JPH0511909U - 吸引浸出液採取装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸引浸出液の採取時における皮膚のかぶれ等
を防止すると共に、製作コストの低減を図る。 【構成】 樹脂で編み込まれた円形の網状スペーサ５ａ
の外周部に枠体２４を射出成形で一体形成したスペーサ
リング２１を用いる。このリング２１をセル部材１の採
取口開口縁部１２ａに設けられた溝２３に着脱可能に装
着する。 【効果】 樹脂製の枠体と網状スぺーサを射出成形法に
より一体的に製作することにより、製作コストが低減す
る。また、網状スペーサは、皮膚に優しく、皮膚のかぶ
れや浸襲がなくなる為、臨床検査における吸引浸出液を
採取するうえで極めて大きい効果が得られる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、生体関連物質を採取する臨床用生化学測定装置に属する装置に係り 、特に皮膚表面から吸引浸出液を非侵襲的に採取する吸引浸出液採取装置に関す る。

【０００２】

【従来の技術】

一般的に、人体から採取した血液の成分分析は、臨床検査あるいは生化学分析 装置を用いて行われている。しかし、最近のエレクトロニクス技術の進歩により 血液の代わりに皮膚表面から採取した吸引浸出液を用いる測定法が開発され、例 えば、プロシーディング・オブ・ザ・ファースト・パン・パシフィック・シンポ ジウム，バンクーバー，カナダ；Proc. of the first Pan Pacific Symposium, Vancouver, Canada, July 23-27, 1986, 57-58.,または、プロシーディング・オ ブ・ザ・シンポジウム・オン・ケミカルセンサーズ；Proc. of the Symposium o n Chemical Sensors, PV87-9, 327-333,に報告されている。 吸引浸出液は、例えば腕などの皮膚表面の角質層を除去した部分を減圧吸引し て得られる微量の液体であり、皮下組織の間質液あるいは毛細血管壁より減圧濾 過された液体であると考えられている。この吸引浸出液は血液よりもタンパク質 濃度が低いため、測定時におけるセンサ表面へのタンパク質付着量を軽減するこ とができ、センサの長寿命化が図れる特徴がある。また、吸引浸出液は経皮的に 採取されるため、従来の血液の採取とは異なり、被検者に与える苦痛の軽減や病 原菌の感染防止の観点からも有利な方法と考えられている。

【０００３】 吸引浸出液を採取する方法として、図２、図３に示す吸引浸出液採取装置を用 いて吸引浸出液を採取する方法が提案されている（実願平２−０２９２３５号） 。図２は、従来の吸引浸出液採取装置の断面図で、図３は、網状スペーサの構造 を示す平面図である。吸引浸出液採取装置は、セルと金属製リング等とからなり 、セルはセル部材１とそれに着脱可能に装着されるフタ６とからなる。セル部材 １は互いに連通する採取口２と、連結穴３と、タンク部４とを形成する円筒状部 材からなり、内部が見えるように透明な合成樹脂材料、例えばアクリル樹脂や塩 化ビニル樹脂などの材料で形成されている。採取口２のある開口縁部１２側に形 成される溝２３には金属製リング２０の外周部が着脱可能に装着される。金属製 リング２０の内側には、図３に示すように円盤状に加工された網状スペーサ５（ ステンレス製１５０メッシュ）が押さえリング２２で挟まれて、スポット溶接さ れている。セル部材１の背面にはＯリング７を介してフタ６が組み込まれ、タン ク部４を密閉する。また、フタ６内には吸引源（図示せず。）に連通する吸引口 ８が設けられている。９はセル部材１に組み立てられたベルトの一部であり、１ ０は皮膚表面の一部である。なお、網状スペーサ５は減圧吸引時における皮膚表 面１０の採取口２の底面への密着を防止する役目をし、吸引浸出液の安定採取を 確保している。 本装置における吸引浸出液の採取方法は、腕などの皮膚表面１０に前記セルを 載置してベルト９で締め付け固定した後、吸引口８を前記吸引源の１つである真 空ポンプ（図示せず。）に接続してセル内部を減圧する。その状態で皮膚表面１ ０から吸引浸出液１１が発生する。吸引浸出液１１は網状スペーサ５を伝わって 採取口２や連結穴３を通り、タンク部４内に貯えられる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

前記した従来の吸引浸出液採取装置では、金属製リング２０の内側に金属製の 網状スペーサ５を押さえリング２２で挟んだ後、スポット溶接により接合してい る為、多大な製作工数を要し、コスト高となっている。また、網状スペーサ５は 、材質にステンレス等の金属を用いているので、皮膚のかぶれや浸襲の原因とな る問題点があった。 本考案の目的は、このような従来の問題点を解決するもので、皮膚の損傷をな くし、安価に実施し得る吸引浸出液採取装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、以上の目的を達成するために、皮膚に接触するスぺーサリングと、 一端面側に装着された前記スぺーサリング側と吸引源側とに連通するタンク部を 内部に形成するセルとを備え、経皮的に吸引した浸出液を前記タンク部内に吸引 して採取する採取装置であって、前記スぺーサリングが、樹脂製の網状スペーサ と、該網状スペーサの外周に一体成形されると共に前記セルに着脱可能に装着さ れる樹脂製枠体とから形成されてなる吸引浸出液採取装置を構成するものである 。

【０００６】

【作用】

本考案は、上述の構成をとることにより従来の問題点を解決した。すなわち、 樹脂製の網状スペーサが皮膚に優しく接触するため、かぶれや浸襲を起こさなく なった。また、樹脂製の網状スペーサの外周部に樹脂製枠体を射出成形法で一体 的に形成するスペーサリングを採用するため、部品点数と製作工数が減り、製作 コストが大幅に低減し得る。

【０００７】

【実施例】

以下に本考案について図面を参照して詳細に説明する。図１は本考案の吸引浸 出液採取装置の一実施例の正面断面図である。 本考案の吸引浸出液採取装置は、セル部材１ａと、これにＯリング７を介して 組み込まれるフタ６とからなるセルと、スペーサリング２１と、ベルト９等とか ら構成される。前記セルには図１に示すように、採取口２と、連結穴３と、タン ク部４と吸引口８とがそれぞれ連通して形成される。 スペーサリング２１は、セル部材１ａの採取口２の開口縁部１２ａに設けられ る。スペーサリング２１は、例えば、ナイロンやポリエステルで編み込まれた円 形の網状スペーサ５ａと、その外周部に射出成形で一体的に形成された枠体２４ の集合体からなり、枠体２４は開口縁部１２ａに設けられた溝２３に着脱可能に 装着される。なお、網状スペーサ５ａは開口縁部１２ａと同一平面上に配置され 、皮膚表面１０に接触する。

【０００８】 以上の構造の吸引浸出液採取装置による浸出液の吸引は次のようにして行われ る。 セル全体を皮膚表面１０上に載置し、スペーサリング２１を皮膚表面１０に接 触させ、ベルト９で固定する。吸引口８を真空ポンプ（図示せず。）に連通させ 前記セル内を減圧すると、皮膚表面１０から経皮的に吸引浸出液１１がタンク部 ４内に吸引されて蓄溜する。 本考案で用いられるスペーサリング２１は、網状スペーサ５ａの張りや平面性 が良いだけでなく、製作コストが極めて安価になる利点がある。さらに、網状ス ペーサ５ａの材質は、ナイロン等を使用しているので、皮膚に優しく接触するた め、かぶれや浸襲を起こさない。

【０００９】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の吸引浸出液採取装置は、樹脂製の枠体と網状ス ペーサを射出成形法により一体的に製作したスペーサリングを採用することによ り、製作コストを低減することができる。また、網状スペーサは、皮膚に優しく 、皮膚のかぶれや浸襲がなくなるため、臨床検査における吸引浸出液を採取する うえで極めて大きい効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の吸引浸出液採取装置の一実施例を示す
正面断面図である。

【図２】従来の吸引浸出液採取装置の一例を示す正面断
面図である。

【図３】網状スペーサの構造を示す平面図である。

【符号の説明】

１ａ セル部材 ２ 採取口 ３ 連結穴 ４ タンク部 ５，５ａ 網状スペーサ ６ フタ ７ Ｏリング ８ 吸引口 ９ ベルト １０ 皮膚表面 １１ 吸引浸出液 １２，１２ａ 開口縁部 ２０ リング ２１ スペーサリング ２２ 押さえリング ２３ 溝 ２４ 枠体

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 皮膚に接触するスぺーサリングと、一端
   面側に装着された前記スぺーサリング側と吸引源側とに
   連通するタンク部を内部に形成するセルとを備え、経皮
   的に吸引した浸出液を前記タンク部内に吸引して採取す
   る採取装置であって、前記スぺーサリングが、樹脂製の
   網状スペーサと、該網状スペーサの外周に一体成形され
   ると共に前記セルに着脱可能に装着される樹脂製枠体と
   から形成されることを特徴とする吸引浸出液採取装置。