JPH048058Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本考案は車両急減速時に乗員を保護するシート
ベルト装置に用いられ乗員拘束用ウエビングを巻
取るウエビング巻取装置に関する。 〔従来の技術〕 シートベルト装置は、乗員に装着されるウエビ
ングと、このウエビングを巻取るウエビング巻取
装置と、を備えている。ウエビングは一端がウエ
ビング巻取装置の巻取軸に係止されており、巻取
軸に加わるぜんまいばねの巻取付勢力によつて巻
取軸に巻き取られる。 乗員がウエビングを装着する際には、ウエビン
グ巻取装置からウエビングを引出し、ウエビング
に取付けられたタングプレートをバツクル装置に
係合させる。乗員がウエビングの引出しを停止す
ると、余分に引き出されたウエビングがぜんまい
ばねの巻取付勢力によつて巻取軸に巻き取られ、
さらにぜんまいばねの巻取付勢力が巻取軸を介し
てウエビングに作用し、ウエビングが乗員に密着
される。 また、ウエビングの装着を解除する際には、乗
員によつてタングプレートとバツクル装置との係
合が解除される。これにより、ウエビングはぜん
まいばねの巻取付勢力によつて大部分が巻取軸に
巻き取られ、巻取装置内に収納される。 〔考案が解決しようとする課題〕 しかしながら、ぜんまいばねは前述のようにウ
エビングの大部分を巻取るために比較的大きな巻
取付勢力が与えられており、乗員のウエビング装
着時にはこの巻取付勢力でウエビングが乗員に密
着するので、乗員が迫力感を感じることになる。
これを解消するために様々な手段が採用されてい
るが、これらの手段は構造が複雑であつたり、ウ
エビングに加わる巻取付勢力を的確に減少させる
ことができない場合もある。 本考案は上記事実を考慮し、簡単な構造でかつ
ウエビング装着状態で乗員が圧迫感を感じること
がないウエビング巻取装置を得ることが目的であ
る。 〔課題を解決するための手段〕 上記目的を達成するために本考案に係るウエビ
ング巻取装置は、乗員拘束用ウエビングの一端を
巻取る巻取軸と、一端が前記巻取軸に係止されか
つ他端が移動可能とされ、前記他端が停止してい
るときに巻取軸からのウエビングの引出し量が多
くなるに従つて巻取軸に加える巻取付勢力が強く
なりかつ巻取軸へのウエビングの巻取り量が多く
なるに従つて前記巻取付勢力が弱くなると共に前
記他端の移動に応じて巻取付勢力が変更される弾
性体と、前記弾性体の他端を移動させて巻取軸に
加わる巻取付勢力を変更するモータと、乗員がウ
エビングを装着した状態で巻取軸に加わる巻取付
勢力が所定値以下となる位置に弾性体の他端が位
置したときに作動する位置検出スイツチと、乗員
がウエビングを装着したときに作動する装着検出
スイツチと、前記装着検出スイツチが作動してか
ら前記位置検出スイツチが作動するまで前記弾性
体による巻取付勢力が弱くなる方向に弾性体の他
端が移動するように前記モータを制御する制御手
段と、を有している。 〔作用〕 本考案では、乗員がウエビング装置する時にウ
エビング引出し量が多くなるに従つて巻取軸に加
わる巻取付勢力が大きくなるが、乗員がウエビン
グを装着してから巻取軸に加わる巻取付勢力が所
定値以下となるまで弾性体の他端を巻取付勢力が
弱くなる方向へ移動させている。このため、乗員
のウエビング装着状態で乗員が圧迫感を感じるこ
とはない。 また、乗員がウエビングを引出して装着するま
での間は巻取付勢力はウエビングの引出し量に応
じて強くなり、ウエビングの他端を移動させない
ので、ウエビングを引出した後で装着することな
く放置した場合にも強い巻取付勢力でウエビング
をウエビング巻取装置内に完全に収納することが
できる。 また、装着検出スイツチによつて乗員のウエビ
ング装着を検出し、位置検出スイツチによつて巻
取軸に加わる巻取付勢力が所定値以下か否かを検
出しているので、ウエビング巻取装置を簡単な構
造とすることができる。 〔実施例〕 以下、図面を参照して本考案の実施例を説明す
る。第１図に示すように、本実施例に係るウエビ
ング巻取装置１０はフレーム１２がボルト１４を
介して図示しない車体に固着されている。 フレーム１２の両端部が直角に屈曲されて形成
された一対の脚板１６、１８は、巻取軸２０の両
端部付近を軸支している。この巻取軸２０には乗
員拘束用ウエビング２２の一端が取付けられてお
り、ウエビング２２を層状に巻取るようになつて
いる。このウエビング２２の図示しない他端には
タングプレート２２Ａ（第６図参照）が取付けら
れており、このタングプレート２２Ａは車体の他
の部分に係止されたバツクル装置２２Ｂと係合可
能とされている。タングプレート２２Ａとバツク
ル装置２２Ｂとが係合すると、図示しないシート
に着座した乗員はウエビング装着状態となる。 脚板１８から突出した巻取軸２０の先端部には
小径部２４が形成されている。この小径部２４に
は、第２図にも示すようにスリツト２６が刻設さ
れており、本考案の弾性体に対応するぜんまいば
ね２８の内端を係止している。ぜんまいばね２８
の外端はウオームホイル３０に形成される凹部３
２の内周に係止されている。この凹部３２は脚板
１８の外側に取付けられるハウジング３４、シー
ト３６（第１図参照）を介して巻取軸２０と同軸
的に軸支されている。 ウオームホイル３０にはウオームギア３８がか
み合つており、このウオームギア３８はモータ４
０の回転軸４２に取付けられている。従つて、モ
ータ４０が回転するとウオームギア３８、ウオー
ムホイル３０を介してぜんまいばね２８の外端が
回転駆動され、巻取軸２０に加わるぜんまいばね
２８の巻取付勢力が変更される。 第３図にも示すように、シート３６にはピン４
３を介して平歯車４４が軸支されており、ウオー
ムホイル３０に同軸的に固着された小歯車４６と
かみ合つている。この平歯車４４には小歯車４８
が同軸的に固着されており、この小歯車４８は第
４図に示すように平歯車５０とかみ合つている。
従つて平歯車５０には、ウオームホイル３０の回
転力が減速されて伝達され、回転される。この平
歯車５０には第４，５図に示すように移動接点と
してのプリント基板５２，５４が同心円弧状に張
り付けられている。これらのプリント基板５２，
５４にはそれぞれ一対の固定接点としてのコンタ
クト５６Ａ，５６Ｂ及びコンタクト５８Ａ，５８
Ｂが対応している。 これらのプリント基板５２とコンタクト５６
Ａ，５６Ｂとの組合せ及びプリント基板５４とコ
ンタクト５８Ａ，５８Ｂとの組合せはそれぞれ駆
動位置検出スイツチ６０，６２を構成している。 駆動位置検出スイツチ６０は本考案の位置検出
スイツチに対応しており、平歯車５０が第４図に
示す状態でオンとされ、ぜんまいばね２８の外端
が移動され平歯車５０が回転されると、プリント
基板５２がコンタクト５６Ａ，５６Ｂに対して移
動し、オフするように構成されている。 駆動位置検出スイツチ６０は、ぜんまいばね２
８の外端がぜんまいばね２８の巻取付勢力を弱く
する方向に移動された場合に平歯車５０が第４図
反時計方向へ回転され、乗員がウエビング２２を
引出して装着した状態で巻取付勢力が所定値以下
になるとプリント基板５２とコンタクト５６Ｂと
が離れてオフとなるように、プリント基板５２及
びコンタクト５６Ｂの配置が定められている。 この巻取付勢力が所定値以下になり駆動位置検
出スイツチ６０がオフになつた状態は所謂コンフ
オート状態であり、巻取軸２０を介してウエビン
グ２２に加わる巻取力は極めて弱く、また全く無
くなり、ウエビング装着状態で乗員が圧迫感を感
じることはない。 また、駆動位置検出スイツチ６０は、巻取軸２
０に加わる巻取付勢力を強くする方向にぜんまい
ばね２８の外端が移動されて平歯車５０が第４図
時計方向に回転され、巻取付勢力がウエビング２
２のほぼ全量を巻取るに充分な大きさになると、
プリント基板５２とコンタクト５６Ａとが離れて
オフとなるようにプリント基板５２及びコンタク
ト５６Ａの配置が定められている。 一方、駆動位置検出スイツチ６２は平歯車５０
が第４図に示す状態でオンとされており、巻取軸
２０に加わるぜんまいばね２８の巻取付勢力が強
くなる方向（第４図時計方向）へ平歯車５０が所
定量回転されるとオフとなるように構成されてい
る。ただしこのように駆動位置検出スイツチ６２
がオフに切り替わる状態では駆動位置検出スイツ
チ６０はオンとなつている。 また逆に、巻取軸２０に加わるぜんまいばね２
８の巻取付勢力が強い状態から弱くなる方向（第
４図反時計方向）へ平歯車５０が回転されると駆
動位置検出スイツチ６２はオフからオンに切り替
わるが、この切り替わつた時点では、ぜんまいば
ね２８が既に全巻状態となつているウエビング２
２の全巻状態を維持するに充分な強さとなるよう
に配慮されている。 これらの駆動位置検出スイツチ６０，６２は第
６図に示すように制御装置６４へ接続されて検出
信号を送るようになつている。 平歯車５０とシート３６との間には第３図に示
すようにカム板６６が配置されており、シート３
６から突出したピン６８へ軸支されている。この
カム板６６はシート３６側の表面に移動接点であ
るプリント基板７０が張り付けられており、シー
ト３６に取付けられた固定接点としての一対のコ
ンタクト７２Ａ，７２Ｂと対応している。このプ
リント基板７０及びコンタクト７２Ａ，７２Ｂは
回転方向検出スイツチ７４を構成している。 このカム６６は回転角度がシート３６から突出
したストツパピン７４Ａ，７４Ｂにより制限され
ており、かつ平歯車５０の回転力が平歯車５０と
の摩擦によつて伝達されるようになつている。こ
れにより、回転方向検出スイツチ７４は、モータ
４０がぜんまいばね２８の巻取付勢力を増大させ
る方向へ駆動され、これに伴つて平歯車５０が第
４図時計方向へ回転されている場合にオンされ、
逆にモータ４０がぜんまいばね２８の付勢力を減
少させる方向へ駆動され、平歯車５０が第４図反
時計方向へ回転されている場合にはプリント基板
７０とコンタクト７２Ａ，７２Ｂとが離間してオ
フされる。 このカム６６と平歯車５０は、平歯車５０の回
転初期には摩擦によつて平歯車５０とカム６６と
が共に回転するが、その後はカム６６がストツパ
ピン７４Ａ又は７４Ｂと当接し平歯車５０と相対
移動するロストモーシヨン機構を構成している。
回転方向検出スイツチ７４は第６図に示される制
御装置６４に接続されている。 以上、駆動位置検出スイツチ６０、駆動位置検
出スイツチ６２及び回転方向検出スイツチ７４と
各接点との関係を下表に示す。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係るウエビング巻
取装置では、装着検出スイツチにより乗員のウエ
ビング装着を検出してから、位置検出スイツチに
よりウエビングの巻取付勢力が所定値以下となる
位置に弾性体の他端が位置した状態を検出するま
での間、弾性体の他端をウエビングの引出し方向
へ移動させて巻取付勢力を弱くするので、簡単な
構造でかつウエビング装着状態で乗員が圧迫感を
感じることがない、という優れた効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るウエビング巻取装置の実
施例を示す正面断面図、第２図は第１図−線
断面図、第３図は第１図−線断面図、第４図
は第１図−線断面図、第５図は第１図の分解
斜視図、第６図は制御装置の回路図、第７図は本
実施例のタイミングチヤート、第８図は本実施例
によつて制御される状態を示すフローチヤートで
ある。 １０……ウエビング巻取装置、２０……巻取
軸、２２……ウエビング、２８……ぜんまいば
ね、４０……モータ、５２，５４……プリント基
板、５６Ａ，５６Ｂ……コンタクト、５８Ａ，５
８Ｂ……コンタクト、６０，６２……駆動位置検
出スイツチ、６４……制御装置、６６……カム
板、７０……プリント基板、７２Ａ，７２Ｂ……
コンタクト、７４……回転方向検出スイツチ、７
６……バツクルスイツチ、７８……駆動装置。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 乗員拘束用ウエビングの一端を巻取る巻取軸
   と、 一端が前記巻取軸に係止されかつ他端が移動可
   能とされ、前記他端が停止しているときに巻取軸
   からのウエビングの引出し量が多くなるに従つて
   巻取軸に加える巻取付勢力が強くなりかつ巻取軸
   へのウエビングの巻取り量が多くなるに従つて前
   記巻取付勢力が弱くなると共に前記他端の移動に
   応じて巻取付勢力が変更される弾性体と、 前記弾性体の他端を移動させて巻取軸に加わる
   巻取付勢力を変更するモータと、 乗員がウエビングを装着した状態で巻取軸に加
   わる巻取付勢力が所定値以下となる位置に弾性体
   の他端が位置したときに作動する位置検出スイツ
   チと、 乗員がウエビングを装着したときに作動する装
   着検出スイツチと、 前記装着検出スイツチが作動してから前記位置
   検出スイツチが作動するまで前記弾性体による巻
   取付勢力が弱くなる方向に弾性体の他端が移動す
   るように前記モータを制御する制御手段と、 を有するウエビング巻取装置。