JPH05103823A - 消脱臭剤組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 泥炭の長繊維状ないし粉状物と活性炭とから
なり、好ましくは更に、酸化亜鉛粉末又は／及び天然ゼ
オライトの粒状ないし粉化物を配合する。 【効果】 （イ）極めて強力かつ迅速に多種の悪臭ガス
成分に対し、優れた消脱臭性能を有する。（ロ）生活環
境で微量でも嫌悪感を催すタバコ臭、糞便臭、体臭等に
対しても、優れた消脱臭性能を示し、市販冷蔵庫用脱臭
剤に勝る消脱臭性能を有する。（ハ）固体系であるの
で、紙、布、不織布等で包装あるいはそれら素材と共に
漉き込んでシート状とすることで、形状的な自由度がひ
ろがり、使用上の便利性にも優れている。（ニ）固体系
であるので、携帯等にも便利である。（ホ）腐敗、吸湿
等による劣化もなく、長期安定的な用途に適している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、産業上及び日常生活上
の排ガスや生活環境の空気などの浄化及び消脱臭のため
に用いられる消脱臭剤組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に悪臭として問題視される臭気は、
工場から排出される排煙、排ガス、廃液はもとより、製
品あるいは製造工程を含む全過程から発する人間の嗅覚
に不快感を与えるものを含んでいる。もちろん、悪臭は
工場等の生産工程からのみではない。個人の生活及びそ
れの集合体である都市生活からの臭気、あるいは畜産業
やペット類のように動物の関与する臭気も、悪臭の発生
源として指摘されている。

【０００３】こうした悪臭に対策を講じる製剤は、次の
ように大別できる。 芳香剤…空間に芳香を付与するもの。 消臭剤…臭気を化学的、生物的作用等で除去又は緩和
するもの。 脱臭剤…臭気を物理的作用等で除去又は緩和するも
の。 防臭剤…臭気を他の香り等でマスキングするもの。

【０００４】一般に産業上問題となる悪臭は、その原因
物質の濃度が高く発生するガスの量が莫大である、安全
上危険である、衛生上有害である等の理由で、やの
方法は適切でない場合が多い。また、個人生活あるいは
都市生活の場合には、悪臭の発生源が点在、多発的であ
り、かつ成分的にも多種多様であって、濃度的には低い
ものの、高性能な消脱臭剤でないとその完全除去は困難
である。このため、本質的改善はされないまゝ、ある
いはの方法が次善の策として用いられている。また、
工場では排出ガスを集中的かつ効率的に処理することが
必要でありかつ実施されているが、個人生活では簡便か
つ経済的であり、しかも美観等の感覚上の要請を満足
し、更には都市ゴミの一部として廃棄することができる
処分上の安全性も要求される。このように、悪臭に対す
る対策としては、未だ決定的なものはなく、画一的対応
もとりにくい実情にある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】一般に問題となる悪臭
成分は複合的であり、かつ使用場所も多岐に亘ってい
る。このために多能的な消脱臭剤の開発が望まれる所以
であるが、限定された成分より構成されている既存の消
脱臭剤には、自ずとその効能に限界がある。具体的に言
うと、主として生活環境において経験する悪臭、即ち鶏
卵、玉ネギ、ゴミ等の腐敗から生じる硫化水素、メルカ
プタン等の硫黄系化合物による臭気、鮮魚、肉、それら
の腐敗物などから生じるアンモニア、アミン類などの窒
素系化合物による臭気、及び煙草臭、トイレ臭、ペット
用トイレ臭、あるいは冷蔵庫内の臭気等の複合的臭気な
どに共通して消脱臭能を発揮できるものであって、その
上使用形状に拘束を受けない粒状ないしは粉状の固体で
しかも長時間使用に耐え、かつ安全上及び衛生上無害な
消脱臭剤は未だ見出されていないのが現状である。ま
た、人口の高年令化に伴い、寝たきり老人あるいは長期
療養患者における臭気改善の要望も強くなっている。

【０００６】従って、このような課題を解決するには、
硫黄系化合物による臭気、窒素系化合物による臭気、及
びそれらの複合的臭気などに共通して消脱臭能を発揮で
き、しかも粒状ないし粉状の固体であって、長時間使用
に耐え、かつ安全上及び衛生上無害な消脱臭剤が必要で
あり、本発明の目的はこのような消脱臭剤を提供するこ
とにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、泥炭の
長繊維状ないし粉状物と活性炭とからなることを特徴と
する消脱臭剤組成物が提供される。

【０００８】即ち、本発明の消脱臭剤組成物は、天然に
産する泥炭（別名草炭、ピートとも呼ばれる）の長繊維
状ないし粉状物と、含炭素物質を焼成加工して製造され
る活性炭とを配合するという構成にしたことから、硫黄
系化合物による臭気、窒素系化合物による臭気、及びそ
れらの複合臭気などの何れに対しても、高い消脱臭能力
を有するものとなり、しかも該材料は使用形状に拘束を
受けない粒状の固体であって、その上長時間使用に耐
え、かつ安全、衛生上にも無害なものである。

【０００９】本発明で使用する泥炭はフミン酸をはじめ
とした多成分の有機物より構成されたもので、窒素系化
合物と反応することにより臭気を失わせる強力な消臭剤
であり、安価な素材であるが、硫黄系化合物には消臭効
果を示さない欠点がある。一方、活性炭は硫黄系物質を
吸着することにより臭気を失わせる強力な脱臭剤であ
り、広く万能型脱臭剤として利用されている実績はある
が、窒素系化合物に対する効果にやゝ劣り、価格的にも
極めて高価であるという欠点を有している。

【００１０】本発明においては、泥炭と活性炭とを併用
することにより、相乗的消脱臭効果を発揮し得るものと
なり、窒素系化合物、硫黄系化合物及びそれらの複合系
の何れの臭気に対しても、優れた消脱臭能を有するもの
となる。この場合、泥炭としては、乾燥した又は粉砕し
た長繊維状物ないし粉状物の何れの形態のものでもよ
く、水分含有量５〜５０％程度のものが好ましい。ま
た、活性炭としては、粉末品、粒状品の何れも使用する
ことができる。

【００１１】なお、本発明の消脱臭剤組成物において、
更に酸化亜鉛粉末又は／及び天然ゼオライトの粒状ない
し粉化物を添加することは、消脱臭能が向上し、非常に
好ましい。酸化亜鉛粉末は硫黄系化合物との反応性も有
するが、人体より発生する低級脂肪酸（イソ吉草酸等）
と反応し、体臭除去の効果を有する。また、天然ゼオラ
イトもその結晶構造による分子篩作用により窒素系化合
物に強い吸着作用が認められ、硫黄系化合物に対する効
能は活性炭に劣るが、比較的安価な素材である。

【００１２】本発明の消脱臭剤組成物における前記成分
の構成比は、使用対象により任意に変えることができる
が、多目的なものとするためには、泥炭５０〜９０重量
部と活性炭１０〜５０重量部の範囲で配合されることが
好ましい。また、酸化亜鉛又は／及び天然ゼオライトを
添加する場合は、泥炭５０〜８０重量部、活性炭１０〜
３０重量部並びに酸化亜鉛又は／及び天然ゼオライト１
０〜３０重量部の範囲とすることが好ましい。

【００１３】

【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、以下に示す部はいずれも重量基準である。

【００１４】実施例１〜２ 容量１．２リットルのエルレンマイヤーフラスコに濃度
を調整した硫化水素又はアンモニアのいずれかのガスを
注入し、同時に予め配合したカナダ産ミズゴケ泥炭７５
部と活性炭（ＰＫ：ノリット社製）２５部からなる消脱
臭剤の１ｇを投入して密栓し、所定時間ごとに検知管
（ガステック社製）でガス濃度の変化を追跡し、初期濃
度に対する除去率を算出して効果の比較を行なった。ま
た、実験の最終段階では、エルレンマイヤーフラスコの
栓をとり、嗅覚による残留臭気を検査し、表１に示す基
準に従い臭気強度を判定した。それらの結果を表２に示
す。

【表１】

【００１５】比較例１〜９ また、消脱臭剤として、活性炭、泥炭、ゼオライト及び
酸化亜鉛の夫々の単品を用い、実施例１と同様にして硫
化水素及びアンモニアに対する試験を行なった。なお、
酸化亜鉛については、イソ吉草酸に対する試験も行なっ
た。それらの結果も表２に併記する。

【００１６】

【表２】

【００１７】表２から、本発明の消脱臭剤は、硫化水素
及びアンモニアの両者に対し、優れた消脱臭効果（除去
能力）を有することが分かる。

【００１８】実施例３〜６ 消脱臭剤として、カナダ産ミズゴケ泥炭６０部、活性炭
（ＰＫ：ノリット社製）２０部及び山形県産ゼオライト
２０部からなるものを用い、実施例１と同様にして種々
の被処理ガスに対する試験を行なった。それらの結果を
表３に示す。

【００１９】

【表３】

【００２０】表３から、本発明の消脱臭剤は、硫化水
素、アンモニア、メチルメルカプタン及びメチルアミン
等に対し、優れた消脱臭効果を有することが分かる。

【００２１】実施例７〜１４ 消脱臭剤としてサハリン産泥炭を乾燥篩分けした２０メ
ッシュ以下のもの６０部、活性炭（ＲＢＡＡ：ノリット
社製）２０部及び酸化亜鉛末（国産化学社製試薬）２０
部かるなるものを用い、実施例１と同様にして種々の被
処理ガスに対する試験を行なった。たゞ、この実施例で
は、被処理ガス体積（エルレンマイヤーフラスコ容量）
３．３リットルに対し、消脱臭剤重量は１ｇとした。そ
れらの結果を表４に示す。

【００２２】

【表４】

【００２３】表４から、本発明の消脱臭剤は、硫化水
素、メチルメルカプタン、アンモニア、トリメチルアミ
ン及びイソ吉草酸等の体臭を含む広範囲の悪臭ガス成分
の消脱臭に優れた効果を有することが分かる。

【００２４】実施例１５及び比較例１０ 実施例７と同一構成比の消脱臭剤１ｇを容量３リットル
のテドラーバッグに投入し、煙草「マイルドセブン」１
／２本分の喫煙後の吐出煙を吹き込み、臭気の経時変化
を追跡した。消脱臭剤を投入しない同条件下の試験を空
試験（比較例１０）とした。それらの結果を表５に示
す。

【００２５】

【表５】

【００２６】表５から、本発明の消脱臭剤は、煙草喫煙
後の吐出煙に対しても、優れた消脱臭効果を有すること
が分かる。

【００２７】実施例１６及び比較例１１ 容量３．３リットルのエルレンマイヤーフラスコに実施
例３と同一構成比の消脱臭剤１ｇを投入した後、スカト
ール１重量％を溶解したエチルアルコール液１ミリリッ
トルを注入して、所定時間後嗅覚試験を行なった。消脱
臭剤を投入しない同条件の試験を空試験（比較例１０）
とした。それらの結果を表６に示す。

【００２８】

【表６】

【００２９】表６から、本発明の消脱臭剤は、糞便臭に
対しても優れた消脱臭効果を有することが分かる。

【００３０】実施例１７及び比較例１２〜１５ 「芳香消臭脱臭剤協議会の定めた自主基準実施要領」に
準拠した方法で、本発明消脱臭剤と市販冷蔵庫用脱臭剤
との効能比較を、アンモニアについて実施した。２８％
のアンモニア水の０．５％エチルアルコール溶液０．３
ｇを容器にとり、これを容量３．３リットルのエルレン
マイヤーフラスコの底部に置く。次に、キムタオル（十
条キンバリー社製）の一層を利用して製造した一辺３ｃ
ｍの四方形の袋に供試消脱臭剤を充填し、フラスコ内中
央部に吊り下げ、試料採取口を付したゴム栓で密閉し、
６０分後のアンモニアガス濃度をアンモニア検知管（ガ
ステック社製）で測定し、空試験（比較例１２）でのガ
ス濃度に対する除去率を算出して比較した。それらの結
果を表７に示す。

【００３１】

【表７】 （註）市販品Ａ：２種類の活性炭。 市販品Ｂ：活性炭及びゼオライト粒子並びに硫酸第一鉄
とＬ−アスコルビン酸を含浸したシート。 市販品Ｃ：植物精油及びアスコルビン酸異性体をゲル状
に加工したもの。

【００３２】表７から、本発明の消脱臭剤は、アンモニ
アガス成分に対し、市販の冷蔵庫用脱臭剤よりも優れた
消脱臭効果を有することが分かる。

【００３３】実施例１８〜１９及び比較例１６ 工場廃水の浄化のために活性汚泥法を実施して、残った
脱水汚泥の乾燥を迅速化するために、生石灰を混練する
粉化法がある。この場合、汚泥にアンモニア水が含まれ
ていると、生石灰による脱水反応に伴ってアンモニアガ
スを副生し、副次的に臭気公害を起こす恐れがある。こ
のようなときにアンモニアに対する強力な消臭剤があれ
ば、この方法には強力な支援が行なえる。本実施例は容
量３．３リットルのエルレンマイヤーフラスコに含水汚
泥５ｇ、生石灰１ｇ及び実施例３と同一構成比の消脱臭
剤を添加し、所定時間ごとのアンモニアガス濃度の変化
を追跡した。消脱臭剤を添加しない同条件の試験を空試
験（比較例１６）とした。それらの結果を表８に示す。

【００３４】

【表８】

【００３５】表８から、本発明の消脱臭剤は、脱水汚泥
の急速乾燥における臭気公害に対しても、優れた消脱臭
効果を有することが分かる。

【００３６】実施例２０〜２６及び比較例１７〜１８ 壁かけ形などの用途には、面状（シート状）に成形又は
包装することが便利である。そこで、本発明の消脱臭剤
を含有するシート状品を調製した。実施例２０及び２１
で使用した消脱臭剤含有シートは、コルケミシート（日
栄工業社製）に、泥炭１０メッシュ篩通過品６０部、活
性炭２０部及び天然ゼオライト２０部からなる本発明の
消脱臭剤を包装したものであり、実施例２４〜２６で
は、実施例２０〜２１で供試した配合比のうち、天然ゼ
オライト２０部を酸化亜鉛末２０部に置き換えたもので
ある。このコルケミシートの特徴は２枚の不織布の間に
高さ３ｍｍ、幅６ｍｍ、長さ２６ｍｍの凸部を１ｍ²当
り約５千個設けて製剤を充填できる点にある。

【００３７】また、実施例２２及び２３で使用した消脱
臭剤含有シートは、上記配合の本発明の消脱臭剤５０部
とパルプ原料５０部とを水中に懸濁せしめ、常法により
手漉き紙としたもので、６２０ｇ／ｍ²のシートであ
る。更に、比較例１７及び１８で使用した脱臭シート
は、硫酸第一鉄、Ｌ−アスコルビン酸及び活性炭を主成
分とする市販品である。これらのシートを用いて、所定
時間ごとのアンモニア及び硫化水素の濃度変化を追跡し
た。なお、使用した被処理ガスは何れも３．３リットル
である。それらの結果を表９に示す。

【００３８】

【表９】

【００３９】表９から、本発明の消脱臭剤は、シート状
に成型ないし包装した形態でも、優れた消脱臭効果を発
揮するものであることが分かる。

【００４０】

【発明の効果】本発明の消脱臭剤組成物は、泥炭の長繊
維状ないし粉状物と活性炭とからなり、好ましくは更
に、酸化亜鉛粉末又は／及び天然ゼオライトの粒状ない
し粉化物が添加された構成としたことから、次のような
卓越した効果を奏する。 （イ）極めて強力かつ迅速に多種の悪臭ガス成分に対
し、優れた消脱臭性能を有する。 （ロ）生活環境で微量でも嫌悪感を催すタバコ臭、糞便
臭、体臭等に対しても、優れた消脱臭性能を示し、市販
冷蔵庫用脱臭剤に勝る消脱臭性能を有する。 （ハ）固体系であるので、紙、布、不織布等で包装ある
いはそれら素材と共に漉き込んでシート状とすること
で、形状的な自由度がひろがり、使用上の便利性にも優
れている。 （ニ）固体系であるので、携帯等にも便利である。 （ホ）腐敗、吸湿等による劣化もなく、長期安定的な用
途に適している。 （ヘ）使用後の廃棄に際しては、不織布等の包装材の一
部を除けば自然回帰型の時代の要請に即したものであ
る。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 泥炭の長繊維状ないし粉状物と活性炭と
   からなることを特徴とする消脱臭剤組成物。
2. 【請求項２】 更に、酸化亜鉛粉末又は／及び天然ゼオ
   ライトの粒状ないし粉化物が添加されてなることを特徴
   とする請求項１記載の消脱臭剤組成物。