JPH05112507A - ブタジエン誘導体およびそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

ブタジエン誘導体およびそれを用いた電子写真感光体

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JPH05112507A
JPH05112507A JP27430591A JP27430591A JPH05112507A JP H05112507 A JPH05112507 A JP H05112507A JP 27430591 A JP27430591 A JP 27430591A JP 27430591 A JP27430591 A JP 27430591A JP H05112507 A JPH05112507 A JP H05112507A
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JP27430591A
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English (en)
Inventor
Yasushi Mizuta
泰史 水田
Hiroaki Iwasaki
宏昭 岩崎
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Kyocera Mita Industrial Co Ltd
Original Assignee
Mita Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式(I) : 【化1】 [式中、R1 ,R2 ,R3 は同一または異なって水素原
子、もしくは、置換基を有してもよいアルキル基、アル
コキシ基を示し、nは1〜5の整数を示す。]で表され
るブタジエン誘導体と、このブタジエン誘導体を、電荷
輸送材料として含む感光層を設けた電子写真感光体。 【効果】 上記化合物は電荷輸送能、光安定性に優れる
ので、高感度でかつ耐久性に優れた電子写真感光体を得
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静電式複写機やレーザ
ービームプリンタ等に使用される電子写真感光体におけ
る、電荷輸送材料として好適なブタジエン誘導体と、そ
れを用いた電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、複写機等の画像形成装置における
感光体として、加工性および経済性に優れ、機能設計の
自由度が大きい有機感光体が広く使用されている。ま
た、感光体を用いて複写画像を形成する場合には、カー
ルソンプロセスが広く利用されている。カールソンプロ
セスは、コロナ放電により感光体を均一に帯電させる帯
電工程と、帯電した感光体に原稿像を露光し、原稿像に
対応した静電潜像を形成する露光工程と、静電潜像をト
ナーを含有する現像剤で現像し、トナー像を形成する現
像工程と、トナー像を紙等に転写する転写工程と、転写
されたトナー像を定着させる定着工程と、転写工程後、
感光体上に残留するトナーを除去するクリーニング工程
とを含んでいる。このカールソンプロセスにおいて、高
品質の画像を形成するには、感光体が帯電特性および感
光特性に優れており、かつ露光後の残留電位が低いこと
が要求される。
【0003】従来より、セレンや硫化カドミウム等の無
機光導電体が感光体材料として公知であるが、これらは
毒性があり、しかも生産コストが高いという欠点があ
る。そこで、これらの無機物質に代えて、種々の有機物
質を用いた、いわゆる有機感光体が提案されている。か
かる有機感光体は、露光により電荷を発生する電荷発生
材料と、発生した電荷を輸送する機能を有する電荷輸送
材料とからなる感光層を有する。
【0004】かかる有機感光体に望まれる各種の条件を
満足させるためには、これらの電荷発生材料と電荷輸送
材料との選択を適切に行う必要がある。電荷輸送材料と
しては、カルバゾール系化合物、オキサジアゾール系化
合物、ピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、ブタ
ジエン系化合物等の種々の有機化合物が提案されてい
る。ブタジエン系化合物としては、例えば特開昭62−
287257号公報に開示された、下記式(i) で表され
る化合物があげられる。
【0005】
【化2】
【0006】[式中、R4 はジ低級アルキルアミノ基を
示し、R5 は水素原子またはジ低級アルキルアミノ基を
示す。]
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記式
(i) で表されるブタジエン系化合物等の、従来の電荷輸
送材料は、電荷輸送能が不充分であったり、光安定性が
劣っていたりするという問題があり、従って、この電荷
輸送材料を使用した感光体は、感度や耐久性が充分でな
いという欠点があった。
【0008】本発明の目的は、電荷輸送能、光安定性に
優れ、電荷輸送材料として好適なブタジエン誘導体と、
それを用いた高感度、かつ耐久性に優れた電子写真感光
体とを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するための、本発明のブタジエン誘導体は、一般式
(I) :
【0010】
【化3】
【0011】[式中、R1 ,R2 ,R3 は同一または異
なって水素原子、もしくは、置換基を有してもよいアル
キル基、アルコキシ基を示し、nは1〜5の整数を示
す。]で表されるものである。また、上記目的を達成す
るための本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に、
上記一般式(I) で表されるブタジエン誘導体を含有する
感光層を設けたことを特徴としている。
【0012】上記一般式(I) で表されるブタジエン誘導
体は、分子内に、消光剤として知られるp−ベンジルビ
フェニルの構造を導入したため、高い電荷輸送能を発揮
するとともに、光安定性にも優れている。したがって、
上記ブタジエン誘導体を電荷輸送材料として含有した感
光層は、高い感度を有し、かつ耐久性に優れたものであ
る。
【0013】このように、上記一般式(I) で表されるブ
タジエン誘導体が高い感度や光安定性を有する理由とし
ては、例えば、前記式(i) で表される化合物に比して、
p−ベンジルビフェニル部分を導入した分だけ、分子内
で形成されるπ電子共役系が、より大きな拡がりをもっ
ているため、化合物の分子構造の平面化がより一層促進
されて、分子間の重なり合い等による分子間相互作用が
強まるからであると推定される。
【0014】上記一般式(I) で表されるブタジエン誘導
体は、基本的に下記一般式(Ia)で表されるブタジエン誘
導体を含んでいる。
【0015】
【化4】
【0016】[式中、R1 ,R2 ,R3 は、前記と同じ
基を示し、nは1〜5の整数を示す。]アルキル基とし
ては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプ
ロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペ
ンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6の低級アルキル
基があげられる。
【0017】アルコキシ基としては、例えばメトキシ
基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブ
トキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチル
オキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の低級ア
ルコキシ基があげられる。また、上記アルキル基等に置
換する置換基としては、例えばハロゲン原子、アミノ
基、水酸基、エステル化されていてもよいカルボキシル
基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜
6のアルコキシ基、アリール基を有することのある炭素
数2〜6のアルケニル基などがあげられる。
【0018】前記一般式(I) で表されるブタジエン誘導
体の具体的化合物としては、例えば以下の式(A1)〜(A4)
に示すものがあげられる。
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】本発明のブタジエン誘導体は、種々の方法
で合成することが可能であり、例えば、前記一般式(Ia)
で表されるブタジエン誘導体は、以下に示す手順に従っ
て、容易に製造することができる。まず、下記反応式に
示すように、一般式(1) で表される4−ブロモフェニル
−p−ビフェニリルメタン誘導体とマグネシウムとを、
テトラヒドロフラン等の有機溶媒中で反応させて、一般
式(2) で表されるグリニャール試薬を得る。
【0022】
【化7】
【0023】[式中、R3 は前記と同じ基を示し、nは
1〜5の整数を示す。]つぎに、下記反応式に示すよう
に、上記グリニャール試薬(2)と、一般式(3)で表される
4−アセチルフェニル−p−ビフェニリルメタン誘導体
とを反応させ、飽和塩化アンモニウム水溶液で処理し
て、一般式(4) で表される1,1−ジ{α−(p−ビフ
ェニリル)−p−トリル}エチレン誘導体を得、この
1,1−ジ{α−(p−ビフェニリル)−p−トリル}
エチレン誘導体(4) を、H.Lovenzらの方法[Helv. Chi
m. Acta. ,28,600-612(1945) ]に準じて、N,N−
ジメチルホルムアミドとオキシ塩化リンとから得られる
ヴィールスマイヤー試薬と反応させて、一般式(5) で表
される3,3−ジ{α−(p−ビフェニリル)−p−ト
リル}アクロレイン誘導体を得る。
【0024】
【化8】
【0025】[式中、R3 は前記と同じ基を示し、nは
1〜5の整数を示す。]そして、下記反応式に示すよう
に、上記3,3−ジ{α−(p−ビフェニリル)−p−
トリル}アクロレイン誘導体(5) と、等モルまたはやや
過剰の、一般式(6) で表される1,1−ジフェニルメチ
ル亜燐酸トリアルキル誘導体とを反応させると、一般式
(Ia)で表されるブタジエン誘導体が得られる。
【0026】
【化9】
【0027】[式中、R1 ,R2 ,R3 は前記と同じ基
を示し、R6 は炭素数1〜4の低級アルキル基を示し、
nは1〜5の整数を示す。]上記反応は、塩基性触媒の
存在下、有機溶媒中において、室温ないし80℃の温度
で行われる。反応に使用される塩基性触媒としては、水
素化ナトリウム、ナトリウムアミド、苛性ソーダ、苛性
カリなどの他、ナトリウムメチラート、ナトリウム−te
rt−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシドなどのア
ルコラートをあげることができる。
【0028】有機溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタ
ノール等の低級アルコール;1,2−ジメトキシエタ
ン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン等のエーテル;トルエン、キシ
レン等の芳香族炭化水素;ジメチルスルホキシド、N,
N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロト
ン性極性溶媒などがあげられ、なかでも、極性溶媒の
N,N−ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキ
シドを使用するこが好ましい。
【0029】また、反応温度は、使用する溶媒の塩基性
触媒に対する安定性、前記式(5) (6) で表される化合物
の縮合成分としての反応性、塩基性触媒の縮合剤として
の反応性などにより、広範囲に選択される。例えば、極
性溶媒を用いたときの反応温度は、前述した室温から8
0℃に設定される。なお、反応時間短縮または活性の低
い塩基性触媒を縮合剤として使用するときの反応温度
は、前述より高い温度に設定される。
【0030】前記一般式(6) で表される1,1−ジフェ
ニルメチル亜燐酸トリアルキル誘導体は、対応するハロ
アルキル化合物と亜燐酸トリアルキル(アルキル基とし
ては、前記のように炭素数1〜4の低級アルキル基、特
にメチル基、エチル基が好ましい)とを直接あるいはト
ルエンやキシレン等の溶媒中で加熱することにより容易
に製造できる。
【0031】本発明の感光体は、前記一般式(I) で表さ
れるブタジエン誘導体の1種または2種以上を電荷輸送
材料として含有した感光層を備えたものである。感光層
には、いわゆる単層型と積層型とがあるが、本発明は、
このいずれにも適用可能である。単層型の感光体を得る
には、電荷輸送材料である前記一般式(I) で表される化
合物と、電荷発生材料と、結着樹脂等とを含有する感光
層を、塗布等の手段により導電性基体上に形成すればよ
い。
【0032】また、積層型の感光体を得るには、導電性
基体上に、蒸着または塗布等の手段により電荷発生材料
を含有する電荷発生層を形成し、この電荷発生層上に、
前記一般式(I) で表される化合物と結着樹脂とを含有す
る電荷輸送層を形成すればよい。また、上記とは逆に、
導電性基体上に電荷輸送層を形成し、次いで電荷発生層
を形成してもよい。さらに、上記積層型感光層において
は、電荷発生層にも、電荷輸送材料を含有させてもよ
い。
【0033】電荷発生材料としては、従来より使用され
ているセレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、アモル
ファスシリコン、ピリリウム塩、アゾ系化合物、ジスア
ゾ系化合物、フタロシアニン系化合物、アンサンスロン
系化合物、ペリレン系化合物、インジゴ系化合物、トリ
フェニルメタン系化合物、スレン系化合物、トルイジン
系化合物、ピラゾリン系化合物、ペリレン系化合物、キ
ナクリドン系化合物、ピロロピロール系化合物等があげ
られる。これらの電荷発生材料は、所望の領域に吸収波
長域を有するように、1種または2種以上を混合して使
用することができる。
【0034】電荷輸送材料である前記一般式(I) で表さ
れるブタジエン誘導体は、単独で使用する他、従来公知
の他の電荷輸送材料と組み合わせて使用することができ
る。従来公知の電荷輸送材料としては、種々の電子吸引
性化合物、電子供与性化合物を用いることができる。電
子吸引性化合物としては、例えば、2,6−ジメチル−
2′,6′−ジtert−ジブチルジフェノキノン等の
ジフェノキノン誘導体、マロノニトリル、チオピラン系
化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニト
ロチオキサントン、3,4,5,7−テトラニトロ−9
−フルオレノン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラ
セン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジ
ニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン
酸、ジブロモ無水マレイン酸等が例示される。
【0035】また、電子供与性化合物としては、2,5
−ジ(4−メチルアミノフェニル)、1,3,4−オキ
サジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4
−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル
系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系
化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェ
ニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン
化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化
合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合
物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イ
ミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾー
ル系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物が
例示される。
【0036】これらの電荷輸送材料は、1種または2種
以上混合して用いられる。なお、ポリビニルカルバゾー
ル等の成膜性を有する電荷輸送材料を用いる場合には、
結着樹脂は必ずしも必要ではない。結着樹脂としては、
種々の樹脂を使用することができる。例えばスチレン系
重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ア
クリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合
体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合
体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩
素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アル
キド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレー
ト樹脂、ケトン樹脂、ホリビニルブチラール樹脂、ポリ
エーテル樹脂等の熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹
脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシアク
リレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化性樹脂等
があげられる。これらの結着樹脂は1種または2種以上
を混合して用いることができる。
【0037】単層型および積層型の各有機感光層には、
増感剤、フルオレン系化合物、酸化防止剤、紫外線吸収
剤などの劣化防止剤、可塑剤等の添加剤を含有させるこ
とができる。また、電荷発生層の感度を向上させるため
に、例えばターフェニル、ハロナフトキノン類、アセナ
フチレン等の公知の増感剤を電荷発生材料と併用しても
よい。
【0038】積層型感光体において、電荷発生層を構成
する電荷発生材料と結着樹脂とは、種々の割合で使用す
ることができるが、結着樹脂100部(重量部、以下同
じ)に対して、電荷発生材料5〜500部、特に10〜
300部の割合で用いるのが好ましい。また、電荷発生
層は、適宜の膜厚を有していてもよいが、0.01〜5
μm、特に0.1〜3μm程度に形成されるのが好まし
い。
【0039】電荷輸送層を構成する前記一般式(I) で表
されるブタジエン誘導体(電荷輸送材料)と前記結着樹
脂とは、電荷の輸送を阻害しない範囲および結晶化しな
い範囲で、種々の割合で使用することができるが、光照
射により電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送できるよ
うに、結着樹脂100部に対して、前記一般式(I) で表
されるブタジエン誘導体を10〜500部、特に25〜
200部の割合で用いるのが好ましい。また、積層型の
感光層の厚さは、電荷発生層が0.01〜5μm程度、
特に0.1〜3μm程度に形成されるのがが好ましく、
電荷輸送層が2〜100μm、特に5〜50μm程度に
形成されるのが好ましい。
【0040】単層型の感光体においては、結着樹脂10
0部に対して電荷発生材料は0.1〜50部、特に0.
5〜30部、前記一般式(I) で表されるブタジエン誘導
体(電荷輸送材料)は40〜200部、特に50〜10
0部であるのが適当である。また、単層型の感光層の厚
さは5〜100μm、特に10〜50μm程度に形成さ
れるのが好ましい。
【0041】単層型電子写真用感光体にあっては、導電
性基体と感光層との間に、また、積層型感光体にあって
は、導電性基体と電荷発生層との間や、導電性基体と電
荷輸送層との間、または電荷発生層と電荷輸送層との間
に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成さ
れていてもよく、感光体の表面には、保護層が形成され
ていてもよい。
【0042】上記各層が形成される導電性基体として
は、導電性を有する種々の材料を使用することができ、
例えばアルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウ
ム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケ
ル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の
金属単体や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプ
ラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化
インジウム等で被覆されたガラス等が例示される。
【0043】導電性基体はシート状、ドラム状等のいず
れであってもよく、基体自体が導電性を有するか、ある
いは基体の表面が導電性を有していればよい。また、導
電性基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有する
ものが好ましい。上記各層を、塗布の方法により形成す
る場合には、前記例示の電荷発生材料、電荷輸送材料、
結着樹脂等を、適当な溶剤とともに、公知の方法、例え
ば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシ
ェーカーあるいは超音波分散器等を用いて分散混合して
塗布液を調製し、これを公知の手段により塗布、乾燥す
ればよい。
【0044】塗布液をつくるための溶剤としては、種々
の有機溶剤が使用可能で、例えばメタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、
n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系
炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭
素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチル
エーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エ
チレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチ
ルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸
エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムア
ルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド等があげられる。これらの溶剤は1種または2種以上
を混合して用いることができる。
【0045】さらに、電荷輸送材料や電荷発生材料の分
散性、染工性等をよくするために界面活性剤、レベリン
グ剤等を使用してもよい。なお、上述したように、電荷
発生層は、前記電荷発生材料を蒸着することにより形成
してもよい。
【0046】
【実施例】以下、実施例および比較例をあげて本発明を
詳細に説明する。実施例1 〈前記式(A1)で表されるブタジエン誘導体の合成〉マグ
ネシウム2gと、前記一般式(1) 中のR3 が水素原子で
ある4−ブロモフェニル−p−ビフェニリルメタン2
6.2g(0.081モル)とテトラヒドロフラン10
0mlとを混合し、室温で反応させて、グリニャール試薬
としての、p−ベンジルビフェニルマグネシウムブロミ
ドのテトラヒドロフラン溶液を得た。
【0047】つぎに、上記溶液を攪拌しつつ、室温に
て、前記一般式(3) 中のR3 が水素原子である4−アセ
チルフェニル−p−ビフェニリルメタン23.2g
(0.081モル)を含むベンゼン溶液100mlを滴下
した後、さらに5時間の還流攪拌を行った。5時間経過
後、反応液を冷却し、次いで飽和塩化アンモニウム水溶
液200mlを加えて加水分解した後、油層と水層の2層
に分離した反応液から油層を分取し、この油層を水洗し
て再度油層を分取した後、有機溶媒を留去して残渣を得
た。
【0048】この残渣をベンゼンに溶解し、p−トルエ
ンスルホン酸0.1gを加えて1時間の還流攪拌を行っ
た後、溶剤を留去し、得られた油状の残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィーにより分離精製して、油状の
生成物16.2g(収率39%)を得た。得られた生成
物を分析したところ、前記一般式(4)中のR3 が水素原
子である1,1−ジ{α−(p−ビフェニリル)−p−
トリル}エチレンであることが判った。
【0049】次に、N,N−ジメチルホルムアミド2.
2gと1,2−ジクロロエタン50mlとの溶液を0〜5
℃に冷却しつつ、オキシ塩化リン3.9gを滴下し、さ
らに、上記液温を維持しつつ30分の攪拌を行ってヴィ
ールスマイヤー試薬を調製した。そして、このヴィール
スマイヤー試薬に、上記液温を維持しつつ、前記1,1
−ジ{α−(p−ビフェニリル)−p−トリル}エチレ
ン6.0g(0.022モル)を含む1,2−ジクロロ
エタン溶液50mlを、30分かけて滴下した。
【0050】その後、さらに5時間の還流攪拌を行った
後、酢酸ソーダ10gを含む水100mlを加えて加水分
解し、油層と水層の2層に分離した反応液から油層を分
取し、この油層を水洗して再度油層を分取した後、有機
溶媒を留去して油状の残渣を得た。この残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーにより分離精製して、油状
の生成物3.43g(収率52%)を得た。得られた生
成物を分析したところ、前記一般式(5) 中のR3 が水素
原子である3,3−ジ{α−(p−ビフェニリル)−p
−トリル}アクロレインであることが判った。
【0051】次に、上記3,3−ジ{α−(p−ビフェ
ニリル)−p−トリル}アクロレイン5.94g(0.
011モル)と、前記一般式(6) 中のR1 ,R2 が共に
水素原子、R6 がエチル基である1,1−ジ(4−アミ
ノ)フェニルメチル亜燐酸トリエチル3.66g(0.
011モル)とを、N,N−ジメチルホルムアミド10
0mlに溶解し、攪拌しつつ、室温下、カリウム−tert−
ブトキシド1.23gを加えた。反応液は発熱により液
温が31℃まで上昇したが冷却せずに、4時間の還流攪
拌を行った後、氷水100ml中に投入、攪拌して反応を
停止させた。
【0052】そして、析出した結晶をろ別、乾燥した後
ベンゼンに溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーにより分離精製し、さらに、ベンゼンを留去後、酢酸
エチルを用いて再結晶させて、前記式(A1)で表されるブ
タジエン誘導体の淡黄色の結晶4.92g(収率62
%)を得た。得られたブタジエン誘導体の分析結果を以
下に示す。
【0053】元素分析結果 計算値(%): C 89.96 H:6.15
N:3.89 実測値(%): C:89.95 H:6.12
N:3.92 質量分析結果 C54442 として m/e=720 (計算値721.0)実施例2 〈前記式(A2)で表されるブタジエン誘導体の合成〉実施
例1で使用した1,1−ジ(4−アミノ)フェニルメチ
ル亜燐酸トリエチルに代えて、前記一般式(6) 中の
1 ,R2 が共にメチル基、R6 がエチル基である1,
1−ジ{4−(N,N−ジメチル)−アミノ}フェニル
メチル亜燐酸トリエチル3.95g(0.011モル)
を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして、前記
式(A2)で表されるブタジエン誘導体5.38g(収率6
3%)を得た。
【0054】得られたブタジエン誘導体の分析結果を以
下に示す。 元素分析結果 計算値(%): C:89.65 H:6.75
N:3.60 実測値(%): C:89.58 H:6.80
N:3.56 質量分析結果 C58522 として m/e=776 (計算値777.1)実施例3 〈前記式(A3)で表されるブタジエン誘導体の合成〉実施
例1で使用した1,1−ジ(4−アミノ)フェニルメチ
ル亜燐酸トリエチルに代えて、前記一般式(6) 中の
1 ,R2 ,R6 が共にエチル基である1,1−ジ{4
−(N,N−ジエチル)−アミノ}フェニルメチル亜燐
酸トリエチル4.26g(0.011モル)を用いたこ
と以外は、上記実施例1と同様にして、前記式(A3)で表
されるブタジエン誘導体5.50g(収率60%)を得
た。
【0055】得られたブタジエン誘導体の分析結果を以
下に示す。 元素分析結果 計算値(%): C:89.38 H:7.26
N:3.36 実測値(%): C:89.38 H:7.27
N:3.38 質量分析結果 C62602 として m/e=832 (計算値833.2)実施例4 〈前記式(A4)で表されるブタジエン誘導体の合成〉実施
例1で使用した4−ブロモフェニル−p−ビフェニリル
メタンに代えて、前記一般式(1) 中のR3 がビフェニリ
ル部分の4′位に置換したメチル基である4−ブロモフ
ェニル−4′−メチル−p−ビフェニリルメタン27.
3g(0.081モル)を用いるとともに、実施例1で
使用した4−アセチルフェニル−p−ビフェニリルメタ
ンに代えて、前記一般式(3) 中のnが1、R3 がビフェ
ニリル部分の4′位に置換したメチル基である4−アセ
チルフェニル−4′−メチル−p−ビフェニリルメタン
24.3g(0.081モル)を用いたこと以外は、上
記実施例1と同様にして、前記式(A4)で表されるブタジ
エン誘導体5.19g(収率63%)を得た。
【0056】得られたブタジエン誘導体の分析結果を以
下に示す。 元素分析結果 計算値(%): C:89.80 H:6.46
N:3.74 実測値(%): C:89.79 H:6.50
N:3.70 質量分析結果 C56482 として m/e=748 (計算値749.0)実施例5〜8および比較例1,2(積層型感光体) 下記式(A) で表される電荷発生材料2部、ポリビニルブ
チラール樹脂1部、テトラヒドロフラン120部を、ガ
ラスビーズ(2mm径) を用いたペイントシェーカーに
て2時間分散させた。得られた分散液をアルミニウム素
管の表面に浸漬法によって塗工し、100℃で1時間乾
燥し、0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0057】
【化10】
【0058】この電荷発生層上に、前記実施例1〜4で
作製した電荷輸送材料1部、ポリエステル樹脂1部をト
ルエン9部に溶解した溶液を浸漬法にて塗工し、100
℃で1時間乾燥し、22μmの電荷輸送層を形成し、負
帯電型の積層型感光体を得た。使用した電荷輸送材料
は、表1において、各実施例に相当する、前述した式(A
1)〜(A4)の番号で示した。
【0059】比較例1は前記一般式(i) 中のR4 がジエ
チルアミノ基、R5 が水素原子である化合物を、比較例
2は下記式(ii)で表される化合物を、それぞれ電荷輸送
材料として使用した以外は、上記実施例5〜8と同様に
して、積層型感光体を作製した。
【0060】
【化11】
【0061】実施例9〜12および比較例3,4(単層
型感光体) 前記式(A) で表される電荷発生剤1部およびテトラヒド
ロフラン60部を、ガラスビーズ(2mm径) を用いたペ
イントシェーカーにて2時間分散させた。得られた分散
液に、ポリエステル樹脂のテトラヒドロフラン溶液50
部、および前記実施例1〜4で作製した電荷輸送材料1
0部を加え、さらに1時間分散を続けた。得られた分散
液をアルミニウム素管の表面に浸漬法にて塗工し、20
μmの感光層を形成し、正帯電型の単層型感光体を得
た。使用した電荷輸送材料は、表2において、各実施例
に相当する、前述した式(A1)〜(A4)の番号で示した。
【0062】比較例3は前記一般式(i) 中のR4 がジエ
チルアミノ基、R5 が水素原子である化合物を、比較例
4は前記式(ii)で表される化合物を、それぞれ電荷輸送
材料として使用した以外は、上記実施例9〜12と同様
にして、単層型感光体を作製した。上記各実施例、比較
例の電子写真感光体について、以下の試験を行い、その
特性を評価した。
【0063】初期表面電位の測定 各電子写真感光体を、静電式複写試験装置(ジェンテッ
ク社製の商品名ジェンテックシンシア30M)に装填
し、その表面を正または負に帯電させて、初期表面電位
Vs.p.(V)を測定した。半減露光量および残留電位の測定 上記初期表面電位の測定で帯電状態となった電子写真感
光体を、静電式複写試験装置の露光光源であるハロゲン
ランプを用いて、露光強度10lux の条件で露光して、
その表面電位が1/2となるまでの時間を求め、半減露
光量E1/2 (lux ・sec )を算出した。
【0064】また、上記露光開始後、0.15秒を経過
した時点の表面電位を測定し、残留電位V1r.p.(V)
とした。光安定性の測定 上記電子写真感光体を、静電式複写機(三田工業社製の
型番DC−111)に装填して1000枚の連続複写を
行った後、上記と同様にして、繰り返し露光後の残留電
位V2r.p.(V)を測定した。そして、前記残留電位V
1r.p.とV2r.p.との差ΔVr.p.(V)を求めた。
【0065】積層型感光体(実施例5〜8および比較例
1,2)の試験結果を表1に、単層型感光体(実施例9
〜12および比較例3,4)の試験結果を表2にそれぞ
れ示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】これらの試験結果から、各実施例の感光体
は、積層型、単層型の何れのものも、表面電位VS.P.に
ついては比較例の従来の感光体とほとんど差はないが、
半減露光量E1/2 が小さく、かつ、残留電位V1r.p. が
低いことから、感度が著しく改善されていることが判っ
た。また、上記各実施例の感光体は、比較例に比べてΔ
Vr.p.が小さいことから、何れも、耐久性に優れたもの
であることが判った。
【0069】
【発明の効果】以上のように、この発明のブタジエン誘
導体は、高い電荷輸送能を有し、かつ、光安定性に優れ
ているため、このブタジエン誘導体を電荷輸送材料とし
て用いることにより、高感度で、かつ耐久性に優れた電
子写真感光体が得られる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) : 【化1】 [式中、R1 ,R2 ,R3 は同一または異なって水素原
    子、もしくは、置換基を有してもよいアルキル基、アル
    コキシ基を示し、nは1〜5の整数を示す。]で表され
    るブタジエン誘導体。
  2. 【請求項2】導電性基体上に、上記一般式(I) で表され
    るブタジエン誘導体を含む感光層を設けたことを特徴と
    する電子写真感光体。
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