JPH0510301Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はデジタル信号例えばPCM信号を記
録・更生するのに使用して好適なテープカセツト
に関し、特にカセツト匣体内を密封するためのス
ライダに係るものである。

〔考案の概要〕

本考案は、カセツト匣体の下面側に、カセツト
匣体内を密封するためのスライダが備えられたテ
ープカセツトにおいて、スライダの両側面部と下
面部間の角部にリブを形成することにより、スラ
イダの両側部が内側に傾斜してカセツト匣体に対
し圧接する状態となることなくスライダの摺動動
作の安定化を図ろうとするものである。

〔従来の技術〕

近年、音響信号等のアナログ信号をデジタル信
号例えばPCM信号に変換して磁気テープに記録
（又は再生）するPCM信号記録再生装置が提案さ
れている。このPCM信号記録再生装置として回
転ヘツドを使用して比較的高い記録密度がえられ
るようにしたものがある。この回転ヘツドを使用
したPCM信号記録再生装置においては、再生
（又は記録）時に磁気テープが回転ドラムにロー
デイングされた状態で再生（又は記録）がなされ
る。

この種の記録再生に用いられるテープカセツト
においては、カセツト匣体内に収納されている磁
気テープに塵埃が付着すると信号にドロツプアウ
トを生じるので、テープカセツトの保存時にカセ
ツト匣体内を密封するためのスライダが備えられ
ている。

従来この種のスライダを備えたテープカセツト
としては例えば「実開昭61−57377号公報」に開
示されるようなものがある。

即ちこのテープカセツトは、カセツト匣体の下
ハーフの下面側に、テープカセツトを記録再生装
置に装填した状態でリール軸が挿入されるリール
軸挿入孔と、テープローデイング用ガイドが挿入
される凹部とを有し、テープカセツトの保存時に
これらリール軸挿入孔及び凹部を閉塞しカセツト
匣体内を密封状態とするために、カセツト匣体の
下面側にスライダが装着されている。

このスライダは下面部とその両端より略垂直に
立上る両側面部とによつて断面略凵状に形成さ
れ、このスライダがカセツト匣体の下ハーフの下
側面から両側壁部の外側面にかけて摺接する状態
で前後方向に移動可能に取付けられており、テー
プカセツトの使用時即ち記録再生装置に装填した
状態ではスライダが後方へ摺動されてリール軸挿
入孔及び凹部を開放し、テープカセツトの保存時
にはスライダは前方へ摺動してリール軸挿入孔及
び凹部を閉塞し、カセツト匣体内を密封状態とす
る如くなされている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、このテープカセツトにおけるス
ライダは、薄板状に形成されているためにその形
状の関係上両側面部が内側に傾斜し易く、特にこ
のスライダを樹脂材によつて形成するものにおい
てはその成形後に樹脂材が冷却される際の収縮あ
るいは高温の場所で長時間保存した場合等の樹脂
材の熱収縮によつて両側面部が大きく内側に傾斜
するように変形し、このため両側面部がカセツト
匣体の下ハーフの両側壁部外側面に圧接する状態
となつて摺動抵抗が増大し、スライダの円滑な摺
動が行われなくなる不都合を有していた。

本考案は斯る点に鑑みてなされたもので、スラ
イダの両側面部の変形を防止しスライダの摺動が
円滑に行われるテープカセツトを提供することを
目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上述の目的を達成するために、カセツ
ト匣体の下面側にリール軸挿入孔及びテープロー
デイング用ガイド挿入凹部を有し、これらリール
軸挿入孔及び凹部を開閉するスライダがカセツト
匣体の下ハーフの下面側から両側壁部の外側面に
かけて摺接されているテープカセツトにおいて、
スライダの両側面部と下面部間の角部にリブを形
成してなるものである。

〔作用〕

このようにスライダの両側面部と下面部間の角
部にリブを形成したことにより、スライダの両側
面部は内側に傾斜されることがなく、このためス
ライダの摺動において両側面部がカセツト匣体の
両側壁部に圧接する状態となることはないので、
スライダは円滑に動作されることになる。

〔実施例〕

以下、図面を参照しながら本考案の実施例を説
明する。

図において１はカセツト匣体を示し、このカセ
ツト匣体１はねじ止め等によつて合体された上ハ
ーフ２と下ハーフ３とにより成り、この上下ハー
フ２と３内には、下ハーフ３の下面部３ａに穿設
されたリール軸挿入孔４ａ及び４ｂに回転自在に
遊嵌される一対のリールハブ５ａ及び５ｂが収納
されている。このリールハブ５ａ及び５ｂには磁
気テープ６を巻装してあり、この磁気テープ６が
リールハブ５ａ及び５ｂより左右のテープガイド
７ａ及び７ｂを介してカセツト匣体１の前面部に
導出されている。

８はこの磁気テープ導出部を覆う前面蓋で、こ
の前面蓋８はカセツト匣体１の前部に回動自在に
軸支され、テープカセツトの保存時には磁気テー
プ導出部を閉塞し、テープカセツトの使用時には
上方へ回動されて磁気テープ導出部を開放する如
くなされる。

また、下ハーフ３の前部下面側には、カセツト
匣体１の前面部に導出される磁気テープ６の背面
側に対応する部分を所定幅に亘つて切欠いた形状
の凹部９が形成されており、記録又は再生動作時
にはこの凹部９内に記録再生装置側からテープロ
ーデイング用のガイド系が挿入されこのガイド系
によつて磁気テープ６がカセツト匣体１の前方に
引出されてローデイング状態となされる。

そしてカセツト匣体１の下ハーフ３には、テー
プカセツトの保存時にリール軸挿入孔４ａ及び４
ｂと凹部９を閉塞しカセツト匣体１内を密閉する
ためのスライダ１０が装着されている。

このスライダ１０は、下面部１０ａとその両端
より略垂直に立上る両側面部１０ｂ及び１０ｃに
より断面略凵状に形成され、このスライダ１０が
下ハーフ３の下面部３ａの下側面から両側壁部３
ｂ及び３ｃの外側面にかけて摺接し、さらに両側
面部１０ｂ及び１０ｃの上縁からは内向きに抜け
止片１０b₁及び１０c₁が突設されて下ハーフ３の
両側壁部３ｂ及び３ｃの上縁面に摺接係合される
と共に抜け止片１０b₁及び１０c₁の先端から上方
に係合片１０b₂及び１０c₂が突設され上ハーフ２
の両側壁部の内面側に摺接するよに成されてい
る。

また、このスライダ１０の下面部１０ａの前端
部に突設されたピン１１にはトーシヨンバネ１２
が取付けられ、その作動端部は下ハーフ３の凹部
９の前面隔壁３ｄに当接されており、このトーシ
ヨンバネ１２の偏倚力によつてスライダ１０はカ
セツト匣体１に対し常時前方へ摺動偏倚されてい
る。

そしてテープカセツトの保存時にはこのスライ
ダ１０によつて凹部９及びリール軸挿入孔４ａ及
び４ｂが閉塞され、このためカセツト匣体１内は
密封状態となり、またテープカセツトの使用時即
ち記録再生装置に装填した状態ではスライダ１０
がトーシヨンバネ１２の偏倚力に抗して後方へ摺
動され、これによつて凹部９が開放されると共に
スライダ１０の下面部１０ａに穿設された対応孔
１０ｄ及び１０ｅがリール軸挿入孔４ａ及び４ｂ
と対応する状態となることによりリール軸挿入孔
４ａ及び４ｂが開放され、この状態でリール軸挿
入孔４ａ，４ｂ及び凹部９内に夫々記録再生装置
側からリール軸及びテープローデイング用のガイ
ド系が挿入されて所定のローデイング動作及び記
録再生動作が行われる。

本考案においては、このように構成されるスラ
イダ１０に補強用のリブ１３を設けてある。

即ち、スライダ１０の両側面部１０ｂ及び１０
ｃと下面部１０ａとの間の内角部に、両側面部１
０ｂ及び１０ｃの内面側と下面部１０ａの上面側
に連続する三角形状のリブ１３が所定間隔で複数
形成されており、このリブ１３はその厚みｔをス
ライダ１０の厚みＴより小に形成してある。これ
は、リブ１３の厚みｔをスライダ１０の厚みＴと
同じかこれよりも大に形成すると、スライダ１０
の成形後、両側面部１０ｂ及び１０ｃの外側面に
おけるリブ１３と対応する部分に樹脂材の収縮に
よる陥没、即ちいわゆるヒケが生じ易くなり、外
観上の問題につながること、及びリブ１３が厚く
なるとリブ１３の体積が増加し、成形後のリブ１
３の収縮量が大きくなり、これによつて両側面部
１０ｂ及び１０ｃが内側に引張られて傾斜するよ
うに変形するおそれがあるためである。

また、下ハーフ３の両側壁部３ｂ及び３ｃに
は、このスライダ１０のリブ１３が当接しないよ
うに、両側壁部３ｂ及び３ｃの外側面を傾斜させ
て逃げ部１４を形成してある。

このように本例のテープカセツトは、スライダ
１０の両側面部１０ｂ及び１０ｃと下面部１０ａ
間の角部にスライダ１０の厚みより小さいリブ１
３を複数設けたことにより、両側面部１０ｂ及び
１０ｃは内側に傾斜されることはなく、従つて両
側面部１０ｂ及び１０ｃが下ハーフ３の両側壁部
３ｂ及び３ｃに対し圧接する状態となることはな
いので、スライダ１０は下ハーフ３に対しその摺
動抵抗が増大されることなく円滑に摺動され、即
ちスライダ１０の動作安定化が図られて、リール
軸挿入孔４ａ，４ｂ及び凹部９の開閉を確実に行
うことができ、テープカセツトの保存時にはカセ
ツト匣体１内を密封状態となし、テープカセツト
使用時においては何等の支障もなく迅速にローデ
イング及び記録再生状態にセツトできる。

しかもこのテープカセツトにおいては、リブ１
３の厚みｔをスライダ１０の厚みＴより小に形成
したことにより、スライダ１０の両側面部１０ｂ
及び１０ｃの外側面にはヒケが生じにくいので、
テープカセツト全体としての外観性を損なうおそ
れはない。

さらに本例においては、厚みの小さいリブ１３
を所定の間隔で配してあるため、スライダ１０の
摺動時にはこのリブ１３の下ハーフ３に対する摺
接面積が少ないのでスライダ１０の摺動抵抗は小
さく、従つてより一層のスライダ１０の動作の円
滑化及び安定化を図ることができるものである。

尚、本例においては、リブ１３はスライダ１０
の厚みより小さい厚みで形成し、所定間隔で複数
個設けてあるが、例えばスライダ１０の材質とし
て成形後の収縮率の低いものを用い、スライダ１
０の外側面に生じるヒケの問題等が少ない場合に
は、特に厚みを考慮することなくリブ１３を形成
し、またこのリブ１３を所定長さにわたつて連続
して形成することもできる。

また、リブ１３は本例の如くスライダ１０の内
側に形成するに限ることなくスライダ１０の外側
に形成することもできるものである。

〔考案の効果〕

以上の如く本考案のテープカセツトは、スライ
ダの両側面部と下面部間の角部にリブを形成した
ことにより、スライダの両側面部は内側に傾斜さ
れることがなく、このためスライダの両側面部が
カセツト匣体の両側壁部に圧接する状態となるこ
とはないので、スライダはカセツト匣体に対し何
等の支障もなく円滑に摺動され、従つてスライダ
の動作の安定化を図ることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用したテープカセツトの保
存状態を示す上方から見た一部切欠いた斜視図、
第２図は同、使用状態を示す下方から見た一部切
欠いた斜視図、第３図は同、要部の断面図、第４
図は下ハーフとスライダの斜視図、第５図はスラ
イダの一部の拡大斜視図である。 図中、１はカセツト匣体、３は下ハーフ、４ａ
及び４ｂはリール軸挿入孔、９は凹部、１０はス
ライダ、１０ａは下面部、１０ｂ及び１０ｃは両
側面部、１３はリブである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 カセツト匣体の下面側に、リール軸挿入孔及び
   テープローデイング用ガイド挿入凹部を有し、該
   リール軸挿入孔及び凹部を開閉するスライダが上
   記カセツト匣体の下面側から両側壁部の外側面に
   かけて摺接されているテープカセツトにおいて、 上記スライダの両側面部と下面部間の角部にリ
   ブを形成したことを特徴とするテープカセツト。