JPH0511485A

JPH0511485A - 像保持部材及びその製造方法

Info

Publication number: JPH0511485A
Application number: JP19067591A
Authority: JP
Inventors: Yuichi Yashiki; 雄一矢敷
Original assignee: Fuji Xerox Co Ltd
Current assignee: Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date: 1991-07-04
Filing date: 1991-07-04
Publication date: 1993-01-22

Abstract

(57)【要約】【目的】複写時の静電コントラストが高い像保持部材
を提供する。更に、比較的高価な導電性粒子の使用量を
減少させることにより、像保持部材の製造価格を低下さ
せる。【構成】導電性表面を有する基体上に、電荷発生層を
形成し、その上に、電荷輸送物質と熱軟化性樹脂を含有
する熱軟化層を形成してなり、該熱軟化層の表面近傍に
導電性粒子と絶縁性粒子とが埋め込まれて形成された粒
子層を設けてなることを特徴とす像保持部材。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、熱軟化性樹脂中の粒子
の移動により画像情報を記憶する像保持部材及び、その
製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の電子写真複写法は、電子写真感光
体に対して、表面を一様に帯電した後、画像露光を行っ
て、像様に表面電位を減衰させ、次いで、トナー現像
し、用紙に転写するカールソン方式が一般的な方法とし
て、広く応用されている。しかしながらこの方式では、
画像を一枚複写するごとに、一回ずつ露光をしなければ
ならない。そのため、高速度の複写は、装置が複雑化
し、大型化するという問題があった。

【０００３】この点を改善するために、画像情報を電子
写真感光体に記憶させ、１回の画像露光により多数枚の
複写を得る方式が提案されている。例えば、特開昭５３
ー１０２０３７号や特開平２ー２６９３５７号公報に
は、特定の化合物を感光層に添加して、持続性感光体を
得ることが記載されている。しかしながら、画像情報の
記憶時間、複写時のコントラスト等の点で、満足なもの
は得られ難い。一方、米国特許第４８８３７３１号明細
書には、感光性粒子が熱軟化層の内部に移動して、画像
情報を記憶し、多数枚の複写を行う電子写真方式が記載
されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記の電子写真法は、
一回の画像露光で、多数枚の複写を行う場合に非常に好
ましい方法である。しかしながら、感光性粒子として、
セレンが使用されているため、分光感度がセレンに支配
されるという欠点がある。図１０は、感光層の分光感度
特性を示すグラフであり、Ｂがセレンを用いた感光層の
分光感度曲線である。近年、画像露光の光源として、像
様に変調されたレーザー光を回転反射鏡で操作する方式
が電子技術の進展に伴って広く普及しており、この場合
のレーザー光源としては、波長７８０ｎｍのレーザーダ
イオードを用いることが一般的に行われている。しかし
ながら、図１０から明らかなように、セレンを用いた感
光層は７８０ｎｍに感度を有しないので、この様なレー
ザー光によって画像書き込みを行うことができないとい
う欠点を有している。

【０００５】この点を改善するため、本発明者は、セレ
ンを用いる代わりに、感光性は電荷発生層に持たせ、導
電性粒子を熱軟化層内部に移動させる像保持部材を提案
した。（特願平０３ー６９４４２号）その概略を示す。
図５はその像保持部材の模式的断面図である。１０は像
保持部材であって、基体１の上に導電層２が形成され、
その上に、電荷発生層３がもうけられている。さらにそ
の上に、電荷輸送物質と熱により軟化する熱軟化性樹脂
とからなる熱軟化層４がもうけられている。熱軟化層４
の表面近傍には、導電性粒子５が埋め込まれて、導電性
粒子層を形成している。

【０００６】基体としては、例えばプラスチックフィル
ム、紙、金属箔、ガラス等、電子写真感光体において使
用できるものならば、如何なるものでも使用可能であ
る。またその形状も特に制限されるものではなく、任意
の形状のものが使用可能である。基体は、少なくとも導
電性表面を有していなければならない。導電性表面は、
導電層を設けることによって形成していてもよい。導電
層は、電荷が自由に流れるものであれは、如何なるもの
でもよく、例えば、金属膜を蒸着法、スパッタリング
法、プラズマＣＶＤ法、メッキ法等の方法で形成した
り、金属や低抵抗の金属酸化物等の導電性粒子を樹脂な
どに分散した導電性塗料を塗布してもよい。また基体
が、導電性である場合には、導電層を形成する必要はな
い。下引き層は、接着性の向上や帯電性の向上、画質の
向上等のために、下引き層を設けてもよい。

【０００７】基体の導電性表面の上に設けられる電荷発
生層は、通常に機能分離型電子写真感光体に置いて使用
される電荷発生層と全く同じものが用いられる。すなわ
ち電荷発生材料として、金属又は無金属フタロシアニン
等のフタロシアニン顔料、スクエアリウム化合物、アズ
レニウム化合物、ペリレン顔料、インジゴ顔料、キナク
リドン顔料、アントアントロン、臭素化アントアントロ
ン、ピランスロン、フラバンスロン等の多環キノン類、
シアニン色素、キサンテン染料、ポリーＮービニルカル
バゾールとトリニトロフルオレノンなどからなる電荷移
動錯体、ピリリウム染料とポリカーボネート樹脂からな
る共晶錯体等を使用し、それを結着樹脂および必要に応
じて電荷輸送材料と共に、分散し、塗布することによっ
て形成すればよい。また、上記電荷発生材料を蒸着した
膜や、非晶質ケイ素の蒸着膜等も有効である。さらにま
た、近年開発されている特定の結晶構造を有するチタニ
ルフタロシアニン又はビスアゾ顔料などを使用すること
も可能である。電荷発生層の膜厚は、通常０．１〜２μ
ｍの範囲に設定される。

【０００８】熱軟化層に用いられる電荷輸送物質として
は、電子写真感光体における電荷輸送層に使用されるも
のであれば、如何なるものでも使用することができる。
例えば、アントラセン、ピレン、フェナントレン等の多
環芳香族化合物、インドール、カルバゾール、イミダゾ
ール等の含窒素複素環を有する化合物、ピラゾリン化合
物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、ト
リフェニルアミン化合物、スチルベン化合物、ベンジジ
ン化合物、トリニトロフルオレノン、キノン化合物等が
あげられる。熱軟化性樹脂としては、ガラス転移点（Ｔ
ｇ）が３０〜９０°Ｃで、Ｔｇ以上の温度における粘度
が１０²〜１０⁶ポイズであるような熱可塑性樹脂が好ま
しく用いられる。例えば、ポリエチレン、塩化ビニル樹
脂、ポリプロピレン、スチレン樹脂、ＡＢＳ樹脂、ポリ
ビニルアルコール、アクリル樹脂、アクリロニトリルー
スチレン型樹脂、塩化ビリニデン、ＡＡＳ（ＡＳＡ）樹
脂、ＡＥＳ樹脂、繊維素誘導体樹脂、熱可塑性ポリウレ
タン、ポリビニルブチラール、ポリー４ーメチルペン
テンー１、ポリブテン１、ロジンエステル樹脂等があげ
られ、中でもスチレンーアクリル酸エステル共重合体、
ステレンーアクリル酸エステルーアクリル酸の三元重合
体は、特に好適である。熱軟化層の膜厚は、通常、３〜
１５μｍの範囲に設定される。

【０００９】熱軟化層の表面近傍、即ち、表面から導電
性粒子の直径の数倍以内の間に、導電性粒子の単層又は
複数層が形成される。導電性粒子のサイズは、０．０５
〜１μｍの範囲のものが好ましい。導電性粒子のサイズ
が大きすぎると、導電性粒子が移動し難くなり、また小
さすぎると帯電し難くなり、好ましくない。また、導電
性粒子は、薄膜状の形状の場合には、移動が困難になる
ので好ましくない。導電性粒子を構成する導電性材料と
しては、カーボンブラック、よう化銅、よう化銀、硫化
亜鉛、炭化ケイ素等の他、金属酸化物が好ましく使用さ
れる。特に、酸素欠陥を含む金属酸化物、および用いら
れる金属酸化物に対してドナーを形成する異種原子を少
量含む物などは、導電性が高いので、即ち、電子正孔対
を多く含有するので好ましい。金属酸化物の例として
は、ＺｎＯ、ＳｎＯ₂、ＴｉＯ₂、Ｉｎ₂Ｏ₃、ＭｏＯ
₃等、あるいはこれらの複合酸化物があげられ、異種原
子を含む例としては、ＺｎＯに対してはＡｌ、Ｉｎな
ど、ＴｉＯ₂に対してはＮｂ，Ｔａなど、ＳｎＯ₂に対し
てはＳｂ，Ｎｂ，Ｉｎ，ハロゲン元素等の異種原子を含
むものがあげられる。これら異種原子の添加量は、０．
０１〜３０モル％の範囲が好ましく、１〜１０モル％の
範囲が特に好ましい。

【００１０】これらの導電性粒子を熱軟化層の表面近傍
に埋めこんで導電性粒子層形成する方法としては、蒸着
法（抵抗加熱、電子ビーム加熱）、イオンプレーティン
グ法、グロー放電スパッタ法、イオンビームスパッタ法
等が利用できる。例えば、蒸着法の場合、熱軟化層を加
熱することによって軟化した状態にしておき、導電性材
料を、１０〜１０^-3Ｔｏｒｒの低圧下で蒸発させればよ
い。それによって導電性材料は熱軟化層表面で凝集し、
１〜０．１μｍの粒径を有する微粒子状態となって、そ
の粒子が、単層状、或いは複数層状に整列した状態で、
熱軟化層表面の近傍に埋め込まれる。また、ポリエステ
ル等のプラスチックフィルムへ透明導電性膜を形成する
方法として知られているグロー放電スパッタ法は、その
まま、本発明の像保持部材の作製に使用できる。この場
合も、熱軟化性樹脂を加熱しておくことにより、導電性
材料が微粒子状になって表面近傍に導電性粒子層が形成
される。導電性粒子層を熱軟化層表面近傍に形成する他
の方法として、導電性粒子を熱軟化層形成用の塗布液と
同一組成の塗布液に分散させておき、その分散液を熱軟
化層の上に塗布する湿式法を適用することができる。こ
の場合、分散液を塗布した際に、下層に存在する熱軟化
層が溶解しないよう、分散液の塗膜を速やかに乾燥させ
ることが必要である。このようにして、断面が図５に示
されるような像保持部材が得られる。

【００１１】次に、上記のように作成された像保持部材
に像情報を記憶させる像形成方法について、図面を参照
して説明する。図６〜図８は、像形成方法を説明する図
面であって、まず、図６に示すように、像保持部材１０
に対して、コロナ帯電器６０を相対的に移動させて、表
面に負の帯電を施す。それによって、上記した導電性粒
子は、常温で電子正孔対を有しており、直ちに表面の負
電荷に対して正孔が放出されて、電荷輸送物質を通じて
表面電荷を中和する。そして、導電性粒子の内部には、
負電荷が残留する。なお、その際、表面電位を測定する
と、導電性粒子が存在しない場合に比べて、８０〜９５
％程度になっている。次に、図７に示すように、画像露
光を行う。６１は電荷発生層を感光させる光であって、
これは十分に薄い導電性粒子層を通過して、その大部分
が電荷発生層３に到達する。ダイオードレーザー光の場
合には、電子的手段で像様に変調させて露光させるが、
その際には、現像剤を付着させる部分に光を当てればよ
い。それによって、電荷発生層から正電荷が熱軟化層に
注入され、層中を輸送されて、導電性粒子の負電荷を中
和する。一方、光が当たらなかった部分の導電性粒子に
は、負電荷が残っている。

【００１２】その後、図８に示すように、像保持部材
を、熱６２によって加熱する。加熱方法としては、加熱
ローラーに通す方法、加熱容器に入れる方法、熱線によ
り加熱する方法等の任意の方法が採用でき、Ｔｇ以上の
温度に数秒間加熱する。それにより負電荷が残留してい
た導電性粒子は、軟化して粘度が低下した熱軟化層中
を、静電引力により、電極となる基体側に移動してい
る。一方、加熱により、熱軟化層の電気抵抗が低下し
て、導電性粒子の電荷は、急激に自然放電するので、導
電性粒子が全て電極側に移動することはなく、粒子の大
きさ、電荷密度のばらつき等により、熱軟化層中にまば
らに分布して停止する。このようにして、移動した導電
性粒子（移動粒子５２）を含有する部分が形成される。
次いで、像保持部材を常温に戻せば、画像情報が記憶さ
れた像保持部材２０が得られる。なお、導電性粒子が移
動した部分は、光の透過率が大きくなるので、肉眼でも
濃淡の差を確認するが可能である。

【００１３】次に、上記のようにして画像情報が記憶さ
れた像保持部材を用いて複写物を得る電子写真方法につ
いて説明する。図９に示すように、画像情報が記憶され
た像保持部材に対して、その全面に負の帯電を施す。そ
れにより、移動しなかった導電性粒子（非移動粒子５
１）が存在する部分は、図６に示す場合と同様に、導電
性粒子に負電荷が残留し、表面電位は、導電性粒子が存
在しない場合の８５〜９５％程度になる。一方、移動し
た導電性粒子（移動粒子５２）が存在する部分では、電
極に近い方の粒子から次々に正電荷が注入されて、表面
側の負電荷を中和して行き、結果的に、表面電位は、導
電性粒子が存在しない場合に比べて、０〜２０％と、非
常に低くなる。したがって、一様な全面負帯電のみで、
画像に応じた静電コントラストを有する潜像が形成され
る。その後、再び帯電をすることにより図９に示すよう
に潜像を形成することができ、したがって、画像露光を
行うことなく、連続的に複写を行うことができる。な
お、複写後は、必要に応じてクリーニングを行うことも
できる。

【００１４】なお、像保持部材の表面に静電潜像を形成
する方法として、荷電して画像露光をして潜像を形成し
た電子写真感光体に像保持部材を接触させて潜像を転写
する方式もあり、その方式をとれば、像保持部材の電荷
発生層は不要である。以上のような像保持部材において
は、導電性粒子を少しでも多く基体側へ移動させる方が
複写時の一様な帯電時に静電コントラストが高くなる。
しかし、従来のものでは、この移動が不十分であり、よ
り大きな移動が望まれている。

【００１５】

【発明の目的】本発明は、複写時の静電コントラストが
高い像保持部材を提供することを目的とする。更に、比
較的高価な導電性粒子の使用量を減少させることによ
り、像保持部材の製造価格を低下させることを目的とす
る。

【００１６】

【課題を解決するための手段】像形成時において、導電
性粒子を少しでも多く基体側へ移動させるためには、そ
の粒子静電引力を強くさせる必要があり、その為には、
粒子の大きさとして０．２〜０．４μのものが好まし
い。これより小さいと電荷が小さくなって静電引力が小
さくなる。大きい場合には、移動時の摩擦が大きくなっ
て、やはり移動しにくくなる。ところが、導電性粒子
は、通常はそのような粒径のものは少なく、より細かい
ものが多い。適度の粒径の粒子を得るためには、特別の
製造が必要であり、工業的には不都合である。一方導電
性を有していない絶縁性粒子は、広く市販品があり、適
度の粒径のものを選択することが容易である。本発明者
は、導電性粒子と絶縁性粒子とを混合すると、両者とも
よく移動することを見出し、本発明に至ったものであ
る。

【００１７】即ち、本発明の像保持部材は、導電性表面
を有する基体の導電性表面に、電荷発生層を形成し、そ
の上に、電荷輸送物質と熱軟化性樹脂を含有する熱軟化
層を形成してなり、該熱軟化層の表面近傍に、導電性粒
子と絶縁性粒子とが埋め込まれて形成された粒子層を設
けてなることを特徴とする。また、導電性表面と電荷発
生層の間に下引き層を設けてもよい。また、本発明の像
保持部材の製造方法は、導電性表面を有する基体上に、
電荷発生層を形成し、その上に、電荷輸送物質と熱軟化
性樹脂を含有する熱軟化層を形成してなり、該熱軟化層
の上に、少なくとも導電性粒子と絶縁性粒子とを分散し
た塗料を塗布し、熱軟化層の表面近傍に、導電性粒子と
絶縁性粒子とを埋め込むことを特徴とする。

【００１８】図面を用いて本発明を更に詳しく説明す
る。図１は本発明の像保持部材の断面図であるが、ここ
では電荷発生層を必要としない場合の像保持部材９を示
す。すなわち、導電性の基体１の上に導電層２（基体が
導電性の場合は不要）、及び熱軟化層４が形成されてい
る。その表面には、導電性粒子５と絶縁性粒子８が埋め
込まれている。このように２種類の粒子を埋め込む方法
としては、２種類の粒子を分散した塗布液を熱軟化層の
表面に塗布する方法が最適である。導電性粒子は前述し
たものと同一である。粒径は、０．１〜１μ程度の内、
最も低価格で、入手容易なものを選択することができ
る。絶縁性粒子は、塗料用の各種の粉体を広く適用する
ことができる。そのような粉体としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニ
リデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリスチ
レン、テフロン、シリコンレジン等の有機系粉末や、酸
化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、硫酸バリウ
ム、硫酸カルシウム、カオリン、けい酸カルシウム、炭
酸カルシウム、亜鉛白、炭酸マグネシウム、リトポン、
酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等
の無機系の粉末があげられる。これらは単独でまたは複
数種混合し用いられる。粒径は０．２〜０．４μが好ま
しいが、塗料用粉体は各種の粒径の品種が揃っているの
で、入手は容易である。

【００１９】本発明の像保持部材に、像情報を記憶させ
る像形成方法について、図面を参照して説明する。図２
〜図４は、像形成方法を説明する図面であって、まず、
図２に示すように、像保持部材９に、あらかじめ潜像を
形成しておいた（すなわち、帯電して画像露光をしてお
いた）感光体６を接触させて潜像の転写を行う。感光体
としては、有機感光体、セレン感光体、アモルファスシ
リコン感光体など、通常の電子写真感光体の中から、使
用する露光波長に適用するものを選んで任意に用いられ
る。なお、図２において、１は基体、２は導電層（基体
が導電性であれば不要）、７は感光層である。転写する
際、両者の導電層２は電気的に接続させる。感光体側の
導電層に適当量の電圧を印加することは、転写電位を調
節するために有効である。像保持部材の表面に負電荷が
転写されると、導電性粒子は、常温で電子正孔対を有し
ており、ただちに上面の負電荷に対して正孔が放出され
て、電荷輸送物質を通して表面電荷を中和する。そし
て、導電性粒子の内部には、負電荷が残留する。負電荷
が転写されなかった部分の導電性粒子には電荷は存在し
ない。導電性粒子５に負電荷があると、それと同じ部位
に存在する絶縁性粒子８は分極して導電性粒子に引き付
けられる。

【００２０】次いで、像保持部材を熱６２によって加熱
すると、帯電されていた粒子は、導電性粒子、絶縁性粒
子いずれも静電引力により、導電層側に泳動していく。
絶縁性粒子の粒径が０．２〜０．４μであれば非常に良
く泳動するが、それにつられて、導電性粒子も良く泳動
することになる。これにより、泳動粒子５２、８２が存
在する部分と、最初と同じ状態の静止粒子５１、８２が
存在する部分とに分かれる。常温に戻せば、熱軟化層は
再び固体に戻り、画像の記録が完了する。次に、上記の
ようにして画像情報が記憶された像保持部材を用いて複
写物を得る電子写真方法について説明する。図４に示す
ように、画像情報が記憶された像保持部材に対して、そ
の全面に負の帯電を施す。それにより、移動しなかった
導電性粒子（非移動粒子５１）が存在する部分は、図２
に示す場合と同様に、導電性粒子に負電荷が残留し、表
面電位は、導電性粒子が存在しない場合の８５〜９５％
程度になる。一方、移動した導電性粒子（移動粒子５
２）が存在する部分では、電極に近い方の粒子から次々
に正電荷が注入されて、表面側の負電荷を中和してゆ
き、結果的に、表面電位は、導電性粒子が存在しない場
合に比べて、０〜２０％と、非常に低くなる。したがっ
て、一様な全面負帯電のみで、画像に応じた静電コント
ラストを有する潜像が形成される。この際、絶縁性粒子
は電荷注入には何ら関与しない。形成された静電像を電
子写真現像剤で現像すれば、像を可視化することができ
る。その際、高電位部分を可視化したい場合には、陽画
現像、反対に、低電位部分を可視化したい場合には、陰
画反転現像を施す。陽画と陰画の選択は感光体の画像露
光方式にもより、希望の画像が得られる方式を選択すれ
ばよい。なお、デジタル変調レーザー光で露光する場合
には、電子的に陽画と陰画の制御が可能である。次い
で、常法により、転写用紙に転写することによって複写
物を得ることができる。その後、再び帯電をすることに
より図４に示すように潜像を形成することができ、した
がって、画像露光を行うことなく、連続的に複写を行う
ことができる。なお、複写後は、必要に応じてクリーニ
ングを行うこともできる。一連の工程が終了後の保持部
材は新しいものと交換される。

【００２１】

【作用】導電性粒子と絶縁性粒子とを混合して像保持部
材を作製すると、帯電時に導電性粒子に電荷が蓄積さ
れ、これに絶縁性粒子を引き付けられる。従って、絶縁
性粒子として、移動に好都合な０．２〜０．４μの粒径
のものを選んでおくと、絶縁性粒子は非常によく移動す
るようになる。その際、絶縁性粒子の移動と共に導電性
粒子も引きづられて移動することが判明した。即ち、両
者を混合した場合には、導電性粒子の単独の場合よりも
粒子の移動量は多くなることが確認され、複写時の静電
コントラストが高くなることが確認された。

【００２２】

【実施例１】基体として、アルミニウムを蒸着した導電
層を有する厚さ５０μのポリエステルフィルムを用い
た。一方、スチレン６２重量部、アクリル酸エチル３６
重量部、アクリル酸２重量部を出発原料とし、トルエン
を溶剤として合成された重量平均分子量約８０００の３
元重合体を用意した。この重合体のＴｇは４８°Ｃであ
り、１１０°Ｃにおける粘度は２８０００ポアズであっ
た。この重合体７８重量部とＮ，Ｎ’ージフェニルー
Ｎ，Ｎ’ービス（３ーメチルフェニル）−［１，１’ー
ビフェニル］ー４，４’ジアミン２２重量部とを、トル
エン５００重量部に溶解した。得られた溶液を導電層の
上にワイヤーバーで塗布し、１１０°Ｃで１５分間乾燥
し、膜厚８μｍの熱軟化層を形成した。次に、酸化錫ー
酸化インジウム（ＩＴＯ）粉体（三菱マテリアル（株）
製、粒径０．１μ）一部及び、アナタース型酸化チタン
粉体（商品名：Ａ１１０、堺化学工業（株）製、平均粒
径０．３μ）２部を、上記三元重合体８部、上記電荷輸
送材料２部トルエン１００部から成る溶液に混合し、次
いでボールミルで分散した。この分散液を上記熱軟化層
の上にワイヤーバーにて乾燥後の膜厚が０．６μになる
よう塗布し、１１０°Ｃで５分間の乾燥をして像保持部
材を作製した。３の断面図は図１に示すような構造のも
のである。これとは別に、Ｘ型フタロシアニンを電荷発
生層とし、その上に、電荷輸送層を有する電子写真感光
体を用意した。（例えば特開昭６３ー２７１３５５号公
報に記載されている感光体）その分光感度を測定したと
ころ、図１０における曲線Ａで示される結果が得られ、
波長７８０ｎｍの部分で十分な実用感度を有しているこ
とが確認された。

【００２３】この感光体をー７００Ｖに帯電させた後、
ダイオードレーザーを用いて、文字部分に対応して光が
照射されるよう露光を行い、潜像を形成した。露光され
た部分はー１００Ｖの電位となった。次に、この感光体
の基体に＋１００Ｖの電圧を印加した。像保持部材の表
面では、感光体側の無露光部に対応す部分画ー５００Ｖ
感光体側の露光部に対応する部分はゼロであった。その
後、フィルムを１１５°Ｃに保持したヒートロール上を
加熱時間が５秒となるように通過させて加熱した。これ
により、電荷が残っている部分の粒子は基体側に移動し
た（図３）。以上のようにして、像の書き込みによる記
憶を終了した。

【００２４】得られた像情報が記憶された像保持部材
を、１０８φｍｍ×３４０ｍｍのアルミニウムパイプに
巻付け、ー８００Ｖ帯電、二成分正帯電現像剤による現
像、Ａ４用紙への転写ブラシクリーニングの各工程を実
施する電子写真複写機に取りつけた。図４に示されるよ
うに、帯電器６０で帯電させ、移動粒子５２を含有する
部分がー１００Ｖの表面電位をまた、非移動粒子５１を
含有する部分がー７５０Ｖの表面電位を有する潜像を形
成した。この潜像を二成分正帯電現像剤により現像し、
転写することによって、高コントラストを有する複写像
が得られた。この工程を毎分１００枚の速度で、繰り返
し実施した。その結果、連続２０００枚の複写を行って
も、何等問題がないことが確認された。本発明によら
ず、絶縁性粉体である酸化チタンを混合しない場合に
は、全ての粉体を粒径０．３μのＩＴＯでまかなう必要
があるが、その場合には、粉体コストが約４倍になる不
利益面が挙げられる。

【００２５】

【実施例２】スチレン８０重量部とヒドロキシメタクリ
レート２０重量部をモノマーとして合成した、重量平均
分子量が約１２０００、Ｔｇが約３８°Ｃ、１１０°Ｃ
の粘度が２５０００ポイズの共重合体を用意した。この
共重合体を、熱軟化性樹脂として使用した以外は、実施
例１とまったく同様にして、像保持部材を作製した。こ
の像保持部材は、熱軟化層の密着強度が実施例１の場合
よりも若干劣るものの、同様にして像形成を行うことが
で、また、連続複写に供することができた。

【００２６】

【実施例３】実施例２において、熱軟化層の塗布前に、
基体の導電層の上に共重合ナイロン樹脂（商品名：ＣＭ
８０００、東レ（株）製）の０．５μ厚の下引き層を形
成した。こうすると熱軟化層の密着強度を向上させるこ
とができた。

【００２７】

【実施例４】次に、電荷発生層を有する像保持部材をウ
エブコーターにて製造した例を示す。まず、ポリビニル
ブチラール樹脂（商品名：ＢＭ−１，積水化学工業
（株）製）３部をシクロヘキサノン１００部に溶解し、
次に、Ｘ型無金属フタロシアニン６部を混合し、１φガ
ラスビーズを分散媒としたサンドミル分散機で６時間に
わたって分散した。分散液に２−ブタノンを加えて３．
５％濃度の電荷発生層塗料を作成した。一方、図１１
は、ウェブコーターの側面図であって、フィルムは、ロ
ール１６から供給され、塗料汲み上げロール１３と塗布
ロール１２により、塗布液をフィルム表面に塗布し、乾
燥ゾーン１４を通って、乾燥させ、巻き取りロール１５
に巻き取られる。１７は押し当てロール、１８は排気ダ
クトである。膜厚は、塗布液の濃度、塗布ロールの回転
速度等によって制御することができる。このウェブコー
ターにより、実施例３におけると同様の基体および材料
を用いて、下引き層は４０ｃｍ／秒、電荷発生層は３０
ｃｍ／秒、熱軟化層は２０ｃｍ／秒の速度て塗布を行
い、長さ１１０ｍの塗布フィルムを得た。電荷発生層の
膜厚は０．２５μである。酸化インジウム粉体（住友金
属鉱山（株）より入手、粒径０．１μ）１部、シリコー
ンレジンパウダー（商品名：トスパール１０３、東芝シ
リコーン（株）製、平均粒径０．３μ）２部を実施例１
と同様に、三元重合体８部、電荷輸送材料２部、トルエ
ン１００部から成る溶液に混合した。その後、サンドミ
ル分散機により分散して塗料化した。これを上記ウェブ
コーターにより、熱軟化層上に、４０ｃｍ／秒の速度で
塗布を行い、０．５μ厚の粉体層を設けた。得られた像
保持部材を２２０ｍｍ×３００ｍｍに切取り、ー７５０
Ｖに一様に帯電した。

【００２８】ダイオードレーザーを用いて、１２ｅｒｇ
／ｃｍ²の強度で像露光を行った。その際、フィルムを
直径２５ｍｍのローラー上を搬送させながら、その屈曲
部において、レーザー光を照射するようにして、レーザ
ー光の干渉によって画像に縞模様が生じるのを防止し
た。（特開平１ー２８１４７５号公報参照）その後、暗
所において、１１５°Ｃに保持したヒートロール上に、
フィルムを加熱時間が５秒間になるように通過させ、加
熱処理を行った。それにより、露光されなかった部分の
粒子は、基体側に移動した。以上のようにして、像の書
き込みによる記憶を終了した。得られた像情報が記憶さ
れた像保持部材を、１０８φｍｍ×３４０ｍｍのアルミ
ニウムパイプに巻き付け、ー８００Ｖ帯電、二成分性帯
電現像剤による現像、Ａ４用紙への転写、ブラシクリー
ニングの各工程を実施する電子写真複写機に取り付けて
毎分１００枚の速度で複写を行った。連続２０００枚の
複写を行っても、何ら問題はなかった。

【００２９】

【発明の効果】本発明の像保持部材は、一回の画像の書
き込みだけで画像を記録することができ、簡単な電子写
真法で多数枚の複写を行うことができる。像保持部材の
作製には、安価な材料を幅広く選択できるようになった
ので、より低価格の像保持部材を提供することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の像保持部材の模式的断面図である。

【図２】本発明の像保持部材による像形成工程の説明
図である。

【図３】本発明の像保持部材による像形成工程の説明
図である。

【図４】本発明の像保持部材を用いる電子写真法の説
明図である。

【図５】従来の像保持部材の模式的断面図である。

【図６】従来の像保持部材による像形成工程の説明図
である。

【図７】従来の像保持部材による像形成工程の説明図
である。

【図８】従来の像保持部材による像形成工程の説明図
である。

【図９】従来の像保持部材を用いる電子写真法の説明
図である。

【図１０】感光体の分光感度特性を示すグラフであ
る。

【図１１】本発明の像保持部材を製造するためのウエ
ブコーターの側面図である。

【符号の説明】

１…基体、２…導電層、３…電化発生層、４…熱軟化
層、５…導電性粒子、６…感光体、７…感光層、８…絶
縁性粒子、９…像保持部材、１０…従来の像保持部材、
５１…導電性の非移動粒子、５２…導電性の移動粒子、
８１…絶縁性の非移動粒子、８２…絶縁性の移動粒子

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】導電性表面を有する基体上に、電荷発生
層を形成し、その上に、電荷輸送物質と熱軟化性樹脂を
含有する熱軟化層を形成してなり、該熱軟化層の表面近
傍に導電性粒子と絶縁性粒子とが埋め込まれて形成され
た粒子層を設けてなることを特徴とする像保持部材。
【請求項２】導電性表面を有する基体上に、電荷発生
層を形成し、その上に、電荷輸送物質と熱軟化性樹脂を
含有する熱軟化層を形成してなり、該熱軟化層の上に、
少なくとも導電性粒子と絶縁性粒子とを分散した塗料を
塗布し、熱軟化層の表面近傍に、導電性粒子と絶縁性粒
子とを埋め込むことを特徴とする像保持部材の製造方
法。
【請求項３】導電性粒子と絶縁性粒子を分散した塗料
に更に、電荷輸送物質、及び／又は、熱軟化性樹脂を含
有する、請求項２に記載の像保持部材の製造方法。
【請求項４】絶縁性粒子の平均粒径が０．２〜０．４
μｍである請求項１の像保持部材。