JPH05117760A - 食缶用薄鋼板の製造方法 - Google Patents

食缶用薄鋼板の製造方法

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JPH05117760A
JPH05117760A JP28457591A JP28457591A JPH05117760A JP H05117760 A JPH05117760 A JP H05117760A JP 28457591 A JP28457591 A JP 28457591A JP 28457591 A JP28457591 A JP 28457591A JP H05117760 A JPH05117760 A JP H05117760A
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steel sheet
thin steel
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food
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JP28457591A
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Hideo Kukuminato
英雄 久々湊
Hisakatsu Kato
寿勝 加藤
Chikako Fujinaga
千香子 藤長
Akio Tosaka
章男 登坂
Masanobu Ochiai
政信 落合
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】深絞り加工性が非常に良好で、熱可塑性樹脂フ
ィルムを被覆した絞り比の大きい食缶製品が良好に生産
できる食缶用薄鋼板の製造方法を提供する。 【構成】錫めっき層にナイロンフィルムを接着剤を介し
て被覆するフィルム被覆薄鋼板用の原板として、低炭素
アルミキルド鋼を用いて中温巻取り,高温焼鈍して製造
したものを使用する。これにより、プレス加工性が良好
で、かつ時効効果による缶強度も大きい食缶を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂フィルム
をラミネートした後、深絞り加工で製缶される高耐食性
食缶用薄鋼板の製造方法に係り、特に深絞り加工性に優
れた食缶用薄鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】食缶としては、胴部と底部が一体となっ
た部品と蓋とからなる2ピース缶が多い。この2ピース
缶は次のような工程で製造される。 錫めっきされた鋼帯を所定寸法のシートに切断し
て、ぶりきシートを得る。
【0003】 次に、シートの片面に熱硬化性樹脂を
塗布し焼付炉にて焼き付ける。この時シートは非塗装面
を支持具に立て掛けた状態で熱処理される。熱硬化性樹
脂としては、エポキシ樹脂をベースにしてフェノール系
樹脂,ユリア系樹脂,エステル系樹脂などを硬化剤とし
て配合したものが一般に使用されており、焼付炉での温
度条件は180 〜220 ℃×10〜20分である。このようにし
て一方の面の塗装・焼付けが完了すると、もう一方の面
の塗装・焼付けが同様に行われる。
【0004】 次に、缶外面に相当する面に印刷・焼
付けが施される。この印刷・焼付けは上記塗装・焼付け
と同じ要領で行われる。 次いで、プレス加工,DP(Drawing an
d Pressing)加工,DRD(Drawing
and Redrawing)加工,DTR(Dra
wing and Thin Redrawing)加
工などによる成形加工を行って、缶胴と缶底とが一体と
なった缶体を得る。
【0005】 これに内容物を充填した後、別途製造
された蓋が取付けられる。前述のように、ぶりきシート
には熱硬化性樹脂が塗装されて180 〜220 ℃×10〜2 0
分という長時間の熱処理(焼付け)が施される。この
時、塗装膜は三次元の網目構造となって、充填物に対し
て耐透過性(バリヤー性)に優れたものとなり耐食性を
発揮する。
【0006】しかし、このような熱硬化性樹脂塗膜を施
した耐食性食缶用薄鋼板は、成形加工性の点で問題があ
った。すなわち、プレス加工などの成形加工を施すと、
塗膜に微細なき裂が発生したり損傷を受けたり、或いは
塗膜が剥離したりすることがあり、その結果耐食性を十
分に発揮できなくなることがしばしばあった。具体的に
は、腐食性の強い内容物を充填すると黒変(SnS)や
黒点(FeS)が発生することがある。特に、液状,ゲ
ル状の食品類を保存する場合には、缶体内面に1点の塗
膜欠陥が存在してもこの部分からの缶体金属素材の腐食
が進行し、内容食品のフレーバ低下や保存性の低下をき
たすとともに、加熱殺菌,熱水処理を施すと更に悪化
し、商品価値を失ってしまう。このような成形加工性の
悪さは、塗料として熱硬化性樹脂を使用していることに
原因がある。すなわち、耐食性を得るためには熱硬化性
樹脂のポリマー中にある未反応官能基を反応させてポリ
マー間の橋かけにより分子構造を三次元の網目構造とし
なければならず、そのために長時間の熱処理を必要とす
る。この焼付処理による熱硬化で加工性が悪くなり、ク
ラック等の欠陥が発生し易くなるものと思われる。
【0007】また、塗装に際しては前述したようにぶり
きシート毎に、しかも表裏の各面毎に180 〜220 ℃×10
〜20分もの長時間の熱処理を行うので、生産性も非常に
悪い。これに対して、上述の熱硬化性樹脂層の代わりに
熱可塑性ポリエステル樹脂フィルムを金属面に接着させ
るようにした被覆金属構造物の製造法が特開昭52−6
5588号に開示され、また、特開平1−145137
号,特開平1−192545号には、ぶりき板にポリエ
ステルフィルムを特定の温度条件の下に熱圧着した複合
鋼板の製法が、更に特開平1−180336号にポリブ
チレンテレフタレートフィルムを熱接着した後に急冷す
る複合鋼板の製造法がそれぞれ提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の熱可塑性樹脂フィルムを被覆した薄鋼板にプレス
加工を施して2ピース缶を製造しようとしても、絞り比
の大きい製品を得ることは困難であった。すなわち、熱
可塑性樹脂フィルムを被覆した薄鋼板は、一定の絞り限
界を越えるとポンチ頭部周辺での素材の破断を生じやす
く、また絞り比が大きくなるとフィルムの剥離,破断,
クラック,白化等の欠陥が生じやすくなっり、ひいては
缶内容物への金属溶出や缶体の孔食等の腐食がを招くと
いう問題点があった。
【0009】その対応策として、フィルム被覆上に滑剤
を塗布して絞り加工性を向上することも考えられるが、
塗膜の滑剤を脱脂することが困難である上に、フィルム
被覆上に残存した滑剤が、微妙な風味を生命とする食品
のフレーバーを損ない易いという致命的な欠点がある。
また、ダイフェースに良質の潤滑剤を塗布して摩擦抵抗
を低下させるという手段は、材料流入が増大するから破
断に対して有利に作用するが、反面、フランジ部に働く
張力が小さくなっていわゆる“しわ”が発生しやすくな
る。更に、ポンチ面に働く張力も小さくなってスプリン
グバックが増大したり、面ひずみなどの不良現象が発生
しやすくなる。その結果、一定の缶形状が得られず不揃
いな食缶製品となってしまい工業生産には適さない。
【0010】そこで本発明は、上記従来技術の問題点に
鑑みてなされたもので、成分組成,熱処理条件を所定の
範囲に規制することにより、深絞り加工性が格段に向上
し、熱可塑性樹脂フィルムを被覆した絞り比の大きい食
缶製品が良好に生産できる食缶用薄鋼板の製造方法を提
供して、上記従来の問題点を解決することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、C;0.05%以
下(重量比、以下同様)、Si;0.02%以下、Mn;0.
05〜0.3 %、S;0.02%以下、P;0.01%以下、Al;
0.1 %以下、N;0.01%以下で残部が実質的にFeより
なる連続鋳造鋼片に、仕上げ温度は常法通り、巻取り温
度は600〜660℃として熱間圧延を施し、次いで常
法で酸洗、冷間圧延を順次施し、その後、再結晶温度以
上720℃以下の温度で連続焼鈍を施してから常法で調
質圧延を施すことを特徴とする。
【0012】
【作用】C;0.05%以下と低炭素量とすることにより結
晶粒径が大きくなり、鋼板の深絞り性を支配するr値
(ランクフォード値)および伸びが大きくなる。さらに
熱間圧延時の巻取り温度を高くして自己焼鈍で結晶粒の
粗大化を図る。加えて、連続焼鈍を再結晶温度以上の7
20℃の高温で行なって冷間圧延後の結晶粒の粗大化を
はかる。
【0013】また、Pの含有量を0.01%以下と従来より
低減させることで、再結晶温度が低下し、720℃での
焼鈍を行っても結晶粒の成長が促進される。また、Al
含有量を0.1 %以下、N含有量を0.01%以下とすること
で、AlNの析出が抑制されて固溶Nの残存量が多くな
り、降伏強さが増加して製缶加工後の缶強度が大きくな
る。もっとも、そのためには熱間圧延時の巻取り温度は
出来るだけ低くすることが好ましい。そこで前記の結晶
粒粗大化との間をとって、熱間圧延時の巻取りは600
〜660℃の中温度で行う。
【0014】以下、更に詳細に説明する。本発明者ら
は、従来の熱硬化性樹脂をシートコートした薄鋼板であ
れば深絞り加工が可能であったにもかかわらず、熱可塑
性樹脂フィルムを被覆した薄鋼板の場合には深絞り加工
が困難な原因を検討した。その結果、この問題は潤滑の
影響によると考えるに至った。すなわち、深絞り成形に
おける破断限界は、次のようにフランジ部の絞り抵抗と
パンチ肩部の破断抵抗の大小関係によって決まる。
【0015】パンチ肩部の破断抵抗>フランジ部の絞り
抵抗の場合は成形可能 パンチ肩部の破断抵抗<フランジ部の絞り抵抗の場合は
破断する ここで、パンチ肩部の破断抵抗=薄鋼板の破断抵抗+パ
ンチ肩部の摩擦抵抗 フランジ部の絞り抵抗=薄鋼板の縮みフランジ抵抗+ダ
イ肩R部を含むダイフェース面での摩擦抵抗 従って、同じ薄鋼板でも、ダイフェース面のみ潤滑性を
良くすると、その面での摩擦抵抗が減少してフランジ部
の絞り抵抗が減少することとなり、成形限界は改善され
る。反対に、パンチ面のみ潤滑性を良くした場合は、パ
ンチ肩R部の摩擦抵抗が減少してパンチ肩部の破断抵抗
が減少することとなり、成形限界は低下すると考えられ
る。
【0016】以上のことから、熱可塑性樹脂フィルムを
被覆した薄鋼板の深絞り加工性が悪い理由は、缶内面側
に滑りのよい熱可塑性樹脂フィルムを貼付したことが原
因と考えられた。そこで、熱硬化性樹脂をシートコート
(約5μm厚さ)した薄鋼板と熱可塑性樹脂フィルムを
被覆(20μm厚さ)した薄鋼板との摩擦抵抗を比較す
るべく、摺動試験を実施して表1の結果を得た。
【0017】
【表1】
【0018】この結果から、ぶりき面あるいは熱硬化性
樹脂の塗膜被覆面に比べて熱可塑性樹脂フィルム被覆面
の摩擦抵抗の方が小さいことがわかる。こうして、熱可
塑性樹脂フィルムを被覆した薄鋼板は、パンチ肩R部の
摩擦抵抗が小さくなって、成形限界が低下することが裏
付けられた。そこで、本発明者らは、熱可塑性樹脂フィ
ルムを被覆した薄鋼板の成形限界を改善することを意図
して更に研究を重ねた。一般に、薄鋼板の深絞り性は、
主としてr値(ランクフォード値)によって支配され、
降伏点や抗張力などの強度や延性(伸び)の影響葉は小
さいと言われている。しかし、熱可塑性樹脂フィルムを
被覆した薄鋼板にあっては、深絞り加工で2ピース缶を
成形する場合の絞り比を大きくするのに、r値のみでな
く、伸びが大きいことも必要であることが判明した。
【0019】これに加えて、成形された食缶としての商
品価値の点から缶の衝撃強度が重要であり、そのために
は、製缶材料である薄鋼板の降伏強度が大きいことが必
要である。しかし、r値が大きく,伸びが大きい薄鋼板
は一般に降伏強度が小さくなるものであって、r値が大
きく,伸びが大きく,そのうえ降伏強度も大きい薄鋼板
の実現は、冶金的には矛盾する要求といえる。
【0020】本発明者らは、こうした矛盾の解決の可能
性を求めて、更に、成分の異なる低炭素Alキルド鋼を
基礎に、熱間圧延条件,焼鈍条件を種々に変化させた薄
鋼板を製造して、硬さ,伸び,r値およびぶりき単体の
LDR(LimitingDrawing Rati
o:限界絞り比),ぶりきにナイロン6フィルム(20
μm厚さ)を被覆したもののLDR等を調べて検討を加
えた。その結果、薄鋼板の成分組成,炭化物結晶の粗大
化,熱間圧延条件,焼鈍条件と成形限界との関係につい
て種々の知見を得ることができ、その知見に基づいて本
発明に到達したものである。
【0021】先ず、本発明の食缶用薄鋼板の元素含有量
の臨界的意義について説明する。 C;0.05(重量)%以下 r値が大きく,伸びが大きい薄鋼板を得るには、結晶粒
径を大きくすることが先決である。再結晶の核となるC
量が少ない程結晶粒径は大きくなり、連続焼鈍法でも軟
質で深絞り加工性に優れた原板が得られる。しかしあま
りに軟質な薄鋼板で2ピース缶を深絞り加工法で製缶し
ても、缶強度が弱いため変形し易くなり商品価値が無
い。そこで本発明の薄鋼板のC量は、真空脱ガス処理を
施して得られるような極低炭素鋼程にはせずに、底吹転
炉法で得られる範囲の0.05%以下とする。ただし、この
範囲のC含有量では、常法での深絞り加工は困難で、後
述の冷間圧延後の連続焼鈍での高温焼鈍と併用すること
により結晶粒粗大化の促進を図るものである。 Si;0.02%以下 Siは、ぶりきの耐食性を劣化させる元素であり、いか
に耐食性に優れた熱可塑性樹脂フィルムを被覆した薄鋼
板といえども0.02%以下にする必要がある。 Mn;0.05〜0.3 % Mnは熱延コイルの耳割れ発生を防止するために添加す
る。しかし、添加量がが0.05%より少ないと耳割れ発生
を防止できない。一方、0.3 %を越えるて添加すること
は不経済である。 S;0.02%以下 SはMnとの関係において過剰に含有すると熱延コイル
の耳割れを生成させ、またS系介在物が多くなり好まし
くない。よって0.02%以下にする。 P;0.01%以下 Pはぶりきの耐食性を劣化させる元素であるから過剰の
含有は好ましくない。従来は0.02%以下とされるが、本
発明の場合は、深絞り加工性を改善するべく結晶粒径の
粗大化を図ることを要点にしており、その見地から結晶
粒の成長を促進させるため0.01%以下に限定する。これ
により、再結晶完了温度を従来より約40℃低下させる
ことができ、後述の高温連続焼鈍を行っても結晶粒の成
長が促進される効果が得られて、結晶粒径の粗大化に寄
与することができる。
【0022】なお、Pの含有量をこのように低減させる
ことも、最近の製鋼技術の進歩で大きな経費をかけずに
容易に可能になっている。 Al;0.1 %以下 Alは固溶NをAlNとして析出させるに必要な元素で
あるが、本発明にあっては固溶Nを多く残存せしめるこ
とにより缶強度の増加を図っている。そこでAlは0.1
%以下に限定して、固溶Nによるひずみ時効硬化を助け
る。 N;0.01%以下 Nは鋼中に固溶してひずみ時効硬化を促進できる元素
で、有効な成分である。本発明の鋼においては、固溶N
として多く残存していることが、製缶加工後に時効効果
により降伏強度ひいては缶強度を増大させる点で好まし
い。そこで、製鋼工程でN量を多く添加し、Al添加量
を上述の如く少なくしてAlNの析出を抑えることによ
り、固溶Nの残存量を多くする。
【0023】続いて、本発明の食缶用薄鋼板の製造にお
ける熱間圧延工程、冷間圧延後の連続焼鈍工程での処理
温度の臨界的意義について説明する。 熱間圧延時の巻取り温度;600〜660℃ 本発明の製造方法においては、連続鋳造鋼片に熱間圧延
を施す際の仕上げ温度は常法通りAr3 変態点以上であ
るが、巻取り温度は上記の中温度の範囲に限定する。そ
の理由は次の通りである。スラブ中に存在したAlNを
AlとNとに分解固溶せしめて前記AlNの析出を抑制
を促し、多くの固溶Nの残存、ひいては缶強度を増大を
果たすためには、できる限り低温度で巻き取ることが望
ましい。一方、結晶粒を粗大化してr値が大きく,伸び
が大きい薄鋼板を得るには、高温度で巻き取ることが望
ましい。結晶粒の粗大化を優先させつつ、このように相
矛盾する要求をともに満足し得る条件を検討した結果、
熱間圧延時の巻取り温度は600〜660℃の中温度の
範囲とすることが最適であることが判明した。かくし
て、AlNが析出し過ぎないように必要な固溶N量を残
存させ、しかも巻取り後の自己焼鈍で粒径成長を促進せ
しめることが可能になった。
【0024】660℃を越える高温で巻取りを行うと自
己焼鈍でのばらつきが大きくなり好ましくない。また、
スケール損が多くなって不経済である。一方、600℃
未満の低温巻取りでは固溶Nの残存量は多いが、結晶粒
径の粗大化は促進されない。 連続焼鈍温度;再結晶温度以上720℃以下 連続焼鈍は、圧延組織を再結晶および粒成長させて材質
を改善するのに重要な工程である。焼鈍は、高温短時間
焼鈍が結晶粒の粒成長を促して粗大化を図るのに有利で
あり、且つ経済的でもある。しかし、720℃を越える
高温焼鈍は、パーライトが析出して硬質化するゆえ避け
なければならない。本発明の再結晶温度は、先に述べた
ように、P含有量を低減することにより従来より低い値
となる。
【0025】かくして、本発明の製造方法によれば、成
分を調製するとともに、中温度巻取り、高温度焼鈍を行
うことにより、r値が大きく且つΔr値(ランクフォー
値の面内異方性)が小さく、伸びが大きく、しかも降伏
強度が大きいという相矛盾する要求を満たした食缶用薄
鋼板を得ることが可能である。その結果、深絞り加工性
が格段に向上し、従来のように成形加工時にポンチ頭部
周辺での素材の破断を生じたり、絞り比が大きくなると
フィルムの剥離,破断,クラック,白化等の欠陥が生じ
ることがなく、また成形時に“しわ”が発生したり、ス
プリングバックが増大したりすることもなく、絞り比の
大きいフィルムラミネート食缶製品が良好に生産できる
ようになった。
【0026】
【実施例】溶銑予備脱燐を施した溶銑を底吹き転炉に装
入し、底吹き酸素ガスと共に脱燐剤を吹き込んで精錬を
行い、C含有量0.05重量%以下、P含有量0.01%以下と
した。これを取鍋に移した後、Al線でAlを投入し
た。また、缶強度を維持するのに必要なNを残存せしめ
るためにNガスを混入させ、表2に示す成分組成の複数
種のAlキルド鋼を得た。これを用いて連続鋳造機で鋼
片を製造し、これらの鋼片を熱間圧延した。仕上げ温度
は860℃,巻取り温度は中温とし、それぞれ2.0 mm厚
さの熱延コイルとなした後、酸洗して脱スケールを行っ
た。次に、6スタンドタンデム冷間圧延機にて圧下率9
0%で冷間圧延して板厚0.2 mmの薄鋼板を得た。続い
て、この鋼板の連続焼鈍を720℃×10秒の条件で行
い、常法で調質圧延を行って原板を仕上げた。この原板
に、ハロゲン方式の電気錫めっきラインで、#25(2.
8 g/m2) の錫めっき及びリフロー処理(溶錫化処理),
クロメート処理を連続して施し、ぶりきに仕上げた。
【0027】
【表2】
【0028】なお、表2中の数値に下線を施したもの
は、本発明の請求項に示した範囲から外れていることを
示し、比較鋼のものである。上記の薄鋼板に、フィルム
ラミネータを用いて接着剤方式でナイロン6フィルム
(20μm厚)を貼り付けてフィルムラミネート薄鋼板
とした。こうして得たフィルムラミネート薄鋼板から所
定の大きさの供試材を採取して材料試験を行った。同時
に、2ピース缶にプレス加工成形して、得られた缶の強
度評価を実施した。
【0029】測定結果を表3に示す。表3中、LDRは
ブランク径を120mm一定として、ポンチとダイスの径
を段々に小さくしながら破断に到るまで数回にわたって
プレス加工を行い、次の式により算出した。 LDR=加工前の径(ブランク径)/加工後の径 また、2ピース缶としての評価を行う際、缶の衝撃強度
が重要になる。すなわち、缶同士が衝突したり、缶が落
下した際に大きく変形すると商品価値がなくなる。深絞
り缶であるからプレス加工で硬化はしているが、3ピー
ス缶に比べて缶体構造的に強度が小さいことは避けられ
ない。3ピース缶は胴に天地板が二重巻き締めしてある
から、その缶強度は十分に大きく取れる。これに対し
て、2ピース缶は天蓋は二重巻き締め構造であるが、底
部はプレス加工体のため弱い。今回は、得られた2ピー
ス缶に水を一杯に満たしたものを、30cmの高さから落
下させて凹みの程度で衝撃強度を評価した。表3の缶強
度の欄において、×印は凹みが大きく見るに耐えないも
の、△印は若干凹んだもの、○印は殆ど凹まないもので
ある。
【0030】
【表3】
【0031】本発明鋼は、過酷な試験評価を行ったにも
かかわらず良好な結果が得られた。一方、比較鋼の場合
は、製缶前のフィルムラミネート鋼板での機械的性質あ
るいは缶強度が劣っており、総合評価は全数が不良であ
った。なお、上記実施例ではぶりきに適用したが、クロ
ムめっき鋼板にも適用することができる。
【0032】また、本発明の製造法による食缶用フィル
ムラミネート鋼板は2ピース缶用に限らず、3ピース缶
用にも適用できる。また、本発明の製造法はフィルムを
表裏両面に貼り付ける食缶用薄鋼板の製造にも適用でき
る。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、成分調製,中温度巻取
り,高温度焼鈍を併用することにより、深絞り加工性が
格段に向上し、時効硬化で缶強度も大きい絞り比の大き
なフィルムラミネート食缶製品が良好に生産できるとい
う効果が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤長 千香子 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (72)発明者 登坂 章男 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (72)発明者 落合 政信 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社千葉製鉄所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C;0.05%以下(重量比、以下同様)、
    Si;0.02%以下、Mn;0.05〜0.3 %、S;0.02%以
    下、P;0.01%以下、Al;0.1 %以下、N;0.01%以
    下で残部が実質的にFeよりなる連続鋳造鋼片に、仕上
    げ温度は常法通り、巻取り温度は600〜660℃とし
    て熱間圧延を施し、次いで常法で酸洗、冷間圧延を順次
    施し、その後、再結晶温度以上720℃以下の温度で連
    続焼鈍を施してから常法で調質圧延を施すことを特徴と
    した食缶用薄鋼板の製造方法。
JP28457591A 1991-10-30 1991-10-30 食缶用薄鋼板の製造方法 Pending JPH05117760A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112157135A (zh) * 2020-09-07 2021-01-01 山东钢铁集团日照有限公司 一种热水器水箱外板用经济型冷轧钢板的生产方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112157135A (zh) * 2020-09-07 2021-01-01 山东钢铁集团日照有限公司 一种热水器水箱外板用经济型冷轧钢板的生产方法

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