JP2000505334A - 真空を使用した流体の改善型経皮輸送 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 流体サンプリング方法で流体の経皮輸送を強化し、患者の血液中の分析物を検出するため、超音波源（１２）と減圧手段（１４）との併用。

Description

【発明の詳細な説明】 真空を使用した流体の改善型経皮輸送 発明の分野 本発明は患者の血液中の分析物を検出する改良型サンプリング法に関する。特 に、本発明は真空を使用した流体の経皮輸送の改善に関する。発明の背景 血液中の分析物、特にグルコースを正確に測定する機能は、糖尿病などの疾病 の管理において重要である。血液のグルコースレベルは狭い範囲（約３．５〜６ ．５ｍＭ）内に維持しなければならない。この範囲より低いグルコースレベル（ 低血糖）は精神錯乱、昏眠または死をもたらすことがある。高いグルコースレベ ル（高血糖）は、多渇や頻尿の原因となる。長引く高血糖は、肝臓障害、神経障 害、失明など、糖尿病の幾つかの合併症につながる。 多くの糖尿病患者では、定期的なインスリンの注射で血液のグルコースレベル を維持する。身体のグルコース制御系の正常な機能とは異なり、インスリンの注 射はフィードバックのメカ ニズムがない。したがって、グルコースレベルを制御するには、インスリン注射 の適切な量および頻度を決定するために、血液のグルコース濃度を連続的に、ま たは頻繁に測定する必要がある。 従来のグルコース測定技術は、身体の都合のよい部分（通常は指先）をランセ ットで切開し、指を搾って突き刺した箇所に血液の滴を生じさせ、血液の滴を測 定装置（分析片）に付着させる必要がある。このような指の切開は、通常は測定 頻度が１日に２回から４回で、患者にとって苦痛であり、煩雑でもある。痛みお よび不便さは、多くの患者が推奨した血液グルコース測定の養生法を守らないと いう点で、測定不履行という追加の、そしてより深刻な意味を持ち、それにより 不適切なグルコースレベルという危険を冒し、その結果有害な影響が生じる。 要するに、従来の血液グルコース測定技術の本質的な制約は、患者がこの苦痛 および不便さをこうむるか、またはグルコース監視を無視して、不適切なグルコ ース管理の生理学的悪影響をこうむることになるかのいずれかである。患者の苦 痛および不便さを最小限に抑えるか、それをなくすグルコース測定技術に対する 明らかなニーズがある。 ポンプを使用して、体液を患者からグルコース検出器または他の分析計器に吸 い出す装置については記載されている。例えば、米国特許第5,161,532号はポン プを使用して、間質液を皮膚から一体型グルコースセンサに吸い出す。このシス テムは、約２００〜４００ｍｍＨｇのレベルで吸引力を生成することができるポ ンプを必要とする。ＥＰ公報第0 595 237号は、グルコースなどの血液成分を測 定する分析装置について開示するが、これも約４００ｍｍＨＧのレベルで吸引力 を生成することができる吸引ポンプを必要とする。体液も、ＥＰ公報第0.513 78 9号では吸引ポンプで皮膚を通してサンプリングされる。 さらに、超音波を局所的に適用して皮膚の透過性を高める装置について記載さ れている。超音波は角質層の表皮細胞間の脂質層を破壊し、これによって皮膚の 透過性を高めると考えられる（Mitragotriその他、J．Pharm Sci 84:697-706、1 995）。米国特許第4,767,402号、第4,780,212号、第5,115,805号、および第5,42 1,816号は、薬剤投与のために、超音波の周波数を適用するか、超音波を変調す る、またはその両方を行って皮膚の透過性を高める方法を開示する。 特に、組織の損傷を最小限に抑えながら抽出を高速化でき、 抽出速度のコントロールを向上させ、グルコースなどの身体分析物の高速で侵入 性が最小限のサンプリングを可能にするという目的で、超音波で強化した透過性 の効率を上げる改良型の静圧勾配をかける装置および方法に対する必要がまだあ る。図面の簡単な説明 第１図は、本発明の一つの実施形態を示す。 第２図は、本発明の追加の実施形態を示す。 第３図は、本発明の追加の実施形態を示す。 第４図は、本発明の追加の実施形態を示す。発明の概要 本発明は、動物の皮膚から細胞外液をサンプリングするプロセスを提供し、こ こで超音波を皮膚の領域に適用し、皮膚の同じ近傍に減圧をかけて、皮膚から滲 出する流体を収集する。超音波および低圧の印加は、順次にまたは同時に実施す ることができる。好ましい超音波源は定在波である。好ましい分析物はグルコー スである。 本発明は、動物の皮膚を通して超音波を発生する手段と、超音波の近傍で皮膚 の外表面に減圧を印加する手段と、皮膚から浸出する流体を収集する手段とを備 える、細胞外液を経皮サン プリングする装置も提供する。好ましい装置は、超音波定在波を使用し、収集し た流体を分析する分析要素を備えている。本発明の装置が収集する好ましい分析 物はグルコースである。 本発明は、超音波の近傍で皮膚の外表面に低圧を印加することを含む、動物の 皮膚で細胞外液をサンプリングする改良型装置も提供する。発明の詳細な説明 「分析物」という用語は、臨床および／または医療、環境、または産業的に重 要で、定量または定性測定が望ましいすべての化合物または元素化合物を意味す る。特定の分析物の例がよく知られ、グルコース、ヘモグロビン、脂質、コレス テロール、蛋白質など、臨床的に重要な分析物を含む。当業者には他の分析物も すぐに明白である。好ましい生物学的化合物はグルコースである。 本発明の開示は、分析物の経皮輸送を強化する装置および方法を提供する。第 １図で示すように、本発明の装置は概ね、超音波源１２、減圧源１４、身体の一 部の表面２０とともにサンプリング領域１８を含む圧力境界１６、および分析装 置２２を備えるサンプリング装置１０で構成される。あらゆる超音波源 １２が本発明での使用に適する。源は、例えば２０ＫＨｚから１ＭＨｚなど、グ ルコースの最適な抽出に適した周波数範囲で超音波エネルギーを発生することが できる超音波変換器であることが好ましい。減圧源１４は、サンプリング領域１ ８の圧力を約４００ｍｍＨｇの絶対圧力まで下げることができ、真空ポンプが好 ましい。一つの実施形態では、ポンプに、米国特許出願第（番号はまだ不明；代 理人文書第5845.US.01号、９５年１２月１８日提出）号に記載された自己作動式 ポンプなどの通常の作動機構で動力を供給する。圧力境界１６は、身体の表面２ ０に対して気密性を維持し、接着テープまたはエラストマーの輪など、この目的 に適した種々の知られている材料のいずれでもよい。サンプリング領域１８にあ る分析物の分析が提供される実施形態では、収集サンプルの分析は、サンプリン グ領域１８に隣接して、または第１図に示すように、それと接触して配置された 分析要素２２によって提供される。分析要素２２を使用して、問題の少なくとも 一つの分析物の存在または量を決定し、分析要素２２の特定の特徴は、本発明で は肝心ではない。したがって、例えば当技術分野で知られる光学的または電気化 学的センサなど、問題の分析物とともに使用するのに適した任 意の分析物検出方法、センサ、またはシステムを、分析要素２２に使用すること ができる。適切な分析装置の一例は、米国特許出願第（番号はまだ不明；代理人 文書第5843.US.01号、９５年１２月１８日提出）号に記載されているような無干 渉生物センサである。 本発明の特定の実施形態の作動は、第２図を参照して理解することができる。 超音波源１２が、身体表面２０に指向した超音波エネルギーを発生する。この超 音波エネルギーの伝達は、サンプリング領域１８内に（ゲルのような）結合媒質 を使用することによって容易にすることができる。超音波エネルギーと身体表面 ２０との相互作用が、現在の科学文献（Mitragotriその他、J．Pharm．Sci．84: 697-706、1995）に記載されたように、身体表面での皮膚の透過性を上げる。減 圧源１４が、サンプリング領域１８内の空気を除去することによって、領域１８ の圧力を低下させる。領域１８内の結合媒質の存在は、減圧源１４が領域１８内 の圧力を低下させる能力に影響を与えず、実際は、圧力境界１６と身体表面２０ との間の密封の維持を補助することによって、減圧を容易にすることに留意され たい。いかなる結合媒質も、分析装置２２の作動を妨害してはならない。 超音波エネルギーによって強化した皮膚の透過性と、組織とサンプリング領域と の間の圧力差とを組み合わせると、身体表面２０を通ってサンプリング領域への 体液の流れが強化され、そこで分析物の濃度を分析装置２２によって測定する。 本発明の第二の実施形態を第３図に示す。この実施形態では、減圧源１４が圧 力境界１６と真空接続し、超音波源１２および分析装置２２がサンプリング領域 １８に含まれる。このような配置構成は、超音波の伝達を容易にする。というの は、超音波源１２を身体表面２０と直接結合することができ、必要に応じてゲル などの結合媒質が局所的に適用されるからである。この配置構成は、分析物の測 定も容易にする。分析装置２２が結合媒質に影響されず、身体表面２０から現れ る体液を直接検出できるからである。 第三の実施形態を第４図に示す。二つ以上の超音波源１２が、サンプリング領 域１８に隣接する身体表面２０で、米国特許出願第（番号はまだ不明；代理人文 書第5867.US.01号、９６年２月２６日提出）に記載されたような定在波を発生す るよう、圧力境界１６の対向する側に配置される。減圧源１４が、サンプリング 領域１８の圧力を低下させる。皮膚の透過性を超音波 で強化することと、組織とサンプリング領域１８との間の圧力差とを組み合わせ ると、身体表面１８から流体が滲出する。ここで、分析装置で問題の分析物の濃 度を測定することができる。 本明細書で引用した参照文献はすべて、参照により組み込まれる。本発明につ いて、好ましいおよび／または代替実施形態に関して述べてきた。本発明の真の 範囲および精神から逸脱することなく、当業者にはこれらの実施形態に行える変 更、改変または修正が容易に理解される。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 シヤピラ，トーマス・ジイ アメリカ合衆国、ウイスコンシン・53104、 ブリストル、ワンハンドレツドセブンス・ ストリート・21616 (72)発明者 ヘニング，テイモシー・ピー アメリカ合衆国、イリノイ・60061、バー ノン・ヒルズ、シエフイールド・レイン・ 189

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．動物の皮膚から細胞外液をサンプリングする方法であって、 ａ）超音波を皮膚の一領域に適用するステップと、 ｂ）減圧を皮膚の規定された領域に印加するステップと、 ｃ）浸出液を収集するステップとを含み、 ステップ（ａ）および（ｂ）を順次に、または同時に実施することができる方 法。 ２．超音波が定在波である、請求の範囲第１項に記載の方法。 ３．さらに、分析物の存在または量について浸出液を分析するステップを含む、 請求の範囲第１項に記載の方法。 ４．分析が光学的または電気化学的方法で実施される、請求の範囲第３項に記載 の方法。 ５．分析物がグルコースである、請求の範囲第４項に記載の方法。 ６．細胞外液を経皮サンプリングする装置であって、 ａ）動物の皮膚を通して超音波を発生する手段と、 ｂ）超音波の近傍で皮膚の外表面に減圧を印加する手段と、 ｃ）皮膚から浸出した流体を収集する手段とを備える装置。 ７．超音波が定在波である、請求の範囲第７項に記載の装置。 ８．さらに、分析物の存在または量について浸出液を分析する分析要素を備える 、請求の範囲第６項に記載の装置。 ９．分析が光学的または電気化学的方法で実施される、請求の範囲第８項に記載 の装置。 １０．分析物がグルコースである、請求の範囲第９項に記載の装置。 １１．ａ）超音波を皮膚の表面に適用するよう指向された超音波変換器と、 ｂ）皮膚から浸出した流体を吸収するよう配置された吸収材料と、 ｃ）分析物の存在または量について流体を分析する手段とを備えた、動物の皮 膚で細胞外液をサンプリングする装置において、 超音波の近傍で皮膚の外表面に減圧を印加することを含むことを特徴とする装置 。