉄系焼結
体であり、焼結体の密度が６．２〜７．４ｇ／cm3 であ
る鉄系焼結体から形成されたことを特徴とする耐摩耗軸
受材。 - 【請求項２】 焼結体の基地硬さを、マイクロビッカー
ス硬度基準で３５０〜７００mHv に設定したことを特徴
とする請求項１記載の耐摩耗軸受材。 - 【請求項３】 重量％でＣｒを３〜５％、Ｍｏを４〜６
％、Ｗを５〜７％、Ｖを１〜３％、Ｃを０．８〜２％含
有する高速度鋼粉末に２〜１２％のＮｉ粉末を添加し、
さらに固体潤滑材を添加して均一な粉末混合体を形成
し、得られた粉末混合体を圧縮成形して形成した成形体
を脱脂焼結し、しかる後に得られた焼結体を焼なまし処
理することを特徴とする耐摩耗軸受材の製造方法。 - 【請求項４】 高速度鋼粉末の平均粒径を４０μｍ以上
に設定するとともに、Ｎｉ粉末の平均粒径を１０μｍ以
下に設定することを特徴とする請求項３記載の耐摩耗軸
受材の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP28655391A JPH05125497A (ja) | 1991-10-31 | 1991-10-31 | 耐摩耗軸受材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP28655391A JPH05125497A (ja) | 1991-10-31 | 1991-10-31 | 耐摩耗軸受材およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05125497A true JPH05125497A (ja) | 1993-05-21 |
Family
ID=17705903
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP28655391A Pending JPH05125497A (ja) | 1991-10-31 | 1991-10-31 | 耐摩耗軸受材およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05125497A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2013120903A1 (en) * | 2012-02-15 | 2013-08-22 | Aktiebolaget Skf | A bearing steel composition |
| CN112658263A (zh) * | 2020-11-27 | 2021-04-16 | 无锡科宇模具有限公司 | 一种耐冷热疲劳轴承的制备方法 |
-
1991
- 1991-10-31 JP JP28655391A patent/JPH05125497A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2013120903A1 (en) * | 2012-02-15 | 2013-08-22 | Aktiebolaget Skf | A bearing steel composition |
| US9758849B2 (en) | 2012-02-15 | 2017-09-12 | Aktiebolaget Skf | Bearing steel composition |
| CN112658263A (zh) * | 2020-11-27 | 2021-04-16 | 无锡科宇模具有限公司 | 一种耐冷热疲劳轴承的制备方法 |
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