JPH0511069Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、車輛用シート、詳しくはシート本体
を各使用者の最適位置等に合わせて前後調整する
自動調整機構を備えた車輛用シートの改良に関す
る。

（従来の技術及びその問題点） 従来、車輛用シートにおけるシート本体の前後
調整を自動的に行なうには、取付床面に設けたレ
ール上に摺動自在にシート本体を配設し、該シー
ト本体を駆動モーターによつて機械的に前後進せ
しめる前後動機構で最適位置を設けるものとして
いた。

しかし、上記従来技術にあつては前後動機構を
駆動モーターによつて駆動させていた為、前後動
機構や駆動モーターへの配線が複雑となり、かつ
駆動モーターが高価であつたため製造コストの高
騰を招き好ましくなかつた。

またストツパーなどの安全装置がない為、急ブ
レーキや衝突その他思わぬ外力などによつて、時
として動いてしまい安全性に欠けるものであつ
た。

（考案が解決しようとする課題） 本考案は、従来技術の有するこのような問題点
に鑑みなされたものであり、その目的とするとこ
ろは、伸縮体の膨脹、収縮により、シート本体の
前後進及びシート本体を所定位置に支持する掛止
具の掛止作動を図る車輛用シートを供し、構造の
簡素化を図ることにより製造コストの低廉化を図
り、かつシート本体を所定位置に支持せしめて安
全性を向上せしめることである。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために本考案がなした技術
的手段は、シート取付床面に固定したレール上
に、シート本体のスライド枠を配してシート本体
を摺動自在に配設すると共に、前記シート本体下
面に膨脹、収縮によりシート本体を前後進せしめ
る前後進用伸縮体を配設し、かつ前記シート本体
の側部所要箇所に衝止部を突設し、該衝止部と並
行して前記レールに掛止せしめる掛止具を回動自
在に設けると共に、該衝止部と掛止具との間に前
記前後進用伸縮体よりも小容量の掛止具用伸縮体
を配設し、前記した各伸縮体が複数のエアーバツ
ク体を重ね合わせると共に連通状に接合してなる
ことである。

（作用） 上記せる技術的手段により、各伸縮体に向けて
空気を供給せしめると、まず小容量の掛止具用伸
縮体を構成する連通状に接合された各エアーバツ
ク体が衝止部と掛止具との間で膨脹し、エアーバ
ツク体の重なる方向へ伸長して掛止具を押圧せし
めると、該掛止具が軸支部へ支点として回転し、
レールと掛止具との掛止が解除され、シート本体
が前後進自在の状態となり、空気が供給された前
後進用伸縮体を構成する連通状に接合された各エ
アーバツク体が膨脹し、エアーバツク体の重なる
方向へ伸長してシート本体を前進あるいは後進せ
しめ、最適位置で供給を停止せしめると、前記膨
脹状態の掛止具用伸縮体内の空気が排出され、掛
止具に対する押圧力が弱まり掛止具は軸支部を支
点として回動しレールに掛止してシート本体を支
持する。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
すると、図中Ａは本考案車輛用シートで、該車輛
用シートＡは、ヘツドレスト部１、背凭部２及び
座部３とからなるシート部４と、該シート部４の
下方に設けられるスライド枠５，５とでシート本
体ａを形成し、該シート本体ａを取付床面に設け
たレール６，６上に前記スライド枠５，５を介し
て滑動自在に配置すると共に、前記シート本体ａ
下面にシート本体ａを前後進せしめる前後進用伸
縮体７を配設し、かつ前記シート本体ａの側面所
要箇所に掛止具用伸縮体８を介して掛止具９を配
置してなる。

シート本体ａは、ヘツドレス部１、背凭部２及
び座部３の夫々の骨格となるフレーム（図示省
略）を鋼板等によつて形成し、この夫々のフレー
ムの周りを所要肉厚のクツシヨン材１０１…とト
リムカバー１０２…とで被覆してシート部４が形
成されると共に、該シート部４の下面に一体的に
設けられた支持台４ａを介して下面略中央部位に
押板４ｃを有する下板４ｂを一体的に設け、該下
板４ｂの下面両側縁（車輛進行方向）に断面略
状の長尺状スライド枠５，５を並行状に固着せし
めてなる。

また。前記支持台４ａ及び下板４ｂを設けずと
も、直接座部３の下板にスライド枠５，５及び押
板４ｃを設けるものとするのも任意であり、別段
制約は受けないものである。

尚、シート部４は従来周知形状であり、その詳
しい説明は省略する。

また、図示例にあつてはヘツドレスト部１、背
凭部２及び座部を夫々トリムカバー１０２…で別
個に被覆してあるが、全体を一連のトリムカバー
１０２で被覆するものであつてもよい。

そして、取付床面ｙに固着せしめた載置板ｂの
上面両側縁（車輛進行方向）に、レール載置台ｃ
…を介してレール６，６を設け、該レール６，６
上に前記シート本体ａのスライド枠５，５を介し
てシート本体ａを滑動自在に配置する。

前記レール６は、長手方向外側面に凹溝６ａ…
を多数設け、該凹溝６ａ…は前記スライド枠５、
ガイドレール６に合致した際に外方に向けて突出
するものである。

掛止具９は、例えば受け部９ａの下部に前記レ
ール６の凹溝６ａ…に合致する爪部９ｂを一又は
複数個設けると共に、取付片９ｃ，９ｃを突設し
てなり、前記スライド枠５の長手方向側面に外方
に向けて直交状に突設せしめた支持片１０，１０
に、前記取付片９ｃ，９ｃの軸孔９c′，９c′と支
持片１０，１０の軸孔１０′，１０′とを連通せし
めて長軸１１を挿通せしめて回動自在に支持され
る。

また、掛止具９は、シート本体ａの支持台４ａ
の前記スライド枠５の側面から直交状に突設され
た平面形状形の衝止部１２内に受け部９ａが該
衝止部１２の衝止面１２′と並行状に位置するも
のとする。

尚、掛止具９には引きつけ用スプリング１３を
設け、このスプリング１３で掛止具９には常時衝
止部１２の衝止面１２′側に向けて戻り力が掛る
ものとする。

次に前後進用伸縮体７及び掛止具用伸縮体８に
ついて説明すると、３層構造の成形用シート１４
を用いて成形されたエアーバツク体７ａ又は８ａ
を複数個重ね合わせてなるもので、本実施例にあ
つて前後進用伸縮体７は、第８図に示す如く重ね
合わせたエアーバツク体７ａ…の重ね合わせ部の
接触面における中央部を熱溶着等してなるもの
で、一方掛止具用伸縮体８は第９図に示す如く前
記前後進用伸縮体７を構成するエアバツク体７ａ
よりも小容量としたエアーバツク体８ａ，８ａを
重ね合わせ、その一側縁に沿う部分を熱溶着して
接合せしめたもので、膨脹時に接合部と対する側
の他側縁が開き略Ｖ字状に成る様に伸長するもの
であり、そして夫々のエアーバツク体７ａ…の気
室１５…同志、又は８ａ…の気室１５′…同志を
連通せしめる通気孔１６…，１６′を開設すると
共に、夫々の気室１５，１５′に空気を出し入れ
するための給気口１７，１７′を設ける。

尚、上記せる各エアーバツク体７ａ…又は８ａ
…の接合方法及び積み重ね数は何等制約を受ける
ものではなく、その押出し空間に適宜合わせるも
のとし任意である。

ここで上記エアーバツク体７ａ，８ａの一例に
ついて説明すると、該エアーバツク体７ａ，８ａ
は、非伸縮性と高張力を兼ね備える太さ50〜100
ミクロンのいと、例えば、ポリエステル製若しく
はポリアミド製等の糸で織つたメツシユ数70〜
200布材１４ａを通常のものより幾分硬めの熱可
塑性軟質ウレタン樹脂等からなる２枚の熱可塑性
合成樹脂シート１４ｂ，１４ｂで挾むと共に、こ
の両熱可塑性合成樹脂シート１４ｂ，１４ｂ同士
を全面的に熱溶着して３者１４ｂ，１４ａ，１４
ｂを一体に成形した成形用シート１４を所要形状
（図示例にあつては略矩形状）に裁断し、該成形
用シート１４を２枚重ね合わせると共に、その周
縁同士を熱溶着して成形する。

尚、上記せる成形用シート１４は布材１４ａに
よつて伸びを防止すると共に、成形用シート１４
自体の肉厚を同シート１４の柔軟性が損なわれな
い程度に押さえることができる。

また、この成形用シート１４を用いて成形した
エアーバツク体７ａ，８ａは、気室１５，１５′
内に高圧力が加わつた際の変形が少なく、かつ膨
脹時において柔軟性不足によるシワが発生するこ
ともない。

そして、上述の如く構成された前後進用伸縮体
７を、例えば図示せる如く２個用い、シート本体
ａと載置板ｂとの間の空間Ｘ内で、前記シート本
体ａの下面に設けた押板４ｃを挾んで載置板ｂ上
に固着せしめたケース１８内に夫々配設する。

この場合、伸縮体７，７′は、第１，第２図に
示すように、車輛進行方向にエアーバツク体７ａ
…が並設状となるように夫々配設し、前方の伸縮
体７を後進用、後方の伸縮体７′を前進用とする。

一方、掛止具用伸縮体８は、前記衝止部１２の
衝止面１２′と掛止具９の受け部９ａとの間に配
設し、この場合伸縮体８は第５図に示すように掛
止具９を膨脹時に押圧するように配設する。

そして、上記せる各伸縮体７，７′，８にバル
ブ１９…を介してエアーポンプ２０と接続される
送気パイプ２１ａ，２１ａ，２１ｂを夫々接続間
２２，２２，２２′を介して各給気口１７，１７，
１７′に接続する。

従つて、シート本体ａを前進せしめる場合、エ
アーポンプ２０の作動スイツチ（図示省略）と共
に設けた操作ボタン２３を前進用の開弁位置にセ
ツトし、エアーポンプ２０から送られる空気を、
掛止具用伸縮体８及び後方の前進用伸縮体７に
夫々の送気パイプ２１ｂ，２１ａを介して各給気
口１７′，１７より供給せしめると、まず小容量
の掛止具用伸縮体８を構成する一方のエアーバツ
ク体８ａの気室１５′内から通気孔１６′を通過し
て他方のエアーバツク体８ａの気室１５′内に流
入し、両エアーバツク体８ａ，８ａをすばやく膨
脹させて伸縮体８を断面略Ｖ字状に伸張せしめ、
軸支部９′で回動せしめて掛止具９の受け部９ａ
をシート本体ａ側へ押圧し、爪部９ｂをレール６
の凹溝６ａから脱し、シート本体ａ前進可能状態
とする。

そして、その後遅れて前記せる後方の前進用伸
縮体７を構成する各エアーバツク体７ａ…がケー
ス１８内壁後面と押板４ｃとの間で前記エアーバ
ツク体８ａ同様空気が送られて膨脹し、エアーバ
ツク体７ａ…の並設される方向（車輛進行方向）
へ伸張し、押板４ｃを前方へ押圧することにより
シート本体ａは前進する。

この時、前方に配されている他方の後進用伸縮
体７′は、その後方の前進用伸縮体７の膨脹に伴
つてバルブ１９の作用により収縮するものとす
る。

即ち、バルブ１９…に例えば三方電磁弁を用
い、操作ボタン２３を前進用の開弁位置にセツト
すると、前進用伸縮体７に係わるバルブ１９及び
掛止具用伸縮体８に係わるバルブ１９は、夫々入
口及び出口を開放し、排出口を閉鎖すると共に、
後進用伸縮体７′に係わるバルブ１９は入口、出
口を閉鎖し、排出口を開放するものとする。

従つて、前記前進用伸縮体７及び掛止具用伸縮
体８にはエアーポンプ２０からの空気が各バルブ
１９，１９を介して供給され、後進用伸縮体７′
には供給されず、前記前進用伸縮体７の膨脹によ
る押圧力で供給されていた空気が排出口から排出
されて収縮する。

そして、最適位置にシート本体ａが達した時
に、前記操作ボタン２３を閉弁位置にセツトし、
空気の供給を停止すると、前進用伸縮体７に係る
バルブ１９の入口及び出口が閉鎖されると共に、
掛止具用伸縮体８の入口が閉鎖され、さらにその
出口は開放状態のまま排出口が開放され掛止具用
伸縮体８の空気が排出されて収縮し、掛止具９の
受け部９ａに掛つていた押圧力が弱まり、該掛止
具９は引きつけ用スプリング１３により衝止面１
２′側に軸支部９′で回動し、爪部９ｂがレール６
の所定の凹溝６ａに掛止され、シート本体ａを所
定位置に支持する。

また、シート本体ａを後進せしめる場合は、前
記操作ボタン２３を後進用の開弁位置にセツト
し、後進用伸縮体７′及び掛止具用伸縮体８に空
気を供給し掛止具用伸縮体８の膨脹後、後進用伸
縮体７′を膨脹せしめて行う。

従つてこの場合は、後進用伸縮体７′に係るバ
ルブ１９及び掛止具用伸縮体８に係るバルブ１９
が入口及び出口を開放すると共に排出口は閉鎖
し、前進用伸縮体７に係るバルブ１９は入口及び
出口が閉鎖し排出口が開放されるもので、前記前
進作動時同様の作動を奏して所定位置を得るもの
とする。

ちなみに、上記操作ボタン１６は、操作容易性
から使用者の手の届く座部３の側部等に設置する
ものとする。

尚、上記せる実施例にあつては、前後進用伸縮
体７を前進用、後進用として２個用いたが、単一
の伸縮体７のみでもよく、この場合例えばシート
本体ａの下面に伸縮体７を配すると共にその膨脹
方向と反する戻り力を有する引きつけ用スプリン
グをシート本体ａ側と取付床面ｙ側とに張架する
ものとすればよく、種々の用い方が考えられるが
何等制約は受けないものである。

また、夫々の作動を単一の操作ボタン２３で行
うもので説明したが、前後進用伸縮体７用、掛止
具用伸縮体８用として別個の操作ボタンを設け、
別々に操作せしめるものとするのも任意である。

（考案の効果） 本考案は、上記せる如き構成を有するので下記
の効果を奏する。

エアーバツク体を複数個重ね合わせると共に連
通状に接合してなる前後進用伸縮体に空気を供給
又は排出せしめて膨脹、収縮せしめることにより
シート本体を前後進操作して使用者各人の最適位
置を確保するものとしたため、従来の車輛用シー
トと比較して構造を大幅に簡素化することがで
き、また高価な駆動モーターを使用しないと共に
駆動モーターへの複雑な配線もなく結果として製
造コストの大幅な低廉化が図れる。

また、シート本体を所定位置に支持せしめるス
トツパーとして、シート本体の側部所要箇所から
突設された衝止部と並行して掛止具を回動自在に
軸支して設け、該掛止具と衝止部との間に配した
エアーバツク体を複数個重ね合わせると共に連通
状に接合してなる掛止具用伸縮体の膨脹、収縮作
動により掛止具を前後に回動せしめレールに掛止
自在としたため、シート本体を所定位置に安全に
支持できると共に簡単構造であり安価にて供する
ことができる。

さらに、伸縮体を複数のエアーバツク体を重ね
合わせて構成したので、同伸縮体のストロークを
長くすることが可能であり適宜シート本体の前後
進範囲に対応せしめることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案車輛用シートの一実施例を一
部省略して示す縦断側面図、第２図は同前進状態
を示す縦断側面図、第３図は同縦断正面図、第４
図は同側面図、第５図は掛止具の拡大断面図、第
６図は掛止状態を示す横断平面図、第７図は送気
系統及び制御系統の略式図、第８図は前後進用伸
縮体の一部切欠して示す全体斜視図、第９図は掛
止具用伸縮体を一部切欠して示す全体斜視図、第
１０図は成形用シートの一実施例を一部切欠して
示す斜視図である。 尚、図中、Ａ……車輛用シート、ａ……シート
本体、４……シート部、４ｃ……押板、５……ス
ライド枠、６……レール、７……前後進用伸縮
体、８……掛止具用伸縮体、７ａ，８ａ……エア
ーバツク体、９……受け、９ｂ……爪部、１２…
…衝止部、１６，１６′……通気孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シート取付床面に固定したレール上に、シート
   本体のスライド枠を配してシート本体を摺動自在
   に配設すると共に、前記シート本体下面に膨脹、
   収縮によりシート本体を前後進せしめる前後進用
   伸縮体を配設し、かつ前記シート本体の側部所要
   箇所に衝止部を突設し、該衝止部と並行して前記
   レールに掛止せしめる掛止具を回動自在に設ける
   と共に、該衝止部と掛止具との間に前記前後進用
   伸縮体よりも小容量の掛止具用伸縮体を配設し、
   前記した各伸縮体が複数のエアーバツク体を重ね
   合わせると共に連通状に接合してなることを特徴
   とする車輛用シート。