JPH0512384A - 自動配線方法 - Google Patents

自動配線方法

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JPH0512384A
JPH0512384A JP3167222A JP16722291A JPH0512384A JP H0512384 A JPH0512384 A JP H0512384A JP 3167222 A JP3167222 A JP 3167222A JP 16722291 A JP16722291 A JP 16722291A JP H0512384 A JPH0512384 A JP H0512384A
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Mototaka Kuribayashi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 処理時間が短く、折れ曲がりの少ない配線が
得られるようにする。 【構成】 配線対象領域に対して、2分割処理を階層的
に繰り返す際に、階層の各レベルにおいて、当該レベル
において2つの領域Di+1,1、Di+1,2にまた
がるネットのカット位置1dを決めた後、各部分領域D
i+1,1、Di+1,2のネットを階層処理するネッ
トと、フラット処理するネットに分類する。フラットネ
ットとされたネット2をフラットなアルゴリズムで配線
処理し、階層的なネットは次のレベルの階層処理に渡す
ことによって、部分領域が最小サイズになるまで階層的
に配線処理を繰り返す。 【効果】 折れ曲がりの少ない配線結果が求まり、また
自明な配線経路をフラットに処理するため高速に配線結
果を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体集積回路やプ
リント基板などの配線方法に関し、特に計算機を用いた
自動配線方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、設計期間の短縮と回路規模の増大
のために、大規模集積回路(LSI)のレイアウト設計
のために自動配線プログラムは必須な設計ツールであ
る。これまで自動配線のアルゴリズムとして、多数の方
法が提案されてきた。その代表的なものは、Leeの迷
路アルゴリズム・ラインサーチアルゴリズム・チャネル
配線アルゴリズム・階層的アルゴリズム等である。
【0003】これらの方法の内、Leeの迷路アルゴリ
スムは最も歴史も古く、そのオリジナルなバージョンを
高速化した方法がこれまで広く使われてきた。その理由
の一つは、もし解が存在するならば必ず配線経路が見つ
かるという探索能力に優れていること、その解が最短配
線経路として得られることなどのメリットによる。
【0004】しかし、処理時間が掛かり、大規模チップ
配線領域を対象としてこのアルゴリズムを適用するなら
ば数日から数週間の膨大な時間が掛かることにもなる。
また、複数個のネットの中からどのネットから順に選択
して配線するかによって配線が不可能となる場合が発生
するなど、配線順序の決め方によっては全体の配線が完
了できないというデメリットを持つ。
【0005】これに対して、階層的な配線アルコリズム
は処理時間の面でLeeのアルゴリズムよりはるかに速
く、また、配線対象ネットを同時に扱うのでその処理順
序にも依存しない結果が得られる利点がある。この特徴
をもつ階層的アルコリズムの分類にはいるものは、トッ
プダウンに配線するものとしてBursteinの方法
[1983],Lautherの方法[1988] が、ボトムア
ップに配線するものとしてMarek−Sadowsk
akの方法[1984] が提案されている。
【0006】今後、LSIの設計技術のさらなる自動化
やプロセス技術の進歩によってさらに大規模な回路が1
チップに搭載されてくると、配線プログラムが扱うデー
タ規模が大きくなり、それにつれて処理時間が増すの
で、実用的な時間で結果を得るためにはますます高速な
配線アルゴリズムが求められてくる。このような背景に
あって階層的な配線アルゴリズムは、その高速性のメリ
ットから将来の大規模データの配線のために最も重要な
アルゴリズムの一つであるといえる。
【0007】しかし、この階層的アルゴリズムはローカ
ルな配線混雑の情報をみることができないので、階層が
下に(トップダウンなとき)あるいは上に(ボトムアッ
プなとき)進むにつれて、ある階層で配線できない状況
に出会ってしまう可能性がある。また、2端子が直線の
位置関係にありチップの両端にある場合などには、直線
で配線する結果を得るのに多大な手間が掛かる。さら
に、得られた配線結果を見ると逐次的に配線した結果と
比べて、折れ曲がりが不必要に多い冗長な配線経路とな
る場合があるなどの欠点を持つ。
【0008】以下、配線領域に対して2分割を繰り返す
Lautherのアルゴリズムを階層的アルゴリズムの
一例として選び、このアルゴリズムを例として従来の配
線方法を説明する。
【0009】一般に、配線問題は詳細配線と概略配線の
2段階に分けて行われる。概略配線は、チップ全面に粗
い配線格子を設定して各ネットの概略配線経路を決定す
る。詳細配線では、概略配線結果を受けてチップの一部
分の配線領域を対象にビアの設定やデザインルールの制
約などを考慮して配線する。以下一般性を失うことなく
概略配線について説明するが、詳細配線についても同様
に適用可能である。
【0010】いま、図30(a)のように、チップ上の
配線領域Dに詳細配線用の配線グリッド(図中、点線)
が定義されているとき、ネットの概略配線経路を決定す
るために図30(b)のような概略グリッドを設けて、
概略配線経路の情報をこのグリッドのセグメントとして
求めるものとする。概略グリッドで囲まれた配線領域を
概略格子と呼ぶ。概略配線を行うに当たり、まず、この
概略格子の各境界辺(図30(b)のSi,j,k )につい
て、その境界辺を詳細配線グリッドが何本通過可能かと
いう値(以下、配線容量と呼ぶ)を求める。概略配線問
題は、「この配線容量をオーバーしないで、全てのネッ
トの配線経路を概略グリッド上で求める」問題となる。
【0011】次に、2分割処理に基づく階層的配線処理
を説明する。図31(a)〜(e)は階層的に配線領域
を分割して行く様子を示す図である。
【0012】第一階層での処理は、配線領域D0,1 を垂
直のカットラインで2分割し(図31(b))、このカ
ットラインを横切るカットネットに対して、そのカット
位置を割り当てる。このとき考慮することは、 (1) カットライン上の各境界辺Si,j,k の配線容量をオ
ーバーしないで割り当てられないこと (2) カットネットの配線長をできるだけ最短化すること
などである。
【0013】この問題は、各カットネットに対して境界
辺Si,j,k に割り当てたときのコストCi,j,k(1)を配線
長に依存した形で定義して、全カットネットに対して総
コストを最小化する問題として解かれる。この問題は、
ネットワークフロー問題に帰着させて解くことができ
る。
【0014】図32のツリー構造図に示すように、この
処理を順次各部分領域に対して再帰的に行って、部分領
域が最終的なサイズとなる最終階層まで処理を進めて、
全体の配線を完了させるものである。
【0015】このようにして配線経路が得られる様子を
図33(a)〜(d)に示す。同図のように、トップダ
ウンに階層が深まるにつれてカットライン上にカット位
置(図中、網塗り)が割り当てられ、同電位端子Tの間
を結ぶネットの配線経路が決定されていく。図34
(a)に、配線領域にカットラインが順次挿入されて行
く様子を示し、これに対応する階層構造を図34(b)
に示す。図34(b)は、各カットラインに対応したそ
の位置と方向を示す情報をノードとし、カットラインで
分割された部分領域に設定されるカットラインの同様な
情報をその子ノードとするツリー図である。
【0016】以下、従来の階層的概略配線の第一の問題
点を具体的に説明する。図35は従来の階層的な配線方
法で、直線配線を行う際の問題点を説明するための図で
ある。
【0017】いま、2つの端子Tが直線で結べる位置に
あり、かつTからTへの直線上の各概略格子境界辺の配
線容量は十分な大きさである場合を考える。このとき、
図35(b)のツリー図で示すようなカットラインの挿
入につれてカットライン上のカット位置が割り当てられ
る。図35(b)で示したノードのうち網塗りしたノー
ド5a〜5gは、配線経路(T,T)を求めるときにカ
ットネットの割当処理に絡んだノードである。この7回
の割当処理によってカット位置1a〜1gが割り当てら
れる。
【0018】各割当処理においてはカットネットを求め
る処理、コスト行列を決定する処理、カットライン上で
のカット位置を割り当てる処理などからなる。従って、
図35(a)のような直線的な配線経路が得られるまで
には相当の手間を必要とする。これを逐次的なフラット
な処理によって端子Tから端子Tに向かって探索すれ
ば、これよりはるかに手間の掛からない処理で配線経路
が決定される。
【0019】また、図36(a)のように概略配線経路
としてL字型の配線経路を決定する場合でも、トップ階
層から何階層か下ったときに直線の位置関係にある端子
間のかっと位置の割り当てをするケースが起こる。一般
に概略配線はこのようにL字型などの単純な配線経路で
結べる場合が多いので、直線部分が長い配線経路が得ら
れるが、この結果を得るのに従来の方法では先に述べた
ように手間の掛る処理であった。
【0020】さらに、折れ曲がりが少ない配線経路が得
られる場合にも、従来の階層的な配線方法では、各部分
領域毎に割当処理を独立に繰り返しているので、上位階
層で処理するときに下位階層のことを正確に考慮するこ
とができず、図37に示すような折れ曲がり回数が多い
配線経路となる場合がある。
【0021】次に、従来の階層的概略配線の第二の問題
点を具体的な配線例で説明する。いま、図19のよう
に、配線領域D0,1 に4×4の概略格子が与えられてい
るとする。この配線領域内で●は端子A〜Fを示し、同
一端子名を持つ同電位端子同志を配線するものとする。
【0022】まず第一階層目の処理として図20のよう
に、垂直のカットラインLを配線領域D0,1 の中心位置
に引いて配線領域を2分割する。このカットラインL上
の概略格子の境界辺は4つあり、それぞれの配線容量C
が2であったとする。このときカットラインLを横切る
カットネットとして{B,C,D,E}が求まる。割り
当てコストを、図21(b)のように各カットネットを
囲む最小矩形内の境界辺に対しては0とし、これから遠
ざかるにつれてその距離に比例した値を与える。
【0023】例えば、カットネットEを囲む最小矩形内
の境界辺は最上部の1辺であり、この1辺に対してはコ
ストを0とし、この辺より下部に遠ざかるにつれて各辺
のコストを1,2,3と与える。このようにコストを与
えた後、コスト最小化問題を解いた結果、図20の点線
で示す配線経路が得られたとする。
【0024】次ぎに処理階層が一階層進み、部分領域D
1,1 に移る。この配線領域内での処理の様子を図22に
示す。この部分領域内で、その内部に属する端子と上位
階層D0,1 で設定されたカットラインL上のカット位置
1(図中、△)から、この部分領域D1,1 に設定された
カットラインを横切るカットネットは{A,B,D}の
3つある。一方、このカットライン上には、概略格子の
境界辺は2つあり、それぞれの配線容量Cは1であった
とする。この場合配線容量よりカットネット数が大きく
なり、オーバーフローが起こるため、正常な概略配線を
決定することができなくなる。
【0025】この原因は、上位階層の配線領域D0,1 に
おいてカット位置の割り当て処理をするとき、下位階層
の部分領域D1,1 の割り当てのことまで考慮していない
ためである。この欠点は、チップ内にROM,RAMや
禁止配線領域などが複雑に分布して、配線容量に均一性
がないときなどに顕著に現れてくる。
【0026】この問題に対処する方法として、2〜3の
方法がある。例えば、カットラインの設定位置を配線領
域の中心と決めないで最適化する位置に設定し、階層処
理の分割方法を選択的に変える方法がある。しかしなが
ら、位置決めの完全な指標もないし、また指標があって
も配線領域が大きいときその設定位置をすべて調べるに
は多大な処理時間を必要とする。また、カットラインの
位置決めのみでは上記の問題を根本的に解決できない。
【0027】これとは別に、階層的配線アルゴリズムを
初期配線として用い、配線後に配線容量をオーバーして
配線経路が決定されている部分をチップ全面に渡って見
付け出し、この配線経路を修正する方法もある。しかし
ながら、この方法では後半の再配線処理部分に処理時間
の大半を使う結果となり、階層的配線アルゴリズムの処
理時間の利点を犠牲にするものであり、良い方法である
とはいえない。
【0028】以上述べた階層的配線アルゴリズムの第一
及び第二の問題点は、2×2の分割を繰り返すトップダ
ウンな階層的アルゴリズムであるBursteinの方
法においても同じである。Bursteinの方法で
は、1つの階層で配線領域を2×2の4つの部分領域に
分割して、各階層で2×2の部分領域での配線経路を決
定し、つぎの階層では部分領域をさらに2×2の部分領
域に分割するものである。しかし、この方法もLaut
herの方法と同じく、上位階層で下位階層での配線が
困難となる状況を作ってしまうことがある。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来の自動配線方法における階層的配線アルゴリズムで
は、直線で結べる配線経路であっても、多数の階層で処
理が行われるため、処理時間が掛かっていた。あるい
は、折れ曲がりの多い配線結果が得られるという問題が
あった。また、カットネット数が配線容量をオーバーし
てしまい、正常な配線経路を決定することができないと
いう問題もあった。
【0030】そこで、この発明は、上記事情に鑑みてな
されたものであり、その目的とするところは、直線的な
配線経路の決定をフラットな処理で行うことにより、処
理時間を短縮させると共に総配線長を短くし、かつカッ
トネット数を配線容量よりオーバーさせず配線経路の決
定を正常に完了させることができる自動配線方法を提供
することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第一の発明は、同電位端子間を結ぶネットが複数与
えられた配線領域を複数の部分領域に分割し、分割され
た部分領域間の境界を横切るネットのカット位置と、こ
のネットによって結ばれる端子との位置関係から、階層
的に処理すべきネットかフラットに処理すべきネットか
に分類し、分類されたフラットネットの配線経路を、前
記複数の部分領域に分割した階層から2階層以上下がっ
た下位階層で決定し、配線経路を決定できなかったフラ
ットネットを、階層的に処理するネットとして分類され
たネットに追加し、前記部分領域が所望の最小領域にな
るまで同様な処理を階層的に繰り返すことにより、全ネ
ットの配線経路を決定することを要旨とする。
【0032】また、第二の発明は、同電位端子間を結ぶ
ネットが複数与えられた配線領域を複数の部分領域に分
割し、分割された部分領域間を繋ぐ必要のある配線対象
ネットの配線経路を決定する際の困難度を計算し、計算
された困難度に基づいて前記配線対象ネットの配線経路
を決定すると判断したときには、この配線対象ネットの
配線問題を階層的なアルゴリズムで解き、前記困難度に
基づいて前記配線対象ネットの配線経路を決定しないと
判断したときには、処理階層を前記部分領域に分割した
階層から上位階層に移して分割される以前の領域に処理
を移し、前記部分領域での配線を困難にしているネット
を求め、このネットの、分割される以前の領域での配線
経路を、前記部分領域での配線が容易となるように再決
定し、前記部分領域の処理に戻して前記配線対象ネット
の配線経路を決定し、前記部分領域に分割した階層より
下位階層についても同様な処理を階層的に繰り返すこと
により、全ネットの配線経路を決定することを要旨とす
る。
【0033】
【作用】第一の発明による自動配線方法は、複数のネッ
トが与えられた配線領域をカットラインで分割する。カ
ットラインを横切るネットのカット位置と、このネット
によって結ばれる端子との位置関係から、階層的に処理
すべきネットかフラットに処理すべきネットかに分類す
る。フラットネットの配線経路を、カットラインを設け
た階層から2階層以上下がった下位階層で決定する。
【0034】配線経路を決定できなかったフラットネッ
トを、階層的に処理するネットとして追加する。カット
ラインによって分割された部分領域が最小領域になるま
で、同様な処理を階層的に繰り返し、全ネットの配線経
路を決定する。
【0035】また、第二の発明は、複数のネットが与え
られた配線領域を複数の部分領域に分割する。部分領域
間を繋ぐ必要のある配線対象ネットの配線経路を決定す
る際の困難度を計算する。困難度に基づいてこの配線対
象ネットの配線経路を決定するか否かを判断する。決定
すると判断したときには、この配線対象ネットの配線問
題を階層的なアルゴリズムで解き、決定しないと判断し
たときには、処理階層を部分領域に分割した階層から上
位階層に移し、分割される以前の領域に処理を移す。
【0036】上位階層において、分割された部分領域で
の配線を困難にしているネットを求める。このネット
の、分割される以前の領域での配線経路を、部分領域で
の配線が容易になるように再決定する。部分領域に分割
した階層に戻し、配線が困難であった配線対象ネットの
配線経路を決定する。部分領域に分割した階層より下位
階層についても同様な処理を階層的に繰り返し、全ネッ
トの配線経路を決定する。
【0037】
【実施例】以下、図面を用いてこの発明の実施例を説明
する。 第一の発明 図1は、第一の発明の自動配線方法の手順を示すフロー
チャート図である。同図は、処理を再帰的に行なう場合
の、ある階層(一般的に階層レベルi)処理の様子を示
す。
【0038】まず、ステップS1ではレベルiでのカッ
ト位置の割当処理をする。具体的な手順としては、 (1) 現領域にカットラインの方向と位置を設定し、この
カットラインをカットするカットネットをカットしない
ネットと選別する。
【0039】(2) カットネットによって結ばれる端子の
分布状況により、各ネットのカット位置を各境界に割り
当てるときのコスト値を計算し、コスト行列を求める。 (3) 割当アルゴリズムにより、全カットネットのカット
位置をカットライン上の各境界に割り当てる。このと
き、総コストが最小になり、かつ各境界における配線容
量の値を越えないようにする。
【0040】コスト値の与え方としては、配線長を反映
したものとし、配線長が増加するカットラインの境界へ
の割当に対してコスト値を高くするなどとする。また、
総コストとしては各ネットの割当コストの線形和として
定義し、これを最消化するアルゴリズムとしては、Hitc
hcock-typeの輸送問題を解く標準的なアルゴリズムを採
用することができる。
【0041】次に、割当結果を受けた、ステップS2の
処理は、カットラインで分割されたレベルiの配線領域
(Di)の2つの部分領域(Di+1,1、Di+1,
2)のそれぞれに対して適用される。ステップS1で求
めたカットネットの集合CutNetに対して、それぞ
れの部分領域で2種類の集合に分類する。
【0042】CutNet=HierachNet(1) +FlatNet(1)
(部分領域Di+1,1 において) CutNet=HierachNet(2) +FlatNet(2) (部分領域Di+
1,2 において) ここで、フラットネットFlatNet のネットはステップS
3で処理されるネットであり、階層的なネットHierachN
etのネットはステップS3で処理されず、このまま下位
階層(レベルi+1)に移る。
【0043】カットネットの集合をHierachNetとFlatNe
t の2つに分類する基準の一例を述べる。分類の基準と
するために、各カットネットに対して、部分領域内に存
在する全端子を囲む最小矩形(直線及び点を含む)を求
める。この最小矩形の形状と位置、およびカット位置と
の相対位置関係に基づいて、フラットネットか否かを判
定する。具体的にフラットネットに入る例を図2から図
6に示す。図中、1はステップ1で割り当てられたカッ
トネットのカット位置、2で示す部分がフラットなアル
ゴリズムで配線される配線経路の一部、3で示される部
分は階層的な処理で配線されるネット、4は最小矩形で
ある。また、Lはカットライン、Tは端子を示す。
【0044】以下、フラットネットである条件を幾つか
示す。 条件F1「最小矩形の幅がカットラインと直交する方向
に0で、かつ最小矩形がカットラインの近傍に存在す
る」 条件F2「最小矩形の幅がカットラインと平行な方向に
0であり、かつ最小矩形がカット位置と同一直線上に存
在する」 図2のネットの例では、上側の部分領域Di+1,2
(最小矩形は端子一点からなり幅高さ共0)が条件F1
を満足しているので、フラットネットとして配線され
る。しかし、下側の部分領域Di+1,1は最小矩形が
幅高さ共に0であるがカットラインLの近傍に存在しな
いため、階層的なネットと見なされる。
【0045】図3に示す例では、部分領域の端子Tが2
端子からなるネットの例を示すが、条件F1を上側の部
分領域Di+1,2で満足する。図4のネットは、上側
の部分領域Di+1,2で条件F2を満足する。また、
図5では部分領域Di+1,2の端子Tが2端子からな
る例を示すが、これも条件F2を満足する。
【0046】以上の例では、フラットネットが直線で結
べる場合であったが、さらに、フラットの配線を直線に
限らず2次元的に探索を必要とするような場合、すなわ
ち端子が局所的にまとまって分布している場合にも広げ
ると、つぎのように条件を決定することもできる。
【0047】条件3「最小矩形の面積が小さく、かつカ
ット位置と最小矩形が近くに存在する」 図6はこの例である。この条件は、階層的なアルゴリズ
ムの特徴である、処理がネット順序に依存しないという
メリットを生かすために、フラットネットとしては探索
範囲の自由度が少ないネットを選ぶようにしている。す
なわち、配線経路に自由度がある場合には階層的な処理
で配線経路決定するようにしている。
【0048】次に、処理フローのステップS3について
述べる。この処理はステップS2で選択されたFlatNet
に対して、ラインサーチ法などのフラットなアルゴリズ
ムで配線する処理である。概略配線の場合、配線禁止領
域などによって配線容量が0であるところがあるため、
各概略格子境界の配線容量が正であるところを探索しな
がら結線する。このとき、図2〜図5の例ではカット位
置1と端子Tを配線するとき直線で結べる配線経路のみ
配線可能とするなどの制限を設けて、階層的な処理の高
速性を失わないようにする。このような制限により、フ
ラットアルゴリズムはシンプルで高速になる。
【0049】ステップS4では、条件1〜3でフラット
ネットに分類されたが、配線容量が正でなかったためフ
ラットネットとして配線できなかったものをHierachNet
の集合に移動し、階層的な処理を行う。以下、上記の処
理S1〜S4をカットラインを設定するごとに再帰的に
繰り返し、部分領域が最小サイズになった段階で終了す
ることによって全ネットの配線経路を決定する。
【0050】図7は、第一の発明の第一実施例による階
層処理を説明するための図である。図7(a)に示すよ
うに、この2端子間の配線経路を得るためにカットライ
ン上へのカット位置1dの割当処理を1回、フラットネ
ットの直線配線2を2回必要とする。これを従来の図3
5と比べてみると、割当アルゴリズムを呼ぶ回数が7回
から1回に減少するので高速に配線結果を得ることがで
きる。
【0051】次に、第一の発明における第二実施例を述
べる。図8は、第二実施例による階層処理を説明するた
めの図である。この例は、ステップS3でフラットな配
線をするとき、階層の最も深いレベル(同図ではレベル
5)での探索をするのではなく現階層(階層i)から2
以上で(5−i)未満のレベルを下がったレベルでフラ
ットな配線経路を求める方法である。
【0052】同図では、現階層(レベルi)から2階層
下がったレベルi+2でのフラット処理を示したもので
ある。図8(a)の配線経路を求めるために、図(b)
のツリー図で示すように3回の割当処理5b,5d,5
fと4回のフラット配線2を行なう。
【0053】なお、今回の実施例においては、配線問題
のなかで概略配線問題を扱う場合を説明したが、配線容
量に相当する部分を容量が全ての境界で1であると設定
して、詳細配線としても適用できる。
【0054】第二の発明 図9は、第二の発明の一実施例に係わる自動配線方法の
処理手順を示すフローチャートである。同図に示す配線
方法は、再帰的な処理プログラムであるRoute(O
bj_Domain,level)が中心となる。チッ
プ全面の配線は図9に示すように、この再帰的処理に 配線対象領域:Obj_Domain=チップ領域(ス
テップS11) 処理階層:level=トップ階層0(ステップS1
2) として与えることによって得られる。
【0055】図10は、Route(Obj_Doma
in,level)の処理手順全体を示すフロー図であ
る。以下、図10の処理フローに基づいて処理の詳細を
説明する。
【0056】図10において、Route処理では、ま
ず、配線対象領域Obj_DomainをN個の部分領
域sub_domain[i]に分割する(ステップS
21)。一般に、N=2,N=2×2=4,N=3×3
=9などが適用される。次に、各部分領域間をまたぐネ
ットをこの階層で処理する対象ネットとして求める(ス
テップS22)。
【0057】さらに、この階層でこの配線領域の配線を
行うときの配線の困難度Dif_factorを計算す
る(ステップS23)。例えば、カットラインによる2
分割処理に基づく場合、 Dif_factor=α×(C−Nc) とすれば良い。Cは現カットライン上の概略格子の境界
辺の配線容量の総和、Ncはカットラインを横切るカッ
トネットの本数、αは定数である。そして、この指標に
基づいてこの配線領域の配線をするか否かを判断する
(ステップS24)。例えば、α=1とし、配線する・
しないの臨界値を0として、 Dif_factor>=0なら配線する <0なら配線しない と決める。また、αの値を変えることにより、配線する
・しないの臨界値を詳細配線を行うための配線余裕度を
予め予見して判断するようにもできる。
【0058】次に、配線すると判断された場合には、S
olve処理によってこの配線領域Obj_Domai
nの配線問題を解く(ステップS25)。Slove処
理は、例えばカットラインによる分割処理を繰り返す場
合には、全対象ネットに対してカットラインを横切る位
置を(従来の技術)で説明したようにコスト最小化のネ
ットワークフロー問題として解く。この処理が完了する
と再帰的関数Routeを全ての部分領域に対して適用
する(ステップS26,S27)。
【0059】一方、Dif_factorに基づいて、
当該配線領域を配線しないと判断した時の処理は本発明
の特徴となる部分である。この場合には、まず、当該配
線領域の配線でDif_factorを大きくするため
に、カットネット数Ncを小さくするような処理を行
う。そこで、現領域(Obj_Domain)のカット
ラインを横切っているNc個のカットネツトのうちか
ら、現領域の親領域で挿入したカットラインを横切って
いるネット(以下、Bad_Netと呼ぶ)を抽出する
(ステップS28)。
【0060】次に、処理階層を現階層から1階層上に上
げて、現領域の親領域(以下、Par_Domainと
呼ぶ)に処理を移す(ステップS29)。先に求めたネ
ットの場合Bad_Netに対して、配線を断念した配
線領域Obj_Domainの配線が容易になるように
配線経路を決定する(ステップS30)。この処理がS
olveHである。その詳細フローを図11に示す。
【0061】以下、図11の説明をする。Bad_Ne
tに対して処理するSolveHは再帰的な処理を行
う。この処理の基本的な機能は、図12(a),(b)
に示すように、カットネットの配線経路を修正して、下
位の階層でオーバーフローを起こしたカットラインをカ
ットする量を減少させることである。
【0062】まず処理の初めに、このような修正が与え
られた対象ネットに対し、修正が可能か否かの判別を行
う(ステップS31)。これは例えば、現階層レベルl
evelのカットライン上の配線容量の値に基づいて次
のようにして調べる。
【0063】いま、図12(a),(b)のようにレベ
ルlevel+1のカットラインL1,レベルleve
lのカットラインL2があり、L2がL1によって分け
られる2つの部分をL2bとL2tとする。配線経路修
正処理をする前のL2b,L2tの境界辺の総配線容量
をそれぞれC2b,C2tとする。Bad_Netを図
12(a)で示すtypeAネット{NetA}と、図
12(b)で示すtypeCネット{NetC}に分類
して、それぞれの個数をNa,Ncとする: Bad_Net={NetA}+{NetC} #{NetA}=Na,#{NetC}=Nc typeAネットは、図12(a)のように、カットラ
インL2上のカット位置1(L2t上にある)をL2b
の位置に持っていき、typeBの配線経路に修正可能
である。また、typeCネットは、図12(b)のよ
うに、カットラインL2上のカット位置1(L2b上に
ある)をL2tの位置に持っていき、typeDの配線
経路に修正可能である。typeAネットとtypeC
ネットは、そのカットラインL2上のカット位置をL2
tとL2bで交換可能であるから、その配線経路修正が
可能か否かの判定として、例えば、交換時にL2bまた
はL2tの配線容量に余裕があるか否かを基準にして、 Na≧Ncのとき、C2b<Na−Nc Na<Ncのとき、C2t<Nc−Na である場合に、修正処理不可能とし、その他の場合には
修正可能とする。
【0064】次に、与えられた対象ネットに対して配線
経路修正が不可能である場合には、与えられた階層より
さらに一つ上の階層に処理を移して上位階層での修正を
行う。そのために、処理をSolveH(Par_Do
main,Bad_Net,level−1)に移す
(ステップS32,S33)。このように、修正が可能
となるまで、上位階層へ処理を移す。
【0065】一方、修正が可能と判断された場合には、
この階層(Par_Domain)でBad_Netに
対して配線経路の修正を行う(ステップS34)。その
具体的な方法としてはつぎに示す2通りの方法(MOD
IF1,MODIF2)がある。
【0066】(MODIF1)以下の階層で配線困難と
なった問題ネットの集合Bad_Netの全ネットに対
して、問題となった下位階層への配線経路が発生する割
り当てに対しては、コスト値が大きくなるように、コス
ト関数形を再定義する。この修正されたコスト行列に対
して再度コスト最小化問題を解くことによって通過配線
経路を決定する。
【0067】(MODIF2)問題となったカットライ
ンにおいて、配線のオーバーフロー値:O_value
=カットネット数−カットラインの配線容量分のネット
を配線経路変更する。すなわち、図12(a),(b)
で示したように、 typeAネット−−>typeBネット typeCネット−−>typeDネット または、 typeBネット−−>typeAネット typeDネット−−>typeCネット の変更を行い、問題となったカットラインの配線のオー
バーフローを0とする。ここで、(MODIF1)は、
Bad_Net全体を扱うので、現カットラインの配線
容量の余裕(残り)の分布やコスト値の増加の程度に応
じて、反対領域のカットネットを増加させて配線困難と
なる状況を発生させる可能性があるというデメリットも
あるが、配線経路の修正に伴って現カットライン上の全
体のコスト値を最小化する処理となると同時にカットラ
イン上の全ての配線容量の分布を見て配線経路の修正位
置が決定される長所がある。
【0068】一方、(MODIF2)は、図13(a)
〜(c)に示すように、1組のネットまたは1ネットに
対して、(a)のようにタイプAネットaとタイプCネ
ットcを交換する場合、(b)のようにタイプAネット
aをタイプBネットbに交換する場合、(c)のように
タイプCネットcをタイプDネットdに交換する場合な
どがある。具体的な処理を図14のフローチャートで示
す。図中、L+,L−は、現カットラインが垂直である
ときそれぞれ上半分、下半分を示す。
【0069】この修正処理(MODIF2)は、1ネッ
トずつ選択してネットのタイプを修正していくため、全
体のコスト値を最小化するようなネットの選択が困難で
あるが、確実に問題となったカットラインの配線のオー
バーフローを0とすることができ、反対領域のカットネ
ットの増加を最小限にできる長所がある。
【0070】実際には、これらの配線経路修正方法のう
ちどちらかを、あるいは同一カットラインを再度処理す
る場合が起こったときには他方の処理に切り替えるなど
の実現形態がある。
【0071】以上述べた処理で、typeAネットをt
ypeBネットに配線経路修正するなどの手続きを繰り
返すとき、同一階層であるが配線対象領域を異にする反
対サイドの配線領域の問題を困難にする場合がある。例
えば、図3(a)〜(c)のような配線経路修正をした
とき2つの水平カットラインの右サイドが混雑する可能
性がある。これが本再帰処理でループを発生させる問題
点となるが、これを解決する方法について述べる。
【0072】いま、図31のように2分割処理を繰り返
していったとき、図32のように配線領域Di,jが分
割されていったとする。再帰処理の実現方法として、こ
れを図15のように深さ優先の処理手順で実現したとす
る。このとき、○で示す数字がカットラインが挿入され
る順番を示している。すなわち、部分領域の左下から処
理されるものとする。
【0073】このとき、例えば、カットライン8で配線
できないとなったとき、すでにカットライン7は配線経
路決定されている。したがって、カットライン6に戻っ
て、図12(a),(b)のように、タイプBネットを
タイプAネットあるいは、タイプDネットをタイプCネ
ットに変換するとき、カットライン7の配線状況も考慮
しないと処理がループに落ち入る危険性がある。
【0074】本発明では、これを避けるように、図16
のように、問題カットラインの反対サイドの割り当て処
理が2度目以上であれば、既に割り当ての終了している
反対サイドのカットラインの配線容量に余裕がある場合
のみ(MODIF2)の配線経路修正を施し(ステップ
S41,S42,S43)、余裕のない場合には、上位
階層に処理を進める。
【0075】以上の配線経路修正処理において、既に割
り当てが完了された配線領域に修正された配線経路が入
っていく場合の処理(図11のステップS35)につい
て具体例を示して述べる。いま、図15のような順序で
階層処理を進めていったとき、図17に示すようにカッ
トライン8の処理で配線困難となったとする。このと
き、1〜8のカットラインにはこれをカットするネット
がカット位置にカットピンとして既に割り当てられてい
る。
【0076】いま、カットライン8の修正処理を行うた
めに、カットライン6に戻り、6で配線経路修正が可能
でなくさらに親領域のカットライン2に戻ってBad_
Netの修正が完了したとする(図18の実線矢印)。
このとき、2の配線経路の修正によってカットネット2
の左の子供とその子孫の部分領域に新たな配線経路が発
生するので、これらの配線経路の追加処理をカットライ
ン3,4,5に対して行う(同図一点鎖線)。
【0077】一方、2の配線経路の修正によってカット
ライン2の右の子とその子孫のうち最初に問題が発生し
たカットラインにおいては、2の配線経路修正に伴った
配線経路が消滅するので、これらの配線経路の削除処理
をカットライン6,7に対して行う(同図点線)。これ
らの処理が終了してから、配線経路修正の再帰処理So
lveH(図10のステップS30)を呼び出したカッ
ト領域8に戻って配線が完了されたことになる。
【0078】以上説明した処理フローを具体的な配線例
を交えて詳細に説明する。階層処理方法として、2分割
を繰り返す方法、すなわち、対象領域を1つのカットラ
インで2つの部分領域に分けながらトップダウンに配線
経路決定する階層的配線を例として第一実施例を示す。
【0079】いま、ある階層レベルlevelで配線対
象領域D0,1が図19のように与えられたとする。い
ま、図20のようにこの階層における処理としてD0,
1に垂直のカットラインLを配線領域の中心位置に引い
て配線領域を2分したとする(図10のステップS2
1)。このカットラインL上の概略格子の境界辺は4つ
あり、それぞれの配線容量Cが2であったとする。この
ときカットネットとして{B,C,D,E}が求まる
(ステップS22)。従って、Dif_factor=
C−Nc=8−4>0であり、この配線領域の配線を行
う処理へと進む(ステップS23,S24)。
【0080】この配線領域D0,1の配線問題(割り当
て問題)を解く処理Solve(D0,1,{B,C,
D,E}、ステップS25)は、例えば、つぎのように
する。各カットネットに対して、割り当てコスト関数を
図21のように、従来の技術で説明したように各カット
ネットを囲む最小矩形内の境界辺に対しては0としてこ
れから遠ざかるに連れてその距離に比例した値を設定す
るものとする。
【0081】これにより、配線長をコストに対応させる
ことができる。図21(a)は、各端子をカットライン
近傍に投影した様子を示し、同図(b)は、各ネットの
コスト関数型を示す。その後、このコスト最小化割り当
て問題を解いたとき図20の結果が得られたとする。
【0082】つぎに処理階層が一段階進み部分領域D
1,1に移る(ステップS26)。すなわち、処理Ro
ute(D1,1,level+1)に移る。この部分
領域内での処理の様子を図22に示す。この部分領域内
で、その内部に属する端子と上位階層で設定されたカッ
トラインLの仮想カット位置1B〜1E(図中、△)か
らこの部分領域D1,1のカットラインを横切るネット
は{A,B,D}の3つある。
【0083】一方、カットライン上には概略格子の境界
辺は2つあり、それぞれ境界容量Cが1であっとする。
このとき、Dif_factor=C−Nc=2−3=
−1<0であり、オーバーフローが起こり、この階層の
配線問題を解くことは行わないと判断される(ステップ
S24)。
【0084】図10のフローにしたがって、まず、部分
領域D1,1の配線を困難にしているネットの集合 Bad_Net={B,D} を得る(ステップS28)。
【0085】次に、階層が一階層上りlevelに移
り、部分領域D1,1の親領域D0,1に移り、処理S
olveH(D1,1,{B,D},level)にな
る(ステップS29,S30)。この処理は、図11の
ように進む。Bad_NetをタイプAネットとタイプ
Cネットに分類すると、NetA={D},NetC=
{B},Na=Nc=1, C2b=(2−1)+(2−1)=2,C2t=(2−
1)+(2−1)=2 であり、C2b>Na−Ncであるからこの階層lev
elの配線経路の修正処理に移る(ステップS31,S
34)。
【0086】経路修正方法MODIF1の場合、つぎの
ように、ネット{B,D}に対して、割り当てコスト関
数を修正して再割り当てをする。ネットB(ネットタイ
プNetC)に対しては、カットラインLの下側の境界
辺のコスト値をδ=十分大きな値(例えば、4)に再設
定し、一方上側の境界辺は不変とする。
【0087】逆に、ネットD(ネットタイプNetA)
に対しては、カットラインLの上側の境界辺のコスト値
をδ=4に再設定し、下側の境界辺は不変とする。これ
により、コスト関数型は図23のようになる。このコス
ト関数に対してコスト最小化問題を解くと、B,Dの割
り当て結果は図24のようになる。このとき、図11に
おけるS35の処理は行う必要はない。
【0088】さらに、処理はSolveH(Domai
n,Bad_Net,level)を呼び出した階層l
evel+1(部分領域D1,1)に戻り、もう一度配
線対象ネットを求める処理を再実行される。このときD
if_factor=2−1≧0であり、今度はこの部
分領域D1,1の配線問題を解くSolveに渡る(ス
テップS25)。この様にして配線処理が完了される。
【0089】配線領域D0,1の両サイドD1,1、D
1,2のカットラインの割り当てが終了した後、図25
のような配線経路が得られる。なお、経路修正方法MO
DIF2を配線経路修正処理として用いたときも同様で
ある。このように、従来技術では図22のようにオーバ
ーフローが起こり、正常な概略配線経路が得られなかっ
た場合でも、第二の発明による自動配線方法によれば、
完全な配線経路を得ることができる。
【0090】次に、第二の発明における第二実施例とし
て、配線の完了が1レベル上がった階層では完了されな
く、2階層遡って完了する配線例を示す。
【0091】いま、図26(a)に示すような配線領域
Di,jに一点鎖線で示すカットラインA〜Eが順に挿
入されて階層処理が進み、配線経路が決まっていったと
する。階層処理の様子をツリー構造で表したものが、図
26(b)である。いま、図27に示すように、部分領
域Di+3,2でカットラインLineEの処理に移っ
たとき、配線不可能と判断されたとする(ステップS2
4)。
【0092】このとき、まず、LineEの親領域Di
+2,1でBad_Netの配線経路修正を試みたと
き、LineCの上側に配線容量の余裕がなく、配線経
路:{T−X−Y−Z−T}を配線経路:{T−P−Y
−Z−T}(図28参照)となるように、修正すること
が不可能であったとする(ステップS28〜S31)。
これにより、さらに処理階層を1つ遡り、カットライン
Bのカット位置Yが修正されるように配線経路が変更さ
れてカット点Yがカット点Qに移動される(ステップS
32,S33)。この結果、このネットの配線経路は配
線経路:{T−Q−Z−T}が実現される。
【0093】このようにしてネットTの配線経路が完成
されたとき、2度の再帰処理を呼び出したルーチン(ス
テップS30)にもどって、その部分領域Di+3,2
の下位階層の配線に移るが、その前にカット位置がYか
らQに移動したことによって、新たにカットラインDを
横切るネットが発生するが、この割り当て位置Wを決定
する(ステップS35)。このようにして、図28のよ
うな配線経路:{T−W−Q−Z−T}が得られる。
【0094】以上のように、第二の発明では、複数レベ
ルの再配線処理を行うことによって全体の配線を完了す
ることができる。このような階層的な処理に基づいて再
配線することによって、従来技術のようにチップ全体に
おける引き剥がし再配線処理などで処理時間が膨大にな
る欠点を防ぐことができる。
【0095】なお、第二の発明においても、階層処理を
Bursteinの方法[1983]のように、対象領域の分
割をN=2×2にして、階層処理するものに対しても適
用できる。この配線領域分割処理方法を図29(a)〜
(c)に、その階層構造を図29(d)に示す。この階
層処理おいても、図9〜図11で示した処理フローが適
用できる。ただし、図10におけるSolve処理(ス
テップS25)は、2×2の配線領域の配線経路を整数
計画問題に帰着して解くものである。
【0096】
【発明の効果】以上説明したように、第一の発明によれ
ば、階層の各レベルで直線経路を優先して求めるために
折れ曲がりの少ない配線結果が求まり、また自明な配線
経路を求める際には階層処理で扱うネットの数が少なく
てすむ。また、第二の発明によれば、配線処理を進めて
いったとき問題が発生した階層から上位階層に遡って配
線経路の修正を行うようにした。これらにより、高速処
理の階層的配線方法の特性を失うことなく、質の高い自
動配線経路を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の発明の自動配線方法の処理手順を示すフ
ローチャートである。
【図2】最小矩形が端子一点の場合のフラットネットと
その配線の例を示す図である。
【図3】最小矩形が直線の場合のフラットネットとその
配線の例を示す図である。
【図4】最小矩形が端子一点の場合のフラットネットと
その配線の例を示す図である。
【図5】最小矩形が直線の場合のフラットネットとその
配線の例を示す図である。
【図6】最小矩形の面積が小さい場合のフラットネット
とその配線の例を示す図である。
【図7】第一の発明における第一実施例による階層処理
の様子を示す図である。
【図8】第一の発明における第二実施例の様子を示す図
である。
【図9】第二の発明に係わる自動配線方法の処理手順全
体を表すフローチャートである。
【図10】図9で示したRoute処理の詳細を示すフ
ローチャートである。
【図11】図10で示したSolveH処理の詳細を示
すフローチャートである。
【図12】経路修正されるネットのタイプを説明するた
めの図である。
【図13】経路修正方法の一例を示す図である。
【図14】経路修正方法の一例を示すフローチャートで
ある。
【図15】階層処理順序の一例を示すツリー構造図であ
る。
【図16】図11で示した経路修正処理の際に行われる
処理の一部を説明するためのフローチャートである。
【図17】配線困難となるまでに階層処理される順序を
示すツリー構造図である。
【図18】経路修正される順序を説明するための図であ
る。
【図19】第二の発明の第一実施例による配線例を説明
するための配線対象領域の平面図である。
【図20】図19で示した配線対象領域のカットネット
を求めた様子を示す図である。
【図21】図20で求めた各カットネットのコスト値を
表わしたコスト関数グラフである。
【図22】図20で示した配線対象領域の部分領域に処
理階層が移った様子を示す図である。
【図23】図22で示したネットの経路修正後のコスト
値を表わしたコスト関数グラフである。
【図24】経路修正されたネットの割り当て結果を示す
図である。
【図25】第二の発明の第一実施例で最終的に得られた
配線経路を示す図である。
【図26】第二の発明の第二実施例を説明するための配
線領域の平面図である。
【図27】図26で示した配線領域の部分領域での配線
処理の様子を示す図である。
【図28】第二の発明の第二実施例で最終的に得られた
配線経路を示す図である。
【図29】第二の発明における他の領域分割方法を説明
するための図である。
【図30】配線領域がグリッドで分割されている様子を
示す図である。
【図31】配線領域を2分割しながら階層処理する従来
の様子を示す図である。
【図32】図31で示した配線領域の階層処理を表すツ
リー構造図である。
【図33】従来の2分割処理により配線経路が得られる
様子を示す図である。
【図34】チップ領域へのカットラインの挿入とそれに
対応する階層処理のツリー構造図である。
【図35】従来の直線的な配線経路の求め方を説明する
ための図である。
【図36】従来のL字型の配線経路の求め方を説明する
ための図である。
【図37】従来の方法により、折れ曲りの多い配線経路
が得られる様子を示す図である。
【符号の説明】
1,1a〜1g,1B〜1E,X,Y,Z,W,P,Q
カット位置 2 フラットネットとして配線される配線経路の一部 3 階層的ネットとして配線される部分ネット 4 最小矩形 5a〜5g ツリーノード A,B,C,D,E,T 端子 L,L1,L2,L2b,L2t,LineA〜Lin
eE カットライン D,Di,j 配線領域 a,b,c,d ネット Si,j 概略格子の境界辺

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同電位端子間を結ぶネットが複数与えら
    れた配線領域を複数の部分領域に分割し、 分割された部分領域間の境界を横切るネットのカット位
    置と、このネットによって結ばれる端子との位置関係か
    ら、階層的に処理すべきネットかフラットに処理すべき
    ネットかに分類し、 分類されたフラットネットの配線経路を、前記複数の部
    分領域に分割した階層から2階層以上下がった下位階層
    で決定し、 配線経路を決定できなかったフラットネットを、階層的
    に処理するネットとして分類されたネットに追加し、 前記部分領域が所望の最小領域になるまで同様な処理を
    階層的に繰り返すことにより、全ネットの配線経路を決
    定することを特徴とする自動配線方法。
  2. 【請求項2】 同電位端子間を結ぶネットが複数与えら
    れた配線領域を複数の部分領域に分割し、 分割された部分領域間を繋ぐ必要のある配線対象ネット
    の配線経路を決定する際の困難度を計算し、 計算された困難度に基づいて前記配線対象ネットの配線
    経路を決定すると判断したときには、この配線対象ネッ
    トの配線問題を階層的なアルゴリズムで解き、 前記困難度に基づいて前記配線対象ネットの配線経路を
    決定しないと判断したときには、処理階層を前記部分領
    域に分割した階層から上位階層に移して分割される以前
    の領域に処理を移し、 前記部分領域での配線を困難にしているネットを求め、 このネットの、分割される以前の領域での配線経路を、
    前記部分領域での配線が容易となるように再決定し、 前記部分領域の処理に戻して前記配線対象ネットの配線
    経路を決定し、 前記部分領域に分割した階層より下位階層についても同
    様な処理を階層的に繰り返すことにより、全ネットの配
    線経路を決定することを特徴とする自動配線方法。
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