JPH0510743A - めつき層上の塗膜の厚さ測定方法 - Google Patents

めつき層上の塗膜の厚さ測定方法

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JPH0510743A
JPH0510743A JP16436491A JP16436491A JPH0510743A JP H0510743 A JPH0510743 A JP H0510743A JP 16436491 A JP16436491 A JP 16436491A JP 16436491 A JP16436491 A JP 16436491A JP H0510743 A JPH0510743 A JP H0510743A
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JP
Japan
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thickness
plating layer
coating film
intensity
ray
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Pending
Application number
JP16436491A
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English (en)
Inventor
Yoshinori Fukuda
義徳 福田
Hiroharu Katou
宏晴 加藤
Hideya Tanabe
英也 田辺
Toshikazu Iwata
年一 岩田
Takanori Akiyoshi
孝則 秋吉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0510743A publication Critical patent/JPH0510743A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 X線を用いてめっきされた金属体を被覆した
塗膜の厚さを高精度で測定する。 【構成】 塗装金属体に入射X線1を照射し、発生する
二次X線から塗膜3の厚さを測定する。このとき、塗膜
と下地金属との間に下地金属と組成の異なるめっき層が
存在すると、そのめっき層の厚さがコンプトン散乱X線
等二次X線強度に影響する。コンプトン散乱X線強度と
めっき層4からの蛍光X線及び下地金属5からの蛍光X
線強度について、塗膜厚とめっき層厚との関係を理論的
に求め、これらの関係式に基づいてめっき層厚の影響を
補正することによって、正確な塗膜厚を求める。 【効果】 従来、測定値の誤差範囲は4%程度であった
が、これが2%以内に向上した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】鉄鋼、亜鉛、銅、ニッケルなどの
金属やこれらの合金上にめっき層が存在する場合のめっ
き層上の塗膜の厚さを、非破壊で迅速に且つ精度よく測
定する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】金属上塗膜の厚さ測定法には、マイクロ
メーター法、重量法、電磁法、赤外線反射法等がある。
マイクロメーター法、重量法は、塗膜を剥いでその前後
の寸法差或いは重量差から塗膜厚を求める方法で、直接
的に厚さが求まる絶対法である。JISにはこの二つの
方法が規定されている。
【0003】電磁法、赤外線反射法は相対法であって、
上記の絶対法を基準として電磁強度或いは赤外線吸収量
が厚さに換算される。測定の迅速さ、非破壊測定が可能
な点でこれらの相対法は優れているが、限られた条件下
でなければ測定出来ない欠点があった。この欠点を克服
した測定法にコンプトン散乱X線測定法がある。
【0004】例えば、特開昭64−41810号公報で
は、塗膜で被覆された金属にX線を照射し発生するコン
プトン散乱X線の強度は、塗膜の厚さと直線関係にあ
り、この直線の切片は下地金属と関係し勾配は塗膜と関
係することを明らかにしている。そして、経験的に得ら
れた検量線を用いて塗膜厚を算出するが、下地金属及び
塗膜の種類の相違による影響を経験的に得られた係数を
用いて補正し、塗膜の厚さを的確に且つ迅速に測定する
方法を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
64−41810号公報では、下地金属の種類は蛍光X
線の波長及び強度を測定して把握される。測定した波長
から金属成分が、又強度からその量が把握され、金属成
分別に経験的に求められた係数とその金属成分の蛍光X
線強度の積が補正量となる。言い換えれば、めっき層と
めっき層下地とは区別されておらず、めっき層の成分と
厚さ及びめっき層下地を含めて、下地金属の種類として
経験的に求めた係数を用いて補正していた。そして、塗
膜厚とコンプトン散乱X線強度との関係は一次直線の関
係にあり、補正は直線の切片を修正することによっての
み行われるものであった。
【0006】このため、めっき層の厚さが変動すると、
塗膜厚の測定精度が低下すると言う問題が残されてい
た。
【0007】この問題を解決するためにこの発明は行わ
れたもので、塗膜厚及びめっき層厚と二次X線強度との
関係を理論的に求め、この関係式を用いてめっき層厚の
影響を補正する。これによって、塗膜厚を高い精度で測
定することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の手段は、金属面に塗布された塗膜面にX線を照射し、
塗膜、めっき層及び下地金属から発生するコンプトン散
乱X線又は蛍光X線を測定して塗膜厚を求める際に、塗
膜厚とめっき層厚とX線強度との関係を理論的に求めた
関係式に基づいてめっき層厚の影響を補正するめっき層
上の塗膜の厚さ測定方法であるが、この方法を行う実施
態様として、補正の仕方に次のような方法が推奨され
る。
【0009】(1)コンプトン散乱X線強度を測定し、
塗膜厚とめっき層厚とコンプトン散乱X線強度との関係
式に基づいて補正を行うめっき層上の塗膜の厚さ測定方
法。
【0010】(2)コンプトン散乱X線強度とめっき成
分の蛍光X線強度を測定し、塗膜厚とめっき層厚とコン
プトン散乱X線強度との関係式、及び、塗膜厚とめっき
層厚とめっき層から発生する蛍光X線の強度との関係式
を用いてめっき層厚を消去することによって補正を行う
めっき層上の塗膜の厚さ測定方法。
【0011】(3)コンプトン散乱X線強度と下地金属
から発生する蛍光X線の強度を測定し、塗膜厚とめっき
層厚とコンプトン散乱X線強度との関係式、及び、塗膜
厚とめっき層厚と下地金属から発生する蛍光X線の強度
との関係式を用いてめっき層厚を消去することによって
補正を行うめっき層上の塗膜の厚さ測定方法。
【0012】(4)めっき層から発生する蛍光X線の強
度と下地金属から発生する蛍光X線の強度を測定して、
塗膜厚とめっき層厚とめっき層から発生する蛍光X線の
強度との関係式、及び、塗膜厚とめっき層厚と下地金属
から発生する蛍光X線の強度との関係式、を用いてめっ
き層厚を消去することによって補正を行うめっき層上の
塗膜の厚さ測定方法。
【0013】(5)コンプトン散乱X線強度とめっき層
から発生する蛍光X線の強度及び下地金属から発生する
蛍光X線の強度を測定し、塗膜厚とめっき層厚とめっき
層から発生する蛍光X線の強度との関係式及び塗膜厚と
めっき層厚と下地金属から発生する蛍光X線の強度との
関係式とからめっき層から発生する蛍光X線の強度と下
地金属から発生する蛍光X線の強度の比を用い、塗膜厚
とめっき層厚とコンプトン散乱X線強度と関係式とから
めっき層厚を消去することによって補正を行うめっき層
上の塗膜の厚さ測定方法。
【0014】(6)次のからの手順に従って補正を
行うめっき層上の塗膜の厚さ測定方法。 めっき層厚を或る初期値に設定する。 この初期値を用いてコンプトン散乱X線強度から得ら
れた塗膜厚を補正する。 この補正された塗膜厚とめっき金属の蛍光X線強度と
から再びめっき層厚を算出する。 この算出されためっき層厚を用いて再び塗膜厚を補正
する。 との操作を繰り返して塗膜厚が収斂する値を最終
的に補正された塗膜厚とする。
【0015】
【作用】測定対象である塗膜で被覆された金属体(以
下、塗装金属体と称す)にX線を照射すると、塗膜及び
金属を構成する元素はこの入射X線によって励起され、
元素固有の蛍光X線を発生する。しかし、この塗装金属
から出てくる二次X線には蛍光X線の他に、トムソン散
乱X線やコンプトン散乱X線が含まれている。これらの
散乱X線は、入射X線が原子に衝突して散乱されたもの
であり、このうち衝突によってエネルギーを失って散乱
されたものが、コンプトン散乱X線である。コンプトン
散乱X線は失ったエネルギーの分だけ入射X線よりも波
長が長くなっているので、トムソン散乱X線や蛍光X線
と区別してこれを測定することが出来る。以上はコンプ
トン散乱X線法が測定に用いられる一つの原理である。
【0016】入射X線と二次X線の塗装金属体内の経路
を図1に示す。塗装金属の表面に入射角φで照射された
入射X線1は、塗膜3及びめっき層4を通過し下地金属
5に到達する。そして、通過過程で散乱されたり吸収さ
れたりして二次X線を発生し、この二次X線も又散乱さ
れたり吸収されたりする。二次X線のうち取り出し角ψ
で放射される二次X線2が測定される。
【0017】散乱や吸収される度合いは、X線の波長と
通過物質に依存し、蛍光X線の発生する度合いも同じく
これらに依存する。例えば、塗膜3は主成分が有機樹脂
で軽元素で構成されており、X線を吸収する能力(吸収
係数)は小さく、取り出される散乱X線の量は多い。
【0018】この塗膜と金属とのX線吸収係数の相違を
利用することが、コンプトン散乱X線測定法のもう一つ
の原理であり、ここに言う塗膜は、施行法を問わず、軽
元素を主成分とする膜であればよい。勿論、紙を貼り付
けた物等でもよい。
【0019】あまり吸収されずに塗膜3を通過した入射
X線もめっき層4では減衰が大きくなるので、下地金属
5にまで達する入射X線の量はこのめっき層4の厚さの
影響を強く受ける。下地金属5やめっき層4で発生する
二次X線も同様にめっき層4の厚さの影響を受ける。
【0020】塗装金属体内の任意の点での入射X線の強
度は入射X線がその点に達するまでに、減衰した強度で
あり、この強度の入射X線が散乱されてコンプトン散乱
X線がその点で発生する。この発生したコンプトン散乱
X線は通過過程に応じて減衰した強度が測定される。
【0021】従来、塗膜下にめっき層が存在する場合、
めっき層の極く表面で散乱されるコンプトン散乱X線に
は注目していたが、めっき層の深部や下地金属で散乱さ
れるコンプトン散乱X線については、入射X線散乱X線
共に吸収が甚だしく、これらを区別して取り扱っていな
かった。しかし、これらのコンプトン散乱X線をも考慮
することによって、塗膜厚の測定はより正確に求められ
るものである。
【0022】この場合、当然、めっき層を構成する成分
と層の厚さを無視することは出来ず、これらを含めた考
察が必要となる。
【0023】以上を総合して考え、入射X線強度とコン
プトン散乱X線強度との関係について理論式を導く事が
出来る。入射角φでX線を入射したとき、取り出し角ψ
で測定されるコンプトン散乱X線についての理論式を整
理するとが数1が得られる。
【0024】
【数1】
【0025】
【数2】
【0026】コンプトン散乱X線強度IC は、入射X線
強度I0に比例しβ及び塗膜厚LA の関数として表され
る。βは数2で示されるが、これはめっき層厚LZ の関
数である。即ち、数1は塗膜厚とめっき層厚とコンプト
ン散乱X線強度と関係を理論的に求めた式である。数1
の右辺の第1項は塗膜厚LA には無関係であり、第2項
は塗膜厚LA の比例関数になっている。その他の変数即
ち散乱係数、質量、質量吸収係数は物質により定まる。
したがって、下地金属、めっき層及び塗膜の成分が変わ
らず且つめっき層厚が一定であれば、IC とLA とは直
線関係にあり、第1項はこの直線の切片で、第2項の係
数は勾配を示す。めっき層の厚さLZ が変化するとこの
直線の切片にも又勾配にも影響し、この直線関係は成り
立たない。
【0027】めっき層厚の影響を調べた結果を表1に示
す。鋼板に亜鉛めっきを施しその上に厚さ30μmの塗
膜を施した試験片について、亜鉛めっき層の厚さを変え
て塗膜厚を測定した。数1に基づいて、めっき層厚の影
響を考慮してこれを補正した場合の結果を、めっき層厚
を考慮しなかった場合の結果と比較したものである。め
っき層厚を考慮しない場合は、厚さが2μmずれると、
塗膜厚の測定に約5%の誤差を生ずる。これに対して、
数1及び数2によってめっき層厚を考慮した場合は誤差
は0.3%程度に収まっている。
【0028】
【表1】
【0029】このように、塗膜厚とめっき層厚とコンプ
トン散乱X線強度との関係を理論的に求めた関係式に基
づいてめっき層厚の影響を補正すると、精度の高い測定
値が得られる。
【0030】下地金属、めっき層と塗膜の成分及びめっ
き層の厚さが判明している場合は、それぞれのコンプト
ン散乱係数、密度及び質量吸収係数が定まるので、IC
を測定することによって、数1及び数2から塗膜の厚さ
A を直接求めることが出来る。
【0031】しかし、めっき層厚が不明であったり或い
は部分的に変動しているような場合には、めっき層厚に
関する情報を得てその影響を補正しなければならない。
【0032】このような場合、数1のような、塗膜層厚
とめっき層厚とコンプトン散乱X線強度の関係式に加え
て、もう一つの塗膜層厚とめっき層厚と測定可能なX線
強度の関係式があれば、めっき層厚を考慮した塗膜厚を
得ることが出来る。
【0033】めっき層厚に関する情報は、めっき層成分
や下地金属成分からの蛍光X線強度に含まれており、し
かも、成分別にその強度を測定することが可能である。
下地金属内で発生した蛍光X線は下地金属とめっき層及
び塗膜を通過し、めっき層内で発生した蛍光X線はめっ
き層と塗膜を通過してくる。したがって、これらの蛍光
X線の強度は、めっき層や塗膜層の厚さと関連する。
【0034】この関係を理論的に導き、関係式を整理す
ると数3及び数4が得られる。
【0035】
【数3】
【0036】
【数4】
【0037】数3は,蛍光X線強度について整理した関
係式で、その強度IZ とめっき層厚LZ 及び塗膜厚LA
との関係を示している。数4は、下地金属成分の蛍光X
線について整理した関係式で、その強度IB とめっき層
厚LZ 及び塗膜厚LA との関係を示している。
【0038】めっき層成分の蛍光X線強度IZ 及びコン
プトン散乱X線強度IC とを測定し、数1と数3を連立
して解くことにより、塗膜厚LA とが算出される。
【0039】即ち、X線強度としてコンプトン散乱X線
強度とめっき層成分の蛍光X線強度を測定し、塗膜厚と
めっき層厚とコンプトン散乱X線強度との関係式、及
び、塗膜厚とめっき層厚とめっき層から発生する蛍光X
線の強度との関係式を用いてめっき層厚を消去すること
によって、めっき層の厚さの影響が補正された高精度の
塗膜厚が求められる。
【0040】又、コンプトン散乱X線強度IC 及び下地
金属の蛍光X線強度IB とを測定し、数1と数4を連立
して解くことによっても、めっき層厚LZ と塗膜厚LA
とが算出される。
【0041】即ち、X線強度としてコンプトン散乱X線
強度と下地金属成分の蛍光X線強度を測定し、塗膜厚と
めっき層厚とコンプトン散乱X線強度との関係式、及
び、塗膜厚とめっき層厚と下地金属から発生する蛍光X
線の強度との関係式を用いてめっき層厚を消去すること
によって、めっき層の厚さの影響が補正された高精度の
塗膜厚が求められる。
【0042】更に、めっき層から発生する蛍光X線の強
度と下地金属から発生する蛍光X線の強度を測定して、
塗膜厚とめっき層厚とめっき層から発生する蛍光X線の
強度との関係式、及び、塗膜厚とめっき層厚と下地金属
から発生する蛍光X線の強度との関係式、を用いてめっ
き層厚を消去することによっても、めっき層の厚さの影
響が補正された高精度の塗膜厚が得られる。即ち、数3
と数4とを連立して解くことによって、塗膜厚LA が得
られる。この場合、蛍光X線の強度(IZ 、I B )測定
のみから塗膜厚LA が求まる。
【0043】X線強度の測定には種々の誤差が伴うが、
測定条件の変動に原因する誤差を打ち消す方法がある。
【0044】コンプトン散乱X線強度とめっき層から発
生する蛍光X線の強度及び下地金属から発生する蛍光X
線の強度を測定し、塗膜厚とめっき層厚とめっき層から
発生する蛍光X線の強度との関係式及び塗膜厚とめっき
層厚と下地金属から発生する蛍光X線の強度との関係式
とからめっき層から発生する蛍光X線の強度と下地金属
から発生する蛍光X線の強度の比を用い、塗膜厚とめっ
き層厚とコンプトン散乱X線強度と関係式とからめっき
層厚を消去する方法である。
【0045】即ち、数3と数4とから、IZ /IB を求
める。この式にはLZ とLA とが未知数として含まれる
が、数1と連立して解くことにより、LZ とLA とが算
出される。この場合、IZ とIB とは単独で用いられる
のではなく、その比が用いられるので、両者に共通して
混入する測定誤差が打ち消され、より精度の高い測定が
可能となる。打ち消される測定誤差要因としては、例え
ば、X線管球の出力変動やパスライン変動などがある。
【0046】上記の方法は優れているが、適用出来ない
場合がある。塗膜中の顔料の一部に下地金属と同種の元
素が使用されているような場合には、その蛍光X線が塗
膜からのものか下地金属からのものか区別がつかず、I
B が正確に求まらない。このような場合は、数1と数3
との連立を解くことになる。同様に、めっき成分と顔料
成分とに共通の元素が存在する場合には、数1と数4と
の連立を解くことになる。
【0047】数1、数3、数4に見られるように、コン
プトン散乱X線の強度式や蛍光X線の強度式は非線型で
あり、これらを連立させて解析的に塗膜厚LA の厳密解
を直接得るのはかなり困難なことがある。
【0048】このような場合、最初にめっき層厚LZ
初期値を設定し、計算を繰り返すことによって近似の精
度を高める簡便な方法(以下、収斂法と称す)が用いら
れる。
【0049】即ち、先ず、めっき層厚を或る初期値に設
定し、この初期値を用いてコンプトン散乱X線強度から
得られた塗膜厚を補正する。次に、この補正された塗膜
厚とめっき金属の蛍光X線強度とから再びめっき層厚を
算出し、この算出されためっき層厚を用いて再び塗膜厚
を補正する。この操作を繰り返して塗膜厚が収斂する値
を最終的に補正された塗膜厚とするのである。
【0050】より具体的に、図3を用いてこの方法を説
明する。先ず、めっき層厚を初期値に設定する。この初
期値をLZ0とすると、LZ0とコンプトン散乱X線強度I
C とから数1を用いて1回目の塗膜厚LA1を求める。次
に、LA1と蛍光X線強度IZ 或いはIB とから、数3或
いは数4を用いて1回目の算出されためっき層厚LZ1
求める。このLZ1とコンプトン散乱X線強度とから、再
び数1を用いてLA2を求める。LA2はLA1よりも良い近
似を与えるので、更にLA2を数3或いは数4に代入する
という計算を繰り返すと、求まる塗膜の厚さはその都度
真値に近づき収斂してくる。したがって、n回目の値L
Anとn+1回目の値LAn+1との差が充分に小さくなるま
で計算を繰り返すことによって、充分な精度で塗膜の厚
さが求められる。
【0051】以上説明してきたように、塗装金属体の塗
膜厚をコンプトン散乱X線法によって測定するとき、下
地金属と塗膜との間に存在するめっき層の厚さを考慮
し、その影響を補正することによって塗膜厚の測定精度
は向上する。そして、その補正の方法は、場合によっ
て、測定するX線はコンプトン散乱X線であったり、蛍
光X線或いは両者であったする。又、用いる関係式も場
合に適したように整理されたものである。しかし、何れ
の場合にも共通しているのは、コンプトン散乱X線又は
蛍光X線を測定し、塗膜厚とめっき層厚とX線強度との
関係を理論的に求めた関係式に基づいてめっき層厚の影
響を補正することである。
【0052】なお、この方法は、めっき層が存在しない
場合でも、めっき層の厚さを零として適用できる。
【0053】又、説明の便のため、関係式を具体的に示
したが、これらの例示に限定されるものではなく、場合
によって変形して用いてもよく、塗膜厚とめっき層厚と
X線強度との関係を理論的に求めた関係式であればよ
い。
【0054】
【実施例】厚さ0.35mmの亜鉛めっき鋼板に塗膜を
付した塗装鋼板試料x,y,z,の三種類について、塗
膜の厚さを測定した。
【0055】測定は、この発明による実施例と従来の方
法による従来例及び絶対法である重量法とで行い、これ
らの結果を比較出来るようにした。
【0056】X線源にはAg管球を使用し、LiFモノ
クロメーターを用いて入射X線をAgKα線(λ=0.
561Å)に単色化した。又、Znの蛍光X線強度が他
の測定線に比し大き過ぎることが予想されたので、取り
出し側にはNiフィルターを設置し、Zn線の軽減を図
った。検出器にはエネルギー分解能の良い半導体検出器
を用い、多重波高分析器により、コンプトン散乱X線強
度、Zn及びFeの蛍光X線強度を同時に測定した。
【0057】めっき層の厚さによる補正計算は、収斂法
で行ったが、計算に際して数1を数5のように変形し計
算し易くして用いた。LZ の初期値をLZ0=∽として計
算を開始し、7回の繰り返し計算でLA −LA <0.0
01μmに収斂した。
【0058】
【数5】
【0059】測定結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】絶対法である重量法による測定値を真値と
見なし、その値からの隔たりを調べると、従来例では3
%以上であったが、実施例では1.7%以下であった。
【0062】
【発明の効果】以上述べて来たように、この発明では、
コンプトン散乱X線を用いて金属上の塗膜の厚さを測定
するに際して、塗膜と下地金属との間に存在するめっき
層の厚さの影響を理論式に基づいて補正して測定する。
このため、極めて精度の高い測定値が得られる。しか
も、めっき層の厚さの影響はコンプトン散乱X線と同時
に発生してくる蛍光X線の強度に基づいて得られるの
で、めっき層の厚さの変動による測定誤差が除去される
と共に装置が共用され他に複雑な装置を必要としない。
このように、精度の高い測定を簡便な装置で可能とした
この発明の効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】測定法の原理を説明するためのX線の経路を示
す光路図である。
【図2】塗膜厚の算出法の一実施例を示すフローチャー
トである。
【符号の説明】
1 入射X線 2 取り出し角ψの二次X線 4 めっき層 5 下地金属
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年2月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】以上を総合して考え、入射X線強度とコン
プトン散乱X線強度との関係について理論式を導く事が
出来る。入射角φでX線を入射したとき、取り出し角ψ
で測定されるコンプトン散乱X線についての理論式を
理すると数1が得られる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】めっき層成分の蛍光X線強度IZ 及びコン
プトン散乱X線強度IC とを測定し、数1と数3を連立
して解くことにより、塗膜厚LA が算出される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
フロントページの続き (72)発明者 岩田 年一 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 秋吉 孝則 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属面に塗布された塗膜面にX線を照射
    し、塗膜、めっき層及び下地金属から発生するコンプト
    ン散乱X線又は蛍光X線を測定して塗膜厚を求める際
    に、塗膜厚とめっき層厚とX線強度との関係を理論的に
    求めた関係式に基づいてめっき層厚の影響を補正するこ
    とを特徴とするめっき層上の塗膜の厚さ測定方法。
  2. 【請求項2】 補正を、塗膜厚とめっき層厚とコンプト
    ン散乱X線強度との関係式に基づいて行う請求項1記載
    のめっき層上の塗膜の厚さ測定方法。
  3. 【請求項3】 補正を、塗膜厚とめっき層厚とコンプト
    ン散乱X線強度との関係式、及び、塗膜厚とめっき層厚
    とめっき層から発生する蛍光X線の強度との関係式を用
    いてめっき層厚を消去することによって行う請求項1記
    載のめっき層上の塗膜の厚さ測定方法。
  4. 【請求項4】 補正を、塗膜厚とめっき層厚とコンプト
    ン散乱X線強度との関係式、及び、塗膜厚とめっき層厚
    と下地金属から発生する蛍光X線の強度との関係式を用
    いてめっき層厚を消去することによって行う請求項1記
    載のめっき層上の塗膜の厚さ測定方法。
  5. 【請求項5】 補正を、塗膜厚とめっき層厚とめっき層
    から発生する蛍光X線の強度との関係式、及び、塗膜厚
    とめっき層厚と下地金属から発生する蛍光X線の強度と
    の関係式を用いてめっき層厚を消去することによって行
    う請求項1記載のめっき層上の塗膜の厚さ測定方法。
  6. 【請求項6】 補正を、塗膜厚とめっき層厚とめっき層
    から発生する蛍光X線の強度との関係式及び塗膜厚とめ
    っき層厚と下地金属から発生する蛍光X線の強度との関
    係式とからめっき層から発生する蛍光X線の強度と下地
    金属から発生する蛍光X線の強度の比を用い、塗膜厚と
    めっき層厚とコンプトン散乱X線強度との関係式とから
    めっき層厚を消去することによって行う請求項1記載の
    めっき層上の塗膜の厚さ測定方法。
  7. 【請求項7】 補正を、次のからの手順に従って行
    う請求項1記載のめっき層上の塗膜の厚さ測定方法。 めっき層厚を或る初期値に設定する この初期値を用いてコンプトン散乱X線強度から得ら
    れた塗膜厚を補正する。 この補正された塗膜厚とめっき金属の蛍光X線強度と
    から再びめっき層厚を算出する この算出されためっき層厚を用いて再び塗膜厚を補正
    する との操作を繰り返して塗膜厚が収斂する値を最終
    的に補正された塗膜厚とする。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6622666B2 (en) 2001-01-23 2003-09-23 Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha Engine cooling system for all-terrain vehicle
CN113074646A (zh) * 2021-03-19 2021-07-06 武汉钢铁有限公司 锌铝镁镀层彩涂板漆层厚度测定方法

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US6622666B2 (en) 2001-01-23 2003-09-23 Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha Engine cooling system for all-terrain vehicle
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