JPH0512276Y2 - - Google Patents

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JPH0512276Y2
JPH0512276Y2 JP1986061492U JP6149286U JPH0512276Y2 JP H0512276 Y2 JPH0512276 Y2 JP H0512276Y2 JP 1986061492 U JP1986061492 U JP 1986061492U JP 6149286 U JP6149286 U JP 6149286U JP H0512276 Y2 JPH0512276 Y2 JP H0512276Y2
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  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)

Description

【考案の詳細な説明】
産業上の利用分野 本考案は、窒素などの不活性ガスをベースとす
るガス雰囲気下に金属材料、半製品等の被処理体
の熱処理を連続的に行うための熱処理炉(プツシ
ヤー型連続ガス浸炭炉)に関するものである。 従来の技術 (熱処理、その種類、雰囲気ガス) 金属材料、半製品等に所望の性質を与えるため
の熱的操作を金属の熱処理と言う。熱処理によ
り、金属加工の際に起こる結晶の歪みの修正、金
属中の炭素や珪素の量や配列の変更がなされる結
果、金属が強靱性を有するようになつたり、美麗
仕上げがなされる。 熱処理の種類としては、焼ならし、焼入れ、焼
もどし、浸炭、浸炭窒化、窒化、軟窒化、鑞付
け、焼結、焼ならし、光輝熱処理などがあげられ
る。 熱処理炉としてはバツチ式熱処理炉と連続式熱
処理炉とがあり、このうち連続式は、被処理体を
炉の一端から連続的に装入し、炉内を一定速度で
搬送して所定の加熱、冷却を施した後、他端から
取り出す構造の炉である。連続式には、被処理体
をとぎれることなく装入、取出を行う純連続方式
と、一定時間ごとに装入、取出を行う間歇連続式
とがある。連続式は、製品の流れが一定であり、
熱効率が良く、すぐれた品質管理ができるので、
少品種多量生産に適している。連続式熱処理炉の
代表的なものとしては、プツシヤー型連続ガス浸
炭炉があり、この炉は基本的には、被処理体の移
動する順に、昇温帯域、浸炭帯域、拡散帯域、降
温帯域の各帯域から構成されている。 一方、熱処理に際して用いられる雰囲気ガスと
しては、従来より、この業界では周知のRXガ
ス、DXガス、NXガス、HNXガス、AXガスと
呼ばれるガスをはじめとする種々の組成のガスが
使用されている。たとえばRXガスは、一酸化炭
素22〜25%、水素32〜34%、窒素残部の比率を持
つガスであり、無酸化焼入れ、浸炭、焼結などに
際しての雰囲気ガスとして広く用いられている。 (変成炉を用いる方式) 雰囲気ガスの製造および連続式熱処理炉への供
給方式としては、熱処理炉とは別個の触媒充填変
成炉に、メタン、プロパン、ブタンなどの炭化水
素ガスと空気との混合物またはアンモニアガスを
供給し、該変成炉で触媒と接触させて所望のガス
組成となし、このガスを常温近くにまで冷却した
後、目的によつては炭酸ガスを除去して、熱処理
炉の各帯域、つまりたとえば浸炭炉においては昇
温帯域、浸炭帯域、拡散帯域および降温帯域に送
る方式が現在最も一般的となつている。 この変成炉方式によれば、たとえばRXガス
は、プロパンやブタンに空気を混入した原料ガス
をニツケル系やロジウム系などの触媒を充填した
変成炉に供給して約1150℃で熱分解することによ
り得られる。 (変成炉を使用しない方式) 変成炉を使用しない方式として、最近では、窒
素などの不活性ガスにメタノール、プロパン、液
化石油ガスなどを混合した熱処理雰囲気原料ガス
(以下「原料ガス」と略す)を直接熱処理炉に供
給して炉内で熱分解を行い、雰囲気ガスとするい
わゆる窒素ベース熱処理法が注目されている。 この窒素ベース熱処理法は、変成炉および触媒
が不要になることから初期投資、電力消費、設備
保全、設置面積、容積の点で有利であり、また窒
素ベースであるため安全生にすぐれ、夜間の無人
化操業が簡単であつたり、熱処理炉の立ち上がり
が速く、操作性、作業生が向上することなどの点
でも有利である。窒素ベース熱処理法では、吸着
分離方法による窒素、たとえばいわゆるPSA方
式により得られる安価な窒素を使用できるので、
その運転経費は従来法と同等となり、さらに上述
のような有利さがあるので、将来大変有望視され
ている技術である。 (炉内ガス循環方式) 連続式熱処理炉に関する技術として、特開昭51
−33707号公報には、連続式熱処理炉の加熱・均
熱帯域から炉内雰囲気ガスを吸引し、該雰囲気ガ
スを集塵装置にて同熱処理炉の加熱・均熱帯域に
給送するようにした熱処理炉が示されている。 考案が解決しようとする問題点 上記中変成炉を用いる方式は、従来より広く採
用されているが、変成炉およびそれに充填する触
媒の使用を必須とするため、初期投資、設備保全
などの点で不利であり、また変成炉は馴し運転
(エージング)が必要である。 これに対し窒素ベース熱処理法は、前述のよう
な利点を有するのでその将来生が期待されている
が、この方法も次に列挙するような問題点を残し
ている。 連続式熱処理炉の有効加熱帯域、すなわち連
続式浸炭炉における浸炭帯域、拡散帯域の如
く、帯域内温度が熱処理に必要な温度になつて
いる帯域では、一定温度に安定に維持されてい
るので、この帯域に供給された原料ガスが熱分
解して生成する雰囲気ガスの組成は一定とな
り、しかも酸化性ガスの生成量が少ないが、有
効加熱帯域以外の帯域、特に被処理体装入室と
隣接する昇温帯域や被処理体取出室と隣接する
降温帯域は温度が低く、しかも昇温帯域は被処
理体の装入時に温度分布の乱れを生じやすく、
その乱れは有効加熱帯域にも及ぶことがある。
その結果、昇温帯域や降温帯域においてはもと
より、有効加熱帯域においても雰囲気ガスの組
成が変動する上、その組成は酸化性ガスである
炭酸ガス、水蒸気の多いものとなり、たとえば
浸炭処理の場合、浸炭の活性炭素濃度、深さが
不均一になりやすい。 窒素ベース熱処理法においては、一般に熱処
理炉の熱処理温度が低くなると煤(スス)が発
生するおそれがあり、特に窒素−メタノール、
窒素−液化石油ガスの場合には煤が発生しやす
いが、煤が発生すると熱処理炉の温度制御が行
いにくくなる。煤の発生のおそれは、温度が低
い昇温帯域や降温帯域で大きい。 温度の低い昇温帯域および降温帯域では熱分
解が完全に進まないため熱分解ガスの発生量が
少なく、従つてこれらの帯域に供給する原料ガ
スの量が多くなつて資源の浪費を招き、費用的
にも不利となる。 実開昭58−163551号公報には、熱処理炉の炉
内または炉外にヒーター付きの反応器(その内
部に触媒を設けてもよい)を設け、その反応器
に窒素ガスとプロパンとの混合ガスを送り、そ
の反応器内加熱目的に適したガスに変えた後、
加熱炉内に送るようにした雰囲気加熱炉が示さ
れている。この方式は、先に述べた変成炉方式
と同様の不利を有する上、昇温帯域、浸炭帯
域、拡散帯域および降温帯域の各帯域からなる
連続ガス浸炭炉の場合には、反応器からの導出
されたガスが昇温帯域や降温帯域に十分には行
き渡らないという限界がある。 特開昭56−146819号公報には、炉体の長手方
向に複数列の炉内雰囲気ガス供給用スプレーヘ
ツダー管を被加熱物を上下から挟むように炉体
内に配設した熱処理炉が示されているが、供給
ガスはこのスプレーヘツダー管を通過する間に
加熱されるものの、その加熱は予熱程度にとど
まり、またヘツダー管の途中に次々にスプレー
口を設ける方式では各スプレー口におけるガス
導出量をコントロールすることが難しく、その
結果炉の始端側や終端側における炉内へのガス
の導出量が不適切になることがある。 また炉内ガス循環方式は、運転経費低減の観点
からは興味があるが、雰囲気ガスの補充はやはり
行わなければならない上、集塵装置、ガス循環装
置の設置費が高く、これらの装置の制御も複雑で
あり、また設備保全に要する労力も大きく、総合
的に見て必ずしも得策とは言い難い。 本考案は、窒素ベース熱処理法を採用しながら
も、窒素ベース熱処理法の持つ上述のような問題
点を解消することを目的に鋭意研究を重ねた結果
到達したものである。 問題点を解決するための手段 本考案の熱処理炉は、浸炭帯域1bおよび拡散
帯域1cからなる有効加熱帯域1Aと、昇温帯域
1aおよび降温帯域1dからなる有効加熱帯域1
A以外の帯域1Bとの各帯域が、被処理体の移動
する順に、昇温帯域1a−浸炭帯域1b−拡散帯
域1c−降温帯域1dの順に配置され、かつ不活
性ガスをベースとするガス雰囲気下に連続的に被
処理体17の熱処理を行うためのプツシヤー型連
続ガス浸炭炉からなる熱処理炉において、熱処理
炉1の有効加熱帯域1Aに一重の筒体からなる空
洞状の小室2を設け、この小室2に、熱処理雰囲
気原料ガス供給用配管3と、熱分解ガスを上記有
効加熱帯域1A以外の帯域1Bに導くための先端
側のみ開となつた熱分解ガス導出用配管4とを設
置したことを特徴とするものである。 以下本考案を詳細に説明する。 熱処理炉1としては、被処理体の移動する順
に、昇温帯域1a−浸炭帯域1b−拡散帯域1c
−降温帯域1dの順に配置されたプツシヤー型連
続ガス浸炭炉が用いられる。浸炭帯域1bおよび
拡散帯域1cが有効加熱帯域1Aとなり、昇温帯
域1aおよび降温帯域1dが有効加熱帯域1A以
外の帯域1Bとなる。この熱処理炉1は、処理時
間が長く、処理温度が高く、炉床負荷に耐えう
る。 本考案において用いられる原料ガスとしては、
不活性ガス(通常は窒素、場合によりアルゴン、
ヘリウム)をベースとし、熱処理の目的によつて
還元性ガス(水素など)、浸炭性ガス、液(メタ
ン、プロパン、ブタン、メタノール、プロパノー
ル、酢酸メチル、液化石油ガスなど)を添加した
ものが用いられる。具体例のいくつかを以下に列
挙する。 1 光輝熱処理、鑞付け、焼結雰囲気ガス 窒素+水素 完全光輝熱処理 窒素+水素+炭化水素 非脱炭光輝熱処理 窒素+メタノール 非脱炭光輝熱処理 2 浸炭、浸炭窒化雰囲気ガス 窒素+炭化水素 浸炭熱処理 窒素+メタノール+炭化水素 浸炭熱処理 窒素+メタノール+炭化水素+アンモニア 浸炭、窒化熱処理 熱処理炉1の熱源は、燃焼加熱、電気的加熱の
いずれであつてもよく、また加熱方式も直接加熱
方式、間接加熱方式の如何を問わない。 小室2は、一重の筒体からなる空洞状のものと
し、これにより炉内の熱が効率的に伝わり熱分解
がなされる。 この小室2は、熱処理炉1の有効加熱帯域1A
の設けられる。そして小室2には、熱処理雰囲気
原料ガス供給用配管3と、熱分解ガスを上記有効
加熱帯域1A以外の帯域1Bに導くための先端側
のみ開となつた熱分解ガス導出用配管4とを設置
する。 なお小室2には、熱処理雰囲気原料ガス供給用
配管3と上記の熱分解ガス導出用配管4とを設置
するだけでなく、それらに加えて熱分解ガスを有
効加熱帯域1Aにも導くための先端側のみ開とな
つた熱分解ガス導出用配管4aを設置することが
できる。 有効加熱帯域1Aには、熱処理雰囲気原料ガス
供給系15からの原料ガスを直接導入する熱処理
雰囲気原料ガス直接供給用配管3′を設けるのが
通常である。有効加熱帯域1A以外の帯域1Bに
もこの配管3′を設けておくと、雰囲気ガス組成
に厳密性を要求されない熱処理に際してはその配
管3′を必要に応じて使うことができるので有利
である。 被処理体17としては、溶接構造用鋼、機械構
造用炭素鋼、機械構造用合金鋼、ステンレス鋼、
炭素工具鋼、合金工具鋼、特殊用途鋼、鋳鉄、鋳
鋼、鍛鋼などの各種材料やそれらから造られた半
製品等があげられる。 作 用 窒素等の不活性ガスをベースとし、これに還元
性ガス、浸炭性ガス、液などを混入した原料ガス
は、熱処理雰囲気原料ガス供給系15から熱処理
雰囲気原料ガス供給用配管3を経て小室2内に供
給され、ここで熱分解されて所定のガス組成とな
り、ついで熱分解ガス導出用配管4から連続式の
熱処理炉1の有効加熱帯域1A以外の帯域1Bに
導入される。 一方有効加熱帯域1Aには、熱処理雰囲気原料
ガス供給系15から熱処理雰囲気原料ガス直接供
給用配管3′を経て原料ガスが直接導入され、こ
の有効加熱帯域1A内で熱分解が行われて雰囲気
ガスとなる。この雰囲気ガスは、隣接する帯域
(有効加熱帯域1A以外の帯域1B)に流れてい
く。 この場合、小室2に上述の熱分解ガス導出用配
管4aも設置したときは、熱分解ガスはこの熱分
解ガス導出用配管4aから有効加熱帯域1Aにも
導入されるので、有効加熱帯域1Aへの原料ガス
の直接導入は省略することができ、あるいは有効
加熱帯域1Aへの原料ガスの直接導入と並行し
て、熱分解ガス導出用配管4aから熱分解ガスを
有効帯域1Aに導入することもできる。 被処理体17は、このようにして発生した雰囲
気ガスの下に熱処理される。 もし小室2内で煤が発生したときは、空気供給
系16から空気を送り込むことにより、小室2内
で煤が燃焼によつて除去される。 窒素ガスをベースとし、これにそれぞれメタノ
ール、メタン、メタンと二酸化炭素、メタンと水
を混入して小室2に供給したときの熱分解反応
は、主として次の左辺の物質から右辺の物質が生
成する反応によるものと推定される。 N2+CH3OH→N2+H2+CO+CH4+CO2+H2O N2+CH4→N2+H2+C+CH4 N2+CH4+CO2→N2+H2+CO+CH4+CO2+H2
O N2+CH4+H2O→N2+H2+CO+CH4+CO2
H2O 実施例 第1図は本考案の連続式熱処理炉の一例を示し
た断面説明図であり、第2図は小室2の一例を示
した拡大断面図である。第3図はガスの流れを示
した模式説明図である。 1は連続式熱処理炉の一例としてのスキツドレ
ール式のプツシヤー型連続浸炭炉であり、昇温帯
域1a、浸炭帯域1b、拡散帯域1c、降温帯域
1dからなる。各帯域の境界はドロツプアーチ6
……で区切られている。浸炭帯域1bおよび拡散
帯域1cが有効加熱帯域1Aとなり、昇温帯域1
aおよび降温帯域1dが有効加熱帯域1A以外の
帯域1Bとなる。 7は炉外に設置した装入プツシヤーであり、8
は装入室である。9は炉装入扉である。 10……は輻射管(ラジアントチユーブ)型バ
ーナであり、炉内の加熱を行う。11は炉内の雰
囲気を撹拌または循環するためのフアンである。
これらの部材は図では一部の帯域にのみ図示し、
他の帯域においては図示を省略してある。 12はスキツドレール、13はその上を走るト
レイ、14は熱処理後の被処理体17の取出口で
あるスロツト扉である。 2は小室であり、第2図に拡大断面図を示した
ように、この例では一重の空洞状の筒体5からな
る。3はこの小室2に原料ガスを供給するための
熱処理雰囲気原料ガス供給用配管、4は熱分解ガ
スを上記有効加熱帯域1A以外の帯域1Bである
昇温帯域1aおよび降温帯域1dに導くための熱
分解ガス導出用配管であり、先端側のみが開とな
つている。 小室2は、浸炭帯域1bと拡散帯域1cに設置
されている。 15は熱処理雰囲気原料ガス供給系であり、窒
素等の不活性ガスをベースとし、これに適当なガ
スまたは液を混入した原料ガスが前記熱処理雰囲
気原料ガス供給用配管3を経て小室2内に供給で
きるようになつている。3′は熱処理雰囲気原料
ガス直接供給用配管であり、この例では浸炭帯域
1bと拡散帯域1cとに直接原料ガスが導入でき
るように配管されている。 16は、小室2内に煤が付着したときにこれを
燃焼除去するための空気供給系である。 なお、図示は省略してあるが、熱処理炉1には
温度検知手段および温度制御装置が設けられる。 熱処理雰囲気原料ガス供給用配管3から小室2
の筒体5内に供給された原料ガスは、筒体5を通
過する間に熱分解され、熱分解ガス導出用配管4
を経て熱処理炉1の昇温帯域1aおよび降温帯域
1dの内部空間に導入される。 浸炭帯域1bおよび拡散帯域1cの内部空間に
は、熱処理雰囲気原料ガス供給系15から熱処理
雰囲気原料ガス直接供給用配管3′をへて原料ガ
スが直接導入され、これらの帯域では熱分解が行
われる。この熱分解ガス(雰囲気ガス)はそれぞ
れ隣接する昇温帯域1a、降温帯域1dへ流れて
いく。 二点鎖線で示した被処理体17は、トレイ13
に積み込まれた状態で上記装入プツシヤー7によ
つて装入側より順次炉内へ押し込まれ、各帯域を
順次移動する間に上記熱分解ガス雰囲気下に所定
の温度で浸炭を受ける。この押し込みの時間間隔
を調節することにより、被処理体17の送り速
度、つまり処理時間を調節することができる。 第1図に示したスキツドレール式のプツシヤー
型連続浸炭炉を用いて、RXガス相当雰囲気ガス
による鉄鋼材の連続浸炭処理を行つた。 原料ガスとしては、窒素55vo1%およびメタノ
ール45vo1%よりなる組成のガスを用いた。 浸炭帯域1bに設置した小室2および拡散帯域
1cに設置した小室2に導入する原料ガスの供給
量は、それぞれ12Nm3/H、10Nm3/Hに設定し
た。また、昇温帯域1aおよび降温帯域1dに直
接導入する原料ガスの供給量は、それぞれ6N
m3/H、14Nm3/Hに設定した。 昇温帯域1a、浸炭帯域1b、拡散帯域1cお
よび降温帯域1dから雰囲気ガスを抽出し、その
組成を分析したところ、第1表に示す結果が得ら
れた。
【表】 上記において、被処理体17として鉄鋼材
(JIS S15C、SCM415、SCr415)を用い、被処理
体17の送り速度を10.2mm/minに設定して浸炭
を行つたときの浸炭後の品質を第2表に示す。
【表】 硬度の標準偏差は、S15Cの場合が0.431、
SCM415の場合が0.410、SCr415の場合が0.443で
ある。 なお参考のため、従来のRXガス(別途変成炉
を用いて製造したもの、組成は、H233.40モル
%、N241.86%、CO24.00%、CH40.04%、CO2
0.10%、H2O0.60%)を、小室2を用いることな
く直接に熱処理炉1の昇温帯域1a、浸炭帯域1
b、拡散帯域1cおよび降温帯域1dの全てにそ
れぞれ6Nm3/H、12Nm3/H、10Nm3/H、
14Nm3/Hの供給量で供給して浸炭を行つた場合
を第2表に[ ]で示した。 比較例 1 小室2を設けることなく、従来の窒素ベース熱
処理法に従つて実験を行つた。原料ガスは、熱処
理炉1の昇温帯域1a、浸炭帯域1b、拡散帯域
1cおよび降温帯域1dの全てに供給した。各帯
域に直接導入する原料ガスの供給量は、それぞれ
6Nm3/H、12Nm3/H、10Nm3/H、14Nm3
Hに設定した。 昇温帯域1a、浸炭帯域1b、拡散帯域1cお
よび降温帯域1dから雰囲気ガスを抽出し、その
組成を分析したところ、第3表に示す結果が得ら
れた。
【表】 また上記において、被処理体17として鉄鋼材
(JIS S15C、SCM415、SCr415)を用い、被処理
体17の送り速度を10.2mm/minに設定して浸炭
を行つたときの浸炭後の品質を第4表に示す。
【表】 硬度の標準偏差は、S15Cの場合が0.431、
SCM415の場合が0.410、SCr415の場合が0.443で
ある。 なお参考のため、先に述べたのと同様に、別途
変成炉を用いて製造したRXガスを熱処理炉1の
昇温帯域1a、浸炭帯域1b、拡散帯域1cおよ
び降温帯域1dの全てに供給して熱処理を行つた
場合を第4表に[ ]で示した。 第1表と第3表との比較から、次のことがわか
る。 まず通常の窒素ベース法による比較例1におい
ては、浸炭帯域1bおよび拡散帯域1cに供給し
た原料ガスは一定温度で熱分解し所望のガス組成
となるが、昇温帯域1aおよび降温帯域1dに供
給した原料ガスは低温で熱分解されることにな
り、本来であれば微量成分であるべき炭酸ガスや
水蒸気など酸化性のガスの割合が増え、しかもそ
の割合が著しく変動する、またその影響は浸炭帯
域1bにも及ぶ。 このように微量成分である炭酸ガスおよび水蒸
気の割合が変化することは、 2CO=CO2+[C] CO+H2=H2O+[C] に従い雰囲気ガス中の炭酸ガスおよび水蒸気を計
測して熱処理時の活性炭素濃度[C]を制御する
方法を採用しようとすると、制御系統が著しく複
雑になることを免かれない。 また、このように酸化性ガス(炭酸ガス、水蒸
気)の生成量が昇温帯域1aや降温帯域1dで増
大し、その影響が浸炭帯域1bにも及ぶことは、
被処理体17の熱処理に悪影響を与えることにな
る。 これに対し本考案の熱処理炉を用いて熱処理を
行つた場合においては、有効加熱帯域1Aである
浸炭帯域1bや拡散帯域1cにおいてだけでな
く、昇温帯域1aや降温帯域1dにおいても、雰
囲気ガス組成が微量成分である炭酸ガスおよび水
蒸気を含め一定している上、被処理体17の熱処
理に悪影響を与える酸化性ガス(炭酸ガス、水蒸
気)の生成が少ない。 従つて本考案においては、雰囲気ガス中の炭酸
ガスおよび水蒸気を計測して熱処理時の活性炭素
濃度[C]を制御することが容易であり、また酸
化性ガスの生成量が昇温帯域1aた降温帯域1d
でも少ないので、熱処理後の品質が安定すること
になる。 第2表と第4表に示した熱処理後の製品の品質
を比較すると、硬度標準偏差値に見られるように
実施例1の方が良く、本考案の熱処理炉を用いれ
ば従来のようなバラツキまたは品質のむらを生じ
ないことがわかる。 第4図は、ガスの流れの他の例を示した模式説
明図である。 上記実施例1においては第3図に示したような
ガスの流れを採用したが、ガスの流れは第4図の
ようにすることもできる。 考案の効果 本考案の熱処理炉を用いれば、有効加熱帯域1
Aにおいてだけでなく、その以外の帯域1Bにお
いても、雰囲気ガス組成が微量成分である炭酸ガ
スおよび水蒸気を含め一定している上、被処理体
17の熱処理に悪影響を与える酸化性ガス(炭酸
ガス、水蒸気)の生成が少ない。 従つて、雰囲気ガスの炭酸ガスおよび水蒸気を
計測して熱処理時の活性炭素濃度[C]を制御す
る制御系統が簡単となり、制御の精度も高くな
る。 また、酸化性ガスの生成量が有効加熱帯域1A
以外の帯域1Bでも少ないので、熱処理後の品質
が安定する。 原料ガスの熱分解は有効加熱帯域1Aに設置し
た小室2内で完全に行われるため、生成する雰囲
気ガス量が多くなり、従つて、同一容量の雰囲気
ガスを得るのに要する原料ガスの量がそれぞれ低
減し、運転経費上有利となる。 加えて、小室2の設置は装置費上ほとんど負担
とならず、しかも触媒を使用しないので反応の制
御を要せず、さらには小室2内で熱分解を行う際
に特段の加熱手段の設置を要しない。 なお本考案は原料ガスの熱分解を行うものであ
るため、窒素−メタノール、窒素−液化石油ガス
などの組合せなどの場合には煤の発生を完全には
防止できないこともあるが、煤が発生しても煤の
付着は小室2内にとどめることができるため、熱
処理炉1自体はほとんど汚染されず、従つて熱処
理炉1内の清浄を保つことができる。また、小室
2内に空気を導入できる構造とすれば、たとえば
小室2内に煤が付着しても、その煤を簡単に燃焼
除去することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の連続式熱処理炉の一例を示し
た断面説明図、第2図は小室2の一例を示した拡
大断面図である。第3図はガスの流れを示した模
式説明図である。第4図は、ガスの流れの他の例
を示した模式説明図である。 1……熱処理炉、1a……昇温帯域、1b……
浸炭帯域、1c……拡散帯域、1d……降温帯
域、1A……有効加熱帯域、1B……有効加熱帯
域以外の帯域、2……小室、3……熱処理雰囲気
原料ガス供給用配管、3′……熱処理雰囲気原料
ガス直接供給用配管、4……熱分解ガス導出用配
管、5……筒体、6……ドロツプアーチ、7……
装入プツシヤー、8……装入室、9……炉装入
扉、10……輻射管型バーナー、11……フア
ン、12……スキツドレール、13……トレイ、
14……スロツト扉、15……熱処理雰囲気原料
ガス供給系、16……空気供給系、17……被処
理体。

Claims (1)

  1. 【実用新案登録請求の範囲】 1 浸炭帯域1bおよび拡散帯域1cからなる有
    効加熱帯域1Aと、昇温帯域1aおよび降温帯
    域1dからなる有効加熱帯域1A以外の帯域1
    Bとの各帯域が、被処理体の移動する順に、昇
    温帯域1a−浸炭帯域1b−拡散帯域1c−降
    温帯域1dの順に配置され、かつ不活性ガスを
    ベースとするガス雰囲気下に連続的に被処理体
    17の熱処理を行うためのプツシヤー型連続ガ
    ス浸炭炉からなる熱処理炉において、熱処理炉
    1の有効加熱帯域1Aに一重の筒体からなる空
    洞状の小室2を設け、この小室2に、熱処理雰
    囲気原料ガス供給用配管3と、熱分解ガスを上
    記有効加熱帯域1A以外の帯域1Bに導くため
    の先端側のみ開となつた熱分解ガス導出用配管
    4とを設置したことを特徴とする連続式熱処理
    炉。 2 小室2に、熱処理雰囲気原料ガス供給用配管
    3と、熱分解ガスを上記有効加熱帯域1A以外
    の帯域1Bに導くための先端側のみ開となつた
    熱分解ガス導出用配管4と、熱分解ガスを有効
    加熱帯域1Aに導くための先端側のみ開となつ
    た熱分解ガス導出用配管4aとを設けてなる実
    用新案登録請求の範囲第1項記載の連続式熱処
    理炉。 3 小室2に空気を供給可能に構成したことを特
    徴とする実用新案登録請求の範囲第1項記載の
    連続式熱処理炉。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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