JPH0476003B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、内燃機関に使用する中空エンジンバ
ルブの製造方法に関する。

従来の技術 内燃エンジンのエンジンバルブは、エンジンの
高速高出力化の要求に伴つて、高熱雰囲気に耐え
ることは勿論、弁の慣性から生じる弊害を回避す
るためになるべく軽量であることが望まれてい
る。

軽量化の対策の１つとして傘部に対してバルブ
ステム部分を細くする試みがなされ、かつ、実用
化されているが、軸径の強度上の限界のため軽量
化には限度がある。又バルブの軽量化の他の試み
としては、バルブ自体を中空にすることが行なわ
れている。例えば実公昭60−34725号明細書は、
鋼素材或いは弁頭及び弁軸を形成した予備成形品
に孔あけ加工を施して中空にし、できた孔にアル
ミニウム合金或いはマグネシウム合金の芯を装填
固定したエンジンバルブを開示している。又特公
昭51−29106号明細書或いは特公昭51−29506号明
細書には、パイプ素材を用い、パイプの内側に捨
中子となるインサートを挿入したするか或いは、
芯となるインサートを挿入接着した後アプセツト
鍛造及び熱間プレス加工を行つて製造されるエン
ジンバルブが開示されている。さらに中空バルブ
の傘部、ステム部分及び軸端部分に別々に用意し
た後これらを溶接することも行なわれている。軽
量化のさらに別の試みとしてはバルブ自体を軽金
属で作ることも行なわれている。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら、このような試みでエンジンバル
ブを弁軽量化するものにあつては、中空化するた
めに正確、精密な孔あけ加工を必要としたり、捨
中子となるインサートを削出し或いは腐食酸によ
る溶出によつて除去する加工を必要としたり、或
いは芯となるインサートやバルブの各部分を溶接
しなくてはならないため、加工が複雑かつ困難で
製造コストが高くなりやすいという問題点があつ
た。又軽合金エンジン弁を製造することは、材料
が高価であり、加工が困難な上に窒化処理等によ
り表面を硬化させる必要があるため、特殊エンジ
ンを除いては一般的でないとう問題点があつた。

本発明の目的は上述した問題点を除去し、エン
ジンバルブを削孔することなく、かつ又パイプ材
を用いることなく簡単かつ低コストに中空エンジ
ンバルブを製造することのできる中空エンジンバ
ルブの製造方法を提供することにある。

問題点を解決するための手段 本発明は、中空エンジンバルブを製造するにあ
たり、後方押圧出し加工により耐熱鋼素材の中心
部に孔を形成し、高張力合金から成る芯材除去部
材と、熱間成形時に溶融せず、かつ強く凝固しな
い黒鉛、炭素、セラミツク粉末等から成る芯材と
を、前記芯材除去部材が素材の軸線上に位置する
ように前記孔に装填し、装填後素材を加熱し、前
記素材の前記孔の開口と反対側に熱間前方押出し
成形によつて芯材及び芯材除去部材の入つたバル
ブステム部分を形成し、次いで素材の残部の前記
孔の開口側から前記芯材除去部材を引抜くことに
よつて素材から芯材を除去して中空部を形成し前
記素材の残部のみを加熱した後、所定形状の傘内
部形状を有するポンチと所定形状の傘外部形状を
有するダイとによつて素材の残部と熱間プレス据
込成形を施して傘部内外の形状を同時に成形し、
次いで前記傘部の開口を密栓封鎖することを特徴
とする。

以下図面により本発明を詳細に説明する。

実施例 第１図は、本発明による軽量エンジンバルブの
製造過程を示す一例の概略断面図である。耐熱鋼
の棒材を用意し、これを所定の寸法に切断して素
材４を得る。第２図に示すように、この素材４を
ダイ１の凹所６に挿入し、ストツクピ５を図に示
す通常位置に設定して、ポンチ２で温間で後方押
出し加工を施し、これによつて素材４に一端が閉
じた孔３を形成する。孔３を中心部に成形した素
材４はストツクピンの左方向への移動によつてダ
イ１から抜出すことができる。

次いで第１図ａに示すように、素材４の孔３に
芯棒７をその軸線が素材の軸線上に位置するよう
に装填するとともに、芯棒７を包囲して芯材８を
孔３の内部全体に装填する。芯棒７は高張力を有
するステンレス合金又はチタン合金製のものであ
り、後の工程で芯材８を除去しやすいように、先
端が拡大している。第３図に示すように円筒形の
芯棒７であつてもよい。芯棒は芯材を取り出すた
めのものであり、従つて素材４中に装填した後で
もその後端が孔３より突出している。

芯材８は、後の熱間成形時に溶解したり強く凝
固したりすることがなく、変形流動しやすく破砕
しやすい物質である必要がある。このため芯材と
しては黒鉛、炭素、セラミツク粉末等が望まし
く、本例では黒鉛が用いられる。

次にこの芯棒及び芯材を装填した素材４を熱間
押出し成形に適した温度まで加熱し、しかる後、
第４図の押出し成形用のダイ９にこの加熱素材を
挿入し、先端に芯棒７の突出部分を収容する凹部
１０′を備えたポンチ１０で素材にその孔の開口
側から圧縮を加えて、反対側の端からバルブステ
ム１１として熱間前方押出し成形を行う。バルブ
ステムが所定長さ押出し成形されたとき、ダイ内
には弁頭部となるべき素材部分１２が残部として
残る。この押出し成形中、第１図ｂに示すように
芯棒７はその径を小さくしながら、又芯棒の先端
拡大部は、スラム部分内の孔の最も先端に位置し
て孔の内径とほぼ等しい径に変形しながらバルブ
ステム内で伸張し、黒鉛とともにバルブステム部
分１１の中心部に入り込む。

次に第１図ｃに示すように、素材残部の孔の開
口側から芯棒７を引き出す。このため芯材中に配
置されていた芯棒が、その先端拡大部でスラム部
分の孔３内部を掻くように引き出される過程で芯
棒の周囲の黒鉛は破砕され孔３より容易に取り出
され、エンジンバルブ内に中空１６を形成する。

次に部分１１のみを加熱し、加熱された素材を
第５図に示すダイ１３に挿入し、ポチ１４で部分
１２に熱間プレス据込成形を施して傘部の内外面
に所定形状を有した傘部１５を形成する。第１図
ｄに傘部１５の据込成形後ダイ１３より取出され
たエンジンバルブを示す。ポンチ１４の頭部に
は、傘部１５の内面に形成すべき所定の輪郭をも
つた部分１４ａと、素材４の孔３が開口する端面
を押圧する環状の部分１４ｂとが設けられてお
り、一方ダイ１３の内面には傘部の外面に形成す
べき所定の形状が形成されている。

最後に第１図ｅに示すようにエンジン弁の中空
部１６を栓１７によつて溶接密栓し、又バルブス
テム部分に軸端部１８を設ける。軸端部１８は第
１図ｄのようにステム部に直接成形しなくても良
く、第８図に示すようにステム部とは別の軸端部
品１８′を溶接しても良い。中空部１６には必要
に応じてバルブの冷却効果を高める金属ナトリウ
ムを封入することができる。

第６図は、本発明による軽量エンジンバルブの
製造過程の他の例を示す概略断面図である。本実
施例は上記の例と芯材除去部材が異なる例であり
中空化した熱間押出成形品を得た後の工程は第１
図と同様である。素材４の孔３にコイル１９が素
材の軸線上に位置するように装填するとともに、
コイル１９を包囲して芯材８を孔３の内部全体に
装填する。コイル１９は第７図に示すように引抜
き側の端部でピツチが大きく取つてある螺旋形状
のステンレス線であり、後の工程で引き伸ばされ
る際にも螺旋形状を保持できる巻数を有したもの
である。

次にこのコイル及び芯材を装填した素材４を熱
間押出し成形に適した温度まで加熱し、しかる
後、第４図に押出し成形用のダイ９にこの加熱素
材を挿入し、ポンチ１４で素材にその孔の開口側
から圧縮を加えて、反対側の端からバルブステム
１０として熱間前方押出し成形を行う。尚、芯材
引出し部材としてコイルを使用する場合、ポンチ
頭部に凹部を設ける必要はないバルブステムが所
定長さ押出し成形されたとき、ダイ内には弁頭部
となるべき素材部分１１が残部として残る。この
押出し成形中、第６図ｂに示すようるコイル１９
はそのピツチを増しながら又螺旋形状を保持しな
がらバルブステム内で伸張し、黒鉛とともにバル
ブステム部分１０の中心部に入り込む。

次に第７図ｃに示すように、部分１１にある孔
３の開口部よりコイル１９の一端を引き出す。黒
鉛中に螺旋形状を保持したまま配置されていたコ
イルが直線状となつて引き出される過程でコイル
の周囲の黒鉛は破砕され孔３より容易に取り出さ
れエンジンバルブ内に中空１６を形成する。

発明の効果 以上の説明から明らかなように、本発明による
中空エンジンパルブの製造方法によれば、中心に
芯棒或いはコイルから成る芯材部材を配した芯材
を素材の孔に装填し、これらを加熱し、しかる
後、熱間前方押出し成形によりバルブステム部を
形成するため、バルブステム部には内部に芯材と
芯棒又はコイルがそのまま入り込み、芯棒又はコ
イルを引抜くだけの作業によつて耐熱鋼素材のエ
ンジンバルブよりステム部全体にに亘つてさらに
傘部分から芯材を完全に除去することができ、従
つて複雑な加工を行うことなく簡単かつ低コスト
に中空バルブを製造することができる。

又上記芯材除去部材により素材を空洞化した後
に傘部内部に形成すべき所定形状を有したポンチ
と傘部外面に形成すべき所定形状を有したダイと
によつて強制的に傘部の内外面を同時に成形する
ようにしたため、成形後に切削等の加工を加える
必要のない正確な傘部形状を確実に得ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ〜ｅは、本発明による中空エンジンバ
ルブの製造過程を示す一例の概略断面図、第２図
は、本発明による中空エンジンバルブの製造に使
用する素材を後方押出し加工によつて形成するダ
イとポンチを示す概略図、第３図は、エンジンバ
ルブの製造に使用する芯棒の他の例を示す断面
図、第４図は、本発明による中空エンジンバルブ
のステム部分を熱間前方押出し成形によつて形成
するダイ及びポンチを示す概略図、第５図は、本
発明による中空エンジンバルブの傘部を熱間プレ
ス据込成形によつて形成するダイ及びポンチを示
す概略図、第６図ａ〜ｃは本発明による中空エン
ジンバルブの製造工程の他の例を示す概略断面
図、第７図は、本発明による中空エンジンバルブ
の製造に使用するコイルを示す図、第８図は第１
図の中空エンジンバルブの軸端部の他の示を示す
一部切欠き部分断面図である。 ３……孔、４……素材、７……芯棒、８……芯
材、１１……バルブステム部、１５……傘部、１
７……栓。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 中空エンジンバルブを製造するにあたり、後
   方押圧出し加工により耐熱鋼素材の中心部に孔を
   形成し、高張力合金から成る芯材除去部材と、熱
   間成形時に溶融せず、かつ強く凝固しない黒鉛、
   炭素、セラミツク粉末等から成る芯材とを、前記
   芯材除去部材が素材の軸線上に位置するように前
   記孔に装填し、装填後素材を加熱し、前記素材の
   前記孔の開口と反対側に熱間前方押出し成形によ
   つて芯材及び芯材除去部材の入つたバルブステム
   部分を形成し、次いで素材の残部の前記孔の開口
   側から前記芯材除去部材を引抜くことによつて素
   材から芯材を除去して中空部を形成し前記素材の
   残部のみを加熱した後、所定形状の傘内部形状を
   有するポンチと所定形状の傘外部形状を有するダ
   イとによつて素材の残部と熱間プレス据込成形を
   施して傘部内外の形状を同時に成形し、次いで前
   記傘部の開口を密栓封鎖することを特徴とする中
   空エンジンバルブの製造方法。