JPH0511344Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、内燃機関の始動時における補助空
気供給装置の制御に関するものである。

〔従来の技術〕

一般に機関の冷間始動時には、燃焼条件が悪
く、又、機関の摩擦損失が大きく、負荷が増大す
るので機関への供給空気量は増加させる必要があ
る。このため、吸入空気通路の絞り弁をバイパス
する補助空気通路を設け、この通路中に、温度に
よつて該通路面積を加減し、供給空気量を制御す
る補助空気制御装置が実施されている。

この従来例を第３図に示してあるが、これにつ
いて以下説明する。

１は制御装置本体で、２のサーモワツクス本体
を収納している。３はサーモワツクス本体の感熱
部で、その周囲には、４の温水パイプから流入す
る機関の冷却水が流れるようになつている。５は
ワツクス本体２の筒状部で、シヤフト６を内蔵し
ている。シヤフト６は、サーモワツクス本体に内
蔵されているワツクス（図示せず）が感熱部３よ
りの熱によつて膨張、収縮するのに伴つて進退す
る。７はサーモワツクス本体の筒状部５に摺動自
在に嵌合するばね受、８はコイルばね、９はばね
座板、１０はばね受７の端部段付部であつて、ば
ね座板９を貫通して延び、ばね受７が図で右行し
たときには、該段付部でばね座板９を引つかけ、
ばね受７と一体で動かすものである。

１１は弁体で、内部にばね受７、コイルばね
８、ばね座板９を収納し、又ばね受７の端部段付
部が動く範囲で逃げ穴を有する。

又、その外周には、コイルばね１２が、弁体端
面の環状段部と、バルブシート１３との間に張接
され、弁体１１をバルブシート１３から離す方向
に弾圧している。

尚、コイルばね１２のばね常数はコイルばね８
のそれよりも弱く作られる。

バルブシート１３は、その外周にねじを有し、制
御装置本体に設けられたねじ部に係合する。

１４はバルブシート１３を回動させるための盲
穴で、複数個設けられる。

１５は補助空気の入口で、内燃機関吸入空気通
路の絞り弁上流と連通し、又１６は補助空気の出
口で、同じく絞り弁下流の吸入空気通路に連通し
ている。

尚、１７，１８は蓋板である。

以上の従来例の装置についてその作動を簡単に
説明すると、第３図は、弁体先端のテーパー部と
バルブシート１３のシート部が接し、そこを流れ
る空気を遮断しているが、低温時は、ワツクスの
収縮に伴いシヤフト６が退き、従つてばね受７も
シヤフト６の動きに追随して図で右行し、弁体１
１は強いコイルばね８の弾圧が解除されるに伴つ
て、その外周にあるコイルばね１２の力によつ
て、徐々にバルブシート１３から離れ、空気が通
る面積を広げる。

機関が始動され、暖機が進むに従つて、温水パ
イプ４から入る冷却水の温度も上昇し、感熱部３
からの熱によりワツクスが膨張し、前記と逆にシ
ヤフト６が進出し、ばね受７、コイルばね８、及
び弁体１１は一体となつて図で左行し、バルブシ
ート１３との間の通路面積を縮小し、供給空気量
を減少させる。

そして弁体１１がバルブシート１３に当接した
後は、シヤフトの進出に従つてばね受７だけが図
で左行する。これにより、ワツクスの膨張による
過大なストロークが吸収され、ワツクス本体の破
損を防止している。

このようにして、機関の温度によつて補助空気
の供給量がコントロールされるが、弁体１１とバ
ルブシート１３との相対位置は、制御量に影響す
るので、組付調整後はその位置が動かないよう
に、第３図に示すねじ式の場合は、ねじ部に接着
剤を塗布し、固定させたり、実開昭57−833号で
は、ねじ部を「カシメ」て固定する方法などがと
られている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

前記したバルブシートの固定方法は、一切再調
整を不可能にし、使用後のバルブシートと弁体の
摩耗、あるいはワツクスの劣化、などにより再調
整が必要になると、部品全部を交換しなければな
らなかつた。前記の接着剤を調整可能範囲のトル
クに維持するため、その量を決めて塗布すること
も試みられているが、ゆるみ過ぎがあつたり、再
調整不能があつたりして製品にバラツキが発生
し、必ずしも満足するものではない。

〔問題点解決のための手段〕

そこで、本考案においては、調整が容易にしか
も、精密に行なうことができるバルブシートの固
定方法を提案するもので、第１図に示す実施例を
作用と共に説明する。

〔実施例〕

第１図は、第３のバルブシート１３、及び蓋板
１７との間に、調整用円板を設け、ピンによつて
バルブシートを回動させるように改良したもの
で、他の部品は同一である。従つて同一部品は同
一符号で示すと、１３のバルブシートは、第１図
での回動用の盲穴１４を流用し、調整用円板１９
に固定されたピン２０が、該盲穴に摺動自在に挿
入されている。

ピン２０は、図においては２個設けられている
が、円板１９の回動がその周縁で十分にガイドさ
れていれば、１本でも円滑に回動できる。

尚、２１はシート部である。

２２は円板１９を回動させるためのドライバー
溝で、図に示すものの他、十字形その他使用工具
の形状に合わせて形成される。

２３は蓋板で、ボルト２４を締めて調整用円板
１９を本体１に固定する。

２５はパツキンである。

第２図は、第１図のＡ矢視図で、２６は円板１
９の表面につけたポンチマーク、２７，２８は蓋
板２３の表面につけた標識である。

次にその作用について説明すると、バルブシー
トの調整に当たつては、ボルト２４をゆるめ、ド
ライバーその他の工具を使用して円板１９を回動
させる。

円板１９にはピン２０が固定されており、その
端部がバルブシート１３の盲穴１４に挿入されて
いるので、円板１９の回動と共にバルブシート１
９を回動され、前後進する。

図に示すｌがそのストロークとなる。

そして調整後は、ボルト２４を締め蓋板２３を
介して円板１９を固定する。又、調整に当たつて
は第２図に示すように、標識２７，２８の間隔と
ストロークｌとの関係を知つておけば、ポンチマ
ーク２６を目印に調整量を精密にコントロールす
ることができる。

〔効果〕

以上の如く、本考案は調整及び再調整が外部よ
り容易に行なえ、かつ調整後のバルブシートは完
全に回動が防止され、その位置は正確に保たれ
る。又、調整量は第３図に示す如く、目視して行
なえる他、ボルト２４をゆるめた状態で機関を始
動し、その状態で円板１９を回動させ機関の運転
状態を調整できるなど多くの利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す要部拡大断面
図、第２図は第１図のＡ矢視図、第３図は従来例
を示す補助空気供給量の断面図である。 ２……サーモワツクス本体、６……シヤフト、
１１……弁体、１３……バルブシート、１５……
補助空気入口、１６……補助空気出口、１９……
調整用円板、２０……ピン、２６……ポンチマー
ク、２７，２８……標識。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 感熱部３と前記感熱部によつて加熱されるワツ
   クスを収納し、該ワツクスの膨脹、収縮に応じて
   進退するシヤフト６を備えたサーモワツクス本体
   ２と、前記シヤフト６の進退に応じて移動する弁
   体１１と、該弁体１１と対向する位置にあつて、
   その外周に設けたねじによつて制御装置本体１に
   取付けられたバルブシート１３を含む内燃機関の
   補助空気制御装置において、蓋板２３と制御装置
   本体１との間に、前記バルブシート１３の回動軸
   と同一軸上で、回動可能な調整用円板１９を配置
   し、前記円板１９に固定のピン２０を前記バルブ
   シート１３の盲穴１４に挿入し、前記円板１９は
   前記蓋板２３を介して共に制御装置本体１に締付
   固定されることを特徴とする内燃機関の補助空気
   制御装置。