JPH0489332A

JPH0489332A - クリスタルガラスの着色方法

Info

Publication number: JPH0489332A
Application number: JP20365590A
Authority: JP
Inventors: Kuniharu Tamanoi; 玉野井　国治; Motonobu Osakabe; 基延越阪部; Shin Nakayama; 伸中山
Original assignee: Hoya Corp
Current assignee: Hoya Corp
Priority date: 1990-07-30
Filing date: 1990-07-30
Publication date: 1992-03-23

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明はクリスタルガラスの着色方法に関し、更に詳し
くは、ガラスの透明感を損うことなしにクリスタルガラ
スの任意の場所を黄色系の色に着色する方法に関する。

〔従来の技術〕

クリスタルガラスは、ワイングラスやタンブラ−等のク
リスタル食器をはじめとして、種々のクリスタル製品に
用いられている。クリスタルガラスは、本来無色透明で
あるが、意匠としての魅力を付加するために着色される
場合がある。

クリスタルガラスの着色法には、大きく分けてガラス自
体を着色する方法と、無色透明なガラス製品の表面に着
色層を付加する方法及びガラス製品の表面を着色する方
法がある。種々の模様を容易に形成するという観点から
はステイニング法と呼ばれるガラス製品の表面を着色す
る方法が優れている。

ステイニング法は、ガラス表面に銀塩または銅塩あるい
はこれらの混合物を着色剤とし、着色剤を適宜な方法で
塗布し、ガラスが変形しない温度域で熱処理を行い、着
色剤中の銀や銅をガラス中のアルカリ成分とイオン交換
することによりガラスを着色させる方法である。

クリスタルガラスにステイニング法を適用した例が、特
開昭４９−１０９１９号公報に記載されている。この方
法は、銀、銅等の金属イオンを含有する溶融塩の浴中に
成型直後のガラスを浸漬して着色するものであり、この
方法ではガラスは淡い黄色からアンバー色に着色される
。

しかし、この方法では成型直後の高温のガラスを溶融塩
浴に浸漬するので、操作が容易でなく、かつガラスの成
形体の任意の位置に模様等を形成することはできない。

ところでここでクリスタルガラスとは鉛を含有する鉛ク
リスタルガラスをいい、例えばガラス板等に用いられる
ガラスとは区別されている。これはクリスタルガラスが
鉛を含有するために、化学的処理を施す際にはガラス板
等と同様に扱えないことを意味している。クリスタルガ
ラス以外のガラスにステイニング法を適用した例として
、還元性イオンを含まないガラスに着色する方法が知ら
れている（特開昭４９−１４５１０号公報）。

この方法は、ガラスの所定面にステイニング剤を塗布し
、酸化雰囲気下でガラスの転移温度前後の温度で加熱維
持しステイニング剤中の金属イオンをガラス中に浸透さ
せた後、表着しているステイニング剤を除去し、水素ガ
スを１０ｖｏＡ％以上含む雰囲気中で加熱することによ
り着色するものである。

この方法は、ガラスの任意の位置に模様等を形成するこ
とができる点で優れたものである。ところが、この方法
をクリスタルガラスにそのまま転用すると、クリスタル
ガラスに含有される鉛がガラス表面に金属鉛として析出
し、クリスタルガラスの透明性を損ってしまい、クリス
タルガラスとしての商品価値がなくなってしまう。さら
に金属鉛が析出したクリスタルガラスを食器として使用
することも安全面から好ましくない。

さらに、この方法では銅のステイニング剤を用いており
、銅のステイニング剤では黄色の着色を得ることができ
ない。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明の目的は、クリスタルガラス製品の任意の位置に
模様等を、クリスタルガラスの透明性を損うことなしに
黄色系の色に着色できる方法を提供することにある。

さらに本発明の目的は、銀を含有するステイニング剤を
用いて、色成分の一つとして重要な黄色系にクリスタル
ガラスを着色することのできる方法を提供することにあ
る。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、ナトリウムとカリウムのうちの少なくとも１
種と銀とを含有するステイニング剤をクリスタルガラス
の表面の一部または全部に塗布し、−２０Ｘ＋１３０≧
Ｙ≧−３０Ｘ＋８０（式中、Ｘはステイニング剤中の銀
の濃度（重量％、固形分換算）を示し、Ｙは雰囲気中の
酸素濃度（体積％）を示し、ただし、Ｙは０以上、１０
０以下である）の式を満足する雰囲気中で室温から上記
クリスタルガラスのガラス転移点より８０℃高い温度以
下の温度Ｔまで昇温し、室温まで冷却するか、またはこの温度Ｔで保持した後に
室温まで冷却し、上記ステイニング剤を除去することを特徴とするクリス
タルガラスの着色方法に関する。

以下、本発明について詳説する。

本発明において、クリスタルガラスとは鉛クリスタルガ
ラスである。ＰｂＯの含有率は、例えば約５〜４０重量
％である。クリスタルガラスは、さらにＬｉ、０１Ｎａ
ｚＯ１ＫｔＯ等のアルカリ金属酸化物も含有する。

ステイニング剤とは、ガラスの表面層中のアルカリ金属
イオンを他の金属イオン、本発明では銀イオンにイオン
交換することによりガラスを着色するために用いられる
塗料である。本発明では、ステイニング剤として銀含有
ステイニング剤を用いる。銀含有ステイニング剤は、一
般に銀塩を含むものであり、種々のものが市販されてい
る。

ステイニング剤中の銀の濃度は、固形分換算で例えば０
．０１〜６重量％、好ましくは０．０５〜５重量％とす
ることが、黄色の着色を得やすいという観点から適当で
ある。

さらに、本発明で用いるステイニング剤は、銀以外にナ
トリウム、カリウムまたはその両者を含むものである。

ステイニング剤にナトリウム、カリウムまたはその両者
を含むことにより、銀イオンとクリスタルガラス中のイ
オンとのイオン交換を容易に行うことができる。例えば
、ステイニング剤がナトリウムイオンを含む場合には、
主にクリスタルガラス中のカリウムイオンと銀イオンと
がイオン交換する。ステイニング剤がカリウムイオンを
含む場合には、主にクリスタルガラス中のナトリウムイ
オンと銀イオンとがイオン交換する。

さらにステイニング剤がナトリウムイオン及びカリウム
イオンを含む場合には、クリスタルガラス中のナトリウ
ムイオン及びカリウムイオンと銀イオンとがイオン交換
する。

ステイニング剤中のす“トリウム、カリウムまたはその
両者の濃度（固形分換算）は、４〜５０重量％であるこ
とが好ましい。４重量％未満であると、イオン交換が起
こり難く、５０重量％を越えると、クリスタルガラスの
表面が荒れることがあるからである。

さらに、本発明で用いるステイニング剤は、銀、ナトリ
ウム及びカリウム以外に、銅、ケイ素、アルミニウム及
びジルコニウム等を含有することができる。特に、ケイ
素、アルミニウム及びジルコニウム等は、ステイニング
剤の充填剤として用いられる。また、銅は、銀と共にク
リスタルガラス中にイオン交換さるが、本発明の方法で
は、銅はイオン状態にあり、銀による黄色には悪影響を
及ぼすことはない。

銀、ナトリウム、カリウム及び銅は、一般に硫酸塩、硝
酸塩等の化合物としてステイニング剤に含有される。ま
た、ケイ素、アルミニウム及びジルコニウム等は、通常
酸化物として含有される。

ただし、銀は酸化物としてステイニング剤に含有される
こともある。

ステイニング剤には、上記元素以外に、例えばクロム、
マンガン等を適宜添加することもできる。

本発明では、ステイニング剤をそのまま使用すか、ある
いはアルコール等の溶媒で希釈して使用しても良い。

ステイニング剤はクリスタルガラスの表面の一部又は全
部に塗布される。塗布方法としては、例えばスプレー、
はけ、スクリーン印刷、デイピンピング、スピンコード
、ロールコート等の方法を挙げることができる。塗布層
の厚さは、ステイニング剤の濃度、着色の度合により適
宜選択すれば良いが、例えば約２０〜２００μｍの範囲
とすることが適当である。

ステイニング剤を塗布したクリスタルガラスは、所定の
条件の雰囲気中で熱処理される。即ち、ステイニング剤
中の銀の濃度をＸとした場合、以下の式を満足する酸素
濃度Ｙ有する雰囲気を使用する。

２０Ｘ＋　１３０≧Ｙ≧−３０Ｘ＋８０（式中、Ｘはス
テイニング剤中の銀の濃度（重量％、固形分換算）を示
し、Ｙは雰囲気中の酸素濃度（体積％）を示し、ただし
、Ｙは０以上、１００以下である）この条件を満足させることにより、良好な黄色の着色を
得ることができる。一方、この範囲以外の領域では、黄
色に着色しなかったり、黄土色から茶色に着色してしま
う。

例えば、銀濃度が１重量％のステイニング剤を用いた場
合、雰囲気中の酸素濃度は１００〜５０重量％の範囲と
する。酸素濃度が５０重量％未満では、黄色に着色しに
くい。

また、銀濃度が３重量％のステイニング剤を用いた場合
、雰囲気中の酸素濃度は７０〜０重量％の範囲とする。

酸素濃度が７０重量％を越える範囲では、クリスタルガ
ラスが茶色に着色してしまう。

雰囲気中の酸素濃度Ｙは、一２１Ｘ＋１３０≧Ｙ≧−２７Ｘ＋８０を満足すること
が、より良好な黄色の着色を得られるという観点から、
より好ましい。

雰囲気を構成する酸素以外の気体は、例えば窒素、アル
ゴン、ヘリウム等の不活性ガスとする。

従って、雰囲気中の酸素濃度が０重量％である場合、不
活性ガス濃度が１００重量％である。

このような雰囲気中でステイニング剤を塗布したクリス
タルガラスは、室温からガラス転移点より８０℃高い温
度以下の温度Ｔまで昇温し、次いでこの温度Ｔに保持す
ることなく室温に冷却するか、またはこの温度Ｔで所定
時間保持した後に室温に冷却する。クリスタルガラスの
加熱温度をそのガラス転移点より８０°Ｃ高い温度以下
にするのは、この温度を超える温度で加熱するとガラス
が変形し易くなるからである。温度Ｔ及び温度Ｔでの保
持時間は、温度Ｔで保持するかどうかも含めて、クリス
タルガラス中のアルカリ金属イオンとステイニング剤中
の銀イオンとのイオン交換量に応じ、クリスタルガラス
の種類及びステイニング剤の種類等を考慮して適宜状め
ることができる。

但し、温度Ｔでの保持時間は５時間以下とすることが好
ましい。温度Ｔでの保持時間は５時間を超えると銀イオ
ンの交換量か多くなり過ぎて黄土色に着色したり、ガラ
ス表面のかがやきが失われることがあるからである。

室温から温度Ｔへの昇温速度は、クリスタルガラスが熱
により破損しない程度であればよく、例えば５〜２０°
Ｃ／分とすることができる。又、温度Ｔから室温への冷
却も、クリスタルガラスの急冷による破損を避けるため
例えば５〜ｂとすることが適当である。

室温に戻したクリスタルガラスは、表面に付着残存して
いるステイニング剤を除去する。除去法には、特に限定
はなく付着物が完全に除去できる方法であれば良い。例
えば、水、又はアルコール、アセトン等の有機溶媒で洗
浄することにより行うことができる。

〔発明の効果〕

本発明の方法によれば、ステイニング剤中の銀濃度、熱
処理の雰囲気、熱処理の温度Ｔ、温度Ｔでの保持時間等
をコントロールすることにより、クリスタルガラスの美
感を損なわずに良好な黄色の着色のクリスタルガラスを
得ることができる。

〔実施例〕

以下、本発明を実施例に基いて詳細に説明する。

実施例１銀３．８３重量％、ナトリウム９．１５重量％、銅１４
、９３重量％、クロム２３．４１重量％、マンガン１．
７０重量％、ケイ素０．３８重量％、アルミニウム０．
６８重量％、ジルコニウム０．３２重量％、イオウ１０
．４９重量％及び酸素３５．１０重量％を含有するステ
イニング剤をエタノールで希釈したものをスプレーでク
リスタルガラス（ＰｂＯ・約２５％、Ｎａ２Ｏ：約５％
、Ｋ２Ｏ：約１０％、ガラス転移点：４７ｏ°Ｃ）に吹
き付はステイニング剤の厚さが約５０μｍになるように
塗布し、１５０℃、１５分間乾燥した。次いで、ステイ
ニング剤をコーティングしたクリスタルカラスを窒素ガ
ス雰囲気中で熱処理した。熱処理は、室温から１０°Ｃ
／分の昇温速度で４８０°Ｃ（ガラス転移点＋１０°Ｃ
）まで昇温し、４８０℃で１５分間保持し、次いで、電
気炉内の温度を室温まて除冷も兼ねて自然冷却すること
により行った。

室温まで温度が下ったクリスタルカラスを水洗して塗布
しであるステイニング剤を除去した。

尚、透過率測定用試料として、２０ｍｍＸ２８ｍｍ。

厚さ２岨の板状のクリスタルガラスも同時に上記処理に
付した。

又、着色の確認は、目視、透過率カーブ及び日本工業規
格ｒＪＩｓ　Ｚ　８７０１Ｊ　　（２度視野ＸＹＺ系に
よる色の表示方法）に基いて行った。結果を表１及び第
１図に示す。

尚、表１の色の表示方法においてｘ、ｙは色度座標、Ｙ
は刺激値、λｄは主波長、Ｐｅは刺激純度をそれぞれ示
す。

実施例２銀１．０６重量％、ナトリウム６．７５重量％、銅２２
．９２重量％、クロム８．９２重量％、ケイ素０゜７５
重量％、アルミニウム０．８０重量％、ジルコニウム１
．２８重量％、イオウ１６．９８重量％及び酸素３９．
８６重量％を含有するステイニング剤を用い、熱処理を
表１に示す温度及び保持時間で行った以外は、実施例１
と同様にしてクリスタルガラスを着色した。結果を表１
及び第１図に示す。

実施例３〜５銀０．３１重量％、ナトリウム４．６２重量％、銅２４
、５２重量％、ケイ素２．７５重量％、アルミニウム０
．９１重量％、シルコニ、ラム６．３６重量％、イオウ
１８．０７重量％及び酸素４１．４６重量％を含有する
ステイニング剤を用い、熱処理を表１に示す温度及び保
持時間で行った以外は、実施例１と同様にしてクリスタ
ルガラスを着色した。結果を表１及び第２図に示す。

実施例６及び７銀０．０９重量％、カリウム１６．１２重量％、銅２４
、５２重量％、ケイ素２．７５重量％、アルミニウム０
．９１重量％、ジルコニウム６．３６重量％、イオウ１
８．０７重量％及び酸素４０．０５重量％を含有するス
テイニング剤を用い、熱処理を表１に示す温度及び保持
時間で行った以外は、実施例１と同様にしてクリスタル
ガラスを着色した。結果を表１及び第３図に示す。

比較例１熱処理の雰囲気を窒素１００％から酸素１００％に替え
た以外は実施例１　（銀含有量３．８３重量％のステイ
ニング剤を使用）と同様にしてクリスタルガラスを着色
した。結果を表１及び第４図に示す。

比較例２熱処理の雰囲気を酸素９０％、窒素１０％の混合ガスか
ら窒素１００％に替えた以外は実施例３（銀含有量０．
３１重量％のステイニング剤を使用）と同様にしてクリ
スタルガラスを着色した。結果を表１及び第４図に示す
。

比較例３熱処理の雰囲気を酸素９０％、窒素１０％の混合カスか
ら窒素１００％に替えた以外は実施例３（銀含有量０，
０９重量％のステイニング剤を使用）と同様にしてクリ
スタルガラスを着色した。結果を表１及び第４図に示す
。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は、実施例で得た着色クリスタルガラス
の３００〜８００ｎｍの範囲の透過率カーブである。第
４図は、比較例で得た着色クリスタルガラスの３００〜
８００ｎｍの範囲の透過率カーブである。

Claims

【特許請求の範囲】

（１）ナトリウムとカリウムのうちの少なくとも１種と
銀とを含有するステイニング剤をクリスタルガラスの表
面の一部または全部に塗布し、−２０Ｘ＋１３０≧Ｙ≧
−３０Ｘ＋８０（式中、Ｘはステイニング剤中の銀の濃度（重量％、固
形分換算）を示し、Ｙは雰囲気中の酸素濃度（体積％）
を示し、ただし、Ｙは０以上、１００以下である）の式
を満足する雰囲気中で室温から上記クリスタルガラスの
ガラス転移点より８０℃高い温度以下の温度Ｔまで昇温
し、室温まで冷却するか、またはこの温度Ｔで保持した
後に室温まで冷却し、上記ステイニング剤を除去することを特徴とするクリス
タルガラスの着色方法。
（２）ステイニング剤がナトリウム、カリウム又はそれ
らの混合物を４〜５０重量％、銀を０．０１〜６重量％
含有する請求項１記載の着色方法。
（３）ステイニング剤が銀、ナトリウム、カリウム、銅
、ケイ素、アルミニウム及びジルコニウムを含有する請
求項１又は２記載の着色方法。
（４）ステイニング剤が銀、ナトリウム、カリウム、銅
、ケイ素、アルミニウム、クロム及びマンガンを含有す
る請求項１又は２記載の着色方法。