JPH0510227B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、インク収容部を有する記録ヘツドを
キヤリツジに搭載して、記録紙面に相対して走査
移動を行い印字記録を行なうインクジエツト記録
装置に関し、特に漏洩するインクによつて電気接
点等が汚染されるのを防止する手段に関するもの
である。

〔従来技術〕

近年、インクジエツト記録装置は、記録ヘツド
の構造が比較的簡単であり、カラー記録が容易に
でき、また高速記録が可能である等の理由によ
り、近頃その使用が増加している。一方、インク
ジエツト記録装置の欠点としては、インク中の揮
発性分の蒸発によるインク吐出ノズルの目づま
り、および記録ヘツドから吐出および漏洩するイ
ンクによる記録装置内のインクの汚染がある。

従来のインクジエツト記録装置においては、上
述の吐出ノズルの目づまりの防止を行う為に、記
録休止時には吐出ノズルを蓋うキヤツプを設ける
とか、あるいはノズル近傍の固形化インクを吸出
によつて除去するポンプ等の目づまり回復手段を
設けたりしている。また、記録ヘツドから吐出ま
たは漏洩するインクが他に飛散しないようにヘツ
ド全面を蓋うキヤツプを設けたり、吐出、または
漏洩したインクを吸収するポンプ等のインク回収
手段が設けられている。

しかしながら、このような従来の目づまり回復
手段やインク回収手段等はポンプ等を用いた装置
なので、これらの装置を設置することはインクジ
ェツト記録装置を大型化し、更に装置の製造コス
トが高くなるというような欠点があつた。

〔目的〕

本発明の目的は、上述の点に鑑み、記録ユニツ
トニに接続される電気接点等への漏洩インクの付
着を簡易な構成で廉価に防ぐことができるように
したインクジエツト記録装置を提供することにあ
る。

上記目的を達成するため、本発明は、インクを
吐出する吐出口を備えた記録ユニツトをキヤリツ
ジに搭載して、被記録媒体に記録を行うインクジ
エツト記録装置において、前記キヤリツジに設け
られ前記記録ユニツトに接続される電気接点への
インクの付着を防ぐように、溝部が前記キヤリツ
ジ上に設けられたことを特徴とする。

また、本発明は好ましくはその一形態として、
前記溝部が、前記吐出口の下方であつて、前記吐
出口と前記電気接点の間に設けられていることを
特徴とすることができる。

また、本発明は好ましくは他の形態として、前
記溝部の内部には、インク吸収体が配されている
ことを特徴とすることができる。

また、本発明は好ましくはさらに他の形態とし
て、前記インク吸収体が、取手を有することを特
徴とすることができる。

〔実施例〕

以下、図面にしたがつて本発明を詳細に説明す
る。

第１図は本発明の適用可能なインクジエツト記
録装置の構成例を示す。

ここで、１は印字ドツドを記録する時にのみイ
ンクを吐出するオンデマンド方式の記録ヘツド、
２は記録ヘツド１を搭載して主走査方向（列方
向）に移動するキヤリツジ、３はキヤリツジ２を
案内する一対のガイド軸、４は一対のプーリ５お
よびプーリ５に巻掛したエンドレスワイヤ６を介
してキヤリツジ２を駆動する駆動モータである。

また、７は記録ヘツド１のインク吐出により記
録される記録紙、８は記録紙７を副走査方向（行
方向）に移動させるプラテンローラ、９は歯車列
１０を介してプラテンローラ８を回転する駆動モ
ータである。記録ヘツド１は引掛部１１、引掛ピ
ン１２および取手部１３を有する。一方、キヤリ
ツジ２はフツク部２１および溝部２２を有する。
記録ヘツド１の引掛部１１はキヤリツジ２のフツ
ク部２１に係合し、記録ヘツド１の引掛ピン１２
がキヤリツジの溝部２２に係合して、記録ヘツド
１はキヤリツジ２に交換可能に固定される。さら
に、３０フレキシブルケーブルであり、記録ヘツ
ド１と不図示の電気制御回路とを電気的に接続
し、インク吐出用の印字信号を記録ヘツド１へ伝
送する。

駆動モータ４回動はプーリ５，５およびワイヤ
６を通じてキヤリツジ２に伝達され、これにより
キヤリツジ２はガイド軸３，３に沿つて摺動しな
がら記録ヘツド１の主走査方向の送りを行う。ま
た、他方の駆動モータ９の回動は歯車列１０を通
じてプラテンローラ８に伝達され、これによりプ
ラテンローラ８は記録紙７の副走査方向の送りを
行う。

駆動モータ４の回転によりキヤリツジ２が右手
方向に移動する途中で、記録ヘツド１はフレキシ
ブルケーブル３を通じて送られる印字信号に基づ
いてインクを吐出し、記録紙７に文字や信号など
の印字およびグラフや図面などの映像やビデオパ
ターンの記録を行なう。記録ヘツド１が右端に来
るとキヤリツジ２の走行は停止し、続いてモータ
９の回動により記録紙７は副走査方向に１行分移
動する。続いて、キヤリツジ２は左手方向の移動
を行ない、この移動の途中で記録ヘツド１は上述
と同様に印字動作を左端まで続ける。記録ヘツド
１が左端に来ると、キヤリツジ２の走行は停止
し、続いてモータ９の回動により記録紙７は副走
査方向に１行分移動する。以上の動作が繰り返さ
れて、記録紙７の全面に印字信号に応じた所定の
文章や画像等がドツト印字で印字記録される。

第２図は本発明の記録装置の改良前の従来の記
録ヘツドを示し、第３図はその記録ヘツドをキヤ
リツジに取付けた状態を示し、第４図は第３図に
示すフレキシブルケーブルを示す。次に、本発明
の理解を容易にするために、改良前の従来の記録
ヘツドの構造について第２図〜第４図を参照して
説明する。

第２図に示すように、改良前の記録ヘツド１で
は、このヘツドのカバー体１４の前端に基体１５
が設けられ、この基体１５の前面に絶縁基板１６
がはり付けられ、この絶縁基板１６の上部の基体
１５にノズルプレート１８が設けられている。絶
縁基板１６の下端の電気接点は、第３図に示すよ
うに記録ヘツド１がキヤリツジ２上に装着された
ときに、ゴム部材２４の弾性力により第４図に示
すフレキシブルケーブル３０の電気接点３１と接
触する。また、ノズルプレート１８に開口した複
数のノズル先端１９は、上述のカバー体１４内に
収納されたインク袋４０内のインクと連通してイ
ンクを供給補充され、フレキシブルケーブル３０
および電気接点１７を通じて不図示のピエゾ素子
や電気抵抗素子のエネルギー発生体に与えられる
電気信号に応じて、エネルギー発生体により吐出
エネルギを与えられ、記録紙７に向つてインク滴
を吐出する。上述のエネルギー発生体を飛翔的液
滴を形成するためのオルフイスから液滴を吐出さ
せるエネルギーを発生する。

ところで、インクジエツト記録方式の１つであ
るコンテイニユアス方式のインクジエツト記録装
置では、インクを連続吐出させるための加圧ポン
プ機構や、インク粒子を荷電したりインク粒子の
飛翔方向を制御する電極を設けてインク吐出の制
御をしたり、また不要インクを回収するためのポ
ンプ機構を有するインク回収装置等が必要とされ
ている。一方、本発明で適用される記録ヘツド１
は一般にオンデマント方式と言われるもので、印
字ドツトを記録する時のみインクを吐出する機構
になつているので、コンテイニユアス方式に比し
て記録ヘツドの構造が第２図〜第４図に示すよう
に簡単になる。

しかしながら、改良前の従来の記録ヘツド１で
は、第２図および第３図に示すように、絶縁基板
１６の下部の電気接点１７の上部にノズルプレー
ト１８が設けられており、ノズルプレート１８の
ノズル１９の直下にフレキシブルケーブル３０の
電気接点３１と絶縁基板１６の下部の電気接点１
７の接触位置があるので、不測の衝撃や温度の変
化でノズル１９から予測せずにインクが流れ出た
り、また記録紙７に印字記録を行なうときに、記
録紙７からインクがはね返つてヘツドの周辺に付
着したりすると、必らずノズル１９より下方にあ
る電気接点３１と１７とが長い間には汚染され、
導通不良を起して印字不能になる可能性が大きい
という問題があつた。

第５図は改良後の本発明インクジエツト記録装
置の記録ヘツドの構成例を示し、第６図はその記
録ヘツドをキヤリツジに取付けた状態を示し、第
７図は第６図に示すフレキシブルケーブルを示
す。

第５図に示すように、本例では、フレキシブル
ケーブル３０の電気接点３１と接触する電気接点
４１を記録ヘツド１の底部の後端に固着し、この
電気接点４１と不図示のエネルギー発生体に接続
するフレキシブルケーブル４２と溶接し、また電
気接点４１を外気から完全にシールするシール材
４３をノズルプレート１８の下方の絶縁基板１６
の下端に固設している。従つて、電気接点４１の
部分が上部のノズル１９から漏洩するインクによ
つて汚染されることはない。さらに、本例では、
第７図に示すように、フレキシブルケーブル３０
の電気接点３１と記録ヘツド１の底部の電気接点
４１とを弾性力により接触をするゴム部材２４か
ら多少離して、その電気接点３１および４１の前
方のキヤリツジ２上に万一に漏洩したインクを吸
収する多孔性物質や液体吸収粉体等からなるイン
ク吸収体４４を設けている。

このように、本例では、電気接点３１と４１と
がインク吸収体４４の近傍の位置で接触している
ので、万一ノズル１９から漏洩したインクがノズ
ルプレート１８およびシール材４３を伝つてキヤ
リツジ２の内面に流れて来ても、そのインクはイ
ンク吸収体４４によつて吸収されるのでインクが
拡散して電気接点が汚染されることはない。

第８図は本発明の他の実施例を示し、第６図の
インク吸収体４４を取り除いて、溝部４５のみに
した場合を示す。この場合も、電気接点３１と４
１とが溝部４５に隣接した位置で接触しているの
で、万一ノズル１９から漏洩して来たインクがノ
ズルプレート１８およびシール材４３を伝つてキ
ヤリツジ２の内面に流れて来ても、インクは溝部
４５に溜るので、インクが拡散して電気接点を汚
染するということはない。また、溝４５中のイン
クは蒸発によつてその揮発分は飛び去り、固型分
だけが溝４５中に残るので、記録装置内外にその
インクが飛散するということはない。さらにま
た、記録ヘツド１をキヤリツジ２からはずすこと
により、溝部４５の清掃を簡単に行なうことが出
来る。

第９図は第６図または第８図に示すキヤリツジ
２の構成とインク吸収体４４の外観とを示す。キ
ヤリツジ２に設けられた溝部４５に収まる液吸収
体４４には、やわらかい材料からなる取手４４Ａ
を付けている。よつて、インクの吸収がたくさん
行なわれた場合に、記録ヘツド１を取りはずして
上述の取手４４Ａをつかんで持ち上げると、吸収
体４４は溝部４５から簡単に取りはずすことが出
来、また新しい吸収体を装着することも簡単に出
来る。

また、キヤリツジ２に設けられた溝部４５に液
体吸収部材４４を記録ヘツド１の下部に設けてい
るので、ノズルプレート１８の下端から落ちる漏
洩インクを全てその吸収部材４４によつて吸収す
ることができ、これにより記録装置内外へのイン
クの飛散が防止される。

〔効果〕

以上の説明から明らかなように、本発明によれ
ば、インクを吐出するための吐出口を備えた記録
ユニツトをキヤリツジに搭載して、被記録媒体に
記録を行うインクジエツト記録装置において、キ
ヤリツジに設けられた記録ユニツトに接続される
電気接点へのインクの付着を防ぐように、溝部を
キヤリツジ上に設けたので、吐出口から漏洩する
インクが拡散して上記電気接点を汚染することを
防止できる。

また、本発明は上記溝部を吐出口の下方であつ
てインク吐出口と電気接点の間に設けることによ
つて、より効果的に汚染防止機能を発揮させるこ
とができる。

また、本発明は上記溝部の内部にインク吸収体
を配すことによつてインク吐出口から漏洩するイ
ンクを１箇所に保留することができ、これにより
インクが記録装置内外に拡散したり飛散したりす
るのを防止することができる。

また、本発明は上記インク吸収体に取手を設け
ることにより、インク吸収体の交換が容易とな
り、漏洩インクの回収を迅速に行うことができ
る。

さらに、本発明によれば液体吸収体および溝部
をキヤリツジ上に設けたので、液体吸収体の交換
および溝部の清掃は記録ヘツドをキヤリツジから
はずすことにより簡単に行なうことが出来るとい
う利点を有する。

なお、本発明は交換容易ないわゆる使い捨て記
録ヘツドにも好適である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に適用可能なインクジエツト記
録装置の構成を示す斜視図、第２図〜第４図は従
来装置の要部構成を示す斜視図、断面図、および
斜視図、第５図は本発明装置の記録ヘツドの構成
例を示す斜視図、第６図は第５図の記録ヘツドを
キヤリツジに取付けた状態を示す断面図、第７図
は第６図のフレキシブルケーブルを示す斜視図、
第８図は本発明の他の実施例を示す断面図、第９
図は第６図または第８図のキヤツリジの詳細な構
成を示す斜視図である。 １……記録ヘツド、２……キヤリツジ、１８…
…ノズルプレート、１９……ノズル、２４……弾
性部材、３０……フレキシブルケーブル、３１…
…電気接点、４１……フレキシブルケーブル、４
２……電気接点、４３……シール材、４４……液
体吸収体、４４Ａ……取手、４５……溝部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ インクを吐出する吐出口を備えた記録ユニツ
   トをキヤリツジに搭載して、被記録媒体に記録を
   行うインクジエツト記録装置において、 前記キヤリツジに設けられ前記記録ユニツトに
   接続される電気接点へのインクの付着を防ぐよう
   に、溝部が前記キヤリツジ上に設けられたことを
   特徴とするインクジエツト記録装置。 ２ 前記溝部が、前記吐出口の下方であつて、前
   記吐出口と前記電気接点の間に設けられているこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載のイ
   ンクジエツト記録装置。 ３ 前記溝部の内部には、インク吸収体が配され
   ていることを特徴とする特許請求の範囲第１項に
   記載のインクジエツト記録装置。 ４ 前記インク吸収体が、取手を有することを特
   徴とする特許請求の範囲第３項に記載のインクジ
   エツト記録装置。